JP4642638B2 - γ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーの製造方法 - Google Patents

γ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーの製造方法 Download PDF

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本発明は、γ−アミノ酪酸を含有する湿式コーンフラワーの製造方法およびその方法により得られる湿式コーンフラワーに関する。γ−アミノ酪酸を含有し、風味と物性が改善された湿式コーンフラワーを得ることができ、保健機能食品を含む多様な食品への用途拡大、さらには、需要の増大が期待できる湿式コーンフラワーに係る発明である。
以下の説明で、含量等を示す「%」は、特に断らない限り、「質量%」である。
近年、各種穀類を発芽させることによる、γ−アミノ酪酸を富化させた食品素材が提案されている(特許文献1〜3等参照)。γ−アミノ酪酸には精神安定作用、血圧降下作用、脳の代謝促進作用を有することが知られており、健康志向の面からγ−アミノ酪酸を豊富に含む食品素材が注目されている。
特許文献1には、トウモロコシ粒に水分(湿量基準)が15〜30%となるように緩慢な加水を行い、テンパリング後、乾式製粉することで、γ−アミノ酪酸を含有するコーンフラワーを製造する方法が提案されている。一般に、トウモロコシはドライミリング(乾式製粉(磨砕))により水を使わずに物理的に、皮と胚芽を除去しながら、粉砕してコーングリッツや(乾式)コーンフラワーとして一部の食品の原料として利用されている。
しかし、ドライミリングで調製するコーングリッツやコーンフラワーは、独特の穀物臭やエグ味、ざらつきがある。すなわち、特許文献1におけるコーンフラワーだと、γ−アミノ酪酸は含有するが、独特の穀物臭やエグ味を有する。また、菓子やケーキ類を焼成する際の膨化性が、小麦粉、米粉と比して劣る。これらの理由のため、ドライミリングのコーンフラワーは主材料又は副材料として使用できる食品が限られていた。
なお、特許文献2・3には、トウモロコシを含む穀類等を発芽させて、γ−アミノ酪酸を富化させる発明が記載されている。これらの特許文献は、本発明の新規性及び進歩性に影響を与えるものではない。
特開2005−52073号公報(要約等) 特開2005−13242号公報(要約等) 特開2003−159017号公報(要約等)
本発明は上記にかんがみて、γ−アミノ酪酸を含有し、独特の穀物臭、エグ味、及びざらついた食感などの欠点がなく、風味(適度なコーン風味)が改善された湿式コーンフラワーの製造方法を提供することを目的(課題)とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、トウモロコシを発芽させた後、温水浸漬を経たものを、粗砕後、胚芽と皮を除去し、硬質胚乳粗粒を除去する製法により得られた湿式コーンフラワーは、γ−アミノ酪酸を含有し、しかも、驚くべきことに、独特の穀物臭やエグ味、及びざらついた食感を大幅に除去できることを見出して、下記工程を含む湿式コーンフラワーの製造方法に想到した。
1)トウモロコシ粒を発芽させる発芽工程
2)上記1)の発芽後のトウモロコシ粒を該トウモロコシ粒中の澱粉が糊化しない条件で温水浸漬をする温水浸漬工程
3)上記2)の温水浸漬後のトウモロコシ粒を粗砕する粗砕工程
4)上記3)の粗砕物の、胚芽と皮を除去するとともに、50メッシュオンの硬質胚乳粗粒を除去する精製工程
さらに、上記4)の後に、湿式コーンフラワーを乾燥する乾燥工程を追加することもできる。
上記精製工程において、150メッシュオンの硬質胚乳粗粒を除去することがより好ましい。
また、温水浸漬の条件は、pH4〜8とし、かつ、温度:45〜70℃×時間:1〜50hとすることが、さらには、pH5〜7とし、かつ、温度:55〜65℃×時間:3〜30hとすることがそれぞれ好ましい。
また、発芽工程と温水浸漬を同時・連続的に行うことも可能である。
