JP4664482B2 - 証紙類識別装置、及び、押印装置 - Google Patents

証紙類識別装置、及び、押印装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、証紙類識別装置に係り、特に、郵便切手類や印紙などの証紙類を検知して識別する証紙類識別装置、証紙類識別方法、押印装置、及び押印方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙葉類に貼付された証紙類、例えば郵便物に貼付された郵便切手などの識別は、例えば特開平7‐37093号によれば、以下のようにして行われている。
【0003】
すなわち、証紙類が貼付された紙葉類は、カメラなどの読取装置によって読み取られる。そして、得られた画像データから証紙類の領域が抽出される。抽出された証紙類に対応する画像データは、証紙類全面の辞書データと照合される。そして、類似度の最も高い辞書データに対応する証紙類を識別結果として出力する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来、紙葉類に貼付された証紙類の識別は、証紙類全面の画像データに対応した辞書データに基づいて行われている。このため、貼付された証紙類の一部に欠けやめくれなどの不良がある場合、正しい識別結果を得ることができないおそれがある。
【0005】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、証紙類を高い精度で正確に識別することが可能な証紙類識別装置及び証紙類識別方法を提供することにある。
【0006】
また、この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、証紙類を高い精度で正確に識別することが可能な証紙類識別装置を備えた押印装置及び押印方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、
請求項1に記載の証紙類識別装置は、
識別対象となる証紙類の表面全域に対応した第1辞書データ、及び、前記証紙類を複数領域に分割した部分的な第2辞書データを記憶した記憶手段と、
紙葉類に証紙類が正常に貼付されているか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記証紙類が前記紙葉類に正常に貼付されていることを検知した場合に前記記憶手段に記憶した前記第1辞書データに基づいて前記証紙類を識別するとともに、前記検知手段により前記証紙類が前記紙葉類に正常に貼付されていないことを検知した場合に前記記憶手段に記憶した前記第2辞書データに基づいて前記証紙類を識別する識別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の押印装置は、
紙葉類を計量する計量部と、
前記紙葉類に貼付された証紙類を識別する識別部と、
前記計量部で計量された前記紙葉類の重量に対して、前記識別部で識別された前記証紙類の金額が適正であるか否かを判別する判別部と、
前記判別部で適正であると判別された前記紙葉類の前記証紙類に対して押印する押印部と、を備え、
前記識別部は、
識別対象となる証紙類の表面全域に対応した第1辞書データ、及び、前記証紙類を複数領域に分割した部分的な第2辞書データを記憶した記憶手段と、
紙葉類に証紙類が正常に貼付されているか否かを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記証紙類が前記紙葉類に正常に貼付されていることを検知した場合に前記記憶手段に記憶した前記第1辞書データに基づいて前記証紙類を識別するとともに、前記検知手段により前記証紙類が前記紙葉類に正常に貼付されていないことを検知した場合に前記記憶手段に記憶した前記第2辞書データに基づいて前記証紙類を識別して、前記証紙類の金額を識別する識別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の証紙類識別装置、証紙類識別方法、押印装置、及び押印方法の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、この発明の証紙類識別装置100は、装置全体を制御する制御部101を備えている。この証紙類識別装置100は、紙葉類として、例えば郵便物上に貼付された証紙類、例えば郵便切手類や、印紙類などを識別対象とし、対応する金額を識別結果として出力するものである。
