近年、平面型表示装置が実用化されており、特に液晶表示装置が広く使用されている。
液晶表示装置には様々な形態のものがあるが、ここでは薄膜ダイオードをスイッチング素子として有するアクティブ駆動型液晶表示装置を例として説明する。
図14は、液晶表示装置の構成を示した斜視図である。図15は、液晶表示装置を構成している液晶セル100の平面図である。図16は、1表示画素の近傍の拡大図である。
液晶表示装置は、液晶セル100、データ信号回路基板7及び走査信号回路基板13から構成され、液晶セル100とデータ信号回路基板7及び走査信号回路基板13のそれぞれとはTCP(Tape Carrier Package)方式の実装形態によって駆動ICチップ8、14に電気的に接続されている。図14では、駆動ICチップを走査信号回路側に3個、データ信号回路側に4個積載した形態を示している。尚、駆動ICチップの実装はTCP方式の他、COG(Chip On Glass)方式も実用化されている。
液晶セル100は、図15に示すように、薄膜ダイオード4を有する素子側基板1、対向側基板10及び偏光板に代表される光学フィルム15から構成されている。
素子側基板1上には、所定の間隔でマトリクス状に画素電極5が配設され、各画素電極5は薄膜ダイオード4を介して信号配線2に接続され、信号配線2は素子側端子電極6に引き出されている。信号配線2は直線ではなく屈曲した形状の場合もある。
対向側基板10上には、ストライプ状の走査電極11が所定間隔をおいて複数配設されており、各走査電極11は基板端に設けられた対向側端子電極12に引き出されている。尚、表示画素配列によっては走査電極11が単純なストライプではなく屈曲した形状になる場合もある。
素子側基返1及び対向側基板10は、それぞれの電極表面に配向処理が施された後に、電極が向かいあい且つ一定の間隔を保持するように所定の径を有するプラスチックビーズ等のスペーサを基板間に配置するとともにシール材9を介して貼り合わされており、両基板間に形成された空隙に液晶材料が封入されている。
薄膜ダイオード4は、図16に示すように、下部電極2a、下部電極2aを覆うように形成された絶縁体(図示せず)及び上部電極4から構成され、所謂MIM(Metal Insulator Metal)構造のものである。このようなMIM素子の構成材料は、下部電極2aとしてTa、絶縁体としてTaの酸化膜TaOx、上部電極としてCrやTiが実用化されている。また、薄膜ダイオード4は、図示したような下部電極2aと上部電極4が単純に交差する構造の他に、ダイオードリング構造、back to back構造と呼ばれる構造のものも提案されている。
以上のような構成の液晶表示装置においては、画素電極5と走査電極11との重なり合う領域が1つの表示画素となり、この表示画素がマトリクス状に配列して矩形状の表示画素群を構成している。そして、両端に高い電圧が印加された時に低抵抗となり且つ低い電圧が印加されたときに高抵抗になるという薄膜ダイオード4の性質を利用し、所定の信号を素子側端子電極6と対向側端子電極12とに与えて各表示画素に印加する信号電圧を調整することにより各表示画素の液晶分子の配向状態を制御し、それによって透過する光量を制御して所定の濃度の表示を行うようになっている。
図17は、この液晶表示装置の駆動方法の概略を示したものであり、一般には、図に示すように、パルスを有する走査信号Sを各対向側端子電極12に時間をずらして順次与え、そのパルスが与えられた時間にその走査電極11が構成する表示画素群を選択状態とし、素子側端子6から表示画素が表示すべき濃度に基づいたデータ信号Dを信号配線2及び薄膜ダイオード4を経て画素電極5に与えて書き込むいわゆる時分割駆動が行われる。
ここで、各画素電極5へのデータの書き込みは選択期間T1のみに行われ、走査信号Sのパルスが与えられない非選択期間T2には各表示画素に設けられたアクティブ素子によってデータを書き込んだ状態が保持されるようになっている。そして、表示画面全体の表示は、表示画面を構成する走査電極11を順次選択状態としてデータの書き込みを行うことにより実現される。尚、走査信号Sは、表示画面の1走査時間(1フレーム=T1+T2)単位に信号の極性を交互に切り替えられることが多い。これは液晶層に直流が印加され続けると液晶材料の劣化が起こるのでこれを避けるためである。また、走査信号Sは、隣接した走査電極11同士においても信号の極性が切り替えられることが多い。これは1フレーム単位のみの極性切り替えでは、極性差による画面のちらつき(フリッカ)が目に付き易く、走査電極11単位に極性を切り替えるとちらつきの空間周波数が高くなりちらつきが目立たなくなる効果があるからである。図17に示す駆動方法では、1フレーム単位の走査信号Sの極性切り替え(フレーム反転駆動)と走査電極11単位の走査信号Sの極性切り替え(ライン反転駆動)とを行っている。走査信号11の極性の切り替えに応じてデータ信号Dの極性も切り替えることはいうまでもない。
また、非選択期間T2に保持電圧VHを印加する駆動方法もある。図18は、そのような非選択期間T2に保持電圧VHを印加する駆動方法の概略を示したものである。
図18に示す駆動方法は、図17のものとほぼ同一であるが、非選択期間T2に走査電極11に保持電圧VH(−VH)を印加している点が異なる。これは非選択期間中に画素電極に書き込んだデータを維持し易くなるように行われるものであり、走査信号Sのライン反転駆動を行う場合は、図18に示すように、保持電圧VHの極性もまた走査電極11単位で切り替わる。
ところで、薄膜ダイオードのような2端子スイッチング素子を配した液晶表示装置においては、ある表示画素の周辺に生じる容量結合CSの影響がその表示画素の表示に反映され易いことが知られている(例えば、図16参照)。すなわち、ある表示画素の周辺の電極の配置の形態の違いや周辺の電圧の変動があると、それらがその表示画素に影響を及ぼすことにより表示濃度の違いとなって発生し、表示の不均一が生じることがある。
このような不均一な表示が発生する位置の例として、N本の走査電極を有するものにおいて、1本目の走査電極が構成する表示画素群と、N本目の走査電極が構成する表示画素群とを挙げることができる。これは、走査信号が走査電極の1本目からN本目に向かって順に印加されるが、1本目及びN本目の走査電極ではその一方側にしか隣接した走査電極がないため、これらの走査電極が構成する表示画素は、他の走査電極(N本の走査電極があるとした場合では2本目からN−1本目までの各走査電極を指す)が構成する表示画素よりも隣接した表示画素数が少なく、隣接した表示画素から受ける電気的影響の度合いが他の走査電極と比較して異なることを原因としている。
この表示濃度の乱れは比較的小さく、仮に1つの表示画素でこのような表示濃度の乱れが発生しても目立たない程度であるが、1本の走査電極が構成する表示画素全てに発生すると目立ち易くなる。特にOA用途の表示でよく見られる中間レベルの表示濃度の表示を背景にした表示の場合に目立ち易い。
これに対して、特許文献1には、正規の走査電極の最初と最後のもののそれぞれの外側にダミー走査電極を設けることについて開示されている。具体的には、図19に示すように、例えば、正規の走査電極がN本ある場合、第0本目と第N+1本目の走査電極に対応する位置にダミー走査電極11a、11bとこれらのダミー走査電極11a,11bに対向するダミー画素電極5a、5bとを配置して、それぞれのダミー走査電極11a,11bにダミー走査信号を与えるものである。また、同公報には変形例として、図20に示すように、第0本位置のダミー走査電極11aを第N+1本位置のダミー走査電極11bに接続した表示装置が提案されている。
