JP4644228B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブルプリント基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)等の平板状の接続対象物を基板と電気的に導通させるためのコネクタに関する。
特許文献1に開示されたFPC用コネクタは、上端が開口する収容凹部を有するハウジング(インシュレータ)21と、ハウジング21の収容凹部内にハウジング21の幅方向に並べて固定された複数のコンタクト30と、ハウジング21とは別体でありハウジング21の上端開口から収容凹部に挿脱可能なスライダー40と、を具備しており、ハウジング21の下面には各コンタクト30と電気的に導通する基板が設けてある。
コンタクト30は、一対の突片を有する側面視コ字形の支承部30aと、一方の突片の中間部から延出する弾性変形可能なコンタクト部30bと、を備えている。さらにコンタクト部30bは、その先端(上端)30cがスライダー40によって押圧される被押圧部となっており、コンタクト部30bの中間部にはFPC70の一方の面に形成された接続端子(導通部)と電気的に導通する接点31が突設してある。
このコネクタでは、スライダー40の下端部のみをハウジング21の収容凹部に挿入した状態(不完全挿入状態)でFPC70をハウジング21の収容凹部内に挿入すると、FPC70が支承部30aの一方の突片とコンタクト部30bの隙間に入り込む。
そして、この状態からスライダー40を収容凹部に完全に挿入するロック位置まで移動させると、スライダー40の下部が他方の突片とコンタクト部30bの隙間に入り込み、スライダー40の下部がコンタクト部30bの先端30cを一方の突片側に押圧する。すると、コンタクト部30b全体がFPC70側に押されコンタクト部30bの接点31がFPC70の接続端子に圧接するので、FPC70とコンタクト30が電気的に導通する。
特開2006−244770号公報
しかし、特許文献1のコネクタでは、スライダー40をハウジング21の収容凹部に完全に挿入しない状態においては、収容凹部に挿入したFPC70に対する保持が行われないので、組立工程等でFPC70がコネクタから抜けたり、所定の位置からのズレが生じたりするため、作業性の低下や接触不良が生じ易かった。
また、収容凹部に挿入したFPC70を挟む支承部30aの一方の突片とコンタクト部30bのうち、コンタクト部30bはFPC70の厚み方向に弾性変形可能であるが、一方の突片(支承部30a全体)は弾性変形不能である。
仮に、FPC70をスライダー40の開放状態で保持させるために接点31と支承部30aとの距離をFPC70の厚さより狭くした場合、FPC70を収容凹部に挿入したとき、及びスライダー40をロック位置に移動させたときに支承部30aの一方の突片は変位せずコンタクト部30bのみが変位する(弾性変形する)。即ち、コンタクト部30bのみに応力が集中することになるので、性能を満足するばね性を得るためにはコンタクト部30bを大きくする必要があり、また、FPC70の厚さにバラつきがある場合はFPCの保持力が大きく変化し易い。
また、コンタクト部30bのように先端をスライダー40で押圧して接点31で接触圧力を得る構造の場合、外力等によりスライダー40に(前後方向の)ガタツキや瞬間的な動きが生じた場合、接触圧力、即ち接触抵抗が変動する。そのため、特許文献1のように一方の突片(支承部30a全体)が弾性変形不能の場合は、コンタクト部30bの接点31とFPC70の接続端子の接触状態が安定し難いという課題があった。
本発明の目的は、アクチュエータがロック位置にあるときもないときもインシュレータに挿入した接続対象物を安定した状態に保持でき、しかもコンタクトと接続対象物を適正な接触圧力で確実に導通させることが可能なコネクタを提供することにある。
