JP4649385B2 - 帯域通過フィルタの設計方法および帯域通過フィルタ - Google Patents

帯域通過フィルタの設計方法および帯域通過フィルタ Download PDF

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Description

本発明は、所定の周波数帯域を通過させる帯域通過フィルタの設計方法および帯域通過フィルタに関する。
従来、多段の共振器(または共振素子という)によって構成される帯域通過フィルタは、各共振器に含まれる誘電体材料のtanδ(複素誘電率の虚数部と実数部の比)の逆数である無負荷Q値(Q)が限りなく大きな(無限大の)場合に限って、理想的なまたは設計通りのフィルタ特性を実現することができる。なお、ここでいう理想的または設計通りのフィルタ特性とは、通過させる周波数帯域以外を完全に遮断することができる減衰特性のことであり、図示した場合、通過させる周波数帯域内の振幅特性において、帯域端の減衰量が緩やかに下降するのではなく、垂直に下降するようにする、すなわち、振幅特性が完全な矩形波を示すことである。
しかし、実際には、帯域通過フィルタの減衰特性が矩形とならないこと、また、無負荷Q値が有限であるために、帯域通過フィルタでは、導体損によって、帯域内伝送損失(以下、挿入損失という)や、帯域内振幅偏差が生じてしまい、帯域外減衰特性に劣化(通過させる周波数帯域内の帯域端から帯域外への振幅特性の減衰量が緩やかに下降すること)が生じる。従来、この帯域外減衰特性の劣化を防止するために、有限ではあるものの、可能な限り無負荷Q値が高い共振器を用いる必要がある。
しかし、無負荷Q値の高い共振器は、例えば、当該共振器として、空洞共振器や超伝導技術を使用した共振回路を用いる必要があり、これらの場合、物理的に外形寸法が大きくなってしまったり、高価になってしまったりする(製造コストがかかる)。
一般に、帯域通過フィルタは所望の伝送特性を実現するためにフィルタの型式を選定し、その等価回路から必要な回路定数を求める設計が行われている。
ここで、図8を参照して、一般的な帯域通過フィルタについて説明する。図8は一般的な帯域通過フィルタ(2n段帯域通過フィルタ)の等価回路図である。図8に示したように、帯域通過フィルタ101は、多段の共振素子によって構成されている。
なお、この図8において、Vinは入力電圧、Voutは出力電圧、Nは入力端の電圧比、Nは出力端の電圧比およびMijは段間の結合係数を示しており、1つの共振素子内のキャパシタの合計は1クーロン、インダクタの合計は1ヘンリーである。また、帯域通過フィルタ101は、所望のフィルタ特性を実現するために、N、N、Mijの具体的数値は理論的に一意に決定されている。
この場合に、簡単のため、共振器の無負荷Q値から求まる損失係数を同一として計算し、その結果が要求される挿入損失の範囲内に入るように当該Qは決定されていた。
帯域通過フィルタが近年主流となっているデジタル信号の伝送に用いられた場合、当該デジタル信号の伝送においては、当該デジタル信号のスペクトルが帯域内でほぼ平坦であるので、帯域内全体での挿入損失が最小となるようにフィルタの設計を行う必要がある。
従来、帯域通過フィルタがアナログ信号の伝送に用いられた場合、当該アナログ信号の伝送においては、当該アナログ信号の所要の信号帯域(通過させる周波数帯域)は広くても当該アナログ信号のスペクトルの中心周波数の近傍に比較的集中しているため、この中心周波数における挿入損失の低減に着目して、フィルタの設計が行われてきた。
また、OFDM変調されたデジタル信号を通過させるフィルタとして、通過帯域内の振幅偏差を小さくすることを目的とする多段共振器型の帯域通過フィルタがある。これは、共振器の型式が異なると無負荷Q値も異なってくることから、これら無負荷Q値の異なる共振器を組み合わせ多段とすることで従来の帯域通過フィルタよりも振幅偏差の低減を図ったものである。また、デジタル信号を通過させるフィルタとして、無負荷Q値の配分を初段から徐々に大きくして中間の段で最大として、それから逆に徐々に小さくしていく技術も開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2006−109246号公報 特開2006−109232号公報