ここで、ダミー走査電極11a,11bを駆動させる為には、ダミー走査電極11a,11bに接続されたダミー対向側端子電極12a,12bを新規に設けると共に、走査信号回路や駆動ICチップとしてダミー対向側端子電極12a,12bを駆動できるものを用いなければならない。
しかしながら、このような正規の出力に加えて新たな出力に対応できる駆動ICチップは新たな製造コストの増加を生じさせる。すなわち、図19に示される構成に基づけば、走査信号回路側の駆動ICチップは1種類のチップを3個積載で済んでいたものが、ダミーの対向側端子電極を設けたために3種類のチップを準備しなければならなくなる。これは、部品の共通化によるコスト削減ができなくなるという問題だけでなく、非常に良く似た3種類の駆動ICチップを所定の位置に取り付ける必要があり、製造工程において取り付けミス等が発生し易く作業性が劣るという問題をも生じさせる。このような問題は、図20に示される構成でも生じる。すなわち、1種類の駆動ICチップを複数個積載する表示装置においては、ダミー走査電極11a,11bからダミー信号を出力させるために製造コストの増加を避けることができないのである。
尚、特許文献2には、対向基板が共通電極であるアクティブマトリックス方式、すなわち、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた液晶表示装置における類似の表示不均一を解決すべく、最上段の走査配線の外側にダミー走査配線を設け、そのダミー走査配線を最下段の走査配線に接続したものが開示されており、かかる構成によれば、ダミー走査電極に固有の走査信号を新たに生成する必要がないとの内容が記載されている。この構成では、最上段の走査電極外側のダミー走査電極を最下段の走査電極に接続すべく、かなり大きな迂回配線を形成している。
特許文献3には、主面に走査信号ラインと表示信号ラインとをXYマトリクス状に配置し、この走査信号ラインと表示信号ラインとにより区画された領域に薄型トランジスタ(TFT)及び画素電極を形成した第1基板と、第1基板の主面に対向して設けられた第2基板と、それらの基板間に設けられた液晶層とを備えた液晶表示装置であって、第1基板の最外周に並んだ画素電極を他の画素電極の形状よりも小さくすると共に、最外周の走査信号ライン及び表示信号ラインを内側に寄せることにより、非表示ダミー画素を構成したものが開示されており、かかる構成によれば、画像表示上の輝度むら及び液晶のシール性能の低下を招かずに、非表示液晶セル領域を狭くして基板の有効利用を図ることができる、との内容が記載されている。
特許文献4には、表示画素群領域の外側に素子を伴うダミー画素電極とさらに外側に帯状のダミー走査電極が設けられている表示装置が開示されている。
特開2000−47236号公報
特開平9−288260号公報
特開平9−5780号公報
特開平3−45934号公報
次に添付図面に基づいて液晶表示装置の実施の形態について説明する。尚、説明文中、”〜本目の走査電極”等の表現を多用するが、特に断りのない限り図面上方向から順に数えたものとする。
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置の液晶セル100の平面図である。図1では、対向側基板10を紙面手前に、及び素子側基板1を紙面奥にそれぞれ配置した状態を示している。図2は、液晶セル100の拡大斜視図であり第1ダミー走査電極11a近傍を示している。図3は、走査電極に印加される駆動波形を示したものである。
この液晶セル100は、相互に対向するように設けられた素子側基板1及び対向側基板10と、それらの両基板に狭持されるように設けられた液晶層(誘電性材料層)とからなる。
素子側基板1の液晶層側には、所定の間隔でマトリクス状に画素電極5が配設されている。各画素電極5は薄膜ダイオード4を介して信号配線2に接続され、また、信号配線2は素子側端子電極6に引き出されている。
対向側基板10の液晶層側には、所定寸法の正規の走査電極11が間隔をおいてN本設けられており、各走査電極11は対向側端子電極12に接続されている。Nの数値は予め定められた表示画素フォーマットに従うが、通常120、160、240、320、480、600、768、1024、1200等の偶数である。
このような素子側基板1と対向側基板10とは、それぞれ配向処理が行われた後、シール材9を介してスペーサ(図示せず)を利用して所定の間隔を維持すると共に、信号配線2の延びる方向と走査電極11の延びる方向とが直交し且つ画素電極5と走査電極11とが向かい合うように貼り合わされており、走査電極11が延びる方向に並んだ複数の画素電極5が電極群を構成している。両基板の間隙には液晶材料が封入されており、それが液晶層を構成しており、液晶層では液晶分子が所定の配向状態をとっている。そして、画素電極5と走査電極11とそれらの間の液晶層とにより1つの表示画素が規定される。
対向側基板10の液晶層側と反対側には、偏光板などの光学フィルム15が貼り付けられている。また、対向側基板10の液晶層側には、表示画素群領域の周囲に遮光膜17が設けられている。
本実施形態では、対向側基板10の液晶層側(遮光膜17上)において、1本目の走査電極11の外側の0本目の走査電極対応位置に第1ダミー走査電極11a及びN本目の走査電極の外側のN+1本目の走査電極対応位置に第2ダミー走査電極11bが、それぞれ正規の走査電極11と同一寸法、同一材料で設けられている。また、ダミー走査電極11a,11bと正規の走査電極11との離間距離dは、正規の走査電極11同士の離間距離bと同一とされている。
第1ダミー走査電極11aの液晶層を介して対向する素子側基板1の液晶層側には、1本目の走査電極11に対向した1行目の画素電極5の電極群に隣接して各々が薄膜ダイオード4aを有する第1ダミー画素電極5aの電極群が設けられている。また、同様に、第2ダミー走査電極11bの液晶層を介して対向する素子側基板1の液晶層側には、N本目の走査電極11に対向したN行目の画素電極5の電極群に隣接して各々が薄膜ダイオード(図示せず)を有する第2ダミー画素電極5bの電極群が設けられている。また、第1ダミー走査電極11aに対応した第1ダミー画素電極5a及びこれが有する薄膜ダイオード4aの寸法や材料は、正規の画素電極5及び薄膜ダイオード4と同一とされている。同様に、第2ダミー走査電極11bに対応した第2ダミー画素電極5b及びこれが有する薄膜ダイオード(図示せず)の寸法や材料も正規の画素電極5及び薄膜ダイオード4と同一とされている。さらに、正規の画素電極5とダミーの画素電極5aとの離間距離cは、正規の画素電極5同士の離間距離aと同一とされている。つまり、第1ダミー走査電極11aに対応した第1ダミー画素電極5aが有する諸寸法は正規の画素電極5と同一であり、また、第2ダミー走査電極11bに対応した第2ダミー画素電極5bに関しても同様であり、その諸寸法は正規の画素電極5と同一である。
すなわち、第1及び第2ダミー走査電極11a,11b、第1及び第2ダミー画素電極5a,5b並びにそれらが有する薄膜ダイオード4aの形成は、従来の液晶セル100の基板の製造に使用するフォトマスクの変更のみで容易に実現できる。尚、図2に示すように、第1ダミー画素電極5aと正規の画素電極5の離間距離cは、第1ダミー走査電極11aと正規の走査電極11の離間距離dよりも短いほうがよい。これは、対向側基板10上の電極のパターニングに使用される露光装置は、プロキシミティー露光装置等の10μm程度の解像度のものが多く、効率的に容量結合を生じる程度の離間距離で走査電極11を加工するためには製造上の不都合を伴うからである。また、離間距離を短く加工できたとしても、走査電極11は長距離を平行して配置されるので異物による短絡の恐れが増し、短絡した場合にその場所の特定が難しく、製造上修正が困難であることから好ましくない。一方、素子側基板1上の電極のパターニングに使用する露光装置は、ステッパー露光装置等の4μm程度の解像度を有する露光装置である場合が多く、充分に画素電極5の離間距離を短く加工でき好都合である。また、異物で画素電極5同士が短絡しても短絡場所の特定が容易であるので修正が行いやすく特に製造上不都合を伴うことがない。
