JP4640992B2 - 超高圧燃料配管およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、ディーゼル内燃機関等の高圧燃料噴射システムで使用される燃料噴射管、コモンレール、フィードパイプ等の燃料配管に係り、特に燃料噴射圧力が1800気圧を超える超高圧燃料配管とその製造方法に関する。
ディーゼル内燃機関等の高圧燃料噴射システムで使用される燃料噴射管、コモンレール、フィードパイプ等の燃料配管においては、内面に圧縮残留応力を残留させ内圧疲労強度を向上させるために、自己緊縮法が一般的な技術として知られている。また、管の素材に高強度材料を用いたり、鋼管の内面にステンレス鋼管を合せ、内圧が印加した際に最大応力が発生する内面の強度を向上させる等の手段をこうじて、燃料噴射の高圧化に対応することが行われている。
例えば、厚肉金属管の肉厚部を外周壁側より内周壁に向って逐次硬度分布の上昇に伴う炭素量の覆いしかも長手軸芯方向を含む特に円周方向への残留圧縮応力の生成層を有した緻密な結晶構造を形成させた高圧燃料噴射管(特許文献1参照)、鋼管に対してシアン化ソーダの浴中で軸芯方向への加振状態をもってタフドライド処理を施して内周壁面に窒素の拡散層を生成させ、しかる後加熱処理により前記拡散層上の金属間化合物層を分解除去せしめて、周壁表面に該拡散層の成長に伴う硬化層を形成せしめてなる細径厚肉鋼管(特許文献2参照)、内管を25μm以下の疵とした電縫ステンレス鋼管を外管に合わせて内面の強度を向上させたディーゼル内燃機関用の高圧燃料噴射管(特許文献3参照)、内周面の少なくとも一部に、予めメッキされたニッケル層の加熱によりディフュージョンした疲労強度強化層を生成させたディーゼルエンジン用コモンレール(特許文献4、5、6参照)が知られている。
特開昭55−44545号公報 特開昭57−203766号公報 特開平9−106625号公報 特開2001−280218号公報 特開2001−207287号公報 特開2001−335833号公報
しかるに、近年のディーゼル内燃機関の燃料噴射圧力のいっそうの高まりに伴い、前記した従来技術の自己緊縮法等の方法では、十分な内圧疲労強度を保証することが困難となってきた。その理由の一つとしては、疲労破壊の起点が内面付近に存在する非金属介在物にあることが考えられる。
図2は従来の高圧燃料噴射管の断面構造の一例を概略的に示したもので、11は母材、12は非金属介在物、13は非金属介在物の周辺部,14はクラックを示す。すなわち、管に内圧が印加された場合、最大応力は管の内面に周方向に発生するが、その際、管の内面に存在する非金属介在物12は母材11と比較して硬度および弾性係数が高く、例え前記最大応力が材料の弾性変形しか起こさない程度の大きさであっても、非金属介在物の周辺部13、特にその界面では応力集中によって応力の値が疲労限度を超えるため、クラック14による疲労破壊が非金属介在物周辺部13から進行していく。このようにして非金属介在物12の存在は金属の疲労強度を低下させる。
したがって、非金属介在物を材料の内面から排除することが燃料噴射管の内圧疲労強度を向上させる最善の対策と考えられる。しかし、かかる対策は真空溶解等の清浄鋼等を原材料として使用しても完璧ではなくて技術的に非常に困難であり、コスト高を余儀なくされるのみならず、材料の確保も現実的には困難である。
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたもので、清浄鋼等の高価でかつ確保も難しい材料を用いることなく、内面の非金属介在物を排除し、自己緊縮法や内面研磨法等の方法で得ることができなかった内圧疲労強度の極めて優れた、燃料噴射圧力が1800気圧を超える超高圧燃料配管とその製造方法を提供しようとするものである。
本発明に係る超高圧燃料配管は、少なくとも燃料との接触面および/または接触面直下に非金属介在物が存在する内表面に、チタンを主成分とする活性金属ペースト、モリブデン−マンガンを主成分とする活性金属ペースト、クロムを主成分とする活性金属ペースト、クロム−アルミニウムを主成分とする活性金属ペースト、ホウ素を主成分とする活性金属ペースト、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストのいずれか一つの活性金属ペーストを要疲労強度強化表面に塗布した後熱処理することにより、前記非金属介在物の表面がチタンあるいはモリブデンとマンガンによりメタライジングされ、かつ少なくとも非金属介在物の周囲の母材表面にチタンあるいはモリブデン−マンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、ホウ素とクロムのいずれかによる拡散層を有し、硬度および弾性係数が母材の非拡散部および拡散部、非金属介在物のメタライジング部および非メタライジング部と傾斜機能材料のごとく順次大きくなっている疲労強度強化層を有することを特徴とするものである。
