JP4642760B2 - 重車両用のタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ラジアルカーカス補強体を有するタイヤに関し、より詳細には、重荷重を支持し、且つ持続速度で走行する車両、例えば、ローリ、トラクタ、トレーラーまたは高速バスに嵌合されるようになっているタイヤに関する。
タイヤ、特に、重車両型の車両のタイヤの補強アーマチュアまたは補強体は、現在のところ、最もしばしば、「カーカスプライ」、「クラウンプライ」などと従来から称せられている1つまたはそれ以上のプライを積重ねることによって形成されている。補強アーマチュアを設計するこの方法は、しばしば長さ方向であるコード補強スレッドを備えているプライの形態の一連の半仕上げ製品を製造し、次いでタイヤ素材を構成するためにプライを組付けるか或いは積重ねることよりなる製造方法に由来している。これらのプライを大きい寸法で平らに製造し、次いで所定の製品の寸法に応じて切断する。また、第1段階では、これらのプライを実質的に平らに組付けられる。次いで、かくして製造された素材をタイヤの代表的であるトロイダル輪郭をとるように成形する。次いで、「仕上げ用」製品と称せられる半仕上げ製品を素材に付けて加硫の用意の整った製品を得る。
このような種類の「在来」方法は、特にタイヤの素材の製造段階では、タイヤのビードの帯域においてカーカス補強体を固定するか或いは保持するために使用される固定要素(一般に、ビードワイヤ)の使用を伴う。かくして、この種類の方法では、カーカス補強体を構成するプライすべての一部(またはその一部のみ)をタイヤビードに配置されたビードワイヤのまわりに折り返す。このようにして、カーカス補強体がビードに固定される。
工業におけるこの種類の在来方法の一般的な採用では、当業者は、この方法を表す表現法、従って、特に、語「プライ」、「カーカス」、「ビードワイヤ」、平らな輪郭からトロイダル輪郭への変化を示す「成形」などを含む一般に受入れられている専門用語を使用していた。
今日、的確に言えば、先の定義による「プライ」または「ビードワイヤ」を備えていないタイヤが存在している。例えば、文献ヨーロッパ特許第0582196号はプライの形態の半仕上げ製品の助けなしに製造されるタイヤを述べている。例えば、異なる補強構造体の補強要素はゴム混合物よりなる隣接層に直接付けられ、全体は次々の層状態でトロイダルコアに付けられ、そのトロイダルコアの形状により、製造されるタイヤの最終輪郭と同様な輪郭を直接得ることができる。かくして、この場合、もはや、「半仕上げ製品」も、「プライ」も、「ビードワイヤ」も存在しない。ゴム混合物およびコードまたはフィラメントの形態の補強要素のような基本製品はコアに直接付けられる。このコアがトロイダル形状のものであれば、素材は、もはや、平らな輪郭からトーラスの形態の輪郭へ変化させるために成形される必要がない。
更に、この文献に述べられているタイヤはビードワイヤのまわりのカーカスプライの「在来の」折返し部を有していない。この種類の固定は、周方向のコードが前記側壁補強構造体に隣接して配置され、全体が固定用または接合用ゴム混合物に埋設されている構成により取って代わられる。
また、中央コアに素早く、効果的に且つ簡単に載置されるように特別の適合された半仕上げ製品を使用してトロイダルコアに組付ける方法が存在している。最終的に、(プライ、ビードワイヤなどの)或る構造特徴を生じるために或る半仕上げ製品を同時に構成する混合物を使用することが可能であり、他の特徴は混合物および/または補強要素の直接付設から生じられる。
この文献では、製造分野および製品の設計の両方における最近の技術開発を考慮するために、「プライ」、「ビードワイヤ」などの在来の語の代わりに、中立の語、または使用される方法の種類に関係ない語が有利に使用されている。かくして、語「カーカス型補強スレッド」または「側壁補強スレッド」は、在来の方法におけるカーカスプライの補強要素、および半仕上げ製品無しの方法により製造されたタイヤの側壁部の高さのところで一般に付けられる対応する補強要素のための呼称として有効である。語「固定帯域」は、その一部については、在来の方法のビードワイヤのまわりのカーカスプライの「慣例の」折返し部、および周方向補強要素と、ゴム混合物と、トロイダルコアへの付設を使用する方法により製造された底帯域の隣接した側壁補強部分とにより形成される集合体を示している。
