JP4639513B2 - 歯車の噛合い調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両に搭載されるトランスミッション内のリングギヤとドライブピニオンギヤのような2つの歯車の噛合いを調整する歯車の噛合い調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用最終減速歯車などのハイポイドギヤ(hy poid gear、食い違い歯車の一種)から成る2つの歯車(例えば、リングギヤとドライブピニオンギヤ)を噛み合わせて回転させると、ギヤノイズが発生することがある。
上述のギヤノイズは、例えば設計された歯の精度により歯当りが不充分であることが、その一つの要因である。
【0003】
そこで、従来、2つの歯車の相対的な歯形を評価する方法として所謂V/Hチェック方法が知られている(ここにVはverticalの略で垂直、Hはhorizontalの略で水平を意味する)。
【0004】
このV/Hチェック方法は、図10に示すように、駆動歯車および従動歯車に対して相対配置誤差を与えることにより、同図に示すように、従動歯車101の歯面の外径端側と内径端側とに噛合接触痕102,103をつけて、この時の歯当り形状と相対配置誤差量とによって評価を行なう方法であるが、この従来方法では、上記歯当りを熟練者の目視により判断するものであるから、判定誤差が生じやすく、また、定量的な評価とは成り得ないことは勿論、ギヤノイズとの相関関係についても不充分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、特開平3-100434号公報に記載のような、歯車の歯当り品質判定方法が既に発明されている。
この方法は、一対の歯車の何れか一方の歯車の歯面に塗料を塗布し、この一対の歯車を噛合させて回転させ、撮像手段により上記一方の歯車の歯面を塗布された塗料の剥離状態、または、他方の歯車の歯面に転写された塗料の付着状態に関する画像を撮像し、得られた画像に基づき上記一対の歯車の歯当り品質を判定するものである。
【0006】
要するに、この従来方法は、歯車が正確に製造されていて、良好な歯当りが得られるか否かを画像処理によって判定するものであるが、この従来方法においては、マスタギヤに対して歯車を噛合させて判定するものであるから、実際の製品(部品)としての2つの歯車を噛合せた場合のギヤノイズ対策とは成り得ない問題点があった。
そこで、本発明者等は諸種の検討を重ねた結果、ギヤノイズが発生する原因が2つの歯車を噛合せた時の噛合い伝達誤差によるものであることを見い出した。
【0007】
本発明は、2つの歯車を噛合わせ、両歯車回転軸の各調整方向の噛合い伝達誤差を計測し、この噛合い伝達誤差と各調整方向の座標(座標系)を求め、噛合い伝達誤差が所定値以下となる各調整方向の座標点を求め、求めた座標点に基づいて両歯車回転軸の組付け位置を設定することで、噛合い伝達誤差の低領域が確実に回転に使用でき、ギヤノイズの低減を図ることができる歯車の噛合い調整方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による歯車の歯合い調整方法は、トランスミッションケースの所定部に組付けられる傘歯車のリングギヤである第1の歯車と、該第1の歯車の回転軸心から所定距離オフセットした回転軸心を有するドライブピニオンギヤである第2の歯車とを噛合わせ、上記第1の歯車の回転軸の上記オフセットの方向および上記第2の歯車の回転軸の軸心の方向の各調整方向の噛合い伝達誤差を計測する工程と、上記噛合い伝達誤差と各調整方向の少なくとも2次元座標を求める工程と、上記噛合い伝達誤差が所定値以下となる各調整方向における座標点を求める工程と、上記座標点に基づいて両歯車回転軸の組付け位置を設定する工程とを備えたものである。
【0009】
上記構成の第1、第2の各歯車は、実際の製品(部品)としての歯車に設定することができる。また、上記調整方向は、V方向(verticalの略で垂直方向、詳しくはギヤ・マウント・ディスタンスとしてのGMD方向)とH方向(horizontalの略で水平方向、詳しくはピニオン・マウント・ディスタンスとしてのPMD方向)とに設定することができる。
