本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
<構成について>
はじめに、図1〜図6を用いて、本発明の実施の形態1に係る文書処理装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態1に係る文書処理装置100の外観の一例を示す図である。文書処理装置100は、文書データの編集機能を有する携帯型の処理装置である。
文書処理装置100の筐体の前面には、文書データを表示するための表示部102および、ユーザからの入力を受け付けるためのキーボード104aが設けられる。
表示部102は、たとえば液晶により構成される。キーボード104aを操作することによって、ユーザはたとえば、後述するような、文書データを指定(選択)するための指示(以下「文書指定指示」という)、文字を指定するための指示(以下「文字指定指示」という)、編集対象となる文字列の範囲(以下「文字列範囲」という)を指定するための指示(以下「文字列範囲指定指示」という)および指定された文字列範囲に対して所定の編集を実行するための指示(以下「編集指示」という)などを入力することができる。
なお、本実施の形態において、「文字列」とは、1以上の文字および/または1以上の記号等をいうものとする。
また、文書処理装置100の筐体の側面には、記録媒体1032bが挿入される記録媒体挿入口1032cが設けられている。この記録媒体挿入口1032cに挿入された記録媒体1032bから、文書処理装置100での編集処理の対象となる文書データが読み出されてもよい。
キーボード104aは、指示を入力するための複数のキーを含む。本実施の形態においては、たとえば、上下左右にカーソルを移動させるためのカーソルキー1041〜1044およびシフト(Shift)キー1045を少なくとも含み、好ましくは、コントロール(Ctrl)キー1046、文字を入力するための文字キー、テンキーなどをさらに含む。キーボード104aは、一般的なPC(Personal Computer)で用いられるようなキーボードであってよい。
(機能構成)
図2は、本発明の実施の形態1における文書処理装置100の機能ブロック図である。
図2を参照して、文書処理装置100は、文書処理装置100で用いる文書データの入力および/または文書処理装置100で処理された文書データの出力を行なうための入出力部103と、ユーザからの指示の入力を受付けるための指示入力部104と、上記した表示部102と、後述する範囲指定処理(文字列範囲を指定するための処理)に関する情報(以下「範囲指定情報」という)を記憶するための範囲指定情報記憶部112と、制御部101とを備える。指示入力部104は、図1に示したキーボード104aを含む。
制御部101は、指示内容解析部111、文書データ処理部105、レイアウト計算部106、文字指定部107、範囲指定制御部108、編集処理部109および表示制御部110を含む。
指示内容解析部111は、指示入力部104が受け付けたユーザからの指示の内容を解析する。ユーザからの指示の具体例としては、上述したとおり、文書指定指示、文字指定指示、文字列範囲指定指示および編集指示などが挙げられる。指示内容解析部111は、解析結果に応じて、文書データ処理部105、文字指定部107、範囲指定制御部108および編集処理部109に対して指示を与える。
ここで、図3を用いて、本実施の形態において、指示入力部104に含まれるキーボード104aのキーに割り当てられた指示内容の具体例について説明する。この図において、キーの種類71と指示内容72とが各々対に示されている。たとえば、キーの種類71が‘右方向のカーソルキー1042’に対応する指示内容72は、‘文字指定(右方向に移動)’であり、キーの種類71が‘左方向のカーソルキー1041’に対応する指示内容72は、‘文字指定(左方向に移動)’である。また、キーの種類71が‘シフトキー1045および右方向のカーソルキー1042’に対応する指示内容72は、‘文字列範囲指定(範囲増大)’であり、キーの種類71が‘シフトキー1045および左方向のカーソルキー1041’に対応する指示内容72は、‘文字列範囲指定(範囲減少)’である。また、キーの種類71が‘コントロールキー1046および英字「C」キー1047’に対応する指示内容72は、‘編集(コピー)’である。なお、‘文字列範囲指定(範囲増大)’と‘文字列範囲指定(範囲減少)’とは、同じ文字列範囲指定指示であっても、指示内容が異なることを表わす。後述するように、この2種類の文字列範囲指定指示によって、範囲指定処理が実現される。
再び図2を参照して、指示内容解析部111は、ユーザからの指示が文字列範囲指定指示である場合に、さらに、今回の指示が初回であるか否かを解析する。つまり、前回の指示(直前の指示)が文字列範囲指定指示とは異なる指示であれば、初回であると判定し、前回の指示も文字列範囲指定指示であれば、初回でないと判定する。
また、指示内容解析部111は、ユーザからの指示が文字列範囲指定指示である場合であって、今回の指示が2回目以上である場合には、さらに、今回の指示内容が前回の指示内容と同一であるか否かを解析する。つまり、たとえば、前回の指示内容が‘文字列範囲指定(範囲増大)’であった場合、今回の指示内容も‘文字列範囲指定(範囲増大)’であるか否かを判断する。
文書データ処理部105は、指示内容解析部111の解析結果に基づいて、入出力部103を制御して文書データを読み出す処理を行なう。より具体的には、指示内容解析部111によってユーザからの指示が文書指定指示であると解析された場合に、たとえば、入出力部103に含まれる後述するドライブ装置1032aを制御して、記録媒体1032bに記録されている文書データを読み出す処理を行なう。
レイアウト計算部106は、文書データ処理部105によって読出された文書データに基づいて、表示部102の表示画面における表示レイアウトを計算する。
文字指定部107は、指示内容解析部111の解析結果に基づいて、表示中の文書から文字(1文字)を指定する処理を行なう。より具体的には、指示内容解析部111によってユーザからの指示が文字指定指示であると解析された場合に、表示中のカーソルを移動させて文字を指定する処理を行なう。
範囲指定制御部108は、指示内容解析部111の解析結果に基づいて、文字列範囲を指定するための制御を行なう。より具体的には、指示内容解析部111によってユーザからの指示が文字列範囲指定指示であると解析された場合に、文字列範囲を指定するための制御を行なう。本実施の形態において、範囲指定制御部108は、範囲変更部1083、範囲解析部1085および単位変更部1086を含む。
