JP4653090B2 - Fshグリコシル化突然変異 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、濾胞刺激ホルモン活性を示すポリペプチドに、かかるポリペプチドを調製するための方法に、そしてかかるポリペプチドを治療、特に繁殖障害の治療において使用することに関連する。
2.関連技術
a.ゴナドトロピン
濾胞刺激ホルモン(FSH)は、ヒトの生殖においてキーとなる役割を果たすゴナドトロピンのファミリーの構成員である。ゴナドトロピン、そしてまた黄体形成ホルモン(LH)及び絨毛性ゴナドトロピン(CG)などは、ヘテロダイマーであり、各々共通するα-サブユニット(92アミノ酸)及び独特のβ-サブユニット(FSH中111アミノ酸)からなる。α及びβサブユニットの成熟形態のアミノ酸配列は、配列番号.1及び配列番号.2にそれぞれ示されている。
ヒトFSHは、下垂体及び閉経後の尿(EP 322,438)から単離され且つ哺乳類細胞において組換えによって生産されてきた(US 5,639,640, US 5,156,957, US 4,923,805, US 4,840,896, US 5,767,251, EP 211,894及びEP 521,586)。後者はヒトFSHβサブユニット遺伝子をも開示する。US 5,405,945は、イントロンを一つのみ含んで成る修飾ヒトα-サブユニット遺伝子を開示する。
Liuら, J Biol Chem 1993,15 ; 268 (2): 21613-7, Grossmannら, Mol Endocrinol 1996 10 (6): 769-79, RothとDias (Mol Cell Endocrinol 1995 1; 109 (2): 143-9, Valoveら, Endocrinology 1994; 135 (6): 2657-61, Yooら, JBiol Chem 1993 25; 268 (18): 13034-42), US 5,508,261及びChappelら, 1998, ヒト Reproduction, 13 (3): 1835 は、FSHの様々な、構造-機能の関係を研究し且つFSHのレセプター結合及び活性化及びダイマー化に関わるアミノ酸残基を同定することを開示する。
b.介助生殖技術におけるゴナドトロピンの使用
ゴナドトロピンは、生殖サイクルにおける重要な役割を果たし、そしてそれらの外来療法における使用は介助保護技術(ART)の、例えば、in vitro生殖(IVF)、細胞質内精子注入(IVF/ICSI)及び胚移植(ET)、並びに排卵誘発(OI)との関係において、天然に又は子宮膣内受精(IUI)のいずれかを介するin vivo生殖を受ける無排卵患者において重要である。
US4,589,402及びUS4,845,077は、LHを含まない精製されたFSH及びその生殖における使用を開示する。EP 322 438は、LH活性を実質上ともなわない6200U/mg以上のFSH活性をともなうタンパク質を開示し、ここでFSH α-サブユニット及びβサブユニットは、それぞれ、野生型又はその所定のトランケーション形態でありうる。
長期療法は、女性において濾胞形成を刺激する治療効果、典型的に、8〜10日連続の、そして時には最大21日に渡り治療効果を達成するために、そして最大18月に渡り低ゴナドトロピン性性機能低下症の男性において精子形成を誘導するため必須である。組換えhFSHは、典型的にi.m.又はs.c.日常注射として投与されており、不快症状及び局所注射部位反応の潜在性をともなう。投与の頻度を下げることは、治療を促し且つゴナドトロピン投与を一層好都合にし、一層寛容且つ患者フレンドリーにする。
c.FSHのグリコシル化
ゴナドトロピンは、糖タンパク質であり、そして各サブユニットは、in vivo活性及び機能のために重要であるアスパラギン結合した(N-結合した)オリゴ糖側鎖を有する。ポリペプチドに対する炭水化物の添加(グリコシル化)は、翻訳後事象であり、それは特異的アスパラギン(N結合)又はセリン/スレオニン(O結合)アミノ酸に対して糖鎖の添加をもたらす。糖タンパク質のタンパク質部分の不変アミノ酸配列とは対照的に、炭水化物構造は、可変であり、微小不均一性に言及される特徴である。例えば、同じタンパク質のN-グリコシル化部位は、様々な炭水化物構造を含みうる。更に、ある糖タンパク質上の同じグリコシル化部位においてさえ、様々な炭水化物構造が発見されうる。この不均一性は、炭水化物の非テンプレート特異的合成の結果である。
タンパク質のN-グリコシル化は、特にコンセンサスパターン Asn-Xaa-Ser/Thrで生じ、そしてより少ない程度でコンセンサスパターンAsn-Xaa-Cysで生じ、ここでXaaは任意のアミノ酸残基であって良い。しかし、コンセンサストリペプチドの存在は、アスパラギン残基がグリコシル化されるだろうことを確実にするために十分ではない。例えば、Asn-Pro-Ser/Thr配列のN-グリコシル化は、Asn-Xaa-Ser/Thrの他のコンセンサスパターンよりも50回少ない割合で生じる。
ヒトFSHは、4つのN-結合グリコシル化部位を有し:2つは位置52及び78における共通のサブユニット上でありそして2つは位置7及び24におけるβサブユニット上にある。FSHのサブユニットに対して結合した炭水化物は、ダイマー集成、統合性、分泌及びシグナル伝達のために重要であり、一方でβ-サブユニット炭水化物は、この循環からのダイマー集成、分泌、及びヘテロダイマーの一掃のために重要である。
Galwayら., Endocrinology 1990; 127 (1): 93-100は、FSH変異体であって、N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼ-I CHO細胞系統又はシアル酸輸送欠損CHO細胞系統において生産された変異体は、野生型細胞によって分泌されたFSHと又は精製された下垂体FSHと同じくらいin vitroで活性であるが、in vivo活性を欠き、それはおそらく、血清において、不十分にグリコシル化された変異体が迅速に掃き出されることによる推定される。D'Antonioら, Human Reprod 1999; 14 (5): 1160-7には、血流中を循環する様々なFSHイソ型が記載されている。このイソ型は、同一のアミノ酸配列を有するが、翻訳後修飾の程度が異なる。酸性イソ型基がより少ないことが、酸性イソ型基と比べてより早いin vivoクリアランスを有することが発見され、それは酸性イソ型同士のシアル酸含量の違いによる可能性がある。更に、Bishopら,Endocrinology 1995; 136 (6): 2635-40 は、循環半減期は見かけ上in vitro活性の一次決定因子であるとの結論を出した。これらの観察により、FSHの半減期は、ポリペプチドのサリチル酸含量を高めるために、更なるグリコシル化部位を導入することによって、高めることができるという仮説が導かれる。
d.FSH変異体
半減期の増加したFSHアゴニストは、hCG(CTP)のカルボキシ末端ペプチドを天然組換えヒトFSH(rhFSH)へ融合することによって開発されてきた。CTP成分は112-118〜145アミノ酸からなり、位置121、127、132及び138に4つのO-結合グリコシル化部位を伴う。US5,338,835及びUS5,585,345は、hCGのCTP成分を伴うC末端Gluにおいて広がる修飾FSH /3-サブユニットを開示する。生じる修飾類似体は、天然FSHの生物活性のみならず、長期循環半減期を有すると述べられている。US5,405,945は、hCGp-サブユニット又はその変異体のカルボキシ末端は、CG、FSH、及びLHを一掃することに対する有意な効果を有する。