本発明のコネクタは、平板状をなす接続対象物を挿脱可能で一端が開口する収容凹部を有するインシュレータと、その先端部側が基端部側を向くように略U字状に曲折してあり、該U字状部分の先端に上記接続対象物の一方の面と電気的に導通する接触部を有する導通アーム、及び、上記接続対象物の他方の面に当接する、上記接触部より接続対象物の脱出方向側に位置する押圧部を備える押さえアームを一体的に具備する、上記収容凹部に設けたコンタクトと、上記インシュレータに対して相対移動可能であり、所定のアンロック位置に位置するときは、上記押さえアームの上記脱出方向側の端部に形成した、上記押圧部より上記脱出方向側に位置する被押圧部全体を収納し、かつ、所定のロック位置に移動したときに、上記被押圧部を上記接続対象物側に押圧して上記押圧部と上記他方の面の接触圧を高める逃げ溝を有するアクチュエータと、を備え、上記導通アーム及び押さえアームが共に上記接続対象物の厚み方向に弾性変形可能であり、上記導通アーム及び押さえアームが自由状態にあるときの上記接触部と上記押圧部の間隔を上記接続対象物の厚みより狭くすることにより、上記アクチュエータが上記ロック位置に位置しない状態で上記コンタクトの上記接触部と上記押さえアームの上記押圧部とで上記接続対象物を挟持することを特徴としている。
上記コンタクト、接触部、導通アーム、及び押圧部がそれぞれ第1コンタクト、第1接触部、第1導通アーム、及び、第1押圧部であり、該第1コンタクトとは別体で、上記挿脱方向に関して上記第1押圧部を挟んで上記第1接触部と反対側に位置し、上記アクチュエータが上記ロック位置に移動したときに上記接続対象物の上記一方の面と電気的に導通する第2接触部を有する第2導通アームを備える第2コンタクトを具備し、上記第1コンタクトと第2コンタクトを上記接続対象物の幅方向に並べてもよい。
上記アクチュエータとしては、例えば、上記収容凹部に対して挿脱可能であり、該収容凹部に所定深さまで嵌合する上記ロック位置に移動したときに、上記押さえアームの上記被押圧部を押圧するスライド式アクチュエータを採用可能である。
該スライド式アクチュエータを採用する場合は、上記コンタクトを、上記押さえアームを挟んで上記導通アームと反対側に位置する固定アームを備え、上記スライド式アクチュエータが上記ロック位置に移動したときに、上記固定アーム及び押さえアームが該スライド式アクチュエータを挟持するものとするのが好ましい。
さらに、上記固定アームまたは上記インシュレータの上記開口側の端部に、上記開口の外側から収容凹部内にスライドしてきたスライド式アクチュエータと接触することにより、該スライド式アクチュエータを上記押さえアーム側に押圧する押圧端部を形成するのが好ましい。
また、上記アクチュエータとして、上記インシュレータに対して相対可能であり、かつ上記ロック位置まで回転したときに上記押さえアームの上記被押圧部を押圧する回転式アクチュエータを採用してもよい。
本発明によると、アクチュエータがスライド式(請求項3)と回転式(請求項7)のいずれであっても、接続対象物を導通アームと押さえアームの間に挿入したときに導通アーム及び押さえアームが接続対象物の厚み方向に弾性変形するので、以下の効果が得られる。
即ち、アクチュエータがロック位置まで移動した状態(接続対象物と導通アームが導通した状態)で、何らかの外力により接続対象物やアクチュエータがその厚み方向にがたついたとしても、導通アームと押さえアームが接続対象物を挟持しながら接続対象物の厚み方向に追従しながら弾性変形するので、導通アームの接触部と押さえアームの押圧部は接続対象物との接触状態を維持する。従って、接続対象物に外力が及んでも導通アームと接続対象物の安定した導通状態を維持可能である。
さらに、導通アームと押さえアームを大きくしなくても、接続対象物と導通アームの接触部を確実に接触させるために必要な弾性力が得られる。
また、適正な弾性力で保持できる接続対象物の厚みの幅(範囲)を大きくすることが可能となり、接触安定性や保持力が接続対象物のバラつきの影響を受け難いコネクタを提供することができる。
請求項2記載の発明では、導通アームと押さえアームが夫々弾性を有し、かつ、導通アームの接触部と押さえアームの押圧部の間隔が接続対象物の板厚より狭い。そのため、アクチュエータがロック位置に位置しない状態で接続対象物を収容凹部に挿入し、接続対象物が導通アームの接触部と押さえアームの押圧部の間に進入すると、導通アームの接触部と押さえアームの押圧部により接続対象物が確実に仮保持される。また、接続対象部物の厚みがバラついたとしても、安定した保持力を得ることが可能である。
従って、ロックしていない状態において作業性に優れるコネクタを提供することができる。
