JP4649078B2 - 点字ラベル付き容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本願発明は、目の不自由な者が容易に内容物の確認をすることができるようにした点字ラベル付き容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、シャンプー、リンス(コンディショナー)、ボディーソープ等、浴室で使用する洗剤等は、類似の容器に収容されて提供される。メーカーにおけるコストダウンの事情もあって、これらの洗剤等は、全く同一の容器に収容し、表面の印刷表示によって使用者に内容物の峻別をさせるようにしたものも多い。
【0003】
ところが、目の不自由な使用者にとっては、容器表面の印刷表示を確認することができない。そのために、この種の容器表面に点字による内容物表示を付したものも見受けられる。
【0004】
この場合、容器それ自体の表面に点字を構成する突起を一体成形する方法と、点字を表記したシール、あるいはラベル(本明細書では、これらを総称して点字ラベルという。)を容器表面に貼着する方法とがある。前者の場合は、内容物ごとに点字部分の金型を変更する必要があり、後者の方法に比べてコスト的に不利である。
【0005】
以上のような事情により、容器表面に点字を表わす場合、点字ラベルを容器表面に貼着するという手法が製造コストの面からみてより適当であると言える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、点字ラベルは、目の不自由な者にとっては容器の内容物を表わす指標として意味はあっても、通常者にとっては、単なる点の集合としてとらえられるだけであって、全く無意味である。それ故に、容器の製造において点字ラベルを貼着する作業をする際に、その天地が判らず、作業に難渋したり、あるいは天地逆に貼着してしまうといった間違いも起こりやすい。そして、天地が正しく貼着されているかどうかを検査することも、非常に困難である。また、わずかな比率でしか存在しない目の不自由な者を想定してすべての容器に点字ラベルを等しく貼着することは、コスト面からみて合理的であるとはいえない。
【0007】
一方、この種の洗剤等を浴室で使用する場合についてみると、洗髪中にシャワーの湯水が頭や顔にかかっている状態においては、通常者にとっても、一時的に目による文字の確認が困難となっていることが多い。そのような状態で複数の類似の容器から目的の内容物が入った容器を峻別することは困難であるといえる。
【0008】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、目の不自由な者のみならず、通常者にとっても意味があり、かつ適正な点字ラベル貼着が可能な点字ラベル付き容器を提供することをその課題としている。
【0009】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を採用した。
【0010】
本願発明によって提供される点字ラベル付き容器は、内容物を表わす点字ラベルが表面適部に貼着された容器であって、上記点字ラベルには、形状的に天地を示す手段が付されており、上記点字ラベルは、一定幅のプラスチックテープに点字をエンボス状に表わしたものであり、かつ、上記形状的に天地を示す手段は、上記プラスチックテープの選択した角部を切り落とすことによって構成していることを特徴としている。本願発明によって提供される点字ラベル付き容器はまた、内容物を表わす点字ラベルが表面適部に貼着された容器であって、上記点字ラベルには、容器の内容物に関連づけて定義された色彩が付されているとともに、形状的に天地を示す手段が付されており、上記点字ラベルは、一定幅のプラスチックテープに点字をエンボス状に表わしたものであり、かつ、上記形状的に天地を示す手段は、上記プラスチックテープの選択した角部を切り落とすことによって構成していることを特徴とする。
【0011】
たとえば、浴室で使用する洗剤等に適用する場合、シャンプーはピンク、リンス(コンディショナー)は緑(グリーン)、ボディーソープは黄(イエロー)、といったように、内容物に関連づけて色彩を定義しておく。このような定義は、容器の表面に文字情報として記載しておけば、普段から使用者は内容物と色彩との定義関係を認識する。そして、洗髪中等にシャワーが顔面等にかかっていて、容器の文字を読み取ることが不可能な状況においても、ラベルの色彩は認識することができるから、手にした容器の点字ラベルの色彩により、それがこれから使用しようとする内容物が入った容器であるかどうかを認識することができる。このように、従来、目の不自由な者にしか意味のなかった点字ラベルが、本願発明によって、通常者にとっても意味のあるものとなる。
【0013】
上記点字ラベルは、より具体的には、たとえば長矩形状をした点字ラベルの4つの角のうち、上部の2つの角部を三角状に切り落とすことにより、点字が読めるかどうかに関わりなく、このように切り落としのあるほうが上であることを認識させることができる。
【0014】
このような構成によれば、点字を読めない者にとっても点字ラベルの天地を認識することができるので、容器にこの点字ラベルを貼着する作業において、天地を逆に貼着してしまうといった間違いがなくなる。このことは、いったん貼着した点字ラベルの天地が正しいかどうかの検査が困難であることを考慮すれば、きわめて重要である。
【0016】
なお、上記した点字ラベルは、剛性をもったプラスチック製またはガラス製の容器のほか、詰め替え用の袋状容器にも適用することができる。
【0017】
本願発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0019】
図1は、本願発明に係る点字ラベル付き容器10の1実施形態の全体斜視図、図2は、容器表面に貼付された点字ラベル30の拡大図である。この容器10は、プラスチック製またはガラス製のボトル状の容器であり、たとえば、浴室で使用するシャンプー、リンス(コンディショナー)、ボディーソープ等の液状内容物が収容されている。ボトルの口には、押圧ポンプ式の吐出装置20が取付けられている。この吐出装置20は、上部の押圧部21を繰り返し押圧することにより、吐出ノズル22から容器10の内容物を必要量吐出させることができる公知のものである。なお、このような吐出装置20を取り付けるかどうかは選択的な事項であり、この容器10は、ねじ蓋で容器の口を閉じるようにしたもの、あるいは開閉栓を有するキャップで口を塞ぐようにしたものなどであってもよい。