近年主流となっているデジタル信号の伝送に、帯域通過フィルタが用いられた場合、当該デジタル信号の伝送においては、当該デジタル信号のスペクトルが帯域内でほぼ平坦であるので、帯域内全体での挿入損失が平坦且つ最小となるようなフィルタの設計が求められる。
帯域通過フィルタのフィルタ特性は、共振器の段数やフィルタ型式(チェビシェフ型、楕円関数型等)に加え、無負荷Q値に強く依存するため、所要の帯域外減衰特性を保持しつつ(所要の帯域外減衰量を満足させつつ)、所要の信号帯域内の伝送特性を良好にするフィルタの設計が望まれており、このような設計に基づいた帯域通過フィルタが求められている。また、従来技術での無負荷Q値の配分法によっては、帯域内振幅偏差を低減する効果が必ずしも明確ではない。
一方、中継局等に多数のフィルタを実際に配備することを考慮すると、前記の要求の他に製造コスト、作業コスト、運用コストなどの観点が必要である。その意味で、帯域通過フィルタを構成する各共振器は製造、調整上からは、同型式(同種類)のものが望ましく、また設置するスペース装置の大きさからは外形が小さい方が望ましい。
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、外形寸法を大きくすることなく、製造コストを安価にして、所要の帯域外減衰特性を保持しつつ、所要の信号帯域内の伝送特性を良好にすることができる帯域通過フィルタの設計方法および帯域通過フィルタを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の帯域通過フィルタの設計方法は、型式が同種類のN(N:2以上の整数)の共振器で構成される帯域通過フィルタの設計方法であって、前記N個の共振器の無負荷Qを設定するために、前記N個の共振器が同一としたときに共振器の外形寸法より定まる無負荷Q値であるQを各共振器に与え、前記各共振器が同一としたときに与えた無負荷Q値を、設定するN個の無負荷Q値の算術平均がQに等しくなる条件の下に、前記フィルタ内の共振器毎に変えて設定し、前記無負荷Q値を変えた共振器で構成されたフィルタ毎に、当該フィルタにおいて信号を通過させる所要の帯域全体の伝送損失として、中心周波数での挿入損失と帯域端での挿入損失との差分を示す帯域内振幅偏差を計算し、前記計算した帯域内振幅偏差が、各共振器に無負荷Q値を等しく与えた帯域通過フィルタの帯域内振幅偏差よりも小さく、かつ、計算した全フィルタのうち最小となるフィルタを選択し、前記選択したフィルタを構成する各共振器に設定されている無負荷Q値を、前記設定するN個の無負荷Q値として決定することを特徴とする。
かかる方法によれば、フィルタ型式や外形寸法(算術平均値)が同一でも、当該フィルタを構成する各共振器の無負荷Q値の配分最適化が行われている。この最適化によって、帯域通過フィルタの導体損による帯域内振幅偏差或いは通過帯域内全体の損失の総計が改善される。また、共振器が同一とは、使用する際のモードを同じにした場合のことを指しており、外形寸法とは共振器の実体積を特定する寸法のことを指している。
請求項2に記載の帯域通過フィルタの設計方法は、型式が同種類のN個(N:2以上の整数)の共振器で構成される帯域通過フィルタの設計方法であって、前記N個の共振器の無負荷Qを設定するために、前記N個の共振器が同一としたときに共振器の外形寸法より定まる無負荷Q値であるQを各共振器に与えたときに、共振器毎に、信号を通過させる所要の帯域幅内の周波数に応じた電界強度を示す帯域内相対電界強度をそれぞれ計算しておいて、設定するN個の無負荷Q値の算術平均がQに等しくなる条件の下に、各共振器における相対電界強度の2乗の値と無負荷Q値の逆数の積から求まる導体損の挿入損失の総和に当たる総和挿入損失を計算し、当該総和挿入損失を最小にするように無負荷Q値を配分することを特徴とする。
かかる方法によれば、相対電界強度の2乗の値と無負荷Q値の逆数の積から求まる導体損の挿入損失の総和に当たる総和挿入損失を計算し、当該総和挿入損失を最小にするように無負荷Q値を配分の最適化が行われている。
