JP4639469B2 - モータ及びそのモータの分割コアの組立方法 - Google Patents

モータ及びそのモータの分割コアの組立方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータ及びそのモータの分割コアの組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスDCモータの構造として、例えば図12、及び図13に示すようなモータ100が知られている。
【0003】
ケース105内に収納されたステータコアは内部ステータコア103と外部ステータコア104とから構成された分割コアタイプとされている。内部ステータコア103は複数枚のピースをモータの軸心O1に垂直な仮想平面上に積層するようにして構成されており、前記ピースには放射状に複数の突極部103bが設けられている。突極部103bの外周面には嵌合凹部103aが設けられ、積層されたピースの突極部103bには巻線107が施されている。一方、外部ステータコア104はリング状をなす複数枚のピースをモータの軸心O1に垂直な仮想平面上に積層して構成されている。前記ピースは内周面と外周面とが同心円状に設けられ、内周面には嵌合凸部104aが設けられている。内部ステータコア103と外部ステータコア104とは、嵌合凹部103aと嵌合凸部104aとが合致するように相互に狭小の間隙を有して嵌合され、外部ステータコア104の外周面から狭小の間隙を有して、筒状のケース105に収納されている。
【0004】
また、図13に示すようにシャフト101とロータ102とは一体に組付けられ、このロータ102は、ケース105に取付けられた2個のベアリング108によって支持されている。
【0005】
上記のように、分割コアタイプが採用される理由は、分割した状態で巻線107が巻きやすく、巻線107の占積率を高くできるメリットがあるからである。これら外部ステータコア104と内部ステータコア103とを組立る場合、外部ステータコア104に対して、内部ステータコア103とをすきま嵌め、又は締まり嵌めとなるように組み付けている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したすきま嵌めでは、嵌め合い部分のエアギャップ(間隙)が大きく、磁気抵抗が大きくなるため、同一体格のモータと比較した場合、出力が小さいものしか得られない。又、間隙をすべて等間隔に組立てることは困難であるため、内部ステータコア103を構成する各ピース(ティース)での磁気抵抗のばらつきが大きくコギングトルクが大きくなる問題がある。
【0007】
また、従来の締まり嵌め方法では、外部ステータコア104とを内部ステータコア103とを相対的に軸心方向に移動させて圧入することになるため、圧入時に、各ピースの相対した鋼板の当接面がむしれて、バリが発生し、むしられた分、間隙が大きくなったり、ばらつきが発生する問題がある。
【0008】
このように、前記従来分割コアの組立方法においては内部ステータコア103と外部ステータコア104との狭小の間隙、および、外部ステータコア104とケース105との狭小の間隙にばらつきが出やすく、或いは嵌め合い部分のエアギャップ(間隙)が大きくなる。このため、これが原因となり磁気抵抗のばらつきが大きくなり、コギングトルクが大きくなるおそれがあった。
【0009】
本発明の目的は、上記間隙の発生を抑制でき、または、なくすことにより、磁気抵抗のばらつきを減少させ、コギングトルクを減少させることができるモータを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、巻線が施された突極を備えた内部ステータコアと、前記内部ステータコアの周部に配置されて同内部ステータコアと相互に嵌合する外部ステータコアとを備え、前記両ステータコアを互いに組立するモータの分割コアの組立方法において、複数の突極部が予め皿バネ状に変形形成されたピースが複数枚積層されてなる内部ステータコアを、リング状に形成された複数枚のピースを積層した外部ステータコア内に配置して、相互に緩く嵌合し、その後、前記内部ステータコアを外部ステータコア内に配置した嵌合状態で、同内部ステータコアのピースを平板状に変形して、内部ステータコアの外径を増すことにより、外部ステータコアに対して緊密に嵌合することを特徴とする。
【0012】
請求項の発明は、請求項において、前記外部ステータコアは、内部ステータコアを嵌合する前に、筒状のケースに対して予め収納配置することを特徴とする。