ここで、本実施形態に係る液晶セル100の構造の特徴は、第1ダミー走査電極11aが2本目の正規の走査電極11に接続されていると共に、第2ダミー走査電極11bがN−1本目の正規の走査電極11に接続されていることである。
このような接続をする理由を以下に説明する。
図3は、正規の走査電極11の各々に印加する走査信号Sn(n=1〜8、本図は正規の走査電極の数N=8の場合である)を示している。
本図は従来から行われている典型的なフレーム反転及びライン反転を有する走査信号を示している。すなわち、着目したある走査信号Snは、1フレームにVSの大きさの電圧が印加される選択期間と、0Vの電圧が印加される非選択期間とを有し、選択期間の電圧の極性がフレーム毎に切り替えられており、また、ある走査信号Snと隣接した走査信号Sn-1あるいはSn+1とは、選択期間のタイミングが1選択期間づつずらされていると共に、選択期間の電圧の極性が互いに逆になるようにされている。
さて、発明者が実験から得た知見(2)および知見(3)によれば、1本目及びN本目の正規の走査電極11が構成する表示画素に表示濃度の異常が生じないようにするためには、隣接した走査電極11との間の容量結合による作用を他の正規の走査電極(すなわち2本目からN−1本目までの走査電極)11が構成する表示画素の場合に生じる容量結合による作用と等しくすればよい。
正常な濃度を示す表示画素を構成する正規の走査電極11に印加される走査信号Sn(n=2〜N−1)と、これに隣接した2つの走査電極11に印加される走査信号Sn-1とSn+1を比較すると、走査信号Snが選択状態にある時は、Sn-1およびSn+1は必ず0であることが判る。これはいわゆる時分割駆動の特徴である。
すなわち、選択状態時の走査電極11は、非選択状態にある隣接した2つの走査電極11との間で液晶層の容量を介して容量結合を2箇所で生じているのである。
よって、第1ダミー走査電極11aに印加すべき走査信号S0は、1本目の正規の走査電極11に走査信号S1が印加されて選択状態になった時に最低限0Vの電圧を有すればよい。図3では、走査信号S0が満たすべき電圧を太線で示し、他の部分を細線で示している。また、第2ダミー走査電極11bに印加すべき走査信号S8+1に関しても同様であり、図3では、0Vの電圧であるべき部分を太線で示し、他の部分を細線で示している。尚、図3では、0Vを中心とした振幅VSを有する走査信号を用いて説明したが、上記の説明から明らかなように、振幅の中心電圧が0Vでない場合でも同じように説明できる。すなわち、第1ダミー走査電極11aに印加すべき走査信号S0は、1本目の正規の走査電極11に走査信号S1が印加されて選択状態になった時に非選択状態時の電圧を最低限有すればよい。また、第2ダミー走査電極11bに印加すべき走査信号S8+1は、8本目の正規の走査電極11に走査信号S8が印加されて選択状態になった時に非選択状態時の電圧を最低限有すればよい。
以上のように第1ダミー走査電極11aに印加すべき走査信号S0及び第2ダミー走査電極11bに印加すべき走査信号S8+1が満たすべき条件が判った。
ここで、走査信号S0が部分的に非選択状態(図3では0V)の電圧を有する必要があることと、他の走査信号Snに非選択状態時(図3では0V)の電圧を含む部分が存在することとの両方に着目する。すると、S2〜S8までのいずれの走査信号SnもS0として利用できることが判る。なぜならば、S2〜S8の走査信号はいずれも走査信号S1が選択状態にある時に非選択状態(0V)であるからである。これらのことより、第1ダミー走査電極11aは、2本目から8本目までのいずれか1つの正規の走査電極に接続させることができる。また、第2ダミー走査電極11bに関しても同様の理由から、1本目から7本目までのいずれか1つの正規の走査電極に接続させることができる。
ここで、第1ダミー走査電極11aの接続先となる正規の走査電極11と、第2ダミー走査電極11bの接続先となる正規の走査電極11とは上記条件を満たす限り自由に選ぶことができる。極端な例では第1ダミー走査電極11aの接続先となる正規の走査電極11と、第2ダミー走査電極11bの接続先となる正規の走査電極11を一致させることもできる。しかし、実施にあたっては断線等の不具合に配慮して接続距離が短くなるようにすることが好ましい。例えば、第1ダミー走査電極11aは正規の走査電極11群の前半(2本目から4本目まで)の1つに、第2ダミー走査電極11bは正規の走査電極11群の後半(5本目から7本目まで)の1つに接続させるとよい。
図3では、N=8の場合で説明したが、任意の本数の正規の走査電極11を有する液晶セル100全てに関して上記の接続条件を適用することができる。すなわち、第1ダミー走査電極11aを1本目以外の正規の走査電極11のいずれか1つに接続させ、また、第2ダミー走査電極11bをN本目以外の正規の走査電極11のいずれか1つに接続させるようにすればよい。
従って、本実施形態によれば、対向側基板10に第1及び第2ダミー走査電極11a,11bのための新たな対向側端子電極を設ける必要がなく、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bにそれぞれ印加される走査信号を用意することができる。この結果として、1本目からN本目までの正規の走査電極11が構成する表示画素のいずれも均一な表示濃度を示す表示装置を得ることができる。
また、対向側基板10に設けられる駆動ICチップが複数必要であっても、1種類のICチップを用いるだけでよいので、部品の共通化によるコスト削減や組み立て時の部品間違い等が無く作業効率が良好なものとなる。
また、第1ダミー走査電極11aは液晶層を介して第1ダミー画素電極5aを、及び第2ダミー走査電極11bは液晶層を介して第2ダミー画素電極5bをそれぞれ有しているので、表示装置を駆動する際になんらかの表示を行ってしまい、この表示は美観上不快であるが、本実施形態ではそれらが遮光膜17で覆われており、表示装置の使用者が直接視認できないようになっている。遮光膜17は、対向側基板10内側でなく、素子側基板1側に設けたり、あるいは表示装置の外側表面に設けてもよい。このような遮光膜17は、従来の表示装置、特にカラー表示をおこなう表示装置で設けられていることが多く、当業者にとって遮光膜17を設けることの不都合は実質的に無い。
また、隣接したものとの離間距離の短い第1及び第2ダミー画素電極5a,5bが設けられているので、知見(4)によれば、その存在が容量結合を生ぜしめるために非常に有効となる。
また、第1及び第2ダミー画素電極5aと正規の画素電極5との離間距離cは、正規の画素電極5同士の離間距離aと同一としているので、第1及び第2ダミー画素電極5aと正規の画素電極5との間に生じる結合容量が、正規の画素電極5同士の電極の間に生じる容量結合と等しくなり、さらに、第1及び第2ダミー画素電極5aに対応した液晶層の容量も正規の画素電極5に対応した液晶層の容量と同一となるので、1つの表示画素の等価回路が有する定数を正規の画素電極5と第1及び第2ダミー画素電極5aとで等しくなり、表示画素の周囲に等しく容量結合を理想的に生じさせることができる。