【0010】
さらに、上記構成の座標は、2次元座標(2次元マップ)、望ましくは3次元座標(3次元マップ)に設定することができ、噛合い伝達誤差が所定値以下については最小値が望ましい。
【0011】
上記構成によると、まず、第1の歯車(傘歯車のリングギヤ)と第2の歯車(ドライブピニオンギヤ)とを噛合わせ、両歯車回転軸の各調整方向の噛合い伝達誤差が計測され、次の工程で、上述の噛合い伝達誤差と各調整方向の少なくとも2次元座標が求められ、次の工程で、噛合い伝達誤差が所定値以下となる各調整方向における座標点が求められ、次の工程で、求められた座標点に基づいて両歯車回転軸の組付け位置が設定(設置)される。
【0012】
このように、上述の座標点に基づいて両歯車が設置されるので、噛合い伝達誤差の低領域が実際の歯車回転に確実に使用でき、この結果、ギヤノイズの低減を図ることができる。
【0013】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は歯車の噛合い調整方法を示すが、まず図1を参照して2つの歯車の配置について説明する。
【0014】
図1において、ハイポイドギヤから成る第1の歯車としてのリングギヤ1(従動歯車)と、第2の歯車としてのドライブピニオンギヤ2(駆動歯車)とを設け、これら両ギヤ1,2をリングギヤ1のセンタPに対してドライブピニオンギヤ2の回転軸軸芯線Lが所定量GMDオフセットするように傘歯車対を噛合わせている。
【0015】
これら一対のギヤ1,2のH方向(horizontalの略で水平方向、詳しくはピニオン・マウント・ディスタンスとしてのPMD方向)およびV方向(verticalの略で垂直方向、詳しくはギヤ・マウント・ディスタンスとしてのGMD方向またはピニオン・オフセット方向)の相対位置変化により、図2に示す噛合接触痕(つまり歯当り)3が移動することが知られている。
【0016】
次に、図3を参照して、2つのギヤ1,2を噛合わせ、かつ両ギヤ軸を各調整方向つまりH方向、V方向に1ポイントずつずらせながら、それぞれの噛合い伝達誤差を計測する計測装置Aの構成について説明する。
【0017】
図3に示すように、上述のリングギヤ1は、回転軸4、ロータリエンコーダ5、動力伝達機構6を介してモータ7に連結される一方、これら各要素4〜7はV方向およびH方向に移動可能なギヤアーバコラム8に組付けられている。
【0018】
また、ドライブピニオンギヤ2は回転軸9、ロータリエンコーダ10、動力伝達機構11を介してモータ12に連結される一方、これら各要素9〜12はV方向およびH方向に移動可能なピニオンアーバコラム13に組付けられている。
【0019】
モータ制御部14は、モータ7,12、H軸送り機構15、H軸送りモータ16を駆動するが、一方のモータ12の駆動時に、他方のモータ7はブレーキとして作用して、リングギヤ1にトルクを付勢する。
【0020】
ロータリエンコーダ5,10は、噛合い伝達誤差を得るために必要なパルス信号を次段の補正部17に出力する。
上述の補正部17は増幅器18,19、逓倍部20,21、歯数比補正部22,23を備え、ドライブピニオンギヤ2側のロータリエンコーダ10の出力は、増幅器18で増幅された後に、逓倍部20で逓倍処理され、次の歯数比補正部22でリングギヤ1の歯数Z2の逆数つまり(1/Z2)が乗算される。
【0021】
リングギヤ1側のロータリエンコーダ5の出力は、増幅器19で増幅された後に、逓倍部21で逓倍処理され、次の歯数比補正部23でドライブピニオンギヤ2の歯数Z1の逆数つまり(1/Z1)が乗算される。
このようにして、パルスが揃えられた信号は位相差演算部24に入力され、この位相差演算部24にてドライブピニオンギヤ回転角とリングギヤ回転角との位相差が演算される。つまり、理想とする位相に対して、ずれている量が演算される。
【0022】
