JP4654168B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明は冷蔵庫に関する。
最上段に冷蔵室を配置した冷蔵庫が広く普及している。このタイプの冷蔵庫は、3ドア以上の中〜大容量クラスの冷蔵庫に多く、例えば、特許文献1では野菜室、冷凍室とともに最上段に冷蔵室が設置された冷蔵庫が開示されている。この特許文献1の冷蔵庫は、冷蔵室の背面部分の冷気通路を覆う熱伝導部材を備え、熱伝導性部材が冷気通路の一部をなすようにして冷蔵室内の保湿、均温化を図っている。また、熱伝導部材としてはアルミニウム合金やステンレスなどが用いられるものとしている。
特開2001−221554号公報
冷蔵室はその前面が回転式の断熱扉によって覆われており、扉が開かれると庫内灯が点灯して冷蔵室内が照らされるようになっている。庫内灯は、冷蔵室の背面側か、あるいは天井部に配設される。特許文献1では、冷蔵室の背面部分が熱伝導性部材で覆われていることから、庫内灯は天井部に配設されている。
庫内灯を天井部に配設した場合、冷蔵室内に複数の棚が上下に設けられている冷蔵庫においては、上方の棚に食品が多く載せられると、庫内灯の光が冷蔵室の下部まで届きにくくなってしまう。特許文献1では天井部の庫内灯が前後に複数備えられているため(図1参照)、冷蔵室内を広く照らすことが可能となっている。
しかし、庫内灯の数が多くなると製造工程の増加やコストアップを招くというだけではなく、庫内灯自体が発熱体でもあることから、その分だけ消費電力を多く費やしてしまうことになる。
一方、特許文献1では熱伝導性部材が冷気通路の一部を構成して、冷気通路と冷蔵室との間に熱伝導性部材を介在させ、冷気通路を通る冷気による冷熱の一部が熱伝導性部材を介して冷蔵室内に放出している。この場合、冷気通路内の冷気と冷蔵室との温度差が大きいことから、熱伝導性部材の冷蔵室側の面には結露が生じてしまう。そこで特許文献1の冷蔵庫は、指向性の吐出部を備え、指向性吐出部の全域から冷気を同時に吐出させている。したがって、冷気通路を出た後の冷気は、冷蔵室内において熱伝導性部材の冷蔵室側の表面に沿って流れ、結露の抑制が図られる。
一般に、冷蔵室の背面側に備えられる冷気通路には冷気の吐出口が備えられ、この冷気の吐出口を介して冷蔵室との間を連通している。この冷気の吐出口は、冷気通路の上下にわたって点在しているのが通常であり、冷気の吐出口を上下に点在させることによって冷蔵室内の温度の均一化が図られている。
したがって、特許文献1のように指向性吐出部の全域から冷気を同時に吐出させたとしても、熱伝導性部材における冷気の吐出口が無い部分は、結露を解消し切れないという懸念が生ずる。
加えて、冷気通路内の冷気は、通路内において下方から上方へと導かれている。したがって、指向性吐出部から吐出される冷気量をあまりに多くし過ぎてしまうと、熱伝導性部材の結露抑制作用は向上するが、冷気の流れ方向を大きく変えてしまう。このとき、冷気流れの損失が大きくなるため、冷気循環量が少なくなってしまう。一定の冷気循環量を確保するためには、送風機の設置数を増加する、あるいは大型化の送風機を用いる、ことになり、消費電力の増加を招きやすくなってしまう。
これらの課題は、冷蔵室、冷凍室、野菜室の配置に起因する冷気循環構造の相違によって顕在化するものも少なくなく、これを解決する具体的構成について、特許文献1には開示されていない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、最上段に設けられた冷蔵室の内部を広く見渡しやすくし、または、冷蔵室内の食品保存環境の最適化を図ることを課題としている。
そして、これらのいずれかの課題を解決することによって、省エネに優れて使い勝手の良い冷蔵庫を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、外箱と内箱との間に断熱材が充填されて内部を断熱空間とし、断熱空間として最上段に冷蔵室が配設された冷蔵庫において、本発明は、
前記冷蔵室の背面で左右両側に設けられ上下に延伸する冷気通路と、前記冷蔵室内を複数の収納空間に区画する棚部材と、前記冷蔵室の背面に位置し冷蔵室内を照らす庫内灯と、前記庫内灯を覆うとともに左右両側に設けられる前記冷気通路の間に位置して前記複数の収納空間に跨って取り付けられる透光性のカバー部材と、前記カバー部材に取り付けられるとともに前記複数の収納空間に跨って上下に延伸する金属製部材とを備え、
