JP4639032B2 - 2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドの3’−プロドラッグ - Google Patents

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、B型肝炎ウイルスを治療するための2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドの3’−プロドラッグに関する。
【0002】
この出願は、2000年6月15日に出願された米国仮出願第60/212100号による優先権を主張する。
【0003】
発明の背景
B型肝炎ウイルス(「HBV」)は、タバコに次ぐ、ヒトのガンの原因の1つである。HBVがガンを惹起するメカニズムは知られていないが、HBVが直接的に腫瘍の発生を誘発するか、感染に伴う慢性炎、硬変および細胞再生により、腫瘍の発生を間接的に誘発するということが仮定されている。
【0004】
B型肝炎ウイルスは、世界的に流行レベルに達している。宿主が感染に気づかずに2から6カ月の潜伏期を過ぎた後に、HBV感染は、急性肝炎および肝損傷をもたらすことがあり、これにより、腹痛、黄疸および一定の酵素の高い血液レベルが生じる。HBVは、迅速に進行する、往々にして疾患の致命的な形態である劇症肝炎を惹起することがあり、その際、肝臓の大部分が破壊される。患者は一般には、急性ウイルス肝炎から回復する。しかし、患者によっては、高レベルのウイルス抗原が、長期または不定期間にわたり持続し、慢性感染が生じる。慢性感染は、慢性持続性肝炎をもたらすことがある。慢性持続性HBVに感染している患者は、開発途上国でよく見受けられる。慢性持続性肝炎は、肝臓の疲労、硬変および肝細胞ガン、原発性肝ガンをもたらしうる。西洋の先進工業国では、HBV感染のハイリスク群には、HBVキャリアーまたはその血液サンプルと接触する群が含まれる。HBVの疫学は実際に、後天性免疫不全症候群の疫学と非常に似ていて、このことが、HBV感染がなぜ、AIDSまたはHIV関連感染を伴う患者でよく見受けられるかを説明している。しかし、HBVは、HIVよりも伝染性が高い。
【0005】
遺伝子的改変タンパク質であるα−インターフェロンによる毎日の治療が有望である。ヒト血清由来ワクチンも、HBVに対して患者を免疫するために開発されている。ワクチンは、遺伝子工学により生産されている。ワクチンが有効であることは判明しているが、慢性キャリアーからのヒト血清の提供が限られているうえに、精製手順が長期にわたり、高くつくので、ワクチンの生産は困難である。さらに、様々な血清から調製されたワクチンの各バッチを、安全性を確認するためにチンパンジーで試験しなければならない。加えて、ワクチンは、既にウイルスに感染している患者の助けとはならない。
【0006】
ウイルス疾患、特にHBVおよびHIVに対するプリンおよびピリミジンヌクレオシドの作用機序における基本的なステップは、モノ、ジおよびトリホスフェート誘導体をもたらす細胞およびウイルスキナーゼによる、その代謝活性化である。多くのヌクレオシドの生物活性種は、三リン酸塩形であり、これは、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素を阻害するか、連鎖停止反応をもたらす。
【0007】
いくつかの合成ヌクレオシドが、HBVに対して活性を示すと同定されている。Liottaらに付与された米国特許第5539116号で請求されていて、3TCとして知られているBCH−189(2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン)の(−)−エナンチオマーが現在、B型肝炎を治療するために臨床実験されている。BioChem Pharma,Inc.によって出願されたEPA0494119A1号も参照。
【0008】
Liottaらに付与された米国特許第5814639号および第5914331号で請求されているβ−2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(「FTC」)は、HBVに対して活性を示す。Furmanらの「The Anti−Hepatitis B Virus Activities,Cytotoxicities,and Anabolic Profiles of the(−)and(+)Enantiomers of cis−5−Fluoro−1−{2−(Hydroxymethyl)−1,3−oxathiolane−5−yl}−Cytosine」、Antimicrobial Agents and Chemotherapy、1992年12月、2686〜2692ページおよびChengらのJournal of Biological Chemistry、Volume 267(20)、13938〜13942ページ(1992年)参照。
【0009】
米国特許第5565438号、第5567688号および第5587362号(Chuら)は、B型肝炎およびエプスタイン−バーウイルスを治療するために2’−フルオロ−5−メチル−β−L−アラビノフラノリルウリジン(L−FMAU)を使用することを開示している。
【0010】
ペンシクロビル(penciclovir、PCV;2−アミノ−1,9−ジヒドロ−9−{4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)ブチル}−(6H−プリン−6−オン)は、B型肝炎に対して活性を示す。米国特許第5075445号および第5684153号参照。
【0011】
PMEAまたは{{2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)エトキシ}メチルホスホン酸}とも称されるアデフォビル(adefovir)(9−{2−(ホスホノメトキシ)エチル}アデニンも、B型肝炎に対して活性を示す。例えば、米国特許第5641763号および第5142051号参照。
【0012】
イェール大学およびThe University of Georgia Research Foundation,Inc.は、WO92/18517号においてB型肝炎ウイルスを処置するためにL−FDDC(5−フルオロ−3’−チア−2’,3’−ジデオキシシチジン)を使用することを開示している。
【0013】
HBVを治療するために調査されている他の薬剤には、アデノシンアラビノシド(arabinoside)、チモシン、アシクロビル、ホスホノホルメート、ジドブジン、(+)−シアニダノール(cyanidanol)、キナクリンおよび2’−フルオロアラビノシル−5−ヨードウラシルが含まれる。
【0014】
エモリー(Emory)大学に付与された米国特許第5444063号および第5684010号は、B型肝炎を治療するために鏡像異性体的に純粋なβ−D−1,3−ジオキソランプリンヌクレオシドを使用することを開示している。
【0015】
エモリー大学、UAB Research FoundationおよびCentre National de la Recherche Scientifique(CNRS)により出願されたWO96/40164号は、B型肝炎を治療するためのいくつかのβ−L−2’,3’−ジデオキシヌクレオシドを開示している。
【0016】
エモリー大学、UAB Research FoundationおよびCentre National de la Recherche Scientifique(CNRS)により出願されたWO95/07287号は、HIV感染を治療するための2’または3’デオキシおよび2’,3’−ジデオキシ−β−L−ペントフラノシルヌクレオシドを開示している。
【0017】
Genencor International,Inc.およびLipitek,Inc.により出願されたWO96/13512号は、抗腫瘍薬および殺ウイルス薬としてのL−リボフラノシルヌクレオシドの調製を開示している。
【0018】
WO95/32984号は、免疫抑制剤としてのヌクレオシド一リン酸塩の脂質エステルを開示している。
【0019】
DE4224737号は、シトシンヌクレオシドおよびその薬剤としての使用を開示している。
【0020】
Tsaiら(Biochem.Pharmacol.1994、48(7)、1477〜81)は、ミトコンドリアDNAの細胞内容物および乳酸産生に対する、抗HIV薬である2’−β−D−F−2’,3’−ジデオキシヌクレオシド類似体の効果を開示している。
【0021】
Galvez(J.Chem.Inf.Comput.Sci.1994、35(5)、1198〜203)は、β−D−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジンの分子計算を記載している。
【0022】
Mahmoudian(Pharm.Research 1991、8(1)、43〜6)は、β−D−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジンなどのHIV薬の定量的構造活性相関分析を開示している。
【0023】
米国特許第5703058号は、HIVまたはHBVを治療するための(5−カルボキシミドまたは5−フルオロ)−(2’,3’−不飽和または3’−変性)ピリミジンヌクレオシドを開示している。
【0024】
Linらは、J.Med.Chem.(31(2)、336〜340、1988)に、β−D−ヌクレオシドの様々な3’−アジド類似体の合成および抗ウイルス活性を開示している。
【0025】
Novirio Pharmaceuticals,Ltd.により出願されたWO00/3998は、置換された6−ベンジル−4−オキソピリミジンを調製する方法およびHIVを治療するためのこのようなピリミジンの使用を開示している。
【0026】
Novirio Pharmaceuticals,Ltd.はまた初めて、WO00/09531号において、2’−デオキシ−β−L−エリスロペントフラノヌクレオシドおよびHBVの治療でのその使用を開示した。ヒトおよび他の宿主動物のB型肝炎感染を治療する方法が開示されており、この方法は、β−L−デオキシリボチミジン(β−L−dT)、β−L−デオキシリボシチジン(β−L−dC)、β−L−デオキシリボウリジン(β−L−dU)、β−L−デオキシリボグアノシン(β−L−dG)、β−L−デオキシリボアデノシン(β−L−dA)およびβ−L−デオキシリボイノシン(β−L−dI)を含む、有効量の生体活性な2’−デオキシ−β−L−エリスロ−ペントフラノヌクレオシド(もしくは、β−L−dNまたはβ−L−2’−dNと称される)またはその薬剤として許容される塩またはプロドラッグを単独で投与するか、場合によって薬剤として許容される担体と組み合わせて投与することを含む。活性化合物の5’およびN(シチジン)またはN(アデノシン)アシル化またはアルキル化誘導体、あるいは5’−ホスホリピドまたは5’−エーテルリピドも開示されていた。
【0027】
抗ウイルス薬の様々なプロドラッグが、試みられている。殊に、Beauchampに付与された米国特許第4957924号は、アシクロビルの様々な治療用エステルを開示している。
【0028】
B型肝炎ウイルスが、世界的流行レベルに達していて、感染した患者に重大で、往々にして悲劇的な作用を示すという事実を考慮すると、宿主に対して低い毒性を有する、ウイルスに感染したヒトを治療するための新規の効果的な薬剤を提供する高い必要性が残っている。
【0029】
したがって、本発明の目的は、HBVに感染したヒト患者または他の宿主を治療するための化合物、組成物および方法を提供することである。
【0030】
発明の概要
2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドの3’−プロドラッグまたはその薬剤として許容される塩または、これらの化合物を含有する薬剤として許容される処方物は、B型肝炎感染または他の関連する症状、例えば抗HBV抗体陽性およびHBV陽性症状、HBVにより惹起された慢性肝炎、硬変、急性肝炎、劇症肝炎、慢性持続性肝炎および疲労を予防および治療する際に使用することができる。これらの化合物または処方物は、抗HBV抗体またはHBV抗原陽性であるか、HBVに曝された個々人での臨床的疾患の進行を予防するか遅延させるために予防的に使用することもできる。
【0031】
有効量の生物学的に活性な2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドの3’−プロドラッグまたはその薬剤として許容される塩を単独で投与するか、他の抗B型肝炎ウイルス薬と組み合わせて、またはそれと交代に、場合によって薬剤として許容される担体と共に投与することを含む、ヒトを含む宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療するための方法も開示する。本明細書中で使用する場合、2’−デオキシという用語は、2’−位に置換基を有さないヌクレオシドのことである。ここで使用する場合、3’−プロドラッグとの用語は、これらに限らないがアシルおよび一実施形態ではL−アミノ酸を含む生物学的に脱離可能な成分を3’−位に有する2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドのことである。
【0032】
一実施形態では、2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドの3’−プロドラッグは、生物学的に脱離可能な成分を3’および/または5’位に含む。好ましい成分は、バリルを含むアミノ酸エステルおよびアセチルを含むアルキルエステルである。したがって、本発明は特に、親である薬剤が、2.2.15細胞において15マイクロモル未満、好ましくは10マイクロモル未満のEC50を有する、所望のプリンまたはピリミジン塩基を有する2’−β−L−デオキシヌクレオシドの3’−L−アミノ酸エステルおよび3’,5’−L−ジアミノ酸エステル;親である薬剤が、2.2.15細胞において10または15マイクロモル未満のEC50を有する、所望のプリンまたはピリミジン塩基を有する3’−(アルキルまたはアリールエステル)−または3’,5’−L−ジ(アルキルまたはアリールエステル)−2’−β−L−デオキシヌクレオシド;および(i)3’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであるか;(ii)両エステルがアミノ酸エステルであるか;(iii)両エステルが独立に、アルキルまたはアリールエステルであるか;(iv)3’エステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであり、親である薬剤が2.2.15細胞において10または15マイクロモル未満のEC50を有する、2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドの3’,5’−ジエステルのプロドラッグを含む。
【0033】