US5,883,073は、CG、TSH、LH及びFSHに対するアゴニスト又はアンタゴニスト活性を有する2つのα-サブユニットからなる単鎖タンパク質を開示する。US5,508,261は、糖タンパク質ホルモンα-サブユニットを含んで成るLH及びFSHレセプターに対する結合親和性を有するヘテロダイマーポリペプチド及び天然生ずるOサブユニットポリペプチドを開示し、ここで、β-サブユニットポリペプチドは、4個の結合した配列を含んで成るアミノ酸の鎖であり、その各々は特異的配列のリストから選択される。Kleinら(2003)は、半減期が増加したFSHの単鎖アナログを開示し、ここでα-サブユニット及びβ-サブユニットは、2つのN結合グリコシル化部位を含むオリゴペプチドによって結合している。
WO01/58493は、FSHのin vivo半減期を増加する試みにおいて、FSHのαサブユニットにおいて生じうる51の突然変異及びFSHのαサブユニットにおいて生じる77の突然変異を開示する。WO01/58493は、突然変異α-サブユニット及びβ-サブユニットは、個別に(1更なるグリコシル化部位)又は組み合わせ(2更なるグリコシル化部位)において使用されて良いことを開示する。128の候補突然変異は、hCGの構造並びhCGとFSHのβ-サブユニットの間で同一性が32%しかないにもかかわらずFSH及びhCGの配列アライメント基づいて生じたFSHの3D構造のモデル50個を使用することによって同定されて良い。WO 01/58493は、グリコシル化部位が部位特異的突然変異誘発により誘導されたFSHのα-サブユニット又はβ-サブユニットの生産又は試験を何ら開示しない。
FSHの治療上関連のある効果の一部又は全部を供し、現在入手可能であるFSH産物に比較してより少ない頻度で投与されて良く、そして現在の処理によって達成可能であるよりも一層安定なレベルの循環するFSH活性を好適に提供する産物に対して臨床上の要請がある。
本発明は、かかる産物並びにかかる産物を製造する方法に向けられている。
発明の概要
本発明は、突然変異FSHに関連し、ここで当該FSHα-サブユニットは、配列番号3の配列を含んで成り、そしてここで当該FSHβ-サブユニットは、配列番号4の配列を含んで成る。突然変異FSHは、当該突然変異FSHの0、1、2、3、4、5又は6つのアスパラギン残基においてNグリコシル化されていて良い。突然変異α-サブユニットのN83は、グリコシル化されて良い。突然変異β-サブユニットのN55は、グリコシル化されていて良い。
本発明は、配列番号3の配列を含んで成るFSHα-サブユニット突然変異をコードする単離されたDNAにも関連する。本発明は、配列番号4の配列を含んで成るFSHβ-サブユニット突然変異をコードする単離されたDNAにも関連する。
本発明は、配列番号3の配列を含んで成るFSHα-サブユニット突然変異をコードするDNAを含んで成るベクターにも関連する。このベクターは発現ベクターであって良い。
本発明は、配列番号4の配列を含んで成るFSHβ-サブユニット突然変異をコードするDNAを含んで成るベクターにも関連する。このベクターは発現ベクターであって良い。
本発明は、第一のDNA及び第二のDNAを含んで成るベクターにも関連し、ここで当該第一のDNAは、配列番号3の配列を含んで成るFSHα-サブユニット突然変異をコードし、そしてここで第二のDNAは配列番号4の配列を含んで成るFSHβ-サブユニット突然変異をコードする。このベクターは、発現ベクターであって良い。
本発明は、配列番号3の配列を含んで成るFSHα-サブユニット突然変異をコードするDNAを含んで成る細胞にも関連する。このベクターは発現ベクターであって良い。細胞は哺乳動物細胞でありうる。
本発明は、配列番号4の配列を含んで成るFSHβ-サブユニット突然変異をコードするDNAを含んで成る細胞にも関連する。このベクターは哺乳類細胞であって良い。細胞は哺乳類細胞であって良い。
本発明は、第一のDNA及び第二のDNAを含んで成る細胞にも関連し、ここで当該第一DNAは配列番号3の配列を含んで成るFSHα-サブユニット突然変異をコードし、そして当該第二のDNAは配列番号4の配列を含んで成るFSHβ-サブユニット突然変異をコードする。このベクターは、発現ベクターであって良い。細胞は哺乳類細胞であって良い。
本発明は、第一及び第二のベクターを含んで成る細胞にも関連し、ここで当該第一ベクターは配列番号3の配列を含んで成るFSHα-サブユニット突然変異をコードするDNAを含んで成り、そして当該第二のベクターは配列番号4の配列を含んで成るFSHβ-サブユニット突然変異をコードするDNAを含んで成る。このベクターは、発現ベクターであって良い。細胞は哺乳類細胞であって良い。
本発明は、タンパク質をグリコシル化できる哺乳類細胞を培養することを含んで成るFSH突然変異を生産するための方法にも関連し、ここで当該細胞は、配列番号1の配列を含んで成るFSHα-サブユニットをコードするDNAを含んで成る第一の発現ベクター及び配列番号2の配列を含んで成るFSHβ-サブユニットをコードするDNAを含んで成る第二の発現ベクターを含んで成る。
本発明は、FSH突然変異及び医薬的に許容できる担体又は賦形剤を含んで成る医薬組成物に関連し、ここでFSHα-サブユニットは、配列番号3の配列を含んで成り、そして前記FSHβ-サブユニットは配列番号4を含んで成る。
本発明は、不妊哺乳動物を治療する方法であって、有効な量の突然変異FSHを、それを必要とする動物に対して投与することを含んで成り、ここで当該FSHα-サブユニットは、配列番号3の配列番号を含んで成り、そして当該FSH サブユニットは配列番号4の配列を含んで成る方法に関連する。
本発明は、哺乳動物における濾胞形成を刺激する方法に関連し、当該方法は、有効な量の突然変異FSH突然変異を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含んで成り、ここで当該FSHβ-サブユニットは配列番号3の配列を含んで成り、そして当該FSHβ-サブユニットは配列番号4の配列を含んで成る。
本発明は、哺乳動物における卵巣過剰刺激症候群を誘導する方法に関連し、当該方法は、有効な量の突然変異FSH突然変異を、それを必要とする哺乳動物に対して投与することを含んで成り、ここでFSHαサブユニットは、配列番号3の配列を含んで成り、そしてここで当該FSHβ-サブユニットは、配列番号4の配列を含んで成る。
発明の詳細な説明
FSHの炭水化物含量を増加させることは、in-vivo半減期の増加をもたらすことが示されている一方で、FSHの半減期を向上させることは、単に更なるグリコシル化部位を加えることよりも一層複雑である。グリコシル化コンセンサス配列は、炭水化物付加のために欠かせない一方で、炭水化物付加部位が確実に使用されるだろうために十分ではない。他の因子の例えば、生合成の間の局所タンパク質ホールティング及びコンホメーションは、オリゴ糖があるコンセンサス配列部位に結合したかどうかを決定する。加えて、コンセンサス配列は、所定の部位のグリコシル化がレセプター結合と干渉しない、又は糖タンパク質のホールディング、コンホメーション又は安定性を損わないような位置になければならない。
この点に対して、半減期が増加したFSH類似物は、ポリペプチドの融合タンパク部分は更なるグリコシル化部位を含んだ融合タンパク質に限定されている。ここでしかし、増加した半減期を有するFSH類似物は、部位特異的突然変異誘発によるグリコシル化部位の導入によって生産されてはいない。
