JP4641207B2 - 電動パワーステアリング制御装置および方法 - Google Patents

電動パワーステアリング制御装置および方法 Download PDF

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Description

本発明は、ステアリング操作に感応して操舵補助トルクを発生する電動パワーステアリングシステムに実施することができる電動パワーステアリング制御装置および方法に関する。
図20は、従来の電動パワーステアリング制御装置1が装備される電動パワーステアリングシステムの系統図である。電動パワーステアリング(Electrical Power Steering;略称EPS)システムは、操作者によってステアリングホイール2が回動操作されると、その回転は、ステアリング軸3からステアリングギヤ4を介してピットマンアーム5に伝達され、トラックリンク6によってステアリングアーム7が揺動して、タイロッド8によって連結されたナックルアーム9,10によって各車輪11,12に伝達される。
ステアリング軸3の回転は、トルクセンサ13によって検出され、その回転検出信号は電動パワーステアリング制御装置である電子制御ユニット(Electronic Control Unit;略称ECU)14に与えられる。ECU14は、入力した回転検出信号S1と図示しない車速センサからの車速信号S2とに基づいて、車速に応じたアシスト量およびアシスト方向を含む補助トルク指令を算出し、この補助トルク指令に応じた電圧を電動モータMに印加して、操作者のステアリングホイール2の操作力に対して最適な操作感が得られるように補助トルクを制御するいわゆる車速感応制御を実現している。
このようなECU14は、トルクセンサ13によって検出された回転検出信号S1に基づいて補助トルク指令を生成する。そのため、高価なトルクセンサ13を必要とし、またトルクセンサ13からの回転検出信号S1をECU14に導くハーネスなどの配線16も必要であるため、高コストであるとともに、空間利用率の妨げにもなっている。
このような問題を解決するために、トルクセンサ13を用いずに補助トルク指令を生成する技術が、次の特許文献1〜3に提案されている。
特許文献1に記載される従来の技術は、ステアリング操作の操舵角速度を操舵角速度センサによって検出し、電動モータの回転速度を回転速度センサによって検出し、目標電流設定部が操舵角速度と回転速度と車速とに基づいて、電動モータに供給すべき電流の目標値を設定し、電流検出器によって電動モータに流れる電流を検出する。モータ制御部は、電流目標値と電流検出値との電流偏差に基づいて、電動モータへの電流目標値を目標値として生成し、この電流目標値に応じて駆動回路が電動モータを駆動するように構成される。
前記目標電流設定部は、適切な補助トルクを発生させるために電動モータに供給すべき電流目標値を、この電流目標値と操舵トルクに対応する値との関係を、車速をパラメータとするテーブルを参照して設定する。このテーブルは、車速が小さいほど、また操舵トルクが大きいほど、電流目標値を大きくするように設定されることによって、ステアリング操作力が大きいときほど、補助トルクが大きくなるように設定される。
このように、この従来の技術では、目標電流設定部が操舵角速度センサからの操舵角速度および回転速度センサからの回転速度に基づいて、操舵トルクに対する制御量が算出されるので、高価なトルクセンサを用いずに、操舵トルクに応じた電流目標値を生成して、構成の簡素化およびコストの低減を図ることができる電動ステアリング制御装置が提案されている。
特許文献2に記載される従来の技術は、モータを、電動モータとして動作する出力期間と、発電機として動作する検出期間とを交互に繰り返す時分割で制御し、出力期間では、ステータのU,V,Wの各相のコイルに、ロータの永久磁石に対して回転磁界によって電磁力が発生するように駆動電流を供給し、検出期間では、ステータとロータとが吸引して回転を停止するように、ステータの各相のコイルに検出電流を供給する。
モータの回転軸には、エンコーダが連結され、ロータの回転位相を検出して、各相のコイルに通電すべきタイミングを示す通電タイミング信号を生成する。電流センサは、各相のコイルに流れる電流を検出し、モータ電流として出力する。
制御手段は、モータにアシスト電流を通電して外部にトルクを出力する出力期間と、検出電流を通電して入力トルクを検出する期間と交互に繰り返す。
モータの回転数が回転数センサによって検出され、回転数検出信号として制御手段に入力され、入力トルクの検出期間か否かが通電タイミング信号が示す回転位相によって判定される。入力トルクの検出期間であれば、入力トルクの方向が検出され、モータの回転数に応じた検出電流の値が設定される。
入力トルクの方向は、モータが入力トルクによってCW方向(時計まわり)に回転すると、U,V,Wの位相信号がこの順序で検出され、またモータがCCW方向(反時計まわり)に回転すると、W,V,Uの位相信号がこの順序で検出されるので、入力トルクの方向を検出することができる。
このようにして、この従来の技術では、特別なトルク検出機構を設けず、モータのコイルに誘起する発電電流、発電電圧およびモータの角速度から入力トルクを検出するように構成されている。
特許文献3に記載の従来の技術は、操作力によってモータが回転されると、モータに発生する誘起電圧を検出する誘起電圧検出手段と、モータの負荷がなくなったことを示す無負荷電流検出手段、誘起電圧を検出したとき、電源をオフするコントローラとを備える。
電源がオフ状態でモータが操作力によって回転すると、モータには誘起電圧が発生する。この誘起電圧を検出したとき、電源はオンにする。また電源がオン状態でモータの負荷がなくなると、モータを流れる電流は小さく、無負荷電流となる。この無負荷電流を検出したとき、電源はオフにする。電源がオフになった直後は、モータは慣性によって回転するので、検出される電圧が慣性回転による誘起電圧なのか、ステアリング操作による誘起電圧なのかを判別するために、電源がオフになった後に所定秒、たとえば0.5秒が経過して、慣性回転がなくなってから誘起電圧の検出を再開する。
このようにして、この従来の技術では、トルクセンサを用いずに、入力トルクによってモータに誘起電圧が発生したとき、回転速度に応じてモータへの電源をオン/オフを制御し、トルクセンサを用いないことによってコストの低減を図り、電動モータの誘起電圧が電動モータの慣性回転によるものか、ステアリング操作によるものかを正確に判別して、電動モータに対する制御の信頼性の向上が図られている。
特開2003−226252号公報 特開平10−136688号公報 特開平7−81588号公報
