JP2009050543A - 処置具 - Google Patents

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Abstract

【課題】経鼻内視鏡検査の前処置においてゼリー状の麻酔剤を無駄に余らせることなく鼻道の手前から奥まで満遍なく且つ少ない手間で手軽に塗布できるようにすること。
【解決手段】処置具は、細長く先端の閉じた円筒の形状に形成された本体部10を有し、その本体部10の先端には、円錐状の尖端部11が突出形成されている。本体部10の側面における尖端部11より後端側に向かって所定の長さまでの部分には、内部に貫通する貫通孔12が複数形成されている。それら貫通孔12は、本体部10の軸の方向に沿って等間隔に一列に複数配置されており、更に、それら貫通孔12の列は、本体部10の周の方向において等間隔に複数本配置されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、経鼻内視鏡検査の前処置において利用される処置具に、関する。
周知のように、経鼻内視鏡は、細径の挿入部を有し、外鼻孔から消化器や呼吸器へ挿入できるようになっている。その挿入部は、施術時には、総鼻道をを経て咽頭へと挿入される。
内視鏡挿入部を鼻道に挿入する際、鼻粘膜組織がとても傷付き易い海綿体であるため、出血を抑える必要がある。また、鼻道の形状や大きさは、人によっても異なるし場所によっても異なるため、内視鏡挿入部が挿入できるよう拡張しておく必要がある。更に、挿入部の経鼻刺激により痛みが生ずることがあるため、その痛覚を事前に鈍くしておく必要がある。これらの理由から、施術の際、被検者の鼻腔には前処置が施される。その前処置は、基本的には、血管収縮剤の鼻腔内への噴霧と、鼻道の粘膜への麻酔剤の塗布とからなる(例えば、非特許文献1乃至4を参照)。
この前処置において、鼻道の粘膜には、ゼリー状の麻酔剤が塗布される場合があり、そのゼリー状の麻酔剤の塗布には、鼻道の内径に適した細径のネラトン型カテーテル(非特許文献5参照)が、流用されていることが多い。施術者は、まず、12Frサイズ程度のネラトンカテーテルにおける先端から所定の長さの部分に麻酔剤を薄く塗り、血管収縮剤塗布済の鼻道にゆっくり挿入し、1分程度留置する。続いて、施術者は、内視鏡挿入部とほぼ同じ幅である18Frサイズのネラトンカテーテルにて同じ鼻道に対し同じ処置を行い、その後、麻酔の効き具合とカテーテルの通り具合とを確認する。
ところで、麻酔剤を薄く塗ったネラトンカテーテルの先端部分を被検者の鼻道に挿入している最中に、カテーテルが外鼻孔や鼻甲介に当たって麻酔剤が拭い去られてしまい、鼻道の奥まで麻酔剤が行き渡らないことがある。このような場合、麻酔剤を入れたシリンジ(注射器)のノズルをネラトンカテーテルの後端部に接続し、そのネラトンカテーテルの先端部分を鼻道内に挿入して、シリンジのピストンを押し込んでネラトンカテーテルの先端部分に設けられている孔から麻酔剤を押し出せば、麻酔剤の塗布が済んでいない箇所に対し、麻酔剤を塗布することができる。
しかしながら、先端にのみ孔を有するネラトンカテーテルを用いて麻酔剤を鼻粘膜に塗布しようとすると、鼻道内を塞いでしまう程大量に麻酔剤を押し出さねばならないという問題がある。また、ネラトンカテーテルの中には、先端部分に側孔を有するものもあり(非特許文献6参照)、側孔から麻酔剤を押し出せば鼻道を塞ぐことなく鼻粘膜に麻酔剤を塗布できることとなる。しかし、この種のネラトンカテーテルは、側孔を1個しか有していないことが多く、鼻道内の所望箇所に麻酔剤を塗布するためには、ネラトンカテーテルの先端を回転させて麻酔剤を押し出すという作業を何度か行わねばならず、手間が掛かってしまうと言う問題もある。
また、ネラトンカテーテルの全長が鼻腔に比べて非常に長いため、シリンジにてゼリー状の麻酔剤を押し入れるのにかなり強い力が必要であり、また、処置後にネラトンカテーテル内に大量の麻酔剤が残ってしまう。そのため、施術者の中には、ネラトンカテーテルをその先端から所定の長さの箇所で切断して、先端部分のある方をスティック状の処置具として使用している者もいる(非特許文献2乃至4を参照)。しかし、このような使い方は、ネラトンカテーテル本来の使用方法ではない。
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本発明は、前述したような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、経鼻内視鏡検査の前処置においてゼリー状の麻酔剤を無駄に余らせることなく鼻道の手前から奥まで満遍なく且つ少ない手間で手軽に塗布できるようにすることにある。
