以下、本発明(第一〜第四の発明)の粘着性樹脂組成物、並びに粘着シートおよびその製造方法の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
まず、本発明(第一の発明)の粘着性樹脂組成物の一の実施の形態について説明する。本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、(a)重量平均分子量が1万〜200万で、ガラス転移温度が−100℃〜100℃であるポリマー、(b)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するモノマー、(c)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するオリゴマー、および、(d)開始剤を含み、前記(a)ポリマーが、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物、極性基含有のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、および、極性基含有のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物からなる群より選択される少なくとも一種を含み、下記条件(1)にて、粘着性樹脂組成物からなる粘着剤層を紫外線硬化することにより、紫外線硬化前から紫外線硬化後の下記条件(2)にて測定した粘着剤層の粘着力が1/3以下となる、粘着性樹脂組成物。
条件(1):ポリエチレンテレフタレートからなる基材の片面に前記粘着性樹脂組成物を膜状に成形して前記粘着剤層とし、空気が存在する状態で、高圧水銀ランプによる紫外線を積算光量200mJ/cm2照射する。
条件(2):被着体をシリコンウエハーとしたJIS Z0237に準拠した試験方法にて測定。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、粘着シート等の粘着剤層として好適に用いることが可能な粘着性樹脂組成物である。
なお、本明細書において「重量平均分子量」というときは、GPC法(Gel Permeation Chromatography法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味するものとする。
また、粘着剤層の粘着力は、上述したようにJIS Z0237に準拠した試験方法(180°ピール試験)にて測定することのできる180°剥離力として求めることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレートからなるシート状の基材の片面に粘着性樹脂組成物を膜状に成形して、膜厚20〜30μmの粘着剤層とし、被着体としてのシリコンウエハーに粘着剤層を粘着させ、この粘着剤層とシリコンウエハーとの間の180°剥離力として求めることができる。
上述したように構成された、(a)ポリマー、(b)モノマー、(c)オリゴマー、および、(d)開始剤を含む、本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、紫外線硬化前には被着体に対する十分な粘着力を発現する。一方で、この粘着性樹脂組成物は、空気の存在下で紫外線硬化することにより、紫外線硬化前から紫外線硬化後の粘着力が1/3以下となるものである。このため、空気存在下で紫外線硬化することにより、粘着性樹脂組成物を被着体から容易に剥離することができる。特に、従来の粘着性樹脂組成物においては、粘着後に一定期間放置した場合には、粘着力が高まり剥離が困難であったが、本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、粘着後に一定期間放置した場合であっても、空気存在下で紫外線硬化することにより粘着力が良好に低下するため、粘着性樹脂組成物を被着体から容易に剥離することができる。このため、従来、粘着性樹脂組成物を被着体から剥離する際に発生していた、被着体の破損や糊残りによる汚染を有効に防止することができる。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、さらに、(e)溶剤を含むものであることが好ましい。このように本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、溶剤系の粘着性樹脂組成物として好適に用いることができ、最適な塗布膜厚が得られるように溶剤の量を調節して、その粘度を簡便に調整することができる。
また、本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、膜厚20〜30μmの粘着剤層とした場合における、JIS Z0237に準拠した試験方法にて測定した紫外線硬化前の粘着力が、1〜20(N/25mm)であることが好ましい。粘着剤層の粘着力が1(N/25mm)未満であると、粘着剤層としての粘着力が低すぎて、被着体に対する十分な粘着力を得られないことがある。また、粘着剤層の粘着力が20(N/25mm)を超えると、紫外線硬化して粘着力を低下させたとしても、被着体を容易に剥離できる程度までには到らないことがある。
なお、この紫外線硬化前の粘着剤層の粘着力は、上述したように、JIS Z0237に準拠した試験方法にて測定された値のことであり、具体的には、ポリエチレンテレフタレートからなるシート状の基材の片面に粘着性樹脂組成物を膜状に成形して、膜厚20〜30μmの粘着剤層とし、被着体としてのシリコンウエハーに粘着剤層を粘着させ、この粘着剤層とシリコンウエハーとの間の180°剥離力として求めることができる。
また、本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、空気が存在する状態で粘着剤層を紫外線硬化した場合における粘着力の低下率(空気が存在する状態での紫外線硬化後の粘着力/紫外線硬化前の粘着力)と、空気が存在しない状態で粘着剤層を紫外線硬化した場合における粘着力の低下率(空気が存在しない状態での紫外線硬化後の粘着力/紫外線硬化前の粘着力)との差(空気の有無による粘着力の低下率の差)が、空気が存在する状態で粘着剤層を紫外線硬化した場合における粘着力の低下率に対して±3%以内であることが好ましい。
このように、空気の有無による粘着力の低下率の差が、空気が存在する状態で粘着剤層を紫外線硬化した場合における粘着力の低下率に対して±3%以内であることにより、空気が存在する状態であっても、また、空気が存在しない状態であっても、本実施の形態の粘着性樹脂組成物からなる粘着剤層を紫外線硬化することにより、被着物からの剥離が容易になる程度まで粘着力を低下させることが可能となる。
また、本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、この粘着性樹脂組成物からなる粘着剤層を紫外線硬化することにより、紫外線硬化前から紫外線硬化後の粘着剤層の粘着力が1/3以下となるものであるが、紫外線硬化前から紫外線硬化後の粘着剤層の粘着力が、1/5以下になるものであることが好ましく、1/10以下になるものであることがさらに好ましい。
(a)ポリマー:
本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる(a)ポリマーは、例えば、粘着シートの粘着剤層として用いる場合の、粘着性樹脂組成物の粘着力と、紫外線硬化後の糊残り性発現の役目を果たすものである。この(a)ポリマーは、重量平均分子量が1万〜200万で、ガラス転移温度が−100℃〜100℃である。
(a)ポリマーの重量平均分子量が、1万未満では、例えば、粘着シートの粘着剤層として用いた場合に、紫外線硬化前の粘着力が発現できない。一方、200万を超えると、粘度が高くなりすぎ使用が困難となる。(a)ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは5万〜180万であり、さらに好ましくは10万〜150万である。
また、(a)ポリマーのガラス転移温度が−100℃未満では、紫外線硬化後の糊残り性が発現しない。一方、100℃を超えると、粘着力が十分発現しない。
