JP4655862B2 - 黒液の処理方法 - Google Patents
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そして炭酸ナトリウムを水に溶解させ、水酸化カルシウムをカ性ソーダに転化させ、カ性ソーダを再び蒸解液に使用しその循環利用を計っている。
この場合、加える酸の種類は、塩酸・硫酸・硝酸・蟻酸、フッ酸等であり、この処理により黒液の中に含まれる大半のリグニンは沈降し、容易にリグニンを分離することができる。
(2)製紙・紙パルプ製造業から排出されるアルカリ性の黒液を水で希釈した後、その液に酸を加えてpHを2.5〜3.5になるまで調整し、さらに僅かの凝集剤を加え、黒液中に含まれるリグニンを固形物となして沈降又は、沈降及び浮上させ、固形物のリグニンと上水に分離して得られた上水を砂濾過した後に、砂濾過して得られた上水に対して上記(1)に記載の上水とオゾンガスとの接触反応を行うことを特徴とする黒液の処理方法。
強力な酸化物質であるオゾンガスは、オゾン発生機により現在つくられているが、その90%近くはO2、N2、CO2、などを含み、10%程度がO3である。従ってこのO3を最大限その酸化力を生かすにはO3が有機物の酸化分解をすすめやすくするための条件が必要であり、それは、黒液が酸によってpH3前後まで下げられた時、O3の酸化力が高まり、かつO3のガスの泡が小さければ小さい程反応面が大きくなるので、酸化力は飛躍的に高まることである。
O3ガスの泡の粒子を、マイクロレベルまで小さくするため、例えば上水とO3を高速にて攪拌することにより、O3ガスの泡の大きさを極めて小さい泡とすることが可能となった。この小さい泡は上水の水面に達する迄に破壊・消滅するが、この破壊・消滅する瞬間では、泡の内部温度は数千度の高温となり、数千気圧の高圧となるといわれているが、このように酸の添加によるpH調整後O3ガスを小さなマイクロレベルの泡にして処理することが好ましい。この際、同時に超音波を照射すると破壊・消滅作用が促進されるので一層好ましい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のオゾンガスの接触反応を行って得られた上水を中和処理した後、活性炭に接触させて吸着処理を施すことを特徴とする黒液の処理方法。
上水中に含まれる有機物は完全に分解されCO2やH2Oとなり、かつ最終的に活性炭により不純物を吸着除去して浄化水を得ることができ、得られたこの浄化水(上水)は希釈用としても利用でき、紙パルプ製造用の用水としても利用できる。
このように本願発明によれば、黒液中のリグニンの除去(分離)は、溶解しているリグニンをpH調整によって懸濁物(SS)化することにより容易に達成できるのである。
そして、常温常圧で行うことが可能であり、O3の使用に伴う電気代も酸とマイクロバブルの効果により飛躍的なコストダウンが可能となる。
実施例1:
図1に示す実施例のシステム構成図にて示し、図2にそのフローチャートを示す。
まず、図1において、左方より1において黒液を貯留タンクに貯留する。
次いで、黒液と希釈水をpH調整槽2に入れ、塩酸、硫酸等の酸を添加し、また凝集剤を添加してゆっくり攪拌することにより、リグニンその他を沈降させる。この際酸としてフッ酸を微量添加することが好ましい。
次いで、脱水機3において、例えばフィルタープレスにてリグニンを固形物として取り出す。
フィルタープレスにてリグニンを除去した液を、オゾン反応槽4に導入し、オゾンをマイクロバブルとして、接触反応せしめる。
この段階で、強力な酸化物質であるオゾンガスは、最大限に酸化力が高まり、かつO3のガスの泡が小さければ小さい程反応面が大きくなるので、酸化力は飛躍的に高まる。
O3ガスの泡の粒子を、マイクロレベルまで小さくするため、上水とO3を高速にて攪拌することにより、O3ガスの泡の大きさを極めて小さい泡とすることが可能となり、この泡が消滅する瞬間では、泡の内部温度は数千度の高温となり、数千気圧の高圧となるといわれ、反応が強力に進行する。