【0014】
請求項の発明は、巻線が施された突極を備えた内部ステータコアと、前記内部ステータコアの周部に配置されて同内部ステータコアと相互に嵌合する外部ステータコアとを備え、前記両ステータコアを互いに組立するモータの分割コアの組立方法において、前記外部ステータコアは、圧入予定の筒状のケース内において同ケースと同軸状に積層され、同ケース内周面の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する複数枚のピースにて構成され、前記内部ステータコアは、複数枚のピースにて前記圧入予定の筒状のケースの軸心とは直交する方向の平面上に積層されるとともに前記外部ステータコアを突極先端間にて嵌合するものであり、外部ステータコアを前記突極間において嵌合状態で、前記筒状のケースに対して圧入することにより、外部ステータコアの最外周側の曲率半径を筒状のケース内周面の曲率半径になるように変形して、外部ステータコアを内部ステータコアに対して緊密に嵌合することを特徴とする。
【0015】
請求項の発明は、請求項において、前記外部ステータコアを構成するピースは、組立前は外部のピースほど内部側に位置するピースよりも曲率半径が大きいことを特徴とする。
【0016】
請求項の発明は、請求項において、前記外部ステータコアを構成する外側のピースにおける組立前の曲率半径を、前記外側のピースに隣接する内側のピースの曲率半径と、同内側のピースの板厚を加算した曲率半径とすることを特徴とする。
【0017】
請求項の発明は、請求項乃至請求項のうちいずれか1項に記載のモータの分割コアの組立方法において、前記外部ステータコアを構成するピースは、前記筒状のケースに圧入する際の圧入先端側の曲率半径は、圧入基端側の曲率半径よりも大きく形成され、前記曲率半径が大きく形成された圧入先端側から筒状のケースに圧入することを特徴とする。
【0018】
請求項の発明は、請求項1又は請求項に記載の組立方法にて製造された分割コアを備えたモータを要旨とするものである。
請求項の発明は、請求項乃至請求項のうちいずれか1項に記載の組立方法にて製造された分割コアを備えたモータを要旨とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明をブラシレスDCモータの分割コアに具体化した第1実施形態を図1から図6に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は第1実施形態の組立てが完成したモータにおけるステータコア11の断面図である。
分割コアであるステータコア11は内部ステータコア12と外部ステータコア17とから構成されている。内部ステータコア12の筒状部12aからは、放射状に延出されかつ等間隔に配置された複数の突極部12bが設けられ、各突極部12bには巻線16が施されている。内部ステータコア12の筒状部12aの内周面12cは図示しないロータの外周面に遊嵌されるように円形に形成され、突極部12bの先端面12eは外部ステータコア17の内周面17aに緊密に嵌合されている。
【0021】
外部ステータコア17は、円筒状に形成され、外部ステータコア17の内周面17aと外部ステータコア17の外周面17bとが同心円状に形成されている。そして、外周面17bは筒状のケース20に緊密に嵌合されている。また、内部ステータコア12と外部ステータコア17とケース20とは同心円状に配置されている。
【0022】
次に、本第1実施形態の分割コアであるステータコアの組立方法について図2から図6を用いて説明する。
図2は内部ステータコア12を構成する一枚の内部ピース13の斜視図である。なお、内部ピース13において、前記内部ステータコア12に対応する部位については、説明の便宜上、12に付したサフィクスをそのまま使用する。
【0023】
この内部ピース13は、リング状部13aから放射状に延出されかつ等間隔に配置された複数の突極部13bが形成されている。突極部13bの先端面13eは外部ステータコア17の内周面17aに相対して緊密に嵌合されるように所定の曲率半径を有している。この曲率半径は前記内周面17aと同一が好ましい。内部ピース13は、その内周面13cが図示しないロータの外周面に遊嵌され、かつ、円形に形成されるように、図示しない珪素鋼板をプレス加工により打ち抜いて平板状に製造する。
【0024】