上述した(a)ポリマーのガラス転移温度は、好ましくは−80℃〜80℃である。なお、上記のガラス転移温度は、(a)ポリマーを構成するモノマーを選択することによって容易に調整することができる。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物におけるガラス転移温度は、以下に示す方法によって測定した値を意味するものとする。まず、(a)ポリマーを含む溶液をガラス板に薄く引き伸ばし、25℃で7日間乾燥させることによって、乾燥フィルムを得る。得られた乾燥フィルムについて、示差走査熱量分析計(DSC)、例えば、理学電気社製のDSC、を使用し、昇温速度=20℃/分、チッ素雰囲気下、サンプル量=20mgの条件で測定する。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる(a)ポリマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物、極性基含有のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、および、極性基含有のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物からなる群より選択される少なくとも一種を含むものである。
上記の(メタ)アクリル系ポリマーの構成成分として挙げた(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜15である(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどを挙げることができる。この(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、後記(b)モノマーとして用いられる単官能性の(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを挙げることができる。
また、上記の(メタ)アクリル系ポリマーの構成成分として挙げた官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸などのカルボキシル基含有モノマー、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有モノマー、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチルなどのイソシアネート基含有モノマー、アクリル酸アミノエチル、メタアクリル酸アミノエチルなどのアミノ基含有モノマーなどを挙げることができる。
また、上記の(メタ)アクリル系ポリマー構成成分として挙げたその他共重合可能なモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドンおよび塩化ビニルなどを挙げることができる。
なお、(a)ポリマーは、重合性の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。このようなポリマーは、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマーを予め合成し、これに分子内に上記の官能基と反応する官能基と重合性の炭素−炭素二重結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)を反応させることにより得ることができる。官能基を含有する(メタ)アクリル系ポリマーとしては、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が、通常、1〜15の範囲にある(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基を有するモノマーとさらに必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法によって共重合することにより得られる。
このような官能基を有する(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記ポリマーの官能基に応じて、上述した官能基を有するモノマーと同様のものを使用することができる。例えば、上記ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合はエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが、同官能基がヒドロキシル基の場合はイソシアネート基含有モノマーが、同官能基がエポキシ基の場合はカルボキシル基含有モノマーやアミノ基含有モノマーが、同官能基がアミノ基の場合はエポキシ基含有モノマーが、それぞれ用いられる。
(a)ポリマー中の重合性の炭素−炭素二重結合の割合は、繰返し構造体中に、通常、0.0005ミリ当量/g以上、3.0ミリ当量/g以下である。好ましくは0.0005ミリ当量/g以上、2.0ミリ当量/g以下である。3.0ミリ当量/gを超えると、過度に架橋が掛かり被着体との粘着性が低下し好ましくない。
(a)ポリマーの配合割合は、(a)ポリマーと(b)モノマーと(c)オリゴマーとの合計(a+b+c)100質量部に対して、1〜80質量部、好ましくは10〜75質量部、さらに好ましくは20〜70質量部である。
(a)ポリマーの配合割合が1質量部未満であると、紫外線硬化後の糊残り性が発現しない。一方、80質量部を超えると、紫外線硬化前の粘着力が十分でないので好ましくない。
または、本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる(a)ポリマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物、極性基含有のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、および、極性基含有のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物からなる群より選択される少なくとも一種を含むポリマーを挙げることができる。これらポリマーの製造方法の具体例としては、特開平7−268174号公報等を例示できる。また、ここでいう極性基とは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の官能基を挙げることができる。
上述したスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物、極性基含有のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、および、極性基含有のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物からなる群より選択される少なくとも一種を含むポリマーの配合割合は、(a)ポリマーの100質量部に対して、5〜50質量部の割合で配合されていることがさらに好ましい。
(b)モノマー:
本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる(b)モノマーは、重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するものである。重合性の炭素−炭素二重結合を持つことによって紫外線照射、または加熱によって重合することができ、強い粘着力、および糊残り性を発現することができる。
このようなモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸や、重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
このうち、重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ジフェニルホスフェート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ホスフェート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC1−C6アルキル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
