JP4642256B2 - 医療用チューブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば痔核患者に対して軟膏などを投与する際に用いられる医療用チューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、医療の現場では、軟膏やクリーム状の薬剤を先端が細く形成されているチューブで投与することが行われている。例えば痔の治療において、手術をせずに経過観察しながら治療する保守的治療や、手術後に軟膏を投与する治療のいずれであっても、軟膏を肛門管に塗布する必要がある。このような場合、肛門管は肛門括約筋により閉まっていることから、先端の細いチューブを用いることが多い。このような医療用チューブとしては、例えば図5(a)に示すような使い捨てのプラスチック製のチューブ1が用いられる。チューブ1は、軟膏などの薬剤が装填されている主部1cと、肛門に挿入される挿入部1bとから構成される。挿入部1bの内側には主部1c内部と連通する細孔1eが形成され、細孔1eの先端は、軟膏が出される吐出口1dとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、チューブ1の挿入部1bは約5mm程度の直径を有するように細く形成されてはいるものの、その端部1aは、側方から見れば図5(b)に示すように角になっており、挿入時に方向性が定まらず患部をチューブの角で刺激し患者に疼痛を与えるという問題があった。
仮に、挿入部1bの先端を、挿入しやすいように円錐形や半球状に形成したとすると、吐出口1dの直径を細孔1eの径より小さくしなければならず、薬剤が出にくくなり塗布時の効率が悪くなる。
【0004】
本発明の課題は、患者が痛みをあまり感じることなく、効率よく薬剤を塗布することができる医療用チューブを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明は、例えば図1に示すように、液状またはクリーム状の薬剤を患部に塗布するための医療用チューブ(チューブ10)において、前記薬剤が収容される主部(11)と、筒状の挿入部(12)とを備え、前記挿入部の先端には、薬剤を吐出する主吐出口が設けられ、前記先端は主吐出口に向かって徐々に細くなる周面(12c)を有する山型形状に形成され、主吐出口の近傍の周面には、薬剤を吐出する副吐出口が主吐出口を挟むようにして設けられ、前記主吐出口と副吐出口は、前記周面の山型形状に沿うように形成された溝(14)又は切り込み(21c)のいずれかにより連続していることを特徴とする。
【0006】
本発明の医療用チューブによれば、痔の患者の肛門などに挿入しても、先端が主吐出口の向かって徐々に細くなるように形成されていることから、傷口や痔核などを直接刺激することが少なく挿入できる利点があり、患者はあまり痛みを感じない。また、主吐出口に向かって徐々に細くなるように形成されていることにより、主吐出口は従来よりも小さく形成せざるを得ない。しかし、本発明の医療用チューブでは、主吐出口のほかに副吐出口を設けたことから、主吐出口に加えて副吐出口からも薬剤が出るので、スムーズに薬剤が出され、効率よく薬剤を塗布することができる。
【0007】
本発明の医療用チューブにおいて、主吐出口と副吐出口は連続していてもよい。この場合、主吐出口と副吐出口は、直接連続していてもよいし、主吐出口と副吐出口との間に溝等が形成され、間接的に連続していてもよい。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医療用チューブにおいて、前記先端は、具体的には、略円錐形状、略半球状、略半楕円球状、または略凸形状に形成されていることを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、医療用チューブの先端は、略円錐形状、略半球状、略半楕円球状、または略凸形状に形成されているので、肛門管へスムーズに挿入できる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の医療用チューブにおいて、例えば図4に示すように、主吐出口及び副吐出口が形成される箇所(肉薄部51、52、52)は、それぞれ肉薄に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、主吐出口及び副吐出口が形成される箇所は、それぞれ肉薄に形成されているので、針状あるいは棒状の部材でつくことで容易に穴を形成することができる。