ここで、ダミーの画素電極5aは容量結合形成に係るものであり、平面形状の外寸法が正規の画素電極5と同一であればよく、その材料は必ずしも正規の画素電極5と同一である必要はない。例えば、図4に示すように、第1ダミー画素電極5aを正規の画素電極5の材料と同一材料(例えばIT0)で形成し、遮光のためにさらにほぼ同一寸法で上部電極材料(例えばTi)を利用して遮光部3aを設けてもよい。この遮光部3aは、第1ダミー画素電極5aの部分の表示が使用者から見えないように覆い隠す目的で形成するものである。
また、第1及び第2ダミー画素電極5a,5bに記号を設けてもよい。第1及び第2ダミー画素電極5a,5bと正規の画素電極5の区別は難しいので、素子側基板1の製造工程中の検査時に不良の第1及び第2ダミー画素電極5a,5bを誤って正規の画素電極5が不良であると判断し、この液晶セル100が不良であると誤判断される恐れもある。そこで、第1及び第2ダミー画素電極5a,5bの領域中に例えば”D”等と明瞭に第1及び第2ダミー画素電極5a,5bであることを示す記号を電極をごく一部を切り欠いた形状で設けたり、他の材料でパターニングすることにより、かかる誤判断が回避される。
また、容量結合は電極の端近傍で生じる成分が主であるので、ダミー画素電極の中央に一部欠損があったり、凹凸があったりしても機能上の問題は無く、第1及び第2ダミー画素電極5aをかかる構成のものとしてもよい。
(第2の実施の形態)
図5は、第2実施形態に係る液晶表示装置の液晶セル100の平面図である。図5では、対向側基板10を紙面手前に、及び素子側基板1を紙面奥にそれぞれ配置した状態を示している。図6は、走査電極11に印加される駆動波形を示したものである。
この液晶セル100は、第1実施形態で示した構造とほぼ同一であり、同じ形状で同一符号の部品の説明は省略する。
本実施形態に係る液晶セル100の構造の特徴は、第1ダミー走査電極11aが3本目の正規の走査電極に接続され、また第2ダミー走査電極11bがN−2本目の正規の走査電極に接続されていることである。つまり第1及び第2ダミー走査電極11a,11bの接続先が第1実施形態とは異なる。
本実施形態の液晶表示装置は、図6に示すように、その走査信号Snが非選択期間に+VH(−VH)の電圧を保持しており、フレーム反転及びライン反転を行っている。このような場合、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bに印加すべき電圧条件が第1実施形態とは異なることに注意しなければならない。
第1及び第2ダミー走査電極11a,11bの接続先が第1実施形態と異なる理由を、それらに印加すべき電圧条件と関連させて以下に説明する。
図6は、正規の走査電極11の各々に印加する走査信号Sn(n=1〜8、本図は正規の走査電極の数N=8の場合である)を示している。
本図は従来から行われている典型的なフレーム反転及びライン反転を有する走査信号Snを示している。すなわち着目したある走査信号Snは、1フレームにVSの大きさの電圧が印加される選択期間と、VH又は−VHの電圧が保持される非選択期間とを有し、電圧の極性がフレーム毎に切り替えられており、また、ある走査信号Snと隣接した走査信号Sn-1あるいはSn+1とは、選択期間のタイミングが1選択期間づつずらされていると共に、電圧の極性が互いに逆になるようにされている。
さて、発明者が実験から得た知見(2)および(3)によれば、1本目(N本目)の正規の走査電極11が構成する表示画素に表示濃度の異常が生じないようにするためには、隣接した走査電極11との間の作用を、他の正規の走査電極(すなわち、2本目からN−1本目までの走査電極)11が構成する表示画素の場合に生じる作用と等しくすればよい。
正常な濃度を示す表示画素を構成する正規の走査電極11に印加される走査信号Sn(n=2〜N−1)と、これに隣接した2つの走査電極11,11に印加される走査信号Sn-1とSn+1を比較すると、走査信号Snが選択状態にある時は、Sn-1およびSn+1に印加されている電圧の組み合わせは、+VHと−VHとの組み合わせ、又は−VHと+VHとの組み合わせになる。
すなわち、選択状態にある走査電極11は、非選択状態にある隣接した2つの走査電極11,11との間で液晶層の容量を介して容量結合が2箇所で生じていることは第1実施形態と同じであるが、その2つの容量結合は同じではない。
よって、第1ダミー走査電極11aに印加すべき走査信号S0は、1本目の正規の走査電極11に印加される走査信号S1が選択状態になった時に、2本目の正規の走査電極11に印加されている電圧によって切り替える必要がある。具体的には、走査信号S0は、2本目の正規の走査電極に印加されている電圧が+VHの時には−VHを、2本目の正規の走査電極に印加されている電圧が−VHの時には+VHを有する必要がある。図6では、走査信号S0が満たすべき電圧を太線で示し、他の部分を細線で示している。また、第2ダミー走査電極11bに印加すべき走査信号S8+1に関しても同様であり、図6に満たすべき電圧の部分を太線で示し、他の部分を細線で示している。尚、図6では0Vを中心とした振幅VSを有する走査信号を用いて説明したが、上記の説明から明らかなように、振幅の中心電圧が0Vでない場合でも同じように説明できる。すなわち、第1ダミー走査電極11aに印加すべき走査信号S0は、1本目の正規の走査電極11に印加される走査信号S1が選択状態になった時に、2本目の正規の走査電極11に印加される走査信号S2が有する電圧とは反対の+VHか−VHのどちらかを有する必要がある。また、第2ダミー走査電極11bに印加すべき走査信号S8+1は、8本目の正規の走査電極に印加される走査信号S8が選択状態になった時に、7本目の正規の走査電極に印加される走査信号S7が有する電圧とは反対の+VHか−VHのどちらかを有する必要がある。以上のように、第1ダミー走査電極11aに印加すべき走査信号S0と第2ダミー走査電極11bに印加すべき走査信号S8+1が満たすべき条件が判った。
ここで、走査信号S0が部分的に非選択(図6では+VHか−VH)の電圧を有する必要があることと、他の走査信号Snに非選択(図6では+VHか−VH)の電圧を含む部分が存在することの両方に着目する。すると、S3、S5,S7のいずれの走査信号SnもS0として利用できることが判る。なぜならば、S3、S5、S7の走査信号はいずれも走査信号S1が選択状態にある時に、走査信号S2とは反対の+VHか−VHの電圧を有するからである。よって、第1ダミー走査電極11aは、3本目、5本目、7本目のいずれか1つの正規の走査電極に接続させることができる。また、第2ダミー走査電極11bに関しても同様の理由から、2本目、4本目、6本目のいずれか1つの正規の走査電極に接続させることができる。
ここで、第1ダミー走査電極11aの接続先となる正規の走査電極11と、第2ダミー走査電極11bの接続先となる正規の走査電極11とは上記条件を満たす限り自由に選べる。例えば断線等の不具合に配慮して選択すればよい。
図6では、N=8の場合で説明したが、任意の本数の正規の走査電極11を有する液晶セル100全てに関して上記の接続条件を適用することができる。すなわち、第1ダミー走査電極11aを1本目以外の奇数番目の正規の走査電極11のいずれか1つに接続させると共に、第2ダミー走査電極11bをN本目以外の偶数番目の正規の走査電極11のいずれか1つに接続させればよい。