これらの市販品としては、アロニックス M101、M102、M110、M111、M113、M114、M117、M120、M152、M154、M5300、M5400、M5500、M5600(以上、東亞合成社製)、KAYARAD TC−110S、R−128H、R629、R644(以上、日本化薬社製)、IPAA、AIB、SBAA、TBA、IAAA、HEXA、CHA、NOAA、IOAA、INAA、LA、TDA、MSAA、CAA、HDAA、LTA、STA、ISAA−1、ODAA、NDAA、IBXA、ADAA、TCDA、2−MTA、DMA、ビスコート #150、#150D、#155、#158、#160、#190、#190D、#192、#193、#220、#320、#2311HP、#2000、#2100、#2150、#2180、MTG、HEA、HPA、4HBA(以上、大阪有機化学工業社製)、NKエステル M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、CB−1、SA、S、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G、AMP−90G、A−SA、NLA(以上、新中村化学工業社製)、ACMO(興人社製)、ライトアクリレート IA−A、L−A、S−A、BO−A、EC−A、MTG−A、DPM−A、PO−A、P−200A、THF−A、IB−XA、HOA−MS、HOA−MPL、HOA−MPE、HOA−HH、IO−A、BZ−A、NP−EA、NP−10EA、HOB−A、FA−108、P−1A、エポキシエステルM−600A、ライトエステルHOA、ライトエステルHOP−A、ライトエステルHOP、ライトエステルHOB、ライトエステルP−1M(以上、共栄社化学社製)、FA−511、FA−512A、FA−513A(以上、日立化成工業社製)、AR−100、MR−100、MR−200、MR−60(以上、大八化学工業社製)、JAMP−100、JAMP−514、JPA−514(以上、城北化学社製)などを挙げることができる。
また、重合性の炭素−炭素二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジエポキシジ(メタ)アクリレート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ホスフェート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェートなどを挙げることができる。
これらの市販品としては、SA−1002、SA−2006、SA−2007、SA−4100、SA−5001、SA−6000、SA−7600、SA−8000、SA−9000(以上、三菱化学社製)、ビスコート #195、#195D、#214HP、#215、#215D、#230、#230D、#260、#295、#295D、#300、#310HP、#310HG、#312、#335HP、#335D、#360、GPT、#400、V#540、#700、GPT、ビスコート3PA(以上、大阪有機化学工業社製)、KAYARAD MANDA、R−526、NPGDA、PEG400DA、R−167、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−604、R−684、GPO−303、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、PET−30、RP−1040、T−1420、DPHA、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120(以上、日本化薬社製)、アロニックス M−210、M−208、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−400、M−408、M−450(以上、東亞合成社製)、SR−212、SR−213、SR−355(以上、サートマー社製)、リポキシSP−1507(以上、昭和高分子社製)、ライトエステルP−2M、P−2A(以上、共栄社化学社製)、EB−169、EB−179、EB−3603、R−DX63182(以上、ダイセル・ユーシービー社製)、ブレンマーPDE150、PDE200、ADE200(以上、日本油脂社製)などを挙げることができる。
なお、本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、特に限定されることはないが、(b)モノマーが、6官能モノマーであることが好ましい。このような6官能モノマーとしては、例えば、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレートを好適例として挙げることができる。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる(b)モノマーの配合割合は、(a)ポリマーと(b)モノマーと(c)オリゴマーとの合計(a+b+c)100質量部に対して、1〜70質量部含まれるのが好ましい。1質量部未満では糊残り性が発現しない。一方、70質量部を超えると、硬化後の粘着力が発現しなくなり、好ましくない。さらに好ましくは、5〜60質量部である。
(c)オリゴマー:
本発明の粘着性樹脂組成物に用いられる(c)オリゴマーは、重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するものであって、重量平均分子量が、通常、500〜20,000、好ましくは500〜10,000の化合物である。
このような(c)オリゴマーとしては、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコーン系アクリレートを挙げることができる。これは、一種または二種以上を併用してもよい。
ポリウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、NKオリゴUA−340P、UA−511、UA−4200、UA−512、UA−122P、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−324A、U−15HA、U−108A、U−200AX、UA−5201A、UA−4100、UA−4400(以上、新中村化学工業社製)、ライトタックPSA−705、PSA−805、PSA−901、PSA−903(以上、共栄社製)オレスターRA1500、RA1574、RA1573、RA1353(以上、三井化学社製)、KAYARAD UX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−6101、MU−2100(以上、日本化薬社製)、CN−962、CN−964、CN−965、CN−968、CN−980、CN−981、CN−983、CN−972、CN−975、CN−978(以上、サートマー社製)、Ebecryl230、270、8402、8804、8807、9260、8210、210、4827、6700、220(ダイセル・ユーシービー社製)などを挙げることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、リポキシVR−77、VR−90、VR−60、SP−1506、SP−1509、SP−1519、SP−1563(以上、昭和高分子社製)、CN−104、CN−116、CN−118、CN−119、CN−120、CN−124(サートマー社製)、ビスコート540(大阪有機化学工業社製)、EA−1020、EA−1025、EA−1026、EA−1028(以上、新中村化学工業社製)、Ebecryl600、2958、3700、3701、3708、6040(以上、ダイセル・ユーシービー社製)、ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、Ebecryl84、657、810(ダイセル・ユーシービー社製)、オレスターRA2003、RA1050、RA1328、RA1491、RA1205(以上、三井化学社製)、アロニックスM−6100、6200、6500、7100(以上、東亞合成社製)、ポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、ブレンマーPDE400、PDE600、PDE1000、ADE400、30PDC−950BH、PP−500、PP−800、55PET−800、PME−4000、PSE−1300(以上、日本油脂社製)、脂肪族(メタ)アクリレートとしては、TEAI−1000(日本曹達社製)、UC−1(クラレ社製)、シリコーン系(メタ)アクリレートとしては、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C(以上、信越化学工業社製)などを挙げることができる。