この平板状になっている際の各突極部13bの先端面に沿うように配置され、先端面と同軸となる仮想円αの直径D1は(図2参照)、外部ステータコア17の内径D3よりも若干長くなるように設定されている。
【0025】
次に、図2のように製造された内部ピース13を、内部ピース13の軸心Oに直交する平面Hと突極部13bの表面13dとが所定の角度θを有するように、プレス加工により皿バネ状に変形させる(図3及び図4参照)。このときの各突極部13bの先端面に沿うように配置され、先端面と同軸となる仮想円βの直径をD2とすると(図3及び図4参照)、直径D2が前記外部ステータコア17の内径D3よりも若干小さくなるようにされている。従って、D1>D3>D2となる。
【0026】
次に、上述した皿バネ状に変形させた内部ピース13を、他の内部ピース13と互いにその形状を合わせるようにして所定枚数積層することにより、筒状の内部ステータコア12を形成する。なお、このときの状態は、図5に示すように、内部ピース13が皿バネ状になったままである。この状態で、図示しない絶縁性を有する樹脂性のボビンを介して、各突極部12bに対して巻線16を施す。
【0027】
一方、外部ステータコア17について説明する。
外部ステータコア17は、円形リング状に形成された同形の外部ピース18を積層することにより、構成される。同外部ピース18は、前記内部ピース13と同じ材質、同じ厚みを備えた図示しない珪素鋼板を、その外径がケース20の内周面20aの内径よりも若干大きくなるようにプレス加工にて打ち抜き、平板状に形成する。
【0028】
そして、図5に示すように、外部ピース18を積層して構成した外部ステータコア17を、円筒状のケース20に対して、組付位置まで圧入する。なお、前記ケース20の両端内周面には、それぞれ全周に亘って段状をなす第1嵌合部20b及び第2嵌合部20cが形成されている。
【0029】
そして、外部ステータコア17を取付けたケース20を第1治具21に載置する。このとき、ケース20は、第1治具21に設けられた低円形台状をなす嵌合部21aに対して第1嵌合部20bにて嵌合する。又、外部ステータコア17の下部は、第1治具21において、第1嵌合部21aと同心円状に配置されており、低円筒状に突設された外周当接部21bに対して当接させる。
【0030】
この状態で、前記巻線16が施された内部ステータコア12をケース20内に収納し、内部ステータコア12の下部を前記外周当接部21b上に載置する。さらに、押圧治具23を内部ステータコア12に形成された貫通孔12f内に挿通し、押圧治具23の下部を第1治具21の中央に設けられた断面円形のガイド孔21d内に配置する。なお、このとき第1治具21の外周当接部21bはケース20に圧入された外部ステータコア17の下面(当接面)の内側全周に当接するとともに、かつ、内部ステータコア12の下面(当接面)の外側全周に当接する。これにより、内部ステータコア12の一方の面(片面)と外部ステータコア17の一方の面(片面)とは、同一平面上に位置することになり、内部ステータコア12の下面と外部ステータコア17の下面との水平位置は同じ高さになる。
【0031】
ここで、第1治具21と押圧治具23について説明する。第1治具21には、ガイド孔21d周縁から上方に突設された内周当接部21cが外周当接部21bと同じ高さとなるように円筒状に突設されている。そして、外周当接部21bと同じ高さをもった内周当接部21c間には、内部ステータコア12に施された巻線16下部が係入可能であり、かつ、後記する内部ステータコア12の内部ピース13が変形した際においても外周当接部21b、内周当接部21c等の第1治具21の部位に巻線16が接触しないように空間が設けられている。又、前記ガイド孔21dと嵌合部21aとは同軸度が精度良く形成されている。
【0032】
前記押圧治具23は円柱状に形成され、内部ステータコア12の貫通孔12fの内周面12cに対して狭小の間隙をもつように形成された小径部23aと、小径部23aの上部に設けられ、小径部23aと同軸度の精度が良くなるように形成された大径部23bとを備えている。また、前記小径部23aは、内部ステータコア12の内部ピース13が平板状である場合の内径よりも小径とされ、皿バネ状から平板状に内部ピース13が形状復帰した後、押圧治具23の引き抜きができるように形成されている。小径部23aから張り出された大径部23bの下面は、ガイド孔22b、内部ステータコア12の上部面の内周縁部と当接するように水平に設けられた押圧部23cとされている。
【0033】