範囲変更部1083は、指示の内容(文字列範囲指定指示の内容が範囲増大または範囲減少のうちいずれであるか)および後述する範囲変更量に基づいて、文字指定部107により指定された文字を基準として、文字列範囲を変更(増減)させる処理を行なう。「範囲変更量」とは、文字列範囲を増大または減少させる際の(変更量の)単位をいう。本実施の形態においては、複数の範囲変更量、好ましくは、大きさの異なる複数の範囲変更量が予め定められる。複数の範囲変更量の具体例については、後に説明する。
なお、本実施の形態では、2つのキーそれぞれに固定的に範囲増大および範囲減少の指示が割り当てられるものとしたが、次のような方法で文字列範囲の変更を行なってもよい。すなわち、文字列範囲指定指示が初回か否か、および、今回の指示内容と前回の指示内容とが同一であるか否かに基づいて、文字列範囲の変更方向が設定されてもよい。たとえば、指示内容解析部111によって、文字列範囲指定指示が初回であると解析された場合に、文字列範囲の変更方向を増大方向(範囲増大)に設定する。また、指示内容解析部111により、文字列範囲指定指示が2回目以上であり、かつ、前回の指示内容とは異なると解析された場合には、前回の方向とは異なる方向に、変更方向を設定する。このようにすることにより、はじめに文字列範囲指定指示が入力された場合には、必ず文字列範囲が増大方向に変更される(つまり、文字列範囲が増大される)ため、ユーザは、変更方向を意識することなくキー操作を行なうことができる。
範囲解析部1085は、前回すなわち直前に、範囲変更部1083による変更処理が行なわれた後の文字列範囲(以下「特定文字列範囲」という)を解析する。範囲解析部1085は、特定文字列範囲に、前回の範囲変更処理で用いられた範囲変更量よりも大きな範囲変更量(たとえば1段階大きな範囲変更量)が含まれるか否かを解析する。範囲解析部1085は、指示内容解析部111により今回の指示内容が前回の指示内容と同一であると判断された場合に、このような解析を行なうことが好ましい。
ここで、「前回の範囲変更処理で用いられた範囲変更量」とは、範囲変更部1083において直前に用いられた単位を表わし、つまりは、現状設定されている範囲変更量を表わす。なお、このような範囲変更量を、以下「現状の範囲変更量」という。したがって、範囲解析部1085は、特定文字列範囲に、現状の範囲変更量よりも大きな範囲変更量が含まれるか否かを解析する。なお、より具体的には、範囲解析部1085は、特定文字列範囲に、現状の範囲変更量よりも大きな範囲変更量に対応する文字列、すなわち、現状の範囲変更量よりも大きな範囲変更量の判定基準となる文字列(1以上の文字および/または1以上の記号)が含まれるか否かを解析する。
単位変更部1086は、範囲変更量を変更する。単位変更部1086は、今回の指示内容が前回の指示内容と同一でないと判断された場合に、現状の範囲変更量を、現状の範囲変更量よりも小さな範囲変更量(たとえば1段階小さな範囲変更量)に変更する。また、範囲解析部1085により、特定文字列範囲に、現状の範囲変更量よりも大きな範囲変更量が含まれると判断された場合に、現状の範囲変更量を(1段階)大きな範囲変更量に変更する。
上記した範囲変更部1083は、単位変更部1086による変更後の範囲変更量を用いて、さらに、文字列範囲の増減を行なう。
編集処理部109は、指示内容解析部111によってユーザからの指示が編集指示であると解析された場合に、範囲指定制御部108によって指定された文字列範囲に含まれる文字列(以下、「指定文字列」ともいう)に対して、所定の編集、たとえば、移動,コピー,削除などの処理を行なう。
表示制御部110は、表示部102の表示を制御する。たとえば、レイアウト計算部106で計算されたレイアウトに基づいて、文書を表示部102に表示する制御を行なう。また、文字指定部107、範囲指定制御部108の範囲変更部1083、および、編集処理部109からの信号に基づいて、文書の表示を制御する。
範囲指定情報記憶部112には、範囲変更量データ21および指示内容データ22が格納される。これらのデータの詳細を、以下に説明する。
(範囲変更量データの詳細)
図4に、本発明の実施の形態1における範囲変更量データ21の構造例を示す。図4(a)を参照して、範囲変更量データ21は、複数の範囲変更量情報エリア40を含む。範囲変更量情報エリア40は、各範囲変更量の情報を記録するエリアである。
各範囲変更量情報エリア40は、単位エリア40aと、現状設定エリア40bとを含む。単位エリア40aは、各々の範囲変更量の情報を記録するエリアである。現状設定エリア40bは、同じ範囲変更情報エリア40に含まれる単位エリア40aに記録されている範囲変更量が、文書処理装置100において、現状の範囲変更量として設定されているかどうかを示す情報を記録するエリアである。
本実施の形態では、単位エリア40aとして、5byteの記憶領域が確保され、現状設定エリア40bとして、1byteの記憶領域が確保されている。なお、これらの記憶領域の大きさは特に限定されるものではない。
ここで、範囲変更量データ21の具体的な内容例について説明する。図4(b)は、範囲変更量データ21の内容例を示す図である。図4(b)において、範囲変更量データ21には、範囲変更量情報(第1)エリア41,…,範囲変更量情報(第5)エリア45,…が含まれ、それぞれのエリアには、大きさの異なる複数の範囲変更量の情報が記録される。ここでは、範囲変更量情報(第1)エリア41に最も小さい範囲変更量の情報が記録される。範囲変更量情報エリア42,…には、それ以降、順に1段階ずつ大きな範囲変更量の情報が記録される。
範囲変更量情報(第1)エリア41には、単位エリア41a、現状設定エリア41bが含まれている。単位エリア41aには、「文字」情報(範囲変更量が文字であることを示す情報)が記録されている。この図において、現状設定エリア41bには「○」が記録されている。このことは、範囲変更量「文字」が、現状の範囲変更量として設定されていることを意味する。つまり、「○」は、現状の範囲変更量を特定するための情報である。
範囲変更量情報(第2)エリア42には、単位エリア42a、現状設定エリア42bが含まれている。単位エリア42aには「単語」情報(範囲変更量が単語であることを示す情報)が記録されている。現状設定エリア42bには「−」が記録されている。ここで、「−」は現状の範囲変更量として「単語」が設定されていないことを意味する。
範囲変更量情報(第3)エリア43には、単位エリア43a、現状設定エリア43bが含まれている。単位エリア43aには「文」情報(範囲変更量が文であることを示す情報)が記録されている。現状設定エリア43bには「−」が記録されている。ここで、「−」は現状の範囲変更量として「文」が設定されていないことを意味する。
範囲変更量情報(第4)エリア44には、単位エリア44a、現状設定エリア44bが含まれている。単位エリア44aには「段落」情報(範囲変更量が段落であることを示す情報)が記録されている。現状設定エリア44bには「−」が記録されている。ここで、「−」は現状の範囲変更量として「段落」が設定されていないことを意味する。