尚、本実施形態では、1ライン毎に極性が切り替わる走査信号Snでの場合を示したが、Nライン毎に極性が反転する場合でも適用できる。さらに広く適用させるためには以下に留意すれば良い。即ち、着目した正規の走査電極11に印加されている走査信号Snが選択状態にある時に、隣の走査電極11に印加されている走査信号Sn-1およびSn+1が示している電圧の組み合わせがどの正規の走査電極11においても等しくなるように、第1ダミー走査電極11aの接続先となる正規の走査電極11と、第2ダミー走査電極11bの接続先となる正規の走査電極11を選択すればよいのである。
また、本実施形態における第1及び第2ダミー走査電極11a,11bと正規の走査電極11との接続形態は、非選択期間に+VH又は−VHの電圧が保持されない、すなわち、第1実施形態における駆動波形でも適用できることは言うまでもない。何故ならば、第1実施形態の駆動波形は本実施形態において+VH=−VH(=0)の場合に相当するからである。
その他の作用効果は第1実施形態と同一である。
(第3の実施の形態)
図7は、第1実施形態に係る液晶表示装置の液晶セル100の変形例の平面図である。図7では、対向側基板10を紙面手前に、及び素子側基板1を紙面奥にそれぞれ配置した状態を示している。
先に示した第1及び第2実施形態では、正規の走査電極11に印加される駆動波形によって第1ダミー走査電極11aの接続先及び第2ダミー走査電極11bの接続先を適切に選択している。
これらの接続形態は基本的な走査電極11のパターンを僅かに手直しして出来るものであるが、より柔軟性のある接続形態の提示も求められる。例えば、図7に示すように長距離にわたる第1及び第2ダミー走査電極11a,11bと正規の走査電極11との接続が必要になった場合、断線や配線抵抗の増大による電圧降下の問題が生じ第1及び第2ダミー走査電極11a,11bが期待する動作をしないことが予想される。
図7に示す液晶セル100は、端子の数(電極の数)が異なる点と遮光膜が形成されていない点が第1実施形態と異なるが、基本構成は第1実施形態の液晶セル100と同一構成である。また、第1ダミー走査電極11aはN本目(N=8)の正規の走査電極11に接続され、第2ダミー走査電極11bは第1ダミー走査電極11aの外側を回って1本目の正規の走査電極11に接続されている点が異なる。これは、第1実施形態で示される接続形態のうち考えられる最も長距離の接続の事例である。
このような接続は、例えば、走査電極11を構成する導電性薄膜がAl等の充分比抵抗が小さい材料であれば問題は無い。しかしながら、走査電極11の材料が必ずしもAlであるとは限らず、抵抗の低い接続を実現するためには対向側基板10の製造工程を増やし、新たに低抵抗薄膜の成膜、フォトレジストの塗布、露光、現像、エッチング及びレジストの剥離といったことが必要となり、製造上甚だ不都合である。
そこで、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bと正規の走査電極11,11との接続が寸法精度を必要としない点に発明者は着目した。
すなわち、接続を構成する配線を対向側基板10上に存在する導電材料ではなく、素子側基板1上に存在する導電材料で構成するということに想到した。
図8は、このような新規の接続が施された実施形態3に係る液晶表示装置の液晶セル100を示す平面図である。図8では、液晶セル100の対向側基板10を紙面手前に、及び素子側基板1を紙面奥にそれぞれ配置した状態を示している。
この液晶セル100は、相互に対向するように設けられた素子側基板1及び対向側基板10と、それらの両基板に狭持されるように設けられた液晶層(誘電性材料層)とからなる。
素子側基板1の液晶層側には、所定の間隔でマトリクス状に画素電極5が配設されている。各画素電極5は薄膜ダイオード(図示せず)を介して信号配線2に接続され、また、信号配線2は素子側端子電極6に引き出されている。
対向側基板10の液晶層側には、所定寸法の正規の走査電極11が間隔をおいてN本設けられており、各走査電極11は対向側端子電極12に接続されている。
このような素子側基板1と対向側基板10とは、それぞれ配向処理が行われた後、シール材9を介してスペーサ(図示せず)を利用して所定の間隔を維持すると共に、信号配線2の延びる方向と走査電極11の延びる方向とが直交し且つ画素電極5と走査電極11とが向かい合うように貼り合わされており、走査電極11が延びる方向に並んだ複数の画素電極5が電極群を構成している。両基板の間隙には液晶材料が封入されており、それが液晶層を構成しており、液晶層では液晶分子が所定の配向状態をとっている。そして、画素電極5と走査電極11とそれらの間の液晶層とにより1つの表示画素が規定される。
また、対向側基板10の液晶層側には、1本目の走査電極11の外側の0本目対応位置に第1ダミー走査電極11a、及びN本目の走査電極11の外側のN+1本目対応位置に第2ダミー走査電極11bがそれぞれ設けられている。
さらに、素子側基板1の液晶層側には、液晶層を介して第1ダミー走査電極11aに対向し且つそれに沿って並んだ第1ダミー画素電極5aの電極群が設けられている。また、各第1ダミー画素電極5aは薄膜ダイオード(図示せず)を介して信号配線2に接続されている。同様に、素子側基板1の液晶層側には、液晶層を介して第2ダミー走査電極11bに対向し且つそれに沿って並んだ第2ダミー画素電極5bの電極群が設けられている。また、各第2ダミー画素電極5bもまた薄膜ダイオード(図示せず)を介して信号配線2に接続されている。これらの第1及び第2ダミー画素電極5a,5bは正規の画素電極5と同一の構成と寸法を有する。
対向側基板10の液晶層側とは反対側には、偏光板などの光学フィルム15(図示せず)が貼り付けられている。
本実施形態に係る液晶セル100においては、第1ダミー走査電極11aはN本目の正規の走査電極11に接続されているが、この接続は以下の(A1)から(A7)までの要素を介して実現されている。
(A1)第1ダミー走査電極11a
(A2)第1ダミー走査電極11aから延びてシール材9の外側隅部に引き出された取り出し電極20a
(A3)対向側基板10の取り出し電極20aに接触するように設けられた導電材19a
(A4)一端が導電材19aに接触し走査電極の延びる方向と直交した方向に延びるように素子側基板1に設けられた電極18a
(A5)素子側基板1の電極18aの他端に接触するように設けられた導電材19b
(A6)N本目の正規の走査電極11から導電材19bに接触するように延びてシール材9の外側隅部に引き出された取り出し電極20b
(A7)N本目の正規の走査電極11。
また、第2ダミー走査電極11bは1本目の正規の走査電極11に接続されているが、この接続は以下の(B1)から(B7)までの要素を介して実現されている。
(B1)第2ダミー走査電極11b
(B2)第2ダミー走査電極11bから延びてシール材9の外側隅部に引き出された取り出し電極20c
(B3)対向側基板10の取り出し電極20cに接触するように設けられた導電材19c
(B4)一端が導電材19cに接触し走査電極の延びる方向と直交した方向に延びるように素子側基板1に設けられた電極18b
(B5)素子側基板1の電極18bの他端に接触するように設けられた導電材19d
(B6)1本目の正規の走査電極11から導電材19dに接触するように延びてシール材9の外側隅部に引き出された取り出し電極20d
(A7)1本目の正規の走査電極11。
上記の導電材19a〜19dとは、例えば、カーボンペーストや表面に導電性材料をコーティングした粒子を使用することができる。
電極18a及び18bは、素子側基板1内側の画素電極5や薄膜ダイオード(図示せず)や信号配線2を構成する電極材料の少なくとも1つを利用して形成させることができる。この電極材料としては、例えばTa、Ti、Crを使用することができ、これらの単層膜や積層膜を使用することができる。