前述の特許文献1〜3に記載される各従来の技術は、トルクセンサを用いずに、ステアリング操作力などによる入力トルクに応じた適切な補助トルク指令値を、電動モータの電流または起電圧に基づいて生成するので、電動モータに供給される駆動電流の変化に対する応答遅れを補償するため、最適なゲインで目標電流値を設定するための処理を必要とし、ECUの回路構成が複雑であるという問題がある。
本発明の目的は、簡単な構成で、入力トルクを推定して最適なアシスト量を算出することができる応答性の向上された電動パワーステアリング制御装置および方法を提供することである。
本発明の装置は、ステアリング軸から入力トルクが伝達され、かつ出力トルクを前記ステアリング軸に伝達する電動モータの回転方向と、該電動モータが所定の回転角度だけ回転するのに要する時間である回転時間とを検出する回転検出部と、
回転検出部によって検出された回転時間に基づいて、この回転時間の増加に対して減少方向に変化する入力トルクを算出し、この入力トルクに、車速の増加に対して減少方向に変化する車速係数を乗算して、アシスト量およびアシスト方向を含む補助トルク指令を生成する制御部と、
制御部によって生成された補助トルク指令に基づいて、電動モータに前記アシスト量に対応する出力トルクを発生させる駆動部とを含み、
前記制御部は、回転検出部によって検出された回転時間に基づいて車速が低速であるか否かを判断し、低速であると判断したとき、操舵に影響しない予め定めるアシスト量の検出用補助トルク指令を生成した後、この検出用補助トルク指令に応答して回転検出部が検出した回転時間に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする電動パワーステアリング制御装置である。
本発明に従えば、電動モータの回転時間およびその方向が回転検出部によって検出され、制御部は、回転検出部によって検出された回転時間に基づいて、補助トルク指令値を操作量として生成する。前記回転検出部は、電動モータに供給される駆動電流または駆動電圧を検出する構成であってもよく、あるいは電動モータにエンコーダおよびタコジェネレータなどを設ける構成であってもよい。
この補助トルク指令値は、回転時間の増加に対して減少方向に変化する入力トルクを算出し、この入力トルクに、車速の増加に対して減少方向に変化する車速係数を乗算して、アシスト量およびアシスト方向を含む。駆動部は、制御部によって生成された補助トルク指令に基づいて、電動モータを駆動させ、前記アシスト量およびアシスト方向に対応する出力トルクを発生させる。
このようにステアリン軸の回転は、電動モータの回転時間として検出され、この回転時間から入力トルクを算出して最適な出力トルクを発生するので、前記最適な出力トルクは電動モータの回転時間の長短、たとえば1パルスの長さに応じて決定することができる。すなわち、ステアリングホイールを急激に操作すると、その回転はステアリング軸を介して電動モータに入力される。このとき、本発明は、前記特許文献1〜3に記載される各従来の技術のように、電動モータの駆動電流または起電圧から入力トルクを算出するのではなく、電動モータの回転したときの時間から入力トルクを算出する。
したがって、電動モータが入力トルクによって回転したとき、電動モータの回転時間が短い場合は、急操舵時であるので、アシスト量を大きくする。また電動モータの回転時間が長い場合は、緩操作時であるので、アシスト量を小さくする。これによってトルクセンサを用いず、しかも電動モータに供給される駆動電流の応答遅れを補償する回路構成を用いずに、回転時間の長短に応じて、高い応答性で出力トルクを生成することができる。
また本発明は、前記制御部は、回転時間を複数段に分割し、分割された回転時間毎に入力トルクを算出することを特徴とする。
さらに本発明は、前記制御部は、回転時間の変化に応じて連続的に変化する入力トルクを算出することを特徴とする。
さらに本発明は、前記制御部は、車速を複数階に分割し、分割された車速毎に車速係数が設定されることを特徴とする。
さらに本発明は、前記制御部は、車速の変化に応じて連続的に変化する車速係数が設定されることを特徴とする。
さらに本発明は、前記制御部は、回転検出部によって検出された回転時間の変化率を算出し、この回転時間の変化率に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする。
さらに本発明は、前記制御部は、補助トルク指令を周期的に停止させ、この補助トルク指令の停止期間中に回転検出部によって検出された回転時間に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする。
さらに本発明は、前記回転検出部は、電動モータに流れる電流の変化に基づいて前記回転時間および回転方向を検出することを特徴とする。
さらにまた本発明の方法は、ステアリング軸から入力トルクが伝達され、かつ出力トルクを前記ステアリング軸に伝達する電動モータの回転方向と、該電動モータが所定の回転角度だけ回転するのに要する時間である回転時間とを検出し、
前記検出された回転時間に基づいて、この回転時間の増加に対して減少方向に変化する入力トルクを算出し、この入力トルクに、車速の増加に対して減少方向に変化する車速係数を乗算して、アシスト量およびアシスト方向を含む補助トルク指令を生成し、
前記生成された補助トルク指令に基づいて、電動モータに前記アシスト量に対応する出力トルクを発生させる電動パワーステアリング制御方法であって、
前記検出された回転時間に基づいて、車速が低速であるか否かを判断し、低速であると判断したとき、操舵に影響しない予め定めるアシスト量の検出用補助トルク指令を生成した後、この検出用補助トルク指令によって発生した回転時間に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする電動パワーステアリング制御方法である。
本発明に従えば、ステアリング軸から入力トルクが伝達され、かつ出力トルクを前記ステアリング軸に伝達する電動モータの回転時間および回転方向を検出し、前記検出された回転時間に基づいて、この回転時間の増加に対して減少方向に変化する入力トルクを算出し、この入力トルクに、車速の増加に対して減少方向に変化する車速係数を乗算して、アシスト量およびアシスト方向を含む補助トルク指令を生成し、前記生成された補助トルク指令に基づいて、電動モータに前記アシスト量に対応する出力トルクを発生させる。
さらに本発明は、前記回転時間を複数段に分割し、分割された回転時間毎に入力トルクを算出することを特徴とする。
さらに本発明は、前記回転時間の変化に応じて連続的に変化する入力トルクを算出することを特徴とする。
さらに本発明は、前記車速を複数階に分割し、分割された車速毎に車速係数が設定されることを特徴とする。
