JP4662110B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター等に使用される定着装置を備えた画像形成装置に関し、特には熱空気によりシート材のトナー担持体面を融解させて定着する定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に示すように熱融解性の粉体トナーを担持したシート材を上面に沿って搬送させる搬送板2と、この搬送板2の上面を覆うように下方が解放された空間を画成するカバー3と、空間内に設けられこの空間内を温度制御手段20によって所定の温度にカバー3内の空気を加熱するヒータ4と、このヒータ4を介在して送風し、これにより生じる熱空気をシート材のトナー担持体面に供給する送風手段5とを有する定着装置1が知られる。
【0003】
上述したヒータ4は、シート材の搬送路6に沿って所定幅にわたり互いに離間した複数の面状ヒータ7が設けられ、これら面状ヒータ7は通過するシート材の面に対して交差する方向に加熱面を有するように配置されており、これら面状ヒータ7の面に沿って流れるように送風手段5によって送風し、それにより生じる熱空気をカバー2内で環流させて搬送されるシート材上に担持したトナー画像を溶融して定着している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した還流型の定着装置1において、カバー3内の温度を検知するセンサ8の信号に基づいて温度制御手段20がカバー内を所定の温度となるように制御している。シート材に担持されたトナーはヒータ4から供給される熱空気と、搬送板2に蓄熱した熱とによってシート材に定着される。カバー内の幅方向の温度分布は、シート材の搬送方向に対して横切る方向に対して送風手段の風を横方向に振り分けるフィンなどを設けることにより定着装置の幅方向に対して安定した状態を保つことができ、温度制御を容易に行うことができる。
しかしながら大判サイズの画像を連続して行った場合、搬送板2に蓄熱された温度が次々に搬送されるシート材に奪われてしまい、充分にシート材を加熱することができず、カバー3内に設けたセンサ8が所定の温度に達しているにもかかわらず定着不良を起こしてしまう場合が生じる。
【0005】
このような問題を解決するために、予めカバー内の温度を高く設定して定着を行えば良いが、ヒータにかかる消費電力が増加してしまったり、熱のかかりすぎによってトナーを担持したシート材の部分に光沢が発生したり、シート材の過度の収縮によってしわが生じてしまう。また、過度の定着装置のカバー内の熱により定着装置に近接する部分の機内温度を上昇させてしまう結果となり、像担持体やLEDヘッドなどの露光装置に悪影響を及ぼしてしまう。
【0006】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成により必要最小限の電力で安定した定着を行うことができる定着装置を備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明は、シート材のトナー担持体面を上面に沿って搬送させる搬送板と、この搬送板の上面を覆うように下方が解放された空間を画成するカバーと、カバー内に設けられカバー内の空気を加熱するヒータと、このヒータを介在して送風し、これにより生じる熱空気をシート材のトナー担持体面に供給する送風手段と、熱空気の温度を所定の温度となるようにヒータを制御する温度制御手段とを有する定着装置を備えた画像形成装置において、搬送板の温度を検知する温度センサと、画像形成中に温度センサに基づいて搬送板の温度が所定の温度以下となった場合に次の画像形成の動作を制御する制御手段とを有し、温度制御手段は、カバー内の熱空気の温度を第1の設定温度に制御しており、画像形成時にシート材の通過により搬送板の熱が奪われて搬送板の温度が第1の温度から第2の温度に下がったことを温度センサが検知した場合に、温度制御手段がカバー内の熱空気の温度を第1の設定温度から第2の設定温度となるように変化させ、更に搬送板の温度が画像形成時にシート材の通過によって搬送板の熱が奪われて第2の温度から第3の温度に下がったことを温度センサが検知した場合に、次の画像形成の動作を停止させ、搬送板の温度がヒータによって加熱され第1の温度と第2の温度との間に設定された第4の温度に達した場合に、温度制御手段がカバー内の熱空気の温度を第2の設定温度から第1の設定温度に戻し且つ次の画像形成を再開可能とすることを特徴とする。