一般に、重車両型のタイヤでは、カーカス補強体はビードの帯域に両側で固定されており、このカーカス補強体の上には、クラウン補強体が半径方向に設けられており、このクラウン補強体は、重ねられていて、各々において平行であるコードまたはケーブルで構成された少なくとも2つの層で構成されている。また、カーカス補強体は周方向と45°と90°との間の角度を形成する低い伸張性の金属ワイヤまたはケーブルよりなる層を備えており、このプライは、三角プライと称せられており、そしてカーカス補強体と、絶対値で多くて45°に等しい角度を有する平行なコードまたはケーブルで構成されている第1のいわゆる採用クラウンプライとの間に半径方向に位置決めされている。三角形化プライは少なくとも前記作用プライとともに、三角形補強体を構成しており、この三角形補強体はこれが受ける異なる応力下でわずかな変形を受け、三角形化プライの本質的な役割はタイヤのクラウンの帯域における補強要素すべてが受ける横方向圧縮力を吸収することである。
クラウン補強体は少なくとも1つの作用プライを備えており、前記クラウン補強体は、少なくとも2つの作用プライを備えている場合、これらの作用プライは各層内で互いに平行であって、層同士で互いに交差されて周方向と10°と45°との間の角度を形成する非伸張性金属補強要素で構成されている。作用補強体を構成する前記作用層は、「弾性要素」と称せられる有利には金属の伸張性補強要素で構成された少なくとも1つのいわゆる保護層により覆われてもよい。
「重車両」用のタイヤの場合、通常、単一の保護層は存在しており、その保護要素は、たいていの場合、半径方向に最も外側であり、従って半径方向に隣接している作用層の補強要素のものと同じ方向および絶対値で同じ角度で配向されている。比較的でこぼこの道路で走行するようになっている建設車両のタイヤの場合、2つの保護層が存在することが有利であり、補強要素は1つの層から次の層まで交差されており、半径方向内側の保護層の補強要素は、前記半径方向内側の保護層に隣接した半径方向外側の作用層の非伸張性補強要素と交差されている。
ケーブルは、これらが破断荷重の10%に等しい引張力下で多くて0.2%に等しい相対伸び率を有する場合、非伸張性であると言える。
ケーブルは、これらが破断荷重の4%に等しい引張力下で多くて0.2%に等しい相対伸び率を有する場合、弾性であると言える。
タイヤの周方向、または長さ方向は、タイヤの周囲に対応し、且つタイヤの転動方向により定められる方向である。
タイヤの横方向または軸方向はタイヤの回転軸線と平行である。
半径方向はタイヤの回転軸線と交差し且つそれに対して垂直である方向である。
タイヤの回転軸線は普通の使用において回転する中心の軸線である。
半径方向または子午線平面はタイヤの回転軸線を含む平面である。
周方向中央平面または赤道平面はタイヤの回転軸線に対して垂直であって、タイヤを2つの半体に分割する平面である。
高速および益々長い行路で走行するようになっている「高速道路」タイヤと称せられる或るタイヤの現在の使用では、世界中の道路網の改良および自動車道路網の成長により、特に、クラウン補強体の耐久性能、特に耐久性の改良が生じる。
実際、クラウン補強体の高さのところに応力があり、より詳細には、軸方向に最も短いクラウン層の端部の高さのところの作動温度のわずかばかりではない上昇に関連されるクラウン層間の剪断応力があり、その結果、前記端部のところでゴムにおける亀裂が現われて伝播する。2つの層の縁部が補強要素を有する場合、同じ問題が存在し、前記他の層は必ずしも第1層に半径方向に隣接しているとは限らない。
この種類のタイヤのクラウン補強体の耐久性を改良するために、プライの端部、より詳細には、軸方向に最も短いプライの端部の間および/またはそれらのまわりに配置されるゴム混合物よりなる層および/または形材要素の構造および品質に関する解決法が提供された。
フランス特許第1389428号は、クラウン補強体の縁部に近傍に位置決めされたゴム混合物の耐劣化性を改良するために、クラウン補強体の少なくとも側部および周辺縁部を覆っていて、低いヒステリシスのゴム混合物で形成されたゴム形材要素を低いヒステリシスのトレッドとの組合せで使用することを推薦している。
フランス特許第2222232号は、クラウン補強体プライ間の分離を回避するために、ショアA硬度が補強体を取り囲むトレッドのものと異なり、且つクラウン補強体プライの縁部とカーカス補強体との間に配置されたゴム混合物よりなる形材要素のショアA硬度より大きいゴムパッドで補強体の端部を被覆することを教示している。
フランス特許出願第2728510号は、一方では、カーカス補強体と回転軸線に半径方向に最も近いクラウン補強体作用プライとの間に、周方向と少なくとも60°に等しい角度を形成し、軸方向幅が最も短い作用クラウンプライの軸方向幅に少なくとも等しい非伸張性の金属ケーブルで構成された軸方向に連続したプライを配置し、他方では、2つの作用クラウンプライ間に、周方向と実質的に平行に配向された金属要素で構成された追加層を配置することを提案している。
