JP4646640B2 - 移動台車及び移動台車の制御方法 - Google Patents
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Description
移動台車を高速で移動させるためには移動台車の加減速度を大きくする必要があるが、移動台車の加減速度が大きくなると台車に作用する慣性力も大きくなる。台車に作用する慣性力が大きくなると、台車の加減速に同期して補償トルクを迅速に発生させることができず、倒立状態を維持することが困難となる。そこで、台車の高速移動を可能とするために、台車に台車進行方向に移動可能な慣性体(アーム)を設け、この慣性体によって加減速時の慣性力を補償することが提案されている(例えば、非特許文献1等)。
非特許文献1の移動台車では、車体に車軸が回転可能に取付けられ、この車軸の両端にそれぞれ車輪が固定されている。車体には台車進行方向に回動可能な制御アームが取付けられている。制御アームはモータによって駆動され、制御アームの位置はエンコーダによって検出される。この移動台車では、台車の加減速に同期して制御アームが駆動される。このため、慣性力に応じた補償トルクが速やかに発生し、台車の高速移動化が図られている。
平林、山藤、「可変構造型移動ロボットの制御に関する研究」、日本機械学会論文集(C編)58巻552号(1992−8)p.2501−2506
この移動台車では、慣性体の目標値が車輪の目標値(すなわち、車輪の目標位置、目標速度又は目標加速度)のみに基づいて算出される。従って、従来と比較してゲインの数が少なくなり、ゲイン調整を容易に行うことができる。また、慣性体の目標値が慣性体及び台車の現在の状態(慣性体の位置、速度又は加速度、並びに車体の傾き角度、傾き角速度)に基づいて算出されないため、慣性体及び車体が振動しても、その振動の影響を受けることはなく、安定した制御を行うことができる。
このような構成によると、(1)車輪の目標加減速度に基づく加速トルクと(2)慣性体に作用する重力トルクが釣り合うように慣性体が駆動されるため、車輪の加減速中に車体が傾くことが抑制され、倒立状態を安定して保つことができる。
このような構成によると、第1コントローラによって算出される制御指令値に車輪の加減速度を補償する加減速補償値が加えられ、その制御指令値に基づいて第1アクチュエータが車輪を駆動する。このため、車輪の加減速に必要なトルクがフィードフォワード補償されて車輪に加えられるため、車輪は速やかに加減速し、より遅れの小さい動作が可能となる。
この場合において第1コントローラは、外乱に対して安定倒立可能なようにロバスト性を有することが好ましい。第1コントローラにロバスト性を付与することで、慣性体が車体に固定されていると仮定して第1コントローラを設計しても、車体は安定して倒立した状態を保つことができる。
すなわち、本願の移動台車の制御方法は、車軸と、車軸上に配置された2以上の車輪と、車軸に対し回動可能に支持された車体と、車体に対して少なくとも台車進行方向に移動可能に取付けられた慣性体と、車輪を駆動する第1アクチュエータと、慣性体を駆動する第2アクチュエータと、第1アクチュエータと第2アクチュエータに制御指令値を出力する制御コンピュータと、車輪の位置、速度及び加速度の少なくとも1つを検出する第1検出手段と、車体の傾斜角度及び傾斜角速度の少なくとも1つを検出する第2検出手段と、車体に対する慣性体の位置、速度及び加速度の少なくとも1つを検出する第3検出手段とを備える倒立振子型の移動台車の制御方法に関する。
この制御方法は、(1)第1、第2及び第3検出手段で検出される検出値を読込む工程と、(2)車輪の位置、速度及び加速度の少なくとも1つに関して目標値を読込む工程と、(3)車輪の位置、速度及び加速度の少なくとも1つが読込んだ目標値となり、かつ、車体が倒立状態を維持するように、読込んだ目標値と、第1及び第2検出手段より読込んだ検出値とに基づいて、第1アクチュエータの制御指令値を算出する工程と、(4)読込んだ目標値のみに基づいて、車体に対する慣性体の位置、速度及び加速度の少なくとも1つに関して目標値を算出する工程と、(5)算出された目標値と第3検出手段より読込んだ検出値とに基づいて第2アクチュエータの制御指令値を算出する工程と、(6)算出された各制御指令値を第1及び第2アクチュエータのそれぞれに出力する工程と、を有する。そして、上記各工程を制御コンピュータで繰返し実行することで移動台車を制御することを特徴としている。