請求項3記載の発明によると、導通アームと押さえアームが一体化されるので、部品点数を削減できる。
さらに、例えばスタンピング成形により導通アームと押さえアームを具備するコンタクトを一体的に得られるようになるので、製造が容易になる。
請求項5記載の発明によると、スライド式アクチュエータをロック位置まで移動させたときに、スライド式アクチュエータが固定アームと押さえアームによって弾性的に挟持されるので、スライド式アクチュエータをロック位置に確実に保持できるようになる。
請求項6記載の発明によると、スライド式アクチュエータをインシュレータの外部から収容凹部内に挿入するときにスライド式アクチュエータが固定アームまたはインシュレータに設けた押圧端部に接触すると、スライド式アクチュエータが押さえアーム側に移動し、スライド式アクチュエータが押さえアームの被押圧部を接続対象物側に押圧する。従って、スライド式アクチュエータがロック位置に移動したときに、導通アームと接続対象物がより確実に導通するようになる。
以下、図1から図19を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の前後の方向は、図1、図4、及び図5等に記載した矢印の方向を基準としている。
本実施形態のコネクタ10は例えばビデオカメラのような電子機器内の基板に実装可能であり、大きな構成要素としてインシュレータ20、第1コンタクト50、第2コンタクト70、及びスライド式アクチュエータ80を具備している。
インシュレータ20は絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂料を射出成形したものである。図4、図5、図11、図12、図13等に示すように、インシュレータ20は、前壁部21、後壁部22、左側壁部23、右側壁部24及び底壁部25を備えている。図示するように前壁部21の上端部は、後壁部22、左側壁部23及び右側壁部24よりも上方に突出している。インシュレータ20の左端部近傍及び右端部近傍には、インシュレータ20の上面から下方に延びる凹溝26と凹溝27が凹設してあり、左側壁部23と右側壁部24の下端部には凹溝26と凹溝27にそれぞれ連通する切欠28と切欠29が形成してある。さらに、凹溝26の右隣と凹溝27の左隣には共に前壁部21と後壁部22を接続する左側内壁31と右側内壁32が設けてあり、前壁部21、後壁部22、底壁部25、左側内壁31及び右側内壁32で囲まれた空間は上面が開口する収容凹部33となっている。
さらに、左側内壁31の左側面上部と右側内壁32の右側面上部にはアクチュエータ案内溝34とアクチュエータ案内溝35がそれぞれ凹設してあり、左側壁部23の右側面上部と右側壁部24の左側面上部にはアンロック位置保持溝36とアンロック位置保持溝37がそれぞれ凹設してある。
図示するように、インシュレータ20には2種類のコンタクト取付用溝が左右方向に並べて複数穿設してある。
図11及び図12に示すように、インシュレータ20の底面にはその前端が前壁部21の下端部において開口する計9つの第1コンタクト用取付溝40と、隣り合う第1コンタクト用取付溝40の間に位置しその後端が後壁部22の下端部において開口する計8つの第2コンタクト用取付溝41と、が凹設してある。
さらに、図4、図5及び図13等に示すように、前壁部21と底壁部25には、共に前壁部21及び底壁部25に跨りながら上下方向に延びる計9つの第1コンタクト用前部溝42と計8つの第2コンタクト用前部溝43が交互に凹設してある。各第1コンタクト用前部溝42の下端は底壁部25の内部において対応する第1コンタクト用取付溝40の前部と連通しており、各第2コンタクト用前部溝43の下端は底壁部25の内部において対応する第2コンタクト用取付溝41の前部と連通している。
一方、後壁部22と底壁部25には、共に後壁部22及び底壁部25に跨りながら上下方向に延びる計9つの第1コンタクト用後部溝44と計8つの第2コンタクト用後部溝45が凹設してある。各第1コンタクト用後部溝44の下端は底壁部25の内部において対応する第1コンタクト用取付溝40の後部と連通しており、各第2コンタクト用後部溝45の下端は底壁部25の内部において対応する第2コンタクト用取付溝41の後部と連通している。