さらに本発明は、前記車速の変化に応じて連続的に変化する車速係数が設定されることを特徴とする。
さらに本発明は、前記回転検出部によって検出された回転時間の変化率を算出し、この回転時間の変化率に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする。
さらに本発明は、前記補助トルク指令を周期的に停止させ、この補助トルク指令の停止期間中に検出された回転時間に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする。
さらに本発明は、前記電動モータに流れる電流の変化に基づいて、前記回転時間および回転方向を検出することを特徴とする。
本発明のよれば、電動パワーステアリング制御装置および方法において、電動モータが入力トルクによって回転したとき、電動モータの回転時間が短い場合は、急操舵時であるので、アシスト量を大きくする。また電動モータの回転時間が長い場合は、緩操作時であるので、アシスト量を小さくする。これによってトルクセンサを用いず、しかも電動モータに供給される駆動電流の応答遅れを補償する回路構成を用いずに、回転時間の長短に応じて、高い応答性で出力トルクを生成することができる。
このように電動モータの回転時間を検出して入力トルクを推定するため、起電力および電動モータの回転速度を検出する必要がなく、構成が簡素化され、かつ演算処理が容易化することができる。このように構成が簡素化されることによって、空間利用率が向上することができる。また演算処理が簡素化されることによって、制御部の演算処理上の負荷が軽減され、電気的構成も簡素化することができる。また、ステアリングが中立状態からアシストが開始されるまでの応答性が向上されるので、低速時の操舵感を向上することができる。
図1は、本発明の実施の一形態のECU24が搭載された電動パワーステアリングシステムの全体の構成を示す系統図である。まず、電動パワーステアリング制御方法が実施される電動パワーステアリングシステムの全体構成について説明する。
電動パワーステアリング(Electrical Power Steering;略称EPS)システムは、操作者によって矢符A1,A2方向に回動操作されるステアリングホイール2と、一端部に前記ステアリングホイール2が連結されるステアリング軸3と、ステアリング軸3の他端部に連結されるステアリングギヤ4と、ステアリングギヤ4の出力部に連結されるピットマンアーム5と、一端部がピットマンアーム5に回動自在に連結されるトラックリンク6と、一端部がトラックリンク6の他端部の回動自在に連結されるステアリングアーム7と、ステアリングアーム7の揺動が伝達されるタイロッド8と、タイロッド8の両端部がそれぞれ連結される一対のナックルアーム9,10と、各ナックルアーム9,10によって転舵される各車輪11,12と、ステアリングギヤ4に連結される電動モータMと、電動モータMの回転時間に基づいて前記ステアリングギヤ4に出力トルクを出力する電動パワーステアリング制御装置である電子制御ユニット(Electronic Control Unit;略称ECU)24とを含む。
操作者によってステアリングホイール2が回動操作されると、その回転は、ステアリング軸3からステアリングギヤ4を介してピットマンアーム5に伝達され、トラックリンク6によってステアリングアーム7が揺動して、タイロッド8によって連結されたナックルアーム9,10によって各車輪11,12が前記ステアリングホイール2の回動操作に対応して転舵する。
ステアリング軸3の回転は、ステアリングギヤ4を介して電動モータMに入力トルクとして入力され、ステータの界磁コイルに誘起電流が生じ、その電流は回転検出信号S11として信号線25を介してECU24に与えられる。
ECU24にはまた、車載LAN25からの車速信号S12が与えられ、ECU24は入力した回転検出信号S11と車速信号S12とに基づいて、車速に応じたアシスト量およびアシスト方向を含む駆動電流Imを補助トルク指令をして出力する。
前記車載LAN25は、エンジン制御用ECUなどの他のECUとの間にネットワーク(Local Area Network;略称LAN)を構築するためのモデムおよびルータなどを含み、CSMA/CR(Carrier Sense Multiple Access With Collision Resolution)方式またはTDMA(Time Division Multiple Access)方式のプロトコルに基づいた双方向通信によって、ECU相互に情報を共有して信号処理速度を高速化するとともに、各ECU間を接続するためのワイヤハーネスなどの通信線を少なくして、構成を簡素化することができる。
車載LAN25に接続されたECU24は、前記補助トルク指令に応じた駆動電流Imを電動モータMに通電して、操作者のステアリングホイール2の操作力に対して最適な操作感が得られるように電動モータMを駆動し、ステアリング軸3に補助トルクを与え、いわゆる車速感応制御を実現する。このようにして前記電動モータMには、ステアリング軸3からステアリングギヤ4を介して入力トルクが伝達されるとともに、出力トルクを前記ステアリングギヤ4を介してステアリング軸3に付与する。
図2は、ECU24の電気的構成を示すブロック図である。前述のECU24は、回転検出部30、制御部31、駆動部32および駆動電流検出部33を含む。
回転検出部30は、電動モータMのステータの界磁コイルに永久磁石からなるロータの回転によって誘起される交番波形の電流に基づいて、回転時間および回転方向を検出する。
この回転検出部30は、検出した電流を電圧値に変換して、パルス波形の検出信号として出力するエンコーダによって実現される。従って、前記回転時間は、回転検出信号S11の時系列的に隣接する2つのパルス間のパルス間隔ΔBとして検出することができる。また回転方向は、U相,V相,W相の各界磁コイルからの各検出信号の入力順序の反転、すなわちU,V,Wの順で入力されるパルス信号がW,V,Uの順に反転することによって検出することができる。
制御部31は、回転検出部30によって検出された回転時間に基づいて、この回転時間の増加に対して減少方向に変化する入力トルクXを算出し、この入力トルクXに、車速の増加に対して減少方向に変化する車速係数αを乗算して、アシスト量Pおよびアシスト方向を含む補助トルク指令を生成する。この制御部31は、マイクロコンピュータによって実現され、本発明の電動パワーステアリング制御方法は、前記マイクロコンピュータのメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。