かくして構成されたタイヤの特に過酷な条件下の長期走行の結果、これらのタイヤの耐久性の点で限度があることを示した。
このような欠点を解消し、且つこれらのタイヤのクラウン補強体の耐久性を改良するために、特許出願第WO99/24269号は、赤道平面の両側で、且つ周方向と実質的に平行である補強要素よりなる追加プライのすぐの軸方向の延長部において、プライ同士で互いに交差された補強要素で構成された2つの作用クラウンプライを或る軸方向距離にわたって連結し、次いで、少なくとも前記2つの作用プライに共通な幅の残部にわたってこれらの作用無頼をゴム混合物よりなる形材要素により分断することを提案している。
本発明の1つの目的は、耐久性および摩耗性能が在来のタイヤと比較して更に改良されている「重車両」用のタイヤを提供することである。
この目的は、本発明によれば、非伸張性の補強要素よりなる少なくとも2つの作用クラウン層で構成されたクラウン補強体を備えており、前記非伸張性の補強要素は、層同士で互いに交差されて周方向と10°と45°との間の角度を形成しており、クラウン補強体自身の上には、トレッドが半径方向に載置されており、前記トレッドが2つの側壁部によって2つのビードに接合されており、前記クラウン補強体が、作用クラウン層のうちの少なくとも1つのものより小さい軸方向幅の周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層を備えている、ラジアルカーカス補強体を有する「重車両」用のタイヤであって、周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層の軸方向幅と、トレッドの軸方向幅との比は0.6より大きく、好ましくは0.65より大きく、トレッドの軸方向幅と、タイヤの最大の軸方向幅との比は0.89より大きい「重車両」用のタイヤによって達成される。
本発明は、特に、リム上のタイヤの高さHタイヤの最大の軸方向幅Sの比、すなわち、形状比が0.50より大きい「重車両」型のタイヤに関する。
形状比H/Sは、タイヤがその作動リムに取付けられてその定格圧力まで膨らませられたときのリム上のタイヤの高さH対タイヤの最大の軸方向幅Sの比である。高さHはトレッドの最大半径とビードの最小半径との差として定められる。
補強要素よりなる層の軸方向幅はタイヤの横断面で測定されたものであり、従って、タイヤは非膨らまし状態にある。
トレッドの軸方向幅は、タイヤがその作動リムに取付けられてその定格圧力まで膨らませられたときの2つの肩端部間で測定されたものである。
肩端部は、タイヤの肩部の帯域において、一方では、トレッドの軸方向外端部(トレッドパターンの頂点)と、他方では、側壁部の半径方向外端部との表面に対する接線の交差点の、タイヤの外面と直角な投射により定められる。
周方向補強要素は、周方向と0°を中心として+2.5°、−2.5°の範囲内の角度を形成する補強要素である。
本発明による周方向補強要素よりなる層は有利には全軸方向幅にわたって連続している層である。
同じ寸法の在来のタイヤと比較して、本発明によるタイヤは、幅が上記の関係を満足する周方向の補強要素よりなる層と関連されたトレッドのより大きい軸方向幅を有しており、それにより、特に摩耗寿命の点で良好な率を与え、且つ耐久性の点で性能を改良している。
本発明によるタイヤに、幅が前記関係を満足する周方向補強要素よりなる層が存在することにより、特に、作用層間の剪断応力の減少をもたらし、それによりタイヤの耐久性能を向上させることができる。
更に、このような実施形態は、タイヤの肩部の良好な剛性をもたらし、従って、タイヤの形状比が減少すると増大するトレッドの不規則な摩耗の恐れを減少させるのに有利である。
更に、本発明の基準を満足するこのようなタイヤを使用した走行の結果、周方向補強要素が、周方向補強要素よりなる層の端部のところを含めて、いずれの破断をも示さないと言うことを示した。
本発明によれば、有利には、クラウン構造体を構成する少なくとも1つの層が、軸方向に最も外側の「リブ」、または長さ方向の主配向のトレッドパターンの下に半径方向に存在している。この実施形態によれば、先に述べたように、前記トレッドパターンの剛性を増強することが可能である。より有利には、周方向補強要素よりなる層は軸方向に最も外側の「リブ」、または長さ方向の主配向のトレッドパターンの下に半径方向に存在している。
本発明の好適な実施形態によれば、軸方向に最も幅広い作用クラウン層の軸方向幅と、軸方向に最も小さい幅の作用クラウン層の軸方向幅との差は10mmと30mmとの間である。
