JP4652652B2 - 移動構成要素上の任意ポイントのタイムマーカを発生するための方法及び該方法を実施するための光学式トリガー装置 - Google Patents
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Description
本発明は、移動構成要素上の任意ポイントのタイムマーカ(time markers)を発生するための方法に関し、また、かかるタイムマーカを発生するための光学式トリガー装置に関するものである。
【0002】
今日のタービン羽根の開発に際し、例えば、大きな負荷がかかったロータの羽根についての振動測定が非常に重要である。臨界的な振動はちょうどいい時に確認されねばならない。同時に、測定により、設計プログラムや羽根の使用寿命についてのデータが提供される。今までのところ、大部分の場合、測定は歪ゲージを用いて行われてきたが、この歪ゲージには、遠心力に耐える複雑な配線と信号伝達の遠隔計測システムが必要であることから、相当なコストとリードタイムとが付随している。
【0003】
上に概略的に述べた問題を避けるために、光学式測定方法が開発されてきた。この場合、例えばタービンエンジンのロータ羽根のような被測定構成要素のハウジングにおける種々の周辺位置にトリガープローブを設け、これにより、プローブ間の羽根の走行時間を測定することが可能である。振動がない場合、走行時間は回転速度,ロータ半径,及びプローブの周辺位置によって求められる。振動があると、振動運動の瞬間位相角に応じて、羽根がもっと速く或いは遅くプローブを通過するので、走行時間に変化が起こる。振動の振幅及び周波数は非擾乱値(undisturbed values)からの走行時間の偏差により求められる。
【0004】
羽根の時間信号もしくは位置信号を発生するために、ロータの上のハウジング内に複数のプローブが組み込まれていて、羽根の先端が該プローブの測定領域を通過するときに、該プローブが信号を供給する。羽根先端の規定位置と相関関係にあるタイムマーカもしくは刻時点は、結果として生じたアナログ信号から電子手段により導出される。特別な場合、プローブはまた流路に突入することができる。その後、羽根の前縁又は後縁からトリガー信号が得られる。
【0005】
既知のプローブ構造は、羽根の縁部のみで、通常、羽根先端上の位置のみでタイムマーカを発生させることができる点で重大な欠点がある。そこに実際に節点を有する振動形態は検出されない。更に、羽根の前縁又は後縁についての測定のためプローブが流路に内蔵されているときには、流れが相当に乱されてしまう。
【0006】
従って、本発明の目的は、移動構成要素上の任意のポイントでタイムマーカを発生することができる、タイムマーカもしくは精密マーカの発生方法を提供することである。非常に融通性のある適用を可能にすることが意図されており、特にプローブの自由な位置決めを可能にすることが意図されている。更に、この方法を実施する装置を提供することが意図されている。
【0007】
本発明は、移動構成要素上の任意ポイントのタイムマーカを発生するための方法であって、相応に短い可干渉距離を有する広帯域光源からの光を2つの光路、即ち測定光路と参照光路とに分割すると共に、2つの光導波路に結合して入れ、前記参照光路の光は少なくとも部分的に再結合され、前記測定光路の光は測定ポイントで合焦されると共に焦点を通過する前記構成要素により反射され、前記焦点までの前記測定光路における光距離と再結合面までの前記参照光路における光距離とは、放射光の可干渉距離の範囲内で同じ長さであり、前記参照光路及び前記測定光路からの再結合光は干渉されて検出器により検出され、前記構成要素が前記焦点を通るときに前記検出器で短変調現象(short modulation event)が起きる、タイムマーカを発生する方法を提案している。
【0008】
本発明による方法は広帯域光源を使用している。この光源により放射された光は、ビームスプリッターにより2光路に分割される。光の一部は測定光導波路に送り込まれ、残りの部分は参照光導波路に送り込まれる。測定光路の光は、光導波路の端で出て該光導波路の前方で合焦される。この焦点が測定ポイントを構成する。参照光路の光は少なくとも部分的に再結合される。これは、光導波路の端面のところで直接に行うことができ、或いは別体のミラーにより行うこともできる。
【0009】