第1コンタクト用取付溝40、第1コンタクト用前部溝42及び第1コンタクト用後部溝44に嵌合される第1コンタクト50は図4、図5、図17、図19等に示す形状である。
第1コンタクト50はスタンピング成形により得られた一体物であり、スタンピング成形して得られた基材(例えばりん青銅、ベリリウム銅、チタン銅、ステンレス、コルソン系銅合金、)上に、下地めっき(例えばニッケル(Ni)めっき)を施した後に、仕上げめっき(例えば金めっき、錫(Sn)−銅(Cu)めっき、錫(Sn)−鉛(Pb)めっき)を施して製造した導電性の部材である。
第1コンタクト50は、その前端部がテール部51をなす基部52と、基部52の前端近傍から上方に延びる導通アーム53と、基部52の後端から上方に延びる固定アーム54と、基部52の中間部から上方に延びる押さえアーム55と、を具備している。
図示するように導通アーム53は上方に延びた後に下方に折り返されている。この下向きに折り返された部分は前後方向に弾性変形可能な弾性変形片56であり、弾性変形片56の先端には接触部57が突設してある。
また、固定アーム54の上端は略半円形状をなす押圧端部58となっている。
さらに、全体が前後方向に弾性変形可能な押さえアーム55は側面視略「く」の字をなしており、その上端には被押圧部59が形成してあり、その中間部には押圧部60が突設してある。
このような構造の第1コンタクト50は、インシュレータ20の下方から対応する第1コンタクト用取付溝40に嵌合することによりインシュレータ20に固定される。第1コンタクト50をインシュレータ20に固定すると、基部52が第1コンタクト用取付溝40内に位置すると共にテール部51が前壁部21の下端部から前方に突出し(図17及び図19参照)、導通アーム53及び押さえアーム55が底壁部25に形成した第1コンタクト用前部溝42を通して収容凹部33内に突出し、さらに導通アーム53が前壁部21に形成した第1コンタクト用前部溝42に嵌合する。さらに、固定アーム54が底壁部25に形成した第1コンタクト用後部溝44を通して収容凹部33内に突出し、後壁部22に形成した第1コンタクト用後部溝44に嵌合固定する。
第2コンタクト用取付溝41、第2コンタクト用前部溝43及び第2コンタクト用後部溝45に嵌合される第2コンタクト70は図4、図5、図16、図18等に示す形状である。
第2コンタクト70は第1コンタクト50と同じく導電性を有する一体物であり、その製造要領及び原料は第1コンタクト50と同じである。
第2コンタクト70は、その後端部がテール部71をなす基部72と、基部72の前端近傍から上方に延びる導通アーム73と、基部72の後端から上方に延びる固定アーム74と、を具備している。導通アーム73は前後方向に弾性変形可能であり、その上端には接触部75が突設してある。一方、固定アーム74の上半部は下半部に比べて狭幅な突部76となっており、さらに突部76の上端部は略半円形状の押圧端部77となっている。
このような構造の第2コンタクト70は、インシュレータ20の下方から対応する第2コンタクト用取付溝41に嵌合することによりインシュレータ20に固定される。第2コンタクト70をインシュレータ20に固定すると、基部72が第2コンタクト用取付溝41内に位置すると共にテール部71が後壁部22の下端部から後方に突出し(図16及び図18参照)、導通アーム73が底壁部25に形成した第2コンタクト用前部溝43を通して収容凹部33内に突出し、前壁部21に形成した第2コンタクト用前部溝43に嵌合する。さらに、固定アーム74が底壁部25に形成した第2コンタクト用後部溝45を通して収容凹部33内に突出し、後壁部22に形成した第2コンタクト用後部溝45に嵌合固定する。
図示するように、本実施形態では第1コンタクト50の接触部57と第2コンタクト70の接触部75の上下方向位置が互いにずれ、各第1コンタクト50及び各第2コンタクト70が全体としていわゆる千鳥形状を構成する。また、図示は省略してあるがインシュレータ20の直下には水平板状をなす基板が位置しており、この基板の上面に形成した複数の導通部(接触端子)に各第1コンタクト50のテール部51と各第2コンタクト70のテール部71をそれぞれ半田付けしている。
スライド式アクチュエータ80は耐熱性の合成樹脂材料を射出成形したものである。