前記カバー部材の背面側には空間が形成され、前記庫内灯はこの空間内に取り付けられるとともに前記空間の奥側の壁面には白色材又は淡色材が用いられ
前記カバー部材は、前記庫内灯の前面に位置する凸形状部を有し、該凸形状部は前記棚部材の後端よりも手前側まで至る凸寸法とした
上記の本発明において、より好ましい具体的形態は下記の通りである。
(1)前記カバー部材には、前面が前記金属製部材で覆われない帯状の部分が設けられて、これを帯状部とし、この帯状部が前記棚部材によって区画される複数の収納空間に跨って延伸すること。
(2)前記カバー部材は、前記カバー部材の左右であって帯状で上下に延伸する帯状部を有し、前記金属製部材は左右の帯状部に挟まれた部分に取り付けられており、前記帯状部は前記棚部材によって区画される複数の収納空間に跨って上下に延伸すること。
(3)前記カバー部材には左右に延伸する溝が設けられ、該溝は上下に多数並べられていること。
)前記帯状部は、前記カバー部材が奥側に傾斜して設けられ、前記帯状部の前記冷蔵室側の空間を前記冷気通路からの冷気が吐出される冷気吐出空間としたこと。

本発明によれば、省エネに優れて使い勝手の良い冷蔵庫を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の冷蔵庫の外観斜視図である。冷蔵庫1は最上段に冷蔵室が配設され、その前面開口部は回転式の冷蔵室扉2によって閉塞されている。冷蔵室扉2は、図1ではいわゆる観音開きタイプの左右ドアとしているが、一つの扉体で覆われる構成としても差し支えない。
冷蔵室の下部には引出し式の扉3、4によって閉塞された製氷室と温度切替室が左右に併設されている。製氷室内には図示しない自動製氷装置が設置され、製氷皿下部に配置された貯氷容器に氷が貯められる。そして、製氷室扉3を引き出すことによって貯氷容器がともに引き出され、氷を取り出すことができる。製氷室の隣に設置される貯蔵室は、必ずしも温度切替室である必要はなく、冷凍室としてもよい。
さらに下部には、冷凍室が配設され、その前面開口部は引出し式の冷凍室扉5によって覆われている。冷凍室内には図示しない冷凍室容器が設置されて、冷凍室扉5を引き出すことによって冷凍室容器を引き出すことができる。したがって、冷蔵庫の使用者は内部の食品を容易に取り出すことができる。
そして、最下段には、野菜室が配設されている。野菜室は冷蔵室と同様に冷蔵温度帯の貯蔵室であり、前面開口部は引出し式の野菜室扉6によって覆われている。野菜室内部には図示しない野菜室容器が設置されており、野菜室扉6とともに引き出される。
図2は、本実施形態の冷蔵室の内部構成を示す図であり、図2(a)は冷蔵室扉2を省略して示した正面図、図2(b)は図2(a)のA−A断面図、図2(c)は図2(a)のB−B断面図である。
冷蔵室20は、冷蔵室20の内壁を構成する内箱10(図2(c)に符号10で示す。)と、冷蔵庫1の外殻となる外箱11(図2(a)に符号11で示す。)との間に断熱材が充填された断熱空間となっている。
冷蔵室20の内部には、食品載置用の棚部材21が上下に複数設置されている。本実施形態では、板状の棚部材21a、21bが上下に設けられ、その下部には、ひっくり返して使用が可能な棚部材21cが設けられている。この棚部材21cは左右に複数配置されて(符号21c1、21c2)、食品収納空間の効率的な利用を可能としている。さらに下部に設置された棚部材21dの下側の空間には、図示しない自動製氷装置内の製氷皿へ供給される水が貯められる給水タンク26と、小物の食品を整理収納可能な引出しトレイ27と、いわゆる氷温室となる引出しトレイ28が設置されている。このように、冷蔵室20の内部は、棚部材21や引出しトレイ27、28等によって区画されることによって、食品収納性の向上が図られている。
冷蔵室20の奥側の内箱10面には、庫内灯22が設置されている。本実施形態においては、庫内灯22は、ソケット部から下方に発光部が垂下するように取り付けられる。ソケット部からの配線は、図示しない制御装置と接続され、冷蔵室扉2が開かれると庫内灯22が点灯するように制御される。
冷蔵室20の背面には、少なくとも庫内灯22の前面を除く部分を覆うパネル状の背面部材23が取り付けられている。この背面部材23と内箱10面との間には冷気通路30が形成される。本実施形態の冷気通路は、冷蔵室20の左右両側に左側冷気通路30Lと右側冷気通路30Rとに分岐する構造となっている。
背面部材23には白色のものを用いるとよく、着色された部材を使用する場合であっても、淡色のものが好ましい。なお、内箱10についても同様である。この理由については後述する。