本発明に該当するプロドラッグの例は、2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−チミンの3’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−アデノシンの3’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−グアノシンの3’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−5−フルオロ−シチジンの3’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−ウリジンの3’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’−アセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−チミンの3’−アセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−アデノシンの3’−アセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−グアノシンの3’−アセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−5−フルオロ−シチジンの3’−アセチルエステル;および2’−デオキシ−β−L−(シチジン、5−フルオロシチジン、グアノシン、ウリジン、アデノシンまたはチミン)の3’−エステル(前記において(i)3’エステルはアミノ酸エステルであるか;(ii)3’エステルはアルキルまたはアリールエステルである)である。
【0034】
本発明に該当するプロドラッグの付加的な例は、2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’,5’−L−ジバリンエステル(dival−L−dC);2’−デオキシ−β−L−チミンの3’,5’−L−ジバリンエステル;2’−デオキシ−β−L−アデノシンの3’,5’−L−ジバリンエステル;2’−デオキシ−β−L−グアノシンの3’,5’−L−ジバリンエステル;2’−デオキシ−β−L−5−フルオロ−シチジンの3’,5’−L−ジバリンエステル;2’−デオキシ−β−L−ウリジンの3’,5’−L−ジバリンエステル;2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’,5’−ジアセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−チミンの3’,5’−ジアセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−アデノシンの3’,5’−ジアセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−グアノシンの3’,5’−ジアセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−5−フルオロ−シチジンの3’,5’−ジアセチルエステル;および2’−デオキシ−β−L−(シチジン、5−フルオロシチジン、グアノシン、ウリジン、アデノシンまたはチミン)の3’,5’−ジエステル(前記において(i)3’エステルはアミノ酸エステルであり、5’−エステルはアルキルまたはアリールエステルであるか;(ii)両エステルはアミノ酸エステルであるか;(iii)両エステルは独立に、アルキルまたはアリールエステルであるか;(iv)3’エステルはアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルはアミノ酸エステルである)である。
【0035】
第2の実施形態では、本発明は、式(I)で定義するβ−Lヌクレオシド3’−プロドラッグまたはその薬剤として許容される塩
【0036】
【化26】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
Xは、O、S、SOまたはCHであり;
BASEは、場合によって置換されていてもよいプリンまたはピリミジン塩基である]を提供する。
【0037】
好ましい実施形態では、XはOである。
【0038】
一実施形態では、Rおよび/またはRは、アミノ酸残基である。
【0039】
一実施形態では、アミノ酸残基は、式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0040】
本発明の別の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシプリンまたはその薬剤として許容される塩である。
【0041】
【化27】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
Yは、OR、NRまたはSRであり;
およびXは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、ハロゲン、OR、NRまたはSRからなる群から選択され;
、R、RおよびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特にシクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0042】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0043】
特定の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシアデノシンまたはその薬剤として許容される塩である。
【0044】
【化28】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
およびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特にシクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0045】
好ましい実施形態では、RはHである。
【0046】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0047】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
一実施形態では、Rが水素であり、Rがジメチルアミノメチレンである。
別の実施形態では、Rが水素であり、Rがアセチルである。
別の実施形態では、Rが水素であり、RがL−バリニルである。
【0048】
別の特定の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシグアノシンまたはその薬剤として許容される塩である。
【0049】
【化29】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
およびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特にシクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0050】
好ましい実施形態では、RはHである。
【0051】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0052】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
【0053】
一実施形態では、Rが水素であり、Rがジメチルアミノメチレンである。
【0054】
別の実施形態では、Rが水素であり、Rがアセチルである。
【0055】
別の実施形態では、Rが水素であり、RがL−バリニルである。
【0056】
別の特定の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシイノシンまたはその薬剤として許容される塩もしくはプロドラッグである化合物である
【0057】
【化30】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択される]。
【0058】
好ましい実施形態では、RがHである。
【0059】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0060】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
【0061】
本発明の別の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシピリミジンまたはその薬剤として許容される塩である
【0062】
【化31】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
Yは、OR、NRまたはSRであり;
は、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、ハロゲン、OR、NRまたはSRからなる群から選択され;
、R、RおよびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特にシクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0063】
一実施形態では、アミノ酸残基が、式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0064】
特定の一実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシシチジンまたはその薬剤として許容される塩である
【0065】
【化32】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
は、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、ハロゲン、OR、NRまたはSRからなる群から選択され;
、R、RおよびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特に、シクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換されたアリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0066】
一実施形態では、Xは、水素である。
【0067】
別の実施形態では、Xは、ハロゲン、即ち、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0068】
好ましい実施形態では、Rは、Hである。
【0069】
一実施形態では、アミノ酸残基が、式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0070】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
【0071】
一実施形態では、Rが水素であり、Rがジメチルアミノメチレンである。
【0072】
別の実施形態では、Rが水素であり、Rがアセチルである。
【0073】
別の実施形態では、Rが水素であり、RがL−バリニルである。
【0074】
別の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシウリジンまたはその薬剤として許容される塩である
【0075】
【化33】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択される]。
【0076】
好ましい実施形態では、RがHである。
【0077】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0078】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
【0079】
別の実施形態では、β−L−ヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−チミジンまたはその薬剤として許容される塩である
【0080】
【化34】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択される]。
【0081】
好ましい実施形態では、RがHである。
【0082】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0083】
別の好ましい実施形態では、Rは、アミノ酸残基、特にL−バリニルである。
【0084】
本発明はさらに、少なくとも2種の、ここに記載されているプロドラッグからなる組合せを提供する。
【0085】
本発明はさらに、これらに限らないが、ここに定義されているプロドラッグのいずれかの親である薬剤、即ち、2’−デオキシ−β−L−シチジン;2’−デオキシ−β−L−チミン;2’−デオキシ−β−L−アデノシン;2’−デオキシ−β−L−グアニン;2’−デオキシ−β−L−5−フルオロシチジンを含む2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドを含む、B型肝炎に対して活性を示す第2のヌクレオシドと併用するか、または交代で用いる、少なくとも1種の前記の3’−プロドラッグを提供する。あるいは、3’−プロドラッグは、(−)−シス−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン;シス−2’,3’−ジデオキシ−3’−チア−5−フルオロシチジン;L−FMAU;アデフォビル;ファムシクロビル(famciclovir)およびエンテシビル(entecivir)などの他の抗B型肝炎ウイルス薬または2.2.15細胞において10または15マイクロモル未満のEC50を示す他の化合物あるいはそれらのプロドラッグまたは薬剤として許容される塩と併用するか、または交代で投与することができる。
【0086】
本発明はさらに、これらに限らないが、インターフェロン、インターロイキンまたはB型肝炎複製を発現するかまたは調節する遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはγ−グロブリンなどの生体物質を含む免疫変調成分または他の薬剤として活性なウイルス複製の変更因子と組み合わせて、またはそれらと交代に、プロドラッグを投与することを含む。
【0087】
抗HBV化合物の親の効力は、ここで特に記載される方法により、インビトロでウイルスの複製速度を50%ほど遅くするために必要な化合物の濃度により(即ち、化合物のEC50)、測定することができる。好ましい実施形態では、プロドラッグ化合物の親は、肝炎ビリオンにトランスフェクションされた2.2.15細胞で試験する場合にインビトロで15マイクロモル未満、好ましくは10マイクロモル未満のEC50を示す。
図面の簡単な説明
図1aおよび1bは、それぞれ本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからの2’−デオキシ−β−L−シチジン(β−L−dC)の3’−および5’−バリニルエステルの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