【0013】
この制御部101には、メモリ部102と、読取手段としての機能を有する撮像部103と、取得手段としての機能を有する画像入力部104と、画像データ記憶部105と、紙葉類領域切り出し部106と、抽出手段としての機能を有する証紙類領域切り出し部107と、が接続されている。
【0014】
また、制御部101には、検知手段としての機能を有する不良検知部108と、前処理部109と、記憶手段としての機能を有する辞書データ記憶部110と、識別手段としての機能を有するパターンマッチング部111と、出力手段としての機能を有する識別結果出力部112と、が接続されている。
【0015】
紙葉類としての郵便物Pは、たとえば、図2に示すような封筒であり、その表面には、証紙類としての郵便切手類201、7桁の郵便番号記入枠202、および、宛先情報203などが存在する。郵便物Pの背景部204は、たとえば、黒色に設定されているものとする。
【0016】
以下、各部について詳細に説明する。
【0017】
すなわち、メモリ部102は、証紙類識別装置100全体を制御するための制御データなどを記憶されている。撮像部103は、証紙類201が貼付された紙葉類P表面を撮像し、画像データを生成する。画像入力部104は、撮像部103から出力された画像データを取得する。画像データ記憶部105は、画像入力部104で取得した画像データを記憶する。この実施の形態では、たとえば、横方向に512画素、縦方向に512画素、各画素1バイトのモノクロ画像として、図3に示すようなメモリ配置で画像データ記憶部105に記憶される。
【0018】
紙葉類領域切り出し部106は、画像データ記憶部105に格納された画像データに対して、紙葉類の範囲を特定する。すなわち、紙葉類領域切り出し部106は、図4に示すような画像データに対して、一定値THRでしきい値処理を行ない、図5に示すように、2値化画像の抽出画像の累積データを縦方向および横方向にそれぞれ求める。
【0019】
そして、縦方向および横方向の累積データの「0」でないデータの連結の開始位置および終了位置xs,xe,ys,yeをそれぞれ求め、図6の概念図で示す紙葉類Pの4隅の点M1(xs,ys),M2(xe,ys),M3(xs,ye),M4(xe,ye)の座標データを求める。
【0020】
証紙類領域切り出し部107は、画像データから証紙類領域を抽出し、紙葉類P上に存在する証紙類を検出することでその座標データを求める。すなわち、証紙類領域切り出し部107は、図7に示すような画像データに対して、一定値でしきい値処理を行い、図8に示すように、2値化画像の抽出画像の累積データを縦方向及び横方向にそれぞれ求める。
【0021】
このとき、証紙類領域切り出し部107は、まず、図9に示すように、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ平行な証紙類の外接矩形領域を形成する4隅の点M5(xss,yss),M6(xse,yss),M7(xss,yse),M8(xse,yse)の座標値を求める。
【0022】
不良検知部108は、紙葉類に証紙類の全面が正常に貼付されているか否かを検知する。すなわち、不良検知部108は、証紙類領域切り出し部107によって求められたM5、M6、M7、M8の4点で囲まれた外接矩形領域内の証紙類の画像データが欠落しているか否かを判断することによって、証紙類にめくれや欠けなどの不良があるか否かを判断する。
【0023】
不良検知部108は、まず、点M5(xss,yss),M6(xse,yss),M7(xss,yse),M8(xse,yse)の座標値を求めたときに用いた2値化画像に対して、段落番号(0051)以下の方法で証紙類の4隅の点M9、M10、M11、M12の座標値を求める。不良検知部108は、この4点M9,M10、M11、M12の座標値に基づいて、4点が矩形を構成するか否か、矩形の短辺と長辺との比が正常であるか否か、などを判断する。
【0024】
不良検知部108は、4点M9、M10、M11、M12が矩形を構成し、かつ矩形の縦横比が正常な場合は、証紙類にめくれや欠けなどの不良がないものと判断する。また、不良検知部108は、4点M9、M10、M11、M12が矩形を構成していないと判断したり、矩形の縦横比が異常であると判断した場合には、取得した証紙類に対応する画像データが全面分ではなく一部が欠落しているものと判断し、この結果、証紙類にめくれや欠けなどの不良があるものと判断する。