範囲変更量情報(第5)エリア45には、単位エリア45a、現状設定エリア45bが含まれている。単位エリア45aには「章」情報(範囲変更量が章であることを示す情報)が記録されている。現状設定エリア45bには「−」が記録されている。ここで、「−」は現状の範囲変更量として「章」が設定されていないことを意味する。
以降、同様の情報が記録されてよい。なお、以下においては、説明を簡単にするために、上記した5つの範囲変更量が予め設定されているものとする。
範囲変更部1083は、現状設定エリアに「○」が記録された範囲変更量に基づいて、文字列範囲の変更を行なう。この際、範囲変更部1083は、各範囲変更量に応じて、たとえば次のようにして文字列範囲の変更を行なう。すなわち、範囲変更量が「文字」および「単語」の場合、範囲変更部1083は、それぞれ予め「文字」用および「単語」用として登録されたデータと比較する。そして、登録データと一致した文字列(文字、記号等を含む)の分、文字列範囲の増大または減少を行なう。また、範囲変更量が「文」の場合、範囲変更部1083は、句読点の「。」を基準に、文字列範囲の増大または減少を行なう。また、範囲変更量が「段落」の場合、範囲変更部1083は、改行記号を基準に、文字列範囲の増大または減少を行なう。範囲変更量が「章」の場合、空白行を基準に、文字列範囲の増大または減少を行なう。なお、文字列範囲の増減の基準は、このような例に限定されるものではなく、公知の技術を用いることができる。
(指示内容データの詳細)
図5は、本発明の実施の形態1における指示内容データ22の内容例を示す図である。図5を参照して、指示内容データ22は、現状の(前回の)指示内容を特定するための情報であり、たとえば、指示内容エリア51と現状設定エリア52とで構成される。指示内容エリア51には、2種類の指示内容すなわち範囲増大および範囲減少それぞれを特定するための識別データが予め格納される。現状設定エリア52には、それぞれの識別データに対して「○」または「−」が記録される。現状設定エリア52において、「○」は、現状の指示内容であることを示す情報であり、「−」は、現状の指示内容でないことを示す情報である。これにより、指示内容解析部111は、前回の指示内容を特定することができる。たとえば、指示内容エリア51の「範囲増大」に対応するエリア52.1に「○」が記録されていれば、前回の指示内容が「範囲増大」であることが分かる。
なお、現状設定エリア52には、いずれか一方が「○」か、または、両方が「−」のどちらかの情報が記録される。
(ハードウェア構成)
図6は、本発明の実施の形態1に係る文書処理装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6を参照して、文書処理装置100は、各種演算および制御を行なうための演算処理装置たとえばCPU(Central Processing Unit)101A、範囲指定情報記憶部112を含む不揮発性のメモリ、たとえばフラッシュメモリ112A、上記した表示部102、指示入力部104および入出力部103を備える。
フラッシュメモリ112Aには、さらに、文書処理装置100が動作する上で必要とされるプログラムや各種データが含まれる。
入出力部103は、記録媒体1032bからのデータの読み出しおよび書き込みが可能なドライブ装置1032a、ネットワーク1031bを介して外部装置(図示せず)と通信するための通信I/F1031aおよび情報処理装置1033bと接続するためのたとえばUSB(Universal Serial Bus)I/F1033aを含む。なお、これらの全てを含む必要はなく、これらのうちいずれか1つを含むものであってもよいし、文書処理装置100が文書作成機能を備えている場合、これらを含まない構成であってもよい。
ネットワーク1031bは、文書処理装置100と、図示のない他のPCとを接続する。他のPCからネットワーク1031bを介して、文書処理装置100に、文書データが供給される。逆に、文書処理装置100で処理された文書データがネットワーク1031bを介して、他のPCに供給されてもよい。ネットワーク1031bは、たとえば、LAN(Local Area Network)やインターネットなどによって構成される。
記録媒体1032bは、文書処理装置100で用いる文書データを記録する。または、文書処理装置100で処理された文書データを記録するために用いられてもよい。記録媒体1032bとしては、データを記録することが可能なリムーバブルメディアであれば、どのような記録媒体を用いてもよい。
情報処理装置1033bは、文書処理装置100で処理された文書データを受けて処理するための装置である。逆に、情報処理装置1033bが、文書処理装置100で用いる文書データを文書処理装置100に供給してもよい。情報処理装置1033bは、たとえば、PCなどである。
制御部101が有する各機能ブロックは、CPU101Aが、フラッシュメモリ112Aに記憶されたプログラムを実行し、入出力部103、指示入力部104、表示部102、および範囲指定情報記憶部112などのハードウェアを制御することにより実現することができる。なお、制御部101が有する機能ブロックの少なくとも1つは、ハードウェアにより実現されてもよい。
なお、文書処理装置100の機能が、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)などを用いたコンピュータシステムで実現されてもよい。この場合においても、図6に示されるハードウェア構成と同様の構成で実現可能である。
たとえば、上記したハードウェアを有するコンピュータが、上記プログラムを記録したフラッシュメモリ112Aから当該プログラムを読み取り、当該プログラムを実行するだけで、制御部101の各種機能を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
このプログラムが記録される記憶媒体(以下「プログラムメディア」ともいう)としては、フラッシュメモリ112Aに限られず、たとえば図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)あるいはハードディスクであってもよい。また、たとえば、記録媒体1032bのように、ドライブ装置1032aによって読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、CPU101Aがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、CPU101Aがプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、たとえばフラッシュメモリ112Aのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め、ROM(図示せず)などに格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとして機能する着脱可能な記録媒体1032bは、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体などであってよい。
