JP4648999B2 - 超短波治療器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、短波または超短波(HF〜VHF)帯の電磁波を身体に照射し、身体に超短波が浸透することにより身体の組織自体を発熱させる家庭用超短波治療器、特に1台で2ケ所を同時に治療できる超短波治療器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子レンジと同じ原理による高周波誘導加熱により身体を加温する装置が知られている。例えば、癌の治療用に「ハイパーサーミア」がある。ハイパーサーミアは出力200〜500Wの高出力の電磁波を患部に当ててガン細胞を窒息死させる目的で用いられるが、上記高出力のため人体表面の他の部分を冷却する必要がある。この発明は、上記出力を40W程度の低出力とし、腕とか足とかの温熱治療用に用いる家庭用超短波治療器に関するものである。
【0003】
また、上記電子レンジは食品等の水分子を振動させ加熱するもので、通常2500MHzのUHF帯の電磁波を用いている。しかし、上記周波数は波長が短いため、あまり大きなものを温めることが困難である。これに対して、上記家庭用の超短波治療器は人体という大きいものを温めるため、例えば27.17MHzのHF〜VHF帯の電磁波を用いている。
【0004】
従来の上記超短波治療器の構成が図6に示される。図において、一対の導子(電極)141,142が人体35を挟み、高周波発振回路32の出力側には、バラン33、整合回路34が設けられている。高周波発振回路32は不平衡回路であり、バラン33はこれを平衡回路に変換する不平衡ー平衡変換回路である。上記平衡度が悪いと一方の導子(電極)の近傍のみ加熱され、他方の導子(電極)付近が加熱されなかったり、あるいは場合によっては上記一方の導子(電極)付近の加熱が過剰となって不快な痛みや火傷を起こしたりすることがあるので、上記平衡を取ることは重要である。
【0005】
一方、上記導子を当てる人体の個所(患部)の場所の厚み、幅等の違いによりインピーダンスや内部抵抗が異なるので、高周波発振回路32の出力と負荷(患部)とのインピーダンスマッチング(整合)が必要になる。従来の装置は、図6における容量131,132をバランスを取りながら上記マッチングを取っていた。また、従来の家庭用超短波治療器は導子が一対で1個所しか治療できなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記従来の家庭用超短波治療器の欠点に鑑み、家庭用超短波治療器において低価格で、マッチング状態を制御しながら2個所同時に治療できる超短波治療器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の超短波治療器は、2枚の導子(電極)で人体を挟み、出力端子から上記2枚の導子間に短波または超短波(HF〜VHF)帯の電波を流すことにより人体を加温する超短波治療器において、アンプ出力側に2つの出力端子構造を有し、該2つの出力端子に交互にアンプ出力を供給することにより2ケ所同時に治療できるようにしたことを特徴とする。
【0008】
さらには、前記アンプ出力側に出力切換回路、2つのマッチング回路及びそれぞれのマッチング回路に直列に接続された2つの出力端子を有し、上記出力切換回路を制御することにより該2つの出力端子に交互にアンプ出力を供給する回路や、前記アンプ出力側に1つのマッチング回路と出力切換回路を有し、上記出力切換回路を制御することにより、該マッチング回路の出力を上記2つの出力端子に交互に供給することを特徴とする。また、前記出力切換回路を制御する時、同時にマッチング記憶回路によりそれぞれの導子の負荷に応じたマッチング状態に前記マッチング回路を制御することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
前述するように、図6にこの発明の基本となる家庭用超短波治療器の基本原理を示す。図に示すように、2枚の電極141,142で人体35を挟み、この2枚の電極からHFまたはVHF帯の電磁波(例えば、27.12MHz)を放射し、人体35に電磁波を透過させる。すると、人体中の水分子が振動を起こし、この水分子の振動により水分子間の摩擦熱が発生し、人体組織が発熱する。該電磁波は、人体を十分透過するため人体表面のみならず人体深部も加熱することができる。すなわち、表面の熱が内部に熱伝導するのではなく、人体の組織自体が発熱する。従って、上記高周波誘導加熱は身体の深部を効率よく温めるので、血行をよくし、筋肉のこりをほぐし、筋肉の疲れをとるのに効果がある。また、神経痛や筋肉の痛みを緩和し、胃腸の働きをよくする効果がある。この発明の家庭用超短波治療器は、例えば足や腕の各部に巻き付けて用いられる。
【0010】
図1,図2に、この発明の2個所同時に治療できる超短波治療器の説明図を示す。短波または超短波(HF〜VHF)帯の発振器1の出力はアンプ2で高周波電力増幅され、マッチング回路3,4を介して2つの出力端子6,7に接続される。アンプ出力側には2つの出力端子構造を有し、該2つの出力端子に交互にアンプ出力を供給することにより2ケ所同時に治療できる構造となっている。
【0011】
図1は第1の実施例であり、上記アンプ出力側に2つのマッチング回路3,4とそれぞれのマッチング回路に直列に接続された2つの出力端子6,7を有し、図示されない切換回路を制御することにより、該2つの出力端子6,7に交互にアンプ出力を供給する。出力端子6,7には、それぞれ一対の導子が接続される。図1において、一対の導子が当てられる患部によってインピーダンスが異なるので十分な高周波出力を患部に浸透させるためにはアンプ出力において負荷との整合を取る必要がある。このため使用部位に導子を取り付けた後、マッチング回路3,4の設定を行い、該設定値を制御回路5に記憶させる。
【0012】