図2は、本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからのN−アセチル−2’−デオキシ−β−L−シチジンの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
図3は、本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからのN−[(ジメチルアミノ)メチレン]−2’−デオキシ−β−L−シチジンの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
図4は、本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからの3’,5’−ジ−O−アセチル−2’−デオキシ−β−L−シチジンの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
図5は、本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからの2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’,5’−ジ−O−バリニルエステルの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
図6は、本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからの2’−デオキシ−β−L−シチジンのN−(Boc−バリニル)エステルの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
図7は、本発明による、3’,5’,N−トリ−(Boc−L−バリニル)−2’−デオキシ−β−L−シチジンからの3’,5’,N−トリ−(L−バリニル)−2’−デオキシ−β−L−シチジンの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
図8は、様々なヌクレオシドの可溶性を決定するために使用することができる標準校正法を示す線グラフである。図8aは、天然のβ−D−デオキシリボシトシンで決定された校正曲線を示す図である。図8bは、β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルで決定された校正曲線を示す図である。
図9aは、pH7.42でのβ−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの安定性を評価するために使用されるHPLCプロファイルの非限定的実施例を示す図である。このHPLCプロファイルは、3種の活性な代謝物であるβ−L−デオキシリボシトシンの3’−バリニルエステル、β−L−デオキシリボシトシンの5’−バリニルエステルおよびL−dCと共に、β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの存在を示している。図9bは、β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルとその代謝物との時間に応じた相対濃度を示す線グラフである。
同様に、図10aおよび11aは、pH7.20でのβ−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの安定性を評価するために使用されるHPLCプロファイルの非限定的実施例を示す図である。このpHで、HPLCプロファイルは、3種の活性な代謝物であるβ−L−デオキシリボシトシンの3’−バリニルエステル、β−L−デオキシリボシトシンの5’−バリニルエステルおよびL−dCと共に、β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの存在を示している。図10bおよび図11aは、β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルとその代謝物との時間に応じた相対濃度を示す線グラフである。
図12は、pH1.23でのβ−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの安定性を評価するために使用されるHPLCプロファイルの非限定的実施例を示す図である。このpHで、HPLCプロファイルは、β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの存在のみを示しており、その際、その3種の活性な代謝物のいずれの分解も示されていない。
図13は、ヒト血漿中でのβ−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルのインビトロ代謝を示す線グラフである。
図14は、HepG2細胞でのβ−L−デオキシリボシトシン(L−dC)の細胞内代謝を示す線グラフである。
図15は、一次ヒト肝細胞でのL−dCの細胞内蓄積を示す線グラフである。
図16は、慢性B型肝炎ウイルス感染しているウッドチャックモデルでの28日間の慢性B型肝炎ウイルス感染治療での、L−dCの抗ウイルス用量応答を示す棒グラフである。
図17は、慢性B型肝炎ウイルス感染しているウッドチャックモデルでのL−dCの抗ウイルス活性を示す線グラフである。
図18は、経口によりL−dC(0.01〜10mg/kg/日)で28日間治療された個々のウッドチャックの体重を示す線グラフである。
図19は、経口によりL−dC(1mg/kg/日)で12週間治療された個々のウッドチャックの体重を示す線グラフである。
【0088】
発明の詳細な説明
ここで開示する発明は、ヒトおよび他の宿主動物のB型肝炎ウイルスを治療するための化合物、方法、および組成物である。その方法には、HBVを治療する有効量の、本明細書に記載のβ−L−ヌクレオシドの3’−プロドラッグ、その薬剤として許容される塩を、場合によっては薬剤として許容される担体に含ませて投与することが含まれる。本発明の化合物は、抗ウイルス(すなわち、抗HBV)活性を有する、または代謝されるとそのような活性を示す化合物になる。
【0089】
要約すると、本発明には以下の特徴、すなわち、
(a)本明細書に記載のβ−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグ、その薬剤として許容される塩、エステル、および組成物、
(b)特に、B型肝炎に感染している、あるいはB型肝炎に感染する恐れがあると診断された個体において、B型肝炎感染の治療または予防に使用するための本明細書に記載のβ−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグ、その薬剤として許容される塩、エステル、および組成物、
(c)B型肝炎感染を治療するための医薬品の製造での、このようなβ−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグ、その薬剤として許容される塩、エステル、および組成物の使用、
(d)β−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグ、その薬剤として許容される塩、ならびに薬剤として許容される担体または希釈剤を含む製剤、
(e)実質上その両方の鏡像異性体が存在しない、または実質上他の化学的存在から単離された本明細書に記載のβ−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグ、その薬剤として許容される塩、エステル、および組成物、
(f)以下でより詳細に記述する、β−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグの調製方法、
(g)実質上そのヌクレオシドの鏡像異性体が存在しない、または実質上他の化学的存在から単離されたβ−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグの調製方法、
(h)有効量のβ−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグ、その薬剤として許容される塩、エステルまたは第2の抗B型肝炎薬との組成物を投与することを含む、B型肝炎に感染した宿主の治療、
(i)有効量のβ−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグ、その薬剤として許容される塩、エステルまたは別のβ−L−2’−デオキシヌクレオシドの親との組成物を投与することを含む、B型肝炎に感染した宿主の治療、
(j)有効量のβ−L−2’−デオキシ−シチジンの3’−プロドラッグ、その薬剤として許容される塩またはエステルを第2の抗B型肝炎薬の親と共に投与することを含む、B型肝炎に感染した宿主の治療、
(k)有効量のβ−L−2’−デオキシ−シチジンの3’,5’−ジバリルまたはジアセチルエステル、その薬剤として許容される塩、エステルを第2の抗B型肝炎薬と共に投与することを含む、B型肝炎に感染した宿主の治療、
(l)有効量のβ−L−2’−デオキシ−シチジンの3’,5’−ジバリルまたはジアセチルエステル、その薬剤として許容される塩、エステルをβ−L−2’−デオキシ−チミジンまたはその薬剤として許容される塩と共に投与することを含む、B型肝炎に感染した宿主の治療が含まれる。
【0090】
特に好ましい組合せは、β−L−dC(L−dCとも称される)の3’,5’−プロドラッグと親のβ−L−dT(L−dTとも称される)との、特に、β−L−dCの3’,5’−ジバリルまたは3’,5’−ジアセチルエステルとβ−L−dTとの組合せである。中性塩基としてのL−dCおよびHCl塩の経口による生物学的利用率は、げっ歯類および非ヒト霊長類では低い。L−dCは、他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体と、胃腸管からの吸収または輸送に関して著しく競合し、他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体は、吸収に関してL−dCと競合することが判明している。経口による生物学的利用率を改善し、薬剤−薬剤相互作用のポテンシャルを低減するために、サルでの薬物動態スクリーニングが確立された。このスクリーニングにより、L−dCの3’−プロドラッグは、親分子よりも高い経口生物学的利用率を有し、組み合わせて使用される他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体の生物学的利用率に対して低い効果を有することが確認された。L−dCのプロドラッグと組み合わせて使用されるこのようなヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体の例は、L−dT、L−dA、ラミブジン(lamibudine)またはFTCである。
【0091】
このアプローチを使用して、L−dCの3’,5’−ジバリンエステルは、親のL−dCよりも高い経口生物学的利用率を有し、L−dCに比較して、組み合わせて使用した場合に、他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体と低い相互作用を示すことが判明した。薬物動態研究によってさらに、L−dCの3’,5’−ジバリンエステルは、胃腸粘膜、血液または肝臓での脱エステル化により、親のL−dCに転化することが示された。
【0092】
L−dCの3’,5’−ジバリンエステルは、経口輸送された後に、胃腸管内腔から、胃腸管内膜中のアミノ酸輸送機能により血流へとかなり活性に輸送される。このことが、主としてヌクレオシド輸送機能により輸送される親のL−dCに比較して、経口生物学的利用率が高まることの説明となる。これにより、L−dCの3’,5’−ジバリンエステルを、アミノ酸輸送機能によってではなくヌクレオシド輸送機能により輸送される他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体と共に摂取する際の低い競合も説明がつく。完全な吸収の前に、L−dCのジバリンエステルの部分的な脱エステル化が生じるので、モノバリンエステルは、アミノ酸輸送機能により吸収され続ける。したがって、望ましい結果として、より良好な吸収または生物学的利用率ならびに血流に摂取するための他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体との低い競合が維持される。
【0093】
I.本発明により定義される化合物
第1の実施形態では、2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドの3’−プロドラッグは、生物学的に脱離可能な成分を3’および5’位の両方に含む。好ましい成分は、L−バリルなどのL−アミノ酸エステルおよびアセチルなどのアルキルエステルである。本発明は特に、親である薬剤が、2.2.15細胞において15マイクロモル未満、好ましくは10マイクロモル未満のEC50を有する、所望のプリンまたはピリミジン塩基を有する3’,5’−L−アミノ酸−β−L−2’−デオキシヌクレオシド;親である薬剤が、2.2.15細胞において15マイクロモル未満、好ましくは10マイクロモル未満のEC50を有する、所望のプリンまたはピリミジン塩基を有する3’,5’−(アルキルまたはアリール)−β−L−2’−デオキシヌクレオシド;および(i)3’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであるか;(ii)両エステルがアミノ酸エステルであるか;(iii)両エステルが独立に、アルキルまたはアリールエステルであるか;(iv)3’エステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであり、親である薬剤が2.2.15細胞において15マイクロモル未満の用量でEC50を有する、2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドの3’,5’−ジエステルのプロドラッグを含む。
【0094】
本発明に該当する3’−プロドラッグの例は、2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’,5’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−チミンの3’,5’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−アデノシンの3’,5’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−グアノシンの3’,5’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−5−フルオロ−シチジンの3’,5’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−ウリジンの3’,5’−L−バリンエステル;2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’,5’−アセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−チミンの3’,5’−アセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−アデノシンの3’,5’−アセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−グアノシンの3’,5’−アセチルエステル;2’−デオキシ−β−L−5−フルオロ−シチジンの3’,5’−アセチルエステル;および2’−デオキシ−β−L−(シチジン、5−フルオロシチジン、グアノシン、ウリジン、アデノシンまたはチミン)の3’,5’−エステル(前記において(i)3’エステルはアミノ酸エステルであり、5’−エステルはアルキルまたはアリールエステルであるか;(ii)両エステルはアミノ酸エステルであるか;(iii)両エステルは独立に、アルキルまたはアリールエステルであるか、(iv)3’エステルはアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルはアミノ酸エステルである)である。