また、インターネットを含む通信ネットワーク1031bからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であってもよい。
さらに、このように通信ネットワーク1031bからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予めたとえばROM(図示せず)に格納しておくか、あるいは別な記録媒体1032bからインストールされるものであることが好ましい。
<動作について>
図7は、本発明の実施の形態1における文書処理装置100が実行する文書編集処理を示すフローチャートである。図7のフローチャートに示す処理は、予めプログラムとしてたとえばフラッシュメモリ112Aに格納されており、制御部101がこのプログラムを読み出して実行することにより、文書編集処理の機能が実現される。なお、以下に示す処理は、たとえば、文書処理装置100の電源が投入された場合、あるいは、電源投入後、ユーザにより文書編集メニューが選択された場合に開始されるものとする。
図7を参照して、始めに、範囲指定制御部108は、指示内容データ22を初期化し、範囲変更量データ21を初期設定する(ステップS2)。ステップS2において、範囲指定制御部108は、指示内容データ22における現状設定エリア52の全て(2つ)に「−」を記録する。また、範囲変更量データ21において、単位エリア41a〜45aに記録されている単位が一番小さな範囲変更量情報エリア41の現状設定エリア41bに、「○」を記録する。このように、文書編集処理開始の時点では、一番小さな範囲変更量が設定される。
次に、指示内容解析部111は、ユーザより、文書指定指示すなわち、表示すべき文書データを指定する指示が入力されたか否かを判断する(ステップS4)。文書データが指定されるまで待機する(ステップS4においてNO)。文書データが指定されたと判断すると(ステップS4においてYES)、文書データ処理部105は、ステップS4において指定された文書データを、入出力部103を介して読出す(ステップS6)。より具体的には、たとえば、記録媒体1032bからドライブ装置1032aを介して文書データが読出される。
次に、レイアウト計算部106は、文書データ処理部105によって読出された文書データを、表示部102に表示させる際の表示レイアウトを決定する(ステップS8)。次に、表示制御部110は、ステップS8において決定された表示レイアウトに基づいて、その内容を表示部102に表示する指示を行なう(ステップS10)。
続いて、指示内容解析部111は、ユーザから指示が入力されたか否かを判断する(ステップS12)。指示が入力されるまで待機する(ステップS12においてNO)。指示が入力されたと判断した場合(ステップS12においてYES)、指示内容解析部111は、その指示が何であるかを判定する(ステップS14)。ステップS14における解析の結果、入力された指示が「文字指定指示」である場合、ステップS16に進む。「文字列範囲指定指示」である場合、ステップS18に進む。「編集指示」である場合、ステップS42に進む。
ステップS16において、文字指定部107は、指示内容解析部111での解析結果に基づいて、文字の指定処理を行なう。すなわち、指定された文字の位置へカーソルを移動する処理を行なう。ステップS16の処理が終ると、ステップS10に戻る。したがって、表示部102に、カーソルの位置が表示される。
ステップS18において、指示内容解析部111は、文字列範囲指定指示が1回目の指示であるか否かを判断する。1回目の指示であると判断した場合(ステップS18においてYES)、ステップS34に進む。なお、1回目の指示であると判断された場合、指示内容データ22における、今回の指示内容に対応する現状設定エリア52.1または52.2が、「−」から「○」に書換えられる。これに対し、1回目の指示でないと判断された場合(ステップS18においてNO)、ステップS24に進む。
ステップS24において、指示内容解析部111は、さらに、今回の指示内容が前回と同じ指示内容か否かを判断する。前回と同じ指示内容であると判断した場合(ステップS24においてYES)、ステップS30に進む。一方、前回と同じ指示内容でないと判断した場合(ステップS24においてNO)、ステップS28に進む。
ステップS28において、単位変更部1086は、現状の範囲変更量を、1つ小さな範囲変更量に切替える。つまり、範囲変更量データ21の現状設定エリア40bにおいて、現状の範囲変更量に対応するエリアの情報を「○」から「−」に変更し、かつ、現状の範囲変更量よりも1段階小さな範囲変更量に対応するエリアの情報を「−」から「○」に変更する。また、同時に、指示内容データ22の現状設定エリア52の情報が、「○」から「−」に、かつ「−」から「○」に書換えられる。たとえば現状の(前回の)指示内容がたとえば範囲増大であった場合、指示内容が、範囲減少に書換えられる。ステップS28の処理が終ると、ステップS34に進む。
ステップS30において、範囲解析部1085は、文字列範囲は、現状の範囲変更量よりも1段階大きな範囲変更量を含むか否かを判断する。すなわち、特定文字列範囲(前回の増減処理(ステップS34)後の文字列範囲)に、現状の範囲変更量よりも1段階大きな範囲変更量が含まれているか否かが判断される。1段階大きな範囲変更量を含むと判断した場合(ステップS30においてYES)、ステップS32に進む。一方、1段階大きな範囲変更量を含まないと判断した場合(ステップS30においてNO)、ステップS32をスキップしてステップS34に進む。
ステップS32において、単位変更部1086は、現状の範囲変更量を、1段階大きな範囲変更量へ切替える。つまり、範囲変更量データ21の現状設定エリア40bにおいて、現状の範囲変更量に対応するエリアの情報を「○」から「−」に変更し、かつ、現状の範囲変更量よりも1段階大きな範囲変更量に対応するエリアの情報を「−」から「○」に変更する。ステップS32の処理が終ると、ステップS34に進む。
ステップS34において、範囲変更部1083は、範囲変更量データ21および指示内容データ22に基づいて、文字列範囲の変更(増減)処理すなわち、文字列範囲の指定処理を行なう。ステップS34の処理が終わると、ステップS10に戻る。