これらの冷気通路30L、30Rは、奥側の通路壁面を内箱10の内壁面とし、手前側の通路壁面を背面部材23の裏側の後壁面としており、背面部材23が冷蔵室20の背面に取り付けられることによって冷気通路30が形成される。冷気通路30内には、図示しない冷却器によって生成された冷気が送風機によって冷蔵室20背面位置まで延伸した冷気通路30にまで送られ、冷気吐出口30a、30bを介して冷蔵室20へと吐出される。冷蔵室20に送られた冷気は、冷蔵室20内の食品を冷却した後、再び冷却器に戻される。
なお、冷却器は、圧縮機、凝縮器、キャピラリチューブとともに冷凍サイクルを構成しており、冷却器内部で冷媒が蒸発することで周囲の熱を奪うことで冷気を生成する。したがって、冷蔵室20内、あるいは冷凍室内の温度を検出して圧縮機の運転のON/OFFの制御、あるいは圧縮機の回転数を制御することによって、各貯蔵室を設定温度に維持することができる。
冷蔵室20の背面における両冷気通路30L、30Rの中央側には、庫内灯22が取り付けられている。この庫内灯22は透光性のカバー部材24によって覆われている。したがって、食品が庫内灯22と衝突することはない。また、カバー部材24は透光性部材であるため、庫内灯22の光は冷蔵室20内を照らすことができる。カバー部材24の材質は、特に限定されるものではないが、透明の樹脂材が好ましい。
庫内灯22の取付高さは、最上段に取り付けられる棚部材21aよりも上方であり、背面側から広く冷蔵室20内を照らしている。カバー部材24は、庫内灯22を覆うとともに、棚部材21aを超えて下方まで延伸し、棚部材21a、21bによって区画される食品収納空間に跨って配設される。
カバー部材24は一様形状ではなく、庫内灯22の取付部分の前面には冷蔵室20の収納空間側に凸となる凸形状部24Mが設けられる。庫内灯22は、冷蔵室20背面で左右方向の中央部に取り付けられるため、凸形状部24Mもカバー部材24の左右方向の中央部に設けられている。
本実施形態では、カバー部材24が金属製部材25でさらに覆われている。ただし、カバー部材24の全面を覆うのではなく、一部を除いて覆うものとしている。具体的には、少なくとも凸形状部24Mとカバー部材24の左右両側の帯状の端部は冷蔵室20側に露出している。したがって、金属製部材25の左右の両外側には、棚部材21を跨いで上下に延伸する帯状部24L、24Rが形成される。金属製部材25は、加工性や入手性からみて、アルミニウム材が好適である。
図2(c)に示すように、この帯状部24L、24Rは、左右の冷気通路30L、30Rに近接している。カバー部材24は前述のように凸形状部24Mを備えているが、それ以外の部分も完全な平面形状ではなく、帯状部24L、24Rの部分は背面側に傾斜している。したがって、カバー部材24を取り付けると、該カバー部材24の裏側には空間31が形成される。すなわち、該空間31は、手前側の壁面がカバー部材24の裏面となる。空間31の奥側の壁面は、背面部材23が取り付けられている部分は背面部材23の冷蔵室20側の面であり、背面部材23が取り付けられていない部分では内箱10面となる。
左右の冷気通路30L、30Rの奥行寸法は、金属製部材25が取り付けられる高さ範囲内において、帯状部24L、24Rを含めたカバー部材24の奥行寸法(ただし、凸形状部24Mを除く。)よりも大きくしてある。また、凸形状部24Mを除いた部分のうち、金属製部材25が取り付けられる高さ範囲において、カバー部材24の前壁と、冷気通路30を覆う背面部材23の表側の壁面との奥行方向の位置を合わせている。
本実施形態では、冷気通路30からカバー部材24側へ向けて冷気吐出口30aが設けられる(図2(c)参照)。したがって、冷気通路30(30L、30R)から冷蔵室20へ吐出された冷気は、カバー部材24の帯状部24(24L,24R)へ向けて吹き出され、その後、帯状部24L、24Rの形状によって、冷蔵室20の前方へ向けて導かれる。
カバー部材24は(透光性の)樹脂材が用いられ、アルミニウム材等の金属製部材25よりも熱伝導性に劣る材料としていることから、吐出された冷気が直接当たる部分であっても結露は生じにくい。この結果として、金属製部材25には冷気が直接吹き付けられないため、金属製部材25の結露を抑制することができる。
さらに、冷気通路30L、30Rの冷気吐出口は、帯状部24L、24Rと対向する冷気吐出口30aだけではない。すなわち、金属製部材25が取り付けられる高さ範囲を超えて、冷気通路30L、30Rの上方から冷蔵室20内へと吐出する上部冷気吐出口30bを備えている。
