JP4653683B2 - 斜軸式液圧回転装置及び旋回機構 - Google Patents
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Description
斜軸式液圧回転装置は、ハウジングに対してドライブシャフトが回転自在に軸支され、このドライブシャフトの端部にドライブディスクが設けられ、このドライブディスクの回転軸に対して軸が傾斜し、該軸周りに複数のピストンが係合する構成である。
そして、複数のピストンのいずれかを油圧によりドライブディスクに対して突出させると、反対側のピストンがドライブディスクから離れる方向に縮み、ドライブディスクが回転することにより、ドライブシャフトが回転軸周りに回転する。
このため、ドライブディスクに半球面状の凹球面軸受部を形成し、ピストンの先端には球面状係合部を形成しておき、球面状係合部を凹球面軸受部に挿入した後、凹球面軸受部の開口寸法よりも小さな孔が形成されたリテーナをドライブディスクに取り付け、ピストンの抜けを防止している。
しかしながら、このような従来の構成では、リテーナという部材が常に必要となるため、部品点数が多くなってしまうという問題がある。
そして、軸溝部にピストンのロッドを合わせてピストンを挿入し、挿入後は、ピストンを角形の有底穴の対辺側に傾斜させると、ピストンが隠蔽部分で係合し、ドライブディスクに対するピストンの抜けを防止することができる。
従って、このような技術によれば、ドライブディスクに対する傾斜位置を変更するだけで、ドライブディスクに対するピストンの抜けを防止することができるため、リテーナが必要とならず、部品点数の低減及び組立工程の簡素化を図ることができるという利点がある。
ハウジングと、
このハウジングに回転自在に軸支され、回転中心上に形成される凹球面軸受部、及び該回転中心周りに複数の凹球面軸受部が形成されたドライブディスクを有するドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトの回転軸に対して軸が傾斜して配置され、先端に前記ドライブディスクの中心の凹球面軸受部と係合する球面状係合部が形成され、基端が前記ハウジングに接続されるセンターシャフトと、
このセンターシャフトに回転自在に取り付けられ、前記センターシャフトの軸方向に沿って延びるシリンダが該センターシャフト周りに複数形成されたシリンダブロックと、
このシリンダブロックの各シリンダに進退自在に挿入され、前記ドライブディスクの回転軸周りの凹球面軸受部と係合する球面状係合部が先端に形成された複数のピストンとを備え、
前記凹球面軸受部は、球面中心が前記ドライブシャフトの軸方向内側にオフセットされ、該ドライブディスク端面の開口寸法が内部の最大径寸法よりも小さくなっていて、
前記球面状係合部には、球面の直径円周方向に沿って一周分切り欠いて形成され、前記凹球面軸受部の開口寸法よりも小さい径寸法の切削面が形成されていることを特徴とする。
前記切削面は、前記凹球面軸受部のオフセット寸法の略2倍の幅寸法を有することを特徴とする。
第3発明に係る斜軸式液圧回転装置は、第1発明又は第2発明において、
前記切削面は円柱側面形状であることを特徴とする。
第4発明に係る斜軸式液圧回転装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、
前記切削面は、前記センターシャフト又は前記ピストンの軸周りに形成されていることを特徴とする。
第5発明に係る斜軸式液圧回転装置は、第4発明において、
前記センターシャフト又は前記ピストンが前記ドライブディスクに係合されたときに、前記切削面の一部が前記凹球面軸受部の開口から露出していることを特徴とする。
基体と、この基体上に設けられる旋回体を旋回させる旋回機構であって、
第1発明乃至第5発明のいずれかに記載の斜軸式液圧回転装置を備えていることを特徴とする。
また、ドライブディスクには、球面状の穴を開けるだけでよく、球面状係合部の外周部分を切削加工するだけでこのような抜けを防止できる構造を実現できるため、加工に手間がかかるということもない。
第3発明によれば、切削面が円柱側面形状に形成されることにより、切削バイト等で球面状係合部に簡単に切削面を形成することができるため、加工手間を一層軽減することができる。
第4発明によれば、切削面がセンターシャフト又はピストンの軸周りに形成されることにより、挿入時はドライブシャフトの回転軸にセンターシャフト又はピストンの軸の方向を合わせて球面状係合部を凹球面軸受部に挿入し、その後、傾斜させれば係合させることができるため、視認しながら作業を行い易く、組立性が一層向上する。
第6発明によれば、旋回機構が前述した第1発明乃至第4発明の斜軸式液圧回転装置を備えていることにより、前述した効果と同様の効果を享受できる旋回機構とすることができる上、斜軸液圧回転装置の構造の簡素化により、斜軸液圧回転装置の小型化を図り、旋回機構全体の小型化を期待することができる。