駆動部32は、制御部31によって生成された補助トルク指令に基づいて、電動モータMに前記アシスト量に対応する駆動電流Imを出力して、電動モータMにステアリングホイール2の操作方向A1,A2と同一方向に補助トルクが生じるように、出力トルクを発生させる。
この駆動部32には、イグニションキー(略称IGキー)またはプッシュスタートボタンのオン操作によってスイッチSWが導通すると、車載バッテリ電源40から電源電圧が与えられる。
駆動電流検出部33は、駆動部32から電動モータMへ供給される駆動電流Imを検出し、その駆動電流Imを表す駆動電流検出値Fを出力する。
前記制御部31は、車載LAN25より得た車速Vから車速係数αを生成する車速係数生成部34と、回転検出部30により検出された回転時間Tから入力トルクXを生成する入力トルク生成部35と、車速係数αと入力トルクXとを乗算する乗算部36と、その乗算値α・Xに初期値Yを加算して操作量としてのアシスト量Pを求める加算部37と、初期値Yを生成する初期値生成部38と、駆動電流検出値Fとアシスト量Pと偏差ΔPを減算して求め、その偏差ΔPを制御量として出力する減算部39とを有する。
減算部39から偏差ΔPを入力した駆動部32は、偏差ΔPに応じた駆動電流Imを生成し、電動モータMを駆動させる。
図3は、ECU24の動作を説明するためのフローチャートであり、図4は車速係数生成部34の構成を説明するための図である。操作者によりIGキーまたはプッシュスタートボタンが操作され、イグニションがオンしてエンジンを始動すると、ECU24、その他のECU、車載LAN25などの各種の電気系統に電源電力が供給され、能動化される。
操作者がステアリングホイール2を操作すると、その回転はステアリング軸3およびステアリングギヤ4を介して電動モータMに伝達される。これによってロータが回転し、ステータのU,V,Wの各相の界磁コイルに電流が誘起される。この電流は、前記回転検出部30によって検出され、その回転検出信号S11がECU24に入力される(ステップs1)。
次に、車速係数生成部34は、車載LAN25から車速Vを取得し、車速係数αを決定する(ステップs2)。また、入力トルク生成部35は、図4に示されるように、ステアリングホイール2の操作速度の違いを、回転検出信号S11の時系列的に隣接する2つのパルス間のパルス間隔ΔBから急操舵時と緩操舵時とを判定し、入力トルクXを推定する(ステップs3)。
この入力トルクXは、ステアリングホイール2を切る速度が電動モータMの回転速度に等価であるものとし、予め実験およびコンピュータシミュレーション等で取得したデータを統計的処理等によってグラフ化し、そのグラフ化された曲線または直線の近似関数から求められるが、詳細については後述する。
乗算部36は、車速係数生成部34で生成された車速係数αと、入力トルク生成部35で生成された入力トルクXとを乗算し、その乗算値α・Xを出力する(ステップs4)。
加算部37は、前記乗算部36から出力された乗算値α・Xと、初期値生成部38から出力されたアシスト量の初期値Yとを加算(α・X+Y)し、その加算値をアシスト量Pとして出力する(ステップs5)。
加算部37によって算出されたアシスト量Pは、減算部39において駆動電流検出値Fと減算されて偏差ΔPが求められ、制御量として、駆動部32に出力される(ステップs6)。
駆動部32は、前述の減算部39によって算出された偏差ΔPに基づいてバッテリ電源40からの電源電圧を制御して駆動電流Imを生成し、電動モータMに供給する(ステップs7)。
このように本実施の形態では、トルクセンサを用いず、しかも電動モータに供給される駆動電流の応答遅れを補償する回路構成を用いずに、回転時間の長短に応じて、高い応答性でアシスト量を生成し、電動モータMの出力トルクを最適化して、ステアリング操作に対する車速感応制御を安価に実現することができる。一例として述べると、制御部31を制御周期200μsecのCPUによって実現した場合、パルス間隔ΔBのサンプリング周期は50μsecに選ばれ、ステアリングホイール2の緩慢な操作から急激な操作までの広い範囲にわたって充分な応答性が得られるように設定されている。
図5は、本発明の実施の他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。同図において、横軸は電動モータMが回された時間Tであり、縦軸は入力トルクXである。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付し、入力トルクXを推定する方法について説明する。
本実施の形態では、ECU24に搭載される制御部31において、入力トルク生成部35は、入力トルクXを、複数である3つのパルス間隔ΔB1,ΔB2,ΔB3によって、3段階の入力トルクXL,XM,XSとして生成する。
第1のパルス間隔ΔB1は、ステアリングホイール2が速く回されたときに相当し、一例としては、0μsec<ΔB1≦400μsecに選ばれる。また第2のパルス間隔ΔB2は、ステアリングホイール2が中間的な速さで回されたときに相当し、一例としては、400μsec<ΔB2≦1msecに選ばれる。さらに第3のパルス間隔ΔB3は、ステアリングホイール2が速く回されたときに相当し、一例としては、1msec<ΔB3に選ばれる。
このように3段階にパルス間隔ΔB1〜ΔB3に応じて入力トルクXL,XM,XSが生成されるので、ステアリング操作に対して、より微細に補助トルクを発生させて、ステアリングの操作感を最適化することができる。
図6は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。同図において、横軸はパルス間隔ΔBであり、縦軸は入力トルクXである。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付し、入力トルクXを推定する他の方法について説明する。
本実施の形態では、制御部31において、入力トルク生成部35は、入力トルクXを、前記パルス間隔ΔBが増加するにつれて連続的かつ直線的に低下するように生成する。ここに、パルス間隔ΔBに対する変化率をεとし、定数をψすると、入力トルクXは、X=ε・ΔB+ψ(ただし、ΔB>0)によって求められる。
このような構成を採用することによって、駆動部32へ制御量として出力される偏差ΔPのオーバーシュート、アンダーシュート、およびハンチングなどの発生が抑制される。
なお、本実施の形態では、入力トルクXを1次関数として推定する例について述べたが、これに代えて2次関数および双曲線関数などの曲線を採用してもよく、あるいは実験およびコンピュータシミュレーションなどによって得られたデータに基づく近似曲線を採用してもよい。