図1に示すように本実施形態の移動台車は、台車本体10(質量m3)と、台車本体10に組み付けられた制御アーム11(質量m4)を備えている。台車本体10にはスライド軸11aが配設されている。スライド軸11aは、車輪12,13の回転軸線に対して略垂直に配されている。制御アーム11は、スライド軸11aに案内され、台車進行方向(台車並進方向)にスライド移動可能となっている。具体的には、スライド軸11aがモータ31(図3に図示)によって回転駆動されると、制御アーム11がスライド軸11a上を台車進行方向にスライド移動するようになっている。スライド軸11aの回転量は、モータ31に取付けられたエンコーダ31a(図3に図示)によって検出される。従って、エンコーダ31aの出力から、台車本体10に対する制御アーム11の位置(スライド量)が検出される。なお、本実施形態において制御アーム11の位置は、車輪12,13の回転軸中心Cと台車本体10の重心G3とを結ぶ直線Aと直交する方向で、その直線Aからのスライド量sによって表すものとする。
図2に示すように、台車本体10の下部には車輪12,13が配設されている。両車輪12,13は同一回転軸線上に配され、この回転軸線に対して直交する方向に台車本体10が傾動可能となっている。右車輪12にはモータ14が接続されており、左車輪13にはモータ15が接続されている。モータ14,15には、それぞれのモータの回転角度を検出するエンコーダ14a,15a(図3に図示)が取付けられている。図中の19は1軸ジャイロセンサであり、車軸とは直交する方向(すなわち、台車本体10の傾動方向)に配置されている。従って、ジャイロセンサ19によって台車本体10の傾斜角速度が検出される。
台車本体10の上部10aにはスライド軸11aが配設され、このスライド軸11aに制御アーム11が取付けられる。また、台車本体10の上部10aには、モータ31を回転駆動するモータドライバ17(図3に図示)等も配設されている。
図3に示すように、移動台車の制御は制御コンピュータ20を中心に行われる。制御コンピュータ20は、CPU,ROM,RAM等によって構成される。制御コンピュータ20は、ROMに格納された制御プログラムを実行することで、台車並進方向に関する制御指令値を算出する台車並進方向制御指令値算出手段22(以下、単に第1制御指令値算出手段という)と、台車回転方向に関する制御指令値を算出する台車回転方向制御指令値算出手段26(以下、単に第2制御指令値算出手段という)と、両制御指令値算出手段22,26等に目標値を入力する目標値入力手段24と、両制御指令値算出手段22,26で算出された制御指令値を加算する制御指令値加算手段28と、制御アーム11の制御目標値を算出する制御目標値算出手段27と、制御アーム11に関する制御指令値を算出する制御指令値算出手段29(以下、第3制御指令値算出手段という)として機能する。制御コンピュータ20によって構成される各手段22,24,26,28,27,29については後で詳述する。
制御コンピュータ20にはジャイロセンサ19が接続され、ジャイロセンサ19の出力(台車本体10の傾斜角速度)が入力するようになっている。また、制御コンピュータ20には、モータ駆動回路16a(モータドライバ16の一部)、モータ駆動回路16b(モータドライバ16の一部)及びモータ駆動回路17が接続されている。モータ駆動回路16aはモータ14と接続され、制御コンピュータ20からのトルク指令値に基づいてモータ14を駆動する。モータ駆動回路16bはモータ15と接続され、制御コンピュータ20からのトルク指令値に基づいてモータ15を駆動する。同様に、モータ駆動回路17はモータ31と接続され、制御コンピュータ20からのトルク指令値に基づいてモータ31を駆動する。モータ14,15,31の各エンコーダ14a,15a,31aは制御コンピュータ20に接続され、エンコーダ14a,15a,31aからの出力(モータ14,15,31の各回転角度)が制御コンピュータ20に入力するようになっている。
