以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、本複写機を示す概略構成図である。この複写機は、プリンタ部1と、白紙供給装置40と、原稿搬送読取ユニット100とを備えている。原稿搬送読取ユニット100は、プリンタ部1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ110と、これに支持される原稿搬送装置たるADF120とを有している。
白紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセットから転写紙を送り出す送出ローラ43、送り出された転写紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ対45等を有している。また、プリンタ部1の給紙路37に転写紙を搬送する複数の搬送ローラ対47等も有している。そして、給紙カセット内の転写紙をプリンタ部1内の給紙路37内に給紙する。
図2は、プリンタ部1の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。プリンタ部1は、光書込装置2や、K,Y,M,C色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ部1本体に対して着脱可能になっている。ブラック用のプロセスユニット3Kを例にすると、これは、感光体4Kの他、これの表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像装置6Kを有している。また、後述するK用の1次転写ニップを通過した後の感光体4K表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置15なども有している。本複写機では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設したいわゆるタンデム型の構成になっている。
図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。なお、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、同図においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。同図に示すように、プロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置23、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ8、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクターブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ12は、ドクターブレード14との対向位置からスリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ13表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像剤担持体たる現像スリーブ12の回転に伴ってドクターブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置6として、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
ドラムクリーニング装置15としては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュウ20上に落下する。回収スクリュウ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡されたトナーを現像装置15に送ってリサイクルする。
除電ランプ22は、光照射によって感光体4を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置23によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。なお、帯電装置23としては、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いている。感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。この転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の1次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら1次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の1次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と2次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの2次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ31には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、2次転写ニップに2次転写電界が形成されている。
