JP4640847B2 - サスペンション装置 - Google Patents
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Description
従来、サスペンションアームの支点に設けられるゴムブッシュにすぐりを形成するとともに、内筒を外筒に対して偏芯させることによってサスペンションアームの圧縮時と引張時とでブッシュの剛性を変化させて、旋回時に所望のトー変化を発生させることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
また、アクチュエータを用いて車輪のトー角を変化させるトー角変更手段を設けて、車両の走行状態に応じてトー角を変更するサスペンション装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
さらに、車両の操縦安定性及び乗り心地を損なうことなく、車両全体の剛性の向上を図る目的で、フロアトンネルを挟んだフロアパネル間にわたして減衰機構を有する補強連結部を配置し、補強連結部の端部に回動許容機構を設けることが知られている(例えば、特許文献4を参照)。
また、前後に離間したサスペンションアームを有する後輪用サスペンションの前側サスペンションアームで上述した特性が現れると、旋回内輪のトーアウト側へのトー変化が顕著となって内輪のコーナリングフォースが増加して旋回内輪への依存が強まり、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果によって、車両が後下がりとなるピッチングを伴うロール挙動が発生する。
本発明の課題は、ロール時のフィーリングが良好なサスペンション装置を提供することである。
請求項1の発明は、左右の前輪をそれぞれ支持する前輪支持部材と、車体に固定された車体側部材と、左右の前記前輪支持部材と前記車体側部材とをそれぞれ連結するサスペンションアームと、前記前輪支持部材の操向軸線よりも前方側に連結されるタイロッドとを備えるサスペンション装置であって、前記車体側部材の左右の前記サスペンションアームの支持部の間にわたして設けられ、該支持部の間に引張荷重を作用させる連結部材を備えることを特徴とするサスペンション装置である。
このため、旋回内輪側では、当初支持部が車幅方向外側へ引っ張られた状態から、サスペンションアームからの横力でさらに引張荷重が増大するので、ヒステリシスの影響をほとんど受けず、支持部は横力の増大に応じてただちに変位を開始するため、車幅方向外側への変位が大きくなる。
これに対し、旋回外輪側では、当初支持部が外側へ引っ張られた状態から、サスペンションアームからの引張荷重が減少し、さらに圧縮荷重が作用する場合もあるため、サスペンションアームからの横力はまずヒステリシスロスとして車体側部材に吸収され、この間は車体側部材の変形は抑制されるため、支持部の車幅方向内側への変位は小さくなる。
通常、車両のロール挙動時においては、前下がり(後上がり)となるピッチング挙動を伴ったほうが、運転者の得るフィーリングが良好となることから、上述した各現象の発生は好ましくない。
これによって、旋回内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに、旋回外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が抑制され、車両は前下がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
これによって、旋回外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が促進されるとともに、旋回内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が抑制され、車両は後上がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
このような連結部材をタイロッド後置きの前輪用サスペンションに適用した場合、旋回内輪側ではサスペンションアームの車幅方向外側への変位量が大きくなり、内輪の実舵角の切り増しが促進される。一方、旋回外輪側ではサスペンションアームの車幅方向内側への変位量が小さくなることによって、外輪の実舵角の切り増しが抑制される。このため、内輪のほうが外輪に対して相対的にスリップアングルが大きくなり、その結果発生する横力も相対的に大きくなる。
これによって、旋回内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに、旋回外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が抑制され、車両は前下がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