スライド式アクチュエータ80の上部は平面視略コ字形状の操作部81となっている。操作部81は、左右方向に延びる前部82と、前部82の両端部から前方に延びる一対の側腕部83とを有している。前部82の下面には前部82より前後方向の厚みが小さい押圧用突部84が垂設してある。さらに、左右の側腕部83の下面には、インシュレータ20の凹溝26と凹溝27にそれぞれ挿脱可能な嵌合突部85と、その前後方向幅がアクチュエータ案内溝34、35、及びアンロック位置保持溝36、37と略同一の嵌合脚部86と、がそれぞれ垂設してある。さらに、嵌合脚部86の外側面の下端部には抜止用爪87が突設してあり、嵌合脚部86の外側面における抜止用爪87の上方には保持用突部88が突設してある。
スライド式アクチュエータ80は、図示するように左側の嵌合脚部86をインシュレータ20の凹溝26及びアクチュエータ案内溝34に上方から相対スライド自在に嵌合させると共に、右側の嵌合脚部86を凹溝27及びアクチュエータ案内溝35に上方から相対スライド自在に嵌合させ、さらに左右の保持用突部88を切欠28と切欠29の内部に位置させることにより、インシュレータ20に装着する。
このようにスライド式アクチュエータ80をインシュレータ20に装着すると、左右の嵌合脚部86がアクチュエータ案内溝34とアクチュエータ案内溝35によってそれぞれ上下方向に案内される。さらにスライド式アクチュエータ80は、左右の抜止用爪87が切欠28と切欠29の上面に当接し左右の側腕部83が左側壁部23及び右側壁部24の上面から上方に離間するアンロック位置(図6、図7、図16、図17の位置)と、左右の抜止用爪87が切欠28と切欠29の上面から下方に離間し左右の側腕部83の下面が後壁部22、左側壁部23及び右側壁部24の上面に当接するロック位置(図8、図9、図18、図19の位置)の間を上下方向にスライド可能になる。
また、スライド式アクチュエータ80がアンロック位置に位置するときは、左右の嵌合脚部86の保持用突部88がインシュレータ20のアンロック位置保持溝36、37内に位置して該アンロック位置保持溝36、37の対向面に圧接するので、スライド式アクチュエータ80を意図的に下方に移動させない限りアンロック位置に保持される。
一方、スライド式アクチュエータ80がロック位置に位置するときは、図8に示すように左右の保持用突部88がアンロック位置保持溝36、37から下方に脱出して切欠28と切欠29の上面に係合し、かつ、左右の側腕部83の下面が後壁部22、左側壁部23及び右側壁部24の上面に当接するので、スライド式アクチュエータ80を意図的に上方に移動させない限りロック位置に保持される。
スライド式アクチュエータ80がアンロック位置に位置すると、図16及び図17に示すように、押圧用突部84の下端部が第1コンタクト50の固定アーム54と押さえアーム55の間、及び第2コンタクト70の導通アーム73と突部76の間に位置する。さらに、図17に示すように押圧用突部84の後面の下端部に形成した傾斜押圧面89が各固定アーム54の押圧端部58と上下方向に対向し、かつ、押圧用突部84の前面の下端部に左右方向に並べて凹設した計9つの逃げ溝91内に対応する押さえアーム55の上部が遊嵌する。さらに、押圧用突部84の下面の下端部に左右方向に並べて凹設した計8つの押圧用凹部90に対応する突部76の上部がそれぞれ遊嵌する。
一方、スライド式アクチュエータ80がロック位置に位置すると、図18及び図19に示すように、押圧用突部84が第1コンタクト50の固定アーム54と押さえアーム55の間、及び第2コンタクト70の導通アーム73と突部76の間に深く進入し、固定アーム54と押さえアーム55(被押圧部59)によって弾性的に挟持されるので、この挟持力によってスライド式アクチュエータ80はロック位置により確実に保持される。
さらに、スライド式アクチュエータ80がロック位置に位置すると各逃げ溝91の前面が対応する押さえアーム55の被押圧部59を前方に押圧するので、各押さえアーム55はスライド式アクチュエータ80がアンロック位置に位置するときに比べて前方に弾性変形する。また、図9及び図18に示すように、各第2コンタクト70の押圧端部77が、スライド式アクチュエータ80の前部82の下面に凹設した計8つの逃げ溝92にそれぞれ嵌合する。