本発明の湿式コーンフラワーは、55℃温水に対する可溶成分量(以下「温水可溶成分量」という。)が7%(乾物量基準)以下(望ましくは5%以下)で、200g(乾物量基準)/Lの水溶液に染色液を数滴加えて攪拌調製した試料を、遠心分離法により中間分離層として分画される蛋白質結合澱粉の容量率(以下「蛋白質結合澱粉量」という。)が40〜100vol%(望ましくは50〜90vol%)である構成である。
上記において、温水可溶成分が所定値以上になると、食品原料として使用した場合、エグ味や穀物臭が残り易い。また、蛋白質結合澱粉量が過少であると、米菓での蒸練工程(α化)での過度の粘りや、バッター(batter)調製に際して、α化前のスラリー粘性不足などの不具合が発生して、穀粉(フラワー)の一般的な要求特性を満たし難い。
上記構成のコーンフラワーは、例えば、前記各構成の湿式コーンフラワーの製造方法により、容易に製造できる。
当該構成の湿式コーンフラワーは、温水可溶成分量が少ないため、エグ味や穀物臭の問題が発生し難い。また、蛋白質結合澱粉の残量が多いため、米菓等の製造に際して、糊化澱粉が粘着性を示さず、蒸練工程が容易となる。なお、本構成の湿式コーンフラワーは、例えば、前記各製造方法により容易に製造できる。
そして、上記特定の特性・組成を有する湿式コーンフラワーは、主原料又は副原料として含有させて、保健機能食品を含むあらゆる食品に、特に、米菓、ベーカリー食品、バッター粉に好適に使用可能である。
また、上記製造方法で得られた湿式コーンフラワーは、加水分解させて糖化製品、さらには、蛋白質の加水分解物も含む糖化製品として使用可能である。
発芽させたトウモロコシ粒の温水浸漬をしたものを粗砕して得られた粗砕物から、皮と胚芽を除去するとともに、硬質胚乳粗粒を除去する工程を経る本発明の方法で製造したγ−アミノ酪酸を含有する本発明の湿式コーンフラワーは、γ−アミノ酪酸を0.01%(乾物量基準)以上含有し、温水可溶成分が7%(乾物量基準)以下で、蛋白質結合澱粉の割合が40〜100%である新規な組成的特性を有する。
そして、同じく、後述の実施例でも示す如く、独特の穀物臭やエグ味および、ざらついた食感を大幅に除去でき、また、風味も良好で、さらには、よく膨化し、その他の食品調製の際に要求される物性も向上する。
また、工程が簡単で、アルカリ溶剤、有機溶剤、さらには特殊な酵素を使用しないため、上記物性が改善されたγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーを低コストで製造が可能となる。
当然、本発明の製造方法で得たγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーは、保健機能食品を含む多様な食品の主原料又は副原料としての用途拡大ないし需要増大が期待できる。
以下、本発明のγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーにおける製造方法の実施形態について具体的に説明する。
なお、特許請求の範囲及び明細書の下記説明における、数値限定は、特に臨界的意義はなく、発明を明瞭とするため、実用化可能な予測範囲について規定するものである。したがって、本発明の技術的範囲は、本発明の効果を奏する限り、当該数値範囲から外れる下限値・上限値近傍も含まれる。
本実施形態は、下記1)発芽工程、2)温水浸漬工程、3)粗砕工程、及び4)精製工程からなるものである。
1)発芽工程:トウモロコシ粒を発芽させ、γ−アミノ酪酸を富化させる工程。
発芽方法は、特に限定されず、トウモロコシが発芽するために十分な水分、及び、温度条件であればよく、加水方法は噴霧加水法、浸漬法等、特に限定されない。例えば、トウモロコシ粒の水分が15〜30%となるように加水調湿もしくは浸漬し、温度:常温(室温)〜45℃(さらには25〜35℃)×時間:1〜50h(さらには10〜40h)で発芽させることが望ましい。
このとき、トウモロコシの種類は特に限定されず、例えば、普通種、ワキシー種、ハイアミロース種、白色種、黄色種、デント種、フリント種など、種々のものを使用可能である。トウモロコシ粒は、夾雑物、ダストなどが精選により除去された穀粒を通常使用する。トウモロコシ粒には、発芽可能であれば、破砕物、皮を除去したものも含まれる。通常は、γ−アミノ酪酸を富化させる見地から皮を残したままとする。また、表面を蒸気などで殺菌した微生物汚染の少ないものが好ましい。