また、使用時などに主吐出口・副吐出口を開けることになるので、チューブ全体を密閉した状態で保管しておくことができ、薬剤の酸化や劣化などを防ぐことができ、この点においても好適である。また、主吐出口や副吐出口を形成するために、内側に針などが設けられたキャップ状の特定の部材を作製し、これを利用するようにしてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の医療用チューブの一例としてのチューブ10を示した。チューブ10は、プラスチック製の使い捨て容器であり、痔の患者の肛門に軟膏を投与するためのもので、主部11と、細長い挿入部12とから構成される。
主部11は、袋状に形成され内部に軟膏が充填されるものである。
【0011】
挿入部12は、細長い円筒形状に形成され、主部11の内部に連続する細孔12aを有する。その外形の直径は、従来どおりの太さであり、例えば5mm程度である。
挿入部12の先端12bは、図1に示すように、裁頭円錐形に形成されており、中央に円形の主吐出口13aが形成されている。先端12を円錐形状に形成したことにより、主吐出口13aの直径は、前記細穴12aのそれよりも小さく形成されている。
さらに、先端12bの周面12cには、主吐出口13aを挟むようにして、副吐出口13b、13bが形成されている。副吐出口13b、13bは、主吐出口13aよりも一回り小さい。さらに、周面12cには、周面12cの山型形状に沿うように溝14が形成され、これにより主吐出口13a、副吐出口13b、13bが連続している。
また、図1(d)の断面図に示すように、主吐出口13a、副吐出口13b、13b、及び溝14は、前記細孔12aに連続している。
なお、先端12bは、図1(a)で仮想線で示したキャップ14で覆われるようになっている。
【0012】
以上のチューブ10によれば、患部に軟膏を塗布すべく、チューブ10の挿入部12を肛門管に挿入した際、先端12bが円錐形に形成され、少しずつ太くなることから、傷口や痔核などを刺激することが少なく、患者はあまり痛みを感じない。また、先端12bを円錐形に形成したことにより、主吐出口13aは、従来の吐出口よりも径が小さくなるが、副吐出口13b、13b及び溝14が形成され、これらが全て連通しているので、軟膏の出口面積は全体としては十分に確保されており、治療者が主部11を圧縮して軟膏を押し出した場合に、先端12bからスムーズに吐出され、軟膏は効率良く塗布される。
【0013】
<変形例>
本発明の医療用チューブは図1に示したものに限らず、挿入部12の先端の形状は、前記先端12bのような円錐形に限らず、半球状、半楕円球状などであってもよい。また、主吐出口と副吐出口の具体的な形状も図1に限定されない。
例えば、図2に示したものでもよい。図2の(A)〜(C)には、本発明に係る医療用チューブの挿入部の先端の変形例を示した。これらの図で示す医療用チューブは、主部を含めた全体の形状は図2に示すチューブ10と同様である。
図3(A)において示す挿入部20の先端21は、前記先端12b同様に裁頭円錐形に形成されている。中央部には図1の主吐出口13a同様に円形の主吐出口21aが形成されている。その両側に連続するように、周面21bに沿って紡錘形状の切り込み(副吐出口)21c、21cが形成されている。
【0014】
図2(B)で示す挿入部30の先端31は、半球状に形成されている。最端部には、前記主吐出口13a同様に円形の主吐出口31aが形成されている。また主吐出口31aを挟むように、2つの副吐出口31b、31bが形成されている。主吐出口31a及び副吐出口31b、31bは連続していない独立の吐出口であるが、図3の断面図に示すように、いずれも挿入部30内に形成されている細孔32に連通している。
【0015】
さらに、主吐出口と副吐出口が形の上で明確に分かれていなくてもよい。
図2(C)において示す挿入部40の先端41は、裁頭円錐形状に形成され、周面41bに沿ってスリット41aが形成されている。スリット41aは、中央部41cとその両側の側部41d、41dからなる。軟膏は、中央部41cを中心に押し出され、さらに側部41d、41dから出るようになる。従って、ここでは中央部41cが主吐出口であって、側部41d、41dが副吐出口となる。
図2(A)、(B)、(C)で示す各変形例によっても、チューブ10同様の作用効果を奏することができる。
【0016】