これによって、旋回外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が促進されるとともに、旋回内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が抑制され、車両は後上がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
このため、旋回内輪側のサスペンションブッシュは、当初からサスペンションアームの引張荷重が負荷され、旋回時の横力によってこの引張荷重がさらに増大するので、ヒステリシスの影響をほとんど受けず、サスペンションブッシュは横力の増大に応じてただちに変形を開始するため、サスペンションアームの車幅方向外側への変位が大きくなる。
これに対し、旋回外輪側のサスペンションブッシュは、サスペンションアームの引張荷重が負荷された状態から、この引張荷重が減少し、さらに圧縮荷重が作用する場合もあるため、サスペンションアームからの横力はまずヒステリシスロスとしてサスペンションブッシュに吸収され、この間はサスペンションブッシュの変形は抑制されるため、サスペンションアームの車幅方向内側への変位は小さくなる。
これによって、旋回内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに、旋回外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が抑制され、車両は前下がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
これによって、旋回外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が促進されるとともに、旋回内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が抑制され、車両は後上がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
このような連結部材をタイロッド後置きの前輪用サスペンションに適用した場合、旋回内輪側ではサスペンションアームの車幅方向外側への変位量が大きくなり、内輪の実舵角の切り増しが促進される。一方、旋回外輪側ではサスペンションアームの車幅方向内側への変位量が小さくなることによって、外輪の実舵角の切り増しが抑制される。このため、内輪のほうが外輪に対して相対的にスリップアングルが大きくなり、その結果発生する横力も相対的に大きくなる。
これによって、旋回内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに、旋回外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が促進され、車両は前下がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
これによって、旋回外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が促進されるとともに、旋回内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が抑制され、車両は後上がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
(1)タイロッド前置きの前輪用サスペンションにおけるフロントクロスメンバの左右のサスペンションアーム支持部に、これらの間隔が狭まる方向の荷重を負荷する連結部材を設けた。
(2)タイロッド後置きの前輪用サスペンションにおけるフロントクロスメンバの左右のサスペンションアーム支持部に、これらの間隔が広がる方向の荷重を負荷する連結部材を設けた。
(3)パラレルリンクストラット式の後輪用サスペンションにおけるリアクロスメンバの左右のフロントラテラルアーム支持部に、これらの間隔が狭まる方向の荷重を負荷する連結部材を設けた。
(4)パラレルリンクストラット式の後輪用サスペンションにおけるリアクロスメンバの左右のリアラテラルアーム支持部に、これらの間隔が広がる方向の荷重を負荷する連結部材を設けた。
(6)タイロッド後置きの前輪用サスペンションにおける左右のロワアームに、これらの間隔がこれらの間隔が広がる方向の荷重を負荷する連結部材を設けた。
(7)パラレルリンクストラット式の後輪用サスペンションにおける左右のフロントラテラルアームに、これらの間隔が狭まる方向の荷重を負荷する連結部材を設けた。
(8)パラレルリンクストラット式の後輪用サスペンションにおける左右のリアラテラルアームに、これらの間隔が広がる方向の荷重を負荷する連結部材を設けた。
以下、各形態の実施例について詳細に説明する。
実施例1のサスペンション装置は、乗用車等の自動車の前輪用として適用されるマクファーソンストラット式のものである。先ず、本発明の比較例1として、本発明が適用される対象となる既存のマクファーソンストラット式サスペンションについて説明する。
図1は、比較例1のサスペンション装置を車体床下側の前方側から見た状態を示す外観斜視図である。