また、この超高圧燃料配管の製造方法は、少なくとも燃料との接触面および/または接触面直下に非金属介在物が存在する内表面に、チタンを主成分とする活性金属ペーストあるいは、モリブデン−マンガン、クロムを主成分とする活性金属ペースト、クロム−アルミニウムを主成分とする活性金属ペースト、ホウ素を主成分とする活性金属ペースト、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストのいずれか一つの活性金属ペーストを主成分とする活性金属ペーストを要疲労強度強化表面に塗布し、その後、高温真空雰囲気下あるいは高温水素雰囲気下で熱処理することにより、前記非金属介在物の表面がチタンあるいはモリブデンとマンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、ホウ素とクロムのいずれかによりメタライジングされ、かつ少なくとも非金属介在物の周囲の母材表面にチタンあるいはモリブデンとマンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、ホウ素とクロムのいずれかによる拡散層からなる疲労強度強化層を生成させることを特徴とするものである。
本発明に係る超高圧燃料配管は、チタンを主成分とする活性金属ペースト、モリブデン−マンガンを主成分とする活性金属ペースト、クロムを主成分とする活性金属ペースト、クロム−アルミニウムを主成分とする活性金属ペースト、ホウ素を主成分とする活性金属ペースト、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストのいずれか一つの活性金属ペーストの作用により、管内面に存在する非金属介在物表面が金属化されて硬度および弾性係数が低く、一方で母材においてはチタンあるいはモリブデン−マンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、ホウ素とクロムのいずれかが母材中にナノメータースケールの炭化物として分散して高い強度を有するので、通常の燃料噴射管において破壊の主原因であった非金属介在物を起点とする疲労破壊が防止され、内圧疲労強度の優れたものとなり、燃料噴射圧力が1800気圧を超える超高圧燃料噴射管としての機能を発揮する。また、本発明方法によれば、既存の設備を使用して低コストで高内圧疲労強度配管を製造することができるので、燃料噴射圧力が1800気圧を超える超高圧燃料噴射管やコモンレール、フィードパイプ等の燃料配管を安価に提供することができる。
図1は本発明に係る超高圧燃料配管の母材の断面構造の一例を示す概略図で、1は母材、2は非金属介在物、3は非金属介在物のメタライズ層、4は拡散層である。
すなわち、本発明に係る超高圧燃料配管は、図1に示すごとく、少なくとも燃料との接触面および/または接触面直下に非金属介在物2が存在する内表面に、チタンを主成分とする活性金属ペーストあるいは、モリブデン−マンガンを主成分とする活性金属ペースト、クロムを主成分とする活性金属ペースト、クロム−アルミニウムを主成分とする活性金属ペースト、ホウ素を主成分とする活性金属ペースト、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストのいずれか一つの活性金属ペーストを塗布した後熱処理することにより、前記非金属介在物2の表面がチタンあるいはモリブデンとマンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、クロムとホウ素のいずれかによりメタライジングされた非金属介在物のメタライズ層3を有し、さらにこのメタライズ層3の周囲の母材1の表面にチタンあるいはモリブデン−マンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、クロムとホウ素のいずれかによるよる拡散層4を有し、かつこれら各層の硬度および弾性係数が母材1、非金属介在物層2、非金属介在物のメタライズ層3、拡散層4の順に大きい疲労強度強化層を有している。
上記断面構造の本発明に係る超高圧燃料配管の製造方法としては、少なくとも燃料との接触面および/または接触面直下に非金属介在物2が存在する管内面に、チタンを主成分とする活性金属ペーストあるいは、モリブデン−マンガンを主成分とする活性金属ペースト、クロムを主成分とする活性金属ペースト、クロムとアルミニウムを主成分とする活性金属ペースト、ホウ素を主成分とする活性金属ペースト、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストのいずれか一つの活性金属ペーストを塗布し、その後、高温真空雰囲気下あるいは高温水素雰囲気下で熱処理する。
