JP4649734B2 - 映像信号処理装置および映像信号処理プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー撮像素子から入力した映像信号を処理する装置およびその処理プログラムを記録した記録媒体に関し、特に、ホワイトバランス性能を改良したものである。
【0002】
【従来の技術】
カラー撮像素子で撮像した映像信号を処理し、被写体の白色部分を正しく白色に再生するためのホワイトバランス調整を行う電子スチルカメラやビデオカメラなどの映像信号処理装置が知られている(例えば、特許第2997234号公報参照)。
【0003】
図9は従来の映像信号処理回路の制御ブロック図であり、この図により従来のホワイトバランス調整について簡単に説明する。このカメラはTTL方式の撮像装置と映像信号処理装置を備えている。撮影レンズ51によりカラー撮像素子52上に結像された被写体像は、カラー撮像素子52により映像電気信号に変換される。輝度信号処理部53では映像信号から輝度信号Yが生成され、クロマ信号処理部54では映像信号から輝度信号の低周波数成分YLと赤信号Rおよび青信号Bが生成される。ここで、輝度信号Yは、
【数1】
Y=0.30R+0.59G+0.11B
の比率で赤R、緑G、青Bを混合した信号である。
【0004】
赤信号RはR利得制御部55で赤信号のホワイトバランスゲインRgainが乗じられ、赤信号R’が生成される。一方、青信号BはB利得制御部56で青信号のホワイトバランスゲインBgainが乗じられ、青信号B’が生成される。次に、マトリクスアンプ57では赤信号R’と輝度信号の低周波数成分YLに基づいて色差信号R−Yが生成され、またマトリクスアンプ58では青信号B’と輝度信号の低周波数成分YLに基づいて色差信号B−Yが生成される。ここで、
【数2】
R−Y=0.70R−0.59G−0.11B,
B−Y=0.89B−0.59G−0.30R
これらの色差信号R−Y、B−Yは圧縮処理部59へ送られ、JPEGなどに圧縮されて記録媒体に記録される。
【0005】
一方、平均化部60、61はそれぞれ色差信号R−Y、B−Yの1画面分の平均値を求め、制御電圧導出部62はそれらの平均信号レベルが0レベル、すなわちR=B=GとなるようなホワイトバランスゲインRgain、Bgainを導出する。上述したように、これらのホワイトバランスゲインRgain、Bgainはそれぞれ赤信号Rと青信号Bに乗ぜられ、ホワイトバランス調整が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の映像信号処理装置では、有彩色の被写体が撮影画面の広い範囲を占めるシーンを撮影する場合に、その被写体の色に強い影響を受けて正しくホワイトバランス調整が行われないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、有彩色の被写体が撮影画面の広い範囲を占める場合でも良好なホワイトバランスを得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の映像信号処理装置は、撮影レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換するカラー撮像素子を備え、前記カラー撮像素子から入力した各色の画素出力に処理を施してホワイトバランス調整を行う映像信号処理装置において、前記カラー撮像素子の受光面を複数の領域に分割する領域分割手段と、各領域の色ごとの画素出力平均値を演算する平均値演算手段と、各領域ごとに基準となる色の画素出力平均値に対する他の色の画素出力平均値の比を演算する平均値比演算手段と、前記画素出力平均値の比に基づいて各領域の色相を検出する色相検出手段と、前記複数の領域の色相の度数分布に基づいて前記複数の領域の中から所定度数以下の色相の領域を抽出する領域抽出手段とを備え、前記抽出された領域の各色の画素出力に基づいてホワイトバランス調整を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の映像信号処理装置は、請求項1に記載の映像信号処理装置において、前記抽出された領域の色ごとの画素出力平均値の総和を演算する総和演算手段と、前記各色の総和に基づいて基準色以外の色に対するホワイトバランスゲインを演算するゲイン演算手段と、基準色以外の色の画素出力に前記ホワイトバランスゲインを乗ずる画素出力調整手段とを備え、ホワイトバランス調整を行うことを特徴とする。
請求項3に記載の映像信号処理装置は、請求項1または請求項2に記載の映像信号処理装置において、前記カラー撮像素子は赤色成分、緑色成分および青色成分の画素を有し、前記基準色は緑色であることを特徴とする。
請求項4に記載の映像信号処理装置は、請求項1または請求項2に記載の映像信号処理装置において、前記カラー撮像素子は緑色成分、黄色成分、青緑色成分および紫色成分の画素を有し、前記基準色は緑色であることを特徴とする。