図2は、比較例1のサスペンション装置を車体床下側の車幅方向中央部側から見た状態を示す外観斜視図である。
図3は、比較例1のサスペンション装置を車両前方側から見た状態を示す模式図である。
なお、各図において、左右一対が設けられる箇所については、必要に応じて左側にL、右側にRの添え字を付して図示する。
フロントクロスメンバ2は、車体1のサイドフレームFの下部に装着され、車幅方向に延在する梁状の部材(車体側部材)であって、サスペンション装置を構成する各部材が装着される基部となるものである。
また、フロントクロスメンバ2には、その下部から突き出したブラケット3が形成されている。ブラケット3は、ロワアーム30の車体側の支点となる部分であって、左右のロワアーム30に対応して車幅方向に離間して1対が設けられている。
さらに、フロントクロスメンバ2の上部には、エンジンEが左右1対のエンジンマウントMを介して搭載されている。
ストラット20は、コイルスプリング及びショックアブソーバをアセンブリ化したものであって、上端部は車体1に固定され、下端部はハウジング10の上端部に固定されている。ストラット20は、前輪の転舵時にハウジング10とともに操向軸線(キングピン)回りに回転し、また、サスペンション装置のストロークに応じて伸縮する。
ロワアーム30は、車体側においては、車両の前後方向に離間して配置された2箇所の接続部においてブラケット3等に接続され、サスペンション装置のストロークに応じて、この2箇所の接続部を結んだ直線である揺動中心軸回りに揺動(回転)する。ロワアーム30の前側の接続部はフロントクロスメンバ2のブラケット3に接続され、後側の接続部は、フロントクロスメンバ2を介さず車体1に接続されている。
ロワアーム30はほぼL字状に屈曲して形成されており、前後の車体等との接続部にはそれぞれゴムブッシュが設けられている。
ロワアーム30には、前後のゴムブッシュの外筒がそれぞれ圧入される円筒部32,33がそれぞれ設けられている。前側の円筒部32は、その軸方向を車両の前後方向とほぼ一致させて配置されている。前側のゴムブッシュ34(図3等参照)は、その内筒内に挿入されるボルトによってフロントクロスメンバ2に接続されている。後側の円筒部33は、その軸方向がほぼ上下方向に配置されている。
ゴムブッシュ(サスペンションブッシュ)34は、例えば、ロワアーム30の円筒部32に圧入される外筒、この外筒内に挿入され、上述したボルトが挿入される内筒、これら外筒と内筒との間に設けられるゴム部等を備えて構成されている。ゴム部は、外筒の内周面及び内筒の外周面とそれぞれ加硫接着によって接合されている。
ステアリングギアボックス51は、ステアリングホイールに接続された図示しないステアリングシャフトの回転運動を車幅方向の直進運動に変換するラックアンドピニオン機構を備えている。
タイロッド52は、ステアリングギアボックス51とハウジング10の前端部に設けられたナックルアームとを接続し、図示しないステアリングラックの動きをハウジング10に伝達し、ハウジング10の操向を行うロッド状の部材である。タイロッド52は、その車幅方向外側の端部であるタイロッドエンドに設けられたボールジョイントを介して、ハウジング10のナックルアームに接続されている。
ドライブシャフト70は、図示しないディファレンシャルギアからハウジング10に装着された図示しないホイールハブに駆動力を伝達するものであり、その両端部には等速ジョイントが設けられ屈曲可能となっている。
サポートプレート80は、後側のゴムブッシュの下部を支持する部材である。
実施例1のサスペンション装置は、比較例1に対して、以下説明する連結部材90を設けた点で相違する。
そして、定常時(直進時等)において、連結部材90が左右のブラケット3間に作用させるモーメントは、車輪の接地荷重によるロワアーム30の引張荷重及びエンジンマウント等からの荷重によって生じるモーメント(以下、「初期モーメント」と称する)に対して、ブラケット3が相互に近接する方向に変形する際にブラケット3に作用するモーメントと、離間する方向に変形する際にブラケット3に作用するモーメントとの差(ヒステリシス幅)を加えたモーメントよりも大きく設定されている。
図5は、比較例1のフロントクロスメンバとフレームとの接合部(図3のA点)に作用する曲げモーメントと、ブラケットのロワアームとの接続部の変位との相関を示すグラフである。図5において、縦軸は曲げモーメントを示し、横軸は変位を示している。また、横軸において、右側は車幅方向外側への変位を示し、左側は車幅方向内側への変位を示している(図6,10,11において同じ)。
これに対し、旋回内輪側においては、外輪側のようなヒステリシスの影響をほとんど受けないため、初期の入力から直ちにブラケット3は変位を開始するため、ブラケット3の車幅方向外側への変位は大きくなる。