この2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されており、ローラ間に挟み込んだ転写紙を中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙に一括2次転写され、転写紙の白色と相まってフルカラー画像となる。2次転写ニップを通過した転写紙は、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。なお、1次転写や2次転写を行うための手段として、ローラに転写バイアスを印加する方式に代えて、スコロトロンによるチャージャー方式を採用してもよい。
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、2次転写ニップで転写紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置によって掻き取り除去される。
定着装置34に搬送された転写紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。
先に示した図1において、紙搬送ユニット22および定着装置34の下には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙が、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び2次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
プリンタ部1の上に固定されたスキャナ110は、原稿MSの画像を読み取るための読取手段として、固定読取部111と、移動読取部112とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する固定読取部111は、原稿MSに接触するようにスキャナ110のケーシング上壁に固定された図示しない第1コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、後述するADF120によって搬送される原稿MSが第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサで受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSを走査する。
一方、移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ110のケーシング上壁に固定された図示しない第2コンタクトガラスの直下であって、固定読取部111の図中右側方に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第2コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサ113で受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿を走査する。
スキャナ110の上に配設されたADF120は、本体カバー121に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台122、原稿MSを搬送するための搬送ユニット123、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台124などを保持している。スキャナ110に固定された図示しない蝶番によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ110の上面のコンタクトガラスを露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF120による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF120をスキャナ110に対して開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにしてコンタクトガラス上に載せた後、ADF120を閉じる。そして、スキャナ110の移動読取部112によってそのページの画像を読み取らせる。