図5に示すように、押圧治具23を内部ステータコア12の貫通孔12fに貫通した状態で、ケース20の上部に対して円盤状の第2治具22を内嵌する。第2治具22はケース20の第2嵌合部20cに対して第2治具22の外周部に設けられた嵌合段部22aと嵌合する。又、前記押圧治具23は、第2治具22の中央部に設けられた円形状のガイド孔22bに対して大径部23bが嵌合される。ここで第2治具22の嵌合段部22aとガイド孔22bとは同軸度が精度良く形成されている。そして、ガイド孔22bは、大径部23bに対して摺接可能に形成されており、押圧治具23を上下方向に移動する際にその上部をガイドするように設けられている。
【0034】
図5に示すように、押圧治具23の上部(大径部23b)を第2治具22に貫通した状態で、皿バネ状の内部ピース13を平板状に戻されるまで、図示しないプレス装置を利用して押圧治具23を第2治具22から第1治具21の方向に押圧する。すると、図6に示すように、内部ステータコア12の各内部ピース13は平板状に復帰する。このとき、各内部ピース13の突極部13bの先端面13eは、外部ステータコア17を構成する外部ピース18の内周面に対して緊密に当接する。このように内部ステータコア12が図6に示すように、外部ステータコア17に対して緊密に嵌合した状態から押圧治具23を内部ステータコア12から引き抜くと、内部ピース13から構成された内部ステータコア12が平板状のままで維持される。
【0035】
ここで、押圧治具23による内部ステータコア12の内部ピース13に係る押圧前後の構成について図2、図3、図6に基づいて説明する。
内部ピース13の皿バネ状に形成する前の直径D1(仮想円αの直径)、内部ピース13の皿バネ状になった際の押圧前の直径D2(仮想円βの直径)、押圧前の内周面から外周面までの内部ピース13の突極部13bの表面13dの径方向の長さをD4とする。例えばD4=10mm、角度θ=5度とした場合に、内部ピース13が皿バネ状の状態から押圧後に平板状に戻されると、(1)式により、直径D1は直径D2より、おおよそ76μm長いことがわかる。
【0036】
D1-D2=2×{10mm−10mm×cos(5度)}=76μm…(1)
すなわち、押圧前の皿バネ状になった内部ピース13の直径D2は外部ステータコア17の内径(=D3)より小さい。また、押圧後に平面板状になったときは内部ピース13の外周面は外部ステータコア17(外部ピース18)の内径D3よりも大きくなり、その大きくなった分、同外部ステータコア17の内周面に対して圧入して緊密に嵌合される。
【0037】
なお、巻線16については、押圧後においても内部ステータコア12の角度θの変化が小さいため巻線に応力が加わることはない。
以上により内部ステータコア12と外部ステータコア17とが互いに組立された後に、内部ステータコア12と巻線16と外部ステータコア17とを樹脂コーティングする。
【0038】
本第1実施形態では、上記のようにモータを構成したことにより、次のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、内部ステータコア12の内部ピース13を皿バネ状の形状から平板状に戻すことにより、内部ステータコア12と外部ステータコア17との間隙を小さくし緊密に嵌合するようにした。この結果、磁気抵抗のばらつきが減少しコギングトルクが減少する。
【0039】
さらに、従来の積層した内部ステータコアと積層した外部ステータコアとを嵌合する方法にくらべて、バリの発生がなくなるか、または、少なくなる。たとえバリが発生したとしても従来と異なり他の積層された内部ピース13、外部ピース18への波及がなくなる。
【0040】
(2)本実施形態では、押圧治具23の小径部23aと大径部23b、第1治具21のガイド孔21dと嵌合部21a、第2治具の嵌合段部22aとガイド孔22b、とは同軸度が精度良く形成されている。このため、モータが完成したときに、図示しないロータと内部ステータコア12とが同軸度良く組立てられる。
【0041】
(3)本実施形態では、押圧前の皿バネ状になった内部ステータコア12の内部ピース13の直径D2は、押圧前の外部ステータコア17の内径D3より短く形成されているので、押圧前の組立てにおいては容易に挿入できる。
【0042】
なお、本第1実施形態を次のように変更して具体化することもできる。