上述の位相差演算部24の次段には、FFTアナライザ25(ファースト・フーリエ・トランスファ・アナライザのことで、高速フーリエ変換器)が接続され、このFFTアナライザ25ではモータ12が一定回転しないことに起因して生ずる噛み合い一次成分を高速フーリエ変換して、ドライブピニオンギヤ回転角に対するリングギヤ回転角の特性を直線化すべく構成し、このFFTアナライザ25の出力段に噛合い伝達誤差に相当する信号を得る。この噛合い伝達誤差の信号はCPU30に入力される。
一方、ドライブピニオンギヤ2の軸の近傍には加速度検出器26を配置し、その出力を増幅器27を介してFFTアナライザ25と打痕演算部28に出力すべく構成している。
【0023】
上述のCPU30は、噛合い伝達誤差の信号入力に基づいてプロッタ29(plotter 、直線グラフや図形を描く装置で、この実施例では3次元マップの作成に用いる)、プリンタ31を駆動制御すると共に、このCPU30はインタフェース32に接続され、このインタフェース32はモータ制御部14からの信号を受けて、H軸位置表示部33、回転数表示部34、トルク表示部35を駆動制御する。
【0024】
なお、V軸方向への移動については作業者が手動で操作するか、或は、V軸送り機構(図示せず)を設けて操作する。この場合、手動での操作量はリニアスケール等の検出手段を介してインタフェース32に入力され、また、V軸送り機構はモータ制御部14にて駆動するように構成すればよい。
【0025】
要するに、図3に示す計測装置Aを用いることで、リングギヤ1とドライブピニオンギヤ2とを噛合させた条件下における両歯車の回転軸4,9の各調整方向(つまり、V方向およびH方向)の噛合い伝達誤差を、V方向、H方向に1ポイント(図4に示すマップのV方向、H方向の各目盛参照)ずつずらせながらサンプリングして計測することができると共に、その噛合い伝達誤差と各調整方向の3次元マップM1(図4参照)をプロッタ29で作成することができる。なお、3次元マップM1をプロッタ29で目視可能に作成する構成に代えて、このマップデータを一旦記憶手段に記憶させ、ディスプレイ装置にて記憶手段から読み出したマップデータを可視表示すべく構成してもよい。
【0026】
図4は上述のプロッタ29が作成した噛合い伝達誤差を示す3次元マップ(詳しくは、噛合い伝達誤差と各調整方向との相関関係を示す3次元マップ)で、一方の横軸にV方向の移動量をとり、他方の横軸にH方向の移動量をとり、縦軸に噛合い伝達誤差(単位はマイクロラジアンで、角度のずれを示す)をとって、実際の製品(部品)としての2つのギヤ(リングギヤ1、ドライブピニオンギヤ2参照)に関する3次元座標である。なお、図5に示す3次元マップM0は計算で求められる理論上のマップであって、実際のギヤ1,2による3次元マップM1(図4参照)と理論上の3次元マップM0との間には製作精度や噛合わせ条件等に起因して図示のような差異が発生する。
【0027】
次に図6を参照して、歯車の噛合い調整方法について説明する。
第1の工程S1で、噛合い伝達誤差を計測する。つまり、リングギヤ1とドライブピニオンギヤ2とを図3の装置Aを用いて噛合わせ、かつ両ギヤ1,2の回転軸4,9の各調整方向(V方向、H方向)の噛合い伝達誤差を、V方向,H方向に1ポイントずつずらせながらサンプリングして計測する。
【0028】
次に第2の工程S2で、図3の計測装置AのCPU30の出力でプロッタ29を駆動して、噛合い伝達誤差と各調整方向の3次元マップM1(図4参照)を作成する。この3次元マップM1を作成すると、2次元マップに対して、噛合い伝達誤差が低い部分を求める際の視認性が向上する。
【0029】
次に第3の工程S3で、噛合い伝達誤差が所定値以下、望ましくは、最小値となる各調整方向における座標点を求める。
この実施例では、図4に示すように、Vプラス方向に約50、Hマイナス方向に約12の座標点が噛合い伝達誤差が最小となる。
【0030】
次に第4の工程S4で、上述の座標点(つまりVプラス≒50、Hマイナス≒12)に基づいてリングギヤ1およびドライブピニオンギヤ2の回転軸の位置が上述の座標点と一致するように、これらギヤ1,2を実車のトランスミッションケースの所定部に組付けるものである。
【0031】