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF120によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ110の固定読取部111に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台122上にセットした後、図示しないコピースタートボタンを押す。すると、ADF120が、原稿載置台122上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に搬送ユニット123内に送り、それを反転させながら原稿スタック台124に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ110の固定読取部111の真上に通す。このとき、原稿MSの画像がスキャナ110の固定読取部111によって読み取られる。
なお、先に示した図1においては、複写機をその正面側から示しており、図紙面に直交する方向における手前側、奥側が、複写機の前側、後側となる。以下、複写機内における各種部材の名称に「前」、「後」という名詞を付す場合には、複写機の前側、後側にそれぞれ搭載されて対をなす2つの部材のうち、前側のもの、後側のものであることを表している。
次に、本複写機の特徴的な構成について説明する。
本複写機では、各色のプロセスユニット3K,Y,M,Cにおいて、それぞれ感光体4の回転駆動力を、現像装置6の現像スリーブ12や搬送スクリュウ8に伝達する仕組みになっている。このような伝達を行う構成としては、特許第3599632号に記載の画像形成装置のように、感光体に設けたギヤと、現像スリーブに設けたギヤに噛み合わせる構成がある。しかしながら、かかる構成では、ギヤの噛み合い振動を感光体に伝搬させて、噛み合い周波数に応じた速度変動を感光体表面に発生させて、画像に縞状の濃度ムラを引き起こす。また、現像スリーブの回転ムラによる振動や、現像装置そのものの振動を、ギヤを介して感光体に伝搬させることによっても、感光体表面に速度変動をきたして、画像に縞状の濃度ムラを引き起こすことがある。特に、二成分現像剤を用いる現像装置では、トナー磁性とキャリアとを搬送スクリュウで攪拌したり、現像スリーブ上の二成分現像剤の層厚をドクターブレードで規制したりするのに伴って、二成分現像剤に脈動を引き起こし、これがスリーブや現像装置の振動の原因となる。そこで、本複写機では、感光体から現像スリーブに対してギヤを介して回転駆動力を伝達するのではなく、ベルトプーリーユニットを介して回転駆動力を伝達するようになっている。
図4は、プロセスユニット3の一部をプリンタ部1の前後側板とともに示す分解平面図である。なお、同図においては、便宜上、プロセスユニット3内におけるドラムクリーニング装置、帯電装置、除電ランプの図示を省略している。
図4に示すように、プリンタ部(1)内には、本体後側板1a、本体前面板1bが所定の距離をおいて互いに対面するように配設されており、プロセスユニット3は両板の間にセットされる。
プロセスユニット3内の潜像担持体たる感光体4は、ドラム状の本体部4aの周面に感光層が形成されている。この本体部4aの回転軸線方向における後端には、本体部4aとほぼ同じ径の後フランジ4bが固定されており、この後フランジ4bの回転軸線方向における後端には、後フランジ4bよりも径の小さな第1後プーリー4cが固定されている。更に、この第1後プーリー4cの回転軸線方向における後端には、丸棒状の後軸部材4dが固定されている。本体部4aの回転軸線方向における前側においても、後側と同様の構成になっており、前フランジ4e、第1前プーリー4f、前軸部材4gが固定されている。感光体4の後軸部材4d、前軸部材4gは、プロセスユニット3のケーシング3aに設けられた図示しない丸穴を貫通して、ケーシング3aの後側板、前側板から突出している。そして、後軸部材4dの後端には凸カップリングギヤ4hが固定されている。
本体後側板1aには、軸受け1cが固定されており、この軸受け1cはシャフト1dを回動自在に受けている。本体後側板1aよりも後方に向けて突き出ているシャフト後端には、原動ギヤ1eが固定されており、本体後側板1aの後方に配設されたプロセスモータ48のモータ軸ギヤ48aと噛み合っている。一方、本体前側板1aよりも前方に向けて突き出ているシャフト先端には、カップリング凹ギヤ1fが固定されている。
