以下、本発明の実施形態に係るペーパーマガジンを説明するに先立ち、該ペーパーマガジンを適用する写真処理装置(現像処理装置を備えない露光処理装置(画像形成装置)のみの写真処理装置)の概略構成について図1及び図2を参酌しつつ説明する。
上記写真処理装置は、搬送される長尺な感光材料Pに連続的に露光処理を施し、該露光処理済みの感光材料Pをロール状に巻き取って回収する、いわゆるRoll-to-Rollシステムが採用されている。即ち、上記写真処理装置は、長尺な感光材料Pに露光処理を連続的に行う装置本体1と、感光材料Pを収容可能に構成されると共に、該感光材料Pを装置本体1に供給する供給用ペーパーマガジン2と、露光処理後の感光材料Pをロール状に巻き取って回収する回収用ペーパーマガジン3とで構成されている。
装置本体1は、感光材料Pを搬送する搬送機構10と、該搬送機構10で搬送される感光材料Pに露光処理を施す露光ユニット11と、感光材料Pを所定の長さで切断する切断装置12とを備えており、これらは、筐体13内に内装されている。また、装置本体1は、供給用ペーパーマガジン2が連結される供給側連結部14と、回収用ペーパーマガジン3が連結される回収側連結部15とを備えている。
搬送機構10は、供給側連結部14と回収側連結部15との間で感光材料Pを搬送する搬送経路を形成しており、感光材料Pを搬送する複数の搬送ローラ対100,…が、感光材料Pを搬送する方向に所定の間隔を有して配設されることによって構成されている。即ち、搬送機構10は、供給側連結部14に連結された供給用ペーパーマガジン2から供給されてくる感光材料Pを複数の搬送ローラ対100,…で搬送し、回収側連結部15に連結された回収用ペーパーマガジン3に送り込むように構成されている。
露光ユニット11には、レーザー露光装置(レーザービーム方式の露光装置)が採用されている。尚、露光ユニット11には、レーザービーム方式の他、PLZTシャッター方式や、液晶シャッター方式、蛍光ビーム方式等の種々の露光装置を採用することができ、装置の仕様、露光処理の精度等に応じて適宜選択して採用することができる。
切断装置12は、供給側連結部14の下流側であって、感光材料Pに対して露光処理を行う露光領域の上流側に設けられており、供給用ペーパーマガジン2から連続的に供給されてくる長尺な感光材料Pを任意の箇所で切断できるようになっている。このように切断装置12を設けることで、感光材料Pの搬送等のトラブルが発生した場合や、回収用ペーパーマガジン3での感光材料Pの回収状況、露光処理のオーダーの状況等に応じて、長尺な感光材料Pを適宜切断できるようになっている。
供給側連結部14は、筐体13の一方の側面側に供給用ペーパーマガジン2を連結可能に形成されている。具体的に説明すると、供給側連結部14は、供給用ペーパーマガジン2の装着部20を装填する供給側装填口140が筐体13の一方の側面に形成されており、装着部20が装填される供給側装填空間141が供給側装填口140から筐体13の内部側に奥まって形成されている。
また、供給側装填空間141の上部位置には、供給用ペーパーマガジン2のペーパー供給口211から送り込まれる感光材料Pを受け入れるスリット状のペーパー受入口142が形成された供給側遮光体143が設けられている。該供給側遮光体143は、ペーパー受入口142が搬送機構10を構成する最上流の搬送ローラ対100及び適正な姿勢で装填された供給用ペーパーマガジン2のペーパー供給口211に対応するように配置され、これにより、供給側連結部14に供給用ペーパーマガジン2の装着部20が装着された状態で、ペーパー供給口211から供給される感光材料Pが露光処理前に感光されてしまうことなく、装置本体1内に供給できるようになっている。
さらに、供給側連結部14は、供給用ペーパーマガジン2からの感光材料Pを受け入れるべく、供給用ペーパーマガジン2の送出ローラ対214を駆動するための供給側駆動伝達機構(図示しない)を備えている。該供給側駆動伝達機構は、ギヤ、チェーン等の機械要素の組み合わせにより構成されており、連結された供給用ペーパーマガジン2の送出ローラ対214に回転を伝達できるようになっている。