【0025】
不良検知部108は、不良があると判断した場合には、まず、めくれの検出を試みる。証紙類の裏地は、一般に白色であるので、めくれている部分も白色となる。そこで、不良検知部108は、証紙類領域切り出し部107において領域を抽出するために用いた2値化画像について、縦方向及び横方向のそれぞれに黒画素数の累積を行う。
【0026】
続いて、不良検知部108は、縦方向及び横方向のそれぞれについて、黒画素の累積数のしきい値THv及びTHhを設定し、累積数がしきい値以下となる範囲を求める。そして、不良検知部108は、縦方向及び横方向ともに、黒画素の累積数がしきい値以下となる範囲の幅がしきい値THwより大きい場合は、その部分にめくれがあると判断する。
【0027】
また、不良検知部108は、不良があると判断した場合において、上述した場合のようにめくれがあると判断しなかった場合には、証紙類に欠けている部分があると判断する。
【0028】
前処理部109は、正規化変換部や、画像ぼかし部などによって構成されている。すなわち、正規化変換部では、不良検知部108で検出した証紙類の4隅の点M9,M10,M11,M12の座標値を用いて、その範囲内の画像データの大きさを正規化する。
【0029】
すなわち、たとえば、証紙類のモノクロ画像h(x,y)を、縦xst画素および横yst画素の画像m(x,y)に正規化するためには、
m(x,y) = h( (x-xss)*xst/(xse-xss+1), (y-yss)*yst/(yse-yss+1) )
の変換を行なう。
【0030】
ここで、座標演算の結果は整数化する。
【0031】
また、画像ぼかし部では、正規化変換部で正規化された画像に対して、ぼけた小さな画素構成の画像に変換する。すなわち、正規化変換部から得られる正規化画像に対して、所定個のサンプル点に対して、所定の重みをかけた近傍画素との5×5平滑化データを求め、横7画素、縦10画素のぼけ画像を作成する。
【0032】
辞書データ記憶部110は、識別対象となるすべての種類の証紙類の辞書データを記憶している。すなわち、辞書データ記憶部110は、証紙類の全面に対応した第1辞書データ、及び、証紙類を複数領域に分割した部分的な第2辞書データを記憶している。
【0033】
例えば、辞書データ記憶部110は、図10の(a)に示すように、すべての種類の証紙類の表面全域の絵文字柄に対応した第1辞書データAD−1を記憶している。また、辞書データ記憶部110は、その他に、図10の(b)に示すように、証紙類を上下に2等分した上半分の第2辞書データPD−1及び下半分の第2辞書データPD−2、図10の(c)に示すように、証紙類を左右に2等分した左半分の第2辞書データPD−3及び右半分の第2辞書データPD−4を記憶している。
【0034】
なお、辞書データ記憶部110は、その他に、図10の(d)に示すように、証紙類を4等分した左上の第2辞書データPD−5、右上の第2辞書データPD−6、左下の第2辞書データPD−7、及び右下の第2辞書データPD−8を記憶してもよい。
【0035】
また、ここでは、証紙類を2等分及び4等分した辞書データを辞書データ記憶部110に記憶したが、さらに証紙類を複数の領域、例えば6等分、8等分…に分割した辞書データを記憶しても良い。
【0036】
パターンマッチング部111は、前処理部109により前処理された証紙類に対応する画像データと、辞書データ記憶部110に記憶されたすべての辞書データとを比較し、最も近いパターンを選択する。辞書データ記憶部110には、上述したような第1辞書データ及び第2辞書データについて、あらかじめ画像データを収集して正規化及びぼかし処理をした濃淡画像データが複数種類記憶されているものとする。
【0037】
パターンマッチング部111は、具体的には、図11に示すように構成されている。すなわち、類似度演算部3002は、類似度の演算を行う。バッファ制御部3001は、カテゴリ制御部3020で指示された領域の辞書データを指示するアドレス信号ADR11と、前処理部109からサンプル画像データを読み出すためのアドレス信号ADR12を出力し、識別するサンプル画像データと辞書データとを読み込む。
【0038】
類似度演算部3002では、サンプル画像データのV画像の各画素について乗算器3005が2乗の値を計算しながら、自らの出力を一方の入力とする加算器3008がその値を累積する。同様に、辞書データのV画像も乗算器3007で2乗を計算し、加算器3010がその値の累積値を計算する。