冷気吐出口30aは、冷気通路30L、30Rのそれぞれにおいて、棚部材21で区画される収納空間に応じて複数個設けられている。本実施形態では、上部冷気吐出口30bから吐出される冷気の吐出量を、各冷気通路30L、30Rに複数設けられた冷気吐出口30aから吐出される冷気の全吐出量よりも多くなるように設定し、金属製部材25の結露を抑制するとともに、冷気の循環経路の流れ損失を低減している。したがって、送風機の高出力化あるいは送風機の設置数の増加を招くことなく、省エネに優れた冷蔵庫とすることができる。この冷気循環の構造については後に詳細に説明する。
また、金属製部材25が、複数の棚部材21によって区画される各収納空間に跨って上下に延在していることから、各収納空間の温度偏差を低減して冷蔵室20内の均温化を図ることができる。特に収納食品が多くなり、冷気吐出口から吹き出された冷気が届きにくくなった部分が生じたとしても、左右の冷気吐出口30aは、傾斜した帯状部24L、24Rと冷気通路30の側壁との間の空間に設けられていることから、冷気吐出口30a自体が閉塞されることは殆どなく、金属製部材25を介した冷熱の伝導が期待できる。
また、上述したように、帯状部24L、24Rは棚部材21を跨いで上下に延伸しているため、帯状部24L、24Rの前側に食品が収納されても、冷気通路30の側壁とによって囲まれた断面略三角形状のダクト状の空間が上下に連通している。この空間は、冷気吐出空間となる。したがって、冷気吐出口30aから吐出された冷気は必ず冷蔵室20内の空間へと導かれる。加えて、このダクト状の空間の近傍には金属製部材25が位置しているため、冷熱の伝達を効率よく行うことができる。
図3はカバー部材24と金属製部材25の冷蔵室20への取付構造を示す図である。図に示すように、背面部材23が冷蔵室20の背面に取り付けられた後、カバー部材24に金属製部材25を取り付けた状態で、冷蔵室20の背面に取り付けられる(図中の矢印参照)。このとき、庫内灯22の前面側には凸形状部24Mが位置し、背面部材23によって冷蔵室20の左右両側に位置する冷気通路30の間にカバー部材24が位置するように取り付けられる。
上述したように、カバー部材24の両側は奥方に傾斜しており、金属製部材25の両脇に上下に延伸する帯状部24L、24Rが形成される。したがって、カバー部材24が取り付けられると、背面部材23の前方面あるいは内箱10面との間に空間31が形成されることになる(図2参照)。
図2(b)に示すように、冷蔵室20の背面部のうち、両側の冷気通路30L、30Rに挟まれた部分には、空間31が設けられている。この空間31は、冷蔵室20の収納空間とカバー部材24によって区画されている。空間31の上部、具体的には、冷蔵室20内に取り付けられる最上段の棚部材21aよりも高い位置には、庫内灯22が発光部を下方に向けて設置される。庫内灯22の前方には凸形状部24Mが位置しており、この部分においては空間31の奥行寸法が大きく確保されている。
カバー部材24の凸形状部24M及び左右の帯状部24L、24Rを少なくとも除く部分には、金属製部材25が取り付けられているが、庫内灯22の前方に位置する凸形状部24Mは金属製部材25で覆われていないことから、庫内灯22の光は透光性のカバー部材24を透過して冷蔵室20内を照射する。したがって、使用者は冷蔵室20内を見渡しやすくなっている。凸形状部24Mは、棚部材21の後端よりも前方まで至る凸寸法となっており、冷蔵室20内を広く照射可能としている。
図4に示すように、カバー部材24の空間31側の面は、左右に延伸する溝が形成されている。そして、該溝は上下に多数並べられている。したがって、庫内灯22でカバー部材24が照らされると溝部分には左右に線状の光筋が発現し、この光筋自体が一種の光源となって、庫内を照射する。なお、本実施形態では、溝が左右に延伸する構造としているが、これに限られず、上下に延伸する溝としても差し支えない。図4に示すように、カバー部材24の裏面を、複数の平面あるいは複数の曲面から構成し、各面の境界に角部を設ける構成とすればよい。
一方、金属製部材25は遮光性部材であるため、金属製部材25で覆われた部分からは光が照射されないが、凸形状部24が金属製部材25よりも前方まで突出していることから、カバー部材24上に発現する光源によって金属製部材25を照らされ、冷蔵室20内の光度を確保している。