(c)オリゴマーの配合割合は、(a)ポリマーと(b)モノマーと(c)オリゴマーとの合計(a+b+c)100質量部に対して、5〜60質量部含まれるのが好ましい。5質量部未満では糊残り性が発現しなくなるため好ましくない。一方、60質量部を超えると粘着性樹脂組成物の粘着力が発現しなくなるので好ましくない。さらに好ましくは、10〜55質量部である。
(d)開始剤:
本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる(d)開始剤としては、光重合開始剤であればいかなるものでもよいが、好ましくは、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドからなる群より選択される少なくとも一種を含む化合物を挙げることができる。なお、本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、この(d)開始剤として、上記群から選択される二種以上を含む化合物であることがさらに好ましい。
(d)開始剤の市販品としては、イルガキュア184、500、651、819、ダロキュア1173、4265(以上チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、EsacureKK、KIP150、75LT(ラムバーティ社製)などを挙げることができる。
この(d)開始剤としては、上記の開始剤のほか、上記の開始剤と組み合わせて、あるいは、単独で下記の化合物を用いることができる。この化合物としては、例えば、3−メチルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ミヒラーズケトン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、メチルベンゾイルホルメート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどを挙げることができる。これらの化合物は、本実施の形態の粘着性樹脂組成物の硬化速度調整のために適時使用される。
これらの市販品としてはイルガキュア261、369、379、907、1700、1800、1850、2959、CGI−403、ダロキュア953、1116、1664、2273(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ルシリンTPO、LR8728、LR8893(以上、BASF社製)、エベクリルP36(ダイセル・ユーシービー社製)、ヴァイキュア55(アクゾ社製)、カヤキュアCTX、DETX、BP−100、BMS、2−EAQ(以上、日本化薬社製)などを挙げることができる。
(d)開始剤の配合割合は、硬化性の点から、(a)ポリマーと(b)モノマーと(c)オリゴマーとの合計(a+b+c)100質量部に対して、通常、0.01〜20質量部含まれ、0.05〜15質量部含まれるのが好ましい。0.01質量部未満では、開始剤としての効果を得られないことがあるので好ましくない。一方、20質量部を超えると糊残り性が発現しにくくなる傾向ある為、好ましくない。
(e)溶剤:
本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる(e)溶剤としては、芳香族系としてトルエン、キシレン、ケトン系としてアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−5−ヘキサノン、エステル系として酢酸エチル、酢酸ブチル、ハロゲン系として塩化メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、グリコールエーテル系としてエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。上記に例示した溶剤に限定されるものではない。(e)溶剤は一種、あるいは二種以上の溶剤を組み合わせて使用できる。特に、二種以上の溶剤を組み合わせて使用することにより、溶剤の蒸散速度を制御することができ、粘着力(紫外線硬化前の粘着力)を向上することができる。
このような(e)溶剤を用いる溶剤系の粘着性樹脂組成物とする場合には、(e)溶剤の配合割合は、(a)ポリマーと(b)モノマーと(c)オリゴマーとの合計(a+b+c)100質量部に対して、10〜300質量部であることが好ましい。(e)溶剤の配合割合が10質量部未満であると、粘着性樹脂組成物の粘度が高くなり、作業上好ましくなく、一方、300質量部を超えると塗工に際して最適な塗工膜厚が得られにくくなり、好ましくない。
このように(e)溶剤を用いる溶剤系の粘着性樹脂組成物とする場合においては、粘着性樹脂組成物の、25℃における粘度は、200〜2500mPa・sであることが好ましく、300〜2300mPa・sであることがさらに好ましい。このような粘度の粘着性樹脂組成物は、容易に塗工を行うことができ、良好に粘着剤層を形成することができる。
なお、(e)溶剤を含む粘着性樹脂組成物の場合においては、例えば、膜状に成形して粘着剤層として用いる際には、膜状に粘着性樹脂組成物を塗工した後に、この(e)溶剤を蒸散させて粘着剤層を形成する。
また、本実施の形態の粘着性樹脂組成物には、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、保存安定剤、熱重合禁止剤、可塑剤、濡れ性改良剤、密着性付与剤、粘着付与剤(タッキファイヤー)、硬化剤などを必要に応じて配合することもできる。
また、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジエン、クロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、ペンタジエン誘導体、SBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマーなどを配合することができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系の紫外線吸収剤が挙げられ、市販品としてはTINUVIN P、234、320、326、327、328、213、400(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、スミソーブ110、130、140、220、250、300、320、340、350、400(以上、住友化学工業社製)などを挙げることができる。
老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤、アリルアミン系老化防止剤、ケトンアミン系老化防止剤などを挙げることができ、それらの市販品としてはアンチゲンW、S、P、3C、6C、RD−G、FR、AW(以上、住友化学工業社製)などを挙げることができる。
消泡剤としては、フローレンAC−202、AC−300、AC−303、AC−326F、AC−900、AC−1190、AC−2000(以上、共栄社化学社製)を例とするSi原子やF原子を含まない有機共重合体、フローレンAC−901、AC−950、AC−1140、AO−3、AO−4OH(以上、共栄社化学社製)、FS1265、SH200、SH5500、SC5540、SC5570、F−1、SD5590(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)などのシリコーン系消泡剤、メガファックF−142D、F−144D、F−178K、F−179、F−815(以上、大日本インキ化学工業社製)などのフッ素原子含有消泡剤などを挙げることができる。
レベリング剤としては、ポリフローNo.7、No.38、No.50E、S、75、No.75、No.77、No.90、No.95、No.300、No.460、ATF、KL−245(以上、共栄社化学社製)などを挙げることができる。
密着性付与剤としては、アルコキシシリル基を有するチオール化合物、あるいはリン酸エステル化合物を挙げることができる。これら化合物は、特に金属表面に対する密着性付与に効果がある。このようなアルコキシシリル基を有するチオール化合物としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルモノメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプトアルキル−モノ、ジまたはトリ−メトキシシランを挙げることができる。