【0095】
一実施形態では、本発明は、式(I)で定義されるβ−Lヌクレオシド3’−プロドラッグまたはその薬剤として許容される塩
【0096】
【化35】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
Xは、O、S、SOまたはCHであり;
BASEは、場合によって置換されていてもよいプリンまたはピリミジン塩基である]を提供する。
【0097】
好ましい実施形態では、XがOである。
【0098】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0099】
第1の下位実施形態では、Rは、C(O)−アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0100】
第2の下位実施形態では、Rは、C(O)−低級アルキルであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0101】
第3の下位実施形態では、Rは、C(O)−メチルであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0102】
第4の下位実施形態では、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0103】
第5の下位実施形態では、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、イソプロピルであり、R10およびR11の少なくとも1個は水素であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0104】
第6の下位実施形態では、Rは、C(O)C(R)(H)(NR10 )であり、Rは、アミノ酸側鎖であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0105】
第7の下位実施形態では、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、非極性アミノ酸側鎖であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0106】
下位実施形態の非限定的例は、
(1)Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、アデニンであるか、
(2)Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、保護されているアデニンであるか、
(3)Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、シトシンであるか、
(4)Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、保護されているシトシンであるか、
(5)Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、チミンであるか、
(6)Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、アデニンであるか、
(7)Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、保護されているアデニンであるか、
(8)Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、シトシンであるか、
(9)Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、保護されているシトシンであるか、
(10)Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、チミンである、式(I)により定義することができる。
【0107】
第8の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、C(O)−アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0108】
第9の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、C(O)−低級アルキルであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0109】
第10の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0110】
第11の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0111】
第12の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、イソプロピルであり、R10およびR11の少なくとも1個は水素であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0112】
第13の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、アミノ酸側鎖であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0113】
第14の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、非極性アミノ酸側鎖であり、RおよびRの少なくとも1個は、水素であり、Bはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0114】
下位実施形態の非限定的例は、
(1)Xは、Oであり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、アデニンであるか、
(2)Xは、Oであり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、保護されているアデニンであるか、
(3)Xは、Oであり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、シトシンであるか、
(4)Xは、Oであり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、保護されているシトシンであるか、
(5)Xは、Oであり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、チミンであるか、
(6)Xは、Oであり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、アデニンであるか、
(7)Xは、Oであり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、保護されているアデニンであるか、
(8)Xは、Oであり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、シトシンであるか、
(9)Xは、Oであり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、保護されているシトシンであるか、
(10)Xは、Oであり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、チミンである、式(I)により定義することができる。
【0115】
第15の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)−アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0116】
第16の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)−低級アルキルであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0117】
第17の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0118】
第18の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0119】
第19の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、イソプロピルであり、R10およびR11の少なくとも1個は水素であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0120】
第20の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、アミノ酸側鎖であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0121】
第21の下位実施形態では、Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、非極性アミノ酸側鎖であり、RおよびRの少なくとも1個は、水素であり、Bはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0122】
下位実施形態の非限定的例は、
(1)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、アデニンであるか、
(2)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、保護されているアデニンであるか、
(3)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、シトシンであるか、
(4)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、保護されているシトシンであるか、
(5)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)−メチルであり、BASEは、チミンであるか、
(6)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、アデニンであるか、
(7)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、保護されているアデニンであるか、
(8)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、シトシンであるか、
(9)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、保護されているシトシンであるか、
(10)Xは、Oであり、Rは、水素であり、Rは、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、チミンであるである、式(I)により定義することができる。
【0123】
第22の下位実施形態では、Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)−アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0124】
第23の下位実施形態では、Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)−低級アルキルであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0125】
第24の下位実施形態では、Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)−メチルであり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0126】
第25の下位実施形態では、Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0127】
第26の下位実施形態では、Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、イソプロピルであり、R10およびR11の少なくとも1個は水素であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0128】
第27の下位実施形態では、Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、アミノ酸側鎖であり、BASEはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0129】
第28の下位実施形態では、Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)C(R)(H)(NR1011)であり、Rは、非極性アミノ酸側鎖であり、RおよびRの少なくとも1個は、水素であり、Bはアデニン、保護されているアデニン、シトシン、保護されているシトシンまたはチミンである。
【0130】
下位実施形態の非限定的例は、
(1)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)−メチルであり、BASEは、アデニンであるか、
(2)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)−メチルであり、BASEは、保護されているアデニンであるか、
(3)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)−メチルであり、BASEは、シトシンであるか、
(4)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)−メチルであり、BASEは、保護されているシトシンであるか、
(5)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)−メチルであり、BASEは、チミンであるか、