【0039】
バッファ制御部3001が1画像分の読み出しを終了した時点で、加算器3008,3010の出力に対して、平方根演算器3011,3012がそれぞれの平方根を求め、その結果の積Aを乗算器3013を求める。同時に、乗算器3006は、サンプル画像データのV画像と辞書データのV画像との画素ごとの積を求め、加算器3009にてその値を累積することで、和Bを求める。
【0040】
その後、加算器3009の出力値Bに対する乗算器3013の出力値Aの商を、除算器3014が求めることで、V画像の類似度が得られる。この類似度を、辞書データのカテゴリを変えて繰り返し求め、その中で最も高い類似度を持つカテゴリを最大カテゴリ検出部3021が識別結果として出力する。
【0041】
このパターンマッチング部111は、不良検知部108で証紙類にめくれや欠けなどの不良がないと判断した場合には、辞書データ記憶部110に記憶した第1辞書データすなわち証紙類の全面に対応した画像データと、前処理部109で前処理されたサンプル画像データとのパターンマッチング処理を行う。
【0042】
また、パターンマッチング部111は、不良検知部108で証紙類にめくれや欠けなどの不良があると判断した場合には、辞書データ記憶部110に記憶した第2辞書データすなわち証紙類の部分的な画像データと、前処理部109で前処理されたサンプル画像データとのパターンマッチング処理を行う。
【0043】
不良検知部108において、証紙類に不良がないと判断された場合には、パターンマッチング部111では、前処理されたサンプル画像データのV画像と、辞書データ記憶部110に記憶されている第1辞書データVとを比較し、最も近いパターンを選択する。パターンの比較方法として、7×10のパターンに対して辞書データとの類似度を求める。類似度は、例えば、サンプル画像データのV画像Vs(i)[i=0,1,…,69]と第1辞書データのV画像Vd(i)[i=0,1,…,69]に対して、下記数1の演算を行ない、
【数1】
Figure 0004664482
【0044】
最終的に類似度Simを求める。そして、パターンマッチング部111は、対象となるサンプル画像データとすべてのカテゴリの証紙類に対応した辞書データとのパターンマッチング処理により、それぞれ類似度Simを求め、類似度Simの値が最も大きなカテゴリを識別結果として出力する。
【0045】
一方、不良検知部108において、証紙類に不良があると判断された場合には、パターンマッチング部111では、同様に前処理されたサンプル画像データのV画像と、辞書データ記憶部110に記憶されている第2辞書データVとを比較し、最も近いパターンを選択する。パターンの比較方法は、上述した場合と同様に、数1の演算による類似度の算出によってなされる。
【0046】
なお、めくれの不良があると判断された証紙類のめくれ(白画素の面積)の割合が、所定のしきい値THarea以下となる部分について、図10の(b)及び(c)に示したような第2辞書データPD−1、PD−2、PD−3、PD−4、または、図10の(d)に示したような第2辞書データPD−5、PD−6、PD−7、PD−8のいずれかとの比較処理を行い、各部分の類似度を求める。
【0047】
めくれの割合がしきい値THarea以下となる部分が複数ある場合は、各部分の類似度のうち、最大(または、最小、または、平均)となる値を求めて類似度の代表値とする。この類似度の代表値を、すべてのカテゴリに対応した辞書データ毎に求め、最も高い類似度の代表値を持つカテゴリを識別結果として出力する。
【0048】
同様に、欠けの不良があると判断された証紙類の欠けがない部分について、図10の(b)及び(c)に示したような第2辞書データPD−1、PD−2、PD−3、PD−4、または、図10の(d)に示したような第2辞書データPD−5、PD−6、PD−7、PD−8のいずれかとの比較処理を行い、各部分の類似度を求める。各部分の類似度のうち、最大(または、最小、または、平均)となる値を求めて類似度の代表値とする。この類似度の代表値を、すべてのカテゴリに対応した辞書データ毎に求め、最も高い類似度の代表値を持つカテゴリを識別結果として出力する。
【0049】
識別結果出力部112は、パターンマッチング部111から出力された識別結果を外部機器へ出力する。
【0050】
上述した証紙類識別装置の実施の形態において、不良検知部108は、例えば、以下のようにして証紙類の4隅の点M9、M10、M11、M12を求め、不良を検知する。