移動構成要素が測定光路の焦点を通過すると、光の一部は反射されて結合され元の測定光導波路中に戻される。測定光路の及び参照光路の再結合部分は次いで干渉し検出器により検出される。
【0010】
検出器では、焦点までの測定光路における光の距離と再結合面までの参照光路における光の距離とが放射光の可干渉距離の範囲内で同じ長さであるときに、2光路の干渉の結果として、光の強度の変調が起こる。従って、測定光路の焦点領域においてこの条件が正確に満たされるような方法で装置を較正しなければならない。次いで構成要素が焦点のところで測定光路の光ビームを通過すれば、光導波路中に再結合された反射光の強度が最大になる。最大値がトラバースしている間、光源の可干渉距離の不足(shortness)に従って光の強度の変調が検出器のところで瞬間的に起こる。変調周波数は、使用される光の波長と構成要素の速度とに左右される。この変調現象を利用して高い時間精度のトリガーパルスを得ることができる。
【0011】
ビームスプリッターとしてマイケルソン干渉計を使用するのが好ましく、また、再結合した光部分の干渉のため、その他の干渉装置を使用することも可能である。
【0012】
更に、移動構成要素上の任意ポイントのタイムマーカを発生するための本発明が提案する光学式トリガー装置は、相応に短い可干渉距離を有する広帯域光源と、光源からの光を、光導波路と光を各光導波路に送り込む手段とをそれぞれ備える2光路、即ち測定光路と参照光路とに分割するための手段と、測定ポイントのところに測定光導波路から出る光を合焦するための手段と、参照光路の光を再結合するための手段と、2光路の再結合光の干渉のための手段と、干渉する再結合光を検出するための検出器とを備えている。
【0013】
本発明による光学式トリガー装置は、移動している構成要素上の任意ポイントのタイムマーカを発生するために使用することができる。本発明によるトリガー装置は広帯域光源を備えている。この光源から出る光は2光路、即ち測定光路と参照光路とに分割される。測定光路の光は測定光導波路中に送られ、参照光路の光は参照光導波路中に送られる。これらの光導波路はプローブに達している。このプローブにおいて、光が測定光導波路から出て、測定ポイントのところで合焦される。参照光路の光は少なくとも部分的に結合され参照光導波路に再び戻される。これは、光導波路の境界表面での反射により、或いは別のミラーにより実現することができる。
【0014】
例えばタービンエンジンのロータの羽根である被測定構成要素が測定光路の焦点を通過すれば、光は部分的に反射され元の測定光導波路に結合して戻される。結合し戻された光部分は2光路から組み合わせられ、次いで互いに干渉する。検出器は、2光路のこの干渉する再結合光を検出する。
【0015】
検出器では、測定光路及び参照光路における2距離が可干渉距離の範囲内で同じ長さであるときに、光の強度の変調が起こる。従って、装置は好ましくは最初に、プローブの前方にある焦点でこの条件が正確に満たされるような方法で較正される。そのため、本発明による装置の好適な開発例において、参照光路及び測定光路の光路長さを調節可能とする手段が設けられている。これは、例えば、光源からの分割光を結合して光導波路に入れるための結合光学系の軸方向調節可能性により行うことができる。
【0016】
被測定構成要素が測定光路の焦点を通過すると、再結合された光の強度が最大に達する。装置の調整の結果として、光強度の変調が最大である間に検出器で一時的に起こり、この変調現象の長さは使用された光源の可干渉距離に左右され、また、変調周波数は使用された光の波長と構成要素の速度とに左右される。
【0017】
光源からの光を2光路に分割すると共に、結合し戻される光部分の干渉を行うために、マイケルソン干渉計を使用するのが好ましい。代替例として、例えば、繊維干渉計(fibre interferometer)を使用することができる。
【0018】
測定光導波路の端部及び合焦光学系はプローブ中で結合されるのが好ましく、このプローブ中では参照光導波路も終端することができる。測定プローブは容易に位置決めされる。測定中に利用可能なスペース条件に対して適応可能にするため、測定光路の焦点の位置は調節可能であることが好ましい。被測定構成要素に対する最適の適応性及び接近性を実現するために、参照光路からの光ビームはプローブから斜めに出ることができる。この目的のためプローブは斜交ウィンドウを備えることができる。
【0019】
本発明による装置の開発例において、構成要素表面上の複数のポイントについてのトリガー信号を同時に発生するために、複数の光導波路を1つのプローブに内蔵させることができる。