本実施形態では、H∞制御理論を用いて第1制御指令値算出手段22を設計している。H∞制御理論を用いることで、第1制御指令値算出手段22は外乱に対して安定倒立可能なロバスト性を有することとなる。なお、本実施形態ではH∞制御理論を用いたが、H∞制御理論以外の制御理論(例えば、H2制御理論、μ−設計法、PID制御等)を用いて第1制御指令値算出手段22を設計することもできる。また、第1制御指令値算出手段22はロバスト性を有しないものでもよく、例えば、現代制御理論等の制御理論を用いて設計することもできる。
そして、図4に示す1輪の倒立振子に対し運動方程式を作成する。すなわち、この制御モデルに対してトルク指令値uが入力されるとして運動方程式を作成すると、その運動方程式は下記に示す式で表される。
観測ノイズ32が加えられた観測量と目標値34との偏差は、ロバストコントローラ36(すなわち、第1制御指令値算出手段22)に入力する。ここで、観測量dη/dtには目標値「0」が、観測量(θ1−η)には目標値「(θ1−η)*」が、観測量d(θ1−η)/dtには目標値「d(θ1−η)*/dt」が与えられる。dη/dt(すなわち、ジャイロセンサ19の出力)に目標値「0」を与えることで、車体の鉛直方向からの傾斜角の角速度は0となり、車体は倒立姿勢を保つこととなる。
ロバストコントローラ36からはトルク指令値uが出力される。そして、その出力されたトルク指令値uと外乱wが倒立振子モデル30に入力されることとなる。
ここで、台車回転方向に関しては、移動台車を真上から見て、2輪車としてモデル化する(図5参照)。図5中、φは移動台車の台車回転角を表し、dは両車輪12,13間の距離を表し、rは車輪の半径を表している。なお、図5に示す幾何学的関係から、左右の車輪速度(右車輪の速度dθR/dt,左車輪の速度dθL/dt)を直交座標系での移動台車の位置の速度(dx/dt,dy/dt)と台車回転方向の角速度(dφ/dt)に変換するためのヤコビ行列は下記に示すようになる。
なお、移動台車は、平面上の位置として2自由度、台車回転方向に1自由度の計3自由度を持つが、アクチュエータとしてはモータ14,15の2個しか有さない。このため、上記した位置の偏差(詳しくは、位置の偏差にゲイン50が乗じられた値)と上記した速度の偏差(詳しくは、速度の偏差にゲイン52が乗じられた値)とを加算したものに、転置ヤコビ行列JT54を用いて、直接トルク指令値TR *,TL *を算出している。
また、右車輪12の回転角速度dθR/dt(すなわち、右車輪速度)と左車輪13の回転角速度dθL/dt(すなわち、左車輪速度)にヤコビ行列56(数6に示す行列)をかけることで、現在速度〔(dx/dt,dy/dt,dφ/dt)〕を算出している。
なお、図7に示す制御系によっても移動台車の平面内での位置(x,y)と、その速度(dx/dt,dy/dt)について制御することができるが、本実施形態では移動台車の平面内での位置及び速度は第1制御指令値算出手段22によって制御するため、ゲイン50,52において、位置成分(x,y)とその速度成分(dx/dt,dy/dt)に乗じるゲイン(係数)は「0」としている。したがって、移動台車の台車回転角φの偏差と台車回転角速度dφ/dtの偏差のみが、第2制御指令値算出手段26で使用される。
制御目標値算出手段27は、制御アーム11に作用する重力トルクが台車の加減速による加速トルクと釣り合うように制御アーム11の目標スライド量s*を算出する。すなわち、図9に示すように、車体(台車本体10と制御アーム11)に作用する重力による重力方向ベクトル(m1g)と、車体に作用する加速度の反対方向の反加速度方向ベクトル(m1α)の合成ベクトルが車軸Cを通るとき、車体は安定して倒立状態を維持する。ここで、車体の重心高さをl、車体の全重量をm1、車体のスライド量s0とし、また、台車本体10の傾斜角度ηは小さく、cosη=1とする。図9に示す幾何学的関係より、次の式が成立する。