ここで、チタンを主成分とする活性金属ペーストとしては、例えばチタン粉末にエチルセルロースやエチルセロソルブ、酢酸アルミ等の有機バインダを混合したペーストを、モリブデン−マンガンを主成分とする活性金属ペーストとしては、モリブデンとマンガンの微粉末にチタンやタングステン等の微粉末状の添加物を加え、エチルセルロースやエチルセロソルブ、酢酸アルミ等の有機バインダを混合したペーストを、クロムを主成分とする活性金属ペーストとしては、クロム粉末あるいはフェロクロム粉末に塩化アンモニウムを添加した粉末あるいはその粉末体にニトロセルロースを加えたペーストを、ホウ素を主成分とする活性金属ペーストとしては、ホウ素粉末に塩化アンモニウムを添加した粉末体あるいはその粉末体にニトロセルロースを加えたペーストを、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストとしては、クロム粉末とホウ素粉末に塩化アンモニウムを添加した粉末体あるいはその粉末体にニトロセルロースを加えたペーストを、それぞれ用いる。
そして、これらのペーストを管の内面に塗布し、真空雰囲気あるいは水素雰囲気で、雰囲気温度1050〜1300℃で熱処理を施す。なお、熱処理温度を1050〜1300℃としたのは、1050℃未満ではメタライジング層の形成が不十分であり、他方、1300℃を超えるとメタライジング層や拡散層の形成は可能であるが、母材の熱劣化により内圧疲労強度の向上が望めなくなるからである。
本発明では、上記のペースト塗布と熱処理を施すことにより、例えばチタンを主成分とするペーストを用いた場合は、チタンが非金属介在物中に拡散し、非金属介在物の表が金属化する。この時、金属化した非金属介在物の硬度および弾性係数は、金属化していない非金属介在物よりも低下する。また、チタンを主成分とするペーストを塗布した場合は、母材である鋼中に拡散したチタンが炭素と結合しナノメータースケールの炭化チタン粒子となり母材中に分散することによってピンニング効果(鋼中に微細な析出物を作り出すことで鋼の結晶粒が高温加熱により粗大化することを阻止する効果)を発揮し、熱処理による結晶粒が粗大化を防止して母材の強度を向上させる。このため、上記チタンを主成分とするペースト塗布と熱処理を施した管内面では、非金属介在物の金属化と母材の強化によって、両者の硬度および弾性係数の差が前記処理を施さないものと比較して格段に小さいものとなる。したがって、非金属介在物周辺における応力集中が前記処理を施さないものに比べて大幅に小さくなり、結果として内圧疲労強度が格段に向上する。
同様に、モリブデン−マンガンを主成分とするペーストを塗布した場合は、モ
リブデン−マンガンによって非金属介在物が金属化され、また、母材はモリブデンの炭化物が析出し、管内面付近の母材強度を向上させるため、母材と金属化された非金属介在物の硬度および弾性係数の差が小さくなり、内圧疲労強度が向上する。
クロムを主成分とする活性金属ペーストを塗布した場合は、管内面付近にクロム濃度が高く高硬度かつ疲労強度が高い拡散層が形成されるため、内圧による作用応力が最大となる管内面近傍に非金属介在物が存在した場合でも、その非金属介在物近傍が疲労の起点となりえず、結果として内圧に対する疲労強度が向上する。
ホウ素を主成分とする活性金属ペーストを塗布した場合と、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストを塗布した場合も、前記クロムの場合と同様、管内面付近にクロム濃度が高く高硬度かつ疲労強度が高い拡散層が形成されるため、内圧による作用応力が最大となる管内面近傍に非金属介在物が存在した場合でも、その非金属介在物近傍が疲労の起点となりえず、結果として内圧に対する疲労強度が向上する。
連続鋳造材からなるS45C製燃料噴射管(外径8.0mmφ、内径4.0mmφ)の内面に、チタン粉末とエチルセルロースを混合したペーストを塗布した後、該燃料噴射管を真空炉へ装入し、雰囲気温度1100℃×120分間の熱処理を施した後、室温まで十分に冷却し、内面に疲労強度強化層を生成させた。
この燃料噴射管を繰返し圧力試験機にかけて内圧疲労試験を実施した結果、比較材として用いた内面に疲労強化層を有しない同一サイズの未処理品の場合は、疲労限度が220MPaであったのに対し、本発明に係る燃料噴射管の場合は、疲労限度が260MPa以上と高耐久性を示した。