これらの市販品としては、SH6062、AY43−062(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、サイラエースS810(チッソ社製)、KBM803(信越化学工業社製)などを挙げることができる。リン酸エステル化合物としては、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ジフェニルホスフェート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ホスフェート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェートなどを挙げることができる。これらの市販品としては、ライトエステルP−1M、P−2M、ライトアクリレートP−1A、P−2A(以上、共栄社化学社製)、KAYAMER PM−2、PM−21(以上、日本化薬社製)などを挙げることができる。
粘着付与剤(タッキファイヤー)としては、脂環族飽和炭化水素樹脂、ロジンエステル系樹脂などが挙げられ、市販品としては、アルコンP−70、P−90、P−100、M−90、M−100、M−135、SP−10、KR−1840、KR−1842、スーパーエステルA−75、A−115(以上、荒川化学工業社製)を挙げることができる。
硬化剤としては、例えば、イソシアネート基を有する化合物などが挙げられ、市販品としてコロネート(日本ポリウレタン工業社製)を挙げることができる。
これらの添加剤の使用量は、本発明の粘着性樹脂組成物の目的を阻害しない範囲で必要に応じて決めることができる。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物を調整するには、(a)ポリマー、(b)モノマー、(c)オリゴマー、および、(d)開始剤、場合により、(e)溶剤を粘度の低い原料から仕込み、0〜80℃で混合撹拌して配合物(粘着性樹脂組成物)を得るなどの方法を挙げることができる。
次に、本発明(第二の発明)の粘着シートの一の実施の形態について説明する。本実施の形態の粘着シートは、基材と、この基材の少なくとも片面に配設された粘着剤層とを備えた粘着シートである。本実施の形態の粘着シートにおいては、粘着剤層が、上述した第一の発明の実施の形態(粘着性樹脂組成物)と同様に構成された粘着性樹脂組成物から構成されている。
即ち、本実施の形態の粘着シートは、基材と、基材の少なくとも片面に配設された粘着剤層とを備えた粘着シートであって、粘着剤層が、(a)重量平均分子量が1万〜200万で、ガラス転移温度が−100℃〜100℃であるポリマー、(b)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するモノマー、(c)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するオリゴマー、および、(d)開始剤を含み、(a)ポリマーが、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物、極性基含有のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、および、極性基含有のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物からなる群より選択される少なくとも一種を含み、下記条件(3)にて、粘着剤層を紫外線硬化することにより、紫外線硬化前から紫外線硬化後の下記条件(4)にて測定した粘着剤層の粘着力が1/3以下となる、粘着シートである。
条件(3):ポリエチレンテレフタレートからなる基材を用いて、粘着剤層に、空気が存在する状態で、高圧水銀ランプによる紫外線を積算光量200mJ/cm2照射する。
条件(4):被着体をシリコンウエハーとしたJIS Z0237に準拠した試験方法にて測定。
本実施の形態の粘着シートは、粘着剤層として上述した第一の発明の実施の形態(粘着性樹脂組成物)と同様に構成された粘着性樹脂組成物を用いて形成されたものであることから、空気の存在下で紫外線硬化することにより、紫外線硬化前から紫外線硬化後の上記した条件(4)にて測定した粘着剤層の粘着力が1/3以下となるものである。このため、紫外線硬化前には被着体に対する十分な粘着力を発現し、空気の存在下で紫外線硬化することにより、粘着力を低下させて被着体から容易に剥離することができる。特に、本実施の形態の粘着シートは、粘着後に一定期間放置した場合であっても、空気の存在下で紫外線硬化することにより、粘着剤層の粘着力を低下させて被着体から容易に剥離することができる。
本実施の形態の粘着シートを構成する粘着剤層の粘着力は、上述したようにJIS Z0237に準拠した試験方法(180°ピール試験)にて測定することのできる180°剥離力として求めることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレートからなるシート状の基材の片面に、膜厚20〜30μmの粘着剤層を形成し、被着体としてのシリコンウエハーに粘着剤層を粘着させ、この粘着剤層とシリコンウエハーとの間の180°剥離力として求めることができる。
本実施の形態の粘着シートに用いられる基材としては特に制限はなく、例えば、合成樹脂製のフィルムやシート、ガラス、金属、またはセラミックからなるシート等を挙げることができる。なお、この基材としては、粘着剤層側とは反対側の表面に紫外線照射した際に、基材を透過して紫外線が粘着剤層に照射されるものであることが好ましく、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシートや透明なガラスからなるシートを好適例として挙げることができる。
本実施の形態の粘着シート構成する基材は、粘着剤層側の面にエンボス加工が施されていることが好ましい。このように基材の粘着剤層側の面にエンボス加工が施されていると、例えば、半導体ウエハ等の被着体に粘着シートを貼り付けた場合に、粘着シートと被着体との接合面において、基材のエンボス加工によって形成される凹部に空気が残留する。このため、粘着シートと被着体とが粘着した状態において、何ら特別な方法を用いることなく、単に紫外線照射するだけで、凹部に残留した空気が存在する状態で紫外線硬化が行われ、簡便に空気の存在下での紫外線硬化を実現することができる。これにより、空気の存在下での紫外線硬化を施し、粘着剤層の粘着力を良好に低下させることができ、本実施の形態の粘着シートを被着体から容易に剥離することができる。
本明細書において、基材の表面に施すエンボス加工とは、基材の表面に凹凸を形成する加工のことをいう。このエンボス加工によって形成される凹凸の凹部と凸部との形状や、それらの配列については特に制限はなく、規則的な凹部と凸部との繰返しであってもよいし、不規則な凹部と凸部との繰返しであってもよい。また、和紙等の表面に見られる皺模様によって構成される凹部と凸部とであってもよい。なお、本実施の形態の粘着シートに用いられる基材においては、エンボス加工によって形成される凹凸は、規則的な凹部と凸部との繰返しであることが好ましい。
また、特に限定されることはないが、本実施の形態の粘着シートの基材に施されるエンボス加工としては、凹部の深さが3μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがさらに好ましい。エンボス加工における凹部の深さが3μm未満であると、粘着シートと被着体との接合面において凹部に残留する空気の量が少なすぎて、紫外線硬化時の空気の量が不足することがある。
基材の表面の大きさ(面積)については特に制限はなく、例えば、被着体の形状に応じて適宜選択することができる。また、本実施の形態の粘着シートは、所定の形状に切断して用いることもできることから、基材の表面の大きさについては、被着体の形状よりも比較的大きくなるように構成してもよい。
また、基材の厚さについても特に制限はないが、上述したエンボス加工が良好に行われ、かつ、粘着剤層側とは反対側の表面に紫外線照射して紫外線硬化する際に、この基材を透過して紫外線が粘着剤層に照射されるような厚さであることが好ましく、例えば、10〜5000μmであることが好ましく、20〜1000μmであることがさらに好ましく、50〜500μmであることが特に好ましい。
なお、基材に施されるエンボス加工の方法については、従来公知のエンボス加工の方法に準じて行うことができる。例えば、基材の加工面側(粘着剤層側)とは反対側の面側から、複数の突起を備えるエンボスツールを押し当てる方法を挙げることができる。