FSHの構造的知見は、部位特異的突然変異誘発によってグリコシル化部位を付加する際に重要であり、何故なら、コンセンサス残基が炭水化物付加と適合する位置に加えられる必要があるからだ。もしグリコシル化部位が突然変異誘発によって導入された場合、突然変異した残基は、タンパク質の三次構造を中断するべきではなく又はタンパク質の所望の機能、例えば、レセプター結合又は活性化を実質上損うべきでない。更に、コンセンサス残基は、折りたたまれたタンパク質構造の内部に埋め込まれないように付加されるか、さもなければグリコシル化が特定の部位で生じないように付加されるべきである。
最近まで、ゴナドトロピンの三次構造はhCGの結晶構造の2つの独立した報告に限定されていた。それは:部分的脱グリコシル化されたhCGの一つの構造(Lapthomら,1994 ; Wuら,1994)及び完全グリコシル化されたhCGと2つのFv断片の低解像度構造の三元複合体(Tegoniら,1999)である。
hCGとFSHは本質的に同一の折りたたみパターンを有するが、2つの構造は、有意に異なり(Foxら, 2001)、そしてFSH分子に対する個々のアミノ酸残基の詳細な構造は、先に決定されたhCG構造から適切にモデル化することができない(Wuら, 1994; Lapthomら, 1994)。
本発明は、ヒト FSH分子(Foxら, 2001)の3D結晶構造によってのみ単独で設計されたFSH突然変異に向けられている。本発明のFSH 突然変異(「GM-1」)は、以下の更なるグリコシル化認識部位を導入するために修飾されている。その部位とは: αサブユニットのH83N及びβサブユニットのE55N/V57Tである。組換えFSHの1又は複数の更なるグリコシル化部位がグリコシル化されて良い。突然変異FSHの1又は複数の更なるグリコシル化部位はin vitro又はin vivoでグリコシル化されて良い。
本発明のFSH突然変異は、当業者に公知の任意の方法によって生産されて良い。これらの方法としては、適切なトランスフェクションホスト中で各々のFSH 突然変異をコードするし且つアミノ酸配列を発現させるヌクレオチド配列の構築を含む。本発明のFSH 突然変異は、化学合成によって又は化学合成と組換えDNA技術の組み合わせによって生産されて良い。
本発明のFSH 突然変異は、2つの個別のポリペプチド鎖の形態におけるFSHのα-サブユニット及びβ-サブユニットを含んで成り、ここで当該二本鎖は、ダイマーポリペプチドを形成するようにin vivoでダイマー化するようになる、又はそれは、ペプチド結合又はペプチドリンカーによって共有結合した2つのサブユニットを含んで成る単鎖構築体を含んで成りうる。リンカーペプチドのアミノ酸残基は、FSH突然変異の活性に有意に干渉することのない特性を示しうる。
本発明のFSH 突然変異は、野生型FSHと比較して半減期が増加している。本発明のFSH突然変異は、野生型FSHと比較して適切に安定性が増加している。FSH 突然変異はオリゴ糖を、0、1、2、3、4、5又は6つのN結合グリコシル化部位に含んで成りうる。FSH突然変異は、1又は複数のFSH突然変異イソ型を含んで成り、ここで各イソ型は、0、1、2、3、4、5又は6つのN結合グリコシル化部位にオリゴ糖を含んで成る。
本発明のFSH突然変異のα-サブユニット又はβ-サブユニットをコードするヌクレオチド配列は、親FSH サブユニット、例えば、hFSH-α又はhFSH-βをコードする、配列番号:3及び4でそれぞれ示されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を単離又は合成することによってそれぞれ構築されて良い。次いで、ヌクレオチド配列は関連するアミノ酸残基の置換を起こすように変化させられて良い。ヌクレオチド配列は、部位特異的突然変異誘発によって修飾されて良い。代替方法において、ヌクレオチド配列は、化学合成によって調製されて良く、ここでオリゴヌクレオチドは、FSH突然変異の特異的アミノ酸配列に基づいて設計される。
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、組換えベクターに挿入されて所望のトランスフェクション宿主細胞中でのポリペプチドの発現に必要なコントロール配列に作用可能式に結合させられて良い。当業者は、これらのベクター、発現コントロール配列及び宿主のなかから実験を行わずに選択しうる。組換えベクターは、自立的に反復するベクターであり、即ち、染色体外実体として存在し、その複製は、染色体の複製とは独立している、プラスミドなどである。代替的に、ベクターは、宿主細胞中に導入された場合、宿主細胞ゲノムに組み込まれそして染色体と一緒に複製されるものであって良い。
前記ベクターは、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列がその転写のために必要な更なるセグメントに作用可能式に結合する発現ベクターであって良い。ベクターは、プラスミド又はウィルスDNAに由来しうる。本明細書中に記載の宿主細胞中での発現のための多くの適切な発現ベクターは、市販されて入手可能であるかあるいは刊行物に記載されている。
組換えベクターは、件の宿主細胞中での当該ベクターの複製を可能にするDNA配列を更に含んで成りうる。かかる配列の例(宿主細胞が哺乳類細胞である場合)は、複製のSV40オリジンである。このベクターは、選択的なマーカーを含んで成っても良く、それは例えば、その産物が宿主細胞中欠損を補う遺伝子、例えばジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をコードする遺伝子又は薬物の例えば、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリンクロラムフェニコール、ネオマイシン、ヒグロマイシン又はメトトレキセートに対する耐性を与える遺伝子である。
組換えベクターは、増幅可能な遺伝子の例えば、DHFRを含んで成って良く、従って、増幅可能遺伝子の複数のコピー及びフランキング配列、例えば、突然変異FSH DNAを有する細胞は、適当な培地上で選択されて良い。用語「コントロール配列」とは、本明細書中で規定された場合、本発明のポリペプチドの発現のために必要であるかあるいは有利である全ての成分を含むことを意味する。哺乳類細胞中、転写を指令するための適切なコントロール配列の例としては、SV40及びアデノウィルスの早期及び後期プロモーターが挙げられ、例えば、アデノウィルス2主要後期プロモーター、MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター及びヒトサイトメガロウィルス即時-早期(immediate-early)遺伝子プロモーター(CMV)である。
本発明は、FSHのH83Nα-サブユニットをコードする単離されたDNA及びE55N/V57T β-サブユニットをコードする単離されたDNAにも関連する。FSH突然変異をコードする本発明のヌクレオチド配列は、部位特異的突然変異誘発、合成によって又は、PCR又は他の方法によって調製されたかどうかにかかわらず、任意にシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をも任意に含みうる。シグナルペプチドは、それが発現している細胞からそれが分泌された場合に存在する。かかるシグナルペプチドは、もし存在すれば、ポリペプチドの発現のために選択される細胞によって認識されるものであるべきだ。シグナルペプチドは、ポリペプチドに対して、相同的(例えば、hFSH サブユニットと通常結合している)又は非相同的(即ち、hFSH以外の他の源に由来する)であるかあるいは宿主細胞に対して相同的であるかあるいは非相同的、即ち、宿主細胞から通常発現されるシグナルペプチドであるかあるいは宿主細胞から通常発現されないものである。