【0011】
また、前記シート材はそのサイズの大きさにかかわらず幅方向中央揃えで搬送され、前記温度センサは、前記搬送板の前記幅方向中央部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に本発明による画像形成装置に備えられた定着装置1の概略側断面図を示す。
定着装置1は、シート材のトナー担持体面を上面に沿って搬送させる搬送板2と、搬送板2の上面を覆うように下方が解放された空間を画成するカバー3と、カバー3内に設けられカバー3内の空気を加熱するヒータ4と、ヒータ4を介在して送風し、これにより生じる熱空気をシート材のトナー担持体面に供給する送風手段5と、熱空気の温度を所定の温度となるようにヒータ4を制御する温度制御手段20と、搬送板2の温度を検知する温度センサ9と、画像形成中に温度センサ9に基づいて搬送板2の温度が所定の温度以下となった場合に次の画像形成の動作を制御する制御手段21とを有する。
【0014】
搬送板2は、最大サイズのシート材の幅方向より長い幅を有する平板状の金属板よりなり、定着装置の前段に設けられシート材を吸引しながら搬送する吸引搬送ベルト10により搬送板2にシート材を案内し、定着装置の後段に設けた排出ローラ対11によって定着後のシート材を搬送板2から装置外部に搬送している。このためシート材は、搬送板2の上面を滑るようにして移動し、吸引搬送ベルト10あるいは排出ローラ対11の搬送力によって搬送される。
【0015】
搬送板2は、搬送板2の厚みが厚すぎると所定温度までの昇温に時間がかかるが、搬送板2の蓄熱性が良好でシート材の通過が続いても温度の低下率が小さくなる。また、搬送板2の厚みが薄いと、所定の温度までの昇温時間が短くなるが、蓄熱性に欠けるため温度の低下率が大きくなってしまう。従って搬送板2の厚みに関しては搬送板2の昇温性および蓄熱性のいずれもが好適になるように適宜に設定され、実施例においては1.0mm〜2.0mmの厚みの搬送板2を好適に用いているが、この厚みに限定はない。
また、搬送板2の下方には、蓄熱された熱が定着装置1の外部に逃げるのを防止するため、図示するように間に空気層または断熱材層を設けた二重構造22となっている。
【0016】
カバー3は、シート材の通路を挟んで搬送板2の上面を覆うように設けられ、搬送板2に対向して解放された空間を有しており、周囲の壁により空間を形成するような箱状体よりなる。カバー3の各壁は、カバー3内で発生する熱が定着装置1の外部に逃げるのを防止するため、図示するようにカバー3とカバー3を覆う箱状の断熱部材24との間に空気層または断熱材層を設けた二重構造23となっている。
【0017】
送風手段5は、カバー3内に配置されており、シート材の最大サイズをカバーする幅を有するクロスフローファンが好適に用いられる。クロスフローファンは、シート材の搬送方向に直交する方向に軸を設け、軸中心に半径方向複数の羽根を円周上に設け、軸を回転させて送風口13から送風している。送風手段5はシート材の通過時にカバー内で熱空気の環流が起こるような位置に設けられ、実施例においては、定着装置1のシート材の出口側に設けられ、シート材の搬送方向に対して反対の方向に熱空気を送風する位置に設けられている。
【0018】
ヒータ4は、シート材の搬送方向に直交する方向に互いに離間して配置した複数の面状ヒータ7よりなり、これら面状ヒータ7は通過するシート材の面に対して交差する方向に加熱面を有するように配置されている。ヒータ4は、上部分と下部分が解放された着脱自在のユニット15内に設けられている。
これら面状ヒータ7が加熱されると、面状ヒータ7の周りの空気が熱せられ、この熱空気は熱対流によってカバー3の上壁に向かって上昇する。この熱空気は送風手段5の送風によって矢印D方向に運ばれ、面状ヒータ7aとガイド16との間を通過して、搬送路を通過するシート材あるいは搬送板2に吹き当てる。シート材または搬送板に吹き当てられた熱空気は、送風手段5の空気取り入れ口14から取り入れられ、再度送風口13から送風され、カバー3内を還流している。