本複写機は、プリンタ部(1)の前面に図示しない開閉扉を有している。この開閉扉を開くことで、図4に示した本体前面板1bの前面を外部に露出させることができる。更に、本体前面板1bも扉のような開閉動作が可能になっており、本体に対して開くことで、図に示した状態から待避させて、プロセスユニット3の前面を外部に露出させることができる。プロセスユニット3をプリンタ部(1)内にセットする際には、本体前面板1bの開放によってユニットセット場所を露出させた後、プロセスユニット3を図に示した姿勢にして、前側から後側に押し込んでいく(図中矢印方向)。すると、プロセスユニット3のケーシング3aから後方に向けて突き出ている後軸部材4dの後端の凸カップリングギヤ4hが、本体後側板1aから前方に向けて突き出ているシャフト1dの先端の凹カップリングギヤ1h内に進入して両ギヤが係合する。この係合により、プリンタ部(1)内において感光体4の後端側が位置決めされる。また、プロセスモータ48の回転駆動力が、モータ軸ギヤ48と原動ギヤ1eとシャフト1dとカップリングギヤ対とを介して感光体4に伝達されるようになる。
プロセスユニット3のケーシング3aの後側板には、2つの位置決めピン3b、3cが突設せしめられており、プリンタ部(1)の本体後側板1aには、これら位置決めピンにそれぞれ対応する2つの位置決め穴が形成されている。また、ケーシング3aの前側板にも、2つの位置決めピン3d、3eが突設せしめられている。プリンタ部(1)の本体前面板1bには、これら2つの位置決めピンにそれぞれ対応する2つの位置決めピンや、感光体4の前軸部材4gに対応する感光体位置決め穴が形成されている。
プロセスユニット3をプリンタ部(1)内にセットする際には、上述のように、プリンタ本体側の凹カップリングギヤ1hと、プロセスユニット3の感光体の凸カップリングギヤ4hとが係合する。これと同時に、プロセスユニット3の後側板に突設せしめられた2つの位置決めピン3b、3cがそれぞれ本体後側板1aの位置決め穴に係合することで、プリンタ部(1)内でプロセスユニット3の後端側が位置決めされる。
このようにしてプロセスユニット3をプリンタ部(1)内にセットしたら、本体前面板1bを図示の位置まで閉じる。すると、プロセスユニット3のケーシング3aの前側板から突出している前軸部材4gが、本体前面板1bの感光体位置決め穴に係合する。これにより、プリンタ部(1)内において感光体4の先端側が位置決めされる。同時に、ケーシング3aの前側板に突設せしめられた2つの位置決めピン3d、3eが、それぞれ本体前面板1bの2つの位置決め係合穴に係合することで、プリンタ部(1)内でプロセスユニット3の先端側が位置決めされる。なお、感光体4の後軸部材4dとこれを貫通させるプロセスユニット3のケーシング3aの丸穴との間や、感光体4の前軸部材4gとこれを貫通させるケーシング3aの丸穴との間には、所定のクリアランスが形成されるようになっている。これにより、プロセスユニット3のケーシング3aは、後軸部材4dや前軸部材4gをラジアル方向(軸線に直交する方向)にある程度がたつかせながら支持する。
プロセスモータ48が回転すると、その回転駆動力がモータ軸ギヤ48aから原動ギヤ1eと、シャフト1dと、カップリング凹ギヤ1fと、カップリング凸ギヤ4hとを介して感光体4に伝達される。図示のように、原動ギヤ1eは、感光体4のドラム状の本体部4aよりも大径になっており、モータ軸ギヤ48aから原動ギヤ1eへの1段減速で本体部4aを回転させる。かかる構成では、原動ギヤ1eを感光体4の本体部4aよりも大径にすることで、小径にする場合に比べて、ギヤの噛み合いによる振動に起因する本体部4aの表面の速度変動を小さくする。これにより、本体部4aの表面の速度変動に起因する画像の濃度ムラを抑えることができる。また、ギヤの噛み合いによって感光体4を回転させることで、ベルトのスリップを発生させるおそれがあるベルトプーリー方式で感光体4を回転させる場合とは異なり、感光体4を確実に回転駆動させることができる。
なお、ギヤに偏心があったとしても、各色の感光体4のギヤ偏心位相を調整することで、色ずれを低減することが可能である。また、感光体4の本体部4aの直径をDd[mm]、原動ギヤ1eの歯数をZdでそれぞれ表すと、「Zd/π×Dd>2(但しπは円周率)」という関係式を満足させることにより、画像の濃度ムラをするような構成にすることによって、本体部4aの表面速度変動による画像の濃度ムラを目立たなくすることができる。この関係式の左辺は感光体4の駆動時のギヤ噛み合い振動による本体部4a表面の速度変動が本体部4a表面上のトナー像に発生させる濃度変動の空間周波数[cycle/mm]を示しており、この空間周波数を2以上にすることによって、濃度変動を人の目に知覚させ難くすることができる。図5は、画像の濃度変動の空間周波数と、その濃度変動に対する人の知覚感度との関係を示すグラフである。図示のように、空間周波数[cycle/mm]を相当に低周波数にするか、あるいは相当に高周波数にすることにより、濃度変動を知覚させ難くすることができる。