回収側連結部15は、筐体13の他方の側面側に回収用ペーパーマガジン3を連結可能に形成されている。具体的に説明すると、回収側連結部15は、回収用ペーパーマガジン3の一部を装填する回収側装填口150が筐体13の他方の側面に形成されており、回収用ペーパーマガジン3の一部が収容される回収側装填空間151が回収側装填口150から筐体13の内部側に奥まって形成されている。
また、回収側装填空間151の上部位置には、回収用ペーパーマガジン3のペーパー受入口31に露光処理済みの感光材料Pを送り出すスリット状のペーパー送出口152が形成された回収側遮光体153が設けられている。該回収側遮光体153は、ペーパー送出口152が搬送機構10を構成する最下流の搬送ローラ対100及び適正な姿勢で装填された回収用ペーパーマガジン3のペーパー受入口31に対応するように配置されている。これにより、該回収側連結部15に回収用ペーパーマガジン3が装着された状態で、回収用ペーパーマガジン3及び回収側遮光体153が密接状態になり且つペーパー送出口152及びペーパー受入口31が連通することにより、ペーパー送出口152から送り出される感光材料Pが露光処理後に感光されてしまうことなく、回収用ペーパーマガジン3内に供給できるようになっている。
さらに、回収側連結部15は、露光処理済みの感光材料Pを巻き取るべく回収用ペーパーマガジン3内に設けられたホルダーユニット33を駆動するための回収側駆動伝達機構(図示しない)を備えている。該回収側駆動伝達機構は、ギヤ、チェーン等の機械要素の組み合わせにより構成されており、連結された回収用ペーパーマガジン3のホルダーユニット33に回転を伝達できるようになっている。
供給用ペーパーマガジン2は、大径のロール体R(例えば、長さが4000フィート(1219m)で幅が10インチ(254mm)の感光材料Pのロール体であって、重量が約80kgのロール体)を収容可能に構成され、重量がロール体Rと合わせて約160kgとなる大型のペーパーマガジンである。該供給用ペーパーマガジン2は、上述の如く、ロール体Rを収容した状態で重量物になって作業者の労働負担が大きくなるといった理由から、作業者の手押しによって走行させる走行式となっている。
また、供給用ペーパーマガジン2は、長尺な感光材料Pのロール体Rを回転可能に収容する収容部21と、上述の装着部20とを備えている。収容部21は、ロール体Rを収容するマガジン本体210と、該マガジン本体210にロール体Rを軸支させるためのホルダーユニット221とで構成され、マガジン本体210は、ロール体Rの周囲を包囲するように形成されたケース本体210aと、該ケース本体210aに回転自在に支持された蓋体210bとの二分割開閉式に構成されており、蓋体210bを閉状態にすることで内部を暗室状態にすることができるようになっている。
回収用ペーパーマガジン3は、回収した長尺な感光材料Pのロール体R’を収容するマガジン本体32と、上述のホルダーユニット33とで構成され、マガジン本体32は、ロール体R’の周囲を包囲するように形成されたケース本体32aと、該ケース本体32aに回転自在に支持された蓋体32bとの二分割開閉式に構成されており、供給用ペーパーマガジン2と同様、蓋体32bを閉状態にすることで内部を暗室状態にすることができるようになっている。
尚、回収用ペーパーマガジン3は、別途用意された現像処理装置にも装着できるように構成されており、回収された感光材料P(ロール体R’)を取り出すことなく、現像処理装置に送り出せるようになっている。
写真処理装置の概略説明を以上の通りで、以下は、本実施形態において特徴となる回収用ペーパーマガジン3の構成について図面を参酌しつつ詳細に説明する。
まず、図3に示す如く、ホルダーユニット33は、感光材料Pを巻き取るための巻芯330を備え、ケース本体32aに着脱自在に取り付けられる。巻芯330は、円柱状若しくは円筒状の巻芯本体331と、該巻芯本体331の軸中心に配置され、該巻芯本体331との相対回転変位を許容する軸体332とを備えている。また、軸体332は、巻芯本体331の各端面からそれぞれ所定量突出する長さに形成されており、該一対の突出端部332a,332aがケース本体32aの開口縁部であってケース本体32aの幅方向に設けられた一対のスリット320a,320a(より正確には、ケース本体32aの開口縁部の内側であってケース本体32aの幅方向に取り付けられた一対のブロック320,320のそれぞれに形成されたスリット320a,320a)に係入することにより、ホルダーユニット33をケース本体32aに取り付けた状態で、巻芯本体331が軸体332周りに回転でき、感光材料Pを巻き取れるようになっている。
