JP4642224B2 - 移動通信システムにおける通信方法および移動局 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにおける通信方法、特に移動通信システムにおいて、移動局間直接通信を行なう場合に、品質のよい通信を確保するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
移動通信システムにおいては、一定の周波数帯域が通信用に割り当てられており、その周波数帯域の中に異なる複数のキャリア周波数が設定されている。そして、移動局は、それらのキャリア周波数を用いてサービスエリア内に設定された基地局との間で回線を設定して双方向に通信(基地局通信)を行なう。
【0003】
図8は移動通信システムの一般的な例の概略構成を示すブロック図である。図8において、1は基地局、2a、2b、2cは基地局1のゾーン内に存在する移動局、3は基地局1のサービスエリアを構成するゾーンである。
【0004】
そして、基地局通信を行なう場合と、移動局間直接通信を行なう場合とで使用するキャリア周波数の周波数帯域を分けることでキャリア周波数の隣接を防止し、信号の干渉を防止することことにより、基地局通信および移動局間直接通信のいずれにおいても品質のよい通信を確保しようという提案がなされている。
【0005】
このような基地局通信を行なう場合と、移動局間直接通信を行なう場合とで使用するキャリア周波数の周波数帯域を分けた移動通信システムの従来例を図9に示す。個接続制御に使用される制御チャネルはこの中で予め定められている。図9は上記従来の移動通信システムにおいて、基地局通信用のキャリア周波数および移動局間直接通信用のキャリア周波数の割り当てを示す図である。この移動通信システムにおいては、基地局通信下り帯域(移動局受信帯域)としてf1〜fnが設定され、基地局通信上り帯域(基地局受信帯域)としてF1〜Fnが設定されている。また、移動局間直接通信帯域としてf’1〜f’mが設定されている。これらの帯域のうち、基地局通信下り帯域f1〜fnと移動局間直接通信帯域f’1〜f’mは隣接する別帯域に区別されており、基地局通信を行なう場合は基地局通信下り帯域f1〜fnと基地局通信上り帯域F1〜Fnからキャリア周波数が選択される。他方、移動局間直接通信を行なう場合は移動局間直接通信帯域f’1〜f’mからキャリア周波数が選択される。そして、この移動通信システムにおいて基地局通信を行なうときは、一般の移動通信システムにおける基地局通信と同様な手順により通信動作が行なわれる。
【0006】
次に、移動局間直接通信動作について説明する。図10は図8に示された移動局2aと2bとの間で実行される従来例における移動局間直接通信動作を説明するフロー図である。この従来例における移動局間直接通信は、移動局2aと移動局2bとの間で実行される個別移動局間直接通信である。この移動局間直接通信が開始されると、発呼局となる移動局(2aとする)の制御手段は、処理ステップ(以下、単にステップという)ST61において候補チャネルを移動局間直接通信帯域に含まれるキャリア周波数f’1〜f’mの中から選択する。次に制御手段は、候補チャネルのキャリア検知を行ない(ステップST62)、この処理が終了すると、発呼信号を移動局2aから移動局2bへ送出するとともに(ステップST63)、相手側の移動局2bからの応答を待つ(ステップST64)。上記発呼動作においては、上記ステップST61からステップST62にかけて実行処理されたキャリア検知によって選択された通話チャネル(例えばキャリア周波数f’i)が指定される。
【0007】
移動局2aからの発呼を受けた移動局2b(着呼局)においては、まず候補チャネルを移動局間直接通信帯域に含まれるキャリア周波数f’1〜f’mの中から選択する(ステップST65)。次に移動局2bの制御手段は、候補チャネルのキャリア検知を行ない(ステップST66)、この処理が終了すると、着呼信号(ACK)を移動局2bから移動局2aへ送出する(ステップST67)。
【0008】
一方、移動局2aにおいては、移動局2bからのACKを受信したか否かをチェックし(ステップST68)、受信していれば通信動作が行なわれる(ステップST69)。他方、ステップST68においてACKを受信していなければ応答待ち時間が一定時間経過したか否かをチェックし(ステップST70)、一定時間経過していなければステップST68のチェック動作に移行する一方、応答待ち時間が一定時間経過していれば話中の信号音を発生する(ステップST71)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような基地局通信を行なう場合と、移動局間直接通信を行なう場合とで使用するキャリア周波数の周波数帯域を分ける方式の移動通信システムを採用しても、移動局間直接通信を行なう場合に通話チャネルのキャリア周波数として基地局通信用の周波数帯域との境界に隣接する周波数(上記の場合はf’1)をキャリア周波数として使用する場合に基地局通信との間でキャリア周波数の干渉を生じる虞があり、キャリア周波数間で干渉が起きやすく通信品質が低下するという不具合がある。