従って、本実施形態によれば、第1ダミー走査電極11aと正規の走査電極11との接続を低抵抗にできると共に、第2ダミー走査電極11bと正規の走査電極11との接続をも低抵抗にすることができる。何故ならば、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bと正規の走査電極11,11との接続を構成する経路の大部分が素子側基板1上の電極18a,18bで構成されているからである。
上記の対向側基板10の取り出し電極20a〜20dと素子側基板1上の電極18a,18bは、従来の製造方法に使用するフォトマスクの変更で形成可能である。尚、対向側基板10の取り出し電極20a〜20dと素子側基板1の電極18a,18bとの接続はシール材9の形状変更と導電材19a〜19dの塗布が必要であるが、実質的に導電材19a〜19dの塗布のみを製造工程に追加するだけであり、当業者にとって困難なものではない。
また、シール材9の形状変更をしない代わりに、シール材9中に導電性粒子を含有させ対向側基板10の取り出し電極20a〜20dと素子側基板1の電極18a,18bとの接続をシール材9を介してするようにしてもよい。
以上、本実施形態では、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bと正規の走査電極11,11との接続が長距離であっても低抵抗で実現できる方法を提示した。本実施形態の構成は、液晶セル100の外形が大きい場合や、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bと正規の走査電極11の接続が高抵抗材料であったり接続幅が狭くなるような場合であっても不都合がないものとすることができる。すなわち、電極パターンの設計をより自由度が増したものとすることができるという効果をも奏する。
その他の作用効果は実施形態1と同一である。
(第4の実施の形態)
図9は、第4実施形態に係る液晶表示装置の液晶セル100の平面図である。図9では、対向側基板10を紙面手前に、及び素子側基板1を紙面奥にそれぞれ配置した状態を示している。
第1〜3実施形態では、素子側端子電極6と対向側端子電極12とが個別の辺に取り出される形態を示したが、電極構造はこの形態に限って適用できるものではなく、例えば、図9に図示するように素子側端子電極6と対向側端子電極12とが液晶セル100の周囲の1辺(図では下側の辺)に設けられている形態でも適用できる。
この液晶セル100は、相互に対向するように設けられた素子側基板1及び対向側基板10と、それらの両基板に狭持されるように設けられた液晶層(誘電性材料層)とからなる。
素子側基板1の液晶層側には、所定の間隔でマトリクス状に画素電極5が配設されている。各画素電極5は薄膜ダイオード(図示せず)を介して信号配線2に接続され、また、各信号配線2は紙面下の液晶セル100の1辺のシール材9まで延びて素子側端子電極6に接続されている。
対向側基板10の液晶層側には、正規の走査電極11と第1及び第2ダミー走査電極11a、11bとが所定の寸法と間隔で形成されている。正規の走査電極11は、半数が紙面左右に延び且つ左端で90°延びる方向を変えて紙面下の液晶セル100の1辺のシール材9まで延びている。また、それらは、各々、シール材9に含有された導電性粒子を介して素子側基板1に設けられた対向側端子電極12に接続されている。他方、残りの半分の正規の走査電極11は、紙面左右方向に延び且つ右端で90°延びる方向を変えて紙面下の液晶セル100の1辺のシール材9まで延びている。また、それらは、各々、シール材9に含有された導電性粒子を介して素子側基板1に設けられた対向側端子電極12に接続されている。第1ダミー走査電極11aは正規の走査電極11群のほぼ中央に位置する所定の1つの正規の走査電極11に接続されている。また、第2ダミー走査電極11bは正規の走査電極11群のほぼ中央に位置する所定の1つの正規の走査電極11に接続されている。
このような素子側基板1と対向側基板10とは、それぞれ配向処理が行われた後、シール材9を介してスペーサ(図示です)を利用して所定の間隔を維持すると共に、信号配線2の延びる方向と走査電極11の延びる方向とが直交し且つ画素電極5と走査電極11とが向かい合うように貼り合わされており、走査電極11が延びる方向に並んだ複数の画素電極5が電極群を構成している。両基板の間隙には液晶材料が封入されており、それが液晶層を構成しており、液晶層では液晶分子が所定の配向状態をとっている。そして、画素電極5と走査電極11とそれらの間の液晶層とにより1つの表示画素が規定される。
また、対向側基板10の液晶層側には、1本目の走査電極11の外側の0本目対応位置に第1ダミー走査電極11a、及びN本目の走査電極11の外側のN+1本目対応位置に第2ダミー走査電極11bがそれぞれ設けられている。さらに、素子側基板1の液晶層側には、液晶層を介して第1ダミー走査電極11aに対向し且つそれに沿って並んだ第1ダミー画素電極(図示せず)の電極群が設けられている。また、各第1ダミー走査電極は薄膜ダイオード(図示せず)を介して信号配線2に接続されている。同様に、素子側基板1の液晶層側には、液晶層を介して第2ダミー走査電極11bに対向し且つそれに沿って並んだ第2ダミー画素電極5bの電極群が設けられている。また、各第2ダミー画素電極5bもまた薄膜ダイオード(図示せず)を介して信号配線2に接続されている。これらの第1及び第2ダミー画素電極5bは正規の画素電極5と同一の構成と寸法を有する。
対向側基板10の液晶層側とは反対側には、偏光板などの光学フィルム15が貼り付けられている。
このような電極形態を有する液晶表示装置は、例えば携帯電話に適用されることが多く、表示装置の横寸法を小さくできるという利点がある。一方、走査電極11から端子までの引き回しが密集し易く、ダミー電極(ダミー走査電極、ダミー画素電極)等の他の目的の電極配線を追加できるようなスペースはほとんど残されていない。また、液晶セル100の1辺に対向側端子電極12と素子側端子電極6とを密に配置する必要もあり、ダミー電極用等の他の目的の端子電極を設けるには困難を伴い設計上の自由度はあまり無いデメリットも有する。
しかしながら、本実施形態によれば、引き回しや液晶セル100の外側に取り出される素子側端子電極6や対向側端子電極12の配置の形態に左右されずに、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bが設けられている。なぜならば、第1ダミー走査電極11aの接続先となる正規の走査電極11と、第2ダミー走査電極11bの接続先となる正規の走査電極11が、第1実施形態、第2実施形態のところで説明した通りに比較的自由に選択できるからである。例えば従来の構成として示した図19や図20のものに倣ったダミー走査電極の配置ではかかる形態の液晶セル100に対応することができないことを考慮すれば、本実施形態の利点が明瞭に理解できる。
また、本実施形態の第1及び第2ダミー走査電極11a,11bはダミーの対向側端子電極を必要としないことが特徴であり、図9に図示するような液晶セル100の1辺に精細なピッチで配置される端子電極があったとしてもそのレイアウトになんら制限を与えることがないという効果をも有する。つまりは液晶セル100の電極設計に影響を与えずに第1及び第2ダミー走査電極11a,11bが設けられているのである。
その他の作用効果は第1実施形態と同一である。
(第5の実施の形態)
図10は、第5実施形態に係る液晶表示装置の液晶セル100の平面図である。図10では、対向側基板10を紙面手前に、及び素子側基板1を紙面奥にそれぞれ配置した状態を示している。図11は、第1ダミー画素電極5aが配置された近傍の斜視図である。本実施形態は、発明者が実験で得た知見(1)に基づいたものである。