請求項5に記載の映像信号処理装置は、請求項1または請求項2に記載の映像信号処理装置において、前記カラー撮像素子は記録媒体に記録する画像データを生成するために用いられる撮像素子であることを特徴とする。
請求項6に記載の映像信号処理装置は、請求項1または請求項2に記載の映像信号処理装置において、前記カラー撮像素子は被写界を複数の測光領域に分割して各測光領域ごとに被写体輝度を測定するための撮像素子であることを特徴とする。
請求項7に記載の映像信号処理装置は、撮影レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換するカラー撮像素子を備え、前記カラー撮像素子から入力した各色の画素出力に処理を施してホワイトバランス調整を行う映像信号処理装置において、前記カラー撮像素子の受光面を複数の領域に分割する領域分割手段と、各領域の画素出力に基づいて各領域ごとの色相を演算する色相演算手段と、前記複数の領域の色相の度数分布を演算する色相分布演算手段と、前記領域分割手段により分割された複数の領域の中から、前記色相の度数分布において度数が所定度数以下である色相を有する領域を抽出する領域抽出手段とを備え、前記抽出された領域の各色の画素出力に基づいてホワイトバランス調整を行うことを特徴とする。
請求項8に記載の映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体は、撮影レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換するカラー撮像素子から入力された映像信号に含まれる各色の画素出力に処理を施してホワイトバランス調整を行う処理をコンピューターに実行させる映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体において、前記カラー撮像素子の受光面を複数の領域に分割する領域分割処理と、各領域の色ごとの画素出力平均値を演算する平均値演算処理と、各領域ごとに基準となる色の画素出力平均値に対する他の色の画素出力平均値の比を演算する平均値比演算処理と、前記画素出力平均値の比に基づいて各領域の色相を検出する色相検出処理と、前記複数の領域の色相の度数分布に基づいて前記複数の領域の中から所定度数以下の色相の領域を抽出する領域抽出処理と、前記抽出された領域の各色の画素出力に基づいてホワイトバランス調整を行う処理とをコンピューターに実行させることを特徴とする。
請求項9に記載の映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体は、請求項8に記載の映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体において、前記抽出された領域の色ごとの画素出力平均値の総和を演算する総和演算処理と、前記各色の総和に基づいて基準色以外の色に対するホワイトバランスゲインを演算するゲイン演算処理と、基準色以外の色の画素出力に前記ホワイトバランスゲインを乗ずる画素出力調整処理とを行い、ホワイトバランス調整を行う処理をコンピューターに実行させることを特徴とする。
請求項10に記載の映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体は、撮影レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換するカラー撮像素子から入力された映像信号に含まれる各色の画素出力に処理を施してホワイトバランス調整を行う処理をコンピューターに実行させる映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体において、前記カラー撮像素子の受光面を複数の領域に分割する領域分割処理と、各領域の画素出力に基づいて各領域ごとの色相を演算する色相演算処理と、前記複数の領域の色相の度数分布を演算する色相分布演算処理と、前記領域分割処理により分割された複数の領域の中から、前記色相の度数分布において度数が所定度数以下である色相を有する領域を抽出する領域抽出処理と、前記抽出された領域の各色の画素出力に基づいてホワイトバランス調整を行う処理とをコンピューターに実行させることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明をTTL一眼レフ電子スチルカメラに適用した一実施の形態を説明する。なお、本発明はTTL一眼レフ電子スチルカメラに限定されず、CCDなどのカラー撮像素子により映像を撮像する透視ファインダー式などのすべての電子スチルカメラ、ビデオカメラ、あるいはスキャナーなどにも適用することができる。
【0011】
図1は一実施の形態のカメラの横断面を示し、図2はカメラの構成を示す。このTTL一眼レフカメラは、カメラボディ1に交換レンズ鏡筒2が装着される。被写体からの光はレンズ鏡筒2へ入射し、鏡筒2内の撮影レンズ3と絞り4の開口部を通過してカメラボディ1へ導かれる。