本発明のポリペプチドサブユニットを生産するために使用されて良い適切な宿主としては、例えば、細菌、真菌(酵母を含む)、植物、昆虫、哺乳動物、又は他の適切な動物細胞もしくは細胞系統、並びにトランスジェニック動物又は植物である。適切な哺乳類宿主細胞としては、チャイニーズハムスターオバリー(CHO)細胞系統、(例えば、CHO-KL ; ATCC CCL-61)、ミドリザル細胞系統(COS)(例えば、COS 1 (ATCC CRL-1650)、COS 7 (ATCC CRL-1651)) ; マウス細胞(例えば NSIO), ベビーハムスター腎臓(BI-EK)細胞系統(例えば、ATCC CRL-1632又はATCC CCL-10)、及びヒト細胞(例えばBEK 293 (ATCC CRL-1573))、並びに組織培養における植物細胞である。更に適切な細胞系統は当業界で公知であり且つAmerican Type Culture Collection, USAなどの公共寄託機関から入手可能である。外因性DNAを哺乳類宿主細胞中へ導入するための方法としては、カルシウムリン酸介在トランスフェクション、エレクトロポレーション、DEAE-デキストラン介在トランスフェクション、リポソーム介在トランスフェクション及びウィルスベクターが挙げられる。
細胞は、当業界で公知の方法を使用することで、ポリペプチドを生産するための適切な栄養培地において培養されて良い。例えば、細胞は、研究室又は産業発酵装置において、ポリペプチドが発現及び/又は単離されることが可能になる適切な培地と条件下で行われる、振とうフラスコ培養、小スケール又はラージスケール発酵(例えば、連続、バッチ、フェドバッチ、又は固体状態発酵)で培養されて良い。培養を、当業界で公知の手順を使用することで、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地中で行う。適切な培地は商業的供給者から入手可能であるかあるいは刊行物(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ)にある成分に従って調製されて良い。もし、ポリペプチドが栄養培地中へと分泌されたら、それは細胞溶解物から回収されて良い。
生ずる突然変異FSHポリペプチドは、当業者に公知の方法によって回収されて良い。例えば、それは、常用の方法の例えば、限定されないが、遠心、ろ過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、又は沈殿によって栄養培地から回収されて良い。突然変異FSHポリペプチドは、当業界で公知の様々な手順によって精製されて良く、その手段は例えば、限定されないが、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水性、クロマト分画、及びサイズ排除)、電気泳動手段(例えば、例えば、予備(preparative)等電点電気泳動)、示差溶解(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS-PAGE、又は抽出である。
本発明は、本発明のFSH突然変異を含んで成る医薬組成物にも関連する。かかる医薬組成物は、濾胞形成を刺激するために使用されて良く、例えば、排卵誘発又は介助生殖技術(ART)との結合において使用できうる。本発明のFSH突然変異は、多数の濾胞の成長及び成熟を誘導するために特に有効であり、そして特に、多数の卵母細胞を回収することが望まれるARTにおいて使用することが好適である。
代替的に、投与量を慎重に適合させることにより、本発明のFSH突然変異は、in vivo受精のために、OIのためのモノ濾胞形成(mono-folliculogenesis)、又はIUIのためのパウシ濾胞形成(paucifolliculogenesis)(最大3つの濾胞)のために使用されて良い。モノ濾胞形成は、減少投与量のFSH突然変異物により、又は典型的なFSH調製物と比較して投与頻度が少ないことにより達成されて良い。例えば、OIにおいて、本発明のFSH調製物は3日ごとに225〜400IUで、又はより少ない投与量で、患者の反応に依存して投与されて良い。患者の反応は、超音波検査によって追跡されうる。
本発明のFSH突然変異は、コントロールされた排卵誘発(COH)計画において使用されうる。COHのための標準的な計画は次の段階を含む。内因性黄体形成ホルモン(LH)が、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストの投与によってダウンレギュレーションされるダウンレギュレーション段階、しかる後の濾胞刺激ホルモン(FSH)の日々の投与(通常約150〜225IU/日)によって濾胞成長(濾胞形成)が誘導される刺激段階である。代替的に、刺激は、自然又は誘導された月経、しかる後のGnRH-アンタゴニスト(典型的に、刺激段階の約6日後)の投与により始まる。3以上の濾胞>16mm(一つは18mm)である場合、hCG(5〜10,000IU)の単一ボーラスは模倣、天然のLHを促し且つ濾胞形成を誘導するために与えられる。卵母細胞回収は、hCG注入後36〜38時間に渡る時限的である。
本発明のFSH突然変異は、OI及びIUIのために使用するためにも使用されても良い。例えば、本発明の調製物によるFSH刺激は、日々75〜150IUの投与量において、自然又は誘導された月経後に始まる。1又は3個の濾胞が16 mm以上の直径に達した場合、hCGの単一のボーラスが排卵を誘導するために投与される。受精は、定期的な性交又はIUIによって、in vivoで行われる。
本発明のFSH突然変異は、野生型のFSH調製物に比べて増加した半減期を有して良いので、例えば、上記の計画は、より少ないOI投与量のFSHを使用して良く、そして/又はFSH刺激期間を減らす一方で、濾胞の数と生存の観点から、同じ又はより良い反応を達成しながら、変更が加えられて良い。例えば、本発明のFSH製剤を使用することで、適切な濾胞形成が、約50〜150以上のIU FSH、好適に約50〜100、一層好適に約50〜75IU FSH以上の日々の投与により達成されうる。FSHの投与量は、通常、日々又は半日々(semi-daily)ベースである。投与期間は、約14日以下、好適に約12日以下、一層好適に約11又は10日以下である。OIのために、本発明のFSH突然変異調製物は、25〜150IU FSH/日、好適には50〜125IU FSH/日の投与量で投与されて良い。男性不妊の治療のために、本発明のFSH突然変異調製物は、3×150〜300IU/週で、精子形成レベルが、定期的な性交又はART技術のいずれかにより受精に十分になるまで投与される。
本発明の突然変異FSHの半減期がより長いことで、それは長期作用製剤として投与されて良い。常用のFSHは、2日ごとに約300IU以上で投与されて良く、しかも約150IU以上で毎日投与されたのと同じ結果に到達する。用語「長期に作用する」とは、2日ごとによりすくない頻度で投与されうるFSH調製物を網羅する。本発明の突然変異FSHは、3日ごとに、更には4日ごとに、更に5日ごとに、6日又は7日ごとに投与されて良く、しかも常用のFSHの日々の投与と類似する又はより良い結果を達成する。