次に、以上構成のコネクタ10に接続対象物であるFPC(フレキシブルプリント基板)95を挿入し、FPC95を上記基板に第1コンタクト50及び第2コンタクト70を介して電気的に導通させる要領について説明する。
FPC95を導通させる際には、まず図1に示すようにスライド式アクチュエータ80をアンロック位置に位置させておく。そして図2に示すように、前部82及び左右の側腕部83とインシュレータ20の前壁部21の間に形成された平面視略横長矩形の空間Sを通して垂直板状をなすFPC95の下部を収容凹部33内に挿入し、図16及び図17に示すようにFPC95の下端を収容凹部33の底面に当接させる。すると図16及び図17に示すように、収容凹部33内においてFPC95の下部が第2コンタクト70の導通アーム73と突部76の間、及び第1コンタクト50の導通アーム53と押さえアーム55の間に位置し、FPC95の前面の下端部近傍に形成した計9つの第1導通部(図示略)に各弾性変形片56の接触部57が接触する。
FPC95の下部を第1コンタクト50の導通アーム53と押さえアーム55の間に挿入する前においては、第1コンタクト50の押さえアーム55及び弾性変形片56は自由状態にあり、さらに弾性変形片56の接触部57と押さえアーム55の押圧部60の間の前後方向寸法はFPC95の板厚より狭くなっている。そのため、FPC95の下部を図16及び図17の位置まで挿入すると、FPC95の前面が弾性変形片56を前方に僅かに弾性変形させ、かつFPC95の後面が押さえアーム55を後方に僅かに弾性変形させる。このように、FPC95が計9つの第1コンタクト50の押さえアーム55及び弾性変形片56によって前後方向から弾性的に挟持されるので、FPC95の下部を図16及び図17の位置まで挿入すると、各第1コンタクト50によってFPC95が第1コンタクト50によって仮保持される。
次いでスライド式アクチュエータ80をアンロック位置から下方に押し込むと、スライド式アクチュエータ80がロック位置に達する前に押圧用突部84に凹設した押圧用凹部90が対応する突部76の押圧端部77によって前方に押され、かつ押圧用突部84に形成した傾斜押圧面89が各固定アーム54の押圧端部58によって前方に押される。そのため、スライド式アクチュエータ80をアンロック位置からロック位置まで移動させると、スライド式アクチュエータ80の押圧用突部84が各押さえアーム55の被押圧部59を前方に押圧するので、各押さえアーム55が前方に若干弾性変形する。その結果、各押さえアーム55の押圧部60がスライド式アクチュエータ80の後面に圧接しFPC95を前方に押圧するので、FPC95の前面の第1導通部と弾性変形片56の接触部57の電気的導通を得る接触圧力が高まり、かつ、FPC95の前面に第1導通部より上方に位置させて形成した計8つの第2導通部(図示略)に各導通アーム73の接触部75が電気的導通を得る接触圧力で接触する。
しかし、弾性変形片56及び導通アーム73が共に前後方向に弾性変形可能なので、FPC95が前方に押圧されてもFPC95の第1導通部と接触部57の接触圧力、及び、FPC95の第2導通部と接触部75の接触圧力が過大となることはなく、これらの接触圧力は適正な圧力となる。従って、FPC95の第1導通部と接触部57、及び、FPC95の第2導通部と接触部75は確実に導通する。
さらに、このように接触部57及び接触部75がFPC95と導通した状態でFPC95やアクチュエータ80に外力が掛かることによりFPC95が前後方向にがたついた場合には、押さえアーム55、弾性変形片56及び導通アーム73がFPC95の動きに追従しながらFPC95の板厚方向(前後方向)に弾性変形するので、このような場合においても接触部57と接触部75はFPC95との導通状態を維持する。
また本実施形態では、押さえアーム55の先端部(上端部)にスライド式アクチュエータ80の押圧用突部84が接触する被押圧部59を形成しているので、被押圧部59を押さえアーム55の下端側に形成する場合に比べて、押圧用突部84を短くすることが可能である。
さらに、弾性変形片56及び導通アーム73が共に前後方向に弾性変形可能なので、導通アーム73と押さえアーム55を大きくしなくても、FPC95と導通アーム73の接触部75を確実に接触させるために必要な弾性力が得られ、かつ、適正な弾性力で保持できるFPC95の厚みの幅(範囲)を大きくできるという利点がある。