【0012】
カメラボディ1では、撮影時以外はメインミラー5が破線で示す位置に置かれ、被写体光はメインミラー5で反射されてファインダーマット6へ導かれ、ファインダーマット6上に被写体像が結像される。その被写体像はペンタプリズム7により接眼レンズ8へ導かれ、接眼レンズ8を介して撮影者に視認される。
【0013】
また、ファインダーマット6上に結像された被写体像は、ペンタプリズム7およびプリズム9により結像レンズ10へ導かれ、結像レンズ10により測光用撮像素子11上に被写体像が再結像される。測光用撮像素子11はフォトダイオードやCCDから構成され、被写界を複数の測光領域に分割して各測光領域ごとに被写体輝度を測定する。
【0014】
一方、撮影時はメインミラー5が実線で示す位置まで退避されるので、被写体光はサブミラー12を透過して開放されているシャッター13を通り、撮影用撮像素子14へ導かれ、撮像素子14上に被写体像が結像される。なお、被写体光の一部はサブミラー12で反射され、カメラボディ1の底部に設置される焦点検出装置(不図示)へ導かれ、撮影レンズ3の焦点調節状態が検出される。
【0015】
撮影用撮像素子(CCD)14は複数の画素が平面上に配列されており、各画素上には図3に示すように赤R、緑G、青Bのカラーフィルターが配置されている。なお、図4に示すような緑G、黄色(イエロー)Ye、青緑(シアン)Cy、紫(マゼンダ)Maの補色系のカラーフィルターを配置した撮像素子を用いることもできる。なお、このようなカラーフィルターを備えた撮像素子をこの明細書ではカラー撮像素子と呼ぶ。
【0016】
図2において、CPU21はカメラ全体の動作を制御する。CPU21はタイミングジェネレーター(TG)22とドライバー23を制御して上述した撮影用のカラー撮像素子(CCD)14を駆動する。また、CPU21はタイミングジェネレーター22を制御してアナログ信号処理回路24、A/D変換器25、画像処理回路(ASIC)26、バッファーメモリ27を制御する。
【0017】
アナログ信号処理回路24は、カラー撮像素子14から入力したアナログR、G、B信号に対してゲインコントロール、雑音除去などのアナログ処理を施す。A/D変換器25はアナログR、G、B信号をデジタル信号に変換する。また、画像処理回路(ASIC)26は、デジタルR、G、B信号に対してホワイトバランス調整、γ補正、補間輪郭補償などの処理を施す。なお、この画像処理回路26の動作については後述する。
【0018】
バッファーメモリ27は、画像処理中もしくは処理後の画像データを格納する。圧縮回路(JPEG)28は、バッファーメモリ27に格納されている画像データをJPEG方式で所定の比率に圧縮する。表示画像生成回路29は、バッファーメモリ27に格納されている画像データから表示用画像データを生成し、モニター30に表示する。メモリカード31はフラッシュメモリなどから構成され、圧縮後の画像データを記録する。また、CPU21にはシャッターレリーズ釦の半押しスイッチ32と全押し(レリーズ)スイッチ33が接続される。
【0019】
CPU21は、シャッター13がレリーズされて撮影が行われるたびに、カラー撮像素子14の電荷蓄積を行い、蓄積電荷を読み出してアナログ信号処理回路24とA/D変換器25で信号処理とデジタル変換した後、画像処理回路26により処理を行う。そして、モニター30に撮像画像を表示し、圧縮回路28で画像を圧縮してメモリカード31に記録する。
【0020】
画像処理回路(ASIC)26はCPUとその周辺部品から構成され、図5および図6に示す画像処理プログラムを実行してR、G、B画像信号を処理する。なお、この実施の形態ではマイクロコンピューターのソフトウエアで画像処理を行う例を示すが、ハードウエアにより画像処理を行ってもよい。
【0021】
ステップ1において、カラー撮像素子14から出力されA/D変換器25でデジタル信号に変換されたR、G、Bの各画素データを入力する。続くステップ2で、画素配列の1ラインごとに、オプティカルブラックとして使用する複数の画素データの加重平均をそのラインの各画素データから減算する。ステップ3では、画素配列の1ラインごとに、R、G、Bの各画素データに対して一律に所定のゲインを乗して信号レベルを調整するとともに、G画素に対するRとB画素の感度のばらつきを補正する。
【0022】
ステップ4で上記処理を施したRGB画素データをバッファーメモリ27へ出力して記憶させるとともに、ステップ5〜11において上記処理を施したRGB画素データに基づいてホワイトバランスゲインRgain、Bgainを演算する。
【0023】