また、上述したように本実施の形態の粘着シートに用いられる粘着剤層は、第一の発明の実施の形態(粘着性樹脂組成物)と同様に構成された粘着性樹脂組成物から形成されたものであり、この粘着剤層を構成する(a)ポリマー、(b)モノマー、および(c)オリゴマー、(d)開始剤についても、第一の発明の実施の形態において説明した(a)ポリマー、(b)モノマー、(c)オリゴマー、および(d)開始剤と同様に構成されたものであることが好ましい。例えば、(b)モノマーとしては、少なくとも一種の6官能モノマーを含むものを好適に用いることができる。
また、本実施の形態の粘着シートに用いられる粘着剤層は、第一の発明の実施の形態(粘着性樹脂組成物)と同様に、紫外線吸収剤や光安定剤などのその他の物質をさらに含んでいてもよい。また、粘着剤層を構成する粘着性樹脂組成物については、(a)ポリマー、(b)モノマー、(c)オリゴマー、および、(d)開始剤の他に、(e)溶剤をさらに含んたものであってもよい。なお、この(e)溶剤の大半は、粘着性樹脂組成物から粘着剤層を形成する際に蒸散し、粘着剤層中には、ほとんど存在していない。
上述したその他の物質については、上述した第一の発明の実施の形態(粘着性樹脂組成物)にて説明した紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、保存安定剤、熱重合禁止剤、可塑剤、濡れ性改良剤、密着性付与剤、粘着付与剤(タッキファイヤー)、硬化剤などを好適例として挙げることができる。
粘着剤層の厚さについては、紫外線の照射量あるいは、粘着力の違いにより異なるが、例えば、1〜1000μm、好ましくは5〜500μm、さらに好ましくは10〜100μmあることが好ましい。
また、本実施の形態の粘着シートにおいて、紫外線硬化することにより粘着剤層の粘着力を低下させる際に必要となる紫外線の積算光量については、基材表面の粘着剤層の厚さ等によっても異なるが、例えば、10〜1000mJ/cm2、好ましくは20〜800mJ/cm2、さらに好ましくは30〜600mJ/cm2であれば、紫外線硬化前から紫外線硬化後の粘着剤層の粘着力を1/3以下にすることができる。
実際に本実施の形態の粘着シートを使用し、紫外線硬化により粘着剤層の粘着力を低下させる際には、条件(3)に示すうように、光源として高圧水銀ランプを用いて紫外線照射を行うことができるが、紫外線照射を行う光源としてはこれに限定されることはなく、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、アーク灯、ガリウムランプなどを用いることができる。
また、本実施の形態の粘着シートは、上記の条件(3)にて、粘着剤層を紫外線硬化することにより、紫外線硬化前から紫外線硬化後の粘着剤層の粘着力が1/3以下となるものであるが、紫外線硬化前から紫外線硬化後の粘着剤層の粘着力が、1/5以下になるものであることが好ましく、1/10以下になるものであることがさらに好ましい。
次に、本発明(第三の発明)の粘着シートの製造方法の一の実施の形態について説明する。本実施の形態の粘着シートの製造方法は、第二の発明の実施の形態(粘着シート)を製造する方法である。
本実施の形態の粘着シートの製造方法は、基材の少なくとも片面に、(a)重量平均分子量が1万〜200万で、ガラス転移温度が−100℃〜100℃であるポリマー、(b)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するモノマー、(c)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するオリゴマー、および、(d)開始剤を含み、(a)ポリマーが、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物、極性基含有のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、および、極性基含有のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物からなる群より選択される少なくとも一種を含む樹脂組成物を塗工して樹脂組成物層を得、得られた樹脂組成物層を空気が存在する状態で紫外線照射または加熱する予備処理を施して粘着剤層を形成し、基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着シートを得る、粘着シートの製造方法である。
以下、本実施の形態の粘着シートの製造方法について、各行程毎にさらに具体的に説明する。
まず、粘着シートの基材を用意する。本実施の形態の粘着シートの製造方法において用いられる基材としては、上述した第二の発明の実施の形態にて説明した粘着シートを構成する基材と同様に構成されたものを好適に用いることができ、例えば、合成樹脂製のフィルムやシート、ガラス、金属、またはセラミックからなるシート等を挙げることができる。特に、この基材を透過して紫外線が粘着剤層に照射可能な、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシートや透明なガラスからなるシートを好適例として挙げることができる。
なお、特に限定されることはないが、本実施の形態の粘着シートの製造方法においては、この基材の少なくとも片面にエンボス加工を施してもよい。このようにエンボス加工を施した面に粘着剤層を形成することにより、粘着剤層を被着体に粘着させた場合において、エンボス加工によって形成される凹部に空気が残留し、単に粘着剤層に紫外線照射するだけで、凹部に残留した空気が存在する状態で紫外線硬化を行うことが可能となる。このため、基板にエンボス加工を施した場合は、エンボス加工を施した面に粘着剤層を形成する。
上述した基材の表面に施すエンボス加工の方法については特に制限はなく、例えば、基材の加工面側(粘着剤層側)とは反対側の面側から、複数の突起を備えるエンボスツールを押し当てる方法によって実現することができる。エンボスツールの突起の大きさや形状については、エンボス加工によって形成される凹部と凸部との形状や、それらの配列に応じて適宜選択することができる。
次に、基材の面上(エンボス加工を施した場合には、エンボス加工を施した側の面上)に樹脂組成物層を塗工するための粘着性樹脂組成物を調整する。粘着性樹脂組成物は、(a)重量平均分子量が1万〜200万で、ガラス転移温度が−100℃〜100℃であるポリマー、(b)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するモノマー、(c)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するオリゴマー、および、(d)開始剤を含み、(a)ポリマーが、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物、極性基含有のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、および、極性基含有のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物からなる群より選択される少なくとも一種を含むものであり、第一の発明の実施の形態(粘着性樹脂組成物)と同様に構成されたものを用いることができる。粘着性樹脂組成物によって形成される樹脂組成物層は、紫外線照射または加熱による予備処理を施すことにより、樹脂組成物層を構成する粘着性樹脂組成物の一部が高分子量化および架橋されて粘着力が発現する。
この粘着剤層を形成するための粘着性樹脂組成物を調整する方法については、例えば、上述した(a)ポリマー、(b)モノマー(c)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するオリゴマー、および、(d)開始剤を混合撹拌して得ることができる。
また、この粘着剤層としての粘着性樹脂組成物としては、第一の発明の実施の形態(粘着性樹脂組成物)にて説明したように、(e)溶剤やその他の物質をさらに含んだものとしてもよい。例えば、さらに(e)溶剤を含んだ粘着性樹脂組成物を得る場合には、(a)ポリマー、(b)モノマー、(c)オリゴマー、および、(d)開始剤に加えて、(e)溶剤を加え、0〜80℃で混合撹拌して得ることができる。この際、粘着性樹脂組成物の基材への塗工が良好に行えるように(e)溶剤の量を調節し、得られる粘着性樹脂組成物の、25℃における粘度が300〜2300mPa・sとなるように調製することが好ましい。