庫内灯22が発光すると、冷蔵室20内だけではなく、放射状に空間31内にも光が照射される。空間31は、カバー部材24の裏側面と内箱10面あるいは背面部材23面とに囲まれた空間である。上述のように、内箱10面及び背面部材23は、白色あるいは淡色の樹脂材が用いられているため、空間31内における光の吸収が抑えられ、空間31内で反射して光源たる庫内灯22から離れた位置にまで光を伝達することができる。
カバー部材24のうち、金属製部材25で覆われた部分からは冷蔵室20側に光が照射されないのであるが、本実施形態では金属製部材25にアルミニウム材を用いており、カバー部材24を透過した光が金属製部材25の裏面で反射し、空間31内に光が伝達される。
カバー部材24には、上下に延伸する帯状部24L、24Rが設けられている。この帯状部24L、24Rは、後方側に傾斜して形成されているため、空間31内の光を冷蔵室20内へと導きやすくなっている。したがって、庫内灯22が点灯すると、左右の冷気通路30L、30Rよりも内側の位置に、上下に延伸する光の帯が出現する。本実施形態では、光が伝達しやすいように、白色材や淡色材、あるいは金属製部材(透光性部材を介して)で覆われて空間31を形成しているため、たとえ庫内灯22の死角に当たる位置にまで光を伝えることができ、棚部材21によって区画される複数の収納空間に跨って光の帯を出現させることができる。
すなわち、この光の帯は、最上段の棚部材21aよりもさらに上方に位置している庫内灯22から、下方の棚部材21b、21cあるいは21dによって区画される収納空間の近傍まで光の帯によって冷蔵室20内が照らされる。
カバー部材24の空間31側の面に左右に延伸して設けられる溝は、帯状部24L、24Rにも設けられている。したがって、帯状部24L、24Rは、単に庫内灯22からの光が透過するだけではなく、溝によって光筋が現れ、この光筋自体が光源的な役割を果たすことで冷蔵室20内を広く照射することができる。
特に、本実施形態では、庫内灯22はソケット部から発光部が真下に垂下した構造とし、空間31内において発光部から下側には光を遮る物を可能な限り排除している。
したがって、背面に金属製部材25を備えた構成とした場合であっても、複数の庫内灯を設置する必要はなく、単数の庫内灯によって、冷蔵室内を明るく照らすことができる。
なお、この光の帯は、空間31やこれを構成する各部材によって出現するものであり、冷蔵室20内に食品が多数収納されても、これに遮られることはなく、冷蔵室20内を常に明るく維持することができる。
また、本実施形態のように、凸形状部24Mを設けることで、庫内灯22の設置空間を大きく確保できるため、複数の庫内灯を取り付けることが可能である。上記の構成とあわせて行うことで、冷蔵室20内をさらに明るく照らすことができる。
次に、図5を用いて冷蔵室20の冷却に関して説明する。図5は冷蔵室20の冷気循環構造を示す図である。図2にて示したように、冷却器によって生成された冷気は、冷気通路30L、30Rを通って冷蔵室20へと吐出される。すなわち、棚部材21によって区画されたそれぞれの空間に対して冷気を吐出する冷気吐出口30a、及び、冷気通路30L、30Rの冷気進行方向である上方に開口する上部冷気吐出口30bを備え、これらの吐出口から冷気が供給されることによって、冷蔵室20が冷却される。
冷気吐出口30aと上部冷気吐出口30bの冷気吐出量は、既述のとおり、上部冷気吐出口30bからの冷気供給量を大とするように開口面積を定めている。本実施形態の冷蔵庫では、6つの冷気吐出口30aと2つの上部冷気吐出口30bを備えている。したがって、一つの冷気吐出口30aから単位時間当たりに吐出される冷気の風量をqとし、一つの上部冷気吐出口30bから単位時間当たりに吐出される冷気の風量をQとすると(図5(b)参照)、「2Q>6q」の関係を満たすように各吐出口の開口面積が定められる。
当該構成による作用効果は次の通りである。近年、冷蔵庫の収納容積の増大が図られ、それにともなって冷蔵室20の収納容積も増大する傾向にある。大きな収納容積を有する貯蔵室を冷却する場合、冷却器によって生成される冷気の低温化、あるいは供給される冷気の量の増大化が求められている。したがって、冷凍サイクルの高効率化とともに、送風機の大型化が求められるに至っている。しかし、送風機の大型化は省エネ性低下の原因となるため、可能な限りコンパクトな送風機を用いることが望ましい。