知見(1)とは、容量結合の形成を目的とたダミー電極(ダミー走査電極、ダミー画素電極)は表示画素群が構成する領域の1辺あたり1本あるいは1行で充分であるということである。これは即ち表示画素群領域の周囲であって容量結合の形成を目的としたダミー電極が存在しない領域に他の構成のダミー電極を自由な構成で自由な位置に配置することができることを意味している。
一般的には、ダミー走査電極やダミー画素電極に代表されるダミー電極は様々な目的で配置されるが、表示画素を構成する電極と同一材料、同一寸法(間隔)で複数個配置されることが多い。特に製造工程中の静電気による不良を防ぐためには素子付きのダミー画素電極を表示画素群領域の周囲に多数個形成すると非常に効果的である。しかしながら、不用意に多数個のダミー画素電極を表示画素と同一寸法で配置すると液晶セル100の外形が大きくなる。これはマザー基板から複数個の液晶セル100を同時に形成することが多い液晶セル100の製造においては、マザー基板1枚あたりの液晶セル100の取り数が減少し、製造コストの上昇に直結することから極めて不都合である。
これに対して、液晶セル100の外形を大きくせずに多数のダミー画素電極を配置させるために、ダミー画素電極の平面形状の外寸法を正規の画素電極よりも小さくすることが考えられる。しかしながら、ダミー画素電極が有する回路定数が正規の画素電極と異なってしまうので、このような小さいダミー画素電極が正規の画素電極に隣接すると容量結合が不均一になり、結果として表示画素群領域の外周位置の表示画素の表示濃度が不均一になるという問題を解消できなくなる。
そこで、本発明者は、表示画素群領域の周囲に配置するダミー電極を少なくとも2種類に分け、一方を表示画素に隣接し少なくとも表示画素を構成する電極と平面形状の外寸法が同一であるダミー電極とし、他方を表示画素を構成する電極と平面形状の外寸法が異なる他のダミー電極を配置することに想到するに至った。すなわち、表示画素群領域の周囲にまず容量結合の形成を目的としたダミー電極を配置し、さらに、その外側に他の目的を有するダミー電極を設けるのである。
この液晶セル100は、相互に対向するように設けられた素子側基板1及び対向側基板10と、それらの両基板に狭持されるように設けられた液晶層(誘電性材料層)とからなる。
素子側基板1の液晶層側には、所定の間隔でマトリクス状に画素電極5が配設されている。各画素電極5は薄膜ダイオード4を介して信号配線2に接続され、また、信号配線2は素子側端子電極6に引き出されている。
対向側基板10の液晶層側には、所定寸法の正規の走査電極11が間隔をおいてN本設けられており、各走査電極11は対向側端子電極12に接続されている。
このような素子側基板1と対向側基板10とは、それぞれ配向処理が行われた後、シール材9を介してスペーサ(図示せず)を利用して所定の間隔を維持すると共に、信号配線2の延びる方向と走査電極11の延びる方向とが直交し且つ画素電極5と走査電極11とが向かい合うように貼り合わされており、走査電極11が延びる方向に並んだ複数の画素電極5が電極群を構成している。両基板の間隙には液晶材料が封入されており、それが液晶層を構成しており、液晶層では液晶分子が所定の配向状態をとっている。そして、画素電極5と走査電極11とそれらの間の液晶層とにより1つの表示画素が規定される。
また、対向側基板10の液晶層側には、1本目の走査電極11の外側の0本目の走査電極対応位置に第1ダミー走査電極11a及びN本目の走査電極の外側のN+1本目の走査電極対応位置に第2ダミー走査電極11bが、それぞれ正規の走査電極11と同一寸法、同一材料で設けられている。本実施形態では、第1ダミー走査電極11aが2本目の正規の走査電極11に接続され、第2走査電極11bがN−1本目の正規の走査電極11に接続されている。
素子側基板1の液晶層側には、液晶層を介して第1ダミー走査電極11aに対向し且つそれに沿って並んだ第1ダミー画素電極5aの電極群が設けられている。また、各第1ダミー画素電極5aは薄膜ダイオード4aを介して信号配線2に接続されている。同様に、素子側基板1の液晶層側には、液晶層を介して第2ダミー走査電極11bに対向し且つそれに沿って並んだ第2ダミー画素電極5bの電極群が設けられている。また、各第2ダミー画素電極5bもまた薄膜ダイオード(図示せず)を介して信号配線2に接続されている。これらの第1及び第2ダミー画素電極5a,5bは正規の画素電極5と同一の構成と寸法を有する。
対向側基板10の液晶層側とは反対側には、偏光板などの光学フィルム15が貼り付けられている。また、対向側基板10の液晶層側には、表示画素群領域の周囲に遮光膜17が設けられている。
本実施形態における液晶セル100では、表示画素群領域の周囲であって且つ第1及び第2ダミー走査電極11a,11bが存在しない領域に、構成の異なる走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11d、並びに画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dが配設されていることを特徴としている。
つまり、対向側基板10の液晶層側には、第1及び第2走査電極11a,11bのそれぞれの外側に、正規の走査電極11に並行して、それよりも幅の狭い走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dが3本ずつ設けられている。また、走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dは正規の走査電極11(第1及び第2ダミー走査電極11a,11b)よりも間隔が短く密に配置されている。走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dは容量結合を生ぜしめることが目的ではないので電気的な接続形態に制限は無い。例えば、電気的に浮かせたり、他の電極に接続させることができる。本実施形態では3本ずつの走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dがまとめて1つの正規の走査電極11に接続されている。
素子側基板1の液晶層側には、第1及び第2ダミー画素電極5a,5bの電極群の外側に、それぞれ正規の画素電極5、第1及び第2ダミー画素電極5a,5bよりも平面形状の外寸法の小さいダミーの画素電極で構成された画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dの電極群が走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dに対応して3行ずつ設けられている。また、各画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dはそれぞれ薄膜ダイオード4c,4d(図示せず)を介して信号配線2に接続されている。これらの画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dは、走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dの場合と同様、正規の画素電極5(第1及び第2ダミー画素電極5a,5b)よりも間隔が短く密に配設されている。薄膜ダイオード4c,4dは、正規の薄膜ダイオード4と同一構成、寸法とされている。