(6)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、アデニンであるか、
(7)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、保護されているアデニンであるか、
(8)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、シトシンであるか、
(9)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、保護されているシトシンであるか、
(10)Xは、Oであり、RおよびRは、独立に、C(O)C(R)(H)(NH)であり、Rは、イソプロピルであり、BASEは、チミンである、式(I)により定義することができる。
【0131】
本発明の別の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシプリンまたはその薬剤として許容される塩である
【0132】
【化36】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
Yは、OR、NRまたはSRであり;
およびXは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、ハロゲン、OR、NRまたはSRからなる群から選択され;
、R、RおよびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特にシクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0133】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0134】
特定の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシアデノシンまたはその薬剤として許容される塩である
【0135】
【化37】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
およびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特にシクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0136】
好ましい実施形態では、RがHである。
【0137】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0138】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
【0139】
一実施形態では、Rが水素であり、Rがジメチルアミノメチレンである。
別の実施形態では、Rが水素であり、Rがアセチルである。
別の実施形態では、Rが水素であり、RがL−バリニルである。
【0140】
別の特定の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシグアノシンまたはその薬剤として許容される塩である
【0141】
【化38】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
およびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特にシクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0142】
好ましい実施形態では、RがHである。
【0143】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0144】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
一実施形態では、Rが水素であり、Rがジメチルアミノメチレンである。
別の実施形態では、Rが水素であり、Rがアセチルである。
別の実施形態では、Rが水素であり、RがL−バリニルである。
【0145】
別の特定の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシイノシンまたはその薬剤として許容される塩もしくはプロドラッグである
【0146】
【化39】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択される]。
【0147】
好ましい実施形態では、RがHである。
【0148】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0149】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
【0150】
本発明の別の実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシピリミジンまたはその薬剤として許容される塩である
【0151】
【化40】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
Yは、OR、NRまたはSRであり;
は、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、ハロゲン、OR、NRまたはSRからなる群から選択され;
、R、RおよびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特にシクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0152】
一実施形態では、アミノ酸残基が、式:C(O)C(R)(R)(NR1011)のアミノ酸残基であり、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0153】
特定の一実施形態では、β−Lヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシシチジンまたはその薬剤として許容される塩である
【0154】
【化41】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択され;
およびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖または環式アルキル(特にシクロプロピル)、ジアルキルアミノアルキレン(特に、ジメチルアミノメチレン)、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体である]。
【0155】
好ましい実施形態では、RがHである。
【0156】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0157】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
一実施形態では、Rが水素であり、Rがジメチルアミノメチレンである。
別の実施形態では、Rが水素であり、Rがアセチルである。
別の実施形態では、Rが水素であり、RがL−バリニルである。
【0158】
別の実施形態では、β−L−ヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−2’−デオキシウリジンまたはその薬剤として許容される塩である
【0159】
【化42】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択される]。
【0160】
好ましい実施形態では、RがHである。
【0161】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0162】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
【0163】
別の実施形態では、β−L−ヌクレオシド3’−プロドラッグが、次式のβ−L−チミジンまたはその薬剤として許容される塩である
【0164】
【化43】
Figure 0004639032
[上式中、
は、水素、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体であり;
は、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アミノ酸残基、モノ、ジまたはトリホスフェート、あるいはホスフェート誘導体からなる群から選択される]。
【0165】
好ましい実施形態では、RはHである。
【0166】
一実施形態では、アミノ酸残基が式:C(O)C(R)(R)(NR1011)を有し、前記において、
は、アミノ酸の側鎖であり、その際、プロリンの場合のようにRは、場合によってR10と結合して環構造を形成してもよいか;あるいはRは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環成分であり;
は、水素、アルキル(低級アルキルを含む)またはアリールであり;
10およびR11は、独立に、水素、アシル(Rに結合しているアシル誘導体を含む)またはアルキル(これらに限らないが、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルを含む)である。
【0167】
別の好ましい実施形態では、Rがアミノ酸残基、特にL−バリニルである。
【0168】
II.用語の定義および使用
本明細書では、用語アルキルは、別段の指定がない限り、飽和の直鎖、分枝、または環状の第1級、第2級、または第3級の、C〜C10の炭化水素を指し、具体的には、メチル、トリフルオロメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、および2,3−ジメチルブチルが含まれる。この用語には、置換アルキル基も非置換アルキル基も含まれる。アルキル基を置換してよい部分は、保護していない、または当分野の技術者に知られているとおりに、たとえばGreene等の「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons社刊、第2版、1991年(これを参照により本明細書に組み込む)で教示されているとおりに、必要に応じて保護したヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、サルファート、ホスホン酸、ホスファート、またはホスホナートからなる群から選択される。
【0169】
本明細書では、用語低級アルキルは、別段の指定がない限り、飽和の直鎖、分枝、または該当すれば環状(たとえば、シクロプロピル)のC〜Cアルキル基を指し、置換された形も非置換の形も含まれる。この出願で別段特記しない限り、アルキルが適切な部分である場合は、低級アルキルが好ましい。同様に、アルキルまたは低級アルキルが適切な部分である場合は、非置換のアルキルまたは低級アルキルが好ましい。
【0170】
本明細書では、用語「保護した」は、別段の定義がない限り、その基がさらに反応しないように、または他の目的のために、酸素、窒素、またはリン原子を付加させた基を指す。有機合成分野の技術者には、幅広い種類の酸素および窒素保護基が知られている。非限定的な保護基の例は、Greene等の「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons社刊、第2版、1991年に教示されている。
【0171】
本明細書では、用語アリールは、別段の指定がない限り、フェニル、ビフェニル、またはナフチルを指し、フェニルが好ましい。この用語には、置換された部分も非置換の部分も含まれる。アリール基は、保護していない、または当分野の技術者に知られているとおりに、たとえばGreene等の「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons社刊、第2版、1991年で教示されているとおりに、必要に応じて保護したヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、サルファート、ホスホン酸、ホスファート、またはホスホナートからなる群から選択された1種または複数の部分で置換されていてよい。
【0172】
用語プリン塩基またはピリミジン塩基には、限定するものではないが、アデニン、N−アルキルプリン類、N−アシルプリン類(アシルは、(O)(アルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである)、N−ベンジルプリン、N−ハロプリン、N−ビニルプリン、N−アセチレンプリン、N−アシルプリン、N−ヒドロキシアルキルプリン、N−チオアルキルプリン、N−アルキルプリン類、N−アルキル−6−チオプリン類、チミン、シトシン、5−フルオロシトシン、5−メチルシトシン、6−アザシトシンを含む6−アザピリミジン、2−および/または4−メルカプトピリミジン、ウラシル、5−フルオロウラシルを含む5−ハロウラシル、C−アルキルピリミジン類、C−ベンジルピリミジン類、C−ハロピリミジン類、C−ビニルピリミジン、C−アセチレンピリミジン、C−アシルピリミジン、C−ヒドロキシアルキルプリン、C−アミドピリミジン、C−シアノピリミジン、C−ニトロピリミジン、C−アミノピリミジン、N−アルキルプリン類、N−アルキル−6−チオプリン類、5−アザシチジニル、5−アザウラシリニル、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびピラゾロ−ピリミジニルが含まれる。プリン塩基には、限定するものではないが、グアニン、アデニン、ヒポキサンチン、2,6−ジアミノプリン、および6−クロロプリンが含まれる。塩基上の官能性酸素基および窒素基は、必要に応じてまたは望むとおりに保護してよい。適切な保護基は、当分野の技術者によく知られており、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリチル、アルキル基、アセチルやプロピオニルなどのアシル基、メタンスルホニル、およびp−トルエンスルホニルが含まれる。
【0173】
用語アシルは、エステル基の非カルボニル部分が、直鎖、分枝、もしくは環状のアルキルもしくは低級アルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、ベンジルを含むアラルキル、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキル;ハロゲン、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシで場合によって置換されたフェニルを含むアリール;メタンスルホニルを含むアルキルスルホニルやアラルキルスルホニルなどのスルホン酸エステル、一、二、もしくは三リン酸エステル、トリチルもしくはモノメトキシトリチル、置換ベンジル、トリアルキルシリル(たとえば、ジメチルt−ブチルシリル)、またはジフェニルメチルシリルから選択されたカルボン酸エステルを指す。エステルのアリール基は、フェニル基を含むことが最適である。用語「低級アシル」は、非カルボニル部分が低級アルキルであるアシルを指す。
【0174】