図6に示すように、実施例1においては、直進状態から旋回内輪側、外輪側でそれぞれ逆向きのモーメントが作用した場合、旋回内輪側においては、初期の入力はヒステリシスロスとしてフロントクロスメンバ2の内部で吸収される。そして、フロントクロスメンバ2のヒステリシス幅に相当するモーメントが吸収された後にブラケット3は本格的に変位を開始するため、ブラケット3の車幅方向外側への変位は小さくなる。
これに対し、旋回外輪側においては、内輪側のようなヒステリシスの影響をほとんど受けないため、初期の入力から直ちにブラケット3は変位を開始するため、ブラケット3の車幅方向内側への変位は大きくなる。
これによって、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに、外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が抑制され、車両は前下がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
実施例2のサスペンション装置は、実施例1のサスペンション装置に対して、ステアリングシステム50のステアリングギアボックス51及びタイロッド52を操向軸線の後側に配置するとともに、フロントクロスメンバ2の左右のブラケット3の間隔を狭める方向の荷重を負荷する連結部材90に代えて、左右のブラケット3の間隔を広げる方向の荷重(プリロード)を負荷する図示しない連結部材を設けた点で相違する。連結部材は伸縮可能に構成され、その伸縮量に応じた付勢力を発生する圧縮バネ要素を備えている。
そして、実施例2では実施例1と異なり、タイロッド52がキングピンに対して後置きとなっていることから、上述した特性によって、内輪の実舵角の切り増しが促進されるとともに、外輪の実舵角の切り増しが抑制されて、内輪のスリップアングル及び横力が外輪に対して相対的に大きくなる。
これによって、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに、外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が抑制され、車両は前下がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
実施例3のサスペンション装置は、乗用車等の自動車の後輪用として適用されるパラレルリンクストラット式のものである。
図7は、実施例3のサスペンション装置を車両前方側から状態を示す模式図である。
図8は、実施例3のサスペンション装置の各サスペンションアームの配置を示す模式的平面図である。
リアクロスメンバ102は、車幅方向における両端部が車体のサイドフレームFに固定されている。
ブラケット103は、リアクロスメンバ102の下部から突き出して形成され、フロントラテラルアーム130の車体側の支点となる部分である。ブラケット103は、左右のフロントラテラルアーム130に対応して、車幅方向に離間して1対が設けられている。
図8に示すように、フロントラテラルアーム130及びリアラテラルアーム140は、ほぼ車幅方向に延在し、前後方向に離間してほぼ平行に配置されている。フロントラテラルアーム130及びリアラテラルアーム140の車幅方向外側の端部は、ゴムブッシュ131,141を介してハウジングに揺動可能に接続されている。また、フロントラテラルアーム130及びリアラテラルアーム140の車幅方向内側の端部は、ゴムブッシュ132,142を介してリアクロスメンバ102に揺動可能に接続されている。
また、フロントラテラルアーム130及びリアラテラルアーム140には、車両の直進状態においてハウジング側の端部がリアクロスメンバ102側の端部よりも低くなるように下反角をつけて配置されている。
トレーリングアーム150は、車両のほぼ前後方向に延在して配置され、前端部を車体1に揺動可能に接続され、後端部をハウジングの前端部に揺動可能に接続されている。
そして、定常時(直進時等)において、連結部材190が左右のブラケット103間に作用させるモーメントは、ブラケット103が相互に近接する方向に変形する際に作用するモーメントと、離間する方向に変形する際に作用するモーメントの差(ヒステリシス幅)に初期モーメントを加えたモーメントよりも大きく設定されている。
図9は、比較例2のサスペンション装置を車両前方側から状態を示す模式図である。
比較例2のサスペンション装置は、上述した連結部材190が設けられていない点で実施例3のサスペンション装置と相違する。
図10に示すように、比較例2においては、直進状態から旋回内輪側、外輪側でそれぞれ逆向きのモーメントが作用した場合、旋回外輪側においては、初期の入力はヒステリシスロスとしてリアクロスメンバ102及びブラケット103の内部で吸収される。そして、これらのヒステリシス幅に相当するモーメントが吸収された後にブラケット103は本格的に変位を開始するため、ブラケット103の車幅方向内側への変位は小さくなる。
これに対し、旋回内輪側においては、外輪側のようなヒステリシスの影響をほとんど受けないため、初期の入力から直ちにブラケット103は変位を開始するため、ブラケット103の車幅方向外側への変位は大きくなる。