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば、図20及び図21に示すようにスライド式アクチュエータ80の代わりとなる回転式アクチュエータ100をインシュレータ20に装着して実施してもよい。
この回転式アクチュエータ100は、左右一対の側板部101(図では一方の側板部101のみ図示)と、左右の側板部101を接続する左右方向に延びる操作部102と、左右の側板部101を接続する左右方向に延びる断面矩形のカム部103と、を具備している。さらに図示は省略してあるが、左右の側板部101の外側面にはそれぞれ回転軸となる係合突起が突設してあり、この左右の係合突起をインシュレータ20の左右両側部に形成した係合凹部(図示略)に回転可能に支持させてある。そのため、回転式アクチュエータ100はインシュレータ20に対して図20に示すアンロック位置と図21に示すロック位置の間を回転可能となっている。
この変形例では、回転式アクチュエータ100がアンロック位置に位置するとき、回転式アクチュエータ100は第1コンタクト50の押さえアーム55とは干渉しないが、回転式アクチュエータ100がロック位置まで回転すると、カム部103が押さえアーム55の被押圧部59を前方に押圧するので、この変形例においても上記実施形態と同様の技術的効果が得られる。
さらに、上記実施形態及び変形では、FPC95の一方の面(前面)にのみ導通部(第1導通部、第2導通部)を形成し他方の面(後面)には導通部を形成していないが、FPC95の前後両面に導通部を形成し、第1コンタクト50の押さえアーム55(押圧部60)をFPC95の後面の導通部に接触(導通)させてもよい。
また、押圧端部(58、77)を、第1コンタクト50(固定アーム54)と第2コンタクト70(突部76)ではなくインシュレータ20に形成してもよい。
また、接続対象物はFPC以外のもの、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC)であってもよい。
また、接続対象物が基板に対して略並行となるようにコネクタを基板に実装させてもよい。
FPCがインシュレータの外部に位置しかつスライド式アクチュエータがアンロック位置に位置するときの本発明の一実施形態のコネクタの前方から見た斜視図である。 FPCをインシュレータ内に挿入しかつスライド式アクチュエータがアンロック位置に位置するときのコネクタの前方から見た斜視図である。 スライド式アクチュエータがロック位置に位置するときのコネクタの前方から見た斜視図である。 コネクタの前方から見た分解斜視図である。 コネクタの後方から見た分解斜視図である。 スライド式アクチュエータがアンロック位置に位置するときのコネクタの右側面図である。 スライド式アクチュエータがアンロック位置に位置するときのコネクタの背面図である。 スライド式アクチュエータがロック位置に位置するときのコネクタの右側面図である。 スライド式アクチュエータがロック位置に位置するときのコネクタの背面図である。 コネクタの底面図である。 インシュレータの前斜め下方から見た斜視図である。 インシュレータの後斜め下方から見た斜視図である。 インシュレータの平面図である。 スライド式アクチュエータの前斜め下方から見た斜視図である。 スライド式アクチュエータの後斜め下方から見た斜視図である。 図7のXVI−XVI矢線に沿う断面図である。 図7のXVII−XVII矢線に沿う断面図である。 図9のXVIII−XVIII矢線に沿う断面図である。 図9のXIX−XIX矢線に沿う断面図である。 本発明の変形例の図17と同様の断面図であり、回転式アクチュエータがアンロック位置に位置するときの図である。 回転式アクチュエータがロック位置に位置するときの図19と同様の断面図であるである。
符号の説明
10 コネクタ
20 インシュレータ
21 前壁部
22 後壁部
23 左側壁部
24 右側壁部
25 底壁部
26 27 凹溝
28 29 切欠
31 左側内壁
32 右側内壁
33 収容凹部
34 35 アクチュエータ案内溝
36 37 アンロック位置保持用溝
40 第1コンタクト用取付溝
41 第2コンタクト用取付溝
42 第1コンタクト用前部溝