・本実施形態では、外部ステータコア17における外周面17bの外径はケース20における内周面20aの内径よりも若干長くなるようにプレス加工にて形成した。この代わりに、外周面17bの外径は内周面20aの内径よりも若干小さくなるようにプレス加工にて形成しても良い。このようにすれば、押圧治具23の押圧前において外部ステータコア17をケース20に組付けるときに、間隙があるため容易に組付けできる。
【0043】
・本実施形態では、内部ステータコア12の内部ピース13の表面13dは図3に示す側面図において直線状に形成したが、曲線状に形成しても良い。このようにすれば、押圧治具23による押圧後において珪素鋼板の特性によりソリが生ずるような場合に、そのソリを予測して皿バネ状の形状を予め曲線状にしておき、押圧後には平板状にするようにできる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明をDCブラシレスモータに具体化した第2実施形態を図7から図11に基づいて詳細に説明する。
【0047】
なお、この第2実施形態は、前記第1実施形態においてステータコア11を構成する内部ステータコア12と外部ステータコア17との構成および製造方法を変更したものであり、その他の点では第1実施形態と同一の構成になっている。したがって、以下では、第2実施形態のモータにおけるステータコア31を構成する内部ステータコア32と外部ステータコア33とを主に説明することとし、第1実施形態と共通する構成部分については図面上に同一符号を付すことにして重複した説明を省略する。
【0048】
図7は第2実施形態のモータにおけるステータコア31の断面図である。
分割コアである内部ステータコア32は、前記第1実施形態と同様に平板状の内部ピース35を所定の枚数積層することにより構成されている。各内部ピース35には、リング状部35aから、放射状に延出されかつ等間隔に配置された複数の突極部32aが設けられている。それらの突極部32aには巻線16が施されている。内部ステータコア32の内周面32bは図示しないロータの外周面に遊嵌されるように断面円形に形成されている。突極部32aの先端面は、ケース20の内周面の曲率半径と同一曲率半径を有するように形成され、ケース20の内周面20aに緊密に嵌合されている。
【0049】
内部ステータコア32はモータの軸方向に垂直な仮想平面上に内部ピース35を積層して配置されているのに対し、外部ステータコア33は軸方向に沿って取付けられている。すなわち、内部ステータコア32と外部ステータコア33とは互いに直交する方向に取付けられている。
【0050】
外部ステータコア33は、内部ステータコア32の軸(モータの軸及びケース20の軸と一致する)を中心として放射方向に延びるように所定の枚数積層配置された外部ピース34a〜34eから構成され、外周面33bは筒状のケース20に緊密に嵌合されている。又、前記外部ステータコア33の周方向側に延びる側面33cは、内部ステータコア32の突極部32a先端側部に設けられたくびれ部32dに対して、緊密に当接されている。すなわち、各外部ピース34a〜34eは、突極部32aのくびれ部32dに対して、互いに緊密に積層された状態で嵌合されている。又、くびれ部32dの径方向(突極部32aの延出方向)長さは、外部ピース34a〜34eの積層厚さと同一にされている。
【0051】
また、内部ステータコア32の内周面32bと、外周面32c(突極部32aの先端面)と、外部ステータコア33の内周面33aと、外周面33bと、ケース20の内周面20aとは同心円状に形成されている。
【0052】
次に本実施形態の分割コアの組立方法について図8と図9とを用いて説明する。図8は外部ステータコア33の外部ピース34(34a〜34e)の斜視図である。外部ピース34a〜34eは珪素鋼板をプレス加工により同形状の長方形に打ち抜いて製作される。そして各外部ピース34a〜34eの曲率半径は互いに異なっており、かつ、各外部ピース34a〜34eの曲率半径はケース20における内周面20aの曲率半径よりも小さく形成される。
【0053】
各外部ピース34a〜34e間の曲率半径と板厚との関係は、相隣り合うある2枚の外部ピースにおいて外側の外部ピースの曲率半径をR2、内側の外部ピースの曲率半径をR1、内側の外部ピースの板厚をTとすると、
R2=R1+T で表される。
【0054】
また、図8に示すように、外部ピース34a〜34eをケース20へ圧入する際の圧入方向を矢印Pの方向とすると、外部ピース34a〜34eの圧入先端側(m側)の曲率半径は、圧入基端側(n側)の曲率半径より、徐々に大きくなるように形成されている。
【0055】