上記の課題を解決するために案出された処置具は、被検者の鼻道に処置を施すために利用されるものであって、細長く先端の閉じた円筒の形状に形成された本体部を有し、その本体部の側面から内部に貫通する貫通孔が軸方向に沿って一列に複数形成され、それら貫通孔の列が周方向において等間隔に複数備えられていることを、特徴としている。
このように構成されると、本体部内にゼリー状の麻酔剤が押し入れられたときには、どの貫通孔からも満遍なく麻酔剤が押し出されることとなる。このため、本発明の処置具の本体部が被検者の鼻道に挿入されている状態で、麻酔剤を本体部の貫通孔から押し出せば、鼻道の手前から奥まで一度に塗布することができる。
なお、本発明の処置具が備える複数の貫通孔は、隣接する列上の貫通孔と軸方向において同じ位置にあっても良いが、軸方向においてずれていても良い。後者のように隣接する貫通孔同士が軸方向においてずれるよう配置されていると、鼻道内に対してより満遍なく麻酔剤を塗布することができる。
また、本発明の処置具の本体部の後端には、開口が形成されていても良いし、相対的に径の大きい円筒状の薬剤収容部が同軸且つ一体に形成されていても良い。前者のように後端に開口が形成されていれば、シリンジのノズルを接続してシリンジを使って麻酔剤を本体部内に押し入れることができる。また、後者のように薬剤収容部が本体部と一体に形成されていれば、この薬剤収容部を使って麻酔剤を本体部内に押し入れることができる。
以上に説明したように、本発明によれば、経鼻内視鏡検査の前処置においてゼリー状の麻酔剤を無駄に余らせることなく鼻道の手前から奥まで満遍なく且つ少ない手間で手軽に塗布できるようになる。
以下、添付図面に基づいて、本発明を実施するための最良の形態について、説明する。
実施形態1
図1は、第1の実施形態の処置具の側面図である。また、図2は、図1のA−A線に沿った断面図であり、図3は、図1のB−B線に沿った断面図である。
第1の実施形態の処置具は、細長く先端の閉じた円筒の形状に形成された本体部10からなり、その本体部10の先端には、円錐状の尖端部11が突出形成されている。なお、第1の実施形態では、本体部10の全長は、10cm乃至15cm程度で、外径は、12Frサイズ乃至18Frサイズ程度である。
また、本体部10の側面における尖端部11より後端側に向かって数cmの部分には、内部に貫通する貫通孔12が複数形成されている。それら貫通孔12は、本体部10の軸の方向に沿って等間隔に一列に複数配置されており、更に、それら貫通孔12の列は、本体部10の周の方向において等間隔に4本配置されている。更に、各貫通孔12は、隣接する列上の貫通孔12に対し、軸方向にずれており、特に、軸方向において最も端にある貫通孔12以外の全ての貫通孔12は、軸上に投影してみると、隣接列において互いに隣り合う一対の貫通孔の中間に、配置されている。
ところで、本体部10の内径は、一般的なシリンジ(注射器)のノズルより若干狭いものとなっている。このため、図4の斜視図に示すように、本体部10における尖端部11がある側とは反対側にある後端部13の開口14から、シリンジ20のノズル21を差し入れることにより、シリンジ20が接続できるようになっている。ここで、本体部10は、赤ゴム又はシリコンを素材として製造されているため、ノズル21を後端部13の開口14から本体部10に圧入したときに、その後端部13が若干拡張しつつそのノズル21に密着することとなる。なお、本体部10の内径及び外径は、図1乃至図3に示すように、先端から後端まで一定となっていても良いが、後端部13がテーパー状に広がっていても良い。後端部13がテーパー状に広がっていれば、本体部10の内径よりも太いノズル21も後端部13に差し入れることができる。
第1の実施形態の処置具が、以上のように構成されているため、施術者が、シリンジ20内にゼリー状の麻酔剤を入れ、そのシリンジ20のノズル21を本体部10の開口14から差し入れて後端部13に接続し、ピストン22を押し込んで本体部10内に麻酔剤を押し入れると、どの貫通孔12からも麻酔剤が押し出されることとなる。このため、第1の実施形態の処置具の本体部10が、図5の使用状態図に示すように、被検者の鼻道に挿入されている状態で、麻酔剤を本体部10の各貫通孔12から押し出せば、鼻道の手前から奥まで一度に塗布することができる。而も、ネラトンカテーテルを流用せずともよくなるため、押し出しに強い力を使わなくて済み、また、ネラトンカテーテル内に麻酔剤を大量に残留させてしまうこともなくなる。