ここで、上記の車輪角度目標値θ*は、目標値入力手段24によって入力される台車の目標値から算出することができる。例えば、台車の目標値がXY座標系の座標位置(X*,Y*)で与えられた場合、この目標位置(X*,Y*)を車輪12,13の台車並進方向の車輪角度目標値θ*に変換する。すなわち、台車の目標位置(X*,Y*)から台車の移動距離を算出し、その移動距離から車輪の回転角(車輪角度目標値θ*)を算出する。
なお、上記ゲインKATは、台車並進方向に関する台車全体の慣性の値(大きさ)に設定される。この値は実測あるいは、設計データ等から得ることができる。
また、制御アーム11の制御は、これら台車並進方向の制御や台車回転方向の制御とは独立して行われる。すなわち、制御アーム11の目標スライド量s*が車輪12,13の車輪角度目標値θ*からのみ算出される。したがって、台車の制御が不安定となっても制御アーム11の制御には影響せず、台車のノイズなどの影響を受けることなく安定した制御を行うことができる。
なお、上述した台車本体10の制御系と、制御アーム11の制御系の両者を図11に併せて示す。
したがって、目標軌道データは、A点からB点までの運動を規定するデータと、B点からC点までの運動を規定するデータと、C点からD点までの運動を規定するデータにより構成される。すなわち、A点からB点までの運動を規定する目標軌道データは(t1,a1,0,0,0)となり、B点からC点までの運動を規定する目標軌道データは(t2,0,a1t1,a1’,0)となり、C点からD点までの運動を規定する目標軌道データ(t3,0,a1t1,0,a1’t2)となる。
回転方向目標値算出手段64は、目標軌道データ記憶手段60に記憶されている目標軌道データから移動台車の目標回転角(φ)*と目標速度(dφ/dt)*を算出する。ここで、目標回転角(φ)*は移動台車の総回転角量を意味する。したがって、移動台車が同一姿勢(すなわち、同一台車角度)となっている場合でも、回転角量(旋回数)が異なる場合は目標回転角(φ)*も異なることとなる。
並進方向目標値算出手段62と回転方向目標値算出手段64によって算出された目標位置(x,y,φ)*と目標速度(dx/dt,dy/dt,dφ/dt)*は、第1制御指令値算出手段22と第2制御指令値算出手段26の目標値として用いられる。すなわち、図6,7に示すように、第1制御指令値算出手段22(詳しくは、図6に示すロバストコントローラ36)には、上記の目標位置と目標速度が台車中心位置(θ1−η)と台車中心速度d(θ1−η)/dtに変換されて用いられる。また、第2制御指令値算出手段26には、上記の目標位置(x,y,φ)*が用いられる(ただし、ゲイン50のうちx、yに関する係数は0であるため、実際にはφのみが用いられる)。
また、並進方向目標値算出手段62で算出された目標位置(x,y,φ)*は、制御目標値算出手段27によって目標スライド量s*を算出するために用いられる。
図14に示すように、制御コンピュータ20は、まず、各モータ14,15,31のエンコーダ14a,15a,31aの値(すなわち、車輪12,13の回転角度θR,θLと制御アーム11のスライド量s)を読込む(S10)。
次に、ステップS10で読込んだエンコーダ14a,15aの値から車輪速度(dθR/dt,dθL/dt)と、現在速度・現在方向速度(dx/dt,dy/dt,dφ/dt)を算出する(S12)。すなわち、エンコーダ14a,15aの値の時間的変化量から車輪12,13の車輪速度(dθR/dt,dθL/dt)を算出し、これら算出された車輪速度(dθR/dt,dθL/dt)とヤコビ行列56とから現在速度・現在方向速度(dx/dt,dy/dt,dφ/dt)を算出する。
ステップS14では、ジャイロセンサ19の出力値dη/dtを読込む。