【0051】
すなわち、不良検知部108は、まず、点M5(xss,yss),M6(xse,yss),M7(xss,yse),M8(xse,yse)の座標値を求めたときに用いた2値化画像に対して、以下の方法で証紙類の4隅の点M9、M10、M11、M12の座標値を求める。
【0052】
すなわち、点M5、M6、M7、M8で囲まれた領域内のすべての黒画素(X,Y)について、
Y+Xが最小となる点をM9(x9,y9)
Y−Xが最小となる点をM10(x10,y10)
Y−Xが最大となる点をM11(x11,y11)
Y+Xが最大となる点をM12(x12,y12)
とする。
【0053】
続いて、点M9,M10、M11、M12が矩形を構成するか否かを調べる。そのためには、例えば以下のすべての3式が成り立つか否かを調べることによって行われる。
【数2】
Figure 0004664482
【0054】
【数3】
Figure 0004664482
【0055】
【数4】
Figure 0004664482
【0056】
上述した3式において、THerrは、長さの誤差のしきい値であり、THcosは角度の誤差のしきい値である。
【0057】
ここで、(式1)では、線分M9‐M10と、線分M11−M12との差が所定のしきい値THerrより小さいか否かが判別される。(式2)では、線分M10‐M12と、線分M9−M11との差が所定のしきい値THerrより小さいか否かが判別される。(式3)では、線分M9‐M10と、線分M9−M11とが直交しているか否かが判別される。
【0058】
上述した3式により、4点M9、M10、M11、M12が矩形を構成すると判断した場合には、短辺と長辺との比が異常でないかどうかを調べる。そのためには、例えば、以下の式が成り立つか否かを調べることによって行われる。
【数5】
Figure 0004664482
【0059】
上述した(式4)において、THrminは縦横比の下限であり、THrmaxは縦横比の上限である。
【0060】
不良検知部108は、上述した(式1)ないし(式3)により、4点M9、M10、M11、M12が矩形を構成し、かつ(式4)により、矩形の縦横比が正常な場合は、証紙類にめくれや欠けなどの不良がないものと判断する。また、不良検知部108は、4点M9、M10、M11、M12が矩形を構成していないと判断したり、矩形の縦横比が異常であると判断した場合には、証紙類にめくれや欠けなどの不良があるものと判断する。
【0061】
また、不良検知部108は、上述したような方法により証紙類の4隅の点M9、M10、M11、M12を特定できない場合、例えば、証紙類に欠けやめくれなどがあり、4隅を形成する1点M9の座標値に複数の候補が存在する場合には、M5ないしM8を求めたときの2値化画像に対して別の処理により、X座標の最小値及び最大値、および、Y座標の最小値及び最大値を求めることによって、4隅の点を特定することも可能である。
【0062】
次に、この証紙類識別装置に適用される証紙類の識別方法について、図12に示したフローチャートを参照して説明する。
【0063】
すなわち、図12に示すように、まず、制御部101は、証紙類を貼付された紙葉類が所定位置に配置されたことを検知したのに基づいて、撮像部103を制御して紙葉類を撮像する(ST11)。撮像部103は、撮像した紙葉類の画像データを生成し、出力する。
【0064】
画像データ入力部104は、撮像部103から出力された紙葉類に対応した画像データを取得する(ST12)。制御部101は、画像データ入力部104で取得した画像データを画像データ記憶部105に記憶する(ST13)。
【0065】
続いて、制御部101は、画像データ記憶部105に記憶した画像データを紙葉類領域切り出し部106に出力し、紙葉類領域切り出し部106を制御して取得した画像データから紙葉類の領域を切り出す(ST14)。紙葉類領域の切り出しについては、図2ないし図6を参照して上述したような処理によって行われる。
【0066】
続いて、制御部101は、画像データ記憶部105に記憶した画像データを証紙類領域切り出し部107に出力し、証紙類領域切り出し部107を制御して取得した画像データから証紙類の外接矩形領域を切り出す(ST15)。証紙類の外接矩形領域の切り出しについては、図7ないし図9を参照して上述したような処理によって行われる。
【0067】