好ましくは、送風手段5からの送風の量によっては定着装置のシート材の入口付近の面状ヒータ7の間から熱空気を下方に向かって導かれるようにしても良い。
また、ガイド16は効率よく環流するために傾斜させることが好ましい。
面状ヒータ7はリボン状のニクロムヒータが好適に使用される。
熱空気はシート材の進行方向に沿って上方から斜めに当たることとなり、シート材を搬送板に押しつけるように吹き当てている。
【0019】
温度制御手段20は、カバー3内の温度を検知するセンサ8を備えている。センサ8はガイド16の下方であって定着装置の幅方向ほぼ中央部に設けられていることが好ましい。このセンサ8がカバー3内の温度を検知して、この検知信号に基づいてカバー3内を所定の温度となるように温度制御手段がヒータ4をオンオフして制御している。センサ8はサーミスタが用いられている。
【0020】
一方、シート材は、サイズが異なっても中央揃えで搬送されるように設けられている。このため、前述した温度センサ9は、シート材の通過による搬送板2の温度を一定の条件で検知できるように、搬送板2の下側であってシート材の搬送方向に直交する方向のほぼ中央部に設けられている。
【0021】
制御手段21は、画像形成によってシート材が搬送板2の上を通過するに伴って、搬送板2で奪われれていく温度を温度センサ9が検知し、この温度が所定の温度以下となったときに、次の画像形成の動作を制御している。例えば画像形成の動作を停止させるように設けている。
画像形成は周知の方法が用いられ、帯電、露光、現像、転写の各工程を経てシート材にトナーを担持させて定着して永久画像を形成するものであり、画像形成の動作を停止させることは、定着装置の搬送板が所定の温度に達したときにいつでも画像形成が行える待機状態を示す。例えば、搬送板が所定の温度に達した場合には、オペレータが再スタートボタンを押すことにより、シート材が帯電、露光、現像、転写、定着の工程を経て画像を形成する。
【0022】
更に図2に基づいて定着装置内の温度制御について詳細に説明すると、温度制御手段20は、例えば200°Cに設定された第1の設定温度T1になるようにカバー3内の温度を制御している。画像形成の準備がなされた待機状態において搬送板2の温度は180°Cの第1の温度D1を示している。
カバー3内の温度T1を維持させることにより、シート材が存在しないため、熱空気が直接に搬送板2を加熱させて昇温させ、搬送板2の温度センサは180°C(D1)に達する。
【0023】
次いで例えば大判サイズの多量の連続コピーを行うことにより除々に搬送板2の温度が通過するシート材に熱を奪われて下がり、搬送板の温度が180°Cの第1の温度D1から130°Cの第2の温度D2に下がったことを温度センサが検知した場合に、温度制御手段20は200°Cの第1の設定温度T1から210°Cの第2の設定温度T2となるように上昇させる。この制御によりカバー内の温度は上昇し、シート材に熱空気を供給して定着させ、搬送板2の温度低下の勾配をなだらかにする。
【0024】
搬送板2の温度は除々に下がってしまい、更に搬送板2の温度が130°Cの第2の温度D2から110°Cの第3の温度D3に下がったことを温度センサ9が検知した場合に、次の画像形成の動作を停止させるように制御手段21が制御する。
【0025】
画像形成の動作を停止させることにより、再び熱空気により搬送板が直接に暖められて蓄熱され、搬送板2の温度が第1の温度D1と第2の温度D2との間に設定された150°Cの第4の温度D4に達した場合に温度制御手段20がカバー3内の温度を210°Cの第2の設定温度T2から200°Cの第1の設定温度T1に戻し且つ次の画像形成を再開可能とする。その後、自動的に画像形成が再開される。あるいは、オペレータによって再スタートボタンを押すことにより画像形成が再開される。
【0026】
【発明の効果】
本発明の定着装置は、カバー内の温度を制御する温度制御手段に加え、搬送板の温度を検知する温度センサと、この温度センサに基づいて搬送板の温度が所定の温度以下となった場合に次の画像形成の動作を制御させる制御手段とを設けたという極めて簡単な構成により、シート材を確実に定着させることができ、最小限の電力により機内の昇温を抑えた定着装置を提供することができる。