次に、このようして得られた粘着性樹脂組成物を、樹脂組成物層として基材の少なくとも片面上に塗工する。基材にエンボス加工を施している場合には、エンボス加工を施した面上に粘着性樹脂組成物を塗工する。塗工方法についても特に制限はなく、従来公知の塗工方法に準じて実現することができる。
樹脂組成物層の厚さについては特に制限はないが、例えば、この樹脂組成物層に紫外線照射または加熱による予備処理を施して粘着剤層とした場合に、得られる粘着剤層の厚さが、1〜1000μmとなるような厚さに塗工することが好ましい。
次に、得られた樹脂組成物層を空気が存在する状態で紫外線照射または加熱する予備処理を施して粘着剤層を形成し、基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着シートを得る。
この、紫外線照射または加熱による予備処理は、樹脂組成物層を、粘着性を有する半固体状の粘着剤層にするための処理であり、樹脂組成物層を構成する粘着性樹脂組成物が高分子量化および架橋されることである。この予備処理における紫外線照射は、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、アーク灯、ガリウムランプなどで容易に行うことができる。好ましい紫外線照射の積算光量は、10〜300mJ/cm2である。10mJ/cm2未満では十分架橋せず、凝集力が得られないことがある。一方、300mJ/cm2を超えると架橋が進みすぎ、貼り合せ時の密着性が低下するので好ましくない。さらに好ましい積算光量は、30〜250mJ/cm2である。
なお、樹脂組成物層を構成する粘着性樹脂組成物が(e)溶剤を含んでいる場合には、紫外線照射による予備処理に変えて、樹脂組成物層を加熱することによって、熱乾燥あるいは熱架橋させ、樹脂組成物層に予備処理を施してもよい。この際、加熱は60〜200℃であることが好ましく、60〜150℃で、0.5〜15分がさらに好ましい。
このようにして、基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着シートを簡便かつ低コストに製造することができる。本実施の形態の粘着シートの製造方法によって製造される粘着シートは、第二の発明の実施の形態(粘着シート)にて説明した粘着シートであり、上記した条件(3)にて、粘着剤層を紫外線硬化することにより、紫外線硬化前から紫外線硬化後の上記した条件(4)にて測定した粘着剤層の粘着力が1/3以下となる、粘着シートである。
次に、本発明(第四の発明)の粘着シートの製造方法の一の実施の形態について説明する。本実施の形態の粘着シートの製造方法は、第二の発明の実施の形態(粘着シート)を、第三の発明とは別の方法にて製造する粘着シートの製造方法である。
本実施の形態の粘着シートの製造方法は、離型基材の片面に、(a)重量平均分子量が1万〜200万で、ガラス転移温度が−100℃〜100℃であるポリマー、(b)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するモノマー、(c)重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するオリゴマー、および、(d)開始剤を含み、(a)ポリマーが、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物、極性基含有のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水添物、および、極性基含有のスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物からなる群より選択される少なくとも一種を含む樹脂組成物を塗工して樹脂組成物層を得、得られた樹脂組成物層を空気が存在する状態で紫外線照射または加熱する予備処理を施して粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層を粘着シート用の基材の片面に転写して、基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着シートを得る、粘着シートの製造方法である。
このように、本実施の形態の粘着シートの製造方法は、第三の発明の実施の形態(粘着シートの製造方法)のように、基材に直接粘着剤層(樹脂組成物層)を形成するのではなく、別途、離型基材を用意し、まず、この離型基材の片面に、上述した樹脂組成物を塗工して樹脂組成物層を得、この樹脂組成物層を予備処理して粘着剤層を形成した後に、粘着剤層を基板に転写する。これにより、基材の面上に形成される粘着剤層は、離型基材と基材とに挟まれた状態で製造され、この離型基材を粘着シートの離型紙として用いることができ、取り扱い性に優れた粘着シートを製造することができる。
なお、本実施の形態の粘着シートの製造方法においては、樹脂組成物の調製の方法や塗工方法、また、樹脂組成物層の予備処理の方法については、上述した第三の実施の形態にて説明した方法と同様の方法を用いることができる。
また、離型基材の片面に形成された粘着剤層を、粘着シート用の基材の片面に転写する方法についても特に制限はなく、例えば、離型基材の片面に形成された粘着剤層に、粘着シート用の基材の片面を貼付した後、ゴムロール等で圧力を加えて転写する方法を挙げることができる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例においては、(a)ポリマーとして、四種類のポリマー((a−1)ポリマー、(a−2)ポリマー、(a−3)ポリマー、およびDYNARON 1320P(商品名、JSR社製))から少なくとも一種を選択して用いた。
(a−1)ポリマーの合成:
合成して得られる(a−1)ポリマーを100質量部とした場合、トルエン150質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部、メチルメタクリレート43質量部、2−エチルヘキシルアクリレート35質量部、アクリル酸2質量部、アゾビスイソブチロニトイル0.4質量部、を4口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で70℃6時間、さらに80℃で1時間反応させた。得られた(a−1)ポリマーは、重量平均分子量は100,000であり、ガラス転移温度は10℃であった。
(a−2)ポリマーの合成:
合成して得られる(a−2)ポリマーを100質量部とした場合、トルエン150質量部、シクロヘキシルメタクリレート39質量部、メチルメタクリレート35質量部、2−エチルヘキシルアクリレート16質量部、メタクリル酸10質量部、アゾビスイソブチロニトイル0.4質量部、を4口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で70℃6時間、さらに80℃で1時間反応させた。得られた(a−2)ポリマーは、重量平均分子量は130,000であり、ガラス転移温度は−15℃であった。
(a−3)ポリマーの合成:
合成して得られる(a−3)ポリマーを100質量部とした場合、トルエン150質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5質量部、メチルメタクリレート35質量部、2−エチルヘキシルアクリレート48質量部、アクリル酸2質量部、アゾビスイソブチロニトイル0.01質量部、を4口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で50℃6時間、さらに80℃で1時間反応させた。得られた(a−3)ポリマーは、重量平均分子量は320,000であり、ガラス転移温度は−15℃であった。
(参考例1)
表1に示すように、(a)ポリマーとして、(a−1)ポリマー45質量部、(b)モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA;日本化薬社製)20質量部、(c)オリゴマーとして、ポリウレタンアクリレート(分子量1600、商品名:NKオリゴマーU−108A;新中村化学工業社製)35質量部、(d)開始剤として、α−ヒドロキシアセトフェノン(商品名:イルガキュア(Irgacure)184;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)2質量部、および、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:ルシリン(LucirinTPO);BASF社製)1質量部を、(e)溶剤としての、(a−1)ポリマーに含まれるトルエン、および別途追加するメチルエチルケトンとともに混合して粘着性樹脂組成物を得た。