その結果、比較例2においては、内輪のスリップアングル及び横力が外輪に対して相対的に大きくなる。このため、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が抑制され、車両は後下がりとなるピッチング挙動を伴ったロール挙動を示す。
実施例3においては、直進状態から旋回内輪側、外輪側でそれぞれ逆向きのモーメントが作用した場合、旋回内輪側においては、初期の入力はヒステリシスロスとしてリアクロスメンバ102及びブラケット103の内部で吸収される。そしてこれらのヒステリシス幅に相当するモーメントが吸収された後にブラケット103は本格的に変位を開始するため、ブラケット103の車幅方向外側への変位は小さくなる。
これに対し、旋回外輪側においては、内輪側のようなヒステリシスの影響をほとんど受けないため、初期の入力から直ちにブラケット103は変位を開始するため、ブラケット103の車幅方向内側への変位は大きくなる。
これによって、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が抑制されるとともに、外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が促進され、車両は後上がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
実施例4のサスペンション装置は、実施例3のサスペンション装置に対して、フロントラテラルアーム130を支持する左右のブラケット103の間隔が狭まる方向の荷重を負荷する連結部材190に代えて、リアラテラルアーム140を支持する左右の図示しないブラケットの間隔が広がる方向の荷重を負荷する図示しない連結部材を設けた点で相違する。連結部材は伸縮可能に構成され、その伸縮量に応じた付勢力を発生する圧縮バネ要素を備えている。
上述した特性によって、内輪のトーアウト方向へのトー変化が抑制されるとともに、外輪のトーイン方向へのトー変化が促進される。その結果、外輪のスリップアングル及び横力が内輪に対して相対的に大きくなる。
これによって、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が抑制されるとともに、外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が促進され、車両は後上がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
図12は、実施例5のサスペンション装置を車両前方側から見た模式図である。
実施例5のサスペンション装置は、実施例1のサスペンション装置に対して、ブラケット3の間隔を狭める方向の荷重を負荷する連結部材90に代えて、以下説明する連結部材290を設けた点で相違する。
ロワアーム30には、ゴムブッシュ34を保持する円筒部から車幅方向内側へ突き出した延長部35が形成される。連結部材290は、左右のロワアーム30の延長部35の間にわたして設けられている。
そして、定常時(直進時等)において、連結部材290が左右のロワアーム30間に作用させる荷重は、車輪の接地荷重によるロワアーム30の引張荷重に対してロワアーム30が近接する方向にゴムブッシュ34が変形する際にゴムブッシュ34に作用する荷重と、ロワアーム30が離間する方向に変形する際にゴムブッシュ34に作用する荷重との差(ヒステリシス幅)を加えた荷重よりも大きく設定されている。
図13は、比較例3のサスペンション装置を車両前方側から見た模式図である。
比較例3のサスペンション装置は、上述した連結部材290が設けられていない点で実施例5のサスペンション装置と相違する。
図14において、縦軸はロワアーム30に作用する引張力又は圧縮力に起因してゴムブッシュ34の内筒と外筒との間に作用する軸方向力を示す。また、横軸はゴムブッシュの変位量を示し、右側がロワアーム30が車幅方向外側へ変位する方向、左側が車幅方向内側へ変位する方向となっている(図15,18,19において同じ)。
これに対し、旋回内輪側においては、外輪側のようなヒステリシスの影響をほとんど受けないため、初期の入力から直ちにゴムブッシュ34は変形を開始するため、ロワアーム30の車幅方向外側への変位は大きくなる。
図15に示すように、実施例5においては、直進状態から旋回内輪側、外輪側でそれぞれ逆向きの荷重が作用した場合、旋回内輪側においては、初期の入力はヒステリシスロスとしてゴムブッシュ34のゴム部で吸収される。そして、ゴム部のヒステリシス幅に相当する荷重が吸収された後にゴムブッシュ34は本格的に変形を開始するため、ロワアーム30の車幅方向外側への変位は小さくなる。
これに対し、旋回外輪側においては、内輪側のようなヒステリシスの影響をほとんど受けないため、初期の入力から直ちにゴムブッシュ34は変形を開始するため、ロワアーム30の車幅方向内側への変位は大きくなる。