ホワイトバランスゲインRgain、Bgainの演算方法を説明する。まず、ステップ5で複数の画素が平面上に配列された撮像素子14の受光面を、少なくとも2個以上の画素を含む複数の領域に分割する。この領域分割方法には、▲1▼原則として同一個数の画素を含み、各領域が互いにオーバーラップしないように分割する方法、▲2▼原則として同一個数の画素を含み、各領域がオーバーラップするように分割する方法、▲3▼当初の演算は広い領域に分割して行い、演算結果に基づいて狭い領域に分割する方法、つまり、演算結果に基づいて領域の大きさを変更する方法、あるいは上記の方法を組み合わせた方法などがある。なお、領域の分割方法はこの実施の形態の方法に限定されるものではない。
【0024】
▲2▼の領域のオーバーラップを許容する分割方法は、▲1▼のオーバーラップを許容しない分割方法に比べて、より正確なホワイトバランスゲインを演算することができるが、オーバーラップ量を多くすると、後述する撮影画面内から有彩色被写体の範囲を排除する際に不具合を生じる。▲3▼の分割方法は、当初は広い領域分割で演算を行い、信頼性の高い演算結果が得られない場合は狭い領域分割で演算をやり直すことによって、演算処理時間を短縮できる。
【0025】
いずれかの方法でn分割された各領域に対して、領域番号i(=1〜n)を付して区別する。ステップ6で、各領域iに含まれるR,G,Bごとの画素値の平均値Ra(i)、Ga(i)、Ba(i)を演算する。続くステップ7では、各領域iにおけるG画素平均値Ga(i)に対するR画素平均値Ra(i)の比RG(i)と、G画素平均値Ga(i)に対するB画素平均値Ba(i)の比BG(i)を、次式により演算する。
【数3】
RG(i)={Ra(i)−Ga(i)}/Ga(i),
BG(i)={Ba(i)−Ga(i)}/Ga(i)
【0026】
次に、ステップ8で、図7に示すように、横軸をG画素平均値に対するB画素平均値の比BG、縦軸をG画素平均値に対するR画素平均値の比RGとする平面座標上に、演算結果の各領域iの比RG(i)と比BG(i)で決まる点{RG(i),BG(i)}をプロットする。ステップ9では、図7に示す平面座標において、原点(0,0)からの放射範囲ごとの点{RG(i),BG(i)}の度数分布を調べ、図8に示すようなヒストグラムを作成する。なお、この実施の形態では10度の放射範囲を例に上げて説明するが、放射範囲の角度はこの実施の形態に限定されない。
【0027】
G画素平均値に対するR画素平均値の比RGと、G画素平均値に対するB画素平均値の比BGの平面座標上で、領域iの点{RG(i),BG(i)}が存在する位置はその領域iに対応する被写体の有彩色の区別、すなわち色相を表すことになるから、図7に示す放射範囲ごとの点{RG(i),BG(i)}の度数分布は被写体の色相傾向を表す。例えば、青空が撮影画面の広い範囲を占める場合には比BGが大きくなり、横軸BG周りの放射範囲の度数が多くなる。また、一面の赤いバラ園を撮影する場合には比RGが大きくなり、縦軸RG周りの放射範囲の度数が多くなる。
【0028】
ところが、上述したようにこのような有彩色の被写体が撮影画面の広い範囲を占めるシーンを撮影する場合には、その被写体の色に強い影響を受けて良好なホワイトバランスが得られなくなる。そこでこの実施の形態では、所定度数Kを超える色相の領域iには撮影画面の広い範囲を占める有彩色の被写体が存在すると判断し、そのような領域をホワイトバランスゲイン演算の対象領域から除外する。これにより、撮影画面内の広い範囲を占める有彩色被写体を除外してホワイトバランス調整を行うことができ、良好な調整結果が得られる。
【0029】
具体的には、ステップ10で図8に示すヒストグラムにおいて所定値K以下の度数の領域iを抽出し、続くステップ11で抽出したすべての領域のR,G,B各画素の平均値の総和を次式により演算する。
【数4】
Rt=ΣRa(i),
Gt=ΣGa(i),
Bt=ΣBa(i)
そして、ステップ12で総和Rt、Gt、Btに基づいて次式によりホワイトバランスゲインRgain、Bgainを演算する。
【数5】
Rgain=Rt/Gt,
Bgain=Bt/Gt
【0030】
ホワイトバランスゲインRgain、Bgainを算出したら、ステップ13でバッファーメモリ27から先に記憶したRGB画素データを入力し、すべてのR画素値にゲインRgainを乗ずるとともに、すべてのB画素値にゲインBgainを乗じてホワイトバランス調整を行う。
【0031】
ホワイトバランス調整後のステップ14で、周知の黒レベル調整とγ補正を行う。さらに、ステップ15において、縦p×横q画素領域ごとに周知の補間、輪郭処理を行う。すなわち、ホワイトバランス調整後の画像データに対してp×q画素領域のブロックデータごとにJPEG方式のデータ圧縮のためのフォーマット処理を行って、p1×q1画素領域のY信号とp2×q2画素領域のCb信号およびCr信号を生成する。以上の黒レベル調整、γ補正、補間輪郭処理については周知であり、本願発明と直接に関係しないので詳細な説明を省略する。最後にステップ15で、Y信号、Cb信号、Cr信号をバッファーメモリ27へ出力し、記憶する。
【0032】