巻芯330は、巻芯本体331に回り止めされた状態で外嵌装着される筒状のコア333をさらに備えている。該コア333は、巻芯本体331から外した状態でロール状に巻き取られた感光材料Pの芯を構成するもので、処理対象となる感光材料Pの幅サイズに応じて各種の幅(軸方向長さ)サイズのものが選択的に用いられる。コア333の詳細な説明は後述するが、何れの幅サイズのコア333であっても、その幅方向中心が巻芯本体331の幅方向中心と略一致するように巻芯本体331に外嵌装着される。
また、ホルダーユニット33は、リール板334をさらに備えている。該リール板334は、巻芯本体331の外径と一致する円孔334aを中心に備えたディスク盤であり、操作部334bを引き操作することにより、円孔334a内に進出する爪334c,334cが円孔334aから退避して、リール板334を巻芯本体331に外挿することができ、また、巻芯本体331の外周面に形成された円周溝331aが所在する位置で操作部334bを解除操作することにより、爪334c,334cが円孔334a内に進出すると共に円周溝331aに係入し、リール板334を巻芯本体331に固定することができる。
円周溝331aは、何れの幅サイズのコア333が取り付けられた状態であっても、コア333の両開口端近傍に所在するよう複数形成されており、処理対象となる感光材料Pの幅サイズに応じて選択されたコア333の両開口端に所在するそれぞれ円周溝331aにリール板334を取り付ける。このように、一対のリール板334,334の間隔をコア333の幅サイズ(即ち、処理対象となる感光材料Pの幅サイズ)と一致させることにより、一対のリール板334,334が感光材料Pの蛇行を規制し、感光材料Pをきれいに巻き取っていくことができるのである。
また、巻芯330は、一方の端部(以下、感光材料Pの搬送方向上流側から下流側を見て左側を「一方」、右側を「他方」という)、より正確には、巻芯本体331の一方の端面に固定されて、出力ギヤ335が設けられている。該出力ギヤ335は、上述の如く、装置本体1の回収側連結部15に設けられた回収側駆動伝達機構から駆動が伝達されることにより、巻芯本体331が装置本体1の搬送機構10(搬送ローラ対100,…)と同期して回転するようになっている。
回収用ペーパーマガジン3の内部機構を一方から見た図4及び該内部機構を他方から見た図5を参酌してより詳細に説明すると、マガジン本体32から一部分が臨出する外部入力手段としての巻芯駆動入力ギヤ340と、前記出力ギヤ335とが中間伝達機構を介して連結され、回収用ペーパーマガジン3を回収側連結部15に装着した際、該回収側連結部15の回収側駆動伝達機構の一部をなして回収側連結部15から一部分が臨出する駆動ギヤ(図示しない)に巻芯駆動入力ギヤ340が噛合することにより、回収側連結部15の回収側駆動伝達機構と巻芯330の出力ギヤ335とが連結される構成である。
巻芯駆動入力ギヤ340は、マガジン本体32の四隅のうち、前下方の隅部空間(以下、巻芯330を中心として、搬送方向上流側を「前方」、搬送方向下流側を「後方」、天側を「上方」、地側を「下方」という)であって、マガジン本体32の他方の内側壁近傍位置に配置されており、マガジン本体32の一方の内側壁近傍位置に配置されることとなる出力ギヤ335に中間伝達機構を介して駆動が伝達される。
中間伝達機構は、巻芯駆動入力ギヤ340と同軸に設けられる第1中間ギヤ(図示しない)と、該第1中間ギヤに噛合する第2中間ギヤ342と、該第2中間ギヤ342と同軸に設けられる第3中間ギヤ343と、該第3中間ギヤ343に噛合する第4中間ギヤ344と、該第4中間ギヤ344に噛合する第5中間ギヤ345とからなり、該第5中間ギヤ345が巻芯330の出力ギヤ335に噛合するようになっている。
第1中間ギヤから第3中間ギヤ343にかけては、巻芯駆動入力ギヤ340と同様、マガジン本体32の四隅のうち、前下方の隅部空間に配置されるが、第1中間ギヤ及び第2中間ギヤ342がマガジン本体32の一方の内側壁と他方の内側壁との間の一方の内側壁寄り位置に配置され、第3中間ギヤ343がマガジン本体32の一方の内側壁近傍位置に配置されることにより、回収側連結部15の回収側駆動伝達機構からの駆動力は、マガジン本体32の他方の内側壁側から一方の内側壁側に伝達される。第4中間ギヤ344及び第5中間ギヤ345も、第3中間ギヤ343と同様、マガジン本体32の一方の内側壁近傍位置であって、第3中間ギヤ343と巻芯330の出力ギヤ335とを連結すべく適宜の位置に配置される。