【0020】
測定光路及び参照光路の2つの光導波路は、それらの全長にわたり密接な関係で延びているのが好ましい。その結果、温度変動,振動及び同様の影響により生ずる光路長さの変化は、両光路において同じ程度に起こり、外乱を生じさせることがない。
【0021】
参照光路は、信号強度を測定光路の信号強度に同調可能とするため、光強度を減衰させる手段を備えているのが好ましい。これは減衰器ディスクにより行うことができる。
【0022】
光を2光路間に分割し次いで再結合するために繊維干渉計を使用することができる。
【0023】
検出器の高周波出力信号から正確なタイムマーカを得るために電子手段を使用することができる。
【0024】
この装置において、構成要素表面上の複数のポイントについてトリガー信号を同時に発生するために、複数の光導波路を1つのプローブに内蔵させることができる。
【0025】
本発明は、添付図面に関連して以下に詳細に説明される。
【0026】
図1は、可視域において放射する広帯域の光源1を例示している。これは本実施例の場合、波長λ=630nmを有する発光ダイオードである。帯域幅はΔλ=50nmである。次に、可干渉距離lkは、lk=λ2/Δλから得られる。従って、この可干渉距離は約8μmである。光源からの光は、ビームスプリッター2を備えたマイケルソン干渉計に入射する。ビームスプリッターは、光源1からの光を測定光路3と参照光路4とに分割する。光は最初にコリメート(collimated)され、レンズ系7及び8により分割されそれぞれ光導波路5,6に入ってから送られる。光導波路は、可能な限り長いその長さ部分にわたり密接な関係に保持されている。その結果、温度変動,振動及びその他の影響により招来された光学的な長さ変化が2つの光路に等しく起こり、外乱を生じさせない。プローブ9において、光は測定光導波路5から出て、レンズ系10により焦点11に向かい合焦される。参照光導波路6の光は、該導波路の末端12で少なくとも部分的に再結合される。
【0027】
タイムマーカを発生するために、例えばタービンエンジンのロータ羽根である被測定構成要素13が移動され焦点11に通される。その結果、光は、部分的に反射され結合されて元の測定光導波路5に戻される。再結合した光はマイケルソン干渉計のビームスプリッター2に再び当てられる。この光は参照光路4の再結合した光と干渉して、検出器14により検出される。
【0028】
検出器14では、2つの光路3,4の距離が可干渉距離の範囲内で同一であるときに、光の強度の変調が起こる。従って、プローブ9の前にある焦点11でこの条件が正確に満たされるような方法で装置を最初に較正(calibrated)しなければならない。そのため、ここに例示した構成においては、焦点11の位置で最大限の可能自由度を有するべく、軸方向調節可能性(an axial adjustment possibility)A1,A2が与えられている。
【0029】
参照光路4の信号強度を測定光路3の信号強度に合わせることができるようにするため、参照光路4には減衰器ディスク15が設けられている。
【0030】
図2は、原理的には同じ態様で作動する、光学繊維ビームスプリッター2を使用する光学式トリガー装置を例示している。光源1からの光は結合されて繊維に入り、光学繊維ビームスプリッター2で分割されて測定光路3及び参照光路4に入る。測定光導波路5は、図1において説明し記載した態様で構成されたプローブ9に延びている。参照光導波路6は調節ユニット16まで延びており、その調節ユニットで光ビームは適当な光学系17によりコリメートされミラー18で反射される。ミラーには調節可能性A3が付与されている。これにより、参照光路4の有効光路長を調節することが可能である。こうして、光学繊維ビームスプリッター2についての調節可能性の欠如にも拘わらず、タイムマーカを発生する前に必要な2光路の長さの較正が達成できる。
【0031】