このように、カラー撮像素子14の受光面を複数の領域iに分割し、各領域iの色R、G、Bごとの画素出力平均値Ra(i)、Ga(i)、Ba(i)を演算するとともに、各領域iごとに基準となる色Gの画素出力平均値Ga(i)に対する他の色R、Bの画素出力平均値Ra(i)、Ba(i)の比RG(i)、BG(i)を演算する。そして、画素出力平均値の比RG(i)、BG(i)に基づいて各領域iの色相を検出し、複数の領域iの色相の度数分布に基づいて複数の領域iの中から所定度数K以下の色相の領域を抽出し、抽出した領域の各色の画素出力に基づいてホワイトバランス調整を行うようにしたので、有彩色の被写体が撮影画面の広い範囲を占める場合でも良好なホワイトバランスを得ることができる。
【0033】
以上の実施の形態の構成において、画像処理回路(ASIC)26が領域分割手段、平均値演算手段、平均値比演算手段、色相検出手段、領域抽出手段、総和演算手段、ゲイン演算手段、画素出力調整手段、色相演算手段および色相分布演算手段を構成する。
【0034】
なお、上述した一実施の形態では、G画素平均値に対するR画素平均値の比RGと、G画素平均値に対するB画素平均値の比BGの平面座標系を設定し、各領域の被写体の色相傾向を判断する例を示したが、上述した座標系に限定されず、例えばXYZ、LAB、LUV、HSCなどの色相を表す座標系であればどのような座標系を用いてもよい。
【0035】
また、上述した一実施の形態では、撮影用カラー撮像素子14の出力を用いてホワイトバランス調整を行う例を示したが、測光用カラー撮像素子11の出力を用いて上述したホワイトバランス調整を行っても、同様な効果が得られる。
【0036】
さらに、上述した一実施の形態では、緑色を基準色とするR,G,Bの三原色カラーフィルターを備えた撮像素子を例に上げて説明したが、カラー撮像素子のフィルターの色とその配列および基準色は上記一実施の形態に限定されず、例えばG、Ye、Cr、Maの補色カラーフィルターを備えた撮像素子を用いても同様な効果が得られる。
【0037】
以上説明したように本発明によれば、有彩色の被写体が撮影画面の広い範囲を占める場合でも良好なホワイトバランスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態のカメラの横断面図である。
【図2】 一実施の形態の構成を示す図である。
【図3】 カラー撮像素子のR、G、B画素配置例を示す図である。
【図4】 カラー撮像素子の補色系画素配列を示す図である。
【図5】 一実施の形態の画像処理を示すフローチャートである。
【図6】 図5に続く、一実施の形態の画像処理を示すフローチャートである。
【図7】 画素平均値の比RG、BGを平面上に展開した図である。
【図8】 放射範囲に対するヒストグラムを示す図である。
【図9】 従来の画像処理装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
11 測光用カラー撮像素子
14 撮影用カラー撮像素子
21 CPU
22 タイミングジェネレーター
23 ドライバー
24 アナログ信号処理回路
25 A/D変換器
26 画像処理回路(ASIC)
27 バッファーメモリ
28 圧縮回路(JPEG)
29 表示画像生成回路
30 モニター
31 メモリカード
Claims (10)
- 撮影レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換するカラー撮像素子を備え、前記カラー撮像素子から入力した各色の画素出力に処理を施してホワイトバランス調整を行う映像信号処理装置において、
前記カラー撮像素子の受光面を複数の領域に分割する領域分割手段と、
各領域の色ごとの画素出力平均値を演算する平均値演算手段と、
各領域ごとに基準となる色の画素出力平均値に対する他の色の画素出力平均値の比を演算する平均値比演算手段と、
前記画素出力平均値の比に基づいて各領域の色相を検出する色相検出手段と、
前記複数の領域の色相の度数分布に基づいて前記複数の領域の中から所定度数以下の色相の領域を抽出する領域抽出手段とを備え、
前記抽出された領域の各色の画素出力に基づいてホワイトバランス調整を行うことを特徴とする映像信号処理装置。 - 請求項1に記載の映像信号処理装置において、
前記抽出された領域の色ごとの画素出力平均値の総和を演算する総和演算手段と、
前記各色の総和に基づいて基準色以外の色に対するホワイトバランスゲインを演算するゲイン演算手段と、
基準色以外の色の画素出力に前記ホワイトバランスゲインを乗ずる画素出力調整手段とを備え、ホワイトバランス調整を行うことを特徴とする映像信号処理装置。 - 請求項1または請求項2に記載の映像信号処理装置において、
前記カラー撮像素子は赤色成分、緑色成分および青色成分の画素を有し、前記基準色は緑色であることを特徴とする映像信号処理装置。 - 請求項1または請求項2に記載の映像信号処理装置において、