このように、巻芯駆動入力ギヤ340を含め、第1中間ギヤから第3中間ギヤ343は、マガジン本体32の前下方の隅部空間に配置され、また、出力ギヤ335を含め、第3中間ギヤ343から第5中間ギヤ345は、マガジン本体32の一方の内側壁とホルダーユニット33の一方のリール板334との間で画される側方空間に配置されることとなる。従って、これらのデッドスペースを利用した配置構造により、マガジン本体32の拡大化を防止することができる。
尚、巻芯駆動入力ギヤ340から出力ギヤ355にかけての歯車比を適宜設定して、巻芯330における感光材料Pの巻取り速度が装置本体1の搬送機構10における感光材料Pの搬送速度(正確には、装置本体1から回収用ペーパーマガジン3へ送り出される感光材料Pの搬送速度)よりも速くなるようにしている。これは、感光材料Pにバックテンションを与えて該感光材料Pをたるみのないきれいな状態で巻き取るための施策である。但し、バックテンションが強すぎると感光材料Pがダメージを受けるおそれがあるため、巻芯駆動入力ギヤ340と第1中間ギヤとの間にスベリクラッチ341を介設し、感光材料Pに一定値以上のバックテンションが掛からないようにしている。
また、回収用ペーパーマガジン3は、巻芯330を中心として、その周辺に渦巻き放射状に複数の巻取りガイド(第1巻取りガイド35、第2巻取りガイド36、第3巻取りガイド37)をマガジン本体32内に備えている。巻取りガイド35,36,37は、それぞれ基端部を支点として揺動自在に支持されており、各巻取りガイド35,36,37の先端部内面を組み合わせて巻芯330の周囲に感光材料Pの環状経路Lを形成する。
第1巻取りガイド35は、巻芯330の上方約3分の1円弧を覆うように先端部が巻芯330に沿って湾曲された板状体であり、第2巻取りガイド36は、巻芯330の下方約3分の1円弧を覆うように先端部が巻芯330に沿って湾曲された板状体であり、第3巻取りガイド37は、巻芯330の前方約3分の1円弧を覆うように先端部が巻芯330に沿って湾曲された板状体であり、それぞれの基端部に取り付けられた第1軸350、第2軸360、第3軸370がマガジン本体32に支持されて揺動自在となる。
また、回収用ペーパーマガジン3は、巻取りガイド35,36,37のうち、マガジン本体32のペーパー受入口31側に位置する(即ち、ペーパー受入口31を介してマガジン本体32内に送り込まれた感光材料Pの先端が最初に接触する)巻取りガイド35と対向する付設ガイド38をさらに備えている。付設ガイド38も、基端部を支点として揺動自在に支持されており、第1巻取りガイド35の基端部から先端部に至るまでの直線状部位との間で、感光材料Pをペーパー受入口31から環状経路Lに案内するための誘導経路Mを形成する。該付設ガイド38は、先端部が湾曲されていない板状体であり、基端部に取り付けられた第4軸380がマガジン本体32に支持されて揺動自在となる。
そして、一部分がマガジン本体32から臨出すると共に、回収用ペーパーマガジン3を装置本体1の回収側連結部15に装着した状態で、該回収側連結部15の前記回収側駆動伝達機構とは別個独立の駆動伝達機構の一部をなして回収側連結部15から一部分が臨出する第2駆動ギヤ(図示しない)に噛合する外部入力手段としてのガイド駆動入力ギヤ400と、第1軸350の端部に取り付けられた第1軸レバー351、第2軸360の端部に取り付けられた第2軸レバー361、第3軸370の端部に取り付けられた第3軸レバー371及び第4軸380の端部に取り付けられた第4軸レバー381とが作動機構を介して連結されている。