関連する観点において、FSH突然変異又はFSH突然変異を含んで成る医薬組成物は、疾患、病気又は症状を治療するための医薬の製造のために使用されて良い。他の観点において、本発明のポリペプチド又は医薬組成物は、哺乳動物、特にヒトを治療する方法において使用されており、かかるポリペプチド又は医薬組成物を必要とする哺乳動物に投与することを含んで成る。
有効な量の本発明のポリペプチド、調製物、又はその組成物は、当該ポリペプチドもしくは調製物もしくは組成物が単独でもしくは他の治療剤との組み合わせにおいて投与されるかどうかにかかわらず、とりわけ、疾患、投与量、投与スケジュール、組成物の血清半減期、及び患者の一般的健康に依存することは当業者に明らかだろう。典型的に、本発明の調製物又は組成物の有効な量は治療効果を確実にするために十分である。
本発明のFSH突然変異は、1もしくは複数の医薬的に許容できる担体もしくは賦形剤を含む組成物において投与されて良い。「医薬的に許容できる」とは、患者に投与された場合に不都合な効果を生じない担体又は賦形剤を意味する。かかる医薬的に許容できる担体及び賦形剤は、当業界で周知であり、そして本発明のポリペプチドは、周知の方法によって医薬組成物へと処方されて良い(例えば、 Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. R. Gennaro, Ed. , Mack Publishing Company (1990); Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins, S. Frokjaer and L. Hovgaard, Eds. , Taylor & Francis (2000); and Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd edition, A. Kibbe, Ed., Pharmaceutical Press (2000)を参照のこと)。本発明のポリペプチドを含んで成る組成物において使用されて良い医薬的に許容できる賦形剤は、例えば、緩衝剤、安定化剤、防腐剤、等張化剤(isotonifiers)、非イオン性界面活性剤又はデタージェント「加湿剤」)、抗酸化物質、バルキング剤又は充填剤、キレート剤、及び共溶媒である。
FSH突然変異を含んで成る本発明の医薬組成物は、様々な形態、例えば、液体の例えば、すぐに使用できる溶液又は懸濁、ゲル、凍結乾燥形態、又は任意の他の適切な形態の例えば、溶液を調製するために適した粉末又は結晶において処方されて良い。組成物の形態は、治療される特定の適応症に依存しそして当業者に明らかであろう。
本発明のFSH突然変異を含んで成る医薬組成物は、静脈内、筋内、腹腔内、皮内、皮下、舌下、頬、鼻腔内、経皮に、吸入、又は任意の他の許容できる方法、例えば、PowderJectもしくはProLease technologyもしくはペン注射システムによって投与されて良い。投与の方法は、治療される特定の適応症に依存しそして当業者に明らかであろう。組成物は、皮下に投与されて良く、何故ならこれは、患者が自己投与を行うことを可能にしうる。
本発明の医薬組成物は、他の治療剤との組み合わせにおいて投与されて良い。これらの剤は、同医薬組成物の一部として組み込まれて良い又は本発明のポリペプチドとは別個に、同時に又は他の許容できる治療スケジュールに従って投与されて良い。加えて、本発明のポリペプチド、調製物又は医薬組成物は、他の治療に付随して使用されて良い。
本発明は、多数の観点を有し、以下の限定的ではない例によって示される。
実施例1
単一FSH 突然変異
候補グリコシル化部位の同定
ヒトFSHの3D結晶構造を、FSHのα-及びβ-サブユニットの候補グリコシル化部位を同定するために使用した。2つのFSH分子(4つのサブユニット)が、結晶構造の各不斉単位に存在する。2つのFSH分子を重ね合わせて比較し、そして各残基を潜在的N-グリコシル化部位を同定するために視覚的に調べる。FSHの結晶構造を、潜在的N-グリコシル化部位の選択を助けるためにFSH/FSHRレセプター相互作用の知見と組み合わせた。主たる設計基準は、3D構造の最小破壊、予測結合及び活性化部位の最小破壊、及びグリコシル化に適合する予測可能3D構造である。
上記基準に基づいて、20個の突然変異(8個のα及び12個のβ)を作製して、以下の2つの突然変異を含むFSHのアミノ酸配列を作製した:
α-サブユニット H83N
β-サブユニット E55N/V57T
単一FSH突然変異の一過的発現
各突然変異を、実施例3に記載の方法と類似する方法において部位特異的突然変異誘発によって獲得した。突然変異は、実施例4に記載の方法と類似する方法において相補的野生型サブユニットと一緒にCHO-Dukx細胞において小スケールで一過的に発現した。生ずる培養上清のELISA分析により20の突然変異のうち19か一過的に発現できたことが示された。コントロール及び突然変異の一過的発現量の範囲は、0〜1.95μg/ml、平均0.59及び中央値0.5μg/mlであり、そして、モックトランスフェクションにおいては0μg/mlが繰り返し確認された。
単一FSH突然変異の形態分析
単一FSH突然変異の一過的発現に由来する濃縮培養上清のアリコートを、遊離α-サブユニット及びβ-サブユニットに由来する完全なFSHヘテロダイマーの分解を可能にする、非還元LDS PAGE条件の下で電気泳動により分析した。タンパク質を電気泳動的にPVDFに移しそしてFSHのα及びβサブユニットに対して特異的な一次抗体を使用することで分析した。多くの業者の一次抗体を予備スクリーニングで使用し且つその後、時折、確認検体として使用したが、最も均一に有用な抗体は、1.5μg/mlにおいてChromaprobe BHS 104 (ビオチン化ポリクローナルヤギ抗FSH α-サブユニット)及び1.5μg/mlにおいてChromaprobe BHS 105(マウスモノクローナル抗FSH β-サブユニット)であることが分かった。
ヘテロダイマー完全サンプルのウェスタンブロットを補った2つの更なる型の形態分析。ヘテロ二量体解離サンプルのウェスタン分析並びに35S-Cysで代謝的に標識した突然変異及びコントロールの電気泳動により分離したヘテロダイマー解離免疫沈澱。
19の発現可能FSH突然変異のうち、5つの突然変異のみが、サブユニット又はヘテロダイマーの見かけ上の分子量の分布のシフトによって証明されるようにグリコシル化の増加を示した。グリコシル化の増加を示す5つの突然変異は1つのα-サブユニット突然変異及び4つのβ-サブユニット突然変異、例えばβ E55N/V57Tを含んだ。
興味深いことに、α-サブユニット突然変異及びαH83Nは、グリコシル化の増加の証拠を示さなかったが、同じ一過的条件下で共に発現した野生型FSHサブユニットのなかでのヘテロダイマー存在量(abundance)に比較して、タンパク質集団におけるヘテロダイマーの存在量が増加した。
一過的に発現した単一FSH突然変異の半減期
一過的発現によって獲得した5つの高度グリコシル化された単一突然変異、例えば、β E55N/V57Tの薬物動態学を、Gonal-Fと比較した。Gonal-Fは、天然hFSHから識別可能であるFSHの組換え形態である。注射物質及び各PK実験のための注射の後に現時点で獲得したラット血清サンプルのFSH含量をELISAによって獲得した。5つの単一突然変異のβ-サブユニット突然変異E55N/V57TなどのどれもがコントロールGonal-Fよりも長い半減期を示さなかった。
単一部位グリコシル化突然変異の精製と分析