〔1〕作業機械の全体構成
図1には、本発明の実施形態に係る作業機械としての油圧ショベル1が示されている。この油圧ショベル1は、車両本体2と、走行装置3と、作業機4と、作業機械用キャブ5とを備えて構成される。
車両本体2は、フレーム上に作業機4、作業機械用キャブ5、エンジン21、及び図示を略したが、エンジン21によって駆動される油圧回路を搭載しており、車両前方側に作業機4が設けられ、車両略中央部に作業機械用キャブ5、車両後方側にエンジン21が設けられている。
走行装置3は、車両本体2の下部に設けられ、車両本体2を水平方向に回転自在に支持している。この走行装置3は、フレーム(図示略)の側方に設けられ、車両走行方向に沿って延びる一対の走行体30を備えており、各走行体30は、駆動輪31、遊動輪32、下部転輪33、上部転輪34、及びこれらに巻装される履帯35を備えて構成されている。
また、車両本体2には、ブーム41に沿ってブームシリンダ44が揺動自在に設けられ、ブームシリンダ44の先端部分は、ブーム41の略中央部分に接続されている。ブーム41の略中央の湾曲部分には、アームシリンダ45がブーム41に対して揺動自在に設けられ、その先端部分には、アーム42の基端部分に接続されている。
さらに、アーム42の基端部分には、バケットシリンダ46が揺動自在に設けられ、バケットシリンダ46の先端部分は、バケット43の基端部分に接続されている。
そして、前述した車両本体2及び走行装置3の間には、図1では図示を略したが旋回機構6が設けられており、車両本体2上の油圧回路をから圧油が供給されることで走行装置3に対して車両本体2を旋回させることができるようになっている。
旋回機構6は、図2に示されるように、車両本体2のフレーム22上に取り付けられ、出力軸61の軸周りに設けられたピニオン62を、走行装置3側に設けられた旋回輪36に設けられた歯車37に噛合させ、出力軸61の回転により車両本体2を走行装置3に対して旋回させる。
具体的には、この旋回機構6は、前述した出力軸61及びピニオン62の他、支持ハウジング63、遊星歯車減速機64、及び旋回モータ7を備えて構成される。
この支持ハウジング63の内部の上下端部には、転がり軸受634、635が設けられており、出力軸61を回転自在に保持している。また、支持ハウジング63の底部近傍側面には、開口部636が形成され、ピニオン62が露出しており、走行装置3側の歯車37に噛合している。
このように支持ハウジング63に支持された出力軸61の上端には、遊星歯車減速機64が設けられている。
この遊星歯車減速機64のサンギアには、詳しくは後述するが、遊星歯車減速機64の上部に設けられる旋回モータ7のドライブシャフトが接続される。
そして、旋回モータ7のドライブシャフトの回転は、遊星歯車減速機64を介して減速され、出力軸61の回転に変換され、旋回輪36の歯車37と噛合するピニオン62が回転することにより、走行装置3上で車両本体2が旋回する。
斜軸液圧式回転装置としての旋回モータ7は、図3に示されるように、ハウジング71、ドライブシャフト72、センターシャフト73、シリンダブロック74、及び複数のピストン75を備えて構成され、複数のピストン75のドライブシャフト72に対する進退動作によってドライブシャフト72を回転させる。
ハウジング71は、下部ハウジング76及び上部ハウジング77を備え、両者はボルト78によって締結結合される。
この下部ハウジング76の内部には、転がり軸受763、764、765及びシール部材766が設けられており、転がり軸受763、764、765は、ドライブシャフト72をハウジング71内で回転自在に支承する。また、シール部材766は、ドライブシャフト72の基端外周を囲むように配置され、下部ハウジング76内部の下の空間とは、このシール部材766の位置を境に流体が移動することを規制している。
圧油流路771は、前述した車両本体2に設けられる油圧回路からの作動油が供給排出される部分であり、この圧油流路771は、上部ハウジング77の外面で入口ポート及び出口ポートとして開口している。また、圧油流路771は、上部ハウジング77の内面で開口しており、作動油は、下部ハウジング76の上側と、上部ハウジング77内部とで構成される密閉空間内に供給される。尚、具体的な開口位置は、前述した雌ねじ穴772の近傍と、入口ポート及び出口ポートが合流する圧油流路771内の空間の下部である。
雌ねじ穴772は、ドライブシャフト72の回転軸に対して傾斜した角度、略35degで穿設されている。
ドライブディスク722の基端側端面には、図4に示されるように、円板状のドライブディスク722の中心部分に1箇所、その周りに7箇所の凹球面軸受部723が形成されている。