43 第2コンタクト用前部溝
44 第1コンタクト用後部溝
45 第2コンタクト用後部溝
50 第1コンタクト
51 テール部
52 基部
53 導通アーム(第1導通アーム)
54 固定アーム
55 押さえアーム
56 弾性変形片
57 接触部(第1接触部)
58 押圧端部
59 被押圧部
60 押圧部(第1押圧部)
70 第2コンタクト
71 テール部
72 基部
73 導通アーム(第2導通アーム)
74 固定アーム
75 接触部(第2接触部)
76 突部
77 押圧端部
80 スライド式アクチュエータ
81 操作部
82 前部
83 側腕部
84 押圧用突部
85 嵌合突部
86 嵌合脚部
87 抜止用爪
88 保持用突部
89 傾斜押圧面
90 押圧用凹部
91 92 逃げ溝
95 FPC(フレキシブルプリント基板、接続対象物)
100 回転式アクチュエータ
101 側板部
102 操作部
103 カム部

Claims (6)

  1. 平板状をなす接続対象物を挿脱可能で一端が開口する収容凹部を有するインシュレータと、
    その先端部側が基端部側を向くように略U字状に曲折してあり、該U字状部分の先端に上記接続対象物の一方の面と電気的に導通する接触部を有する導通アーム、及び、上記接続対象物の他方の面に当接する、上記接触部より接続対象物の脱出方向側に位置する押圧部を備える押さえアームを一体的に具備する、上記収容凹部に設けたコンタクトと、
    上記インシュレータに対して相対移動可能であり、所定のアンロック位置に位置するときは、上記押さえアームの上記脱出方向側の端部に形成した、上記押圧部より上記脱出方向側に位置する被押圧部全体を収納し、かつ、所定のロック位置に移動したときに、上記被押圧部を上記接続対象物側に押圧して上記押圧部と上記他方の面の接触圧を高める逃げ溝を有するアクチュエータと、を備え、
    上記導通アーム及び押さえアームが共に上記接続対象物の厚み方向に弾性変形可能であり、
    上記導通アーム及び押さえアームが自由状態にあるときの上記接触部と上記押圧部の間隔を上記接続対象物の厚みより狭くすることにより、上記アクチュエータが上記ロック位置に位置しない状態で上記コンタクトの上記接触部と上記押さえアームの上記押圧部とで上記接続対象物を挟持することを特徴とするコネクタ。
  2. 請求項1記載のコネクタにおいて、
    上記コンタクト、接触部、導通アーム、及び押圧部がそれぞれ第1コンタクト、第1接触部、第1導通アーム、及び、第1押圧部であり、
    該第1コンタクトとは別体で、上記挿脱方向に関して上記第1押圧部を挟んで上記第1接触部と反対側に位置し、上記アクチュエータが上記ロック位置に移動したときに上記接続対象物の上記一方の面と電気的に導通する第2接触部を有する第2導通アームを備える第2コンタクトを具備し、
    上記第1コンタクトと第2コンタクトを上記接続対象物の幅方向に並べたコネクタ。
  3. 請求項1または2記載のコネクタにおいて、
    上記アクチュエータが、上記収容凹部に対して挿脱可能であり、該収容凹部に所定深さまで嵌合する上記ロック位置に移動したときに、上記押さえアームの上記被押圧部を押圧するスライド式アクチュエータであるコネクタ。
  4. 請求項2に従属する請求項3記載のコネクタにおいて、
    上記コンタクトが、上記押さえアームを挟んで上記導通アームと反対側に位置する固定アームを備え、
    上記スライド式アクチュエータが上記ロック位置に移動したときに、上記固定アーム及び押さえアームが該スライド式アクチュエータを挟持するコネクタ。
  5. 請求項4記載のコネクタにおいて、
    上記固定アームまたは上記インシュレータの上記開口側の端部に、上記開口の外側から収容凹部内にスライドしてきたスライド式アクチュエータと接触することにより、該スライド式アクチュエータを上記押さえアーム側に押圧する押圧端部を形成したコネクタ。
  6. 請求項1または2記載のコネクタにおいて、
    上記アクチュエータが、上記インシュレータに対して相対可能であり、かつ上記ロック位置まで回転したときに上記押さえアームの上記被押圧部を押圧する回転式アクチュエータである。
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