E55N/V57T突然変異を含む、4つの高度グリコシル化された単一β-サブユニット突然変異のうち3つを、発現させて免疫親和性クロマトグラフィーによって精製した。活性この3つの高度グリコシル化されたβ-サブユニット突然変異、例えばE55N/V57T 突然変異を以下のものを観察することによって組換えFSHと確認した。(i)ヒトFSHレセプターを含む膜調製物に対して結合する125I放射性標識したFSHと競合する能力(Ki)及びFSHR-結合cAMP生産を刺激する能力(EC50)。
Figure 0004653090
上記結果は、β-サブユニット突然変異E55N/V57Tが、野生型FSHに匹敵するin vitro活性を有することを示す。実際に、3つの単一β-サブユニット突然変異は各々野生型FSHに匹敵する活性を有する。更に、精製された単一β-サブユニット突然変異のマススペクトロメトリーは、マス分布シフトが3つの突然変異の各々で確認された。しかし、単一グリコシル化突然変異は、未熟メスラットの単回iv注射の後に精製タンパク質の薬物動態を測定した場合、実質的に半減期が延長されたことを示さなかった。3.8±0.6時間の半減期を有するrhFSHと比較して、βE55N/V57Tは、4.8±0.4の半減期を有する。
実施例2
二重グリコシル化突然変異の生産及び分析
FSHの半減期を向上させるために、単一α-サブユニット及びβ-サブユニット単一突然変異を欠損させることにより、2つの単一α-サブユニット突然変異を、3つの単一β-サブユニットと一過的発現において組み合わせ、6つの異なる2重突然変異、例えば、α-サブユニット突然変異H83N及びβ-サブユニット突然変異E55N/V57Tを含んで成る、GM-1を生産した。
6つの突然変異のうち5つ、例えばGM-1を発現できた。発現可能な5つの2重突然変異をFSHR-結合cAMP生産を刺激する能力について分析した。5つの二重突然変異の各々、例えば、GM-1は、FSHR-結合cAMP生産をin vivoで刺激する能力においてrhFSHと匹敵した。
FSHの同じ5つの2重突然変異の薬理活性をも組換えhFSH及びCTP-FSHとも比較した。表1の結果は、GM-1がrhFSHよりも有意に高い半減期を有し且つCTP-FSHの半減期に近いことを示す。
Figure 0004653090
GM-1の半減期の増加は、単一β-サブユニット突然変異E55N/V57Tそれ自体、半減期に対して効果を有さなかったことを考えれば意外であった。更に意外なことは、α-サブユニット突然変異H83Nがグリコシル化の増加を導かなかったことを考慮すればGM-1の半減期の増加である。
実施例3
GM-1の生産
ヒトFSHのα-サブユニット及びβ-サブユニットのcDNAをpDONRベクター(Invitrogen)中にサブクローン化した。QuikChangeTM 部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を使用して、N-結合グリコシル化部位をFSHのα-サブユニット及びβ-サブユニットに導入した。QuikChangeTM システムは、所望の突然変異を含む2つの合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用する。オリゴヌクレオチドの以下のペアを使用し、N-結合グリコシル化部位を導入した。
Figure 0004653090
突然変異の配列を、ABI PRISM BigDyeTht Tenninator v3.0キットを使用し、しかる後にABI PRISM-310 Genetic Analyzerによる分析によって確認した。
αH83N及びβE55/V57T 突然変異を、修飾pCI発現ベクター中へとGatewayクローニングテクノロジー(Invitrogen)を使用することでサブクローン化し、図1及び2に示すように、プラスミドp13251及びp13252を獲得した。このpCI哺乳類発現ベクター(Promega)を、GATEWAYデスティネーションベクター中へとGATEWAYベクター転換システム(Invitrogen)を使用することによって転換した。このpCI発現ベクターは、ヒトサイトメガロウィルス即時-早期エンハンサー/プロモーターを挿入遺伝の発現を制御するために含み、この遺伝子の発現を促すために遺伝子の上流のイントロンを含みそして転写を終結させるために挿入遺伝子から下流のサルウィルス40後期ポリアデニル化シグナルを含む。
αH83N突然変異を、図3に示すように、プラスミドpl3538を獲得するためにDαベクター中へとサブクローニングもした。Dαベクターは、pCLH3AXSV2DHFRの誘導体である。このベクターを修飾して、ゴナドトロピンαサブユニット遺伝子のイントロンAから2kb XbaI-PstI断片上流の操作された合成スプライスドナーを伴う非相同イントロンを含む(スプライスアクセプターを含む)。この非相同イントロンは、RNAプロモーターとXhoIクローニング部位の間に位置し、それをRNA転写産物の5'非転写領域に配置する。このDαベクターは、Keltonら, Mol Cell Endocrinol 89 : 141-151 (1992)によって一層詳細に記載されている。
実施例4
突然変異FSHの発現
FSHのGM-1グリコシル化突然変異を、最初に、血清フリー培地においてゴナドトロピンの発現を一過的に達成するためpl3251(αH83N)とpl3251(βE551V57T)を共トランスフェクションすることによって獲得した(「GM-1ロット1」)。ラージスケールリポフェクトアミン介在トランスフェクション(12〜24 T175フラスコ)のために、CHO-Dukx細胞を1.3×107細胞/フラスコで増殖培地(MEM a(+)、10%FBS、1% 1-グルタミン)中、トランスフェクション前に18〜24時間に渡り播いた。細胞にトランスフェクションするために、リポフェクトアミン2000/オプチメン混合物をバルク(一部17.6)において調製し且つオプチメン中のDNAの個別のストックでも、式、各サブユニットにつき33mcgのDNA(合計66mcg)/T175フラスコを使用することでも調製した。オプチメン/DNA及びオプチメン/リポフェクトアミン調製物を組み合わせた20分後、オプチメン中のDNA/リポフェクトアミン複合体(約10ml/フラスコ)を、最近供給した(43.8ml/フラスコ)細胞単層に適用した。37℃で4〜6時間後、細胞単層を50mlの増殖培地へ供給した。トランスフェクションのおよそ24時間後、 細胞を生産培地(Sigma CHO PFM、L-グルタミンを補充した又はSerene-proprietary formulation Sigma CHO PFM C0234に対して補充した)に移した。条件生産培地を48時間後に収穫した。
実施例5
突然変異FSHのクローン
プロトクローン
CHO-DUKX細胞の、Dα(プラスミド#13538)中αH83N及びpCIattR(プラスミド#13252)中βE55N/V57Tの比1:3によるリン酸カルシウム共トランスフェクションンを標準的な方法を使用することで行った。プロトクローンを、96ウェルプレート(合計1596個のウェル)において、細胞を選択培地(MEM α(-), 10% dFBS, 4 mM L-グルタミン)中、10,000個細胞/ウェルで播くことによって、トランスフェクションの48時間後に生じさせた。約2週後、プロトクローンを、0.02μMのMTXを含む選択培地へと1:8に分けた。この分割方法をMTX(0.1μM(192ウェル),0.5μM,1. 0μM(116ウェル))の濃縮を、1.0μMのMTX中で生存する116のプロトクローンにより6〜8週の期間に渡り進めることにより繰り返した。