アミノ酸との用語には、天然に生じるか、合成のα、β、γまたはδアミノ酸が含まれ、これらに限らないが、タンパク質中に存在するアミノ酸、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパルテート、グルタメート、リシン、アルギニンおよびヒスチジンが含まれる。好ましい実施形態では、アミノ酸は、L−配置である。あるいは、アミノ酸は、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニニル、トリプトファニル、メチオニニル、グリシニル、セリニル、スレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルトイル、グルタロイル、リシニル、アルギニニル、ヒスチジニル、β−アラニル、β−バリニル、β−ロイシニル、β−イソロイシニル、β−プロリニル、β−フェニルアラニニル、β−トリプトファニル、β−メチオニニル、β−グリシニル、β−セリニル、β−スレオニニル、β−システイニル、β−チロシニル、β−アスパラギニル、β−グルタミニル、β−アスパルトイル、β−グルタロイル、β−リシニル、β−アルギニニルまたはβ−ヒスチジニルの誘導体であってもよい。
【0175】
ここで使用する場合、ヘテロアリールまたはへテロ芳香族との用語は、芳香環中に少なくとも1個のイオウ、酸素、窒素またはリンを含有する芳香族成分のことである。複素環との用語は、環中に、酸素、イオウ、窒素、リンなどの少なくとも1個のヘテロ原子が存在する非芳香族環式基のことである。ヘテロアリールおよび複素環式基の非限定的例には、フリル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾイミダゾリル、プリニル、カルバゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、チオフェン、フラン、ピロール、イソピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリミジンまたはピリダジンおよびプテリジニル、アジリジン、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、チアジン、ピリジン、ピラジン、ピペラジン、ピロリジン、オキサジラン、フェナジン、フェノチアジン、モルホリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、キノキサリニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、プテリジニル、5−アザシチジニル、5−アザウラシリル、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、アデニン、N6−アルキルプリン、N6−ベンジルプリン、N6−ハロプリン、N6−ビニプリン、N6−アセチレン系プリン、N6−アシルプリン、N6−ヒドロキシアルキルプリン、N6−チオアルキルプリン、チミン、シトシン、6−アザピリミジン、2−メルカプトピルミジン(2−mercaptopyrmidine)、ウラシル、N5−アルキルピリミジン、N5−ベンジルピリミジン、N5−ハロピリミジン、N5−ビニルピリミジン、N5−アセチレン系ピリミジン、N5−アシルピリミジン、N5−ヒドロキシアルキルプリンおよびN6−チオアルキルプリンおよびイソキサゾリルが含まれる。複素芳香族および複素環成分は、アリールに関して前記したように場合によって置換されていてもよく、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシル誘導体、アミド、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノから選択される1個または複数の置換基で置換されていることを含む。複素芳香族は、所望のように部分的に、または全部、水素化されていてもよい。非限定的例としては、ジヒドロピリジンを、ピリジンの代わりに使用することができる。ヘテロアリール基上の官能性酸素および窒素基を、必要に応じて、または所望の場合には保護することもできる。適切な保護基は、当技術分野の専門家にはよく知られていて、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリルおよびt−ブチルジフェニルシリル、トリチルまたは置換されているトリチル、アルキル基、アシル基、例えばアセチルおよびプロピオニル、メタンスルホニルおよびp−トルエンスルホニルが含まれる。
【0176】
本明細書では、用語「鏡像異性体をほとんど含まない」または「鏡像異性体がほとんど存在しない」は、そのヌクレオシドの指定の鏡像異性体を少なくとも95〜98重量%、より好ましくは99〜100重量%含むヌクレオシド組成物を指す。好ましい実施形態において、本発明の方法および化合物では、化合物は互いの鏡像異性体をほとんど含まない。
【0177】
同様に、用語「単離された」は、そのヌクレオシドを少なくとも85または90重量%、好ましくは95〜98重量%、より好ましくは99〜100重量%含み、残りが他の化学種または鏡像異性体を含むヌクレオシド組成を指す。
【0178】
本明細書では、用語「それぞれ独立に」は、それぞれ独立に適用した変動要素が適用毎に無関係に変わることを示す。したがって、R”XYR”(R”は「それぞれ独立に炭素または窒素」である)のような化合物では、「両方のR”を炭素としても、両方のR”を窒素としても、一方のR”を炭素とし、他方のR”を窒素としてもよい。
【0179】
本明細書では、用語宿主は、ウイルス複製が可能な単細胞生物または多細胞生物を指し、細胞系および動物、好ましくはヒトが含まれる。あるいは宿主は、本発明の化合物によってその複製または機能が変更されるB型肝炎ウイルスのゲノムの一部を保有していてもよい。用語宿主は、具体的には、感染細胞、HBVのゲノムの全体または部分をトランスフェクトした細胞、および動物、特に(チンパンジーを含む)霊長類およびヒトを指す。本発明の大部分の動物適用例では、宿主はヒトの患者である。しかし、ある適応症では、本発明は、明らかに動物への適用を見込んでいる(チンパンジーなど)。
【0180】
患者に投与すると、ヌクレオシド化合物をもたらし、あるにしても最小限の不所望の毒性効果しか示さない任意の薬剤として許容される形のヌクレオシド化合物を記載するために、「薬剤として許容される塩」および「薬剤として許容される錯体」との用語を明細書を通して使用している。薬剤として許容される塩には、薬剤として許容される無機または有機塩基および酸から誘導されるものが含まれる。このような塩の非限定的例は、(a)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)で生じる酸付加塩ならびに酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルモ酸(palmoic acid)、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸およびポリガラクツロン酸などの有機酸で生じる塩;(b)アルカリ金属から誘導されるか、アルカリ土類金属、ナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどから誘導されるようなカチオン、またはN,N−ジベンジルエチレン−ジアミン、アンモニウムもしくはエチレンジアミンから生じる有機カチオンで生じる塩基付加塩;あるいは(c)(a)および(b)の組合せ;例えばタンニン酸亜鉛塩などである。
【0181】
この明細書中では、用語「薬剤として許容される塩またはプロドラッグ」は、患者に投与されるとヌクレオシド化合物をもたらす何らかの薬剤として許容される形(エステル、リン酸エステル、エステルまたは関連した基の塩)のヌクレオシド化合物を述べるものである。薬剤として許容される塩には、薬剤として許容される無機または有機の塩基および酸から誘導されたものが含まれる。適切な塩には、製薬業界でよく知られている数多い他の酸の中でも、カリウムやナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属から誘導されたものが含まれる。薬剤として許容されるプロドラッグは、宿主の中で代謝、たとえば加水分解または酸化されて、本発明の化合物を生成する化合物を指す。プロドラッグの典型的な例には、活性化合物の官能性部分に生物学的に不安定な保護基を有する化合物が含まれる。プロドラッグには、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱水、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、脱リン酸化されて、活性化合物を生成することのできる化合物が含まれる。本発明の化合物は、HBVに対して抗ウイルス活性を有する、または代謝されるとそのような活性を示す化合物になる。
【0182】
III.ヌクレオチドの塩またはプロドラッグ製剤
化合物が十分に塩基性または酸性であって、安定な非毒性の酸または塩基の塩を形成する場合、化合物を薬剤として許容される塩として投与することが適切である。薬剤として許容される塩の例は、生理学的に許容されるアニオンを生成する有機酸の付加塩、たとえば、トシラート、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、およびα−グリセロリン酸塩である。硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、および炭酸塩を含む、適切な無機塩を生成してもよい。
【0183】
薬剤として許容される塩は、当技術分野でよく知られている標準の手順を利用して、たとえば、アミンなどの十分に塩基性の化合物と生理学的に許容されるアニオンをもたらす適切な酸を反応させることによって得られる。カルボン酸のアルカリ金属(たとえば、ナトリウム、カリウム、またはリチウム)塩またはアルカリ土類金属(たとえば、カルシウム)塩を作製してもよい。
【0184】
本明細書に記載のどんなヌクレオシドも、ヌクレオシドプロドラッグとして投与して、活性、生物学的利用能、安定性を高め、あるいは他の点でヌクレオシドの特性を変更することができる。数種のヌクレオシドプロドラッグリガンドが知られている。一般に、ヌクレオシドの一、二、または三リン酸のアルキル化、アシル化、または他の親油性化修飾により、ヌクレオチドの安定性が向上する。リン酸部分の1個または複数の水素を置換できる置換基の例は、アルキル、アリール、ステロイド、糖を含む炭水化物、1,2−ジアシルグリセロール、およびアルコールである。R.JonesおよびN.BischofbergerのAntiviralResearch、第27巻(1995年)、1〜17ページに多くが記載されている。それらのうちのどれでも、開示するヌクレオシドと組み合わせて使用して、所望の効果を実現することができる。
【0185】
活性β−L−3’−プロドラッグヌクレオシドは、以下の参照文献で開示されているように、5’−ホスホエーテルリピドまたは5’−エーテルリピドとして提供することもできる。これらの文献を参照として本明細書に組み込む。Kucera,L.S.、N.Iyer、E.Leake、A.Raben、Modest E.K.、D.L.W.、およびC.Piantadosiの1990年、「Novel membrane−interactive ether lipid analogs that inhibit infectious HIV−1 production and induce defective virus formation」、AIDS Res.Hum.Retro Viruses、第6巻、491〜501ページ;Piantadosi,C.、J.Marasco C.J.、S.L.Morris−Natschke、K.L.Meyer、F.Gumus、J.R.Surles、K.S.Ishaq、L.S.Kucera、N.Iyer、C.A.Wallen、S.Piantadosi、およびE.J.Modestの1991年、「Synthesis and evaluation of novel ether lipid nucleoside conjugates for anti−HIV activity」、Med.Chelem.、第34巻、1408〜1414ページ;Hosteller,K.Y.、D.D.Richman、D.A.Carson、L.M.Stuhmiller、G.M.T.van Wijk、およびH.van den Boschの1992年、「Greatly enhanced inhibition of human immunodeficiency virus type 1 replication in CEM and HT4−6C cells by 3’−deoxythymidine diphosphate dimyristoylglycerol,a lipid prodrug of 3’−deoxythymidine」、Antimicrob.Agents Chemother.、第36巻、2025〜2029ページ;Hosetler,K.Y.、L.M.Stuhmiller、H.B.Lenting、H.van den Bosch、およびD.D.Richmanの1990年、「Synthesis and antiretroviral activity of phospholipid analogs of azidothymidine and other antiviral nucleosides」、J BioL Cheni.、第265巻、61127ページ。
【0186】
好ましくはその5’−OH位において、ヌクレオシドに共有結合によって組み込むことのできる適切な親油性置換基、または親油性製剤を開示している米国特許の非限定的な例には、米国特許第5,149,794号(1992年9月22日、Yatvin等)、第5,194,654号(1993年3月16日、Hostetler等)、第5,223,263号(1993年6月29日、Hostetler等)、第5,256,641号(1993年10月26日、Yatvin等)、第5,411,947号(1995年5月2日、Hostetler等)、第5,463,092号(1995年10月31日、Hostetler等)、第5,543,389号(1996年8月6日、Yatvin等)、第5,543,390号(1996年8月6日、Yatvin等)、第5,543,391号(1996年8月6日、Yatvin等)、および第5,554,728号(1996年9月10日、Basava等)が含まれ、これらをすべて参照により本明細書に組み込む。本発明のヌクレオシドに結合させることのできる親油性置換基、または親油性製剤を開示している外国特許出願には、WO89/02733、WO90/00555、WO91/16920、WO91/18914、WO93/00910、WO94/26273、WO96/15132、EP0 350 287、EP93917054.4、およびWO91/19721が含まれる。
【0187】