請求項3に記載の帯域通過フィルタは、型式が同種類のN個(N:2以上の整数)の共振器で構成される帯域通過フィルタであって、前記N個の共振器が同一としたときに共振器の外形寸法より定まる無負荷Q値であるQが各共振器に与えたときに共振器毎にそれぞれ計算される、信号を通過させる所要の帯域幅内の周波数に応じた電界強度を示す帯域内相対電界強度と前記各共振器に設定された各々の無負荷Q値について設定されたN個の無負荷Q値の算術平均がQに等しく、かつ各共振器の帯域内における相対電界強度の偏差が最も大きい共振器に最大の無負荷Q値が、次に相対電界強度の偏差が大きい共振器に次に大きい無負荷Q値が、相対電界強度の偏差が最も小さい共振器に最小の無負荷Q値が設定されており、当該フィルタにおいて前記帯域全体の伝送損失として計算される、中心周波数での挿入損失と帯域端での挿入損失との差分を示す帯域内振幅偏差が、各共振器に無負荷Q値を等しく与えた帯域通過フィルタの帯域内振幅偏差よりも小さく設定されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、例えば、帯域通過フィルタでは、複数の共振器の中で周波数に対して最も相対電界強度の偏差が小さい共振器に配分する無負荷Q値を最小にして、逆に周波数に対して最も相対電界強度の偏差が大きい共振器に配分する無負荷Q値を最大にすることで、当該無負荷Q値の配分の最適化が行われている。この最適化によって各共振器内部で生じる導体損による帯域内振幅偏差が改善される。
一方では、振幅偏差を最小にするため、帯域通過フィルタの帯域全体の挿入損失を必要以上に増加させる場合もあるため、両方を勘案して各共振器の無負荷Q値を配分し、通過帯域内の挿入損失を良好にする、例えば、通過帯域全体の平均損失が最小になるようにすることも可能である。
請求項1、3に記載の発明によれば、来のように無負荷Q値を限りなく大きくするために、外形寸法を大きくしたり、製造コストを増加させたりすることが無くなり、負荷Q値の配分が最適化されることにより、所要の帯域外減衰特性を保持しつつ、所要の信号帯域内の伝送特性を良好にすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、振幅偏差、帯域全体の挿入損失の両方を勘案して各共振器の無負荷Q値を配分し、通過帯域内の挿入損失を良好にすることができる。例えば、通過帯域全体の平均損失が最小になるようにすることもできる。
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、帯域通過フィルタの回路図(等価回路)である。なお、この実施形態では、帯域通過フィルタとして、6段楕円関数型フィルタを採用している。図1に示すように、6段楕円関数型フィルタ1は、6段の共振器(共振素子)3(3、3、3、3、3、3)から構成されており、この図1では、各共振器3の境界を点線で示している。なお、6段の共振器3を総括してまたは任意の1つを指す場合、共振器3、それぞれの共振器3を指す場合、各共振器3と記し、個別に指す場合には、第1共振器3、第2共振器3、第3共振器3、第4共振器3、第5共振器3、第6共振器3と記す。
共振器3は、コンデンサ、コイル等から構成される分布定数線路からなるもので、周波数、使用共振モードによって、無負荷Q値が決定される。なお、必ずしも、無負荷Q値は、共振器3の外形寸法に比例して大きくなるとは限らないが、ここでは、簡単のため、無負荷Q値が共振器3の外形寸法に比例して大きくなると仮定する。その上で、各共振器3の外形寸法が一定、つまり、各共振器3の無負荷Q値は等しいとし、まず、各共振器3における相対電界強度を計算する。次に、無負荷Q値を設定する。
この共振器3は、相対電界強度の偏差が大きいものから順に無負荷Q値が大きくなるように設定されており、6段楕円関数型フィルタ1において、当該無負荷Q値の配分の最適化が行われている。この最適化によって、6段楕円関数型フィルタ1の導体損による帯域内振幅偏差或いは通過帯域内全体の損失の総計が改善される。