さらに、外部ピース34a〜34eの周方向長さは、前記突極部32aのくびれ部32d間に嵌入組付けした際には、その曲率半径が変わらないような長さに設定されている。すなわち、外部ピース34a〜34eは、ケース20に圧入する以前では、前記曲率半径が変わらないように突極部32aのくびれ部32d間に緩く嵌合できる長さとされている。
【0056】
又、最も内側に位置することになる外部ピース34eの内面には絶縁膜が形成されている。
一方、内部ピース35を所定の枚数積層して構成された内部ステータコア32は、その積層された内部ステータコア32に図示しない絶縁性を有する樹脂性のボビンを介して巻線16が施される。
【0057】
前記のように形成されたされた各外部ピース34a〜34eは、巻線16が施された内部ステータコア32において、突極部32aのくびれ部32dの間に、外側のピースほど曲率半径が大きくなるように所定枚数緩く嵌合組立てられる。
【0058】
この内部ステータコア32に対し外部ステータコア33(外部ピース34a〜34e)を緩く嵌合した状態では、最外周側に位置する外部ピース34aの外周面は、その曲率半径が突極部32aの先端面の曲率半径(ケース20の内周面の曲率半径と同一)よりも小さくされる。さらに、くびれ部32dの径方向(突極部32aの延出方向)長さが外部ピース34a〜34eの積層厚さと同一にされているため、図9に示すように、突極部32aの先端面の曲率半径にて描かれた円から外部に突出した状態となる。
【0059】
この状態で、内部ステータコア32と外部ステータコア33の組立てた構成を、前記外部ピース34a〜34eの曲率半径が大きく形成されている圧入先端側(m側)からケース20内に圧入する。
【0060】
すると、曲率半径が大きく形成されている側から挿入される、すなわち、突極部32aの先端面の曲率半径にて描かれた円からの突出量の小さい側から挿入されるので容易に挿入される。この結果、各外部ピース34a〜34eにおける曲率半径はケース20の内周面20aの曲率に合うように変形される。この結果、ケース20の内周面20aと外部ステータコア33の外周面との間の間隙は減少する。また、外部ステータコア33の側面33cが内部ステータコア32の突極部32aのくびれ部32dの方向に押圧されるため、この間の間隙が減少する。なお、この外部ピース34a〜34eの変形により最も内側の外部ピース34eの内面には絶縁膜が形成されているため巻線16とに電気的接触は生じない。
【0061】
上記のように組立てされた分割コアにおいて、図10と図11とを用いて内部ステータコアと外部ステータコアとの当接しているところの間隙について説明する。
【0062】
図10は本第2実施形態での内部ステータコア32の内部ピース35と外部ステータコア33の外部ピース34a〜34eとの当接しているところを表している。図中、内部ピース35の左端がくびれ部32dであり、外部ピース34の図中右端が、同ピース34の長手方向端面である。
【0063】
内部ピース35の端面が斜めになっているのは、プレス加工された時に残ったバリである。この図10に示される状態からケース20の内周面20aに圧入していくことになるが、このとき外部ピース34a〜34eが図の矢印方向へ押圧するため、内部ピース35の先端部32fは、先端のもっとも鋭角の部分が外部ピース34に押さえられ変形するので、間隙の減少割合が大きい。
【0064】
なお、図11は、図12に示す従来技術における内部ピース110が積層された内部ステータコア103と外部ピース111が積層された外部ステータコア104との当接しているところを表している。内部ピース110の外部ステータコア104側の当接部を110a、外部ピース111の内部ステータコア103側の当接部を111a、内部ステータコアを嵌合するときの移動方向を矢印Aの方向、外部ステータコアを嵌合するときの移動方向を矢印Bの方向とする。
【0065】
このような構成において両者を相対移動して嵌合すると、内部ピース110の先端部110aと外部ピース111の先端部111aとは、バリの突出量が一定ではなく、必ずしも、相手側の先端部に当接するとは限らないため、バリがつぶれにくい。また、さらには、嵌合方向が正反対であるためお互いに、バリを新たに発生させる場合もあり、この場合には新たにバリが発生すると他のピースへ波及するということもあり、結果として間隙が大きくなる。
【0066】