ステップS42において、編集処理部109は、ステップS34の処理を経て指定された文字列範囲に対して、指示に基づく編集処理を行なう。
以上で、本発明の実施の形態における文書編集処理は終了される。
なお、本実施の形態では、ステップS24において前回と同じ指示内容であると判断された場合に(ステップS24でYES)、特定文字列範囲に1段階大きな範囲変更量が含まれるか否かが判断され(ステップS30)、範囲変更量の変更(ステップS32)が行なわれることとしたが、このような順序に限られない。たとえば、ステップS24において前回と同じ指示内容であると判断された場合(ステップS24でYES)、一旦文字列範囲の増減処理(ステップS34)を行ない、その後にステップS30およびステップS32の処理が行なわれてもよい。このようにすることで、ユーザが指示を入力してから、表示部102に、指示に対応した文字列範囲が反映されるまでの時間を短縮することができる。いずれにしても、現状の範囲変更量よりも小さな範囲変更量への変更は、前回の指示内容と異なる場合に行なわれ、現状の範囲変更量よりも大きな範囲変更量への変更は、前回の指示内容と同じである場合に行なわれればよい。
(文字列範囲を指定する場合の表示例)
次に図8〜図18を参照して、ユーザが文字列範囲を指定する場合の表示部102の表示例について説明する。
図8は、入出力部103より入力された文書データの一例を示す図である。なお、文書処理装置100において作成された文書データであってもよい。なお、ここでは、図4(b)に示した5つの範囲変更量が用いられるものとする。
図9は、文書データが図8に示す文書の場合で、図7のステップS10における始めの表示状態の一例を示す図である。このとき、表示部102には、カーソル1001も一緒に表示される。この状態でユーザの指示を待つ(S12)。
ユーザがキーボード104aの右方向のカーソルキー1042を押すと、文字指定指示と解釈される(S14にて、「文字指定指示」)。これにより、カーソル1001を右側へ1文字ずらす処理が行なわれ(S16)、その結果が表示部102に表示される(S10)。図10は、このカーソル移動を、表示部102に表示されている文書の3行目の文字「見」の前まで行った状態を示している。
次に、ユーザがキーボード104aのシフトキー1045を押しながら、右方向のカーソルキー1042を押すと、文字列範囲指定指示と解釈され(S14にて、「文字列範囲指定指示」)、さらに、この文字列範囲指定指示が1回目の文字列範囲指定指示であるか否かが判定される(S18)。ここでは、1回目の文字列範囲指定指示であり(S18にて、YES)、また、指示内容が‘範囲増大’であるので、文字「見」を文字列範囲の基準として、文字列範囲が範囲変更量「文字」分増大される(S34)。このとき、同時に、指示内容データ22における、範囲増大の指示内容51に対応する現状設定エリア52の情報が「−」から「○」に書換えられる。
これにより、現時点の文字列範囲が「見」に設定され、指定文字列「見」の部分が反転表示される(S10)。図11は、このときの表示状態を示しており、網掛け部分1201Aが反転表示される。
引き続き、ユーザがキーボード104aのシフトキー1045を押しながら、右方向のカーソルキー1042を押すと、文字列範囲指定指示と解釈され(S14にて、「文字列範囲指定指示」)、さらに、この文字列範囲指定指示が1回目の文字列範囲指定指示であるか否かが判定される(S18)。ここでは、2回目の文字列範囲指定指示なので(S18にて、NO)、さらに、今回の指示内容が前回の指示内容と同一であるか否かが判断される(S24)。前回の指示内容が、‘範囲増大’であり、今回の指示内容と同一である(S24にて、YES)。したがって、現時点の文字列範囲(特定文字列範囲)が現状の範囲変更量より1段階大きな範囲変更量を含んでいるか否かが判定される(S30)。現時点の文字列範囲は「見」なので、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第1)エリア41に記録されている現状の範囲変更量「文字」41aの次に大きい範囲変更量「単語」42aは含まれていないと判定される(S30にて、NO)。
したがって、「見」を文字列範囲の基準として、文字列範囲がさらに範囲変更量「文字」分増大される(S34)。これにより、現時点の文字列範囲が「見本」に設定され、指定文字列「見本」の部分が反転表示される(S10)。図12は、このときの表示状態を示しており、網掛け部分1201Bが反転表示される。なお、今回の指示内容は前回と同一であったため、指示内容データ22の情報はそのまま記憶される。
引き続き、ユーザがキーボード104aのシフトキー1045を押しながら、右方向のカーソルキー1042押すと、文字列範囲指定指示と解釈され(S14にて、「文字列範囲指定指示」)、さらに、この文字列範囲指定指示が1回目の文字列範囲指定指示であるか否かが判定される(S18)。ここでは、3回目の文字列範囲指定指示なので(S18にて、NO)、さらに、今回の指示内容が前回の指示内容と同一であるか否かが判断される(S24)。前回の指示内容が、‘範囲増大’であり、今回の指示内容と同一である(S24にて、YES)。したがって、現時点の文字列範囲(特定文字列範囲)が現状の範囲変更量より1段階大きな範囲変更量を含んでいるか否かが判定される(S30)。現時点の文字列範囲は「見本」なので、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第1)エリア41に記録されている現状の範囲変更量「文字」41aの次に大きい範囲変更量「単語」42aが含まれていると判定される(S30にて、YES)。したがって、範囲変更量が「文字」から「単語」に変更される(S32)。つまり、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第1)エリア41の現状設定エリア41bが「○」から「−」に変更され、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第2)エリア42の現状設定エリア42bが「−」から「○」に変更される。
その後、「見」を文字列範囲の基準として、文字列範囲がさらに範囲変更量「単語」分増大される(S34)。これにより、現時点の文字列範囲が「見本です」に設定され、指定文字列「見本です」の部分が反転表示される(S10)。図13は、このときの表示状態を示しており、網掛け部分1201Cが反転表示される。なお、今回の指示内容も前回と同一であったため、指示内容データ22の情報はそのまま記憶される。