これによって、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに、外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が抑制され、車両は前下がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
実施例6のサスペンション装置は、上述した実施例2のサスペンション装置に対して、左右のブラケット3の間隔を広げる方向の荷重(プリロード)を負荷する連結部材に代えて、左右のロワアーム30に直接接続されこれらの間隔を広げる方向の荷重(プリロード)を負荷する図示しない連結部材を設けた点で相違する。連結部材は伸縮可能に構成され、その伸縮量に応じた付勢力を発生する圧縮バネ要素を備えている。この連結部材は、上述した実施例5と同様のロワアーム30の延長部35間にわたして設けられている。
実施例6ではタイロッド52がキングピンに対して後置きとなっていることから、上述した特性によって、内輪の実舵角の切り増しが促進されるとともに、外輪の実舵角の切り増しが抑制されて、内輪のスリップアングル及び横力が外輪に対して相対的に大きくなる。
これによって、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに、外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が抑制され、車両は前下がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
図16は、実施例7のサスペンション装置を車両前方側から見た模式図である。
実施例7のサスペンション装置は、実施例3のサスペンション装置に対して、ブラケット103の間隔を狭める方向の荷重を負荷する連結部材190に代えて、以下説明する連結部材390を設けた点で相違する。
フロントラテラルアーム130には、ゴムブッシュ132の保持部から車幅方向内側へ突き出した延長部133が形成される。連結部材390は、左右のフロントラテラルアーム130の延長部133の間にわたして設けられている。
そして、定常時(直進時等)において、連結部材390が左右のフロントラテラルアーム130間に作用させる荷重は、車輪の接地荷重によるフロントラテラルアーム130の引張荷重に対して、フロントラテラルアーム130が近接する方向にゴムブッシュ132が変形する際にゴムブッシュ132に作用する荷重と、フロントラテラルアーム130が離間する方向にゴムブッシュ132が変形する際にゴムブッシュ132に作用する荷重との差(ヒステリシス幅)を加えた荷重よりも大きく設定されている。
図17は、比較例4のサスペンション装置を車両前方側から見た模式図である。
比較例4のサスペンション装置は、上述した連結部材390が設けられていない点で実施例7のサスペンション装置と相違する。
図18に示すように、比較例4においては、直進状態から旋回内輪側、外輪側でそれぞれ逆向きの荷重が負荷された場合、旋回外輪側においては、初期の入力はヒステリシスロスとしてゴムブッシュ132のゴム部で吸収される。そして、ゴム部のヒステリシス幅に相当する荷重が吸収された後にゴムブッシュ132は本格的に変形を開始するため、フロントラテラルアーム130の車幅方向内側への変位は小さくなる。
これに対し、旋回内輪側においては、外輪側のようなヒステリシスの影響をほとんど受けないため、初期の入力から直ちにゴムブッシュ132は変形を開始するため、フロントラテラルアーム130の車幅方向内側への変位は大きくなる。
その結果、比較例4においては、内輪のスリップアングル及び横力が外輪に対して相対的に大きくなる。このため、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が促進されるとともに外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が抑制され、車両は後下がりとなるピッチング挙動を伴ったロール挙動を示す。
図19に示すように、実施例7においては、直進状態から旋回内輪側、外輪側でそれぞれ逆向きの荷重が作用した場合、旋回内輪側においては、初期の入力はヒステリシスロスとしてゴムブッシュ132のゴム部で吸収される。そして、ゴム部のヒステリシス幅に相当する荷重が吸収された後にゴムブッシュ132は本格的に変形を開始するため、フロントラテラルアーム130の車幅方向外側への変位は小さくなる。
これに対し、旋回外輪側においては、内輪側のようなヒステリシスの影響をほとんど受けないため、初期の入力から直ちにゴムブッシュ132は変形を開始するため、フロントラテラルアーム130の車幅方向内側への変位は大きくなる。
これによって、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が抑制されるとともに、外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が促進され、車両は後上がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