一方、冷蔵室の大容量化を図るには、冷却構造を小型化して、収納空間とならない部分を小さくすることが求められている。しかし、冷蔵室背面の冷気供給部分である冷気通路も小型化すると通風抵抗が増大するという相反する課題が生ずることとなる。例えば、冷蔵室20の大容量化を実現するためには、図5(a)に示す冷蔵室20の背面部の幅寸法W1を大きくし、冷気通路30L、30Rの幅寸法W2を小さくすることが必要となる。すなわち、幅寸法比をWとすると、冷蔵室20の大容量化を図るということは、W(=W1/2W2 )の値が大きくなるということを示している(係数「2」は、冷蔵室20の背面に2つの冷気通路を備えているため)。
ここで、冷気吐出口30a及び上部冷気吐出口30bの両者を同寸法の開口とし、W1寸法を580mmと固定して、W2 寸法が70mmのときの冷蔵室20内の冷却状況を測定した場合(寸法係数W=4.1)と、W2寸法が30mmのときの冷蔵室20内の冷却状況を測定した場合(寸法係数W=9.7 )とを比較した。その結果、後者の場合は冷却能力に劣ることがわかった。また、この検討から、寸法係数Wが大きいほど、冷蔵室20内の温度むらが大きくなることがわかった。
その原因について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態の冷蔵庫1の冷却構造を示す断面図である。既に述べたとおり、本実施形態の冷蔵庫1は、上部に冷蔵室20を備えており、前面開口部が冷蔵室扉2によって閉塞される構造としている。また、冷蔵室20の下部には冷凍室40が配設される、いわゆるミッドフリーザ構造の冷蔵庫となっている。したがって、冷蔵室20と冷凍室40との間は断熱仕切壁33aによって仕切られ、両室の断熱が図られている。また、最下段には野菜室が位置し、前面を野菜室扉6によって覆われている。野菜室と冷凍室40との間も断熱仕切壁33bによって仕切られることで、両室が断熱される。
冷蔵室20と野菜室との間に位置する冷蔵室40は、上段と下段の冷凍室からなり、それぞれが扉によって覆われている。冷蔵室40の背面には冷却器室36が位置しており、この冷却器室36内には、冷気を生成する冷却器34と、冷却器34によって生成された冷気を各貯蔵室へと送る送風機35が配設される。これらの冷却器34及び送風機35は、断熱仕切壁33a、33bの間に収められるように配設されている。すなわち、冷却器34及び送風機35が冷凍室40の背面投影面内に収められており、送風機35から冷蔵室20へ送られる冷気は、図示しないダンパーを介して冷気通路30へと送られる。
一方、冷蔵室20を冷却した後の冷気は、冷蔵室20の背面に設けた冷気吸込口32から、図示しない冷気戻り通路を介して冷却器室36へと戻り、この構成によって冷気循環構造が形成されている。本実施形態の冷蔵庫1は、冷蔵室20の下部に冷凍室40を配置し、両室が断熱仕切壁33aで断熱されているため、冷蔵室20の背面から吐出された冷気は、冷蔵室20内を冷却後、冷蔵室20の背面に備えられた冷気吸込口32へと至る構造となっている。
冷気吸込口32は、冷蔵室20内を冷却した後の冷気を冷却器室36へ戻すために、冷気吐出口30a及び上部冷気吐出口30bのいずれの吐出口よりも下方に位置している。しかし、冷気吸込口32が、冷気吐出口30a、30bと同じく冷蔵室20の背面に位置しているため、図6の点線矢印で示したように、吐出冷気が冷蔵室20の前方まで至ることなく、ショートサーキットしてしまう懸念があった。特に、冷蔵室20の大容量化にともなってショートサーキット現象が顕著となってしまう場合があった。
さらには、冷気通路30L、30Rの寸法が、冷蔵室20の寸法に対して小さくなると、風量の確保が困難となるという課題があった。このとき、冷蔵室20内で冷気が供給される部分と冷気が届かない部分が生じ、冷蔵室20内に温度むらが生じてしまう。
この温度むらを低減して冷蔵室20内の均温化を図るため、本実施形態では、いわゆるミッドフリーザ構造の冷蔵庫であって、次のような構造を採用することとした。
まず第一に、図6の実線矢印で示すような冷気の流れを実現し、冷蔵室20の全体を冷却可能とするために、既に述べたとおり、上部冷気吐出口30bから吐出される冷気の吐出量を、各冷気通路30L、30Rに複数設けられた冷気吐出口30aから吐出される冷気の全吐出量よりも多くなるように設定した。この構成は、冷気通路30L、30R内を進行する冷気の方向と、上部冷気吐出口30bから冷蔵室20へと冷気が吐出される方向が近いため、循環経路における流れ損失を低減する効果を奏する。したがって、冷却効率の向上を図ることができる。