図3は、検出器により検出された信号と具体例としての処理後に発生した諸信号とを例示している。タイムマーカを発生するために、例えばタービン羽根である測定すべき構成要素が測定光路の焦点を通り移動する。その結果、光は、反射され結合されて元の測定光路に戻る。これは、検出器で検出すべき信号の変調という結果になる。例えば波長を630nmとし、そしてタービン羽根の周速を10〜500m/sの範囲内とすれば、これは、30〜1600MHzの変調周波数となる。高域フィルタを通った後、信号は図3aに示した形状を有する。図3bに示した信号は、その後の整流後に得られる。低域フィルタを使用することにより、信号は図3cに示す形状をとる。図3dに例示したようなタイムマーカVは、例えば、信号の負の零交差で図3cから信号の微分後に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による光学式トリガー装置の概略的な構成を示している。
【図2】 光学繊維ビームスプリッターを備えた本発明による光学式トリガー装置の概略的な構成を示している。
【図3】 検出器の出力信号とそれから導出可能の正確なタイムマーカの信号とを示している。
【符号の説明】
1 光源
2 ビームスプリッター
3 測定光路
4 参照光路
5 測定光導波路
6 測定光導波路
7 結合光学系
8 結合光学系
9 測定プローブ
10 合焦光学系
11 焦点
12 反射面
13 タービン羽根
14 検出器
15 減衰器ディスク
16 調節ユニット
17 結合光学系
18 ミラー
Claims (8)
- 移動構成要素(13)上の任意ポイント(arbitrary points)のタイムマーカを発生するための方法であって、相応に短い可干渉距離を有する広帯域光源(1)からの光を2つの光路、即ち測定光路(3)と参照光路(4)とに分割すると共に、2つの光導波路(5,6)に結合して入れ、前記参照光路(4)の光は少なくとも部分的に再結合され(coupled back)、前記測定光路(3)の光は測定ポイント(11)で合焦されると共に焦点(11)を通過する前記構成要素により反射され、前記焦点(11)までの前記測定光路(3)における光の距離と再結合面(12,18)までの前記参照光路(4)における光の距離とは、放射光の可干渉距離の範囲内で同じ長さであり、前記参照光路(4)及び前記測定光路(3)からの再結合光(coupled-back light)は干渉して検出器(14)により検出され、前記構成要素(13)が前記焦点(11)を通るときに前記検出器(14)で短変調現象(short modulation event)が起きる、タイムマーカを発生する方法。
- 光の分割のため、及び再結合光の干渉のためにマイケルソン干渉計を使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 請求項1又は2に記載の方法に従って移動構成要素(13)上の任意ポイントのタイムマーカを発生するための光学式トリガー装置であって、
相応に短い可干渉距離を有する広帯域光源(1)と、
前記光源(1)からの光を、光導波路(5,6)と光を各光導波路(5,6)に送り込む手段(7,8)とをそれぞれ備える2つの光路、即ち測定光路(3)と参照光路(4)とに分割するための手段(2)と、
測定ポイント(11)のところで測定光導波路(5)から出る光を合焦するための手段(10)と、
前記参照光路(4)の光を再結合するための手段(12,18)であって、焦点(11)までの前記測定光路(3)における光の距離と再結合面(12,18)までの前記参照光路(4)における光の距離とが、放射光の可干渉距離の範囲内で同じ長さである、前記手段(12,18)と、
前記2つの光路(3,4)の再結合光の干渉のための手段(2)と、
干渉する再結合光を検出するための検出器であって、該検出器で前記構成要素(13)が前記焦点(11)を通るときに短変調現象(short modulation event)が起きる、前記検出器(14)と、
を備える光学式トリガー装置。 - 前記測定光路(3)及び/又は前記参照光路(4)の光路長さは調節可能であることを特徴とする請求項3に記載の光学式トリガー装置。
- 光を分割し干渉するための前記手段(2)はマイケルソン干渉計であることを特徴とする請求項3又は4に記載の光学式トリガー装置。
- 前記測定光路(3)の前記焦点(11)の位置は調節可能であることを特徴とする請求項3〜5のうちの1項に記載の光学式トリガー装置。
- 前記参照光路(4)の光強度は調節可能であることを特徴とする請求項3〜6のうちの1項に記載の光学式トリガー装置。
- 前記トリガー装置は移動構成要素上の複数のポイントのトリガー信号を同時に発生するため複数の測定光路(3)を備えることを特徴とする請求項3〜7のうちの1項に記載の光学式トリガー装置。
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