作動機構は、2系統に大別される。1番目の系統は、ガイド駆動入力ギヤ400と同軸に設けられる第1プーリ(図示しない)と、該第1プーリに巻き掛けられる第1ベルト401と、該第1ベルト401が巻き掛けられる第2プーリ402と、該第2プーリ402と同軸に設けられる第3プーリ403と、該第3プーリ403に巻き掛けられる第2ベルト404と、該第2ベルト404が巻き掛けられる第4プーリ405と、該第4プーリ405と同軸に設けられる第6中間ギヤ406と、該第6中間ギヤ406に噛合する第7中間ギヤ407と、該第7中間ギヤ407に噛合する第8中間ギヤ408と、該第8中間ギヤ408に噛合する第9中間ギヤ409と、該第9中間ギヤ409に噛合するレバーギヤ410と、該レバーギヤ410の第1部位に一端部が作動的に連結された第1リンク411と、レバーギヤ410の第2部位に一端部が作動的に連結された第2リンク412とからなり、第1リンク411の他端部が第1軸レバー351に作動的に連結されると共に、第2リンク412の他端部が第2軸レバー361に作動的に連結される。
2番目の系統は、前記第1プーリ及び前記第1ベルト401を1番目の系統と共用し、さらに、該第1ベルト401が巻き掛けられる第5プーリ413と、該第5プーリ413の回転軸に取り付けられたレバー414と、該レバー414の第1部位に一端部が作動的に連結された第3リンク415と、レバー414の第2部位に一端部が作動的に連結された第4リンク416とからなり、第3リンク415の他端部が第3軸レバー371に作動的に連結されると共に、第4リンク416の他端部が第4軸レバー381に作動的に連結される。
従って、回収側連結部15の前記第2駆動ギヤが所定角度回転すれば、1番目の系統におけるレバーギヤ410が所定角度回転することにより、第1リンク411及び第2リンク412が往動して、第1巻取りガイド35及び第2巻取りガイド36が巻芯330に接近する方向に揺動すると同時に、2番目の系統におけるレバー414が所定角度回転することにより、第3リンク415及び第4リンク416が往動して、第3巻取りガイド37及び付設ガイド38が巻芯330に接近する方向に揺動する。その結果、各巻取りガイド35,36,37の先端部と巻芯330との間に前記環状経路Lが形成されると共に、巻取りガイド35と付設ガイド38との間に前記誘導経路Mが形成される、セット位置状態が実現される。
一方、前記第2駆動ギヤが反対方向に同じ角度だけ回転すれば、1番目の系統におけるレバーギヤ410も反対方向に回転して、第1リンク411及び第2リンク412が復動し、第1巻取りガイド35及び第2巻取りガイド36が巻芯330から離間する方向に揺動すると同時に、2番目の系統におけるレバー414も反対方向に回転して、第3リンク415及び第4リンク416が復動し、第3巻取りガイド37及び付設ガイド38が巻芯330から離間する方向に揺動する。その結果、図6に示す如く、環状経路L及び誘導経路Mが開放される、セット解除位置状態が実現される。
このように、巻取りガイド35,36,37及び付設ガイド38は、同期して移動するように作動機構を介して相互が連結されているため、一つの駆動源(回収側連結部15の第2駆動ギヤ)を制御(回転角度制御)するだけで、セット位置状態とセット解除位置状態とに迅速に切り替えることができるのである。
尚、第1リンク411、第2リンク412、第3リンク415及び第4リンク416のそれぞれ他端部には、所定長さの長孔が形成されており、第1軸レバー351、第2軸レバー361、第3軸レバー371及び第4軸レバー381のそれぞれに形成されたピンが各長孔に挿通されることにより、第1リンク411及び第1軸レバー351、第2リンク412及び第2軸レバー361、第3リンク415及び第3軸レバー371、第4リンク416及び第4軸レバー381のそれぞれが遊びを有して作動的に連結されている。そのため、セット位置状態及びセット解除位置状態の何れにおいても、構成部品の寸法誤差や組立誤差の影響を受けることなく、各巻取りガイド35,36,37及び付設ガイド38の位置精度を好適に維持することができる。
ここで、前記1番目の系統において、第1プーリ、第1ベルト401及び第2プーリ402は、マガジン本体32の他方の内側壁近傍位置に配置され、第3プーリ403がマガジン本体32の一方の内側壁近傍位置に配置されることにより、回収側連結部15の駆動伝達機構からの駆動力は、マガジン本体32の他方の内側壁側から一方の内側壁側に伝達される。第2ベルト404、第4プーリ405、第6中間ギヤ406、第7中間ギヤ407、第8中間ギヤ408、第9中間ギヤ409、レバーギヤ410、第1リンク411及び第2リンク412は、マガジン本体32の一方の内側壁近傍位置に配置される。また、前記2番目の系統において、第5プーリ413、レバー414、第3リンク415及び第4リンク416の全てがマガジン本体32の他方の内側壁近傍位置に配置される。