先に示した図4において、現像スリーブ12は、中空のスリーブ部12b、後軸部材12b、前軸部材12c、後ギャップコロ12d、前ギャップコロ12eなどを有している。後軸部材12bは、スリーブ部12bの後端から突出しており、プロセスユニット3のケーシング3aの後側板に設けられた長穴内にスライド移動可能に係合せしめられたスリーブ後軸受け3fによって回動自在に支持されている。また、前軸部材12cは、スリーブ12bの前端から突出しており、プロセスユニット3のケーシング3aの前側板に設けられた長穴内にスライド移動可能に係合せしめられたスリーブ前軸受け3gによって回動自在に支持されている。また、後ギャップコロ12dは、スリーブ部12bよりも大きな径のリング状の形状になっており、図6に示すように、スリーブ部12bの側方において、後軸部材12bに固定された後コロ軸受け12fに嵌合せしめられている。そして、後軸部材12b上で、後コロ軸受け12fを介して空転可能に支持されている。また、前ギャップコロ12eは、後ギャップコロ12dと同じ径及び形状になっており、スリーブ12bの側方において、前軸部材12cに固定された前コロ軸受け12gに嵌合せしめられている。そして、前軸部材12c上で、前コロ軸受け12gを介して空転可能に支持されている。現像スリーブ12は、後端側で後ギャップコロ12dを感光体4に突き当てつつ、前端側で前ギャップコロ12eを感光体4に突き当てることで、回転軸線方向においてスリーブ部12b表面と感光体表面との間に均一な現像ギャップGを形成することができる。この現像ギャップGの値は、「(ギャップコロ直径−スリーブ部直径)/2=G」という関係式で表すことができる。
現像スリーブ12の後軸部材12bには、後ギャップコロ12dよりも後方の箇所に第2後プーリー12hが回転不能に固定されている。また、現像スリーブ12の前軸部材12cには、前ギャップコロ12eよりも前方の箇所にプーリー軸受け12jが固定されており、これには第2前プーリーー12iが固定されている。第2前プーリー12iは、前軸部材12c上で、プーリー軸受け12jを介して空転可能に支持されている。
先に示した図4において、現像スリーブ12の図中左側方には、カムシャフト50が配設されている。このカムシャフト50は、その一端側がプロセスユニット3のケーシング3aの後側板に回動自在に支持されるとともに、他端側がプロセスユニット3のケーシング3aの前側板に回動自在に支持されている。そして、その後端側には後偏心カム51が固定されている。また前端側には、前偏心カム52が固定されている。
プリンタ部(1)の本体後側板1aには、カムモータ90が設けられており、そのモータ軸ギヤ90aを、上述のカムシャフト50の後端に設けられたシャフトギヤ50aに噛み合わせている。カムモータ90が図示しない制御手段による制御によって駆動されると、その回転駆動力がモータ軸ギヤ90aとシャフトギヤ50aとを介してカムシャフト50に伝達される。カムシャフト50が回転すると、それに伴って、後偏心カム51や前偏心カム52が回転する。
プロセスユニット3のケーシング3aの後側板内面には、後固定軸3hがケーシング内側に向けて突設せしめられており、感光体4の第1後プーリー4cや後軸部材4dの真上に位置している。そして、その根元側で、後述する後アーム53を回動自在に支持するとともに、先端部で後固定プーリー54を回動自在に支持している。また、プロセスユニット3のケーシング3aの前側板内面には、前固定軸3iがケーシング内側に向けて突設せしめられており、感光体4の第1前プーリー4fや前軸部材4gの真上に位置している。そして、その根元側で、後述する前アーム55を回動自在に支持するとともに、先端部で前固定プーリー56を回動自在に支持している。
図7は、プロセスユニット3の一部を前方から示す側面図である。同図において、現像装置6の前側では、現像スリーブ12の前軸部材12cが、プロセスユニット3のケーシング3aの長穴内にスライド移動可能に保持されるスリーブ前軸受け3gに回動自在に支持されている。また、現像装置6のケーシングの前側板からはピン6cが突出しており、これはプロセスユニット3のケーシング3aに設けられた長穴内に貫通している。プロセスユニット3の後側も、同図に示した前側と同様の構成になっている。これにより、現像装置6は、図中左右方向にスライド移動可能にプロセスユニット3に支持されている。
プロセスユニットのケーシングの前側板内面に突設せしめられた上述の前固定軸3iの根元側に回動自在に支持される前アーム55は、図示のようにL字状の平面形状になっており、その「L」字の折れ曲がり箇所が前固定軸3iによって回動自在に支持されている。そして、「L」字の長辺箇所の端部にはアームコイルバネ60が接続されており、これにより、前固定軸3iを中心にして図中反時計回り方向に回転するように引っ張られている。但し、「L」字の長辺箇所が前偏心カム52の周面に突き当たることで、回転が阻止されている。前アーム55の「L」字の短辺箇所の端部には、ピンが突設せしめられている。このピンは、前移動プーリー61を回動自在に支持している。