ステップS16では、制御コンピュータ20が起動されてからの時間t(すなわち、移動台車の軌道制御開始時からの経過時間)と、目標軌道データ記憶手段60に記憶されている目標軌道データとから、目標位置(x,y,φ)*と目標速度(dx/dt,dy/dt,dφ/dt)*を算出する。また、その算出した目標位置(x,y,φ)*から目標車輪角度θ*を算出し、その目標車輪角度から制御アーム11の目標スライド量s*を算出する。
ステップS10からステップS16までの処理により移動台車の現在値と目標値が算出されるため、次に、台車並進方向に関するモータ14,15のトルク指令値TR1,TL1をそれぞれ算出し(S18)、台車回転方向に関するモータ14,15のトルク指令値TR2,TL2をそれぞれ算出し(S20)、さらに、移動台車の加速度を補償するトルク指令値TR3,TL3を算出する(S22)。すなわち、第1制御指令値算出手段22によってトルク指令値TR1,TL1を算出し、第2制御指令値算出手段26によってトルク指令値TR2,TL2を算出し、加減速度補償手段33によってトルク指令値TR3,TL3を算出する。
ステップS24では、ステップS16で算出した制御アーム11の目標スライド量s*とステップS10で読込んだ制御アーム11の現在のスライド量sに基づいて、制御アーム11を駆動するモータ31のトルク指令値TSを算出する。算出されたトルク指令値TSはモータ駆動回路17に出力される。モータ駆動回路17は、入力するトルク指令値TSに基づいてモータ31を駆動する。これによって制御アーム11が所定の目標位置までスライドする。
ステップS26では、ステップS18で算出されたトルク指令値TR1,TL1と、ステップS20で算出されたトルク指令値TR2,TL2と、ステップS22で算出されたトルク指令値TR3,TL3を加算し、これらの値をモータ駆動回路16a,16bに出力する。これによって、各車輪12,13が駆動されることとなる。ステップS26が終わるとステップ10に戻り、次の制御タイミングにおける処理が開始される。
なお、ステップS10〜ステップS26までの処理は、所定の時間間隔(例えば、10ms)で行われ、これによって移動台車は目標軌道データで規定された軌道を所定の速度・加速度・角速度・角加速度で運動することとなる。
また、制御アーム11の目標スライド量s*は台車の車輪角度目標値θ*のみに基づいて算出される。このため、制御アーム11の制御系を簡易に構成することができる。また、ゲイン数も少なくなるため、その調整を容易に行うことができる。さらに、制御アーム11の状態量を用いて目標スライド量s*が算出されないため、制御アーム11は安定して制御することができる。
さらに、本実施形態の移動台車では、台車の加速又は減速に必要な加減速補償トルクが車輪12,13に加えられる。このため、目標値が出てから実際に台車が動き出すまで、あるいは、停止するまでの時間遅れを小さくすることができる。したがって、発進、停止動作を繰り返し与えても時間遅れが小さいので、軌跡ずれを小さくすることができる。
例えば、上述した実施形態では台車本体10に対して制御アーム11がスライド移動する構成であったが、本発明はこのような形態に限られない。例えば、図15に示すように台車本体100に制御アーム102が回転可能に取付けられているものであってもよい。このような構成によっても、制御アーム102を回転駆動することで、台車の加速トルクを補償することができる。図16に示す場合は、制御アーム102の目標スライド量sr(制御アーム102の重心位置のスライド量)はl2sinσrとなり、制御アーム102の目標回転角σrはsin−1(sr/l2)となる。ここで、l2は制御アーム102の基端部(台車本体100への取付位置)から制御アーム102の重心位置までの距離であり、設計データ等から得ることができる。また、srは上述の実施形態と同様に台車の目標車輪角度から得ることができる。l2とsrが決まれば、これらの値を用いて制御アーム102の目標回転角σrを求めることができる。
12:右車輪
13:左車輪
14,15,31:モータ
16:モータドライバ
18:バッテリ