2)温水浸漬工程:上記(1)の発芽したトウモロコシ粒を、トウモロコシ粒中の澱粉が糊化しない条件で、温水浸漬をする工程。
この温水浸漬により、トウモロコシ粒の発芽を停止させ、γ−アミノ酪酸の減少を抑え、さらに、トウモロコシ独特のエグ味や穀物臭を除去する。ここで温水とは常温(室温)を超える温度を意味する。また、温水浸漬条件は、澱粉が糊化しない条件であれば特に限定されない。なお、トウモロコシの糊化開始温度は62.0〜72.0℃とされている(二国二郎監「澱粉科学ハンドブック」(1977)朝倉書店、p37表3.5)。この温水浸漬の条件は、生産性の見地から、pH約4〜8であって、温度:45〜70℃×時間:1〜50h、さらには生産性および糊化の確実阻止の見地から、pH5〜7であって、温度:55〜65℃×時間:3〜30hとすることが好ましい。
すなわち、pHが高すぎたり低すぎたりすると、苦味、収斂味、渋みなどの異味が生じ易い。ここでpH調整剤としては、塩酸、乳酸、水酸化カルシウム、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ等の酸性剤又は塩基性剤を好適に使用できる。また温度が低すぎると浸漬(トウモロコシ粒膨潤化)時間が長くなり、また、温度が高すぎると糊化しやすい。また本温水浸漬工程は、薬品を添加しないで行うことが好ましい。
3)粗砕工程:上記2)の温水浸漬後のトウモロコシ粒を粗砕する。粗砕は、胚芽を破砕しないような条件で行うのが好ましい。例えば、バウワーやエントレーター(円板回転型粉砕機)などにより行う。例えばエントレーターを使用する場合の回転数は、1000rpm前後とする。
4)精製工程:上記3)の粗砕物の、胚芽と皮を除去するとともに、硬質胚乳粗粒を除去する。
胚芽除去は、例えば、篩い分けや液体サイクロン、浮上分離で行う。また、皮の除去は、例えば、ベントシーブなどの篩い分けで行う。このときの篩い目は、通常、10〜40メッシュ、望ましくは20〜30メッシュとする。そして、硬質胚乳粗粒の除去は、ベントシーブや振動式平篩などの篩い分けで行う。除去する粒径は、50メッシュオン、100メッシュオン、さらには150メッシュオンとすることが好ましい。すなわち、篩い目を小さくした方が、硬質胚乳粗粒の除去率が高くなり、物性的には望ましいが、篩い目を小さくしすぎると、原料(トウモロコシ粒)に対する製品(コーンフラワー)の収率が低下するとともに、γ−アミノ酪酸の含有率が低下するおそれがある。
こうして得た比較的軟質の胚乳部分の細粒(胚乳細粒)は、蛋白質が組織として澱粉の周囲に残っているため、物性の良いものが得られる。他方、硬質胚乳粗粒には蛋白質が多いが、これを除去しているので、穀物臭やエグ味も大幅に低減される。なお、胚芽除去の後、第二粗砕を行うこともできる。これには、第一粗砕と同じ装置や衝撃式ミルなどを用いることができる。例えば、エントレーターを使用する場合の回転数は1500min-1(rpm)前後とする。また、胚芽、皮、硬質胚乳粗粒の除去は、同一工程(同一篩い分け装置)で連続的に行なってもよい。また、これらの除去された胚芽、皮、硬質胚乳粗粒は、ウェットミリングの浸漬工程又は各工程に導入、利用することができ、より経済的なものとすることができる。
上記4)の後に、湿式コーンフラワーを乾燥する乾燥工程を追加することもできる。また、発芽工程と温水浸漬工程を同時に行うことも可能である。さらに、スチームにて蒸煮するスチーム蒸煮工程を発芽工程の後に追加することもできる。
こうして製造した本発明のγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーは、γ−アミノ酪酸を豊富に含有し、適度なトウモロコシ風味を有し、独特の穀物臭やエグ味が大幅に除去されている。また浸漬中に薬品を使用しないため、薬品臭や収斂味もない。
したがって本発明のγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーは、保健機能食品を含む多様な食品の主原料又は副原料として使用することができる。