引き続き、ユーザがキーボード104aのシフトキー1045を押しながら、右方向のカーソルキー1042を押すと、文字列範囲指定指示と解釈され(S14にて、「文字列範囲指定指示」)、さらに、この文字列範囲指定指示が1回目の文字列範囲指定指示であるか否かが判定される(S18)。ここでは、4回目の文字列範囲指定指示なので(S18にて、NO)、さらに、今回の指示内容が前回の指示内容と同一であるか否かが判断される(S24)。前回の指示内容が、‘範囲増大’であり、今回の指示内容と同一である(S24にて、YES)。したがって、現時点の文字列範囲(特定文字列範囲)が現状の範囲変更量より1段階大きな範囲変更量を含んでいるか否かが判定される(S30)。現時点の文字列範囲は「見本です」なので、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第2)エリア42に記録されている現状の範囲変更量「単語」42aの次に大きい範囲変更量「文」43aは含まれていないと判定される(S30にて、NO)。
したがって、「見」を文字列範囲の基準として、文字列範囲がさらに範囲変更量「単語」分増大される(S34)。これにより、現時点の文字列範囲が「見本です。」に設定され、指定文字列「見本です。」の部分が反転表示される(S10)。図14は、このときの表示状態を示しており、網掛け部分1201Dが反転表示される。なお、今回の指示内容も前回と同一であったため、指示内容データ22の情報はそのまま記憶される。
引き続き、ユーザがキーボード104aのシフトキー1045を押しながら、右方向のカーソルキー1042を押すと、文字列範囲指定指示と解釈され(S14にて、「文字列範囲指定指示」)、さらに、この文字列範囲指定指示が1回目の文字列範囲指定指示であるか否かが判定される(S18)。ここでは、5回目の文字列範囲指定指示なので(S18にて、NO)、さらに、今回の指示内容が前回の指示内容と同一であるか否かが判断される(S24)。前回の指示内容が、‘範囲増大’であり、今回の指示内容と同一である(S24にて、YES)。したがって、現時点の文字列範囲(特定文字列範囲)が現状の範囲変更量より1段階大きな範囲変更量を含んでいるか否かが判定される(S30)。現時点の文字列範囲は「見本です。」なので、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第2)エリア42に記録されている現時点の範囲変更量「単語」42aの次に大きい範囲変更量「文」43aが含まれていると判定される(S30にて、YES)。したがって、範囲変更量が「単語」から「文」に変更される(S32)。つまり、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第2)エリア42の現状設定エリア42bが「○」から「−」に変更され、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第3)エリア43の現状設定エリア43bが「−」から「○」に変更される。
その後、「見」を文字列範囲の基準として、文字列範囲がさらに範囲変更量「文」分増大される(S34)。これにより、現時点の文字列範囲が「見本です。第1段落はここで終わりです。」に設定され、指定文字列「見本です。第1段落はここで終わりです。」の部分が反転表示される(S10)。図15は、このときの表示状態を示しており、網掛け部分1201Eが反転表示される。なお、今回の指示内容も前回と同一であったため、指示内容データ22の情報はそのまま記憶される。
引き続き、ユーザがキーボード104aのシフトキー1045を押しながら、右方向のカーソルキー1042を押すと、文字列範囲指定指示と解釈され(S14にて、「文字列範囲指定指示」)、さらに、この文字列範囲指定指示が1回目の文字列範囲指定指示であるか否かが判定される(S18)。ここでは、6回目の文字列範囲指定指示なので(S18にて、NO)、さらに、今回の指示内容が前回の指示内容と同一であるか否かが判断される(S24)。前回の指示内容が、‘範囲増大’であり、今回の指示内容と同一である(S24にて、YES)。したがって、現時点の文字列範囲(特定文字列範囲)が現状の範囲変更量より1段階大きな範囲変更量を含んでいるか否かが判定される(S30)。現時点の文字列範囲は「見本です。第1段落はここで終わりです。」なので、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第3)エリア43に記録されている現時点の範囲変更量「文」43aの次に大きい範囲変更量「段落」44aが含まれていると判定される(S30にて、YES)。したがって、範囲変更量が「文」から「段落」に変更される(S32)。つまり、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第3)エリア43の現状設定エリア43bが「○」から「−」に変更され、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第4)エリア44の現状設定エリア44bが「−」から「○」に変更される。
その後、「見」を文字列範囲の基準として、文字列範囲がさらに範囲変更量「段落」分増大される(S34)。これにより、現時点の文字列範囲が「見本です。第1段落は・・・第2段落はここで終わりです。」に設定され、指定文字列「見本です。第1段落は・・・第2段落はここで終わりです。」の部分が反転表示される(S10)。図16は、このときの表示状態を示しており、網掛け部分1201Fが反転表示される。なお、今回の指示内容も前回と同一であったため、指示内容データ22の情報はそのまま記憶される。
引き続き、ユーザがキーボード104aのシフトキー1045を押しながら、今度は、左方向のカーソルキー1041を押すと、文字列範囲指定指示と解釈され(S14にて、「文字列範囲指定指示」)、さらに、この文字列範囲指定指示が1回目の文字列範囲指定指示であるか否かが判定される(S18)。ここでは、7回目の文字列範囲指定指示なので(S18にて、NO)、さらに、今回の指示内容が前回の指示内容と同一であるか否かが判断される(S24)。前回の指示内容が、‘範囲増大’であり、今回の指示内容‘範囲減少’とは異なる(S24にて、NO)。したがって、現状の範囲変更量「段落」44aが、現状の範囲変更量よりも1段階小さな範囲変更量「文」43aに変更される(S28)。つまり、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第4)エリア44の現状設定エリア44bが「○」から「−」に変更され、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第3)エリア43の現状設定エリア43bが「−」から「○」に変更される。