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、まず、正規の画素電極11と少なくとも平面形状の外寸法が等しい第1及び第2ダミー画素電極5a,5bと第1及び第2ダミー走査電極が配置されているので、表示画素群領域の端に位置する表示画素に容量結合CSを生ぜしめることができ、その結果、その表示画素の表示濃度が他の表示画素の表示濃度と同一になる。また、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bは正規の走査電極11に接続されているので、ダミー電極用の対向側端子電極を用意する必要がない。
次に、第1及び第2ダミー走査電極11a,l1bのそれぞれのさらに外側に走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dが設けられているのに加え、第1及び第2ダミー画素電極5a,5bの外側に薄膜ダイオード4cを備えた画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dが設けられているので、液晶セル100の製造工程中に静電気が生じても、この薄膜ダイオード4c,4d(図示せず)が先に破壊されて表示画素群領域の表示画素の薄膜ダイオード4が破壊されずに済めば、それが不良になることを防ぐことができる。
画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dは正規の画素電極5よりも平面形状の外寸法が小さいので複数個設けても液晶セル100の外形を大きくなることがない。従って、特に多数個の画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dを設けても液晶セル100の外形がほとんど変わらないので、マザー基板から取れる液晶セル100の数が減ることが無いという利点がある。
画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5d、並びに走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dはそれぞれ3本に限る必要はない。少なくとも薄膜ダイオード等のスイッチング素子を備えた画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dをより多数の配列で形成すると効果的である。走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dはそれぞれ画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dの対向電極であればよく、それらの行数に合わせて同じ数の走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dを設ける必要は無い。例えば、1つの大きなべた状の電極であってもよく、この1つの走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dに複数行の画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5dが対向する形態でもかまわない。但し、表示画素群領域に隣接した容量結合の形成を目的としたダミー電極の配列数よりも外側に形成されるダミー電極の配列数の方を多くすることが、表示の均一化と静電気対策との両方に対して最大の効果を発揮させるには有効である。つまり、一般的に表示画素群は矩形状の領域になるが、この領域の周囲の少なくとも1辺に隣接して容量結合を目的としたダミー電極が1本配置され、さらに外側領域に複数本でダミー電極が配置される形態が良くこの形態が最も液晶セル100の外形が大きくならない構成になる。
また、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bは正規の走査電極11に接続された構造となっているが、第1及び第2ダミー走査電極11a,11bが例えば従来の液晶セルである図19や図20に図示されるように正規の走査電極11と独立した構造であっても、本実施形態の発明の主旨である2種類のダミー電極の適切な配置構造によって、容量結合による表示の不均一性の解消と効果的な静電気対策を施すことができる効果が得られることは言うまでもない。
尚、第3及び第4ダミー電極として、薄膜ダイオード4c,4d(図示せず)を備えた画素電極側第3及び第4ダミー電極5c,5d、並びに走査電極側第3及び第4ダミー電極11c,11dを挙げたがこれに限らない。例えば、以下(1)から(5)に示す電極を第3及び第4ダミー電極として素子側基板1又は対向側基板10の少なくとも一方に設けるようにしてもよい。
(1)液晶層の厚み制御を目的とした第3及び第4ダミー電極。例えば、表示画素を構成する電極材料を用いて表示画素群領域周囲に配置する。形状や数は当業者が決定して良いが、配線や画素電極に似たパターンと密度で形成する。
(2)素子側基板1と対向側基板10との間隙を維持するために基板間に介在しているスペーサを、液晶セル100の製造工程中の基板上に散布する時に基板表面の帯電状態を制御することを目的とした第3及び第4ダミー電極。例えば、表面が画素電極と同一材料である第3ダミー電極を表示画素群領域周囲に任意の形状と数で形成する。
(3)液晶層中の不純物を吸着させることを目的とした第3及び第4ダミー電極。例えば、外部から電位を与えられた電極であり、液晶を注入する為にシール材9の一部に設けられた開口部付近や、表示画素群領域の周囲に設けられる。
(4)液晶セル100の表示画素群領域外の色見調整を目的とした第3及び第4ダミー電極。例えば、表示画素を構成する電極と同一材料を用いて、透過率や反射率を調整するパターンが表示画素群領域周囲に設けられる。
(5)正規の配線や電極の断線を補修するための冗長配線の第3及び第4ダミー電極。例えば、正規の配線や電極に対して並列配置されたり迂回経路となっている電極。
上記に挙げた第3及び第4ダミー電極は、その構成や材料、寸法は自由である。なぜならば、第3及び第4ダミー電極と表示画素群領域の間に、表示画素を構成する電極と平面形状の外寸法が等しい容量結合の形成を目的とした第1及び第2ダミー電極が設けられているので、第3及び第4ダミー電極に関しては容量結合の観点すなわち等価回路の観点からの制限が与えられていないからである。よって容量結合の形成を目的とした第1及び第2ダミー電極のすぐ傍の領域から第3及び第4ダミー電極を配置しても表示画素は均一に表示され、第3及び第4ダミー電極に当業者が期待する機能を持たせることができる利点を有するのである。
尚、表示画素群領域の周囲に各種の第1〜第4ダミー電極を設けているので、これらのダミー電極が表示される恐れがある。しかしながら、表示画素群領域の周囲に遮光膜17が設けられているので、表示装置の使用者に美観上不快感を与えるのが避けられる。この遮光膜17は、対向側基板10だけでなく素子側基板1内側又はあるいは液晶セル100外側表面に設けることもできる。
また、第3及び第4ダミー電極の外側に液晶セル100の外形の縁に向かってさらなるダミー電極を形成して良い。
その他の作用効果は第1実施形態と同一である。
(その他の実施形態)
以上薄膜ダイオードを有する液晶表示装置を例として実施形態を説明したがその適用範囲はこれに限らない。第1〜第5実施形態では、誘電性材料として液晶材料を用いた表示装置としたが、液晶材料ではなく他の誘電性材料、例えば無機発光材料や有機発光材料を電極間に狭持した表示装置であってもよく、要は走査電極と画素電極とを有し、これらの電極間に誘電性材料が挟持され、隣接した電極において寄生容量が生じる表示装置であれば適用が可能である。