凹球面軸受部723は、ドライブディスク722の端面に、エンドミル等により加工形成される凹球面状の有底穴として形成され、球面中心がドライブディスク722の端面から内側に沈んだ位置とされ、開口寸法D1に対して、球の直径、すなわち内部の最大径D2の方が大きな寸法となっている。
球面状係合部731は、ドライブディスク722の中心部分に形成された凹球面軸受部723に、回転自在に挿入され、雄ねじ部732は、上部ハウジング77の雌ねじ穴772に螺合して固定されている。このため、センターシャフト73は、ドライブシャフト72の回転軸に対して常に略35deg傾斜した状態で係合し、ドライブシャフト72の基端部分を支承している。尚、球面状係合部731の詳細な寸法は後述する。
センター孔741には、前記のセンターシャフト73が挿入され、センターシャフト73に対してシリンダブロック74は回転自在に支持される。センターシャフト73が雌ねじ穴772に螺合されると、シリンダブロック74は、センターシャフト73の先端部近傍の段部によってセンターシャフト73の軸方向先端側への動きが規制される。また、このセンター孔741の中間部分にはコイルスプリング743が設けられ、シリンダブロック74をセンターシャフト73の基端側に付勢している。
シリンダ孔742は、センター孔741に沿って延びる孔として構成され、基端側には油圧供給用の孔744が形成されている。この孔744には、前記の上部ハウジング77の内面に形成された圧油流路771からの作動油が供給され、作動油が供給されると、シリンダ孔742内に挿入されるピストン75を先端側に押し出すことができる。
すなわち、凹球面軸受部723の球面中心Oは、ドライブディスク722の端面から内側に寸法L1だけオフセットされた位置に設定され、凹球面軸受部723の開口寸法D1は、内部の球径寸法D2よりも小さくなっている。
一方、ピストン75の先端の球面状係合部751の球形寸法D3は、凹球面軸受部723の内部の球形寸法D2よりも僅かに小さく、かつ、開口寸法D1よりも大きな寸法に設定されている。このままでは、球面状係合部751を凹球面軸受部723に挿入できないので、球面状係合部751には、外周面の一部をバイト等により切削して切削面753が形成されている。
また、ハウジング71内部の作動油は、ピストン75に形成された貫通孔752から凹球面軸受部723内部に供給される他、露出した切削面753を介して内部に供給され、球面状係合部751及び凹球面軸受部723の摺動性が一層向上することとなる。
次に、前述した構造の旋回モータ7の組立手順について説明する。
(1) まず、下部ハウジング76内にドライブシャフト72と取り付けた後、図6に示されるように、下部ハウジング76を垂直方向に対して略35deg傾斜した状態でチェーンブロック等の揚重機により吊り上げた状態とする。
(2) 次に、図5に示されるような方向から、センターシャフト73、ピストン75の球面状係合部731、751を、ドライブディスク722の凹球面軸受部723に挿入する。挿入されると、センターシャフト73、ピストン75は、軸が重力により鉛直方向に向き、凹球面軸受部723から抜けなくなる。
(4) そして、揚重機を操作して、下部ハウジング76を上部ハウジング77上に移動させ、下降させつつ、センターシリンダ73、ピストン75をシリンダブロック74の各孔に挿入し、センターシリンダ73を回転させて上部ハウジング77に対して螺合固定する。
(5) 最後に、下部ハウジング76の外周部分に形成された孔にボルトを挿入して、上部ハウジング77の外周部分に形成された雌ねじ穴にボルトを螺合固定して、一体化させる。
次に、前述した旋回モータ7の作用について、図3を参照しながら説明する。
圧油流路771のシリンダブロック74及び上部ハウジング77内面間における作動油吐出用の開口は、シリンダブロック74からの突出量が少ないピストン75の裏面側で開口され、作動油は、突出量の少ないピストン75の孔744を介してシリンダ孔742内に供給される。尚、裏面開口部の1/2周は圧油の供給口であるが、残り1/2周は作動油タンクへの戻り回路に接続されている(図示せず)。
シリンダ孔742内に作動油が供給されると、油圧によりピストン75は、ドライブディスク722に斜め押し力を付与するが、その範囲は前述の通り1/2である。
この際、突出量の大きなピストン75は、シリンダブロック74の回転により、シリンダ孔742内部に収納される。尚、本実施形態では、作動油の供給は、7本あるうちの略半分に供給されるようになっている。
また、図6に示されるように、ドライブディスク722にセンターシャフト73及びピストン75を装着した後は、下部ハウジング76を傾斜させた状態で揚重するだけで、簡単に旋回モータ7を組み立てることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、切削面753は円柱側面状に形成されていたが、これに限らず、要するに凹球面軸受部の開口寸法よりも切削面部分の寸法が小さければよく、曲面状に切削面を形成してもよい。