図7は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。同図において、縦軸は車速SPDであり、縦軸は車速計数αである。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付し、車速係数αを推定する方法について説明する。
本実施の形態では、制御部31において、車速係数生成部34は、車載LAN25から入力した車速信号S12に基づいて、低速時の車速係数α11と、高速時の車速係数α12とを生成する。
これらの車速係数α11、α12は、車速しきい値Cを設定し、車速SPDが0以上でかつしきい値C以下(0≦SPD≦C)は、低速時の車速係数α1を生成し、しきい値Cを超える場合(C<SPD)は、高速時の車速係数α2を生成する。
このような構成を採用することによって、高速走行時におけるステアリングの切り過ぎ、および低速走行時におけるステアリングのアシスト不足を防止することができる。
図8は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。同図において、横軸は車速SPDであり、縦軸は車速係数αである。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付し、車速係数αを推定する他の方法について説明する。
本実施の形態では、制御部31において、車速係数生成部34は、車載LAN25から入力した車速信号S12に基づいて、低速時の車速係数α1と、中速時の車速係数α2と、高速時の車速係数α3とを生成する。
これらの車速係数α1,α2,α3は、2つの車速しきい値D1,D2を設定し、車速SPDが0以上でかつ低速側のしきい値D1以下(0≦SPD≦D1)であれば、低速時の車速係数α1を生成し、低速側のしきい値D1を超えかつ高速側のしきい値D2以下(D1<SPD≦D2)であれば、中速時の車速係数α2を生成し、高速側のしきい値D2を超えた場合(D2<SPD)は、高速時の車速係数α3を生成する。
このような構成を採用することによって、車速に対する細かいアシスト力の制御が可能となり、車速に対するアシスト力の最適性をより一層向上して、高精度することができる。
図9は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。同図において、横軸は車速SPDであり、縦軸は車速計数αである。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付し、車速係数αを推定するさらに他の方法について説明する。
本実施の形態では、制御部31において、車速係数生成部34は、車速係数αを、前記車速SPDが増加するにつれて連続的かつ直線的に低下するように生成する。ここに、車速SPDに対する変化率をτとし、定数をλすると、車速係数αは、α=τ・SPD+λによって求められる。
このような構成を採用することによって、車速係数αが直線的に変化するので、車速の変化が制御量である偏差ΔPに反映され、車速変化に対する応答性が向上される。
なお、本実施の形態では、車速係数αを1次関数として推定する例について述べたが、これに代えて2次関数および双曲線関数などの曲線を採用してもよく、あるいは実験およびコンピュータシミュレーションなどによって得られたデータに基づく近似曲線を採用してもよい。
図10は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付し、電動モータMの回される角度のしきい値βを推定する方法について説明する。
本実施の形態では、制御部31において、入力トルク生成部35は、車速SPDを高速時SPD1と低速時SPD2とに分け、電動モータMが回される角度のしきい値βを、高速時SPD1はステアリングを切る量が少なくかつ電動モータMが回される時間が短いことを考慮して高速用しきい値β1とし、低速時SPD2はステアリングを切る量が多くかつ電動モータMが回される時間が長いことを考慮して低速用しきい値β2とし、これらの2段階(0°≦β1<β2)に設定する。これらのしきい値β1,β2は、予め図10の右側のテーブルとして作成され、制御部31のメモリに記憶されている。
このようにして高速時と低速時とに分けたしきい値β1,β2によって入力トルクXを生成するのは、高速時はステアリングを切る量が少なく、低速時はステアリングを切る量が多く、そのためアシスト量Pを車速SPDに応じて制限するためである。
なお、本実施の形態では、アシスト量Pを1次関数として推定する例について述べたが、これに代えて2次関数および双曲線関数などの曲線を採用してもよく、あるいは実験およびコンピュータシミュレーションなどによって得られたデータに基づく近似曲線を採用してもよい。
図11は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付し、電動モータMの回される角度のしきい値βを推定する他の方法を説明する。
本実施の形態では、制御部31において、入力トルク生成部35は、車速SPDを高速時SPD1と中速時SPD2と低速時SPD3とに分け、電動モータMが回される角度のしきい値βを、高速用しきい値β1と、中速用しきい値β2と、低速用しきい値β3との3段階に設定する。高速時SPD1では、0°≦β1≦5°、中速時では、0°≦β2≦20°、低速時では、0°≦β3≦40°とする。これらのしきい値β1,β2,β3は、予め図11の右側のテーブルとして作成され、制御部31のメモリに記憶されている。
このような構成を採用することによって、図10の実施の形態に比べて、アシスト量Pを車速に応じてより細かく制御することができ、車速に対するアシスト量の最適性をより一層向上することができる。
なお、本実施の形態では、アシスト量Pを1次関数として推定する例について述べたが、これに代えて2次関数および双曲線関数などの曲線を採用してもよく、あるいは実験およびコンピュータシミュレーションなどによって得られたデータに基づく近似曲線を採用してもよい。
図12は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付す。本実施の形態では、制御部31において、入力トルク生成部35は、電動モータMが回される角度のしきい値βを、車速SPDが増加するにつれて連続的かつ直線的に低下するように生成する。ここに、車速SPDに対するしきい値βの変化率をγとし、定数をYとすると、しきい値βは、β=γ・SPD+Yによって求められる。
なお、本実施の形態では、しきい値βPを1次関数として推定する例について述べたが、これに代えて2次関数および双曲線関数などの曲線を採用してもよく、あるいは実験およびコンピュータシミュレーションなどによって得られたデータに基づく近似曲線を採用してもよい。