本第2実施形態では、上記のようにモータを構成したことにより、次のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、ケース20の内周面20aに対して同心円状に配置される外部ステータコア33の外周面33bとは圧入により当接嵌合されている。このため、その両方の間の間隙が小さくなり磁気抵抗のばらつきが減少しコギングトルクが小さくなる。
(2)本実施形態では、内部ステータコア32と外部ステータコア33とは互いに直交する方向に取付けられた状態で、外部ステータコア33の外周面33bが圧入される。これにより、外部ステータコア33の側面33cと内部ステータコア32のくびれ部32dとの間隙が小さくなることから、磁気抵抗のばらつきが減少しコギングトルクが小さくなる。
(3)本実施形態では、外部ステータコア33はケース20の軸方向に沿って配置されているので、外部ステータコア33のケース20へ圧入がしやすくなる。従ってバリの発生がなくなるか、または、少なくなる。たとえバリが発生したとしても従来と異なり他の積層された層への波及がなくなる。この結果として、間隙が減少し磁気抵抗のばらつきが減少するためコギングトルクが小さくなる。
(4)本実施形態では、外部ステータコア33の各外部ピース34は珪素鋼板を長方形にプレス加工にて打ち抜かれて形成されている。このため、従来の外部ステータコア104のように円環形に打ち抜かれて形成される方法と異なり、珪素鋼板の打ち抜かれる面積が小さくなり、また、打ち抜き後に廃材となる面積も小さく、珪素鋼板の消費面積が小さくなり製造コストが減少する。
(5)本実施形態では、各外部ピース34a〜34e間の曲率半径と板厚との関係は、相隣り合うある2枚の外部ピースにおいて外側の外部ピースの曲率半径をR2、内側の外部ピースの曲率半径をR1、内側の外部ピースの板厚をTとすると、R2=R1+Tで表されるようにした。
【0067】
このため、それぞれの外部ピース34a〜34eを重ね合わせたときに間隙なく重ね合わされので、磁気抵抗のばらつきが減少しコギングトルクが小さくなる。
(6)本実施形態では、外部ステータコア33の各外部ピース34a〜34eの曲率半径は、一方の端面の曲率半径より他方の端面の曲率半径の方が大きく形成されている。このため、前記外部ピース34a〜34eの曲率半径が大きく形成された端面から、筒状のケース20に挿入するようにしたので挿入しやすくできる。
【0068】
なお、本第2実施形態を次のように変更して具体化することもできる。
・本実施形態では、外部ステータコア33における各外部ピース34a〜34eは珪素鋼板をプレス加工により同形状の長方形に打ち抜いて製造したが、同形状でなく、外部ステータコア33の外周側に位置する外部ピースほど小さく形成することもできる。このようにすれば、内部ステータコア32の突極部32aの先端のくびれ部32dに嵌合したときに内部ステータコア32の突極部32aの先端から抜けにくくすることができる。また外部ステータコア33の外周の外部ピースほど大きくしても良い。即ち、前述した内部ステータコア32の突極部32aの先端から抜けにくくなる程度に調整できることになる。
【0069】
次に、前記各実施形態から把握できる請求項に記載した発明以外の技術的思想について、以下に記載する。
(1)前記内部、外部ステータコアが嵌合状態で、かつ内部ステータコアのピースを変形させる前において、前記内部ステータコアの片面と外部ステータコアの片面とは、前記筒状のケースの軸方向に対して、同一平面上に配置することを特徴とする請求項に記載のモータの製造方法。即ち、この技術的思想(1)によれば、内部ステータコアと外部ステータコアとのケースの軸方向に対して同じ面、即ち、ケースの軸方向に対して同じ位置に配置されるので、軸方向のずれがなく、両者の間隙が少なくなり、コギングトルクが小さくなる。
(2)前記請求項1または請求項または前記技術的思想(1)のうちいずれか1項に記載の組立方法にて製造されたモータ。
【0070】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1乃至請求項の発明によれば、一方のステータコアを、他方のステータコアに対して、相互に緩く嵌合し、その後一方のステータコアを変形させて、他方のステータコアに対し緊密に嵌合することを特徴としたので、両ステータコア間の間隙が小さくなり、磁気抵抗が減少しコギングトルクを減少させることができる。
【0071】
請求項及び請求項に記載のモータは、両ステータコア間の間隙が小さいため、磁気抵抗が減少しコギングトルクが減少したモータとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のステータコアの断面図