前記カラー撮像素子は緑色成分、黄色成分、青緑色成分および紫色成分の画素を有し、前記基準色は緑色であることを特徴とする映像信号処理装置。 - 請求項1または請求項2に記載の映像信号処理装置において、
前記カラー撮像素子は記録媒体に記録する画像データを生成するために用いられる撮像素子であることを特徴とする映像信号処理装置。 - 請求項1または請求項2に記載の映像信号処理装置において、
前記カラー撮像素子は被写界を複数の測光領域に分割して各測光領域ごとに被写体輝度を測定するための撮像素子であることを特徴とする映像信号処理装置。 - 撮影レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換するカラー撮像素子を備え、前記カラー撮像素子から入力した各色の画素出力に処理を施してホワイトバランス調整を行う映像信号処理装置において、
前記カラー撮像素子の受光面を複数の領域に分割する領域分割手段と、
各領域の画素出力に基づいて各領域ごとの色相を演算する色相演算手段と、
前記複数の領域の色相の度数分布を演算する色相分布演算手段と、
前記領域分割手段により分割された複数の領域の中から、前記色相の度数分布において度数が所定度数以下である色相を有する領域を抽出する領域抽出手段とを備え、
前記抽出された領域の各色の画素出力に基づいてホワイトバランス調整を行うことを特徴とする映像信号処理装置。 - 撮影レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換するカラー撮像素子から入力された映像信号に含まれる各色の画素出力に処理を施してホワイトバランス調整を行う処理をコンピューターに実行させる映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体において、
前記カラー撮像素子の受光面を複数の領域に分割する領域分割処理と、
各領域の色ごとの画素出力平均値を演算する平均値演算処理と、
各領域ごとに基準となる色の画素出力平均値に対する他の色の画素出力平均値の比を演算する平均値比演算処理と、
前記画素出力平均値の比に基づいて各領域の色相を検出する色相検出処理と、
前記複数の領域の色相の度数分布に基づいて前記複数の領域の中から所定度数以下の色相の領域を抽出する領域抽出処理と、
前記抽出された領域の各色の画素出力に基づいてホワイトバランス調整を行う処理とをコンピューターに実行させることを特徴とする映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。 - 請求項8に記載の映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体において、
前記抽出された領域の色ごとの画素出力平均値の総和を演算する総和演算処理と、
前記各色の総和に基づいて基準色以外の色に対するホワイトバランスゲインを演算するゲイン演算処理と、
基準色以外の色の画素出力に前記ホワイトバランスゲインを乗ずる画素出力調整処理とを行い、ホワイトバランス調整を行う処理をコンピューターに実行させることを特徴とする映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。 - 撮影レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換するカラー撮像素子から入力された映像信号に含まれる各色の画素出力に処理を施してホワイトバランス調整を行う処理をコンピューターに実行させる映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体において、
前記カラー撮像素子の受光面を複数の領域に分割する領域分割処理と、
各領域の画素出力に基づいて各領域ごとの色相を演算する色相演算処理と、
前記複数の領域の色相の度数分布を演算する色相分布演算処理と、
前記領域分割処理により分割された複数の領域の中から、前記色相の度数分布において度数が所定度数以下である色相を有する領域を抽出する領域抽出処理と、
前記抽出された領域の各色の画素出力に基づいてホワイトバランス調整を行う処理とをコンピューターに実行させることを特徴とする映像信号処理プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
Priority Applications (3)
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JP2000374841A JP4649734B2 (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | 映像信号処理装置および映像信号処理プログラムを記録した記録媒体 |
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