また、共振器3は、使用共振モード(モード)を同一にした場合、外形寸法により無負荷Q値が定まるものである。なお、同一(共振器3が同一)とは、使用する際のモードを同じにした場合のことを指しており、外形寸法とは共振器3を構成するコンデンサ、コイル等の実体積を特定する寸法のことを指している。例えば、共振器3の形状が単純に直方体に近似できるのであれば、外形寸法とは縦横高さの長さのことを指していることとなる。また、各共振器3は同型式のものとしている。
なお、この図1において、Vinは入力電圧、Voutは出力電圧、X01、X12、X23は入力端の電圧比、X45、X56、X67は出力端の電圧比、B16、B25、B34は段間の結合係数、θは各共振器長を表し、B、B、B、B、B、Bは共振周波数調整用リアクタンス素子である。
ここで、6段楕円関数型フィルタ1の理論特性を図2、図3に示す。この6段楕円関数型フィルタ1は、中心周波数700MHz、帯域幅5.7MHz、帯域内リップル0.01dB、帯域外保証減衰量17dBおよび32dBをもつものである。図2は6段楕円関数型フィルタの広帯域伝送特性を示した図であり、図3は6段楕円関数型フィルタの帯域内振幅特性を示した図である。
まず、これらの6段楕円関数型フィルタ1の広帯域伝送特性および帯域内振幅特性は、無負荷Q値として5000を仮定し、挿入損失は各共振器3で均一であるとして算出している。なお、後記するように、この6段楕円関数型フィルタ1において、この無負荷Q値は各共振器3で異なるようにフィルタ設計が行われているが、ここでは、無負荷Q値を各共振器3で等しくした場合と無負荷Q値を各共振器3で異なるようにした場合との差を明確にするために、無負荷Q値を各共振器3で均一にした場合について触れる。なお、共振器3が共振しているときに電界のエネルギーと磁界のエネルギーとが等しいことから電磁界強度を電界強度で議論して良いことは明らかである。
そして、図2、図3に示すように、中心周波数での挿入損失が約0.5dB、帯域端での挿入損失が約2.0dBとなり、1.5dBの帯域内振幅偏差が生じている。
そこで、6段楕円関数型フィルタ1を構成する各共振器3において、どのような電磁界の集中(以下、電界集中という)が生じ、この集中に差(電界強度差)があるかどうかを計算するために、共振周波数調整用リアクタンス素子B〜Bの両端に現れる電圧(相対的な電界強度に相当、以下、相対電界強度という)を計算する。この計算結果を図4に示す。なお、共振器3が共振しているときに電界のエネルギーと磁界のエネルギーとが等しいことから電磁界強度を電界強度で議論して良いことは明らかである。
図4(a)は、無負荷Q値が5000の場合の相対電界強度を示し、図4(b)は、無負荷Q値が無限大の場合の相対電界強度を示している。この図4において、v1(f)は共振周波数調整用リアクタンス素子Bの相対電界強度、v2(f)は共振周波数調整用リアクタンス素子Bの相対電界強度、v3(f)は共振周波数調整用リアクタンス素子Bの相対電界強度、v4(f)は共振周波数調整用リアクタンス素子Bの相対電界強度、v5(f)は共振周波数調整用リアクタンス素子Bの相対電界強度、v6(f)は共振周波数調整用リアクタンス素子Bの相対電界強度を示している。
この図4に示すように、無負荷Q値が5000の場合でも、無負荷Q値が無限大の場合でも、各共振器3に現れる電界集中の傾向は変化がない。また、第1共振器3と第6共振器3と、第2共振器3と第5共振器3と、第3共振器3と第4共振器3とにおいて、それぞれほぼ同様の周波数特性を有している。
また、この図4に示すように、中心周波数700MHz付近では、第2共振器3と第5共振器3とにおいて、電界集中が最も大きく、ついで、第1共振器3と第6共振器3とにおいて電界集中が大きく、第3共振器3と第4共振器3とにおいて、電界集中が最も小さい。さらに、この図4に示すように、帯域端に行くに従って、第3共振器3と第4共振器3とにおいて、電界強度が急激に上昇していることがわかる。
なお、各共振器3の損失係数(無負荷Q値に反比例)が等しい場合、当該フィルタ1全体の挿入損失は、各共振器3内における電界強度の自乗の総和に比例するために、当該フィルタ1全体の挿入損失或いは帯域内振幅偏差を最小にするためには、最も電界集中する(最も電界強度が高くなる)共振器3の挿入損失を減少させ、各共振器3内の挿入損失を均一化する必要がある。