本参考例にて使用した(a)ポリマーのガラス転移温度は10℃であり、重量平均分子量は10万である。また、(c)オリゴマーの重量平均分子量は、1600である。また、(b)モノマー、および(c)オリゴマーは、それぞれ重合性の炭素−炭素二重結合を1個もしくは2個以上有するものである。
本参考例においては、以下の手順に従い、粘着シートを作製した。まず、ポリエチレンテレフタレートからなる市販の離型基材(商品名:PET3811;リンテック社製)に、先に得られた粘着性樹脂組成物を、乾燥後膜厚が約22μmになるよう、アプリケーターにて塗布し、80℃で3分間乾燥して粘着剤層を得た。
次に、粘着シート用の基材として、市販のポリエチレンテレフタレートからなる基材(商品名:コスモシャイン4300;東山フィルム社製)を別途用意し、離型基材と粘着シート用の基材とを、離型基材の面上に形成された粘着剤層を挟持するように積層し、粘着シート用の基材に2kgゴムロールにて押しあてて、粘着剤層を粘着シート用の基材に転写した。その後、離型基材を剥がし、基材の片面に粘着剤層が形成された粘着シートを製造した。本参考例においては、このような粘着シートを3個製造し、それぞれ異なる条件で粘着剤層の紫外線硬化を行い、JIS Z0237に準拠した試験方法にて粘着剤層の粘着力をピール強度として測定した。それぞれの測定結果を表1に示す。
紫外線照射前のピール強度:
本実施例の粘着シートを、被着体としてのシリコンウエハー(信越半導体社製)に粘着させて貼り合わせた後、温度23℃の雰囲気下において、剥離速度を300mm/分として、粘着シートと被着体との間の180°剥離力を測定し、紫外線照射前のピール強度とした。
紫外線照射後(空気存在下)のピール強度:
本実施例の粘着シートを、空気の存在下で、粘着シートの粘着剤層に、高圧水銀ランプ(アイグランステージECS−410GX、アイグラフィックス社製)による積算光量200mJ/cm2の紫外線照射を行い、粘着剤層を紫外線硬化させた。
上記の条件にて粘着シートの粘着剤層を紫外線硬化させた後、被着体としてのシリコンウエハー(信越半導体社製)に粘着させて貼り合わせた。温度23℃の雰囲気下において、剥離速度を300mm/分として、粘着シートと被着体との間の180°剥離力を測定し、紫外線照射後(空気存在下)のピール強度とした。
紫外線照射後(空気存在なし)のピール強度:
本実施例の粘着シートを、被着体としてのシリコンウエハー(信越半導体社製)に粘着させて貼り合わせた後、空気が存在しない状態で、粘着シートの粘着剤層に、高圧水銀ランプ(アイグランステージECS−410GX、アイグラフィックス社製)による積算光量200mJ/cm2の紫外線照射を行い、粘着剤層を紫外線硬化させた。
上記の条件にて粘着シートの粘着剤層を紫外線硬化させた後、温度23℃の雰囲気下において、剥離速度を300mm/分として、粘着シートと被着体との間の180°剥離力を測定し、紫外線照射後(空気存在なし)のピール強度とした。
また、上述した三つの形態(紫外線照射を行う前、空気の存在下で紫外線照射を行った後、および空気が存在しない状態で紫外線照射を行った後)にてピール強度を測定した後、被着体に対する糊残りの状態を目視で評価した。結果を表1に示す。なお、本参考例においては、被着体に対する糊残りが目視で全く確認されなかったものについては○、被着体に対する糊残りが目視で確認されたものについては×とした。
(参考例2)
(a)ポリマーとして(a−3)ポリマー45質量部、を用いた以外は、参考例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得、得られた粘着性樹脂組成物を用いて、参考例1と同様の方法にて粘着シートを製造した。
(参考例3)
(b)モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA;日本化薬社製)40質量部、(c)オリゴマーとして、ポリウレタンアクリレート(分子量1600、商品名:NKオリゴマーU−108A;新中村化学工業社製)15質量部、を用いた以外は、参考例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得、得られた粘着性樹脂組成物を用いて、参考例1と同様の方法にて粘着シートを製造した。
(参考例4)
(a)ポリマーとして、(a−2)ポリマー20質量部および(a−3)ポリマー45質量部、(c)オリゴマーとして、ポリウレタンアクリレート(分子量1600、商品名:NKオリゴマーU−108A;新中村化学工業社製)15質量部、を用いた以外は、参考例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得、得られた粘着性樹脂組成物を用いて、参考例1と同様の方法にて粘着シートを製造した。
(参考例5)
(b)モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA;日本化薬社製)5質量部、(c)オリゴマーとして、ポリウレタンアクリレート(分子量1600、商品名:NKオリゴマーU−108A;新中村化学工業社製)50質量部、を用いた以外は、参考例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得、得られた粘着性樹脂組成物を用いて、参考例1と同様の方法にて粘着シートを製造した。
(参考例6)
(a)ポリマーとして、(a−1)ポリマー40質量部およびDYNARON 1320P(商品名;JSR社製)5質量部、を用いた以外は、参考例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得、得られた粘着性樹脂組成物を用いて、参考例1と同様の方法にて粘着シートを製造した。
(比較例1)
(a)ポリマーを用いず、(b)モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA;日本化薬社製)20質量部とイソオクチルアクリレート(IOA;大阪有機化学社製)45質量部、を用いた以外は、実施例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得、得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法にて粘着シートを製造した。
(比較例2)
(c)オリゴマーを用いず、(b)モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA;日本化薬社製)55質量部、を用いた以外は、実施例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得、得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法にて粘着シートを製造した。
このようにして得られた参考例2〜6、および比較例1,2のそれぞれの粘着シートに対して、紫外線照射を行う前、空気の存在下で紫外線照射を行った後、および空気が存在しない状態で紫外線照射を行った後において、参考例1の同様の方法にて、ピール強度の測定を行い、さらに、ピール強度の測定後、それぞれの粘着シートにおいて、被着体に対する糊残りの状態を目視で評価した。結果を表1に示す。
表1に示すように、参考例1〜6の粘着シートにおける紫外線硬化前のピール強度については、例えば、ダイシング行程や回路素子等の仮固定等に用いるのに十分な強度を有しており、また、空気の存在下で紫外線硬化することにより、紫外線硬化前から紫外線硬化後の粘着力が1/3以下に良好に低下しており、空気の存在下で紫外線硬化することにより被着体から容易に剥離することができるものであった。
また、参考例1〜6の粘着シートは、糊残りの評価についても全て良好な結果が得られ、被着体から完全に剥離することが可能であり、被着体の汚染を有効に防止することができるものであった。
一方、比較例1,2の粘着シートは、紫外線硬化前のピール強度については、例えば、ダイシング行程や回路素子等の仮固定等に用いるのに十分な強度を有していたが、空気の存在下で紫外線硬化することにより、紫外線硬化前から紫外線硬化後の粘着力が1/3以下まで低下せず、被着体から剥離する際に大きな応力を必要とするものであった。
また、比較例1,2の粘着シートは、糊残りの評価についても、比較例2の紫外線硬化前以外は、全て糊残りが目視で確認できるものであり、被着体から完全に剥離することができなかった。