【0010】
本発明の目的は、基地局通信と移動局間直接通信とを別の周波数帯域で通信させるようにした上で、さらに移動局間直接通信で基地局通信用の周波数帯域との境界に隣接する周波数をキャリア周波数として使用する場合における隣接チャネルからの漏洩電力による妨害を防止することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基地局と、複数の移動局により構成されている移動通信システムにおいて、基地局を経由する移動局間通信(基地局通信)の場合と、移動局間で直接通信する(移動局間直接通信)場合とで、キャリア周波数の周波数帯域が隣接する別帯域に割り当てられている通信方法であって、基地局通信を行なう場合、基地局および移動局は、基地局通信用の周波数帯域内の所定の周波数をキャリア周波数として使用し、また、移動局間直接通信で移動局が基地局通信用の周波数帯域との境界に隣接する周波数をキャリア周波数として使用する場合は、当該移動局は前記使用するキャリア周波数に隣接する周波数に対応する基地局から当該移動局への下りのキャリア周波数の受信レベルを検出し、当該下りのキャリア周波数の受信レベルに応じて当該移動局から送信するキャリア信号のレベルを小さくすることを特徴とするものであり、基地局の誤動作を防止し、また信号の干渉を防止することができるという作用を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本発明の第1の実施の形態として用いられる移動通信システムは図8に示されたものと同じである。すなわちこの移動通信システムは、基地局1と、基地局1のゾーン内に存在する移動局2a、2b、2cと、基地局1のサービスエリアを構成するゾーン3とから構成されている。
【0016】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る移動通信システムにおいて用いられる移動局2a、2b、2c(ここでは説明の都合上、移動局2aを代表させる)の構成を示すブロック図である。移動局2aにおいて、22は他の局1からの電波を受信する無線受信回路、23は発呼データが正常なものかどうかを判別する受信データ解析手段、24はデータ送信のためのデータを生成する送信データ生成手段、25は送信データを無線送信する無線送信回路、26は送信データを無線送信しまた受信データを無線受信する手段としてのアンテナ、27は受信データから音声信号を取り出すための音声復号化手段、28は音声を出力するスピーカ、29は音声信号を出力する音声符号化手段、30は音声を音声信号に変換するためのマイク、31は制御チャネル情報を記憶する制御チャネル記憶手段、32は基地局1から送信される制御チャネル信号のレベルを検出する受信レベル検出手段、33は各種の入力を行なう操作部、34は移動局2aの無線通信動作の制御や記憶制御等を行なう制御手段である。
【0017】
次に上記実施の形態の動作について説明する。この移動通信システムにおいて、基地局通信用のキャリア周波数および移動局間直接通信用のキャリア周波数は、例えば図2に示すように割り当てられている。すなわち、基地局通信上り帯域(移動局送信帯域)としてf1〜fnが割り当てられ、基地局通信下り帯域(基地局送信帯域)としてF1〜Fnが割り当てられている。また、移動局間直接通信帯域としてf’1〜f’mが割り当てられている。これらの帯域のうち、基地局通信上り帯域f1〜fnと移動局間直接通信帯域f’1〜f’mは隣接する別帯域に区別されており、基地局通信を行なう場合は基地局通信上り帯域f1〜fnと基地局通信下り帯域F1〜Fnからキャリア周波数が割り当てられる。他方、移動局間直接通信を行なう場合は移動局間直接通信帯域f’1〜f’mからキャリア周波数が選択される。また、この実施の形態においては、基地局1からの下り回線は全スロット常時送信をしているものとする。そして、この移動通信システムにおいて基地局通信を行なうときは、一般の移動通信システムにおける基地局通信と同様な手順により通信動作が行なわれる。
【0018】
次に、移動局間直接通信動作について説明する。図3は図1に示された移動局2aと2bとの間で実行される移動局間直接通信動作を説明するフロー図である。この実施の形態における移動局間直接通信は、移動局2aと2bとの間で実行される個別移動局間直接通信である。この移動局間直接通信が開始されると、発呼局となる移動局(2aとする)の制御手段34は、処理ステップ(以下、単にステップという)ST1において候補チャネルを移動局間直接通信帯域に含まれるキャリア周波数f’1〜f’mの中から選択する。次に制御手段34は、候補チャネルのキャリア検知を行ない(ステップST2)、次いでキャリア検知を行なった候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであるか否か、すなわち候補チャネルのキャリア周波数がf’1であるか否かをチェックする(ステップST3)。