このように、図1〜図6で示した実施例の歯車の歯合い調整方法は、第1の歯車(リングギヤ1参照)と第2の歯車(ドライブピニオンギヤ2参照)とを噛合わせ、両ギヤ1,2の回転軸の各調整方向(V方向、H方向参照)の噛合い伝達誤差を計測する工程S1と、上記噛合い伝達誤差と各調整方向の3次元マップM1を求める工程S2と、上記噛合い伝達誤差が所定値以下、望ましくは、最小値となる各調整方向における座標点(V+≒50、H−≒12参照)を求める工程S3と、上記座標点に基づいて両ギヤ1,2の回転軸の位置を設定する工程S4とを備えたものである。
【0032】
この構成によると、まず、工程S1で第1の歯車(リングギヤ1参照)と第2の歯車(ドライブピニオンギヤ2参照)とを噛合わせ、両ギヤ1,2回転軸の各調整方向の噛合い伝達誤差が計測され、次の工程S2で、上述の噛合い伝達誤差と各調整方向の3次元マップM1(図4参照)が求められ、次の工程S3で、噛合い伝達誤差が所定値以下、望ましくは、最小値となる各調整方向における座標点が求められ、次の工程S4で、求められた座標点に基づいて両ギヤ1,2回転軸の位置が上記座標点と一致するように設定(設置)される。
【0033】
このように、上述の座標点に基づいて両ギヤ1,2が設置されるので、噛合い伝達誤差の低領域(座標点として最小値を求めた場合には、最小の領域)が実際の歯車回転に確実に使用でき、この結果、ギヤノイズの低減を図ることができる。
【0034】
図7は歯車の噛合い調整方法の他の実施例(実施例開示構成)を示し、この実施例(実施例開示構成)においても、図1、図3の回路装置を用いる。
図7に示すこの実施例(実施例開示構成)では、第1の工程Q1で、噛合い伝達誤差を計測する。つまり、リングギヤ1とドライブピニオンギヤ2とを図3の装置Aを用いて噛合わせ、かつ両ギヤ1,2の回転軸4,9の各調整方向(V方向、H方向)の噛合い伝達誤差を、V方向,H方向に1ポイントずつずらせながらサンプリングして計測する。
【0035】
次に第2の工程Q2で、図3の計測装置AのCPU30の出力でプロッタ29を駆動して、噛合い伝達誤差と各調整方向の3次元マップM1(図4参照)を作成する。
【0036】
次に第3の工程Q3で、噛合い伝達誤差が所定値以下となる各調整方向における座標点を求めて、上述の各ギヤ1,2を実際のトランスミッションの所定部に組付けるが、この所定組付け位置における噛合い伝達誤差が所定の値よりも大きい時には、各ギヤ1,2の噛合い面積を大きくして、噛合い伝達誤差が小さくなるように、少なくとも一方のギヤの歯面加工を行ない、この歯面加工の後に、ギヤ1,2をトランスミッションの所定部に組付ける。
【0037】
このように、図7に示す実施例(実施例開示構成)の歯車の噛合い調整方法は、第1の歯車(リングギヤ1参照)と第2の歯車(ドライブピニオンギヤ2参照)とを噛合わせ、両ギヤ1,2の回転軸の各調整方向(V方向、H方向参照)の噛合い伝達誤差を計測する工程Q1と、上記噛合い伝達誤差と各調整方向の3次元マップM1(図4参照)を求める工程Q2と、上記各ギヤ1,2の所定組付け位置における噛合い伝達誤差が所定の値より大きい時、上記両ギヤ1,2の歯面の噛合い面積を大きくする工程Q3とを備えたものである。
この構成によると、まず、工程Q1で第1の歯車(リングギヤ1参照)と第2の歯車(ドライブピニオンギヤ2参照)とを噛合わせ、両ギヤ1,2の回転軸の各調整方向の噛合い伝達誤差が計測され、次の工程Q2で、上述の噛合い伝達誤差と各調整方向の3次元マップM1(図4参照)が求められ、次の工程Q3で、各ギヤ1,2の所定組付け位置における噛合い伝達誤差が所定の値よりも大きい時には、両ギヤ1,2歯面の噛合い面積を大きくして、噛合い伝達誤差を小さくするように歯面加工を施すものである。
【0038】
この結果、第1および第2のギヤ1,2のレイアウト上、これらのギヤ1,2の少なくとも何れか一方が噛合い伝達誤差が低くなる座標点位置に設置できない場合には、歯面加工によって歯合い伝達誤差を小さくするので、レイアウト上制約を受けるような場合においてもギヤノイズの低減を図ることができる。
【0039】
図8は歯車の噛合い調整方法のさらに他の実施例(実施例開示構成)を示し、この実施例(実施例開示構成)においても、図1、図3の回路装置を用いる。