続いて、制御部101は、不良検知部108を制御して、証紙類領域切り出し部107によって切り出された証紙類の外接矩形領域から証紙類領域を抽出し、証紙類に欠けやめくれなどの不良があるか否かを検知する(ST16)。また、制御部101は、前処理部109を制御して、抽出された証紙類領域の画像データに対して、正規化や画像ぼかしなどの所定の前処理を行う(ST17)。
【0068】
続いて、制御部101は、不良検知部108による検知結果を参照し(ST18)、証紙類に不良がないと判断した場合には(ST18、N)、辞書データ記憶部110から第1辞書データを読み出す(ST19)。
【0069】
続いて、制御部101は、パターンマッチング部111を制御して、抽出された証紙類領域の画像データと、辞書データ記憶部110から読み出した第1辞書データとに基づいてパターンマッチング処理を行う(ST20)。このパターンマッチング部111は、図11を参照して説明したように、各カテゴリの第1辞書データとの比較により、それぞれ類似度を演算する(ST21)。
【0070】
続いて、制御部101は、1つのカテゴリに対応した第1辞書データに対する類似度の演算が終了したのに基づいて、すべてのカテゴリに対応した第1辞書データとのパターンマッチング処理が終了したか否かを判断する(ST22)。
【0071】
制御部101は、すべてのカテゴリに対応した第1辞書データとのパターンマッチング処理が終了していないと判断した場合には(ST22、N)、再びステップST19に戻り、辞書データ記憶部110から第1辞書データを読み出し、パターンマッチング部111を制御してパターンマッチング処理を行い、類似度を演算する。
【0072】
制御部101は、すべてのカテゴリに対応した第1辞書データとのパターンマッチング処理が終了したと判断した場合には(ST22、Y)、類似度の最も高いカテゴリを識別結果として識別結果出力部112に出力する(ST27)。
【0073】
一方、制御部101は、不良検知部108による検知結果を参照し(ST18)、証紙類に不良があると判断した場合には(ST18、Y)、辞書データ記憶部110から第2辞書データを読み出す(ST23)。
【0074】
続いて、制御部101は、パターンマッチング部111を制御して、抽出された証紙類領域の画像データと、辞書データ記憶部110から読み出した第2辞書データとに基づいてパターンマッチング処理を行う(ST24)。このパターンマッチング部111は、図11を参照して説明したように、各カテゴリの第2辞書データとの比較により、各部分ごとのそれぞれの類似度を演算する(ST25)。
【0075】
続いて、制御部101は、1つのカテゴリに対応した第2辞書データに対する類似度の演算が終了したのに基づいて、すべてのカテゴリに対応した第2辞書データとのパターンマッチング処理が終了したか否かを判断する(ST26)。
【0076】
制御部101は、すべてのカテゴリに対応した第2辞書データとのパターンマッチング処理が終了していないと判断した場合には(ST26、N)、再びステップST23に戻り、辞書データ記憶部110から第2辞書データを読み出し、パターンマッチング部111を制御してパターンマッチング処理を行い、類似度を演算する。
【0077】
制御部101は、すべてのカテゴリに対応した第2辞書データとのパターンマッチング処理が終了したと判断した場合には(ST26、Y)、類似度の最も高いカテゴリを識別結果として識別結果出力部112に出力する(ST27)。
【0078】
以上説明したように、上述した証紙類識別装置及び証紙類識別方法によれば、証紙類の画像データを取得し、取得した画像から紙葉類領域を抽出した後、証紙類領域を抽出し、紙葉類に貼付された証紙類にめくれや欠けなどの不良があるか否かが判断される。
【0079】
証紙類に不良がないと判断された場合には、証紙類領域に対応した画像データと、カテゴリ毎に証紙類全面に対応する辞書データとを照合することにより、各カテゴリの類似度を演算し、類似度が最大のカテゴリを識別結果として出力する。
【0080】
また、証紙類に不良があると判断された場合には、証紙類領域を複数の領域に分割した各部分に対応した画像データと、カテゴリ毎に証紙類を複数の領域に分割した部分的な辞書データとを照合することにより、各カテゴリの類似度を演算し、類似度が最大のカテゴリを識別結果として出力する。
【0081】
これにより、証紙類の貼られ方によらず、証紙類の種類を高精度に識別することが可能となる。また、証紙類にめくれや欠けなどの不良がある場合であっても、証紙類の種類を高精度に識別することが可能となる。