また、今回の指示内容は前回と同一ではなかったため、指示内容データ22の情報が書換えられる。つまり、範囲指定情報記憶部112の指示内容データ22における「範囲増大」に対応する現状設定エリア52.1が「○」から「−」に変更され、「範囲減少」に対応する現状設定エリア52.2が「−」から「○」に変更される。
その後、「見」を文字列範囲の基準として、文字列範囲が範囲変更量「文」分減少される(S34)。これにより、現時点の文字列範囲が「見本です。第1段落は・・・○○○となっています。」に設定され、指定文字列「見本です。第1段落は・・・○○○となっています。」の部分が反転表示される(S10)。図17は、このときの表示状態を示しており、網掛け部分1201Gが反転表示される。
引き続き、ユーザがキーボード104aのシフトキー1045を押しながら、今度は、右方向のカーソルキー1042を押すと、文字列範囲指定指示と解釈され(S14にて、「文字列範囲指定指示」)、さらに、この文字列範囲指定指示が1回目の文字列範囲指定指示であるか否かが判定される(S18)。ここでは、8回目の文字列範囲指定指示なので(S18にて、NO)、さらに、今回の指示内容が前回の指示内容と同一であるか否かが判断される(S24)。前回の指示内容が、‘範囲減少’であり、今回の指示内容‘範囲増大’とは異なる(S24にて、NO)。したがって、現状の範囲変更量「文」43aが、現状の範囲変更量よりも1段階小さな範囲変更量「単語」42aに変更される(S28)。つまり、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第3)エリア43の現状設定エリア43bが「○」から「−」に変更され、範囲変更量データ21の範囲変更量情報(第2)エリア42の現状設定エリア42bが「−」から「○」に変更される。
また、今回の指示内容は前回と同一ではなかったため、指示内容データ22の情報が書換えられる。つまり、範囲指定情報記憶部112の指示内容データ22における「減少方向」に対応する現状設定エリア52.2が「○」から「−」に変更され、「増大方向」に対応する現状設定エリア52.1が「−」から「○」に変更される。
その後、「見」を文字列範囲の基準として、文字列範囲が範囲変更量「単語」分増大される(S34)。これにより、現時点の文字列範囲が「見本です。第1段落は・・・○○○となっています。第2」に設定され、指定文字列「見本です。第1段落は・・・○○○となっています。第2」の部分が反転表示される(S10)。図18は、このときの表示状態を示しており、網掛け部分1201Hが反転表示される。
引き続き、ユーザがキーボード104aの文字列コピー指示に相当するキー(コントロールキー1046+英字‘C’キー1047)を押すと、編集指示と解釈される(S14にて、「編集指示」)。そうすると、現時点の文字列範囲を構成する文字列「見本です。第1段落は・・・○○○となっています。第2」がコピーされ(S42)、一連の文書編集処理は終了される。
(まとめ)
以上のようにして、本実施の形態に係る文書処理装置100は、ユーザによる指示内容の解析結果に応じて、範囲変更量を適宜変更しながら文字列範囲を指定することができる。つまり、ユーザが所望する文字列の大まかな範囲を指定し、その後、より細かく文字列の範囲を変更することができる。これにより、大量のテキストを文字列範囲として指定したい場合も、文字単位、あるいは行単位といった固定された小さな範囲変更量で範囲を少しずつ増大させていくという面倒な操作が不要となるため、効率が向上する。
<変形例1>
なお、上記した実施の形態1では、横書き表示された文書データに対し、文字列範囲指定を行なうものであったが、縦書き表示された文書データに対しても、同様の文字列範囲指定を行なってもよい。このとき、上下方向のカーソルキー1043,1044を操作することで文字列範囲の増減処理を行なうこととしてもよい。
<変形例2>
また、上記した実施の形態1では、文字指定部107にて指定した文字を文字列範囲の始点として、文字列範囲指定を行なうものとしたが、文字指定部107にて指定した文字を文字列範囲の終点として、同様に文字列範囲指定を行なってもよい。この場合、ユーザがキーボード104aのシフトキー1045を押しながら、左方向のカーソルキー1041を押すと、範囲増大の文字列範囲指定指示と判定されることとしてもよい。
また、上記実施の形態1の処理と変形例2の処理との両方が実行可能であってもよい。たとえば、1回目の文字列範囲指定指示に応じて、いずれかの処理が選択されてもよい。具体的には、1回目、ユーザが、シフトキー1045を押しながら、右方向のカーソルキー1042を押すと、指定された文字を始点として文字列範囲の変更処理が行なわれる。これに対し、1回目、ユーザが、シフトキー1045を押しながら、左方向のカーソルキー1041を押すと、指定された文字を終点として文字列範囲の変更処理が行なわれる。
<変形例3>
また、上記実施の形態では、図4(b)に示したような文書データのデータ構造に基づいた単位を記録した範囲変更量データ21を使用していたが、図19に示すような、「文字」、「1行」、「5行」、「10行」、「1ページ」といった文書データのレイアウト構造に基づいた単位を記録した範囲変更量データ21A使用してもよい。
または、文書データの内容に合わせた範囲変更量データを使用するようにしてもよい。たとえば、住所データであれば、図20に示すような範囲変更量データ21Bを使用してもよい。この範囲変更量データ21Bを使用すれば、住所データを県名のみの単位、市名まで含んだ単位、町名まで含んだ単位などで範囲指定することが可能となる。
さらに、これらの範囲変更量データ21,21A,21Bを組み合わせて使用してもよい。
<変形例4>
また、指示入力部104にマウス(図示せず)が含まれて、マウスを用いた文字列範囲指定が行なわれてもよい。つまり、上記実施の形態1では、キーボード104aを利用した文字列範囲指定を行っていたが、マウスを使用した文字列範囲指定を行なってもよい。たとえば、マウスを右方向にドラッグする操作が、キーボード104aの右方向カーソルキー1042を押す操作に相当し、マウスを左方向にドラッグする操作が、キーボード104aの左方向カーソルキー1041を押す操作に相当することとしてもよい。より具体的には、指示入力部104にマウス(図示せず)が含まれる場合、指示内容解析部111は、次にようにして指示内容を解析する。すなわち、指示内容解析部111は、マウスを右方向にドラッグする操作とたとえばキーボード104aのシフトキー1045の押下とを同時に検知した場合、範囲増大の文字列範囲指定指示であると解析(判定)する。また、指示内容解析部111は、マウスを左方向にドラッグする操作とたとえばキーボード104aのシフトキー1045の押下とを同時に検知した場合、範囲減少の文字列範囲指定指示であると解析(判定)する。