このため、この6段楕円関数型フィルタ1では、無負荷Q値を共振器3ごとに変えて、フィルタ設計を行い、挿入損失と帯域内振幅偏差との改善を数値的に調べた。
ここで、無負荷Q値の数値例を図5に示す。図5は無負荷Q値の数値例、No1からNo16までについて示した図である。この図5において、6段楕円関数型フィルタ1の無負荷Q値の算術平均を5000一定として、各共振器3の無負荷Q値を変えた場合の中心周波数での挿入損失L1と、帯域端での挿入損失L2と、これらの差分L2−L1、すなわち、帯域内振幅偏差とを示している。
また、この図5において、Q1は第1共振器3と第6共振器3との無負荷Q値、Q2は第2共振器3と第5共振器3との無負荷Q値、Q3は第3共振器3と第4共振器3との無負荷Q値を示している。
この図5に示すように、6段楕円関数型フィルタ1では、各共振器3の無負荷Q値の配分を変更することで、帯域内振幅偏差が大きく変化することがわかる。なお、この図5から、Q1を2000、Q3を9000にした場合に、帯域内振幅偏差が最も小さくなる(最適化が行われている)ことがわかる。例示として、図5のNo15、No9の場合について、広帯域伝送特性を図6(a)、図7(a)に、帯域内振幅特性を図6(b)、図7(b)に示す。この図6、図7に示したように、通過帯域が最適化を行う前よりも平坦化されている。
なお、図5において、No15の場合には、中心周波数での挿入損失が他の例が示す0.6dB程度に比べ、0.8dBと少し大きな値となっており、挿入損失と振幅偏差とを勘案すると、No9、No13の場合の方が良好な結果とも言える。もちろん、通過帯域内全体を積分してその平均が最小になるような無負荷Q値の配分にすることも可能である。
この場合の無負荷Q値の配分の最適化は、次のような手順で実行することができる。図1に示した帯域通過フィルタの回路図(等価回路)から求まる回路全体のF行列要素をA,B,C,Dとすれば、帯域通過フィルタ回路の伝達関数t(f,Q1,Q2,・・・,Q6)は以下のように表される。
t(f,Q1,Q2,・・・,Q6)=2/(A+B+C+D)
ただし、fは周波数、Q1,Q2,・・・,Q6は各共振器3の無負荷Q値である。
従って、帯域通過フィルタの挿入損失L(f,Q1,Q2,・・・,Q6)は、以下のように表される。
L(f,Q1,Q2,・・・,Q6)=−20×log|t(f,Q1,Q2,・・・,Q6)|
そうした場合の帯域内全体の総和挿入損失TL(f,Q1,Q2,・・・,Q6)は、Lの帯域内の積分であるから以下のように表される。
TL(Q1,Q2,・・・,Q6)=∫697.15 702.85L(f,Q1,Q2,・・・,Q6)df
このように、総和挿入損失TLが最小になるように、変数Q1,Q2,・・・,Q6の値を求めればよい。
以上の例示ではQ1〜Q6の算術平均を5000としている。これは帯域通過フィルタの外形寸法が機器装置寸法により制約を受けるので、フィルタの段数を決めれば共振器1段当たりの長さが決まり、これに従って平均無負荷Qも決まってしまう。その上で、Qの再配分を行うことにより、全体の寸法を増加させることなく帯域内振幅偏差を最適化することができる。
しかし、無負荷Q値は、周波数が同じ場合、ほぼ外形寸法に比例するので、実際問題として、極端な差のある場合は同一型式の共振器を作製するのは困難な場合が生じる。この場合、前記した無負荷Q値の設定方法に従って、作製可能で、且つ、帯域内偏差値も許容できる現実的な各共振器の無負荷Q値を選択すればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、6段楕円関数型フィルタ1について説明したが、帯域通過フィルタを構成する共振器3は、LC型、ストリップ型、同軸型、空洞型、誘電体型、或いは、超電導技術を用いたものでよく、特定の種類に限定されるものではなく、段数についても6段に限定されるものではない。