【0019】
このチェック処理において候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであると判断された場合は、基地局下り帯域の隣接チャネルのキャリア検知を行なう(ステップST4)。この下り帯域の隣接チャネルのキャリア検知においては、候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであるから、図2において、このチャネルのキャリア周波数はf’1であり、このキャリア周波数f’1に隣接する基地局上り帯域の隣接チャネルのキャリア周波数はfnである。そして、基地局上りのキャリア周波数fnに対応する基地局1の下り帯域のキャリア周波数はFnである。したがって、このステップST4におけるキャリア検知においては、受信レベル検出手段32によってキャリア周波数Fnの受信レベルが検出される。
【0020】
次に制御手段34は、上記検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きいか否かをチェックし(ステップST5)、しきい値よりも大きい場合は基地局上り回線に妨害を与えないための制御量Aを算出し設定する(ステップST6)。この制御量Aの算出設定は次のようにして行なう。隣接チャネルのキャリア検知の結果、その受信レベルがRcv0〔dBμ〕であった場合、以下に示す式にしたがって送信出力制御を行なう。
である。
【0021】
次に、上記制御量Aの算出設定に引き続いて上記送信出力制御量Aが所定の制御量Bよりも大きいか否かをチェックする(ステップST7)。そして、送信出力制御量Aが所定の制御量Bよりも大きい場合は話中の信号音を発生する(ステップST8)。他方、ステップST7において、送信出力制御量Aが所定の制御量B以下であった場合は発呼信号を移動局2aから移動局2bへ送出するとともに(ステップST9)、相手側の移動局2bからの応答を待つ(ステップST10)。この発呼動作においては、上記ステップST1からステップST6にかけて実行処理されたキャリア検知および受信レベル検出によって選択された通話チャネル(キャリア周波数f’1)が指定される。
【0022】
なお、ステップST3におけるチェック処理において、候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルでないと判断された場合は、キャリア周波数の干渉は起こりにくいので直接ステップST9に移行して発呼動作が行なわれる。また、ステップST5におけるチェック処理において、検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きくないと判断された場合もまた、キャリア周波数の干渉は起こりにくいので直接ステップST9に移行して発呼動作が行なわれる。すなわち、ステップST5におけるチェック処理において、検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きい状態で移動局間直接通信を行なうと、その信号は隣接チャネルで基地局通信を行なっている他の通信を妨害する可能性があるため、移動局2aからの送信出力を下げる必要があるのである。
【0023】
移動局2aからの発呼を受けた移動局2b(着呼局)においては、まず発呼信号に含まれる指定された通話チャネルを選択する(ステップST11)。次に移動局2bの制御手段34は、通話チャネルのキャリア検知を行ない(ステップST12)、次いでキャリア検知を行なった通話チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであるか否か、すなわち通話チャネルのキャリア周波数がf’1であるか否かをチェックする(ステップST13)。
【0024】
このチェック処理において候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであると判断された場合は、基地局下り帯域の隣接チャネルのキャリア検知を行なう(ステップST14)。この下り帯域の隣接チャネルのキャリア検知においては、候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであるから、図2において、このチャネルのキャリア周波数はf’1であり、このキャリア周波数f’1に隣接する基地局上り帯域の隣接チャネルのキャリア周波数はfnである。そして、基地局上りのキャリア周波数fnに対応する基地局1の下り帯域のキャリア周波数はFnである。したがって、このステップST14におけるキャリア検知においては、受信レベル検出手段32によってキャリア周波数Fnの受信レベルが検出される。
【0025】