図13は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付す。本実施の形態では、制御部31において、入力トルク生成部35は、回転検出部30によって検出された回転検出信号S11の回転方向と回転速度の変化、すなわちパルス間隔ΔBの変化に基づいて、入力トルクXを算出する。
回転検出部30からの回転検出信号S11にパルスがない状態では、電動モータMは駆動されていない。このようなモータ停止状態で、操作者がステアリングホイール2を回し、電動モータMが操舵力によって回されると、入力トルク生成部35に、急操舵時にはパルスk1が、また緩操舵時にはパルスk2が入力される。このときの各パルスk1、k2のパルス間隔ΔBの時間変化率m=dΔB/dtを計算して、入力トルクXを算出する。
このとき車速係数αの算出は、前述の図7、図8、図9のいずれかの実施の形態の方法を採用すればよい。
したがって、急操舵時は、電動モータMの回転速度が急増するのでアシスト量Pは大きくなり、緩操舵時は電動モータMの回転速度が徐々に増加していくのでアシスト量Pは小さくなる。
このような構成を採用することによって、ステアリング操舵量が同じであっても、そのステアリング操作が急激であるか、緩慢であるかの相違が反映されるので、ステアリング操作が急操舵と緩操舵とに頻繁に、しかも連続して切り換えられても、操舵量および操舵速度の変化に応じてアシスト力が追従して連続変化し、ステアリングの操舵感を格段に向上することができる。
図14は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付す。本実施の形態では、制御部31は、入力トルク生成部35において、電動モータMがアシスト駆動されている状態で、一定周期で一定時間ΔT、アシストを停止させ、このアシスト停止時間ΔT中に回転検出信号S11からパルス数を計数するか、回転時間を比較して、入力トルクXを推定する。その後、前述と同様に、乗算部36で乗算値α・Xを求め、加算部37で前記乗算値α・Xに初期値Yを加算し、アシスト量Pを算出する。
前記パルス数を計数する場合、アシスト停止時間ΔTはたとえば2msecに選ばれ、この時間ΔTの間に何パルス入力されるかによってアシスト量Pを算出する。また前記回転時間を比較する場合、たとえば2パルスが入力される時間T10を測定し、この時間T10の長短でアシスト量Pを算出する。
このような構成を採用することによって、電動モータMがアシスト動作中にアシスト量Pを算出し、ステアリング操作の変化に高い応答性で応答して、アシスト制御の操舵感に対する最適化を行うことができる。
図15は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付す。本実施の形態では、制御部31は、電動モータMがアシスト動作した後、ステアリングホイール2は切り返し、切り足しおよび保持の3種類の状態のうちでいずれであるかを判断し、ステアリングの状態に応じたアシスト量Pを電動モータMの回転速度の変化によって算出する。
ステアリングの状態の判断は、電動モータMに通電されるモータ電流を回転検出部30によって検出し、入力トルク生成部35がその電流の変化から切り返し、切り足し、保持の3種類の状態を検知した後、電動モータMの回転方向と回転速度の変化とによって入力トルクXを算出する。入力トルク生成部35において算出された入力トルクXは、前述と同様に、乗算部36で車速係数αと乗算され、加算部37で乗算値α・Xに初期値Yを加算して、アシスト量Pを算出する。
ステアリングの切り返しは、電動モータの回転速度の変化が、電流・電圧のトリガが掛かってから、モータ角度が回転中からロックまたは逆転すると、ステアリングの切り替えしであると判断することができる。またステアリングの切り足しは、電流・電圧のトリガが掛かってから、アシスト量Pに対応するモータ角速度よりも実際のモータ角速度が大きいと、ステアリングの切り足しであると判断することができる。さらにステアリングの保持は、電流・電圧のトリガが掛かってから、アシスト量Pに対応するモータ角速度よりも実際のモータ角速度が小さいと、ステアリングが保持状態であると判断することができる。
また、他の実施形態では、電動モータMにブラシ付きDCモータを使用し、ブラシが整流子を通るときに発生するブラシノイズを、ブラシ間の電圧をコンパレータなどによってモニタし、ブラシノイズの変化によってステアリングの状態を検知した後、電動モータMの回転方向と回転速度の変化とによってアシスト量を算出する。
このような構成を採用することによって、電動モータMの回転速度および回転方向を検出するための手段を別途に設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。
図16は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付す。自動車は時速10km/h以下の停止時を含む低速時にハンドルを切りにくいため、低速時にアシスト量Pを算出する手法について述べる。
本実施の形態では、制御部31は、入力トルク生成部35において、ステアリングに影響がない範囲で電動モータMを一定のパルス数だけCW方向(時計方向)およびCCW方向(反時計方向)に回し、回転検出信号S11から何パルスの帰還パルスを検出したか、または帰還パルスの周波数に基づいて入力トルクXを生成し、アシスト量Pを算出する。この場合、帰還パルスのパルス数が少なくなるほど、あるいは帰還パルスの各パルス間の周波数が高くなるほど、入力トルクXを大きくし、アシスト量Pが多くなるように制御する。
具体的には、図16の上図のように、ステアリングホイール2をCW方向およびCCW方向のいずれに回しても、たとえば3パルス返ってくる場合、ステアリングは保持されていると判断して、アシスト制御しない。また、図16の下図のように、ステアリングホイール2をCW方向およびCCW方向の操作して、CW方向は帰還パルスが戻らず、CCW方向は帰還パルスの周波数がたとえば500Hzから1kHzに高くなり、3パルスとも戻ってきた場合、ステアリングホイール2はCCW方向に回されていると判断して、CCW方向にアシスト制御を行う。
このような構成を採用することによって、ステアリングが中立状態からアシストが開始されるまでの応答性が向上されるので、低速時の操舵感を向上することができる。