また、帯域通過フィルタのフィルタ型式についても、楕円関数型以外にも、バターワース型、チェビシェフ型等が挙げられ、限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る帯域通過フィルタ(6段楕円関数型フィルタ)の回路図である。 6段楕円関数型フィルタの広帯域伝送特性を示した図である(無負荷Q値を均一)。 6段楕円関数型フィルタの帯域内振幅特性を示した図である(無負荷Q値を均一)。 (a)は、無負荷Q値が5000の場合の相対電界強度を示した図であり、(b)は、無負荷Q値が無限大の場合の相対電界強度を示した図である。 無負荷Q値の数値例を示した図である。 図5のNo15に示す6段楕円関数型フィルタの広帯域伝送特性および帯域 内振幅特性を示した図である(共振器ごとに異なる無負荷Q値)。 図5のNo9に示す6段楕円関数型フィルタの広帯域伝送特性および帯域内振幅特性を示した図である(共振器ごとに異なる無負荷Q値)。 従来の一般的な帯域通過フィルタの回路図である。
符号の説明
1 6段楕円関数型フィルタ(帯域通過フィルタ)
3 共振器

Claims (3)

  1. 型式が同種類のN個(N:2以上の整数)の共振器で構成される帯域通過フィルタの設計方法であって、
    前記N個の共振器の無負荷Qを設定するために、
    前記N個の共振器が同一としたときに共振器の外形寸法より定まる無負荷Q値であるQを各共振器に与え
    前記各共振器が同一としたときに与えた無負荷Q値を、設定するN個の無負荷Q値の算術平均がQに等しくなる条件の下に、前記フィルタ内の共振器毎に変えて設定し、
    前記無負荷Q値を変えた共振器で構成されたフィルタ毎に、当該フィルタにおいて信号を通過させる所要の帯域全体の伝送損失として、中心周波数での挿入損失と帯域端での挿入損失との差分を示す帯域内振幅偏差を計算し、
    前記計算した帯域内振幅偏差が、各共振器に無負荷Q値を等しく与えた帯域通過フィルタの帯域内振幅偏差よりも小さく、かつ、計算した全フィルタのうち最小となるフィルタを選択し、前記選択したフィルタを構成する各共振器に設定されている無負荷Q値を、前記設定するN個の無負荷Q値として決定することを特徴とする帯域通過フィルタの設計方法。
  2. 型式が同種類のN個(N:2以上の整数)の共振器で構成される帯域通過フィルタの設計方法であって、
    前記N個の共振器の無負荷Qを設定するために、
    前記N個の共振器が同一としたときに共振器の外形寸法より定まる無負荷Q値であるQを各共振器に与えたときに、共振器毎に、信号を通過させる所要の帯域幅内の周波数に応じた電界強度を示す帯域内相対電界強度をそれぞれ計算しておいて、
    設定するN個の無負荷Q値の算術平均がQに等しくなる条件の下に、各共振器における相対電界強度の2乗の値と無負荷Q値の逆数の積から求まる導体損の挿入損失の総和に当たる総和挿入損失を計算し、当該総和挿入損失を最小にするように無負荷Q値を配分することを特徴とする帯域通過フィルタの設計方法。
  3. 型式が同種類のN個(N:2以上の整数)の共振器で構成される帯域通過フィルタであって、
    前記N個の共振器が同一としたときに共振器の外形寸法より定まる無負荷Q値であるQ 各共振器に与えたときに共振器毎にそれぞれ計算される、信号を通過させる所要の帯域幅内の周波数に応じた電界強度を示す帯域内相対電界強度と前記各共振器に設定された各々の無負荷Q値について
    設定されたN個の無負荷Q値の算術平均がQに等しく、かつ各共振器の帯域内における相対電界強度の偏差が最も大きい共振器に最大の無負荷Q値が、次に相対電界強度の偏差が大きい共振器に次に大きい無負荷Q値が、相対電界強度の偏差が最も小さい共振器に最小の無負荷Q値が設定されており、
    当該フィルタにおいて前記帯域全体の伝送損失として計算される、中心周波数での挿入損失と帯域端での挿入損失との差分を示す帯域内振幅偏差が、各共振器に無負荷Q値を等しく与えた帯域通過フィルタの帯域内振幅偏差よりも小さく設定されていることを特徴とする帯域通過フィルタ。
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