処理済水は処理済水貯留槽8に蓄えられ、それから(1)希釈水としてpH調整槽2へ、又は(2)その他の工業用水用等として使用される。
なお、図2のフローチャートにおいては、より具体的な説明が文字を加えてなされている。
図3に示すフローチャートにしたがって黒液の処理を行った。
まず、黒液の原液(固形分20%含有)10tに希釈用水50tを加えて計60tの被処理液とし、これに塩酸900kgを加え、さらに攪拌しながら高分子凝集剤1.8kgを加えたた後、放置して、液分と固形分に分離した。
得られた液分48tを砂濾過し、砂濾過して得られた濾過水にマイクロバブル状のオゾンガスを導入して酸化処理した後、苛性ソーダ液300kgを添加して中和処理した。次いで、その中和処理済み水を活性炭カラムに通し、不純物の吸着処理を行って、浄化水を得た。
この浄化水は、前記希釈水として、又は紙パルプ製造用水として利用される。
一方、上記固液分離工程で得られた固形分12tはフィルタープレスにかけられて濾別され、脱離液11,610kgと脱水ケーキ(含水率78%)390kgとに分離された。なお、濾別時には濾布洗浄水1tと凝集剤3kgが使用された。
上記脱離液と濾布洗浄水は砂濾過前の液分に加えられた。
また、上記脱水ケーキには生石灰39kgが添加混合され、パサパサした粗粒状の処理物429kgが得られた。この処理物は、リグニンを多く含むもので、取り扱いが容易であり、かつ水には不溶の組成物となっていた。
なお、表1に黒液の原液と各工程における処理液の分析値を示した。
該表に示す数値に見られるとおり、最終的に得られた処理水(浄化水)水質は、BOD、COD、SS等が全て優良な値であって、優れた水質の浄化水であることが解った。
2:pH調整槽
3:脱水機
4:オゾン反応槽
5:中和槽
6:活性炭塔
7:処理済水貯留槽
Claims (4)
- 製紙・紙パルプ製造業から排出されるアルカリ性の黒液を水で希釈した後、その液に酸を加えてpHを2.5〜3.5になるまで調整し、さらに僅かの凝集剤を加え、黒液中に含まれるリグニンを固形物となして沈降又は、沈降及び浮上させ、固形物のリグニンと上水に分離した後、同上水にオゾンガスをマイクロバブル(微小気泡)として供給し接触反応させ、オゾンの酸化力にて、上水中に含まれる未沈降のリグニン、木質に含まれる有機酸及び樹脂類、ヘミセルロースに含まれる可溶性炭水化物又はその他の硫黄化合物から選択されるいずれか1又は2以上の成分を酸化分解する黒液の処理方法であって、上記上水とオゾンガスとの接触反応は、オゾンガスと一部の上水とを高速攪拌機にて混合して行い、かつ高速攪拌機が、ステンレス製で、3000〜20000回転の高速にて回転する羽根型攪拌機の中に上水が導入され、かつオゾンが吹き込まれる構造であり、上水とオゾンが攪拌機の中にて混ざり合い、この時オゾンはマイクロバブルとなるものであり、その微小気泡と上水の混合液を反応槽に貯留している上水中に下から放出して長時間上水中に滞留させることを特徴とする黒液の処理方法。
- 製紙・紙パルプ製造業から排出されるアルカリ性の黒液を水で希釈した後、その液に酸を加えてpHを2.5〜3.5になるまで調整し、さらに僅かの凝集剤を加え、黒液中に含まれるリグニンを固形物となして沈降又は、沈降及び浮上させ、固形物のリグニンと上水に分離して得られた上水を砂濾過した後に、砂濾過して得られた上水に対して上記請求項1に記載の上水とオゾンガスとの接触反応を行うことを特徴とする黒液の処理方法。
- 前記請求項1又は2で得られるオゾンで酸化処理された上水を、黒液の希釈水又は紙パルプ製造用の用水として利用することを特徴とする黒液の処理方法。
- 上記請求項1〜3のいずれか1項に記載のオゾンガスの接触反応を行って得られた上水を中和処理した後、活性炭に接触させて吸着処理を施すことを特徴とする黒液の処理方法。
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