次に制御手段34は、上記検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きいか否かをチェックし(ステップST15)、しきい値よりも大きい場合は基地局上り回線に妨害を与えないための制御量Aを算出し設定する(ステップST16)とともに、それに引き続いて上記送信出力制御量Aが所定の制御量Bよりも大きいか否かをチェックする(ステップST17)。そして、送信出力制御量Aが所定の制御量Bよりも大きい場合はNACKの信号を移動局2aへ送出する。他方、ステップST17において、送信出力制御量Aが所定の制御量B以下であった場合は着呼信号(ACK)を移動局2bから移動局2aへ送出する(ステップST18)。この着呼動作においては、上記ステップST11からステップST16にかけて実行処理されたキャリア検知および受信レベル検出によって選択された通話チャネル(キャリア周波数f’1)が指定される。
【0026】
なお、ステップST13におけるチェック処理において、通話チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルでないと判断された場合は、キャリア周波数の干渉は起こりにくいので直接ステップST18に移行して着呼動作が行なわれる。また、ステップST15におけるチェック処理において、検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きくないと判断された場合もまた、キャリア周波数の干渉は起こりにくいので直接ステップST18に移行して着呼動作が行なわれる。すなわち、ステップST15におけるチェック処理において、検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きい状態で移動局間直接通信の着呼動作を行なうと、その移動局2bから発信された着呼信号は隣接チャネルで基地局通信を行なっている他の通信を妨害する可能性があるため、移動局2bからの着呼信号の送信出力を下げる必要があるのである。
【0027】
移動局2bがステップST11〜ステップST18の処理を実行している間、移動局2aは、先にステップST10で説明したように応答待ちの状態にある。そして、移動局2bからの着呼信号を受信するまでは移動局2aにおいては、移動局2bからの応答があるか否かをチェックする(ステップST19)。そして、このチェック処理において応答があったと判断された場合は、着呼信号がACKであるか、それともNACKであるかをチェックし(ステップST20)、NACKである場合は話中の信号音を発生する(ステップST8)。他方、ステップST20においてACKであると判断された場合は通信動作が行なわれる(ステップST21)。また、ステップST19における応答があるか否かのチェックで応答が無い場合は、次に操作開始から一定時間が経過したか否かをチェックし(ステップST22)、一定時間が経過していなければ再度ステップST19に戻って応答待ちのチェック動作を行なう一方、一定時間が経過していた場合は移動局2bから応答がなかったとして話中の信号音を発生する(ステップST8)。
【0028】
(実施の形態2)
図4は本発明の第2の実施の形態に係る移動通信システムの概略構成を示すブロック図である。この図においても図8と同様のシステム構成を有しており、図8と相違する点は、移動局2bの代わりに移動局2b−1、2b−2、2b−3(すなわち移動局2bのグループ)が設置されている点である。このような態様により、移動局間直接通信動作においてはグループ通信を行なうことができる。
以下、第2の実施の形態における移動局間直接通信動作について説明する。図5は図4に示された移動局2aと、移動局2bのグループとの間で実行される移動局間直接通信動作(グループ通信動作)を説明するフロー図である。
【0029】
この移動局間直接通信が開始されると、発呼局となる移動局2aの制御手段34はステップST31において候補チャネルを移動局間直接通信帯域に含まれるキャリア周波数f’1〜f’mの中から選択する。次に制御手段34は、候補チャネルのキャリア検知を行ない(ステップST32)、次いで候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであるか否か、すなわち候補チャネルのキャリア周波数がf’1であるか否かをチェックする(ステップST33)。
【0030】
このチェック処理において候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであると判断された場合は、基地局下り帯域の隣接チャネルのキャリア検知を行なう(ステップST34)。この下り帯域の隣接チャネルのキャリア検知においては、候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであるから、図2において、このチャネルのキャリア周波数はf’1であり、このキャリア周波数f’1に隣接する基地局上り帯域の隣接チャネルのキャリア周波数はfnである。そして、基地局上りのキャリア周波数fnに対応する基地局1の下り帯域のキャリア周波数はFnである。したがって、このステップST34におけるキャリア検知においては、受信レベル検出手段32によってキャリア周波数Fnの受信レベルが検出される。