図17は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するためのフローチャートである。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付す。本実施の形態では、制御部31は、回転検出部30によって検出された回転検出信号S11から電動モータMの回転を検出すると(ステップa1)、入力した回転検出信号S11のパルス数が予め定めるパルス数以上か否か、または入力した回転検出信号S11の電圧が予め定める電圧以上か否かを判定し(ステップa2)、予め定めるパルス数以上または予め定める電圧以上であれば、図3のフローチャートに示されるアルゴリズムに従ってアシスト処理を実行する(ステップa3)。また前記入力した回転検出信号S11が予め定めるパルス数未満であるか、または予め定める電圧未満である場合には、アシスト処理の実行を停止する(ステップa4)。
このような構成を採用することによって、アシスト制御前に電動モータMおよび回転検出部30などの故障を事前に検出し、安全性を向上することができる。
図18は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するためのフローチャートである。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付す。本実施の形態では、制御部31は、回転検出部30によって検出された回転検出信号S11から電動モータMの回転を検出すると(ステップb1)、入力した回転検出信号S11のパルス数が予め定めるパルス数以上か否か、または入力した回転検出信号S11の電圧が予め定める電圧以上か否かを判定し(ステップb2)、予め定めるパルス数以上または予め定める電圧以上であれば、図3のフローチャートに示されるアルゴリズムに従ってアシスト処理を実行する(ステップb3)。
また、前記入力した回転検出信号S11が予め定めるパルス数未満であるか、または予め定める電圧未満である場合には、アシスト量Pを徐々に減少し(ステップb4)、たとえば車速が十分に低下したとき、アシスト処理の実行を停止する(ステップb5)。
このような構成を採用することによって、運転者はアシスト量Pの減少を操作感から徐々に認識することができるので、走行中の故障の発生に対して、急激な補助トルクの減少によってハンドル操作が重くなり、心理的な混乱および不安感を生じるという不具合を将来せず、安全性を向上することができる。
図19は、本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するためのフローチャートである。なお、前述の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付す。本実施の形態では、制御部31は、回転検出部30によって検出された回転検出信号S11から電動モータMの回転を検出すると(ステップc1)、入力した回転検出信号S11のパルス数が予め定めるパルス数以上か否か、または入力した回転検出信号S11の電圧が予め定める電圧以上か否かを判定し(ステップc2)、予め定めるパルス数以上または予め定める電圧以上であれば、図3のフローチャートに示されるアルゴリズムに従ってアシスト処理を実行する(ステップc3)。
また、前記入力した回転検出信号S11が予め定めるパルス数未満であるか、または予め定める電圧未満である場合には、アシスト処理の実行を停止し(ステップc4)、ウォーニングランプを点灯させて(ステップc5)、運転者に故障が生じたこと知らせる。
このような構成を採用することによって、ウォーニングランプの点灯によって、運転者に対して、電動モータおよび回転検出部30などのステアリングアシスト系統に故障が生じたことを明確かつ確実に認識させることができる。
本発明の実施のさらに他の形態では、回転検出部30は、エンコーダによって実現されてもよい。このエンコーダは、電動モータMの回転軸に設けられ、周方向に間隔を一定の間隔をあけて複数のスリットが入った円板からなり、そのスリットをフォトインタラプタ等の光学センサによって読み取り、スリットが通過するたびに1パルスのパルス信号を生成し、電動モータMの回転角度を検出して、モータ回転速度の算出に用いられる。回転方向を算出するには、位相をずらした2相スリットが付いているか、絶対位置が書き込まれているエンコーダを用いればよい。
本発明の実施のさらに他の形態では、前記回転検出部30は、電動モータMのロータにマグネットを取り付けたホールICによって実現することができる。ホールICは、マグネットの磁場を検知して、マグネットのS極とN極間が1パルスのパルス信号を生成し、このパルス信号によって電動モータMの回転角度がわかり、電動モータMの回転速度を算出することができる。回転方向を算出するには、位相をずらしたホールICを2個以上取り付ければよい。
本発明の実施のさらに他の形態では、前記回転検出部30は、レゾルバによって実現することができる。このレゾルバは、電動モータMのステータに直交する2相巻線をもつ制御変圧器で、励磁コイルに高周波信号を与えると、モータの回転角度によって検出側のコイルから得られる信号の位相が変化する。この検出信号と基準信号とを比較することによって、モータの角度がわかり、モータの回転速度を算出する手段である。また回転方向も検出することができる。
本発明の実施のさらに他の形態では、前記回転検出部30は、電動モータMのロータに取り付けたタコジェネレータによって実現することができる。このタコジェネレータは、小型の発電機であって、電動モータMの回転速度に比例した電圧が得られるように構成される。検出した電圧変化によって、電動モータMの回転角度がわかり、電動モータMの回転速度を算出に用いることができる。回転方向は、ポテンションメータ(可変抵抗)を電動モータMの回転軸に取り付け、電動モータMの回転角度を電圧変化として検出することができる。
本発明の実施のさらに他の形態では、前記回転検出部30は、電動モータMの回転軸に取り付けたポテンションメータによって実現される。電動モータMの回転速度は、ポテンションメータに加えた電圧の変化によって検出され、電動モータの回転角度の変化も検出することができる。
本発明は、前述のコラム式電動パワーステアリングシステムだけでなく、ピニオン式およびラック式電動パワーステアリングシステムに対しても適用することができる。
上記の実施の各形態では、電動モータMをフィードバック制御する手法を採用した例を示したが、これに限るものではなく、他の制御方法、たとえば予測制御を行なう電動パワーステアリングシステムに対しても好適に本発明を実施することができる。
本発明の実施の一形態のECU24が搭載された電動パワーステアリングシステムの全体の構成を示す系統図である。 ECU24の電気的構成を示すブロック図である。 ECU24の動作を説明するためのフローチャートである。 車速係数生成部34の構成を説明するための図である。 本発明の実施の他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するための図である。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施のさらに他の形態の制御部31の構成を説明するためのフローチャートである。 従来の電動パワーステアリング制御装置1が装備される電動パワーステアリングシステムの系統図である。