19:ジャイロセンサ
20:制御コントローラ
Claims (6)
- 車軸と、車軸上に配置された2以上の車輪と、車軸に対し回動可能に支持された車体を備える倒立振子型の移動台車であり、
車体に対して少なくとも台車進行方向に移動可能に取付けられた慣性体と、
車輪を駆動する第1アクチュエータと、
慣性体を駆動する第2アクチュエータと、
車輪の位置、速度及び加速度の少なくとも1つを検出する第1検出手段と、
車体の傾斜角度及び傾斜角速度の少なくとも1つを検出する第2検出手段と、
車体に対する慣性体の位置、速度及び加速度の少なくとも1つを検出する第3検出手段と、
車輪の位置、速度及び加速度の少なくとも1つに関して目標値を入力する入力手段と、
車輪の位置、速度及び加速度の少なくとも1つが入力された目標値となり、かつ、車体が倒立状態を維持するように、入力された目標値と第1及び第2検出手段により検出された検出値とに基づいて、第1アクチュエータの制御指令値を算出する第1コントローラと、
入力された車輪の目標値のみに基づいて、車体に対する慣性体の位置、速度及び加速度の少なくとも1つに関して目標値を算出する手段と、
算出された目標値と第3検出手段により検出された検出値とに基づいて第2アクチュエータの制御指令値を算出する第2コントローラと、を有する移動台車。 - 前記目標値算出手段は、前記入力手段によって入力された目標値から決定される車輪の目標加速度に基づく加速トルクが慣性体の重力トルクと釣り合うように慣性体の目標位置を算出することを特徴とする請求項1に記載の移動台車。
- 前記第1アクチュエータは、(1)第1コントローラによって算出される制御指令値と、(2)前記入力手段によって入力された目標値から決定される車輪の加減速度を補償する加減速補償値との和に基づいて駆動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動台車。
- 前記第1コントローラは、車体に対して慣性体が所定の位置で固定されていると仮定して導出した運動方程式に基づいて設計されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移動台車。
- 前記第1コントローラは、外乱に対して安定倒立可能なようにロバスト性を有することを特徴とする請求項4に記載の移動台車。
- 車軸と、車軸上に配置された2以上の車輪と、車軸に対し回動可能に支持された車体と、車体に対して少なくとも台車進行方向に移動可能に取付けられた慣性体と、車輪を駆動する第1アクチュエータと、慣性体を駆動する第2アクチュエータと、第1アクチュエータと第2アクチュエータに制御指令値を出力する制御コンピュータと、車輪の位置、速度及び加速度の少なくとも1つを検出する第1検出手段と、車体の傾斜角度及び傾斜角速度の少なくとも1つを検出する第2検出手段と、車体に対する慣性体の位置、速度及び加速度の少なくとも1つを検出する第3検出手段とを備える倒立振子型の移動台車の制御方法であり、
第1、第2及び第3検出手段で検出される検出値を読込む工程と、
車輪の位置、速度及び加速度の少なくとも1つに関して目標値を読込む工程と、
車輪の位置、速度及び加速度の少なくとも1つが読込んだ目標値となり、かつ、車体が倒立状態を維持するように、読み込んだ目標値と、第1及び第2検出手段より読込んだ検出値とに基づいて、第1アクチュエータの制御指令値を算出する工程と、
読込んだ目標値のみに基づいて、車体に対する慣性体の位置、速度及び加速度の少なくとも1つに関して目標値を算出する工程と、
算出された目標値と第3検出手段より読込んだ検出値とに基づいて第2アクチュエータの制御指令値を算出する工程と、
算出された各制御指令値を第1及び第2アクチュエータのそれぞれに出力する工程と、を有し、
上記各工程を制御コンピュータで繰返し実行することで移動台車を制御することを特徴とする移動台車の制御方法。
Priority Applications (1)
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