現像スリーブ12の第2前プーリー12iと、上述した前固定プーリー56と、前移動プーリー61とには、無端状の前平ベルト58が掛け回されている。そして、この前平ベルト58における前固定プーリー56と前移動プーリー61との間の展張箇所には、感光体4の第1前プーリー4fが当接している。図示の状態では、第2前プーリー12iと、前固定プーリー56と、前移動プーリー61とに張架された前平ベルト58には、それほどの張力がかかっていない。この状態から、上述したカムモータ(90)の駆動及び駆動停止によって前偏心カム52が約180[°]回転した姿勢になると、前アーム55がアームコイルバネ60に引っ張られて図中実線で示す姿勢から点線で示す姿勢になるように少しだけ回転する。そして、これに伴って、前移動プーリー61が現像スリーブ12の第2前プーリー12iから遠ざかるように移動する。すると、図8に示すように、前平ベルト58が前移動プーリー61の移動に伴って強いテンションで張架されるとともに、その張力により、現像スリーブ12の第2前プーリー12iが感光体4に向けて引っ張られる。そして、現像装置6の前側が感光体4に向けてスライド移動して、現像スリーブ12の図示しない前ギャップコロが感光体4表面に突き当たる。更には、前平ベルト58が感光体4の第1前プーリー4fに強く押圧されて相当の摩擦力を発揮するようになることで、第1前プーリー4fの回転に伴って無端移動せしめられるようになる。
プロセスユニット3の後側においても、図7や図8に示した前側と同様の構成になっている。そして、先に図4に示した後偏心カム51が回転すると、後アーム54に支持される図示しない後移動プーリーが現像スリーブ12の第2後プーリー12hから遠ざかるように移動する。これにより、後平ベルト57が強いテンションで張架されるとともに、その張力により、現像スリーブ12の第2後プーリー12hが感光体4に向けて引っ張られる。そして、現像装置6の後側が感光体4に向けてスライド移動して、現像スリーブ12の後ギャップコロ12dが感光体4表面に突き当たる。更には、後平ベルト55が感光体4の第1後プーリー4cに強く押圧されて相当の摩擦力を発揮するようになることで、第2後プーリー4cの回転に伴って無端移動せしめられるようになる。
感光体4の第1後プーリー4cの回転に伴って無端移動せしめられる後平ベルト57は、現像スリーブ12の第2後プーリー12hを回転させる。そして、これに伴って、現像スリーブ12が回転する。なお、感光体4の第1前プーリー4fの回転に伴って無端移動せしめられる前平ベルト58は、現像スリーブ12の第2前プーリー12iを回転させるが、第2前プーリー12iは現像スリーブ12の前軸部材12c上で空転する。このため、プロセスユニット3の前側では、前平ベルト58の無端移動によって第2前プーリー12iを回転させているものの、後側とは異なり、その回転力を現像スリーブ12のスリーブ部12aに伝えることはない。
後平ベルト57や前平ベルト58としては、スチール、ポリイミド等の樹脂、ゴム等からなる素材中に、ベルト伸びを抑えるための芯材(例えば繊維)を設けた材料からなるものを例示することができる。プーリーとの摩擦力を高める目的で、ベルトループ内側にゴム層を形成するとよい。また、各プーリーとして、平ベルトとの摩擦力を高める目的で、その周面にゴム層を被覆してもよい。
先に示した図8において、現像装置6のピン6cには、コイルバネ59が接続されており、このコイルバネ59は現像装置6を感光体4から遠ざける方向に引っ張っている。但し、このコイルバネ59による引っ張り力よりも、前平ベルト58の張力が勝っているため、現像装置6は張力によって感光体4に向けて付勢されて、現像スリーブ12の図示しないギャップコロを感光体4に当接させる。前偏心カム52が図示の状態から約180[°]回転して図7に示した状態になると、前移動プーリー61の移動によって前平ベルト58のテンションが弛む。すると、コイルバネ59の引っ張り力によって現像装置6が図中右側から左側に向けて移動して、現像スリーブ12の図示しないギャップコロが感光体4から離間する。プロセスユニット3の後側においても、図7や図8に示した前側と同様にして、後平ベルト(57)のテンションが弛むことにより、現像スリーブ12の図示しないギャップコロが感光体4から離間する。