実施例8のサスペンション装置は、上述した実施例7のサスペンション装置に対して、フロントラテラルアーム130の間隔を狭める方向の荷重を負荷する連結部材390に代えて、リアラテラルアーム140の間隔を広げる方向の荷重を負荷する図示しない連結部材を設けた点で相違する。連結部材は伸縮可能に構成され、その伸縮量に応じて左右のリアラテラルアーム140の間隔を広げる方向の付勢力を発生する圧縮バネ要素を備えている。
上述した特性によって、内輪のトーアウト方向へのトー変化が抑制されるとともに、外輪のトーイン方向へのトー変化が促進される。その結果、外輪のスリップアングル及び横力が内輪に対して相対的に大きくなる。
これによって、内輪側サスペンションのジャッキダウン効果が抑制されるとともに、外輪側サスペンションのジャッキアップ効果が促進され、車両は後上がりとなるピッチング挙動を伴うロール挙動を示すようになり、フィーリングが向上する。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)実施例1から実施例4においては、連結部材は、フロント又はリアのクロスメンバのブラケット間にプリロードを負荷するものであったが、本発明はこれらの実施例に限定されず、連結部材は他の部分にプリロードを負荷する構成としてもよい。例えば、車体の左右のサスペンション取付部の間に荷重を負荷する構成としてもよい。
(2)実施例3,4,7,8の後輪用サスペンションは、例えばパラレルリンクストラット式のものであるが、本発明はこれに限定されず、前後に離間して配置されたロワアームとアッパリンクとを組み合わせたダブルウィッシュボーン式やマルチリンク式のサスペンション装置にも適用することができる。同様に、前輪用サスペンションの形式についても、実施例1,2,5,6のようなマクファーソンストラット式のものに限定されない。
(3)上述した各実施例は、単独での適用に限らず相互に組み合わせて適用することもできる。例えば、実施例1,2,5,6の前輪用サスペンションと、実施例3,4,7,8の後輪用サスペンションとを組み合わせて用いてもよい。また、実施例3と実施例4とを組み合わせたり、実施例7と実施例8とを組み合わせて用いてもよい。このような組み合わせを実施することによって、相乗効果によってロール挙動時のフィーリングをよりいっそう向上することができる。
2 フロントクロスメンバ
3 ブラケット
10 ハウジング
20,120 ストラット
30 ロワアーム
31 ボールジョイント
32,33 円筒部
34 ゴムブッシュ
35 延長部
40 スタビライザ
41 リンク
50 ステアリングシステム
51 ステアリングギアボックス
52 タイロッド
60 フロントブレーキ
70 ドライブシャフト
80 サポートプレート
90,190,290,390 連結部材
130 フロントラテラルアーム
131,132 ゴムブッシュ
133 延長部
140 リアラテラルアーム
141,142 ゴムブッシュ
150 トレーリングアーム
W 車輪
E エンジン
M エンジンマウント
Claims (10)
- 左右の前輪をそれぞれ支持する前輪支持部材と、
車体に固定された車体側部材と、
左右の前記前輪支持部材と前記車体側部材とをそれぞれ連結するサスペンションアームと、
前記前輪支持部材の操向軸線よりも前方側に連結されるタイロッドと
を備えるサスペンション装置であって、
前記車体側部材の左右の前記サスペンションアームの支持部の間にわたして設けられ、該支持部の間隔を狭める方向の荷重を作用させる連結部材を備えること
を特徴とするサスペンション装置。 - 左右の前輪をそれぞれ支持する前輪支持部材と、
車体に固定された車体側部材と、
左右の前記前輪支持部材と前記車体側部材とをそれぞれ連結するサスペンションアームと、
前記前輪支持部材の操向軸線よりも後方側に連結されるタイロッドと
を備えるサスペンション装置であって、
前記車体側部材の左右の前記サスペンションアームの支持部の間にわたして設けられ、該支持部の間隔を広げる方向の荷重を作用させる連結部材を備えること
を特徴とするサスペンション装置。 - 左右の後輪をそれぞれ支持する後輪支持部材と、
車体に固定された車体側部材と、
左右の前記後輪支持部材と前記車体側部材とをそれぞれ連結する前側サスペンションアームと、
前記前側サスペンションアームの後方側に配置され前記後輪支持部材と連結された後側サスペンションアームと
を備えるサスペンション装置であって、
前記車体側部材の左右の前記前側サスペンションアームの支持部の間にわたして設けられ、該支持部の間隔を狭める方向の荷重を作用させる連結部材を備えること
を特徴とするサスペンション装置。 - 左右の後輪をそれぞれ支持する後輪支持部材と、
車体に固定された車体側部材と、
左右の前記後輪支持部材と前記車体側部材とをそれぞれ連結する後側サスペンションアームと、
前記後側サスペンションアームの前方側に配置され前記後輪支持部材と連結された前側サスペンションアームと
を備えるサスペンション装置であって、