連続鋳造材からなるS45C製コモンレール(本管レールの外径8.0mmφ、内径4.0mmφ、分岐孔径4mmφ)の流通路内面に、チタン粉末とエチルセルロースを混合したペーストを塗布した後、該コモンレールを真空炉へ装入し、雰囲気温度1200℃×120分間の熱処理を施した後、室温まで十分に冷却して流通路内面に疲労強度強化層を生成させた。
このコモンレールを繰返し圧力試験機にかけて内圧疲労試験を実施した結果、比較材として用いた流通路内面に疲労強化層を有しない同一サイズの未処理品の場合は、印加内圧175MPaの油圧による繰返し試験において60万回で流通路と分岐孔との交差部に存在する非金属介在物を起点として破壊したのに対し、本発明に係るコモンレールの場合は、印加内圧250MPaで1000万回の繰返し試験でも破壊することがなく、高耐久性を示した。
連続鋳造材からなるS45C製コモンレール(本管レールの外径30mmφ、内径10mmφ、分岐孔径4mmφ)の流通路内面に、モリブデン微粉末とマンガン微粉末および塩化アンモニウムを混合したペーストを塗布した後、該コモンレールを真空炉へ装入し、雰囲気温度1200℃×120分間の熱処理を施した後、室温まで十分に冷却して流通路内面に疲労強度強化層を生成させた。
このコモンレールを繰返し圧力試験機にかけて内圧疲労試験を実施した結果、比較材として用いた流通路内面に疲労強化層を有しない同一サイズの未処理品の場合は、印加内圧175MPaの油圧による繰返し試験において60万回で流通路と分岐孔との交差部に存在する非金属介在物を起点として破壊したのに対し、本発明に係るコモンレールの場合は、印加内圧250MPaで1000万回の繰返し試験でも破壊することがなく、高耐久性を示した。
連続鋳造材からなるS45C製コモンレール(本管レールの外径30mmφ、内径10mmφ、分岐孔径4mmφ)の流通路内面に、フェロクロム粉末および塩化アンモニウムを混合したペーストを塗布した後、該コモンレールを真空炉へ装入し、雰囲気温度1000℃×120分間の熱処理を施した後、室温まで十分に冷却して流通路内面に疲労強度強化層を生成させた。
このコモンレールを繰返し圧力試験機にかけて内圧疲労試験を実施した結果、比較材として用いた流通路内面に疲労強化層を有しない同一サイズの未処理品の場合は、印加内圧175MPaの油圧による繰返し試験において60万回で流通路と分岐孔との交差部に存在する非金属介在物を起点として破壊したのに対し、本発明に係るコモンレールの場合は、印加内圧250MPaで1000万回の繰返し試験でも破壊することがなく、高耐久性を示した。
連続鋳造材からなるS45C製コモンレール(本管レールの外径30mmφ、内径10mmφ、分岐孔径4mmφ)の流通路内面に、フェロクロム粉末と塩化アンモニウムとアルミナ粉末を混合したペーストを塗布した後、窒素雰囲気炉へ装入し、雰囲気温度1000℃×120分間の熱処理を施した後、室温まで十分に冷却して流通路内面に疲労強度強化層を生成させた。
このコモンレールを繰返し圧力試験機にかけて内圧疲労試験を実施した結果、比較材として用いた流通路内面に疲労強化層を有しない同一サイズの未処理品の場合は、印加内圧220MPaの油圧による繰返し試験において60万回で流通路と分岐孔との交差部に存在する非金属介在物を起点として破壊したのに対し、本発明に係るコモンレールの場合は、印加内圧290MPaで1000万回の繰返し試験でも破壊することがなく、高耐久性を示した。
連続鋳造材からなるS45C製コモンレール(本管レールの外径30mmφ、内径10mmφ、分岐孔径4mmφ)の流通路内面に、ホウ素粉末に塩化アンモニウムを混合したペーストを塗布した後、窒素雰囲気炉へ装入し、雰囲気温度1100℃×120分間の熱処理を施した後、室温まで十分に冷却して流通路内面に疲労強度強化層を生成させた。
このコモンレールを繰返し圧力試験機にかけて内圧疲労試験を実施した結果、比較材として用いた流通路内面に疲労強化層を有しない同一サイズの未処理品の場合は、印加内圧220MPaの油圧による繰返し試験において60万回で流通路と分岐孔との交差部に存在する非金属介在物を起点として破壊したのに対し、本発明に係るコモンレールの場合は、印加内圧300MPaで1000万回の繰返し試験でも破壊することがなく、高耐久性を示した。
連続鋳造材からなるS45C製コモンレール(本管レールの外径30mmφ、内径10mmφ、分岐孔径4mmφ)の流通路内面に、クロム粉末とホウ素粉末に塩化アンモニウムを混合したペーストを塗布した後、窒素雰囲気炉へ装入し、雰囲気温度1100℃×120分間の熱処理を施した後、室温まで十分に冷却して流通路内面に疲労強度強化層を生成させた。