符号の説明
2 ステアリングホイール
3 ステアリング軸
4 ステアリングギヤ
5 ピットマンアーム
6 トラックリンク
7 ステアリングアーム
8 タイロッド
9,10 ナックルアーム
11,12 車輪
24 ECU
25 車載LAN
30 回転検出部
31 制御部
32 駆動部
33 駆動電流検出部
40 バッテリ電源
34 車速係数生成部
35 入力トルク生成部
36 乗算部
37 加算部
38 初期値生成部
39 減算部
M 電動モータ

Claims (16)

  1. ステアリング軸から入力トルクが伝達され、かつ出力トルクを前記ステアリング軸に伝達する電動モータの回転方向と、該電動モータが所定の回転角度だけ回転するのに要する時間である回転時間とを検出する回転検出部と、
    回転検出部によって検出された回転時間に基づいて、この回転時間の増加に対して減少方向に変化する入力トルクを算出し、この入力トルクに、車速の増加に対して減少方向に変化する車速係数を乗算して、アシスト量およびアシスト方向を含む補助トルク指令を生成する制御部と、
    制御部によって生成された補助トルク指令に基づいて、電動モータに前記アシスト量に対応する出力トルクを発生させる駆動部とを含み、
    前記制御部は、回転検出部によって検出された回転時間に基づいて車速が低速であるか否かを判断し、低速であると判断したとき、操舵に影響しない予め定めるアシスト量の検出用補助トルク指令を生成した後、この検出用補助トルク指令に応答して回転検出部が検出した回転時間に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 前記制御部は、回転時間を複数段に分割し、分割された回転時間毎に入力トルクを算出することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング制御装置。
  3. 前記制御部は、回転時間の変化に応じて連続的に変化する入力トルクを算出することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング制御装置。
  4. 前記制御部は、車速を複数階に分割し、分割された車速毎に車速係数が設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御装置。
  5. 前記制御部は、車速の変化に応じて連続的に変化する車速係数が設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御装置。
  6. 前記制御部は、回転検出部によって検出された回転時間の変化率を算出し、この回転時間の変化率に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御装置。
  7. 前記制御部は、補助トルク指令を周期的に停止させ、この補助トルク指令の停止期間中に回転検出部によって検出された回転時間に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御装置。
  8. 前記回転検出部は、電動モータに流れる電流の変化に基づいて前記回転時間および回転方向を検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御装置。
  9. ステアリング軸から入力トルクが伝達され、かつ出力トルクを前記ステアリング軸に伝達する電動モータの回転方向と、該電動モータが所定の回転角度だけ回転するのに要する時間である回転時間とを検出し、
    前記検出された回転時間に基づいて、この回転時間の増加に対して減少方向に変化する入力トルクを算出し、この入力トルクに、車速の増加に対して減少方向に変化する車速係数を乗算して、アシスト量およびアシスト方向を含む補助トルク指令を生成し、
    前記生成された補助トルク指令に基づいて、電動モータに前記アシスト量に対応する出力トルクを発生させる電動パワーステアリング制御方法であって、
    前記検出された回転時間に基づいて、車速が低速であるか否かを判断し、低速であると判断したとき、操舵に影響しない予め定めるアシスト量の検出用補助トルク指令を生成した後、この検出用補助トルク指令によって発生した回転時間に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする電動パワーステアリング制御方法。
  10. 前記回転時間を複数段に分割し、分割された回転時間毎に入力トルクを算出することを特徴とする請求項記載の電動パワーステアリング制御方法。
  11. 前記回転時間の変化に応じて連続的に変化する入力トルクを算出することを特徴とする請求項記載の電動パワーステアリング制御方法。
  12. 前記車速を複数階に分割し、分割された車速毎に車速係数が設定されることを特徴とする請求項11のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御方法。
  13. 前記車速の変化に応じて連続的に変化する車速係数が設定されることを特徴とする請求項11のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御方法。
  14. 前記回転検出部によって検出された回転時間の変化率を算出し、この回転時間の変化率に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする請求項13のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御方法。
  15. 前記補助トルク指令を周期的に停止させ、この補助トルク指令の停止期間中に検出された回転時間に基づいて、前記補助トルク指令を生成することを特徴とする請求項13のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御方法。
  16. 前記電動モータに流れる電流の変化に基づいて、前記回転時間および回転方向を検出することを特徴とする請求項15のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング制御方法。
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