JP4652659B2 - 光ファイバのスクリーニング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバに所定の張力を加えて耐張力性能を試験する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ(ガラス光ファイバ)は脆性線条体であり、細くて引っ張り張力に弱いため、傷などがあると容易に断線する。そこで、光ファイバの製造ラインに直結して、或いはボビンに巻き取った光ファイバの断線寿命を保証するために、製造の完了した光ファイバに所定の張力を加えて耐張力性能を試験する、いわゆるスクリーニングテストをするようにしている。
【0003】
このスクリーニングをしているとき、その張力に耐え切れず光ファイバが破断し、断線することがある。このような場合、断線した光ファイバ端末がすでに巻取りボビンに巻き取られた正常な部分の光ファイバをたたいて(ファイバたたき)しまう。このファイバたたきは、断線した巻取り側の端部が一気に巻取りボビン側に持っていかれて、光ファイバの端末が正常に巻き取られた光ファイバをたたくもので、この結果、正常な光ファイバを断線させたり、劣化させたりすると言う問題が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題を解決し、スクリーニング時の断線によって他の正常部分の光ファイバが損傷を受けないように改善した光ファイバのスクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)光ファイバを引出しボビンから送出し、送出された光ファイバに張力印加部で張力印加し、光ファイバを巻取りボビンで巻取るスクリーニング方法であって、
光ファイバが最後に通過するプーリーと該巻取りボビンとの間には光ファイバが通過する間隙を有する平面状のファイバたたき防止カバーが設けられており、
該張力印加部を通過した光ファイバを、該間隙を通過させることで該ファイバたたき防止カバーに接することなく該ファイバたたき防止カバーを通過させ、該ファイバたたき防止カバーを通過した光ファイバを巻取りボビンで巻取り、
張力印加により光ファイバが断線した際には、前記断線した光ファイバの端末が、前記ファイバたたき防止カバーを通過する前に前記巻取りボビンを静止させることにより、前記断線した光ファイバの端末を、巻取りボビンに巻かれている光ファイバに接触させないことを特徴とする光ファイバのスクリーニング方法、
(2)前記ファイバたたき防止カバーの幅は前記巻取りボビンがトラバースして動く距離を完全にカバーできる幅であることを特徴とする(1)項記載の光ファイバのスクリーニング方法
を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる光ファイバのスクリーニング装置は、好ましくは、光ファイバを引出す引出しボビンと、引出しキャプスタンにより引き出される光ファイバにプーリーを介して張力を付加する張力付加部と、張力付加部を通過した光ファイバをプーリーを介して巻き取る巻取りボビンと、前記張力付加部により光ファイバの低強度部が断線したときに断線を検知する断線検出部を少なくとも1個有し、前記断線検出部で光ファイバが断線した事を検知した際に前記巻取りボビンの駆動を停止させる制御装置と、前記巻取りボビンの手前に巻取りボビンに巻き取られる光ファイバが接することなく通過出来る程度の間隙を有するファイバたたき防止カバーとを有する。
【0007】
本発明において、断線検出までの時間t1(s)は0.1秒以下であることが好ましい。
また巻取りボビンを停止させる制御は、前記式(I)を満たすように行うことが好ましい。例えば、断線検出後の巻取りボビンのモーターを速度指令0にすることでモーターの最大トルクで急停止するように行うことができる。このように制御を行うことにより、断線した光ファイバ端部が巻取りボビンに達しないように巻取りボビンの駆動を停止させることができる。
例えばスクリーニング線速1400m/分のときの断線発生時の巻取り速度(スクリーニング速度)と巻取りボビンの静止時間の関係を図1に示す。なお、図1中、斜線で示した面積は光ファイバ端部の走行距離を表し、この走行距離がLよりも小さい場合、断線した光ファイバ端部は巻取りボビンに達することはない。
【0008】
また、前記式(II)を満たすようにすると、送出しキャプスタンと巻取りボビンとの間の光ファイバが突っ張ることなく停止することができ、巻取られた正常な光ファイバにファイバ食込みを起こすことがなく、好ましい。例えば、送り出しキャプスタンを停止させる時間より、巻取りボビンを停止させる時間を早くすることにより行うことができる。
【0009】
さらに本発明に用いられる光ファイバのスクリーニング装置は、巻取りボビンの手前に巻取りボビンに巻き取られる光ファイバが接することなく通過出来る程度の間隙を有する平面状のファイバたたき防止カバーを有する。間隙は、適用する光ファイバにより変化させうるものであり特に制限されるものではないが、例えば本発明を、250μmの光ファイバに適用する場合は、間隔は260μm以上、幅はファイバが巻き取られるボビンがトラバースして動く距離を完全にカバーできる幅であることが好ましい。
このように本発明に用いられる光ファイバのスクリーニング装置は平面状のファイバたたき防止カバーを有し、スクリーニングにより光ファイバが断線した際には、断線した光ファイバの端末が、ファイバたたき防止カバーを通過する前に巻取りボビンを静止させることにより、断線した巻取りダンサー側の光ファイバ端部が一気に巻取りボビン側に持っていかれることが無くなり、ファイバたたき防止カバーを挟んで、端部が引出しボビン側に残されるので、光ファイバの端末が正常に巻き取られた光ファイバをたたくことが無くなる。
【0010】
以下、本発明に用いられる光ファイバのスクリーニング装置の好ましい一実施の態様を図面に基づいて説明する。