また、冷気吐出口30aと上部冷気吐出口30bとの冷気吐出量の関係について検討した結果、寸法係数Wが6.0を超えるような場合であっても、一定の場合には温度むら抑制効果が発揮されることがわかった。
すなわち、冷気吐出口30aからの冷気量と上部冷気吐出口30bからの冷気量との関係を評価し、冷気量と風速との関係から、上部冷気吐出量30bから吐出される冷気の量が、冷気吐出口30aから吐出される冷気の量の1.5倍以上、すなわち、2Q>9qとすることで、冷蔵室20内の温度むらを低減できることがわかった。
例えば、冷気吐出口30aを50mm×5mmの開口とし、上部冷気吐出口30bを30mm×10mmの開口とした場合において、冷凍室40の背面に位置する冷却器室36から送風機35によって冷気を供給すると、均温化の効果が発揮された。
具体的には、所定回転数で送風機35を回転した場合、冷気吐出口30aから吐出される冷気の風速が0.5m/s であったのに対し、上部冷気吐出口30bから吐出される冷気の風速は2.0m/s であった。これは、冷気吐出口30aは冷蔵室20の幅方向内側に冷気を吐出するのに対し、上部冷気吐出口30bは冷気通路内の冷気進行方向と近い方向に冷気を吹き出すため、通風抵抗が小さくなるからである。したがって、2つの上部冷気吐出口30bから吐出される冷気量の合計2Qが1200mm2・m/s であり、6つの冷気吐出口30aから吐出される冷気量の合計6qは750mm2・m/s であった。
このとき、上部冷気吐出口30bから吐出される冷気は十分な風速が得られるため、冷蔵室扉2に取り付けられたポケット収納容器にまで届き、冷蔵室を全体的に冷却することができる。すなわち、図6に示すような点線矢印ではなく、上部冷気吐出口30bから吐出される冷気は実線矢印のように冷蔵室20内に供給され、ポケット収納容器に収納された食品も十分に冷却可能であった。
なお、本実施形態の冷蔵庫では、冷蔵庫の各部を制御する制御基板37を本体筐体の天面後方に配置しており、冷蔵室20の天井面を開口手前側の方が高くなるように構成している。したがって、上部冷気吐出口30bからの冷気が前方へと向かいやすく、冷蔵室20全体の冷却に寄与している。
棚部材によって区画されたそれぞれの収納空間には、冷気吐出口30aから吐出された冷気が供給されることになるが、上述したように、冷気通路30内を通る冷気の半分以上は上部冷気吐出口30bから冷蔵室20へと吐出され、この冷気の多くは冷蔵室20の手前側に供給されるため、冷蔵室20の背面側に供給される冷気量が少なくなってしまうことになる。
そこで、本実施形態では、左側の冷気通路30Lと右側の冷気通路30Rとの間の背面に金属製部材25を備え、冷気吐出口30aは、冷蔵室の幅方向内側に向けて冷気を吐出する構造とした。加えて、冷気吐出口30aから吐出された冷気が冷蔵室20の前方へ向けて導かれるようなカバー部材24の形状を採用した。
金属製部材25を備えることによって、その熱伝導率の高さから冷蔵室20の背面側の冷却能力が担保され、また、棚部材で区画された各収納空間の均温化も可能となっている。すなわち、金属製部材25を備えることで、左側の冷気通路30Lと右側の冷気通路30Rとの距離を離しても各収納空間の均温化が図られる。
具体的には、両冷気通路間の距離を300mm以上とすることが可能となり、少なくとも400mmまでは、冷蔵室として十分な冷却が可能であることを検証した。すなわち、冷蔵室20の幅寸法が大きくなる場合には、両冷気通路間の距離が大きくなってしまう。このとき、冷気通路30L、30Rの幅寸法に関わらず、幅広な冷蔵室内の中央部分に冷気が行き渡らないという課題が生じ得る。そこで、両冷気通路間の距離について検討を行ったところ、上記の実施形態の冷気吐出口30a&30b、及び、金属製部材25を用いた結果、冷気通路間の距離を300mm以上としても冷蔵室の冷却が十分に行えることがわかった。
換言すれば、左側の冷気通路30Lと右側の冷気通路30Rとの間に300mm以上の間隔を設けたとしても、両冷気通路の間に金属製部材25を配設することによって、冷蔵室の均温化と冷却が図られるということである。金属製部材25は、上下に関しては、棚部材21によって区画される上下の収納空間に跨るように配設され、左右に関しては、300mmあるいはそれ以上の幅を有するものを用いればよい。
なお、本実施形態の場合、冷気通路30L、30Rの幅方向内側にカバー部材24の帯状部24L、24Rが位置しているため、両冷気通路間の距離よりも金属製部材25の左右幅は小さくなる。