図8に示すこの実施例(実施例開示構成)では、第1の工程U1で、噛合い伝達誤差を計測する。つまり、リングギヤ1とドライブピニオンギヤ2とを図3の装置Aを用いて噛合わせ、かつ両ギヤ1,2の回転軸4,9の各調整方向(V方向、H方向)の噛合い伝達誤差を、V方向,H方向に1ポイントずつずらせながらサンプリングして計測する。
【0040】
次に第2の工程U2で、図3の計測装置AのCPU30の出力でプロッタ29を駆動して、噛合い伝達誤差と各調整方向の3次元マップM1(図4参照)を作成する。
次に第3の工程U3で、噛合い伝達誤差が所定値以下、望ましくは、最小値となる各調整方向における座標点を求める。
【0041】
この実施例(実施例開示構成)では、図4で既に示したように、Vプラス方向に約50、Hマイナス方向に約12の座標点が噛合い伝達誤差が最小となる。
次に第4の工程U4で、2つのギヤ1,2をトランスミッションの所定部に設置するが、次の第5の工程U5で、上述の座標点(V+≒50、H−≒12参照)に基づく両ギヤ1,2の回転軸の位置設定が、予め設定された所定の調整範囲内か否かを判定し、所定の調整範囲内において調整が可能なYES判定時には、次の第6工程U6でギヤ1,2の位置が上記座標点と一致するように調整されるが、上記座標点に一致させようとした場合に、両ギヤ1,2の回転軸の位置設定が予め設定された所定の調整範囲外となる場合(第5の工程U5でのNO判定時)には、別の第7工程U7で両ギヤ1,2の歯面の噛合い面積を大きくして、噛合い伝達誤差が小さくなるように、2つのギヤ1,2の少なくとも何れか一方のギヤを歯面加工し、この歯面加工の後において、2つのギヤ1,2をトランスミッションの所定部に組付ける。
【0042】
このように、図8に示す実施例(実施例開示構造)の歯車の噛合い調整方法は、上記各ギヤ1,2の所定組付け位置は所定の調整範囲(第5の工程U5参照)を有し、上記座標点に基づく両ギヤ1,2の回転軸の位置設定が上記所定の調整範囲外の時、第7の工程U7で、上記両ギヤ1,2歯面の噛合い面積を大きくして、噛合い伝達誤差を低減すべく歯面加工を施すものである。
【0043】
この構成によると、座標点(つまり噛合い伝達誤差が所定値以下、望ましくは、最小値となる各調整方向における座標点)に基づく両ギヤ1,2の回転軸の位置設定が上述の所定調整範囲外にあり、この位置調整が困難な時に、2つのギヤ1,2の歯面の噛合い面積を大きくして、噛合い伝達誤差を低減するので、ギヤノイズの低減を図ることができる。
【0044】
図9は歯車の噛合い調整方法のさらに他の実施例(実施例開示構造)を示し、この実施例(実施例開示構造)においても、図1、図3の回路装置を用いる。
図9に示すこの実施例(実施例開示構造)は、第1の工程C1で、噛合い伝達誤差を計測する。つまり、リングギヤ1とドライブピニオンギヤ2とを図3の装置Aを用いて噛合わせ、かつ両ギヤ1,2の回転軸4,9の各調整方向(V方向、H方向)の噛合い伝達誤差を、V方向,H方向に1ポイントずつずらせながらサンプリングして計測する。
【0045】
次に第2の工程C2で、図3の計測装置AのCPU30の出力でプロッタ29を駆動して、噛合い伝達誤差と各調整方向の3次元マップM1(図4参照)を作成する。
【0046】
次に第3の工程C3で、噛合い伝達誤差が所定値以下、望ましくは、最小値となる各調整方向における座標点を求める。
この実施例(実施例開示構造)では図4に示すように、Vプラス方向に約50、Hマイナス方向に約12の座標点が噛合い伝達誤差が最小となる。
【0047】
次に第4の工程C4で、上記座標点の近傍にピーク部(噛合い伝達誤差の大きい所謂山部)が存在するか否かを判定し、NO判定時には第6の工程C6に移行する一方、ピーク部が存在するYES判定時には別の第5の工程C5に移行する。
【0048】
この第5の工程C5で、噛合い伝達誤差が最小値となる上記座標点から、ピーク部を避けるように該最小値よりも噛合い伝達誤差が若干大きくなるものの特性がなだらかな領域となるように座標点を変更する。
【0049】