116のプロトクローンを96ウェルプレート(1.0μMのMTX及び10%のFBS中)に由来する24時間発現サンプルを使用することによりDSL ELISAによって発現について評価した。発現量は、スケールを離れて低い値〜3.72μLg/mlであった。17の最も高く発現するプロトクローンを24ウェルプレート、T25フラスコに展開し(expanded)、そして各3つバイアルの組を凍結保存した。上部の2つのプロトクローンを解凍しそしてT25スケールでの発現確認のために展開した。GM1-21 及びGM1-22は、1.74及び0.74 μg/mlの体積生産性(volumetric productivities)をそれぞれ有し、それぞれ5.06及び1.28pcdの特異的生産性を伴った。これらの結果に基づいて、GM1-21を、実施例6に記載のように、クローニングしてローラーボトル中でGM-1の第二のロットを生産するために選択した。
クローン
限界希釈クローニングを、96ウェルプレートへのそれぞれ、0.25、0.5、1.0、及び2.0 GM-1-21 細胞/ウェルの接種により開始した。クローニング培地は、10%cFBS及び1%L-グルタミンをMTXの不在下で含むDMEM/F12であった。全てのウェルを顕微鏡により検査しそして多数の細胞を含む全てのウェルを取り除いた。
およそ2週間増殖させた後、細胞集団を24ウェルに展開し、そして最後にT25フラスコに展開した。ひとたび、細胞が80〜100%のコンフルエントに至れば、体積生産性をDSL FSH ELISA(サンプルは10%FBSを含んだ)を使用することで測定した。最良の8つのクローンをT75フラスコに展開して24時間の体積及び特異的発現を測定した。各クローンの3つのバイアルの組を10% cFBS、1%のL-グルタミン、及び10%のDMSOを含むDMEM/F12中で凍結保存した。CHO-B1-GM1-21-98 は体積生産性7.21μg/mlで特異的生産性6.25pcdを伴った。対照的に、CHO-B1-GM1-21-107は、最も高い特異的生産性、7.71 pcdを、5. 81μg/ml体積生産性を伴い、示した。
CHO-B1-GM1-21-98及びCHO-B1-GM1-21-107を4つのT175フラスコに展開した。およそ90%コンフルエントにおいて、プレ-MCB(各クローン25バイアル)を10%のFBS、1%のL-グルタミン、及び10%のDMSOを含むDMEM/F12中で凍結保存した。GM1-21-98 (第7継代)は326万個の細胞/バイアルをそしてGM1-21-07(第6継代)は610万個の細胞/バイアルを含んだ。ブランクのバイアルの各々をGMP試験のためにCharles River Laboratories (Malvern, PA)へ送った。この試験は、PTCマイコプラズマ(Mycoplasma)、不妊、LCMVチャレンジ試験を伴うMAP、HAP試験、異種マウス白血病ウィルスに関する拡張In Vitroフォーカス誘導アッセイ、マウス白血病ウィルスに関する拡張XCプラークアッセイ、及びアイソザイム分析を含み、各々全ての試験を通過させた。
実施例6
突然変異FSHの更なる例
実施例5に記載のプロトクローンGM1-21を、2つの850cm2ローラーボトル(「GM-1 Lot 2」)中で増殖させることによって生産した。このランで条件付けした血清フリー生産培地(DMEM-F12+IFCS) の体積は、2600mlであった。約0.2mgのGM-1を含む小体積13mlの濃縮培養上清をSRBIにおいて-80℃に保存したままにし、何故なら、濃縮培養上清の36mlアリコートを透析移動(dialysis transfer)の間に消失したからだ。定量化は、換算1IU=138ng FSHを使用することでDSL Active(登録商標)FSHELISAによる。
実施例7
突然変異FSHの精製
サンプルの調製
突然変異FSHを含有する生産培地を収穫してそして0.22μmフィルターユニットを使用することでろ過して-70℃で凍結させた。培地中の標的タンパク質を4℃で一晩解凍し、そしてPall Life ScienceによるUltrasette Screen Channel TFF装置、10K Omega膜, P/N OSOI OC70を使用する限外ろ過によって濃縮した。リテンテートを回収して一晩、0.1Mトリス( pH 7.4、0.5MのNaClを含む、3×5 L)に対して透析した。透析したタンパク質を回収し、0.22μmフィルターに通し、そして 直ぐに精製するかあるいは精製するまで-70℃で保存した。
免疫親和性精製
グリコシル化突然変異GM-1を2.2 mgの抗-FSH抗体/樹脂mlを含む抗FSH免疫親和性樹脂B5 (Serobio)によって精製した。10.2 mlの床体積(bed volume)を1.5cm×10cm OmniFitカラムにおいて調製した。樹脂を0.1Mトリス(pH 7.4、0.5MのNaClを含む)により予め平衡化した。透析された粗製のタンパク質を1ml/分でロードした。カラムを、続いて、5カラム体積の0.1Mトリス(pH7.4、0.5MのNaClを含む)、5カラム体積の100mMの炭酸アンモニウム, pH7.6で洗浄し、そして標的タンパク質を18〜20カラム体積の1M NH4OHで溶出させた。溶出したタンパク質を含む画分をプールし、氷酢酸で中和し、そしてAmicon YM10膜を使用するAmicon撹拌セルによる限外ろ過によって濃縮した。リテンテートをPierce Snakeskin透析チューブ,10K MWCOにおいて、4×5Lの水に対して24時間に渡り透析し。透析したタンパク質を回収してCentriprep YM 10によって濃縮し、体積を1mlに減らす。
特性決定
このような単一段階免疫親和性法による精製タンパク質GM-1の見かけ上の回収率は、アミノ酸組成分析によって決定したタンパク質濃度を伴い73.8〜80.6%のへテロ二量体純度において、31.4〜52.9%であり、そして本来の式量は、サブユニットのMALDI-TOF 糖形態分布から35,000Daと見積もられた。
タンパク質の同一性を、N-末端ペプチド配列決定によって確認した。GM-1中で同定できうる全てのN-末端配列が、FSHのα-サブユニット又β-サブユニットのいずれかの末端を反映する。銀染色によって確認可能である単一低-存在タンパク質バンドは確認できないが、このデータは80%サブユニット純度を一貫して保つ。
実施例8
突然変異FSHの形態
精製タンパク質の糖形態分布を測定するために、MALDI-TOFマススペクトロメトリーをGM-1及びGonal-Fに行った。図4Aに示されたマススペクトル分析は、Gonal-Fに対して、GM-1における高度グリコシル化形態を含むマスクラスの相対的存在度の26%増加を示し、ここでそれらは、Gonal-Fにおける29.2%のサブユニット糖形態とは反対に36.8%の合計サブユニット糖形態を含む。Gonal-FとGM-1のMALDI-TOFマススペクトルの違いは、銀染色PAGE及びウェスタンブロッティング(図4B)によって確認されるサブユニット及びヘテロ二量体の見かけ分子量分布におけるシフトと一貫している。
MALDI-TOF マススペクトロメトリーの条件下で、GM-1は、好適に、Gonal-Fで確認されるαα、αβ及びββダイマーのランダム分布とは対照的に見かけ上、図4Cにおけるαβヘテロ二量体コンホメーションを好適に維持する。このことは、GM-1の解離が、MALDI-TOFサンプル調製条件下でGonal-Fよりも少なく且つGM-1へテロダイマーへのより高い熱安定性又は動的安定性の可能性に寄与することと一貫性があることを示唆している。GM-1グリコシル化のモデルを、完全にグリコシル化されていないサブユニットのクラスを伴ない、二分岐、フコシル化、ジシアリル化糖形態による6つの部位のランダム占有二項分布として計算し且つ確認されたマススペクトルと比較した。結果は、極端なクラス(α0)の予測された占有(0.021,対0.0)よりも高い占有、(α1又はβ0)クラスのより低い占有(0.095対0.214)、(α2又はβ1)クラスのより高い(0.516対0.428)占有、(α3又はα2)クラスのより高い(0.312対0.285)占有、及びβ3クラスのより低い占有(0.056対0.071)を示す。