3’−プロドラッグは、受容者に投与すると、直接的または間接的に親化合物の3’−プロドラッグをもたらしうるか、その活性を示す誘導体として投与することもできる。非限定的例は、薬剤として許容される塩(もしくは、「生理学的に許容される塩」とも称される)および活性化合物のNピリミジンまたはNおよび/またはN−プリンアルキル化(特に、ジメチルアミノメチレンにより)またはアシル化(特に、アセチルまたはアミノアセチルにより)誘導体である。非限定的な一実施形態では、アシル基は、カルボン酸エステルであり、前記においてエステル基の非カルボニル成分は、直鎖、分枝鎖または環式アルキルまたは低級アルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、ベンジルを含むアラルキル、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキル、ハロゲンで場合によって置換されているフェニルを含むアリール、CからCアルキルまたはCからCアルコキシ、メタンスルホニルを含むアルキルまたはアラルキルスルホニルなどのスルホン酸エステル、これらに限らないが一、二または三リン酸エステルを含むリン酸エステル、トリチルまたはモノメトキシトリチル、置換されているベンジル、トリアルキルシリル(例えば、ジメチル−5−ブチルシリル)またはジフェニルメチルシリルである。エステル中のアリール基は、フェニル基を場合によって含む。
【0188】
特に、Nピリミジニル;またはNおよび/またはNプリン位で3’−プロドラッグまたは親化合物を変性することにより、生物学的利用率および活性種の代謝速度に影響を及ぼすことができ、したがって、活性種の輸送を制御することができる。さらに、変性により、化合物の抗ウイルス活性に影響を及ぼすことができ、いくつかの場合では、親化合物を上回るように活性を高めることができる。このことは、誘導体を調製し、ここに記載されている方法または当技術分野の専門家に知られている他の方法により、その抗ウイルス活性を試験することにより、容易に評価することができる。
【0189】
IV.立体化学
ヌクレオシドの糖(ここでは、通常は、糖成分と称する)の1’および4’炭素は、キラルであるので、その非水素置換基(CHORおよび、それぞれピリミジンまたはプリン塩基)は、糖環系に対してシス(同じ側)またはトランス(反対側)でありうる。したがって、4種の光学異性体が、次の配置で示される(C1’およびC4’−原子の間の「一次(primary)」酸素が後方にあるように、糖成分を水平面に位置させる場合):「β」または「シス」(基は両方とも「アップ(up)」にあり、天然に生じるヌクレオシドの配置、即ちD配置に対応する)、「β」またはシス(基は両方とも「ダウン(down)」にあり、天然には生じない配置、即ちL配置である)、「α」または「トランス」(C2置換基は「アップ」で、C5置換基は「ダウン」)、および「α」またはトランス(C2置換基は「ダウン」で、C5置換基は「アップ」)。
【0190】
本発明のヌクレオシドは、β−L−配置である。好ましい実施形態では、2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドを実質的に、単一異性体の形で、即ち少なくとも約95%は所定の立体配置で投与する。
【0191】
V.併用療法および交代療法
併用療法では、有効用量の2種またはそれ以上の薬剤を一緒に投与するが、交代療法では、有効用量の各薬剤を連続して投与する。用量は、薬剤の吸収、不活性化および排泄速度、さらに当技術分野の専門家に知られている他のファクターに左右される。用量値は、緩和すべき症状の重度に応じて変動することも、特記すべきである。さらに、患者ごとに、個々の必要性により、また組成物を投与するか、組成物の投与を管理する人の専門的判断により、特定の用量摂生およびスケジュールを、時間に応じて調節すべきであることは理解されるであろう。
【0192】
例えば、ここに記載されている実施形態では、本発明のβ−L−2’−デオキシヌクレオシドの3’−プロドラッグを、リン酸化されて活性形となる第2のヌクレオシドまたは非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤と組み合わせて、またはそれと交代に投与する場合、一実施形態では、第2の化合物は、本発明の選択されたβ−L−2’−ヌクレオシドをインビボでリン酸化する酵素とは異なる酵素によりリン酸化されうるものである。キナーゼ酵素の例は、チミジンキナーゼ、シトシンキナーゼ、グアノシンキナーゼ、アデノシンキナーゼ、デオキシシチジンキナーゼ、5’−ヌクレオチダーゼおよびデオキシ−グアノシンキナーゼである。
【0193】
したがって、一実施形態では、本発明は、本発明の2種またはそれ以上のヌクレオシドプロドラッグ、好ましくは、異なる酵素によってリン酸化されるか、異なる生物学的経路を介して作用するヌクレオシドからなる組合せを提供する。別の実施形態では、本発明は、少なくとも1種のプロドラッグを、これらに限らないが、ここで定義されるプロドラッグのいずれかの親薬剤、即ち、2’−デオキシ−β−L−シチジン;2’−デオキシ−β−L−チミン;2’−デオキシ−β−L−アデノシン;2’−デオキシ−β−L−グアニン;2’−デオキシ−β−L−5−フルオロシチジン;2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン;2’,3’−ジデオキシ−3’−チア−5−フルオロシチジンを含む2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドを含むB型肝炎に対して活性を示すヌクレオシドと組み合わせて、またはそれと交代に提供する。あるいは、本発明の化合物を、エンテシビル、好ましくは実質的に(−)−光学異性体の形のシス−2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(「FTC」、WO92/14743号参照);シス−2−ヒドロキシメチル−5−(シトシン−1−イル)−1,3−オキサチオランの(−)−エナンチオマー(3TC);米国特許第5444063号および第5684010号に記載されているβ−D−1,3−ジオキソランプリンヌクレオシド;β−D−ジオキソラニル−グアニン(DXG)、β−D−ジオキソラニル−2,6−ジアミノプリン(DAPD)、β−D−ジオキソラニル−6−クロロプリン(ACP)などのβ−D−ジオキソランヌクレオシド、L−FDDC(5−フルオロ−3’−チア−2’,3’−ジデオキシシチジン)、3’−フルオロ変性されたβ−2’−デオキシリボヌクレオシド5’−トリホスフェートのL−エナンチオマー、カルボビル、インターフェロン、ペンシクロビルおよびファムシクロビル、L−FMAU、ファムシクロビル、ペンシクロビル、BMS−200475、bis pom PMEA(アデフォビル、ジピボキシル(dipivoxil);ロブカビル(lobucavir)、ガンシクロビル(ganciclovir)またはリババリン(ribavarin);または2.2.15細胞で15マイクロモル未満のEC50を示す他の化合物;またはこれらのプロドラッグまたは薬剤として許容される塩などの知られている他の抗B型肝炎ウイルス薬と組み合わせて、またはそれと交代に投与することもできる。
【0194】
併用および交代療法を、薬剤耐性に対抗するために行うこともできる。ウイルスの薬剤耐性変異体は、抗ウイルス薬での長期治療の後に生じうることが認められている。薬剤耐性は多くの場合に一般に、ウイルス複製で使用される酵素をコードする遺伝子の突然変異により生じる。化合物を、基本の薬剤により生じた突然変異とは異なる突然変異をもたらす第2および、ことによると第3の抗ウイルス化合物と組み合わせて、またはそれと交代に投与することにより、B型肝炎感染に対する薬剤の効力を延長するか、増大するか、復活させることができる。もしくは、薬剤の薬物動態、生体内分布または他のパラメーターを、このような併用または交代療法により変えることができる。通常は、併用療法が、交代療法よりも一般的に好ましい。それというのも、これは、ウイルスに対して多重的な同時ストレスをもたらすためである。
【0195】
別の実施形態では、プロドラッグを、これらに限らないが、インターフェロン、インターロイキンまたはB型肝炎複製を発現するか調節する遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むタンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、γ−グロブリンなどの生体物質を含む、免疫変調成分または他の薬剤として活性なウイルス複製の変更因子と組み合わせて、またはそれと交代に投与する。
【0196】
患者を治療する交代方法は、いずれも使用することができる。交代パターンの非限定的例には、有効量の1種の薬剤を1〜6週間投与し、それに続いて有効量の第2の抗HBV薬を1〜6週間投与することが含まれる。交代スケジュールには、治療しない期間が含まれてもよい。併用療法には通常、2種またはそれ以上の抗HBV薬からなる用量の有効比を同時に投与することが含まれる。
【0197】
HBVが往々にして、抗HIV抗体またはHIV抗原陽性であるか、HIVに曝された患者で発見されるという事実を考慮すると、ここで開示されている活性な抗HBV化合物またはその誘導体またはプロドラッグを、適切な環境で、抗HIV投薬と組み合わせて、またはそれと交代に投与することもできる。
【0198】
一実施形態では、HIVを治療するための第2の抗ウイルス薬は、合成ヌクレオシド(「NRTI」)または非ヌクレオシド化合物(「NNRTI」)であってよい逆転写酵素阻害剤(「RTI」)であってもよい。別の実施形態では、HIVの場合、第2(または第3)の抗ウイルス薬は、プロテアーゼ阻害剤であってもよい。他の実施形態では、第2(または第3)の化合物は、ピロホスフェート類似体または融合結合阻害剤(fusion binding inhibitor)であってもよい。いくつかの抗ウイルス化合物に関してインビトロおよびインビボで集められた、耐性データ列記リストを、SchinaziらのMutations in retroviral genes associated with drug resistance(International Antiviral News、Volume1(4)、International Medical Press 1996)に見ることができる。
【0199】
活性な抗HBV薬を、二次感染を治療するために投与される抗生物質、他の抗ウイルス化合物、抗真菌薬または他の薬剤と組み合わせて、投与することもできる。
【0200】
VI.薬剤組成物
B型肝炎を含むここに記載の疾患のいずれかを患っているヒトを、有効量の本発明のβ−L−2’−デオキシ−ヌクレオシドの3’−プロドラッグまたはその薬剤として許容される塩を薬剤として許容される担体または希釈剤の存在下に患者に投与することにより治療することができる。適切な経路、例えば経口、非経口、静脈内、真皮内、皮下または局所で、液体または固体形により、活性物質を投与することができる。
【0201】
活性化合物は、治療される患者に重大な毒性効果をもたらすことなく、インビボでウイルス複製を阻害するために、治療的に有効な量の化合物を患者に送達するのに十分な量の薬剤として許容される担体または希釈剤中に含まれる。「阻害量」とは、例えばここに記載されるいずれかのアッセイなどにより測定される、阻害効果を及ぼすに十分な活性成分量を意味する。
【0202】
前記の症状のいずれにも好ましい化合物用量は、1日当たり体重当たり約1から50mg/kg、好ましくは1から20mg/kg、より一般的には1日当たり受容者の体重1キログラム当たり0.1から約100mgの範囲である。薬剤として許容されるプロドラッグの有効用量範囲は、輸送すべき親ヌクレオシドの重量をもとに算出することができる。プロドラッグがそれ自体活性を示す場合には、有効用量は、プロドラッグの重量を使用して前記のように、または当技術分野の専門家に知られている他の方法によって推定することができる。
【0203】
化合物を簡便には、これらに限らないが、1単位剤形当たり活性成分7から3000mg、好ましくは70から1400mgを含有する単位剤形を含む適切な単位剤形で投与する。50〜1000mgの経口用量が通常は、簡便である。
【0204】
理想的には、活性成分を、約0.2から70μM、好ましくは約1.0から10μMの活性化合物の最大血漿濃度が達成されるように投与する。これは例えば、場合によって生理的食塩水中の活性成分の0.1から5%溶液または活性成分のボーラスとして投与される静脈内注射により、達成することができる。
【0205】
薬剤組成物中の活性化合物の濃度は、薬剤の吸収、不活性化および排出速度、さらに当技術分野の専門家に知られている他のファクターに左右される。用量値は、緩和すべき症状の重度に応じて変化することを特記する。さらに、患者ごとに、個々の必要性により、また組成物を投与するか、組成物の投与を管理する人の専門的判断により、特定の用量摂生を時間に応じて調節すべきであり、ここに記載の濃度範囲は例であるにすぎず、請求している組成物の範囲または実行を制限する意図はないことは理解されるであろう。活性成分は、一度に投与することもできるが、変動する時間間隔で投与される複数の少量の用量に分けることもできる。
【0206】
活性化合物の投与の好ましい様式は、経口である。経口用組成物は通常、不活性希釈剤または食用担体を含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入されているか、錠剤に圧縮されていてもよい。経口による治療投与の目的では、活性化合物を賦形剤と一緒にして、錠剤、トローチ錠またはカプセルの形で使用することもできる。薬剤として相容性の結合剤および/または補助剤材料が、組成物の一部として含まれていてもよい。
【0207】
錠剤、丸剤、カプセル、トローチ錠などは、次の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含有してよい:微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Primogelまたはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesなどの滑剤;コロイド二酸化ケイ素などの潤滑剤(glidant);スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料などの着香料。単位剤形がカプセルである場合には、これは、前記のタイプの材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含有することもできる。加えて、単位剤形は、単位剤の物理的形態を変更する様々な他の材料、例えば糖のコーティング、シェラックまたは他の腸溶剤を含有してもよい。
【0208】
化合物を、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハース、チューインガムなどの成分として投与することもできる。シロップは、活性化合物に加えて、甘味剤としてスクロースおよび一定の防腐剤、染料および着色剤、香料を含有してよい。
【0209】