より好ましくは、軸方向に最も幅広い作用クラウン層は他の作用クラウン層の半径方向内側である。
本発明の有利な実施形態によれば、周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層の補強要素は、10GPaと120GPaとの間の0.7%伸び率における割線モジュラスと、150GPa未満の最大接線モジュラスとを有する金属補強要素である。
好適な実施形態によれば、0.7%伸び率における補強要素の割線モジュラスは100GPa未満であって、20GPaより大きく、好ましくは30GPaと90GPaとの間であり、より好ましくは80GPa未満である。
また、好ましくは、補強要素の最大接線モジュラスは130GPa未満であり、より好ましくは120GPa未満である。
補強要素の全体部分に対するこの論述によれば、周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層の補強要素は、5GPaと60GPaとの間の0.7%伸び率における割線モジュラスと、75GPa未満の最大接線モジュラスとを有する金属補強要素である。
好適な実施の形態によれば、0.7%伸び率における補強要素の割線モジュラスは50GPa未満であって、10GPaより大きく、好ましくは15GPaと45GPaとの間であり、より好ましくは40GPa未満である。
また、好ましくは、補強要素の最大接線モジュラスは65GPa未満であり、より好ましくは60GPa未満である。
1つの好適な実施の形態によれば、周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層の補強要素は、低い伸び率の場合の浅い勾配、および高い伸び率の場合の実質的に一定の急な勾配を有する相対伸び率の関数としての引張応力の曲線を有する金属補強要素である。追加プライのかかる補強要素は、通常、「2モジュール」要素と称せられている。
本発明の好適な実施形態によれば、実質的に一定の急な勾配は0.1%と0.5%以上との間の相対伸び率から現れる。
前述の補強要素の異なる特性はタイヤから取られる補強要素について測定されている。
本発明による周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層を生じるのに特に適している補強要素は、例えば、構成が3×(0.26+6×0.23)4.4/6.6SSであるフォーミュラ21.23の集合体であり、この標準ケーブルは3本のスレッドが各々7本のコードで構成されて相互に撚られているフォーミュラ3×(1+6)の21本の要素コードで構成されており、1本のコードが26/100mmの直径の中央コアを構成しており、6本の巻かれたコードが23/100mmの直径のものである。このようなケーブルは45GPaに等しい0.7%での割線モジュラスと、98GPaに等しい最大接線モジュラスとを有しており、これらのモジュラスの両方とも、補強要素の金属部分について20MPaの予備応力で定められた伸び率の関数としての引張応力の曲線で測定されてものであり、引張応力は補強要素の金属部分についての測定張力に対応する。補強要素の全体部分について10MPaの予備応力で定められた伸び率の関数としての引張応力の曲線では、引張応力は補強要素の全体部分についての測定張力に対応しており、フォーミュラ21.23のこのケーブルは23GPaの0.7%での割線モジュラスと、49GPaの最大接線モジュラスとを有している。
同じようにして、補強要素の他の例は、構成が3×(0.32+6×0.28)6.2/9.3SSであるフォーミュラ21.28の集合体である。このケーブルは56GPaの0.7%での割線モジュラスと、102GPaの最大接線モジュラスとを有しており、これらのモジュラスの両方とも、補強要素の金属部分について20MPaの予備応力で定められた伸び率の関数としての引張応力の曲線で測定されてものであり、引張応力は補強要素の金属部分についての測定張力に対応する。補強要素の全体部分についての10MPaの予備応力で定められた伸び率の関数としての引張応力の曲線では、引張応力は補強要素の全体部分についての測定張力に対応しており、フォーミュラ21.28のこのケーブルは27GPaの0.7%での割線モジュラスと、49GPaの最大接線モジュラスとを有している。
周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層にこのような補強要素を使用することにより、特に、在来の製造方法における成形および硬化段階後を含めて、層の満足な剛性を保持することが可能である。