実施形態2
図6は、第2の実施形態の処置具の斜視図である。
第2の実施形態の処置具は、図6と図1と比較して明らかなように、第1の実施形態の本体部10に、それより径の大きい円筒状の薬剤収容部15を追加したものとなっている。第2の実施形態では、薬剤収容部15は、本体部10の後端部13に対し、同軸且つ一体に形成されている。従って、薬剤収容部15は、本体部10と同じ材質となっている。
また、薬剤収容部15は、本体部10がある側とは反対側の開口に、蓋16が取り付けられている。この蓋16は、図7の部分断面図に示すように、薬剤収容部15に対し、着脱自在となっており、この蓋16が薬剤収容部15に取り付けられた状態では、薬剤収容部15内が、本体部10に通ずる部分を除き、密閉されているとともに、薬剤収容部15の蓋16側の内面と蓋16の本体部10側の面とが、平坦面として一体になっている。
更に、薬剤収容部15には、目盛り17が刻まれている。この目盛り17は、蓋16が取り付けられたときに薬剤収容部16内の蓋16側にできる平坦面を、ゼロ基準としている。
第2の実施形態の処置具が、以上のように構成されているため、施術者が、薬剤収容部15内にゼリー状の麻酔剤を入れ、その薬剤収容部15を押し潰して本体部10内に麻酔剤を押し入れると、どの貫通孔12からも麻酔剤が押し出されることとなる。このため、第2の実施形態の処置具の本体部10が、被検者の鼻道に挿入されている状態で、麻酔剤を本体部10の各貫通孔12から押し出せば、鼻道の手前から奥まで一度に塗布することができる。而も、ネラトンカテーテルを流用せずともよくなるため、押し出しに強い力を使わなくて済み、また、ネラトンカテーテル内に麻酔剤を大量に残留させてしまうこともなくなる。
また、第2の実施形態の処置具は、薬剤収容部15を備えているため、シリンジ20を用意する必要がない。また、薬剤収容部15には、目盛り17が刻まれているため、施術者が、ゼリー状の麻酔剤をどの程度鼻道に塗布したかを、把握することができる。これにより、施術者は、被検者の鼻道に施す麻酔剤が適量となるよう調節することができる。
なお、第2の実施形態の処置具は、薬剤収容部15に入れられた麻酔剤の量を目盛り17を使って視認できるようにするため、赤ゴム製であるよりも、半透明のシリコン製であることが好ましい。
第1の実施形態の処置具の側面図 図1のA−A線に沿った断面図 図1のB−B線に沿った断面図 処置具とシリンジの斜視図 処置具の使用状態図 第2の実施形態の処置具の斜視図 処置具の部分断面図
符号の説明
10 本体部
11 尖端部
12 貫通孔
13 後端部
14 開口
15 薬剤収容部
16 蓋
17 目盛り
20 シリンジ
21 ノズル
22 ピストン

Claims (8)

  1. 被検者の鼻道に処置を施すために利用される処置具であって、
    細長く先端の閉じた円筒の形状に形成された本体部を有し、
    前記本体部の側面から内部に貫通する貫通孔が軸方向に沿って一列に複数形成され、
    前記貫通孔の列が周方向において等間隔に複数備えられている
    ことを特徴とする処置具。
  2. 前記各貫通孔は、隣接する列上の貫通孔に対し、軸方向にずれている
    ことを特徴とする請求項1記載の処置具。
  3. 前記各列上において各貫通孔は等間隔に並んでいる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の処置具。
  4. 前記列を4本備える
    ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の処置具。
  5. 前記本体部の先端が円錐状に突出している
    ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の処置具。
  6. 前記本体部の後端に、相対的に径の大きい円筒状の薬剤収容部が、同軸且つ一体に形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の処置具。
  7. 前記薬剤収容部における前記本体部がある側とは反対側の開口に、着脱自在に蓋が取り付けられている
    ことを特徴とする請求項6記載の処置具。
  8. 前記薬剤収容部に目盛りが刻まれている
    ことを特徴とする請求項6又は7記載の処置具。
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