ここで、上述した寸法係数W=4.1の構造において金属製部材25を配設しない場合と、寸法係数9.7の構造において金属製部材25を配設した場合とを比較した。図5(b)に示す各収納空間20a〜20cにおける温度を同一条件で測定した結果を表1に示す。なお、W=9.7のときの両冷気通路間の距離は380mmとした。
Figure 0004654168
このように、冷蔵室20の収納容積が大きくなり、W=6.0を超えるような場合であっても、金属製部材25を備えることによって、冷蔵室20内の均温化が可能となった。そして、表1の検討によれば、W=10程度までは十分な冷却が可能であることがわかった。また、これらの構成によって、冷蔵室20の平均温度も低くすることができ、省エネ性の向上が可能となった。
また、冷蔵室20の均温化によれば、冷蔵室20内に取り付けられる冷蔵室温度センサの検出値と、冷蔵室20の実際の平均温度とのバラツキを抑制でき、省エネ性に優れた構成とできる。実際、図5(b)に示すように、冷蔵室温度センサ38を収納空間20cの下に位置する収納空間に取り付けた場合に、わずかではあるが平均温度と検出値との差異を低減することができた。
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫によれば、省エネに優れて使い勝手の良い冷蔵庫を提供することができる。
本実施形態の冷蔵庫の外観斜視図である。 冷蔵室の内部構成を示す図である。 カバー部材と金属製部材の取付構造を示す図である。 カバー部材に金属製部材を取り付けた状態の斜視図である。 冷蔵室の冷気循環構造を示す図である。 本実施形態の冷蔵庫の冷却構造を示す断面図である。
符号の説明
1…冷蔵庫、10…内箱、11…外箱、20…冷蔵室、21…棚部材、22…庫内灯、23…背面部材、24…カバー部材、24M…凸形状部、24L・24R…帯状部、25…金属製部材、30L・30R…冷気通路、30a…冷気吐出口、30b…上部冷気吐出口、31…空間、32…冷気吸込口、33…断熱仕切壁、34…冷却器、35…送風機、36…冷却器室、37…制御基板、38…冷蔵室温度センサ、40…冷凍室。

Claims (5)

  1. 外箱と内箱との間に断熱材が充填されて内部を断熱空間とし、断熱空間として最上段に冷蔵室が配設された冷蔵庫において、
    前記冷蔵室の背面で左右両側に設けられ上下に延伸する冷気通路と、前記冷蔵室内を複数の収納空間に区画する棚部材と、前記冷蔵室の背面に位置し冷蔵室内を照らす庫内灯と、前記庫内灯を覆うとともに左右両側に設けられる前記冷気通路の間に位置して前記複数の収納空間に跨って取り付けられる透光性のカバー部材と、前記カバー部材に取り付けられるとともに前記複数の収納空間に跨って上下に延伸する金属製部材とを備え、
    前記カバー部材の背面側には空間が形成され、前記庫内灯はこの空間内に取り付けられるとともに前記空間の奥側の壁面には白色材又は淡色材が用いられ
    前記カバー部材は、前記庫内灯の前面に位置する凸形状部を有し、該凸形状部は前記棚部材の後端よりも手前側まで至る凸寸法としたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記カバー部材には、前面が前記金属製部材で覆われない帯状の部分が設けられて、これを帯状部とし、この帯状部が前記棚部材によって区画される複数の収納空間に跨って延伸することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記カバー部材は、前記カバー部材の左右であって帯状で上下に延伸する帯状部を有し、前記金属製部材は左右の帯状部に挟まれた部分に取り付けられており、前記帯状部は前記棚部材によって区画される複数の収納空間に跨って上下に延伸することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  4. 前記カバー部材には左右に延伸する溝が設けられ、該溝は上下に多数並べられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の冷蔵庫。
  5. 前記帯状部は、前記カバー部材が奥側に傾斜して設けられ、前記帯状部の前記冷蔵室側の空間を前記冷気通路からの冷気が吐出される冷気吐出空間としたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の冷蔵庫。
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