前記車体側部材の左右の前記後側サスペンションアームの支持部の間にわたして設けられ、該支持部の間隔を広げる方向の荷重を作用させる連結部材を備えること
を特徴とするサスペンション装置。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のサスペンション装置において、
前記連結部材の前記荷重は、前記車体側部材の前記支持部間が離間する方向に変位する際に該支持部間に作用する荷重と、前記車体側部材の前記支持部間が接近する方向に変位する際に該支持部間に作用する荷重との差よりも大きいこと
を特徴とするサスペンション装置。 - 左右の前輪をそれぞれ支持する前輪支持部材と、
車体に固定された車体側部材と、
左右の前記前輪支持部材と前記車体側部材とをそれぞれ連結するサスペンションアームと、
前記サスペンションアームと前記車体側部材との連結部に設けられ、前記サスペンションアームに作用する横力に応じて変形する弾性体を有するサスペンションブッシュと、
前記前輪支持部材の操向軸線よりも前方側に連結されるタイロッドと
を備えるサスペンション装置であって、
左右の前記サスペンションアームにわたして設けられ、該サスペンションアームの間隔を狭める方向の荷重を作用させる連結部材を備え、
前記連結部材の前記荷重は、該連結部材が接続されたサスペンションアームが離間する方向に変位する際に該サスペンションアーム間に作用する荷重と、該サスペンションアームが接近する方向に変位する際に該サスペンションアーム間に作用する荷重との差よりも大きいこと
を特徴とするサスペンション装置。 - 左右の前輪をそれぞれ支持する前輪支持部材と、
車体に固定された車体側部材と、
左右の前記前輪支持部材と前記車体側部材とをそれぞれ連結するサスペンションアームと、
前記サスペンションアームと前記車体側部材との連結部に設けられ、前記サスペンションアームに作用する横力に応じて変形する弾性体を有するサスペンションブッシュと、
前記前輪支持部材の操向軸線よりも後方側に連結されるタイロッドと
を備えるサスペンション装置であって、
左右の前記サスペンションアームにわたして設けられ、該サスペンションアームの間隔を広げる方向の荷重を作用させる連結部材を備え、
前記連結部材の前記荷重は、該連結部材が接続されたサスペンションアームが離間する方向に変位する際に該サスペンションアーム間に作用する荷重と、該サスペンションアームが接近する方向に変位する際に該サスペンションアーム間に作用する荷重との差よりも大きいこと
を特徴とするサスペンション装置。 - 左右の後輪をそれぞれ支持する後輪支持部材と、
車体に固定された車体側部材と、
左右の前記後輪支持部材と前記車体側部材とをそれぞれ連結する前側サスペンションアームと、
前記前側サスペンションアームの後方側に配置され前記後輪支持部材と連結された後側サスペンションアームと、
前記前側サスペンションアームと前記車体側部材との連結部に設けられ、前記前側サスペンションアームに作用する横力に応じて変形する弾性体を有するサスペンションブッシュと
を備えるサスペンション装置であって、
左右の前記前側サスペンションアームにわたして設けられ、該前側サスペンションアームの間隔を狭める方向の荷重を作用させる連結部材を備え、
前記連結部材の前記荷重は、該連結部材が接続されたサスペンションアームが離間する方向に変位する際に該サスペンションアーム間に作用する荷重と、該サスペンションアームが接近する方向に変位する際に該サスペンションアーム間に作用する荷重との差よりも大きいこと
を特徴とするサスペンション装置。 - 左右の後輪をそれぞれ支持する後輪支持部材と、
車体に固定された車体側部材と、
左右の前記後輪支持部材と前記車体側部材とをそれぞれ連結する後側サスペンションアームと、
前記後側サスペンションアームの前方側に配置され前記後輪支持部材と連結された前側サスペンションアームと、
前記後側サスペンションアームと前記車体側部材との連結部に設けられ、前記後側サスペンションアームに作用する横力に応じて変形する弾性体を有するサスペンションブッシュと
を備えるサスペンション装置であって、
左右の前記後側サスペンションアームにわたして設けられ、該後側サスペンションアームの間隔を広げる方向の荷重を作用させる連結部材を備え、
前記連結部材の前記荷重は、該連結部材が接続されたサスペンションアームが離間する方向に変位する際に該サスペンションアーム間に作用する荷重と、該サスペンションアームが接近する方向に変位する際に該サスペンションアーム間に作用する荷重との差よりも大きいこと
を特徴とするサスペンション装置。 - 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のサスペンション装置において、
前記連結部材は車幅方向の長さが伸縮可能であり、伸縮量に応じた付勢力を発生するバネ要素を有すること
を特徴とするサスペンション装置。
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