また、前記実施形態では切削面753をピストン75の軸周りに形成していたが、これに限らずピストンの軸に対して傾斜した位置に形成してもよい。但し、この場合、形成できる範囲は、ピストンの軸部が凹球面軸受部の開口端縁に干渉しない位置とする必要がある。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
Claims (6)
- ハウジングと、
このハウジングに回転自在に軸支され、回転中心上に形成される凹球面軸受部、及び該回転中心周りに複数の凹球面軸受部が形成されたドライブディスクを有するドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトの回転軸に対して軸が傾斜して配置され、先端に前記ドライブディスクの中心の凹球面軸受部と係合する球面状係合部が形成され、基端が前記ハウジングに接続されるセンターシャフトと、
このセンターシャフトに回転自在に取り付けられ、前記センターシャフトの軸方向に沿って延びるシリンダが該センターシャフト周りに複数形成されたシリンダブロックと、
このシリンダブロックの各シリンダに進退自在に挿入され、前記ドライブディスクの回転軸周りの凹球面軸受部と係合する球面状係合部が先端に形成された複数のピストンとを備え、
前記凹球面軸受部は、球面中心が前記ドライブシャフトの軸方向内側にオフセットされ、該ドライブディスク端面の開口寸法が内部の最大径寸法よりも小さくなっていて、
前記球面状係合部には、球面の直径円周方向に沿って一周分切り欠いて形成され、前記凹球面軸受部の開口寸法よりも小さい径寸法の切削面が形成されていることを特徴とする斜軸式液圧回転装置。 - 請求項1に記載の斜軸式液圧回転装置において、
前記切削面は、前記凹球面軸受部のオフセット寸法の略2倍の幅寸法を有することを特徴とする斜軸式液圧回転装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の斜軸式液圧回転装置において、
前記切削面は、円柱側面形状であることを特徴とする斜軸式液圧回転装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の斜軸式液圧回転装置において、
前記切削面は、前記センターシャフト又は前記ピストンの軸周りに形成されていることを特徴とする斜軸式液圧回転装置。 - 請求項4に記載の斜軸式液圧回転装置において、
前記センターシャフト又は前記ピストンが前記ドライブディスクに係合されたときに、前記切削面の一部が前記凹球面軸受部の開口から露出していることを特徴とする斜軸式液圧回転装置。 - 基体と、この基体上に設けられる旋回体を旋回させる旋回機構であって、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の斜軸式液圧回転装置を備えていることを特徴とする旋回機構。
Priority Applications (1)
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JP2006082408A JP4653683B2 (ja) | 2006-03-24 | 2006-03-24 | 斜軸式液圧回転装置及び旋回機構 |
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Citations (3)
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---|---|---|---|---|
JPH0599129A (ja) * | 1991-01-16 | 1993-04-20 | Komatsu Ltd | 斜軸式ピストンポンプ・モータのピストン部材 |
JPH11210023A (ja) * | 1998-01-26 | 1999-08-03 | Hitachi Constr Mach Co Ltd | 建設機械の油圧駆動装置 |
JP2005201221A (ja) * | 2004-01-19 | 2005-07-28 | Hitachi Constr Mach Co Ltd | 斜軸式液圧回転機 |
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- 2006-03-24 JP JP2006082408A patent/JP4653683B2/ja not_active Expired - Fee Related
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