次に第6の工程C6で、2つのギヤ1,2をトランスミッションの所定部に設置するが、次の第7の工程C7で、上述の座標点(第3の工程C3で求めた座標点または第5の工程C5で変更した座標点)に基づく両ギヤ1,2の回転軸の位置設定が、予め設定された所定の調整範囲内か否かを判定し、所定の調整範囲内において調整が可能なYES判定時には、次の第8工程C8でギヤ1,2の位置が上記座標点と一致するように調整されるが、上記座標点に一致させようとした場合に両ギヤ1,2の回転軸の位置設定が、予め設定された所定の調整範囲外となる場合(第7の工程C7でのNO判定時)には、別の第9工程C9で両ギヤ1,2の歯面の噛合い面積を大きくして、噛合い伝達誤差が小さくなるように、2つのギヤ1,2の少なくとも何れか一方のギヤを歯面加工し、この歯面加工の後において、2つのギヤ1,2をトランスミッションの所定部に組付ける。
【0050】
このように構成すると、噛合い伝達誤差の最小値近傍にピーク部が存在しても、このピーク部を回避した変更座標点に2つのギヤ1,2を設置することができ、ギヤノイズの可及的低減を図ることができる。なお、図9の実施例(実施例開示構成)に代えて、上記ピーク部が存在する場合に、このピーク部をなくすように歯面加工を施す構成を採用してもよい。
【0051】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の第1の歯車は、実施例のリングギヤ1に対応し、
以下同様に、
第2の歯車は、ドライブピニオンギヤ2に対応し、
調整方向は、V方向およびH方向に対応し、
座標は、3次元マップM1に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0052】
例えば、プロッタ29にて作成する座標は3次元マップM1に代えて、2次元マップいわゆる図表であってもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、2つの歯車を噛合わせ、両歯車回転軸の各調整方向の噛合い伝達誤差を計測し、この噛合い伝達誤差と各調整方向の座標(座標系)を求め、噛合い伝達誤差が所定値以下となる各調整方向の座標点を求め、求めた座標点に基づいて両歯車回転軸の組付け位置を設定する方法であるから、噛合い伝達誤差の低領域が確実に回転に使用でき、ギヤノイズの低減を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2つの歯車の配置状態を示す斜視図。
【図2】 調整方向を示す説明図。
【図3】 噛合い伝達誤差を計測する計測装置のブロック図。
【図4】 実測された3次元マップの説明図。
【図5】 理論上の3次元マップを示す説明図。
【図6】 本発明の歯車の噛合い調整方法を示す工程図。
【図7】 歯車の噛合い調整方法の実施例開示構成を示す工程図。
【図8】 歯車の噛合い調整方法の他の実施例開示構成を示す工程図。
【図9】 歯車の噛合い調整方法のさらに他の実施例開示構成を示す工程図。
【図10】 従来の歯形評価方法の説明図。
【符号の説明】
1…リングギヤ(第1の歯車)
2…ドライブピニオンギヤ(第2の歯車)
M1…3次元マップ(座標)
S1…噛合い伝達誤差を計測する工程
S2…座標を求める工程
S3…座標点を求める工程
S4…組付け位置を設定する工程
Claims (1)
- トランスミッションケースの所定部に組付けられる傘歯車のリングギヤである第1の歯車と、該第1の歯車の回転軸心から所定距離オフセットした回転軸心を有するドライブピニオンギヤである第2の歯車とを噛合わせ、上記第1の歯車の回転軸の上記オフセットの方向および上記第2の歯車の回転軸の軸心の方向の各調整方向の噛合い伝達誤差を計測する工程と、
上記噛合い伝達誤差と各調整方向の少なくとも2次元座標を求める工程と、
上記噛合い伝達誤差が所定値以下となる各調整方向における座標点を求める工程と、
上記座標点に基づいて両歯車回転軸の組付け位置を設定する工程とを備えた
歯車の噛合い調整方法。
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