すなわち、従来の乾式コーンフラワー、小麦粉、米粉などの穀粉原料の一部又は全部の代わりに該γ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーを使用して、従来通りの製造方法により種々の食品を得ることができる。
さらには、小麦粉、米粉などの穀粉原料に、該γ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーを含有させた、種々の食品用ミックス粉を得ることができる。
このミックス粉により、従来の小麦粉や米粉を使用した食品と、同等の食感で、適度なトウモロコシ風味がある食品を容易に製造することができ、しかも、γ−アミノ酪酸を含有した食品が得られる。当然、γ−アミノ酪酸を含有しない湿式コーンフラワー(特願2005-159532:出願時未公開 )でも、ミックス粉としては遜色なく使用できる。
なお、特願2005−159532は、本願出願人と同一人に係る出願であり、下記工程を含むことを特徴とする湿式コーンフラワーの製造方法に係る発明であり、本発明とは異なる発明である。
「 1)トウモロコシ粒を、該トウモロコシ粒中の澱粉が糊化しない条件で温水浸漬する温水浸漬工程。
2)上記1)の温水浸漬後のトウモロコシ粒を粗砕する粗砕工程。
3)上記2)の粗砕物の、胚芽と皮を除去するとともに、50メッシュオンの硬質胚乳粗粒を除去し、さらに洗浄する精製工程。」
本発明のγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーを適用する食品は、限定されない。
好適な食品としては、例えば、味噌、酒類などの発酵食品、麺類、餅類、餡、菓子類、調味料などや、特に好適には、せんべい、米菓、膨化スナックや、天ぷら、コロッケ、トンカツ、から揚げなどフライ食品の衣材(バッター粉)などの膨化食品類、パン、ケーキなどのベーカリー製品が挙げられる。
また、本発明のγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーを原料として用い、含まれる澱粉を加水分解して、水飴などの糖化製品とすることができる。この糖化製品はγ−アミノ酪酸を含有し、独特の穀物臭やエグ味がなく、良好なトウモロコシ風味を有している。
糖化の方法は、従来の技術を利用して行うことができる。例えば、酸又は酵素で液化、糖化し、ろ過、濃縮する。さらにγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーに含まれる蛋白質をタンパク質分解酵素により可溶化、分解することにより、γ−アミノ酪酸以外に可溶性タンパク質、ペプチド、アミノ酸を多く含む糖化製品を得ることもできる。タンパク質分解酵素は、酸性、中性、アルカリ性のペプチダーゼ、プロテイナーゼなど種々のプロテアーゼを、単独又は組み合せて用いることができる。こうして得られる可溶性タンパク質などを多く含む糖化製品は、ビール、発泡酒などの醸造用原料や、保健機能食品等の主原料・副原料としても好適である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施例に限定されない。
なお、各実施例・比較例のコーンフラワーの各特性値は、下記方法により測定したものである。
1)温水可溶成分量:
乾物量換算200gの試料に、55℃の水1Lを加え、55℃で5時間連続攪拌(回転速度100rpm)し、ろ紙(5種A(JIS P 3801))でろ過し、得られたろ液と洗浄液を水で2Lにして試験液を調製した。該試料液から20mlを秤量缶にとり、105℃で5時間乾燥して、固形分量を求めた。該固形分量を乾物重量当たりの%値とした。
2)蛋白質結合澱粉量:
ボールミルで325メッシュパスに粉砕した試料200g(乾物量換算)に、水を加えて1Lとして、メチレンブルー染色液及びエオシン染色液をそれぞれ数滴加え、30℃で1時間連続攪拌(回転速度100min-1)後、50mLを目盛付き遠心管に採取し、15分間遠心分離(回転速度2000min-1)を行う。すると、上層に遊離蛋白質が、下層に遊離単独澱粉が、中間層に蛋白質結合澱粉がそれぞれ分離する。それぞれの容量を目視判断し、中間層結合澱粉の百分率を求めた。