このように、ガイド駆動入力ギヤ400を含め、1番目の系統及び2番目の系統からなる作動機構の構成要素全てが、マガジン本体32の内側壁とホルダーユニット33のリール板334との間で画される側方空間に配置されることとなる。従って、この配置構造によっても、マガジン本体32の拡大化を防止することができる。
しかも、1番目の系統の作動機構は、マガジン本体32のケース本体32a側にて駆動力を受けて蓋体32b側の第1巻取りガイド35及び第2巻取りガイド56を駆動する関係上、ケース本体32aと蓋体23bとに跨って配置されることとなるが、ケース本体32aと蓋体23bとの分割ラインを跨いで、ケース本体32a側には、ギヤ列の一つである第6中間ギヤ406を配置し、蓋体32b側には、隣接する第7中間ギヤ407を配置することにより、作動機構を途中位置にて分断して蓋体32bを開放できる設計としている。勿論、ケース本体32a側の第3巻取りガイド37及び付設ガイド38を駆動する2番目の系統の作動機構は、全ての構成要素がケース本体32a側に配置されるものなので、1番目の系統の作動機構と同様の設計にする必要はない。
図5に戻り、各巻取りガイド35,36,37の先端部には、一部分が巻取りガイド35,36,37の内面側に臨出して、巻芯330の外周面に接触し得るコロ(転動部材)352,352,372が設けられている。これらにより、各巻取りガイド35,36,37の先端部の内面(円弧面)と巻芯330の外周面とが所定間隔を有して離間するため、セット位置状態においては、巻取りガイド35,36,37と巻芯330との相対的な位置関係の安定化が実現され、感光材料Pの好適な環状経路Lが確保される。しかも、巻取りガイド35,36,37の先端部が巻芯330の外周面に接触して、巻芯330の円滑な回転が阻害されたり、あるいは紙詰まりが生じたり、最悪の場合、巻芯330にブレーキが掛かって、強制的に回転停止されてしまう、といった各種の問題も生じない。
また、各コロ352,362,372が圧着作用を持って巻芯330の外周面に接触するため、適切な圧着力を巻芯330に加えることができ、感光材料P(の特に先端)のスベリを無くして巻芯330に確実に巻き付かせることが可能となる。尚、好適な圧着作用を得るべく、セット位置状態における各巻取りガイド35,36,37の先端部を巻芯330側に付勢させる例えばコイルバネ、ねじりコイルバネ等の付勢部材を各巻取りガイド35,36,37あるいは作動機構の何れかの箇所に設ける構成(本実施形態においては、レバー414上に設けた一対のバネ(付勢部材)414a,414b)を採用してもよいし、あるいは作動機構にオーバードライブ(負荷駆動)を与える制御及び/又は機構としてもよい。但し、コロ352,362,272に直接付勢部材を組み込む構成は、好適な圧着作用が得られるものの、巻取りガイド35,36,37の巻芯330に対する位置決め精度が悪くなり、紙詰まりの問題が発生し得るので、採用しない方が良い。
同様にして、第1巻取りガイド35と付設ガイド38との対向部位にも、コロ353,382が設けられ、コロ353,382同士が接触することにより、第1巻取りガイド35の内面(平面)と付設ガイド38の内面(平面)とが所定間隔を有して離間するため、セット位置状態においては、第1巻取りガイド35と付設ガイド38との相対的な位置関係が実現され、感光材料Pの好適な誘導経路Mが確保されるようになっている。
以上の構成からなる回収用ペーパーマガジン3によれば、図4及び図5に示すセット位置状態において、ペーパー受入口31からマガジン本体32内に送り込まれた感光材料Pの先端が誘導経路Mを通って環状経路L内に入り込む。この時、感光材料P及び巻芯330表面間の摩擦力により、感光材料Pの先端が巻き付き、しかる後は、巻芯330(巻芯本体331)の回転に伴って感光材料Pが巻き取られていく。装置本体1側は回収用ペーパーマガジン3に対する感光材料Pの送り出し量を把握しているので、この情報に基づき感光材料Pが巻芯330に所定周回分巻き取られたと判断されると、各巻取りガイド35,36,37及び付設ガイド38が退避方向に揺動し、環状経路L及び誘導経路Mが開放されて、図6に示すセット解除位置状態となり、しかる後は、その状態で感光材料Pが巻芯330に巻き取られていくのである。