このように後平ベルト(57)や前平ベルト58のテンションを緩める構成は、プロセスカートリッジ3をプリンタ部(1)に着脱する際に有利となる。先に示した図4では、後平ベルト57や前平ベルト58の相当なテンションがかかっている。そして、このテンションにより、感光体4の後軸部材4dや前軸部材4gと、プロセスケーシング3aの位置決めピン(3b〜3e)との間にラジアン方向の力がかかるため、位置決めピンが本体後側板1aや本体前側板1bから抜けに難くなっている。カムモータ90の回転によって後平ベルト57や前平ベルト58のテンションを緩めることで、前述のラジアン方向の力を開放して、位置決めピンを本体後側板1aや本体前側板1bから容易に抜くことができるようになる。また、取り外したプロセスユニット3内では、感光体4と現像装置6とを容易に分離して、個別に清掃作業や部品交換作業を行うことができる。
プロセスユニット3をプリンタ部(1)にセットする際には、カムモータ90の回転によって後平ベルト57や前平ベルト58のテンションを高めることで、現像装置6を感光体4に対して高精度に位置決めするとともに、感光体4もプリンタ部(1)に対して高精度に位置決めすることができる。本複写機のようなタンデム方式では、各感光体4をそれぞれ精度良く位置決めすることで、色ずれの影響を抑えることができる。
現像スリーブ12の後軸部材12bにおける後ギャップコロ12dと第2後プーリー12hとの間の箇所には、第2中間プーリー12kが固定されている。そして、この第2中間プーリー12kには、中間平ベルト62が掛け回されている。一方、現像装置6の2本の搬送スクリュウ8における後端部には、それぞれスクリュウプーリー8aが固定されている。図9に示すように、前述の第2中間プーリー12kは、現像スリーブ12の第2中間プーリー12kの他、これら搬送スクリュウ8のそれぞれのスクリュウプーリー8aにも掛け回されている。現像装置6のケーシングは、テンションプーリー63を保持しており、このテンションプーリー63は図示しない付勢手段によって中間平ベルト62のループおもて面に向けて付勢されている。これにより、中間平ベルト62にテンションが付与されている。そして、図中時計回り方向に回転駆動される現像スリーブ12の第2中間プーリー12kの回転に伴って中間平ベルト62が図中時計回り方向に無端移動せしめられる。更に、中間平ベルト62の無端移動に伴って2つのスクリュウプーリー8aがそれぞれ図中時計回り方向に回転する。これにより、2本の搬送スクリュウ8がそれぞれ図中時計回り方向に回転する。
以上の構成の本複写機においては、感光体4の第1プーリーたる第1後プーリー4c、現像スリーブ12の第2プーリーたる第2後プーリー12h、及び後平ベルト57により、感光体4や現像スリーブ12の回転軸線方向における一端側に配設された一端側ベルトプーリーユニットが構成されている。また、感光体4の第1プーリーたる第1前プーリー4f、現像スリーブ12の第2プーリーたる第2前プーリー12i、及び前平ベルト57により、感光体4や現像スリーブ12の回転軸線方向における他端側に配設された他端側ベルトプーリーユニットが構成されている。そして、現像スリーブ12を保持体たるケーシング3aによって感光体4に近づく位置と感光体4から遠ざかる位置との間でスライド移動可能に保持しながら、後平ベルト57及び前平ベルト58の張力により、現像スリーブ12をその回転軸線方向の両端側でそれぞれ感光体4に向けて引っ張る。この引っ張りにより、現像スリーブ12を感光体4に向けて付勢して、位置決め部材たる感光体4に突き当てることで、感光体4に対して位置決めする。かかる構成では、ベルトの張力を利用して現像スリーブ12を感光体4に向けて付勢することで、現像スリーブ12を付勢するための専用の付勢手段を不要にして低コスト化や小型化を図ることができる。
このように、ベルトの張力によって現像スリーブ12を付勢する場合、現像スリーブ12の一端側だけをベルトの張力によって付勢すると、次のような不具合が発生する。即ち、その一端側に付勢力を集中させる結果、一端側のギャップコロと感光体4との当接部を支点にして現像スリーブ12を回転させ、ベルトによる付勢力が作用しないスリーブ他端側を感光体4から遠ざけようとする力が働く。そして、これにより、現像スリーブ12のスキュー(傾き)が起こって、ベルトによる付勢力が作用する一端側の現像ギャップGよりも、ベルトによる付勢力が作用しない他端側の現像ギャップGを大きくしてしまう。
そこで、本複写機では、上述したように、現像スリーブ12や感光体4の一端側と他端側とにそれぞれベルトプーリーユニットを設けている。かかる構成では、現像スリーブ12の一端側だけをベルトの張力によって感光体4に向けて付勢する場合に比べて、現像スリーブ12のスキューを抑える。よって、現像スリーブ12のスキューによる現像ギャップのバラツキを抑えることができる。