【0082】
次に、この発明の証紙類識別装置を備えた装置として、紙葉類に貼付された証紙類に押印する押印装置の実施の形態について説明する。
【0083】
すなわち、図13に示すように、押印装置300は、装置全体を制御するとともに判別部としての機能を有する制御部301を備えている。この制御部301には、メモリ部302と、紙葉類受取部303と、計量部304と、識別部305と、押印部306と、紙葉類排出部307と、及び、リジェクト部308と、が接続されている。
【0084】
メモリ部302は、押印装置300全体を制御するための制御データなどを記憶している。紙葉類受取部303は、証紙類を貼付された紙葉類を受け取る。計量部304は、紙葉類受取部303によって受け取られた紙葉類の重量を計量する。
【0085】
識別部305は、主に、上述した証紙類識別装置100によって構成され、紙葉類に貼付されている証紙類のカテゴリを識別する。押印部306は、制御部301による制御に基づいて、紙葉類の重量に対して識別した証紙類の金額が適正である場合に、証紙類に押印する。
【0086】
紙葉類排出部307は、押印部306によって証紙類に押印された紙葉類を排出する。リジェクト部308は、押印部306によって証紙類に押印されなかった紙葉類、すなわち紙葉類の重量に対して識別した証紙類の金額が適正でない紙葉類を排出する。
【0087】
次に、この押印装置に適用される押印方法において、図14に示したようなフローチャートを参照して説明する。
【0088】
すなわち、図14に示すように、制御部301は、紙葉類受取部303からの出力信号に基づいて、紙葉類を受け取ったか否かを判断する(ST31)。制御部301は、紙葉類受取部303が紙葉類を受け取ったと判断したのに基づいて(ST31、Y)、計量部304を制御して、紙葉類の重量を計量する(ST32)。
【0089】
続いて、制御部301は、識別部304を制御して、紙葉類に貼付されている証紙類のカテゴリを識別する(ST33)。識別部304は、上述したような方法に基づいて証紙類を識別し、識別結果を制御部301に出力する。
【0090】
続いて、制御部301は、計量部304によって計量された紙葉類の重量と、識別部305から出力された証紙類の識別結果とに基づいて、紙葉類の重量に対して証紙類の金額が適正であるか否かを判別する(ST34)。
【0091】
制御部301は、紙葉類の重量に対して証紙類の金額が適正であると判別した場合には(ST35、Y)、押印部306を制御して、紙葉類に貼付されている証紙類に押印する(ST36)。そして、制御部301は、紙葉類排出部307から押印処理された紙葉類を排出する(ST37)。
【0092】
制御部301は、紙葉類の重量に対して証紙類の金額が適正ではないと判別した場合には(ST35、N)、押印部306による押印処理を行うことなく、リジェクト部308から紙葉類を排出する(ST38)。
【0093】
以上説明したように、上述した押印装置及び押印方法によれば、紙葉類の重量を計量した上で、紙葉類に貼付されている証紙類の種類をその貼り方や不良の有無に係わらず高精度に識別することにより、紙葉類の重量に対する証紙類の金額が適正であるか否かを正確に判別することが可能となる。これにより、証紙類に対する押印処理を正確に行うことが可能となる。
【0094】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において種々変形可能なことは勿論である。上述した実施の形態では、紙葉類上に1枚の証紙類が貼付された場合について説明したが、紙葉類上に複数枚の証紙類が貼付されている場合であってもこの発明を適用できることは言うまでもない。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、証紙類を高い精度で正確に識別することが可能な証紙類識別装置及び証紙類識別方法を提供することができる。また、この発明によれば、証紙類を高い精度で正確に識別することが可能な証紙類識別装置を備えた押印装置及び押印方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係る証紙類識別装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示した撮像部が撮像した紙葉類に対応する画像の一例を示す図である。