図2において、1は光ファイバで、2は光ファイバ1を送り出す引出しボビン、3は引出しキャプスタンで、4は上下に移動可能なスクリーニングダンサー、5は送出しキャプスタンである。引出しキャプスタン3とスクリーニングダンサー4と送出しキャプスタン5とで光ファイバ1に張力を付加する張力付加部となるスクリーニング機構6となっている。スクリーニング機構6は上下に移動可能なスクリーニングダンサー4の質量及びトルクにより走行する光ファイバ1に張力を付与し、さらに引き出される光ファイバ1の速度やロードセル7で測定される張力の変動を安定化させるように構成されている。
【0011】
8は引出し速度を調整する引出しダンサーで、9は引出し側固定プーリー、10は巻取り速度を調整する巻取りダンサー、11は巻取り側固定プーリーである。12は巻取りボビンである。
13は断線センサー、14はファイバたたき防止カバーで巻取りボビン12に巻き取られる光ファイバ1が接することなく通過出来る程度の間隙Sを有している。
【0012】
このようなスクリーニング装置では、光ファイバ1は引出しボビン2から引出しキャプスタン3により引出され、スクリーニング機構6で一定の張力が付与され、この張力に打ち勝った光ファイバ1のみが送出しキャプスタン5で引き取られ、巻取ボビン12に巻き取られる。しかしながら、光ファイバ1に低強度部が存在すると、前記スクリーニング機構6に耐えることができずに断線する。
【0013】
光ファイバ1が断線すると、引出しキャプスタン3と送出しキャプスタン5の間に配置された断線センサー13によって断線が検知される。断線の検知情報は、制御装置(図には省略)により巻取りボビン12の駆動を停止させる。
断線センサーについてはレーザー透過式が良く使われる。
【0014】
本実施態様の具体的な時間の1例を示すと、光ファイバ1のスクリーニング線速を例えば1400m/分とした場合、断線センサー13による断線の検知時間は0.1秒以下で、制御装置が断線検知情報を得てから巻取りボビン12が停止する時間tは220msecである。
また、送出しキャプスタン5からファイバたたき防止カバー14までの光ファイバ1の各プーリー間の引き掛け長を5.5m、防止カバー14から巻取りボビン12までの距離を0.5mとした場合、断線から巻取りボビン12の静止時の光ファイバ1の端末は約5mであるから、ファイバたたき防止カバー14を通過せずに送出しキャプスタン5側に残っている。このように前記式(I)を満たすようにすれば巻取りボビン12に巻き取られた正常な光ファイバ1を光ファイバ1の端部がたたき現象を起す事が無い。
また、断線検出から送出しキャプスタン5が静止するまでの時間t2が巻取りボビン12が静止するまでの時間tよりも大であるようにすると、停止時に送出しキャプスタン5から巻取りボビン12との間の光ファイバが突っ張ることなく減速停止し、正常に巻取られた光ファイバにおいてファイバ食込みは発生しない。
【0015】
制御装置が断線検知情報を得てから巻取りボビン12が静止するまでの時間tは200msec以上であることが好ましい。
tを200msec未満にした場合、急停止により巻取りボビンを破壊してしまうおそれがあるからである。そのため例えばスクリーニング速度1600m/分の場合では、Lを伸ばすことで前記式(I)を満足するような構成とすることが好ましい。
なお、本発明に用いられるボビン、キャプスタン、ダンサー、ロードセル、プーリーは、それぞれ特に制限するものではなく、光ファイバのスクリーニング装置に通常用いられるものを使用することができる。例えば、特開2000−143093公報に記載された線状体のスクリーニング装置に用いられているものなどを使用することができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明の光ファイバのスクリーニング方法は、スクリーニング時の断線による他の正常部分の光ファイバの損傷を引き起こすことがないという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スクリーニング線速1400m/分のときの断線発生時の巻取り速度と巻取りボビンの静止時間の関係の一例を示すグラフである。
【図2】 本発明に用いられるスクリーニング装置の好ましい一実施態様を示す説明図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ
2 引出しボビン
3 引出しキャプスタン
4 スクリーニングダンサー
5 送出しキャプスタン
6 スクリーニング機構
7 ロードセル
8 引出しダンサー
9 引出し側固定プーリー
10 巻取りダンサー
11 巻取り側固定プーリー
12 巻取りボビン
13 断線センサー
14 ファイバたたき防止カバー
S 間隙
Claims (2)
- 光ファイバを引出しボビンから送出し、送出された光ファイバに張力印加部で張力印加し、光ファイバを巻取りボビンで巻取るスクリーニング方法であって、
光ファイバが最後に通過するプーリーと該巻取りボビンとの間には光ファイバが通過する間隙を有する平面状のファイバたたき防止カバーが設けられており、
該張力印加部を通過した光ファイバを、該間隙を通過させることで該ファイバたたき防止カバーに接することなく該ファイバたたき防止カバーを通過させ、該ファイバたたき防止カバーを通過した光ファイバを巻取りボビンで巻取り、
張力印加により光ファイバが断線した際には、前記断線した光ファイバの端末が、前記ファイバたたき防止カバーを通過する前に前記巻取りボビンを静止させることにより、前記断線した光ファイバの端末を、巻取りボビンに巻かれている光ファイバに接触させないことを特徴とする光ファイバのスクリーニング方法。 - 前記ファイバたたき防止カバーの幅は、前記巻取りボビンがトラバースして動く距離を完全にカバーできる幅であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバのスクリーニング方法。
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