図3に、この図1の詳細な回路図を示す。図3に示されるように、上記導子8,9への給電はアンプ出力側に設けられた切換スイッチ13により交互に行われる。患部に導子を当ててマッチングを取った後は、上記マッチング制御は一定に保たれる。スイッチ13は、リレーや半導体で構成される。制御回路5は発振部1のON/OFF制御、スイッチの切換制御、自動で整合を取るように可変コンデンサ(VC1a,VC2a,VC1b,VC2b)の制御を行う。可変コンデンサ部(VC1a,VC2a,VC1b,VC2b) は、容量を変える手段としてはバリアブルコンデンサや、多数のコンデンサを並べてリレーやスイッチで切り換える構成を用いる。上記のように、スイッチを交互に切り換えることにより、出力端子1,2に交互に高周波出力が出力され、導子1,導子2の同時使用が可能となる。
【0013】
上記同時使用の一具体例を述べる。
導子1,2を治療部位にあて、初めにスイッチを導子1に切り換える。発振部に発振信号(ON信号)を送り、高周波を出力する。この状態で、VC1a,VC2aを調整し、整合を取る。次に、スイッチを導子2方向に切り換え、同様に整合を取る。整合を取った後、VC1a,VC2a,VC1b,VC2bの状態(容量)は保持されており、スイッチを交互に切り換えることにより同時使用ができる。
【0014】
図2,図4には、この発明の他の実施例が示される。この実施例においては、マッチング回路10が2つの出力端子に共通に一つ設けられている。図1の場合と同様に、導子8,9への給電は交互に切り換えられるが、この場合はマッチング回路が一つなので、図4に示される如く、出力切換部21がマッチング回路の出力側に設けられている。なお、この場合前記のように導子を当てる患部によってマッチングの状態が異なるので、上記切換と同時にマッチングの状態も切り換えて制御する必要がある。このため、図4に示す如く、マッチング記憶回路22が設けられている。マッチング回路記憶装置22にて記憶された導子1,導子2での整合状態(容量)の切換時間は数百msecであり、出力切換部の切換時間は数秒程度である。
【0015】
上記切換の態様が図5に示される。図5(a)は連続的に出力端子1,2が切り換えられる例であり、図5(b)は切換時に多少時間を置く例である。図5(c)は、一つの導子治療中に何回か休息22を入れたもので、一方を数回出力状態から停止状態の切換を行った後、もう一方を数回出力状態から停止状態の切換を行うものである。図5(d)は、給電を徐々に上げていき徐々に下げていく切換パターンであって、急な電気刺激を好まない患者によって選択される。なお、切換時間は数秒程度で、実施例としては、1秒出力、2秒停止のパターンが想定される。
【0016】
図3,図4のマッチング回路は、前記バラン(平衡ー不平衡変換回路)20の入力側、出力側の双方にマッチング制御回路(例えば、図3の16,17)を設けている。これは、前記一対の導子間には絶対値が等しく位相が反転した電圧出力が必要であるので、バラン出力側のマッチング回路17は平衡バランスを取り、また位相を合わせることを主眼にし、またバラン入力側のマッチング回路16で負荷の内部抵抗分に相当する主整合を取ろうとするものである。このため、バラン出力側に直列可変容量17をバラン入力側に並列可変容量16を設けている。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の家庭用超短波治療器は、低価格で2個所同時に治療できる超短波治療器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の家庭用超短波治療器の一実施例の全体ブロック図である。
【図2】この発明の家庭用超短波治療器の他の実施例の全体ブロック図である。
【図3】図1の詳細な回路図である。
【図4】図2の詳細な回路図である。
【図5】この発明の超短波治療器の使用パターンを示す図である。
【図6】従来の超短波治療器の説明図である。
【符号の説明】
1 発振器
2 アンプ
3,4 マッチング回路
5 制御回路
6,7 出力端子
8,9 導子
10 マッチング回路
20 バラン

Claims (3)

  1. 2枚の導子(電極)で人体を挟み、出力端子から上記2枚の導子間に短波または超短波(HF〜VHF)帯の電波を流すことにより人体を加温する超短波治療器であって、アンプ出力側に2つの出力端子構造を有し、該2つの出力端子に交互にアンプ出力を供給することにより2ケ所同時に治療できるようにした家庭用温熱超短波治療器において、
    前記アンプ出力側に出力切換回路、2つのマッチング回路及びそれぞれのマッチング回路に直列に接続された2つの出力端子を有し、かつ、該マッチング回路が、バラン(平衡―不平衡回路)を挟んで、入力側にアース及び出力線間に設けられた並列可変容量及び出力側に平衡バランスを取り、位相を合わせるための直列可変容量を有し、上記出力切換回路を制御することにより、該2つの出力端子に連続して交互にアンプ出力を供給することを特徴とする家庭用温熱超短波治療器。
  2. 2枚の導子(電極)で人体を挟み、出力端子から上記2枚の導子間に短波または超短波(HF〜VHF)帯の電波を流すことにより人体を加温する超短波治療器であって、アンプ出力側に2つの出力端子構造を有し、該2つの出力端子に交互にアンプ出力を供給することにより2ケ所同時に治療できるようにした家庭用温熱超短波治療器において、
    前記アンプ出力側に1つのマッチング回路と出力切換回路を有し、かつ、該マッチング回路が、バラン(平衡―不平衡回路)を挟んで、入力側にアース及び出力線間に設けられた並列可変容量及び出力側に平衡バランスを取り、位相を合わせるための直列可変容量を有し、上記出力切換回路を制御することにより該マッチング回路の出力を上記2つの出力端子に交互に供給することを特徴とする家庭用温熱超短波治療器。
  3. 前記出力切換回路を制御する時、同時にマッチング記憶回路によりそれぞれの導子の負荷に応じたマッチング状態に前記マッチング回路を制御することを特徴とする前記請求項2記載の家庭用温熱超短波治療器。
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