ところで、図1及び図2に示すチューブの先端に形成される主吐出口及び副吐出口は、チューブを形成する際に形成すればよい。
あるいは、図4に示すように、吐出口となる部分を薄く形成しておいてもよい。図4には本発明の医療用チューブの挿入部50を示した。ここで示す医療用チューブの全体形状は、図1(a)同様である。挿入部50の先端50aには、予め吐出口は形成されておらず、本発明の主吐出口、副吐出口となる部分が、それぞれ厚みが薄く形成された肉薄部51、52、52となっている。よって、軟膏を塗布する直前に、針状や棒状の部材で肉薄部51、52、52をついて、主吐出口・副吐出口を穿設すればよい。
さらに、主吐出口・副吐出口を穿設するための針状や棒状の部材として、専用の器具を設けてもよい。
【0017】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、医療用チューブ全体の大きさ、容量、主部の形状などは、具体的な用途や症状などに応じて適宜変更可能である。
また、主吐出口の周りに副吐出口が、1個あるいは3箇所以上形成されていてもよい。
また、本発明は、痔核患者の肛門から軟膏を投与するための医療用チューブに限らず、その他の傷ついたりただれや腫れを有する皮膚や粘膜などであって薬が投与しにくいような箇所、例えば、耳、鼻などの奥に薬を投与するチューブに適用することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、痔の患者の肛門などに挿入しても、先端が主吐出口の向かって徐々に細くなるように形成されていることから、傷口や痔核などを直接刺激することが少なく、患者はあまり痛みを感じない。
また、主吐出口に向かって徐々に細くなるように形成されていることにより、主吐出口は従来よりも小さく形成せざるを得ない。しかし、請求項1の医療用チューブでは、主吐出口のほかに副吐出口を設けたことから、主吐出口に加えて副吐出口からも薬剤が出るので、スムーズに薬剤が出され、効率よく薬剤を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用チューブの一例を示すもので、(a)は全体斜視図、(b)はチューブ先端の上から見た平面図、(c)は先端部分の斜視図、(d)は(b)のM−M線に沿った断面図である。
【図2】(A)、(B)及び(C)はそれぞれ本発明の医療用チューブの他の例を示すもので、(a)はチューブ先端部分の平面図、(b)は先端部分の斜視図である。
【図3】図2(B)の(a)におけるN−N線に沿った縦断面図である。
【図4】本発明の医療用チューブの他の例を示すもので、(a)は先端部分の平面図、(b)は先端部分の断面図である。
【図5】従来の医療用チューブを示す図である。
【符号の説明】
10 医療用チューブ
11 主部
12、20、30、40、50 挿入部
12b、21、31、41、50a 先端
13a、21a、31a、41c 主吐出口
13b、21c、31b、41d 副吐出口
14 溝
41a スリット
51、52、52 肉薄部
Claims (3)
- 液状またはクリーム状の薬剤を患部に塗布するための医療用チューブにおいて、
前記薬剤が収容される主部と、筒状の挿入部とを備え、
前記挿入部の先端には、薬剤を吐出する主吐出口が設けられ、
前記先端は主吐出口に向かって徐々に細くなる周面を有する山型形状に形成され、
主吐出口の近傍の周面には、薬剤を吐出する副吐出口が主吐出口を挟むようにして設けられ、
前記主吐出口と副吐出口は、前記周面の山型形状に沿うように形成された溝又は切り込みのいずれかにより連続していることを特徴とする医療用チューブ。 - 前記先端は、略円錐形状、略半球状、略半楕円球状、または略凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ。
- 主吐出口及び副吐出口が形成される箇所は、それぞれ肉薄に形成されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の医療用チューブ。
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2001
- 2001-03-08 JP JP2001065312A patent/JP4642256B2/ja not_active Expired - Fee Related
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