あと最後に、コア333について図7を参照しつつ詳細に説明する。コア333が感光材料Pの幅サイズに応じて各種の幅サイズのものが選択的に用いられること上述の如くであるが、コア333は、基本となる数種類のリングを適宜組み合わせることにより、幅サイズを変えることができるようになっている。最少単位のリングは、0.5インチ幅、1インチ幅、2インチ幅、4インチ幅が用意されており、各リングは、同径で且つ互いに嵌着し合うことができる形状となっている。
コア333Aは、4インチ幅のリングのみからなる4インチ幅感光材料対応のコアである。4インチ幅のリングの少なくとも両サイド(図では、中央も合わせて三カ所)には、感光材料Pとの摩擦力を高めるべく、バンド帯333aが設けられている。
コア333Bは、4インチ幅のリングの両端にそれぞれ0.5インチ幅のリングを組み付けた5インチ幅感光材料対応のコアである。コア333Cは、4インチ幅のリングの両端にそれぞれ1インチ幅のリングを組み付けた6インチ幅感光材料対応のコアである。コア333Dは、4インチ幅のリングの両端にそれぞれ2インチ幅のリングを組み付けた8インチ幅感光材料対応のコアである。2インチ幅のリングにも、バンド帯333aが設けられている。
コア333Eは、4インチ幅のリングの両端にそれぞれ1インチ幅のリングを組み付け、さらにその両端にそれぞれ2インチ幅のリングを組み付けた10インチ幅感光材料対応のコアである。コア333Fは、4インチ幅のリングの両端にそれぞれ0.5インチ幅のリングを組み付け、さらにその両端にそれぞれ1インチ幅のリングを組み付け、さらにその両端にそれぞれ2インチ幅のリングを組み付けた11インチ幅感光材料対応のコアである。コア333Gは、4インチ幅のリングの両端にそれぞれ2インチ幅のリングを組み付け、さらにその両端にそれぞれ2インチ幅のリングを組み付けた12インチ幅感光材料対応のコアである。
このように、4〜12インチの範囲でコア333を選択し、これを巻芯本体331に外嵌装着した後、コア333の両側に位置するようにリール板334,334を巻芯本体331に取り付け、このホルダーユニット33をマガジン本体32にセットすることにより、選択されたコア333に応じた幅サイズの感光材料Pを正しく巻芯330に巻き取っていくことができるのである。
ここで、特筆すべきは、何れの幅サイズのコア333も、その両サイドにバンド帯333a,333aが所在することである。通常、感光材料Pは、自身の重力や自身の癖、及びロールとされている間に付いた巻き癖などが原因となって、ベース面(巻芯330に巻き付いていく側の面)側に反る傾向にある。この場合、感光材料Pの先端は、両サイドが巻芯330に接触し且つ中央部が巻芯330に対して浮いた格好で巻芯330に接触することとなる。従って、両サイドが巻芯330に巻き付いてくれないことには、巻芯330への巻き付けが進行しない。その結果、巻芯330が空転し続け、これに対し、感光材料Pは順次送り込まれてくるので、紙詰まりが発生してしまう。この点を考慮し、コア333は、感光材料Pの先端の両サイドが接触する部分にバンド帯333aが所在するようにし、感光材料Pの先端の巻芯330への巻き付けを確実にしている。
尚、本発明に係るペーパーマガジンは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、マガジン本体32のケース本体32a側にて装置本体1からの駆動力を受ける関係上、1番目の系統の作動機構の途中箇所にギヤ列を設け、ここでマガジン本体32の開放に伴う分断を生じさせる構造としているが、マガジン本体32の蓋体32b側にて装置本体1からの駆動力を受ける構成を採用する場合は、2番目の系統の作動機構の少なくとも途中箇所にギヤ列を設ける必要がある。
また、上記実施形態においては、第1巻取りガイド35の内面が下側を向き、付設ガイド38がないと、マガジン本体32内に送り込まれた感光材料Pの先端が垂れ下がり、感光材料Pを巻芯330に巻き付けさせることができないため、付設ガイド38が必要となってくるが、例えば図8に示す従来のペーパーマガジンのように第1巻取りガイドの内面が上側を向く形態であれば、感光材料Pが垂れ下がる心配はないので、この場合、付設ガイドを省略するようにしてもよい。