また、指示入力部104と表示部102とを一体的に設けて、タッチパネルが構成されてもよい。この場合、タッチペンとタッチパネルといったポインティングデバイスを用いて文字列範囲指定が行なわれてもよい。たとえば、タッチペンでタッチパネルの所定の領域を右方向に座標情報を入力する操作が、キーボード104aの右方向カーソルキー1042を押す操作に相当し、タッチペンでタッチパネルの所定の領域を左方向に座標情報を入力する操作が、キーボード104aの左方向カーソルキー1041を押す操作に相当することとしてもよい。より具体的には、指示内容解析部111は、たとえば次にようにして指示内容を解析する。すなわち、指示内容解析部111は、タッチペンでタッチパネル(指示入力部104)の所定の領域を左方向に座標情報を入力する操作とたとえばキーボード104aのシフトキー1045の押下とを同時に検知した場合、範囲増大の文字列範囲指定指示であると解析(判定)する。また、指示内容解析部111は、マウスを左方向にドラッグする操作とキーボード104aのシフトキー1045の押下とを同時に検知した場合、範囲減少の文字列範囲指定指示であると解析(判定)する。
<変形例5>
また、上記実施の形態では、シフトキー1045の他は、左右方向のカーソルキー1041,1042の2種類のみを操作して、文字列範囲の増減処理を行っていたが、他のキーにも文字列範囲の増減処理の機能を割り当ててもよい。たとえば、上下方向のカーソルキー1043,1044に文字列範囲の増減処理の機能を割り当ててもよい。そのとき、上下方向のカーソルキー1043,1044の操作で増減できる量を、左右方向のカーソルキー操作で増減できる範囲変更量より小さい、または大きい範囲変更量に設定してもよい。
具体的には、ある時点において、右方向のカーソルキー1042を押すことで増加する文字列範囲の範囲変更量が「文」である場合、左方向のカーソルキー1041を押すことで減少する文字列範囲の範囲変更量は「単語」となるが、このとき、上下方向のカーソルキー1043,1044にも文字列増減処理の機能を割り当てると、次のようになる。すなわち、下方向のカーソルキー1044を押すことで増加する文字列範囲の範囲変更量は「段落」、上方向のカーソルキー1043を押すことで減少する文字列範囲の範囲変更量は「文字」となる。したがって、右方向のカーソルキー1042を押すことで増加する文字列範囲の範囲変更量が変更された場合、他のカーソルキー1041,1043,1044を押すことによって増加/減少する文字列範囲の範囲変更量もそれに応じて変化することになる。
これによって、ユーザはそれぞれ2種類の増減量で文字列範囲の変更を行うことができ、文字列範囲の指定操作がより効率的になる。
<変形例6>
上記実施の形態では、ユーザによる指示内容の解析結果のみに応じて、範囲変更量を変更していたが、ユーザが範囲変更量を直接変更できるようにしてもよい。つまり、上記実施の形態1では、ユーザがキーボード104aの左右方向のカーソルキー1041,1042とシフトキー1045とを押すことによって、範囲変更量を自動で1つずつ増減するものであったが、ユーザが手動で任意の範囲変更量に増減できてもよい。
たとえば、キーボード104aの上下方向のカーソルキー1043,1044に、範囲変更量変更機能を割り当ててもよい。この場合、たとえば、上方向のカーソルキー1043を1回押す度に、範囲変更量が昇順に「文字」→「単語」→「文」→「段落」→「章」→「文字」→「単語」→…となるように予め設定される。逆に、下方向のカーソルキー1044を1回押す度に、範囲変更量が降順に「章」→「段落」→「文」→…となるように予め設定される。
また、上下方向のカーソルキー1043,1044のいずれか一方にのみ範囲変更量変更機能が割り当てられてもよい。この際、範囲変更量が昇順に変更されるものであってもよいし、降順に変更するものであってもよい。
また、範囲変更量を変更する機能のみを有するボタンを文書処理装置100に別途設けてもよい。また、たとえばマウスの右ボタンに同等の機能を割り当ててもよい。
このように、ユーザが手動で任意の範囲変更量を選択可能とすることで、「段落」単位で文字列範囲を増大させた直後に、1文字分をさらに増大させるといったことも可能となる。これにより、文字列範囲の指定操作がより効率的になる。
なお、このように、ユーザが手動で範囲変更量を変更できる場合、図21に示すように、現時点の範囲変更量を表示部102の所定の領域1301に表示させることが望ましい。これにより、ユーザは、現状の範囲変更量を容易に認識することができる。
<変形例7>
上記した実施の形態1では、文字列範囲の指定を行う際に、指定文字列の表示形態を、文書中の他の部分と異ならせて表示する例として、反転表示するものであったが、他の部分と識別できればこのような表示形態に限らない。また、指定文字列の一部分の文字列の表示形態を他の部分と異なるように表示させてもよい。
図21は、本発明の実施の形態1の変形例7における文字列範囲指定処理の際の第1の表示例であり、図22は、本発明の実施の形態1の変形例7における文字列範囲指定処理の際の第2の表示例である。
たとえば、図21に示すように、指定文字列の一部分が縮小して表示される。縮小の対象となる文字列は、たとえば、指定文字列の始点および終点それぞれより所定の文字数に対応する文字に挟まれる文字列であってもよいし、指定文字列の始点と終点との間に存在する段落すべてが省略されてもよい。つまり、少なくとも指定文字列の始点となる文字と終点となる文字とが通常の大きさ(指定文字列以外の文字の大きさ)で表示されればよい。
また、図23に示すように、指定文字列の一部分が省略して表示されてもよい。省略の対象となる文字列は、少なくとも指定文字列の始点となる文字と終点となる文字とが表示されればよい。
これにより、表示画面に収まりきれないような大量のテキストの範囲を指定しようとする場合も、指定している範囲が一画面に収まるように一部分を省略/縮小して表示できるので、効果的である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
21,21A,21B 範囲変更量データ、22 指示内容データ、100 文書処理装置、101 制御部、101A CPU、102 表示部、103 入出力部、104a キーボード、104 指示入力部、105 文書データ処理部、106 レイアウト計算部、107 文字指定部、108 範囲指定制御部、109 編集処理部、110 表示制御部、111 指示内容解析部、112A フラッシュメモリ、112 範囲指定情報記憶部、1031b (通信)ネットワーク、1032a ドライブ装置、1032b 記録媒体、1032c 記録媒体挿入口、1033a USBI/F、1033b
情報処理装置、1041〜1044 カーソルキー、1045 シフトキー、1046
コントロールキー、1047 英字‘C’キー、1083 範囲変更部、1085 範囲解析部、1086 単位変更部。