本発明の第2実施形態によれば、周方向補強要素は、最も短い長さの層の周囲より非常に短いが、好ましくは前記周囲の0.1倍より長い長さの部分を形成するように切断された非伸張性金属要素で形成されてもよく、これらの部分間の切れ目は互いから軸方向にずれている。より好ましくは、追加層の幅の単位あたりの引張弾性率は、同じ条件下で測定された最も伸張性の作用クラウン層の引張弾性率未満である。このような実施形態によれば、(1列の部分間の間隔を選択することにより)容易に調整されることができるが、あらゆる場合に、連続している同じ金属要素で構成された層のモジュラスより低いモジュラスを簡単な方法で周方向補強要素の層に与えることが可能であり、追加層のモジュラスはタイヤから取られる切断要素の加硫された層について測定されてものである。
本発明の第3実施形態によれば、周方向補強要素は起伏のある金属要素であり、起伏の振幅と波長との比a/λは多くて0.09に等しい。好ましくは、追加層の幅の単位あたりの引張弾性率は、同じ条件下で測定された最も伸張性の作用クラウン層の引張弾性率より小さい。
金属要素は好ましくは鋼ケーブルである。
本発明の1つの変形実施形態によれば、周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層は2つの作用クラウン層間に半径方向に配置されている。
この変形実施形態によれば、周方向補強要素よりなる層は、作用層の半径方向外側に設置された同様な層よりも、カーカス補強体の補強要素の圧縮を著しく制限することが可能である。この層は、好ましくは、前記補強要素に対する応力を制限するが、これらの補強要素を過剰に疲労させないように、少なくとも1つの作用層によりカーカス補強体から半径方向に分離されている。
より有利には、周方向補強要素よりなる層が2つの作用クラウン層間に半径方向に配置されている場合、周方向補強要素よりなる層に半径方向に隣接した作用クラウン層の軸方向幅は前記周方向補強要素よりなる層の軸方向幅より大きく、好ましくは、周方向補強要素よりなる層に隣接した前記作用クラウン層は、赤道平面の両側において、および周方向補強要素よりなる層のすぐの軸方向延長部において、軸方法幅にわたって連結されており、次いで少なくとも前記2つの作用層に共通の幅の残部にわたってゴム混合物よりなる形材要素により分断されている。
また、周方向補強要素よりなる層に隣接した作用クラウン層間にかかる連結部が存在することにより、連結部に最も近くに位置決めされた軸方向に最も外側の周方向要素に作用する引張応力の減少をもたらす。
作用プライ間の分断用の形材要素の厚さは、最も小さい幅の作用プライの端部の高さのところで測定して、少なくとも2mmに等しく、好ましくは2.5mmより大きい。
「連結プライ」は、夫々の補強要素が多くて1.5mmだけ半径方向に分離されているプライを意味しているものと理解され、ゴムの前記厚さは、それぞれ前記補強要素の高いおよび低い幾何形状間で半径方向に測定されてものである。
また、本発明によれば、有利には、半径方向に最も外側の周方向要素に作用する引張応力を減少させるために、周方向と作用クラウン層の補強要素とにより形成される角度は30°未満であり、好ましくは25°未満である。
本発明の他の有利な変形例によれば、作用クラウン層は、プライ同士で互いに交差されて周方向と軸方向に変化可能である角度を形成する補強要素を備えており、前記角度は、補強要素よりなる層の軸方向外延部では、周方向中央平面の高さのところで測定された前記要素の角度と比較して大きい。本発明のこのような実施形態によれば、特にカーカス補強体の圧縮を減少させるために、幾つかの帯域における周方向剛性を増大し、反対に、他の帯域における周方向剛性を減少させることが可能である。
また、本発明の1つの好適な実施の形態によれば、クラウン補強体は、10°と45°との間であって、半径方向に隣接した作用層の非伸張性の要素により形成される角度と同じ方向の角度で周方向に対して配向されている弾性補強要素と呼ばれるものよりなる保護層と称せられる少なくとも1つの追加層により半径方向外側で終っている。
保護層は最も小さい幅の作用層の軸方向幅より小さい軸方向幅を有してもよい。また、前記保護層は、前記最も小さい幅の作用層の縁部を覆うように、半径方向上側の層が最も小さい幅の場合、追加の補強体の軸方向延長部において軸方向幅にわたって最も幅広い作用クラウン層と連結され、次いで軸方向外側で、少なくとも2mmに等しい厚さの形材要素により前記最も幅広い作用層から分断されるように、最も小さい幅の作用層の軸方向幅より大きい軸方向幅を有してもよい。弾性補強要素で構成された保護層は、前述の場合、一方では、2つの作用層の縁部を分離する形材要素の厚さより実質的に小さい厚さの形材要素により前記最も小さい幅の作用層の縁部から分断されてもよく、他方では、最も幅広いクラウン層の軸方向幅より小さい或いは大きい軸方向幅を有してもよい。