【0027】
また、温度制御手段は、カバー内の温度が第1の設定温度になるように制御されており、搬送板の温度が第1の温度から第2の温度に下がったことを温度センサが検知した場合に、温度制御手段が第2の設定温度となるように上昇させ、更に搬送板の温度が第2の温度から第3の温度に下がったことを温度センサが検知した場合に、次の画像形成の停止を制御させ、搬送板の温度が前記第1の温度と前記第2の温度との間に設定された第4の温度に達した場合に温度制御手段が前記第2の設定温度から第1の設定温度に戻し且つ次の画像形成を再開可能とすることにより、連続コピーを形成する場合であっても短時間で停止することなく画像形成を行うことができる。
【0028】
更に、搬送板の熱が最も奪われる中央部の位置にセンサを設けることによりシート材のサイズに係わらず確実な温度の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による画像形成装置に備えられている定着装置を示す概略側断面図。
【図2】 定着温度の制御の一例を示す図。
【図3】 従来の画像形成装置に備えられている定着装置を示す概略側断面図。
【符号の説明】
1 定着装置
2 搬送板
3 カバー
4 ヒータ
8 センサ
9 検知センサ
16 ガイド
20 温度制御手段
21 制御手段

Claims (2)

  1. シート材のトナー担持体面を上面に沿って搬送させる搬送板と、この搬送板の上面を覆うように下方が解放された空間を画成するカバーと、前記カバー内に設けられ前記カバー内の空気を加熱するヒータと、このヒータを介在して送風し、これにより生じる熱空気を前記シート材のトナー担持体面に供給する送風手段と、前記熱空気の温度を所定の温度となるように前記ヒータを制御する温度制御手段とを有する定着装置を備えた画像形成装置において、前記搬送板の温度を検知する温度センサと、画像形成中に前記温度センサに基づいて前記搬送板の温度が所定の温度以下となった場合に次の画像形成の動作を制御する制御手段とを有し、
    前記温度制御手段は、前記カバー内の熱空気の温度を第1の設定温度に制御しており、画像形成時に前記シート材の通過により前記搬送板の熱が奪われて前記搬送板の温度が第1の温度から第2の温度に下がったことを前記温度センサが検知した場合に、前記温度制御手段が前記カバー内の熱空気の温度を前記第1の設定温度から第2の設定温度となるように変化させ、更に前記搬送板の温度が前記画像形成時に前記シート材の通過によって前記搬送板の熱が奪われて前記第2の温度から第3の温度に下がったことを前記温度センサが検知した場合に、次の画像形成の動作を停止させ、前記搬送板の温度が前記ヒータによって加熱され前記第1の温度と前記第2の温度との間に設定された第4の温度に達した場合に、前記温度制御手段が前記カバー内の熱空気の温度を前記第2の設定温度から前記第1の設定温度に戻し且つ前記次の画像形成を再開可能とすることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記シート材はそのサイズの大きさにかかわらず幅方向中央揃えで搬送され、前記温度センサは、前記搬送板の前記幅方向中央部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000259039A (ja) * 1999-03-10 2000-09-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 定着装置
JP2000305384A (ja) * 1999-04-20 2000-11-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd 定着装置
JP2001147621A (ja) * 1999-11-18 2001-05-29 Nec Niigata Ltd 画像記録装置、画像記録システム及びそのプログラムを記憶した記憶媒体。

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