【図2】第1実施形態の内部ステータコアの内部ピースの斜視図
【図3】第1実施形態の内部ステータコアの皿バネ状の内部ピースの側面図
【図4】第1実施形態の内部ステータコアの皿バネ状の内部ピースの斜視図
【図5】第1実施形態のステータコア組立の縦断面図
【図6】第1実施形態のステータコア組立後の縦断面図
【図7】第2実施形態のステータコアの断面図
【図8】第2実施形態の外部ステータコアの外部ピースの斜視図
【図9】第2実施形態のステータコアの要部断面図
【図10】第2実施形態のステータコア当接部の拡大説明図。
【図11】従来のステータコア当接部の拡大説明図。
【図12】従来のステータコアの断面図
【図13】従来のモータの縦断面図
【符号の説明】
12…内部ステータコア、12b…内部ステータコアの突極部、
13…内部ピース、16…巻線、17…外部ステータコア、
32…内部ステータコア、32a…内部ステータコアの突極部、
33…外部ステータコア、34…外部ピース、35…内部ピース。

Claims (8)

  1. 巻線が施された突極を備えた内部ステータコアと、前記内部ステータコアの周部に配置されて同内部ステータコアと相互に嵌合する外部ステータコアとを備え、前記両ステータコアを互いに組立するモータの分割コアの組立方法において、
    複数の突極部が予め皿バネ状に変形形成されたピースが複数枚積層されてなる内部ステータコアを、リング状に形成された複数枚のピースを積層した外部ステータコア内に配置して、相互に緩く嵌合し、
    その後、前記内部ステータコアを外部ステータコア内に配置した嵌合状態で、同内部ステータコアのピースを平板状に変形して、内部ステータコアの外径を増すことにより、外部ステータコアに対して緊密に嵌合することを特徴とするモータの分割コアの組立方法。
  2. 前記外部ステータコアは、内部ステータコアを嵌合する前に、筒状のケースに対して予め収納配置することを特徴とする請求項1に記載のモータの分割コアの組立方法。
  3. 巻線が施された突極を備えた内部ステータコアと、前記内部ステータコアの周部に配置されて同内部ステータコアと相互に嵌合する外部ステータコアとを備え、前記両ステータコアを互いに組立するモータの分割コアの組立方法において、
    前記外部ステータコアは、圧入予定の筒状のケース内において同ケースと同軸状に積層され、同ケース内周面の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する複数枚のピースにて構成され、
    前記内部ステータコアは、複数枚のピースにて前記圧入予定の筒状のケースの軸心とは直交する方向の平面上に積層されるとともに前記外部ステータコアを突極先端間にて嵌合するものであり、
    前記外部ステータコアを前記突極間において嵌合状態で、前記筒状のケースに対して圧入することにより、外部ステータコアの最外周側の曲率半径を筒状のケース内周面の曲率半径になるように変形して、外部ステータコアを内部ステータコアに対して緊密に嵌合することを特徴とするモータの分割コアの組立方法。
  4. 前記外部ステータコアを構成するピースは、組立前は外部のピースほど内部側に位置するピースよりも曲率半径が大きいことを特徴とする請求項3に記載のモータの分割コアの組立方法。
  5. 前記外部ステータコアを構成する外側のピースにおける組立前の曲率半径を、前記外側のピースに隣接する内側のピースの曲率半径と、同内側のピースの板厚を加算した曲率半径とすることを特徴とする請求項4に記載のモータの分割コアの組立方法。
  6. 前記外部ステータコアを構成するピースは、前記筒状のケースに圧入する際の圧入先端側の曲率半径は、圧入基端側の曲率半径よりも大きく形成され、前記曲率半径が大きく形成された圧入先端側から筒状のケースに圧入することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のモータの分割コアの組立方法。
  7. 請求項1又は請求項2に記載の組立方法にて製造された分割コアを備えたモータ。
  8. 請求項3乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の組立方法にて製造された分割コアを備えたモータ。
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