【0031】
次に制御手段34は、上記検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きいか否かをチェックし(ステップST35)、しきい値よりも大きい場合は基地局上り回線に妨害を与えないための制御量Aを算出し設定する(ステップST36)。この制御量Aの算出設定は次のようにして行なう。隣接チャネルのキャリア検知の結果、その受信レベルがRcv0〔dBμ〕であった場合、以下に示す式にしたがって送信出力制御を行なう。
である。
【0032】
次に、上記制御量Aの算出設定に引き続いて上記送信出力制御量Aが所定の制御量Bよりも大きいか否かをチェックする(ステップST37)。そして、送信出力制御量Aが所定の制御量Bよりも大きい場合は話中の信号音を発生する(ステップST38)。他方、ステップST37において、送信出力制御量Aが所定の制御量B以下であった場合は発呼信号を移動局2aから移動局2bのグループへ送出する(ステップST39)とともに一定時間経過後通信動作に入る(ステップST40)。この発呼動作においては、上記ステップST31からステップST36にかけて実行処理されたキャリア検知および受信レベル検出によって選択された通話チャネル(キャリア周波数f’1)が指定される。
【0033】
なお、ステップST33におけるチェック処理において、候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルでないと判断された場合は、キャリア周波数の干渉は起こりにくいので直接ステップST39に移行して発呼動作が行なわれる。また、ステップST35におけるチェック処理において、検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きくないと判断された場合もまた、キャリア周波数の干渉は起こりにくいので直接ステップST39に移行して発呼動作が行なわれる。すなわち、ステップST35におけるチェック処理において、検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きい状態で移動局間直接通信の動作を行なうと、その信号は隣接チャネルで基地局通信を行なっている他の通信を妨害する可能性があるため、移動局2aからの送信出力を下げる必要があるのである。
【0034】
移動局2aからの発呼を受けた移動局2bのグループ(着呼局)においては、グループを構成する複数の移動局2b−1、2b−2、2b−3のうちいずれか1つ(移動局2b−1で代表させる)が代表して移動局2aからの発呼信号を受ける。すなわち、移動局2aからの発呼信号を受信した移動局2b−1(着呼局)においては、まず発呼信号に含まれる指定された通話チャネルを選択する(ステップST51)。次に移動局2b−1の制御手段34は、通話チャネルのキャリア検知を行ない(ステップST52)、次いでキャリア検知を行なった通話チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであるか否か、すなわち通話チャネルのキャリア周波数がf’1であるか否かをチェックする(ステップST53)。
【0035】
このチェック処理において候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであると判断された場合は、基地局下り帯域の隣接チャネルのキャリア検知を行なう(ステップST54)。この下り帯域の隣接チャネルのキャリア検知においては、候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルであるから、図2において、このチャネルのキャリア周波数はf’1であり、このキャリア周波数f’1に隣接する基地局上り帯域の隣接チャネルのキャリア周波数はfnである。そして、基地局上りのキャリア周波数fnに対応する基地局1の下り帯域のキャリア周波数はFnである。したがって、このステップST54におけるキャリア検知においては、受信レベル検出手段32によってキャリア周波数Fnの受信レベルが検出される。
【0036】
次に制御手段34は、上記検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きいか否かをチェックし(ステップST55)、しきい値よりも大きい場合は基地局上り回線に妨害を与えないための制御量Aを算出し設定する(ステップST56)とともに、それに引き続いて上記送信出力制御量Aが所定の制御量Bよりも大きいか否かをチェックする(ステップST57)。そして、送信出力制御量Aが所定の制御量Bよりも大きい場合は直接話中動作が行なわれる(ステップST58)。他方、ステップST57において、送信出力制御量Aが所定の制御量B以下であった場合は直接通信動作が行なわれる(ステップST59)。この通信動作においては、上記ステップST51からステップST56にかけて実行処理されたキャリア検知および受信レベル検出によって選択された通話チャネル(キャリア周波数f’1)が指定される。