このコモンレールを繰返し圧力試験機にかけて内圧疲労試験を実施した結果、比較材として用いた流通路内面に疲労強化層を有しない同一サイズの未処理品の場合は、印加内圧220MPaの油圧による繰返し試験において60万回で流通路と分岐孔との交差部に存在する非金属介在物を起点として破壊したのに対し、本発明に係るコモンレールの場合は、印加内圧300MPaで1000万回の繰返し試験でも破壊することがなく、高耐久性を示した。
本発明は、チタン微粉末を主成分とするペーストあるいは、モリブデン−マンガン微粉末を主成分とするペースト、クロム微粉末を主成分とする活性金属ペースト、クロム−アルミニウム微粉末を主成分とする活性金属ペースト、ホウ素微粉末を主成分とする活性金属ペースト、クロム−ホウ素微粉末を主成分とする活性金属ペーストのいずれか一つの活性金属ペーストをディーゼル内燃機関等の高圧燃料噴射システムで使用される燃料噴射管、コモンレール、フィードパイプ等の燃料配管の内面に塗布し、真空あるいは水素雰囲気中で熱処理することで、配管内面に存在する非金属介在物表面を金属化して硬度および弾性係数を低下させ、一方で母材においてはこれらチタンあるいはモリブデンーマンガン、クロムを主成分とする活性金属ペースト、クロム−アルミニウムを主成分とする活性金属ペースト、ホウ素を主成分とする活性金属ペースト、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストのいずれかを母材中にナノメータースケールの炭化物として分散させて強度を向上させることで、通常の高圧燃料配管において破壊の主原因であった非金属介在物を起点とする疲労破壊を防止することができるので、既存の設備を使用して低コストで高内圧疲労強度配管を製造することが可能となり、燃料噴射圧力が1800気圧を超える超高圧燃料噴射管やコモンレール、フィードパイプ等の燃料配管を安価に提供することができる。
本発明に係る超高圧燃料配管の母材の断面構造の一例を示す概略図である。 従来の高圧燃料噴射管の断面構造の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 母材
2 非金属介在物
3 非金属介在物のメタライズ層
4 拡散層

Claims (2)

  1. 少なくとも燃料との接触面および/または接触面直下に非金属介在物が存在する内表面に、チタンを主成分とする活性金属ペースト、モリブデン−マンガンを主成分とする活性金属ペースト、クロムを主成分とする活性金属ペースト、クロム−アルミニウムを主成分とする活性金属ペースト、ホウ素を主成分とする活性金属ペースト、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストのいずれか一つの活性金属ペーストを要疲労強度強化表面に塗布した後熱処理することにより、前記非金属介在物の表面がチタンあるいはモリブデンとマンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、ホウ素とクロムのいずれかによりメタライジングされ、かつ少なくとも非金属介在物の周囲の母材表面にチタンあるいはモリブデン−マンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、ホウ素とクロムのいずれかによる拡散層を有し、硬度および弾性係数が母材の非拡散部および拡散部、非金属介在物のメタライジング部および非メタライジング部と傾斜機能材料のごとく順次大きくなっている疲労強度強化層を有することを特徴とする超高圧燃料配管。
  2. 少なくとも燃料との接触面および/または接触面直下に非金属介在物が存在する内表面に、チタンを主成分とする活性金属ペーストあるいは、モリブデン−マンガンを主成分とする活性金属ペースト、クロムを主成分とする活性金属ペースト、クロム−アルミニウムを主成分とする活性金属ペースト、ホウ素を主成分とする活性金属ペースト、クロム−ホウ素を主成分とする活性金属ペーストのいずれか一つの活性金属ペーストを塗布し、その後、高温真空雰囲気下あるいは高温水素雰囲気下で熱処理することにより、前記非金属介在物の表面がチタンあるいはモリブデン−マンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、ホウ素とクロムのいずれかによりメタライジングされ、かつ少なくとも非金属介在物の周囲の母材表面にチタンあるいはモリブデンとマンガン、クロム、クロムとアルミニウム、ホウ素、ホウ素とクロムのいずれかによる拡散層からなる疲労強度強化層を生成させることを特徴とする超高圧燃料配管の製造方法。
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