前述の本発明の実施形態のうちのいずれか1つによれば、クラウン補強体は、カーカス補強体と、このカーカス補強体に最も近い半径方向に内側の作用層との間において、鋼製の非伸張性金属補強要素よりなる三角形化層により半径方向内側で終わっており、この三角形化層は、周方向と、カーカス補強体に半径方向に最も近い層の補強要素により形成される角度と同じ方向の60°より大きい角度を形成している。
本発明の他の有利な詳細および特徴は、図1ないし図5を参照して行なう本発明の実施形態の例の説明から以後に明らかになるであろう。
図1ないし図5を参照して本発明の実施形態を説明する。
これらの図は理解を簡単にするためにいい低の比率で示されるものではない。これらの図はタイヤの周方向中央平面すなわち赤道平面を表す軸線XX'に対して対称に延ばされているタイヤの半分図のみを示している。
図1において、寸法315/70R22.5Xのタイヤ1は0.70の形状比H/Sを有しており、Hはタイヤの取付けリム上のタイヤ1の高さであり、Sはタイヤの最大の軸方向幅である。前記タイヤ1は図に示されていない2つのビードに固定されたラジアルカーカス補強体2を備えている。このカーカス補強体は金属ケーブルよりなる単一層で構成されている。このカーカス補強体2はクラウン補強体4により包囲されており、このクラウン補強体4は、内側から外側へ半径方向に以下の層で構成されている。
― 全幅にわたって連続していて、22°の角度で配向されている非包囲の非伸張性金属11.35ケーブルで構成された第1作用層41、
― 2モジュール型の鋼製の金属21×28ケーブルで構成されている周方向補強要素よりなる層42、
― 全幅にわたって連続していて、26°の角度で配向され、そして層41の金属ケーブルのところで交差されている非包囲の非伸張性金属11.35ケーブルで構成された第2作用層43、
― 弾性金属18×23ケーブルで構成された保護層44。
クラウン補強体自身の上には、トレッド5が載置されている。
第1作用プライ41の軸方向幅L41は270mmに等しく、この値は、在来の形状のタイヤでは292mmに等しいトレッドの幅Lより実質的に小さい。
第2作用層43の軸方向幅L43は250mmに等しい。幅L41と幅L43との差は本発明によれば20mmに等しく、その結果、10mmと30mmとの間である。
周方向補強要素よりなる層の全体軸方向幅L42については、この幅は210mmに等しい。幅L42対トレッドの幅の比は0.7に等しく、従って0.6より遥かに大きい。
「保護層」と称せられる最後のクラウンプライ44は210mmに等しい幅L44を有している。
本発明によれば、クラウン補強体の層すべては補強要素よりなる層42の全幅にわたって事実上非常に大きい曲率半径を有している。この構成における周方向に配向された補強要素は特に軸方向外端部のところで破断する恐れをさほど受け易くない。
図2において、タイヤ1は以下の点で図1に示されるタイヤと異なっている。すなわち、2つの作用層41、43は、赤道平面の両側においておよび周方向補強要素よりなる層42の延長部において軸方向で、軸方向幅1にわたって連結されており、第1作用層41のケーブルおよび第2作用層43のケーブルは、これらの2つの層の連結部の軸方向幅にわたってゴム層により互いに半径方向に分離されており、このゴム層の厚さは最小であって、各層41、43が構成されている包囲金属27.23ケーブルよりなるゴムカレンダ仕上げ層の厚さの2倍、つまり、0.8mmに対応している。2つの作用層41、43はそれらに共通の残りの幅にわたって図に示されていないゴム形材要素により分離されており、この形材要素の厚さは連結帯域の軸方向端部から最も小さい幅の作用層の端部まで増大している。前記形材要素は、有利には、この場合、カーカス補強体に半径方向に最も近い作用層である最も幅広い作用層41の端部を半径方向に覆うのに十分な幅を有している。
図3において、タイヤ1は、作用層43の幅に実質的に等しい幅の三角形化層と称せられる補強要素よりなる補足層45を備えているという点で図1に示されるタイヤと異なっている。この層45の補強要素は周方向とほぼ60°の角度を形成しており、そして作用層41の補強要素と同じ方向に配向されている。この層41によれば、特に、タイヤのクラウンの帯域における補強要素すべてが受ける横方向の圧縮応力を吸収することに寄与することが可能である。
図4において、タイヤ1は、周方向補強要素よりなる層が作用層41、43に対して半径方向に外側であり、従って軸方向に最も幅狭い作用層43に半径方向に隣接しているという点で図1に示されるタイヤと異なっている。