【0037】
なお、ステップST53におけるチェック処理において、チャネルが基地局1の上り帯域に隣接するチャネルでないと判断された場合は、キャリア周波数の干渉は起こりにくいので直接通信動作が行なわれる(ステップST59)。また、ステップST55におけるチェック処理において、検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きくないと判断された場合もまた、キャリア周波数の干渉は起こりにくいので直接通信動作が行なわれる(ステップST59)。すなわち、ステップST55におけるチェック処理において、検出した受信レベルが所定のしきい値よりも大きい状態で移動局間直接通信の着呼動作を行なうと、その移動局2b−1から発信された着呼信号は隣接チャネルで基地局通信を行なっている他の通信を妨害する可能性があるため、移動局2b−1からの着呼信号の送信出力を下げる必要があるのである。
【0038】
(実施の形態3)
図6は本発明の第3の実施の形態に係る移動通信システムにおいて、基地局通信用のキャリア周波数および移動局間直接通信用のキャリア周波数の割り当て状況を説明する図である。このキャリア割当図は、基本的には図2に示すものと同じである。上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、基地局と、複数の移動局により構成されている移動通信システムにおいて、基地局通信の場合と、移動局間直接通信の場合とで、キャリア周波数の周波数帯域を隣接する別帯域に区別し、且つ基地局通信では基地局通信上り、下り帯域(移動局送信、受信帯域)としてf1〜fn、F1〜Fnが使用され、また、移動局間直接通信では移動局間直接通信帯域f’1〜f’mが使用される場合について説明されてきた。
【0039】
この第3の実施の形態においては、キャリア周波数の周波数帯域を隣接する別帯域に区別した構成の下で、移動局間直接通信を行なう際に基地局通信上り帯域f1〜fn内の所定のチャネルを使用する例を提案するものである。そして、本実施の形態においては、移動局間直接通信を行なう動作は、図3に示すフロー図(個別通信)、図5に示すフロー図(グループ通信)にしたがって通信動作が処理実行される。但し図3におけるステップST1からステップST2にかけての候補チャネルの選択動作に当たっては基地局通信上り帯域f1〜fnの中から所定のチャネル(例えばfi)が選択される。そして、この場合においても、図3におけるステップST3からステップST7にかけての隣接チャネルのキャリア検知および受信レベルの比較処理が実行され、これらの処理を経た後に移動局間直接通信が実行される。図5におけるステップST31からステップST32にかけての候補チャネルの選択に関しても同様である。
【0040】
なお、以上第1乃至第3の実施の形態の何れの場合においても、制御手段34はステップST1からステップST2にかけての候補チャネルの選択動作に当たっては、候補チャネルを移動局間直接通信帯域に含まれるキャリア周波数f’1〜f’mの中から選択する際に、キャリア周波数f’1以外の周波数のチャネルが空いている場合は、その空いているチャネルを優先的に選択するアルゴリズムを有していてもよい。
【0041】
図7は本発明の第4の実施の形態に係る移動通信システムにおいて、上記、キャリア周波数f’1〜f’mのうちのキャリア周波数f’1以外の周波数のチャネルを優先的に選択するアルゴリズムを実行するためのフロー図である。このフロー図は、発呼局の動作開始部分を除けば、全体動作は基本的に図3に示されたフロー図と同様である。したがって、この動作説明については図3と異なる動作部分についてのみ説明する。
【0042】
図7において、発呼局の制御手段34は、候補チャネルを移動局間直接通信帯域に含まれるキャリア周波数f’2〜f’m(f’1は後に回される)の中から先ずキャリア周波数f’2を選択する(ステップST23)。このときに、制御手段34の中にはカウンタが設けられており、f’2、f’3、・・・f’mまでのキャリア周波数が順次指示されるようになっている。次に制御手段34は、候補チャネルのキャリア検知を行ない(ステップST24)、次いで上記キャリア検知を行なった候補チャネルのレベルが一定値以下であるか否かをチェックする(ステップST25)。
【0043】
このチェック処理において上記候補チャネルのレベルが一定値以下である場合は図3におけるステップST9の処理へと移行する。他方、ステップST25のチェック処理において上記候補チャネルのレベルが一定値以下でない場合はカウンタがオーバーしたか否かをチェックする(ステップST26)。そしてステップST26のチェック処理においてカウンタがオーバーしていないと判断された場合はステップST23の処理に戻ってキャリア周波数f’3〜f’mの中からキャリア周波数f’3を選択する。候補チャネルのレベルが一定値以下でない状態、およびカウンタがオーバーしていない状態が(アンドで)継続している間は制御手段34はステップST23からステップST26までの処理を繰り返し実行する。そして、ステップST26のチェック処理においてカウンタがオーバーしていると判断された場合はキャリア周波数f’1を選択し(ステップST27)、その後、図3におけるステップST4以下の処理へと移行する。