本複写機のような二成分現像方式では、現像スリーブ12のスリーブ部12aと感光体4とを非接触にするとともに、感光体4の静電潜像に短時間で多量のトナーを供給する目的で、感光体4の本体部4aの線速よりもスリーブ部12aの線速を速くするのが一般的である。かかる構成では、後平ベルト57や前平ベルト58に若干のスリップが起こっても、それによる現像濃度ムラを引き起こし難い。但し、線速差を設けていない場合には、スリップによる現像濃度ムラが顕著に現れてしまう。本発明者らは、実験により、感光体4の本体部4aの表面線速をVd[mm/sec]、現像スリーブ12のスリーブ部12aの表面線速をVg[mm/sec]としたとき、「Vg/Vd>1.2」という関係式を具備する線速差を設けることで、ベルトのスリップによる現像濃度ムラを抑えつつ、本体部4aの静電潜像に十分量のトナーを供給し得ることを見出した。そこで、本複写機では、第1プーリーと第2プーリーとの周長差により、かかる関係式を具備する線速差を設けている。
なお、本複写機では、現像ギャップGにおいて、感光体4の本体部4aの表面と、現像スリーブ12のスリーブ部12aの表面とを互いに同方向に移動させるように、感光体4と現像スリーブ12とを互いに逆方向に回転させている。このようにする場合には、先に図4に示したように、ベルト(57、58)を現像スリーブ12の第2プーリー(12h、12i)に掛け回す一方で、ベルトおもて面を感光体4の第1プーリー(4c、4f)に圧接せしめる。あるいは、ベルトおもて面を現像スリーブ12の第2プーリーに圧接せしめる一方で、ベルトを感光体4の第1プーリーに掛け回す。これに対し、感光体4と現像スリーブ12とを互いに同方向に回転させる場合には、図10に示すように、ベルトを、感光体4の第1プーリーと、現像スリーブ12の第2プーリーとの両方に掛け回しながら、テンションプーリー64によってベルトにテンションを付与する。あるいは、ベルトのおもて面を第1プーリーと第2プーリーとの両方に圧接せしめながら、テンションプーリーによってベルトにテンションを付与する。
これまで、感光体4から現像スリーブ12に回転駆動力を伝達する複写機について説明したが、この逆に、現像スリーブ12から感光体4に回転駆動力を伝達する画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
また、現像スリーブ12の第2プーリーに掛け回したベルトの張力によって現像スリーブ12を感光体4に向けて引っ張る複写機について説明したが、次のような画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。即ち、ベルトのおもて面をベルトループ内側に向けて湾曲させるようにそのおもて面に圧接せしめた第2プーリーをベルトの張力によって押し返すことで、ベルトを感光体4に向けて付勢する画像形成装置である。
以上、本実施形態に係る複写機では、ベルトプーリーユニットとして、潜像担持体たる感光体4や現像剤担持体たる現像スリーブ12の回転軸線方向における一端側に配設された一端側ベルトプーリーユニットと、他端側に配設された他端側ベルトプーリーユニットとを設けている。かかる構成では、上述したように、現像スリーブ12の一端側だけをベルトの張力によって感光体4に向けて付勢する場合に比べて、現像スリーブ12のスキューを抑える。よって、現像スリーブ12のスキューによる現像ギャップのバラツキを抑えることができる。
また、本複写機では、ベルト(57、58)に向けて付勢されながらそのベルト(57、58)にテンションを付与する移動可能なテンション部材たる移動プーリー(61)を、一端側ベルトプーリーユニット及び他端側ベルトプーリーユニットにそれぞれ設けている。かかる構成では、移動プーリー(61)に対する付勢力を解除することで、ベルト(57、58)のテンションを緩めて、現像スリーブ12と感光体4とを容易に分離することができる。
また、本複写機では、一端側ベルトプーリーユニット及び他端側ベルトプーリーユニットの何れか一方における第2プーリーである第2前プーリー12iを、現像スリーブ12の回転軸部材たる前軸部材12cで空転可能にしている。かかる構成では、この空転により、他端側ベルトプーリーユニットによる感光体4から現像スリーブ12への駆動伝達を行わないようにすることで、一端側と他端側とでプーリー径やベルトの厚みなどに誤差によって第2プーリーを互いに異なる速度で回転させたとしても、その回転速度差を現像スリーブ12の回転駆動速度に反映させることがない。これにより、一端側と他端側との第2プーリーの回転速度差による現像スリーブ12の不規則な速度変動を回避することができる。
また、本複写機では、一端側ベルトプーリーユニット及び他端側ベルトプーリーユニットにおける第1プーリーと第2プーリーとの周長比により、現像スリーブ12の表面線速を、感光体4の表面線速の1.2倍以上にしているので、上述したように、ベルトのスリップによる現像濃度ムラを抑えつつ、感光体4の静電潜像に十分量のトナーを供給することができる。