【図3】図3は、図1に示した画像データ記憶部に記憶される画像データの配置例を示す図である。
【図4】図4は、図1に示した画像データ記憶部に記憶される画像データの明度データの配置例を示す図である。
【図5】図5は、図1に示した紙葉類領域切り出し部が紙葉類の位置を決めるためのデータの配置と、縦方向及び横方向の画素累積データの一例を示す図である。
【図6】図6は、図1に示した紙葉類領域切り出し部が求める紙葉類の4隅の点を示す概念図である。
【図7】図7は、図1に示した証紙類領域切り出し部が検出する紙葉類の明度データを求める画素の位置の一例を示す図である。
【図8】図8は、図1に示した証紙類領域切り出し部が証紙類の位置を決めるためのデータの配置と、縦方向及び横方向の画素の累積データの一例を示す図である。
【図9】図9は、図1に示した証紙類領域切り出し部が求める証紙類の外接矩形領域を規定する4隅の点及び不良検知部が求める証紙類の4隅の点を示す概念図である。
【図10】図10の(a)は、図1に示した辞書データ記憶部に記憶される第1辞書データの一例を示す図であり、図10の(b)ないし(d)は、第2辞書データの一例を示す図である。
【図11】図11は、図1に示したパターンマッチング部の構成を概略的に示す図である。
【図12】図12は、図1に示した証紙類識別装置に適用される証紙類識別方法を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、この発明に係る押印装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図14】図14は、図13に示した押印装置に適用される押印方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
100…証紙類識別装置、101…制御部、102…メモリ部、103…撮像部(読取手段)、104…画像入力部(取得手段)、105…画像データ記憶部、106…紙葉類領域切り出し部、107…証紙類領域切り出し部(抽出手段)、108…不良検知部(検知手段)、109…前処理部、110…辞書データ記憶部(記憶手段)、111…パターンマッチング部(識別手段)、112…識別結果出力部(出力手段)、P…紙葉類、201…証紙類、300…押印装置、301…制御部(判別部)、302…メモリ部、303…紙葉類受取部、304…計量部、305…識別部、306…押印部、307…紙葉類排出部、308…リジェクト部。

Claims (2)

  1. 識別対象となる証紙類の表面全域に対応した第1辞書データ、及び、前記証紙類を複数領域に分割した部分的な第2辞書データを記憶した記憶手段と、
    紙葉類に証紙類が正常に貼付されているか否かを検知する検知手段と、
    前記検知手段により前記証紙類が前記紙葉類に正常に貼付されていることを検知した場合に前記記憶手段に記憶した前記第1辞書データに基づいて前記証紙類を識別するとともに、前記検知手段により前記証紙類が前記紙葉類に正常に貼付されていないことを検知した場合に前記記憶手段に記憶した前記第2辞書データに基づいて前記証紙類を識別する識別手段と、
    を備えたことを特徴とする証紙類識別装置。
  2. 紙葉類を計量する計量部と、
    前記紙葉類に貼付された証紙類を識別する識別部と、
    前記計量部で計量された前記紙葉類の重量に対して、前記識別部で識別された前記証紙類の金額が適正であるか否かを判別する判別部と、
    前記判別部で適正であると判別された前記紙葉類の前記証紙類に対して押印する押印部と、を備え、
    前記識別部は、
    識別対象となる証紙類の表面全域に対応した第1辞書データ、及び、前記証紙類を複数領域に分割した部分的な第2辞書データを記憶した記憶手段と、
    紙葉類に証紙類が正常に貼付されているか否かを検知する検知手段と、
    前記検知手段により前記証紙類が前記紙葉類に正常に貼付されていることを検知した場合に前記記憶手段に記憶した前記第1辞書データに基づいて前記証紙類を識別するとともに、前記検知手段により前記証紙類が前記紙葉類に正常に貼付されていないことを検知した場合に前記記憶手段に記憶した前記第2辞書データに基づいて前記証紙類を識別して、前記証紙類の金額を識別する識別手段と、
    を備えたことを特徴とする押印装置。
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