【0044】
こうすることにより、移動局間直接通信に当たっては、候補チャネルが基地局1の上り帯域に隣接しないチャネルから順次選択して行くことができるため、移動局間直接通信で基地局通信用の周波数帯域との境界に隣接する周波数をキャリア周波数として使用する機会(確率)が減少し、直ちにステップST9に移行して発呼動作が行なわれることになり、発呼動作の迅速化を図ることができる。しかもその通信では、隣接チャネルからの漏洩電力による妨害も起こりにくくなり、品質のよい通信が確保できる。
【0045】
以上、実施の形態1乃至3では移動局間直接通信のキャリア周波数と基地局通信のキャリア周波数とが隣接する場合における干渉回避について述べてきたが、基地局下り回線のキャリアセンスを、隣接周波数のみならず、次の隣接周波数、或いは次々隣接の周波数まで拡張してキャリアセンスすることで、キャリア周波数の近傍帯域全般に対する干渉回避を行なうことも可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基地局と、複数の移動局により構成されている移動通信システムにおいて、基地局を経由する移動局間通信(基地局通信)の場合と、移動局間で直接通信する(移動局間直接通信)場合とで、キャリア周波数の周波数帯域が隣接する別帯域に割り当てられている通信方法であって、基地局通信を行なう場合、基地局および移動局は、基地局通信用の周波数帯域内の所定の周波数をキャリア周波数として使用し、また、移動局間直接通信で移動局が基地局通信用の周波数帯域との境界に隣接する周波数をキャリア周波数として使用する場合は、当該移動局は前記使用するキャリア周波数に隣接する周波数に対応する基地局から当該移動局への下りのキャリア周波数の受信レベルを検出し、当該下りのキャリア周波数の受信レベルに応じて当該移動局から送信するキャリア信号のレベルを小さくするようにしたため、基地局通信を行なっている他の通信の妨害の影響を軽減することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態において使用される移動局の構成を示すブロック図
【図2】前記第1の実施の形態における移動通信システムにおいて、基地局通信用のキャリア周波数および移動局間直接通信用のキャリア周波数の割り当て状況を説明する図
【図3】前記第1の実施の形態における移動局間直接通信動作(個別通信)を説明するフロー図
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る移動通信システムの概略構成を示すブロック図
【図5】前記第2の実施の形態における移動局間直接通信動作(グループ通信)を説明するフロー図
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る移動通信システムにおいて、基地局通信用のキャリア周波数および移動局間直接通信用のキャリア周波数の割り当て状況を説明する図
【図7】本発明の第4の実施の形態におけるキャリア周波数f’1以外の周波数のチャネルを優先的に選択するアルゴリズムを実行するためのフロー図
【図8】移動通信システムの一般的な例の概略構成を示すブロック図
【図9】従来の移動通信システムにおいて、基地局通信用のキャリア周波数および移動局間直接通信用のキャリア周波数の設定状態を説明する図
【図10】前記従来例における移動局間直接通信動作を説明するフロー図
【符号の説明】
1 基地局
2 移動局
22 無線受信回路
23 受信データ解析手段
24 送信データ生成手段
25 無線送信回路
26 アンテナ
27 受話回路
28 レシーバ
29 送話回路
30 マイク
31 制御チャネル記憶手段
32 受信レベル検出手段
33 操作部
34 制御手段
Claims (1)
- 基地局と、複数の移動局により構成されている移動通信システムにおいて、
基地局を経由する移動局間通信(基地局通信)の場合と、移動局間で直接通信する(移動局間直接通信)場合とで、キャリア周波数の周波数帯域が隣接する別帯域に割り当てられている通信方法であって、
基地局通信を行なう場合、基地局および移動局は、基地局通信用の周波数帯域内の所定の周波数をキャリア周波数として使用し、また、
移動局間直接通信で移動局が基地局通信用の周波数帯域との境界に隣接する周波数をキャリア周波数として使用する場合は、当該移動局は前記使用するキャリア周波数に隣接する周波数に対応する基地局から当該移動局への下りのキャリア周波数の受信レベルを検出し、当該下りのキャリア周波数の受信レベルに応じて当該移動局から送信するキャリア信号のレベルを小さくすることを特徴とする移動通信システムにおける通信方法。
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