図5はトレッド8の軸方向外端部の表面に対する第1接線7が引かれているタイヤ1の子午線方向図であり、トレッドの表面は図に示されていないトレッドパターンの半径方向外面またはクラウンにより定められている。側壁部10の半径方向外端部の表面に対する第2接線9が点11のところで第1接線7と交差している。タイヤの外面に対して直角な投射が肩端部6を定めている。
かくして、トレッドの軸方向幅Lは2つの肩端部6間で測定されたものである。
また、図5は、タイヤのゴム混合物よりなる半径方向に最も内側の層14上への肩端部6の直角投射13の長さ12により定められる1つの肩端部6のところのクラウンブロックの厚さの測定値を示している。
また、図5は、周方向中央平面におけるトレッド8のクラウンに対する接線と、周方向中央平面におけるタイヤの半径方向に最も内側のゴム混合物14に対する接線との間の半径方向における距離15であると定められる、周方向中央平面におけるクラウンブロックの厚さの測定値を示している。
図1の表示に従って本発明により製造されたタイヤについて試験を行い、在来の構成を使用して製造された以外は同じである基準タイヤと比較した。
この在来のタイヤ、特に、補強要素が18°に等しい角度で配向され、トレッドが262mmに等しい幅を有する周方向補強要素よりなる中間層を作用クラウン層間に備えていない。
第1の耐久性試験は、同じ車両にタイヤの各々を嵌め、車両の各々に直線経路を辿らせることにより行ない、この種類の試験の速度を上げるために、タイヤを定格荷重より大きい荷重にさらした。
車両は、走行の開始時、1タイヤあたり4000kgの荷重と関連され、走行の終了時に4750kgの荷重に達するように変化した。
かくして行なわれた試験の結果、本発明によるタイヤが装着された車両は基準車両が及んだ距離より42%長い距離に及んだ。従って、本発明によるタイヤは、より高い荷重応力を受けても、基準タイヤより明らかに高い性能のものであるものと思われる。
タイヤに対する荷重および横滑り角を課する試験機械で他の耐久性試験を行なった。これらの試験は、本発明によるタイヤでは、基準タイヤに加えられるものと同じ荷重および横滑り角で行なった。
得られた結果は、本発明によるタイヤが及んだ距離が、基準タイヤが及んだ距離と比較して、40%より大きいと言うことを示した。
本発明の一実施形態によるタイヤの子午線方向概略図である。 本発明の第2実施形態によるタイヤの子午線方向概略図である。 本発明の第3実施形態によるタイヤの子午線方向概略図である。 本発明の第4実施形態によるタイヤの子午線方向概略図である。 肩端部の決定を示すタイヤの子午線方向概略図である。

Claims (17)

  1. 非伸張性の補強要素よりなる少なくとも2つの作用クラウン層で構成されたクラウン補強体を備えており、前記非伸張性の補強要素は、層同士で互いに交差されて周方向と10°と45°との間の角度を形成しており、クラウン補強体自身の上には、トレッドが半径方向に載置されており、前記トレッドが2つの側壁部によって2つのビードに接合されており、前記クラウン補強体が、作用クラウン層のうちの少なくとも1つのものより小さい軸方向幅の周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層を備えている、ラジアルカーカス補強体を有するタイヤにおいて、周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層の軸方向幅と、トレッドの軸方向幅との比は0.6より大きく、トレッドの軸方向幅と、タイヤの最大の軸方向幅との比は0.89より大きいことを特徴とするタイヤ。
  2. タイヤがその作動リムに取付けられてその定格圧力まで膨らませられたときのリム上のタイヤの高さH対タイヤの最大の軸方向幅Sの比である形状比H/Sは、タイヤがその作動リムに取付けられてその定格圧力まで膨らませられたときのリム上のタイヤの高さH対タイヤの最大の軸方向幅Sの比である形状比H/Sは0.50より大きいことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  3. 軸方向に最も幅広い作用クラウン層の軸方向幅と軸方向に最も小さい幅の作用クラウン層の軸方向幅との差は10mmと30mmとの間であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ。
  4. 軸方向に最も幅広い作用クラウン層は他の作用クラウン層の半径方向内側であることを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層は2つの作用クラウン層間に半径方向に配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