実施例9
突然変異FSHの分析
突然変異FSHのIn vitro結合の分析
GM-1ロット1及びGM-1ロット2の効率をFSHR cAMPアッセイにおいて特定した。FSHレセプター又はヒトLHレセプターを組換え発現するCHO細胞系統の多量のバッチを、0.025Mのトリス(pH 7.4、0.25Mのスクロース、10mMのMgCl2、1mMのEDTA及び1pptのSigma Protease Inhibitorカクテル(p8350)を含む)中で増殖させ且つ窒素キャビテーション(900 psiへの20分平衡、しかる後の迅速な圧力開放)によって中断した。一次清澄化(10分×1000g、4℃)後、膜画分を、遠心によってペレット化させた(60分×100,000g、4℃)。膜画分を結合バッファー(0.01MのトリスpH7.4、5mMのMgCl2)中で再懸濁させ、タンパク質濃度を、Bradford(BioRad)タンパク質アッセイによって見積もり、そして将来使用するために-80℃で保存した。典型的に、FSHR又はLHRを維持する適切に15μgの膜タンパク質を、ウェル当たり、競合アッセイにおいて分析した。
ラジオリガンド結合を96ウェルプレート中、100μl/サンプルウェルにおいて評価した。このアッセイバッファーは0.01Mトリス(pH 7.4、5mMのMgCl2及び0.1 %BSA及び0.3nMのl25I-hCG (LHRのため)又は0.4nMの125I-FSH(FSHRのため)に含む)であった。競合するGM-1をアッセイバッファーで希釈しそしてレセプター維持膜を添加する前に放射性標識したリガンドと混合した。非特異的結合を500nMの未標識hCG又はFSHの存在下で測定した。結合を、37℃で90分に渡り振とうしながら平衡化した。結合アッセイを、アッセイバッファー中で予めインキュベートした小タンパク質結合ジュラポア(durapore)膜(Millipore Multiscreen)によるろ過により終結させた。フィルターウェルを、3回、氷冷結合バッファー(BSAフリーアッセイバッファー)により洗浄し、乾燥し、そして穴を開けた。結合した放射活性を、125I放射に特異的な予めプログラムされた検出窓を使用するHP Cobra IIガンマーカウンターを使用することで測定した。データを単一部モデル及びGraph Pad Prizmソフトウェアを使用することで分析した。
突然変異FSHのIn Vitro機能
GM-1ロット1及びGM-1ロット2の機能を、上記cAMPゴナドトロピンレセプター-トランスフェクションCHO細胞におけるcAMPの投与量反応曲線を測定することによって測定した。2つの各ロットに関する放出定量化データを、下の表3に残した。
Figure 0004653090
実施例10
突然変異FSHの安定性
GM-1活性の安定性の3月安定性研究を、4℃で3月に渡りGM-1の滅菌アリコートを維持することによって行った。アリコート中のGM-1をサンプリングしてFSHR cAMPアッセイにおいて、0、7日、32日及び91日に試験した。この研究の条件下で、GM-1のEC50は、4℃で91日保存した間、変化は2倍未満であった。これらのデータは、4℃で保存したGM-1の生物活性は3月に渡り安定であることを示す。
実施例11
突然変異FSHの活性
図5は、未成熟ラット2日排卵誘導モデルにおけるGM-1の性能を示す。単一投与として投与した、組換えhFSHは、GM-1が排卵反応を起こす一方で、そのように作用しなかった。更に、GM-1 標準Steel-man Pohley排卵重量増アッセイにおけるGM-1の性能は、Gonal-Fに匹敵した(データは示していない)。
図5において試験した投与量は、6、12及び24IUのFSHに対応する。FSH-CTP(Organon 36286)を、このモデルにおいて単一投与量10IUで3つの投与計画(4×25%、2×50%及び1×100%)で調べた場合、確認された排卵/動物の平均は、それぞれ16.3±3.8、19.1±3.6及び21.5±3.9であった(データは示していない)。データから、1×100%で投与した上記12IU GM-1は、平均排卵反応9.4±2.1卵/動物(6.8±1.6 卵/動物(6IUで)及び14.6±3.6卵/動物(24 IUで))で生じた。データは、GM-1が一層有用な「モノ排卵」でありうる又は投与計画の操作により一層調節可能でありうる可能性と一致している。
αH83Nサブユニット発現のために使用した発現ベクターのプラスミドマップを示す。 βE55/V57T サブユニットの一過性発現のために使用した発現ベクターのプラスミドマップを示す。 βE55/V57Tサブユニットの発現のために使用した発現ベクターのプラスミドマップを示す。 GM-1の形態学を示す。パネルA及びC: GM-1及びGonal-F に対して行ったMALDI-TOFマススペクトロメトリー。パネルB:GM-1及びGonal-Fに対して行ったLDS-PAGE分析。 未熟ラット2日濾胞誘導モデルにおけるGM-1の重要性を示す。

Claims (13)

  1. 組換えFSHであって、組換えFSHαサブユニットが配列番号:3の配列を含んで成り、そしてFSHβサブユニットが配列番号:4の配列を含んで成る、組換えFSH。
  2. βサブユニットのN55がグリコシル化されている、請求項1に記載の組換えFSH。
  3. 配列番号:3の配列を含んで成るFSHαサブユニット、及び配列番号:4の配列を含んで成るFSHβサブユニットをコードするベクター。
  4. 前記ベクターが発現ベクターである、請求項に記載のベクター。
  5. 請求項に記載のベクターを含んで成る細胞。
  6. 配列番号:3の配列を含んで成るFSHαサブユニットをコードするDNAを含んで成る第一のベクター及び配列番号:4の配列を含んで成るFSHβサブユニットをコードするDNAを含んで成る第二のベクターを含んで成る細胞。
  7. 前記第一及び第二のベクターが発現ベクターである、請求項に記載の細胞。
  8. 前記細胞が哺乳類細胞である、請求項に記載の細胞。
  9. FSH突然変異を生産する方法であって:
    (a)哺乳類細胞を提供し、ここで当該細胞は、第一の発現ベクター及び第二の発現ベクターを含んで成り;そして
    (b)FSH突然変異の発現を誘導する、
    ことを含んで成り、ここで当該第一の発現ベクターは、配列番号:3の配列を含んで成るFSHαサブユニットをコードし、そして当該第二の発現ベクターは、配列番号:4の配列を含んで成るFSHβサブユニットをコードし、そして前記細胞はタンパク質をグリコシル化することができる、前記方法。
  10. 請求項に記載の組換えFSH及び医薬的に許容できる担体又は賦形剤を含んで成る組成物。
  11. 生殖力が無い動物治療における使用のための、請求項10に記載の組成物
  12. 哺乳動物の濾胞形成刺激における使用のための、請求項10に記載の組成物
  13. 哺乳動物卵巣過剰刺激誘導における使用のための、請求項10に記載の組成物
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