3)γ−アミノ酪酸含有量:
自動アミノ酸分析機(日立製作所社製「L−8800」:商品名)により測定した。
(1)γ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーの製造
<実施例1>
1)浸漬槽にデント種トウモロコシ粒12kg、水10kgを均一に散布して吸水させ、30℃で20時間の条件で発芽させた。
2)上記発芽後のトウモロコシ粒を、浸漬槽のなかで30kgの温水を循環させながら、60℃、15時間温水浸漬した。このときのpHは6.3であった。
3)上記温水浸漬後のトウモロコシ粒を水切り後、エントレーター(円板回転型粉砕機)で粗砕した。
4)上記粗砕物を、振動式篩により、皮、胚芽ともに、50メッシュオンの硬質胚乳を除去後、棚式乾燥機で50℃、10時間乾燥して湿式コーンフラワー6kgを得た。
このもののγ−アミノ酪酸含有量は48mg/100gであった。また、温水可溶成分は、1.5%(乾物重量当たり)で、蛋白質結合澱粉の割合は75%であった。
<比較例1>
発芽後のトウモロコシ粒を温水浸漬をしなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、湿式コーンフラワー6kgを得た。このもののγ−アミノ酪酸含有量は52mg/100gであった。また、温水可溶成分は8.0%(乾物重量当たり)で、蛋白質結合澱粉の割合は95%であった
<比較例2>
トウモロコシ粒を発芽させなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、湿式コーンフラワー6kgを得た。このもののγ−アミノ酪酸含有量は6mg/100gであった。
<対照分析例>
ドライミリングのコーンフラワー(市販品)の温水可溶成分は、8.5%(乾物量基準)で、蛋白質結合澱粉の割合は98%であった。ウェットミリングにより調製したミルスターチ乳液の蛋白質結合澱粉の割合は0.5%であった。
<実施例2>
温水浸漬を、55℃、5時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、湿式コーンフラワー6kgを得た。このもののγ−アミノ酪酸含有量は48mg/100gであった。また、温水可溶成分は2.2%(乾物重量当たり)で、蛋白質結合澱粉の割合は78%であった。
<実施例3>
浸漬を、50℃、10時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、湿式コーンフラワー6kgを得た。このもののγ−アミノ酪酸含有量は48mg/100gであった。また、温水可溶成分は、2.8%(乾物重量当たり)で、蛋白質結合澱粉の割合は80%であった。
<実施例4>
粗砕物を、振動式篩により、皮、胚芽ともに、150メッシュオンの硬質胚乳を除去した以外は、実施例1と同様の操作を行い、湿式コーンフラワー5.6kgを得た。このもののγ−アミノ酪酸含有量は42mg/100gであった。また、温水可溶成分は、1.1%(乾物重量当たり)で、蛋白質結合澱粉の割合は55%であった。
(2)煎餅(せんべい)の製造
<応用実施例の煎餅>
実施例1、2および比較例1の各湿式コーンフラワー2kgに水1.6kgを加え、蒸練機で30分間加熱混練をし、65℃に冷却後、圧延・型抜きした。この生地を、10時間放置後、75℃で2時間熱風乾燥をした。平煎機により、230℃で焼き上げ、調味液をつけ、80℃で2時間熱風乾燥をし、煎餅を得た。これらの膨化度、官能特性を評価し、その結果を表1に示した。
<応用対照例の煎餅>
粳(うるち)米粉、ドライミリングコーンフラワーの各2kgを用いた以外は、実施例使用の煎餅の場合と同じ操作を行い、対照の煎餅を得た。
<評価方法>
これらの膨化度、官能特性を下記方法により評価した。
1)膨化度:生地の体積を1とし、焼き上げ後の煎餅の体積を比として表した。なお、体積は、ガラスビーズ(2mmφ)置換法で測定した。
2)官能試験:10人のパネルによる3段階評価の平均値とした。
エグ味、穀物臭の評点・・・ない:1、少しある:2、ある:3
風味の評価・・・・・・・・良い:1、普通:2、悪い:3