  6. 周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層の補強要素は、10GPaと120GPaとの間の0.7%伸び率における割線モジュラスと、150GPa未満の最大接線モジュラスとを有する金属補強要素であることを特徴とする請求項1ないし5のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. 0.7%伸び率における補強要素の割線モジュラスは100GPa未満であることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ。
  8. 補強要素の最大接線モジュラスは130GPa未満であることを特徴とする請求項6または7に記載のタイヤ。
  9. 周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層の補強要素は、低い伸び率の場合の浅い勾配、および高い伸び率の場合の実質的に一定の急な勾配を有する相対伸び率の関数としての引張応力の曲線を有する金属補強要素であることを特徴とする請求項1ないし8のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
  10. 周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層の補強要素は、最も短い長さのプライの周囲より短いが、前記周囲の0.1倍より長い長さの部分を形成するように切断された金属補強要素であり、前記部分間の切れ目は互いに軸方向にずれており、追加層の幅の単位あたりの引張弾性率は、同じ条件下で測定された最も伸張性の作用クラウン層の引張弾性率より小さいことを特徴とする請求項1ないし5のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
  11. 周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層の補強要素は起伏のある金属補強要素であり、起伏の振幅aと波長λとの比a/λは0.09以下であり、追加層の幅の単位あたりの引張弾性率は、同じ条件下で測定された最も伸張性の作用クラウン層の引張弾性率より小さいことを特徴とする請求項1ないし5のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
  12. 周方向補強要素よりなる少なくとも1つの層が2つの作用クラウン層間に半径方向に配置されているタイヤにおいて、周方向補強要素よりなる層に半径方向に隣接した作用クラウン層の軸方向幅は前記の周方向補強要素よりなる層の軸方向幅より大きいことを特徴とする請求項5ないし11のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
  13. 周方向補強要素よりなる層に隣接した作用クラウン層は、赤道平面の両側において、および周方向補強要素よりなる層のすぐの軸方向延長部において、軸方向幅にわたって連結されており、次いで前記2つの作用層に共通の幅の残部にわたってゴム混合物よりなる形材要素により分断されていることを特徴とする請求項12に記載のタイヤ。
  14. 周方向と作用クラウン層の補強要素とにより形成される角度は30°未満であることを特徴とする請求項1ないし13のうちのいずれかの項に記載のタイヤ。
  15. 作用クラウン層は、1つの層から他の層まで交差された周方向と軸方向に変化可能である角度を形成する補強要素を備えていることを特徴とする請求項1ないし14のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
  16. クラウン補強体は、10°と45°との間であって、半径方向に隣接した作用層の非伸張性の要素により形成される角度と同じ方向の角度で周方向に対して配向されている弾性補強要素と呼ばれるものよりなる保護層と称せられる少なくとも1つの補足層により半径方向外側で終っていることを特徴とする請求項1ないし15のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
  17. クラウン補強体は更に、周方向と60°より大きい角度を形成する金属補強要素で構成された三角形化層を備えていることを特徴とする請求項ないし16のうちのいずれか1項に記載のタイヤ。
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