【0020】
容器10の表面には、商品名、商標、成分表示、使用法の説明等の印刷表示40がなされるとともに、好ましくは容器10の正面上部に、内容物を表わす点字ラベル30が貼着されている。この点字ラベル30には、内容物に関連づけて定義された色彩が付されている。たとえば、同一形状の容器によってシャンプー、リンス(コンディショナー)、ボディーソープの3種の商品を提供する場合、シャンプーはピンク、リンス(コンディショナー)はグリーン、ボディーソープはイエローといったように内容物と点字ラベル30の色彩とを関連づける。なお、このようなラベルの色彩をより認識しやすくするために、容器10は、白色または白色を基調としたものとしておくことが望ましい。
【0021】
より具体的には、上記の印刷表示40には、当然に、内容物がシャンプーであるか、リンス(コンディショナー)であるか、ボディーソープであるかが表示されるが、あわせて、「ピンク色のラベルがシャンプーのしるしです」「グリーン色のラベルがコンディショナーのしるしです」「イエロー色のラベルがボディーソープのしるしです」といった表記40aがなされる。このような表記40aは、好ましくは、点字ラベル30に近接した場所になされる。なお、このような点字ラベル30の色彩と容器内容物との関連づけは、商品売り場における展示の一環として、「ピンク色のラベルがシャンプーのしるしです」等の表示をすることによって、あるいは広告宣伝によって、消費者に告知するようにしてもよい。
【0022】
図2に良く表れているように、点字ラベル30は、たとえば、一定幅で一定長さのプラスチックテープに点字をエンボス状に浮き上がらせたものが用いられ、接着や溶着等の手段によって容器10の表面の所定部位に貼着される。また、この点字ラベル30の4つの角部のうち、上部の2つの角部が三角状に切り落とされており、このような切り落とし部30aを設けることにより、点字を読めない者にとっても、ラベル30の天地を確認することができる。
【0023】
上記構成を有する点字ラベル付き容器10は、当然に、目の不自由な者にとっても内容物の確認をすることができるという利点を有するが、さらに、以下に説明するような作用効果を奏する。
【0024】
点字ラベル30は、その上部の2つの角部に切り落とし部30aが設けられていることにより、点字を読めない者であっても、ラベル30の外形からその天地を容易に確認することができるので、容器10の製造において、点字ラベル30を天地逆に貼着してしまうといった間違いがなくなる。
【0025】
この容器10は、普段から浴室等で使用するものであるので、通常者は、容器10の表面の印刷表示40により、点字ラベル30の色彩とその内容物の定義関係を認識することができる。したがって、たとえば洗髪中等にシャワーが顔面等にかかっていて、容器10の印刷表示40の文字を読み取ることが困難な状況においても、点字ラベル30の色彩から、使用しようとする容器10が所望の内容物が入った容器であるかどうかを認識し、あるいは、点字ラベル30の色彩から、使用しようとする容器を選びとることが可能となる。
【0026】
このように、本願発明に係る点字ラベル付き容器10は、単に目の不自由な者に対する利便性が考慮されたにとどまらず、通常者による実際の使用における利便性を備えたものとなる。また、あわせて、製造において、点字ラベル30が天地逆に貼着されるといった間違いもなくなる。
【0027】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、容器の形態としては、上記した実施形態のように剛性をもったボトル状の容器10であるほか、図3に示すように、詰め替え用の袋状の容器10′であってもよい。この場合にも、ラミネートフィルムでできた袋状容器10′の表面には、商品名、商標、成分表示、使用法の説明等が印刷表示40が表わされるととも、内容物を表わす点字ラベル30が貼着される。この点字ラベル30は、ボトル状容器10に貼着するラベルと同一のものを使用することができる。また、この点字ラベル30には、内容物と関連づけられた色彩が付されていることも、上記と同様である。
【0028】
上記した実施形態では、点字ラベル30は、その天地を外形から認識できるように、上部の2つの角部に切り落とし部30aを設けているが、外形によって天地が認識できるのであれば、どのような形態としてもよい。
【0029】
さらに、本願発明は、実施形態のように浴室で使用する化粧品類を収容する容器に限らず、キッチン等において、食品や調味料を収容する容器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る点字ラベル付き容器の1実施形態の全体斜視図である。
【図2】図1に示される容器における点字ラベル付近の拡大図である。
【図3】本願発明に係る点字ラベル付き容器の他の実施形態の全体斜視図である。
【符号の説明】
10 容器
20 吐出装置
30a 切り落とし部
30 点字ラベル
40 印刷表示

Claims (4)

  1. 内容物を表わす点字ラベルが表面適部に貼着された容器であって、
    上記点字ラベルには、形状的に天地を示す手段が付されており、
    上記点字ラベルは、一定幅のプラスチックテープに点字をエンボス状に表わしたものであり、かつ、
    上記形状的に天地を示す手段は、上記プラスチックテープの選択した角部を切り落とすことによって構成していることを特徴とする、点字ラベル付き容器。
  2. 内容物を表わす点字ラベルが表面適部に貼着された容器であって、
    上記点字ラベルには、容器の内容物に関連づけて定義された色彩が付されているとともに、形状的に天地を示す手段が付されており、
    上記点字ラベルは、一定幅のプラスチックテープに点字をエンボス状に表わしたものであり、かつ、
    上記形状的に天地を示す手段は、上記プラスチックテープの選択した角部を切り落とすことによって構成していることを特徴とする、点字ラベル付き容器。
  3. 上記容器は、所定の剛性をもったプラスチックまたはガラス製の容器である、請求項1または2に記載の点字ラベル付き容器。
  4. 上記容器は、詰め替え用の袋状容器である、請求項1または2に記載の点字ラベル付き容器。
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