評価結果は、表1に示すごとく、本発明のγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーを使用した実施例煎餅は、ドライミリングコーンフラワーのものに比べ、それらの膨化度は高く、独特の穀物臭やエグ味を除去でき、良好なトウモロコシ風味であった。
Figure 0004642638
(3)スポンジケーキの製造
<応用実施例のスポンジケーキ>
実施例1・3および比較例1の湿式コーンフラワーの各々30gに小麦粉70gを混ぜてミックス粉とする。卵160gに砂糖20gを加え、湯せんにかけて泡立て、75℃に冷やした後、さらに泡立てる。これに各々のミックス粉をふるいながら加え、さらに溶かしたバター30gを加えて混ぜる。これを円筒形の型に入れ、オーブンで180℃、25分間焼いてスポンジケーキを得た。
<応用対照例のスポンジケーキ>
上記応用実施例において、湿式コーンフラワー30gを、小麦粉またはドライミリングコーンフラワー、各々30gとした以外は、上記と同じ操作を行い、スポンジケーキを得た。
<評価>
1)膨化度:生地の厚さを1とし、焼き上げ後のスポンジケーキの厚さを比として表した。
2)官能試験は、上記煎餅の場合の同様に行なった。
評価結果は、表2に示すごとく、本発明のγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワーを使用した実施例スポンジケーキは、比較例のドライミリングコーンフラワーのものに比べ、それらの膨化度は高く、独特の穀物臭やエグ味を大幅に除去でき、良好なトウモロコシ風味であった。
Figure 0004642638
(4)糖化製品の製造
実施例1のγ−アミノ酪酸含有湿式コーンフラワー1kgに水2.5kgを加え、スラリーとした。このpHは6.0であった。これに液化酵素(天野エンザイム、アミラーゼA)1gを加えて、攪拌しながら90℃まで徐々に昇温し、30分維持した。60℃に冷却した後、糖化酵素(天野エンザイム、ビオザイムM)2gを加えて60℃で24時間糖化した。このものをコットンフィルターでろ過し、Bx75%に濃縮して水飴を製造した。
この水飴は、独特の穀物臭やエグ味がほとんどなく、良好なトウモロコシ風味と蛋白質、アミノ酸による酷(こく)のある味であった。
本発明の湿式コーンフラワーの製造方法を示すブロック図である。

Claims (5)

  1. 下記工程を含むことを特徴とする湿式コーンフラワーの製造方法。
    1)トウモロコシ粒を発芽させてγ−アミノ酪酸を富化させる発芽工程。
    2)上記1)の発芽後のトウモロコシ粒を、該トウモロコシ粒中の澱粉が糊化しない条件で温水浸漬をする温水浸漬工程。
    3)上記2)の温水浸漬後のトウモロコシ粒を粗砕する粗砕工程。
    4)上記3)の粗砕物の、胚芽と皮を除去するとともに、50メッシュオンの硬質胚乳粗粒を除去する精製工程。
  2. 下記工程を含むことを特徴とする湿式コーンフラワーの製造方法。
    1)トウモロコシ粒を発芽させてγ−アミノ酪酸を富化させる発芽工程。
    2)上記1)の発芽後のトウモロコシ粒を、該トウモロコシ粒中の澱粉が糊化しない条件で温水浸漬をする温水浸漬工程。
    3)上記2)の温水浸漬後のトウモロコシ粒を粗砕する粗砕工程。
    4)上記3)の粗砕物の、胚芽と皮を除去するとともに、150メッシュオンの硬質胚乳粗粒を除去する精製工程。
  3. 発芽工程の条件が、トウモロコシ粒の水分が15〜30%となるように加水調湿もしくは浸漬し、温度:常温(室温)〜40℃×時間:2〜50hであることを特徴とする請求項1又は2記載の湿式コーンフラワーの製造方法。
  4. 前記温水浸漬の条件が、pH4〜8であって、温度:45〜70℃×時間:1〜50hであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の湿式コーンフラワーの製造方法。
  5. 前記温水浸漬の条件が、pH5〜7であって、温度:55〜65℃×時間:3〜30hであることを特徴とする請求項4記載の湿式コーンフラワーの製造方法。
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