化合物またはその薬剤として許容される誘導体または塩を、所望の作用を損なうことのない他の活性物質と、または抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬、プロテアーゼ阻害剤、他のヌクレオシドまたは非ヌクレオシド抗ウイルス薬などの所望の作用を補足する物質と混合することもできる。非経口、真皮内、皮下または局所投与で使用される溶液または懸濁液は、次の成分を含有してよい:注射用の水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、他の合成溶剤などの無菌希釈剤;ベンジルアルコール、メチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝液および塩化ナトリウム、デキストロースなどの張度を調節するための薬剤。非経口薬剤を、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは多人数用バイアルに封入することもできる。
【0210】
静脈内投与の場合には、好ましい担体は、生理的食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)である。
【0211】
好ましい実施形態では、活性化合物を、インプラントおよびマイクロカプセル封入された輸送系を含む制御放出処方物などの、体内からの迅速な排出に対して化合物を保護する担体と共に調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸(polylacetic acid)などの生分解性の生体親和性ポリマーを使用することもできる。このような処方物を調製するための方法は、当技術分野の専門家には明らかであろう。材料を、Alza Corporationから入手することもできる。
【0212】
リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて、感染した細胞を標的としたリポソームを含む)も、薬剤として許容される担体として好ましい。これらは、当技術分野の専門家に知られている方法により、例えば、米国特許第4522811号に記載されているように調製することができる。例えば、適切なリピド(ステアロイルフォスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイル(arachadoyl)フォスファチジルコリンおよびコレステロールなど)を無機溶剤に溶かし、次いでこれを蒸発させ、容器の表面上に乾燥リピドの薄膜を残すことにより、リポソーム処方物を調製することができる。活性化合物またはそのモノホスフェート、ジホスフェートおよび/またはトリホスフェート誘導体の水溶液を次いで、容器に入れる。次いで、容器を手動で旋回させて、リピド物質を容器の側面から離し、リピド凝集体を分散させると、リポソーム懸濁液が生じる。
【0213】
VII.活性化合物の調製方法
A.β−L−ヌクレオシドのβ−L−3’−誘導体の調製方法
2’−デオキシ−ヌクレオシドのβ−L−3’−誘導体は、当技術分野で知られている方法により、特に、アシル成分で二級アルコールを保護する、即ち、無水物を介するか、カップリング剤を用いる、知られている方法により調製することができる。非限定的例として、3’−誘導体を、次の反応順序に従い調製することができる:
【0214】
【化44】
Figure 0004639032
【0215】
あるいは、3’−誘導体は、アミノアシル成分から誘導される。この方法の鍵となる出発原料はさらに、適切に置換されているβ−Lヌクレオシドである。β−Lヌクレオシドは、購入することもできるが、L−糖成分との通常のカップリング反応を含む知られている方法により調製することもできる。
【0216】
これらのアミノアシル誘導体は、初めに、5’−ヒドロキシルを、アシルやシリル保護基などの適切な酸素保護基で選択的に保護し、場合によって、複素環式またはへテロ芳香族塩基中の遊離アミンを保護することにより、調製することができる。続いて、遊離の3’−ヒドロキシルを、N−保護されているαまたはβアミノ酸にカップリングさせることができる。
【0217】
続いて、β−L−ヌクレオシドを、カップリングを促進する標準的なカップリング試薬を使用して、アミノアシルにカップリングさせる。カップリング試薬のいくつかの非限定的例は、トリフェニルホスフィンを伴うMitsunobuタイプの試薬(例えば、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジエチルなどのアゾジカルボン酸ジアルキル)または様々なタイプのカルボジイミドである。
【0218】
所望の結果が得られる、即ち、分解の促進または過剰な副生成物を伴わない許容される速度で、反応を進行させるために適切な温度で、カップリング反応を実施することができる。
【0219】
必要な温度を得ることができ、反応成分を可溶化しうる反応溶剤を選択することができる。非限定的例は、これらに限らないが、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、あるいはこれらの組合せなどのアルキルまたはハロアルキル溶剤を含む非プロトン性溶剤である。
【0220】
スキーム1は、L−デオキシリボヌクレオシドから誘導して、β−L−3’−アミノアシルヌクレオシドを調製するための非限定的例である。
【0221】
【化45】
Figure 0004639032
【0222】
B.β−L−ヌクレオシドのβ−L−5’−誘導体を調製するための方法
β−L−ヌクレオシドのβ−L−5’−誘導体は、当技術分野で知られている方法、特に、アシル部分で一級アルコールを保護する、すなわち無水物を介するか、カップリング剤を用いる知られている方法により調製することができる。非限定的実施例であるが、β−L−5’−誘導体は、次の反応順序に従い調製することができる:
【0223】
【化46】
Figure 0004639032
【0224】
好ましい実施形態では、5’−誘導体は、アミノアシル成分から誘導される。この方法の鍵となる出発物質は、適切に置換されたβ−L−ヌクレオシドである。β−L−ヌクレオシドは、購入することもできるが、デオキシリボースなどのL−糖成分との通常のカップリング反応を含む知られている方法により調製することもできる。アミノアシル誘導体は、好ましくは、ヌクレオシドを付加的に保護することなく、アミノ酸とβ−L−ヌクレオシドとを選択的にカップリングすることにより調製することができる。カップリング反応は、カップリングを促進する適切なカップリング試薬を使用して達成することができる。カップリング試薬のいくつかの非限定的例は、トリフェニルホスフィンを伴うMitsunobuタイプの試薬(例えば、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジエチルなどのアゾジカルボン酸ジアルキル)または様々なタイプのカルボジイミドである。
【0225】
所望の結果が得られる、即ち、分解の促進または過剰な副生成物を伴わない許容される速度で、反応を進行させるために適切な温度で、カップリング反応を実施することができる。
【0226】
必要な温度を得ることができ、反応成分を可溶化しうる反応溶剤を選択することができる。非限定的例は、これらに限らないが、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、あるいはこれらの組合せなどのアルキルまたはハロアルキル溶剤を含む非プロトン性溶剤である。
【0227】
スキーム2は、L−デオキシリボヌクレオシドから誘導して、β−L−5’−アミノアシルヌクレオシドを調製するための非限定的例である。
【0228】
【化47】
Figure 0004639032
【0229】
C.β−L−ヌクレオシドのβ−L−3’,5’−ビス−O−誘導体を調製するための方法
β−L−ヌクレオシドのβ−L−3’,5’−ビス−O−誘導体は、当技術分野で知られている方法、特に、アシル成分で1級および2級アルコールを保護する、すなわち無水物を介するか、カップリング剤を用いる知られている方法により調製することができる。非限定的実施例であるが、3’,5’−ビス−O−誘導体は、次の反応シークエンスに従い調製することができる:
【0230】
【化48】
Figure 0004639032
【0231】
好ましい実施形態では、3’,5’−ビス−O−誘導体は、アミノアシル成分から誘導される。この方法の鍵となる出発物質も、適切に置換されたβ−L−ヌクレオシドである。β−L−ヌクレオシドの3’,5’−ビス−O−誘導体は、購入することもできるが、デオキシリボースなどのL−糖成分との通常のカップリング反応を含む知られている方法により調製することもできる。続いて、遊離の3’−および5’−ヒドロキシルを、N−保護されているαまたはβアミノ酸とカップリングさせることができる。カップリング反応は、カップリングを促進する適切なカップリング試薬を使用して達成することができる。カップリング試薬のいくつかの非限定的例は、トリフェニルホスフィンを伴うMitsunobuタイプの試薬(例えば、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジエチルなどのアゾジカルボン酸ジアルキル)または様々なタイプのカルボジイミドである。
【0232】
所望の結果が得られる、即ち、分解の促進または過剰な副生成物を伴わない許容される速度で、反応を進行させるために適切な温度で、カップリング反応を実施することができる。
【0233】
必要な温度を得ることができ、反応成分を可溶化しうる反応溶剤を選択することができる。非限定的例は、これらに限らないが、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、あるいはこれらの組合せなどのアルキルまたはハロアルキル溶剤を含む非プロトン性溶剤である。
【0234】
スキーム3は、L−デオキシリボヌクレオシドから誘導して、β−L−3’,5’−ジ−アミノアシルヌクレオシドを調製するための非限定的例である。
【0235】
【化49】
Figure 0004639032
【0236】
D.アミノアシル成分を延長するための付加的方法
3’および5’−ヒドロキシルと、アシル、特にアミノアシル基などの適切な誘導体とを反応させることにより、表題化合物を調製することができる。ヌクレオシドをアミノアシル成分で誘導体化する場合には、遊離アミンをN−保護されているαまたはβアミノ酸とカップリングさせることが望ましい。カップリング反応は、カップリングを促進する適切なカップリング試薬を使用して達成することができる。カップリング試薬のいくつかの非限定的例は、トリフェニルホスフィンを伴うMitsunobuタイプの試薬(例えば、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジエチルなどのアゾジカルボン酸ジアルキル)または様々なタイプのカルボジイミドである。
【0237】
所望の結果が得られる、即ち、分解の促進または過剰な副生成物を伴わない許容される速度で、反応を進行させるために適切な温度で、カップリング反応を実施することができる。
【0238】
必要な温度を得ることができ、反応成分を可溶化しうる反応溶剤を選択することができる。非限定的例は、これらに限らないが、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、あるいはこれらの組合せなどのアルキルまたはハロアルキル溶剤を含む非プロトン性溶剤である。
【0239】
E.複素芳香族または複素環式塩基を誘導体化するための付加的方法
表題化合物は、複素環式または複素芳香族塩基、例えばN−シトシン、N−アデニンまたはN−グアニン中の遊離のアミノを付加的に保護することにより調製することができる。例えば、アミンを、次の一般的プロトコルにより、アシル成分またはジアルキルアミノメチレン成分により保護することができる。
【0240】
【化50】
Figure 0004639032
所望の結果が得られる、即ち、分解の促進または過剰な副生成物を伴わない許容される速度で、反応を進行させるために適切な温度で、保護を実施することができる。
【0241】
必要な温度を得ることができ、反応成分を可溶化しうる反応溶剤を選択することができる。非限定的例は、これらに限らないが、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、あるいはこれらの組合せなどのアルキルまたはハロアルキル溶剤を含む非プロトン性溶剤である。
【0242】
続いて、遊離の3’−ヒドロキシルを、N−保護されているαまたはβアミノ酸とカップリングさせることができる。カップリング反応は、カップリングを促進する適切なカップリング試薬を使用して達成することができる。カップリング試薬のいくつかの非限定的例は、トリフェニルホスフィンを伴うMitsunobuタイプの試薬(例えば、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジエチルなどのアゾジカルボン酸ジアルキル)または様々なタイプのカルボジイミドである。
【0243】
所望の結果が得られる、即ち、分解の促進または過剰な副生成物を伴わない、許容される速度で、反応を進行させるために適切な温度で、カップリング反応を実施することができる。
【0244】
必要な温度を得ることができ、反応成分を可溶化しうる反応溶剤を選択することができる。非限定的例は、これらに限らないが、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタンまたはジクロロエタン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、あるいはこれらの組合せなどのアルキルまたはハロアルキル溶剤を含む非プロトン性溶剤である。
【0245】
他の実施形態では、N−またはN−アシル誘導体を、アミノアシル部分から誘導し、次の反応順序に従い、遊離のヒドロキシルを場合により保護し、続いて適切に保護されているアミノエステルと縮合反応させ、必要な場合には、ヒドロキシル保護基を除去することにより、調製することができる。
【0246】
【化51】
Figure 0004639032
【0247】
実施例
実施例1:N−mMTr−2’−デオキシ−β−L−シチジン(1、図1)
β−L−dC(1g;4.40mmol)を、無水ピリジン(44ml)に入れた。トリメチルシリル基(TMSCl、3.34ml、26.4mmol)で一時的に保護し、続いてmMTrCl(3.38mg、11mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、540mg、4.40mmol)を加えた後に、反応混合物を室温で3日間攪拌した{A.Nyilas;C.Glemarec;J.Chattopadhyaya;Tetrahedron Lett.1990、46、2149−2164}。重炭酸ナトリウム抽出の後に、有機層を水で洗浄し、蒸発させ、ジオキサン(40mL)に入れた。水性アンモニア(8.5ml)を滴加し、反応混合物を一夜攪拌した。揮発性物質を全て蒸発させた後に、固体残留物をシリカゲルカラム(溶離剤:CHCl中でのMeOH(0〜10%)の段階的勾配)で精製すると、所望の化合物1(1.02g、46.5%)がフォームの形で得られた。H NMR(DMSO−d)δppm 8.39(br s,1H,NH,DO 交換可能)、7.70(d,1H,H−6,J=7.3Hz)、7.4〜6.8(m,14H,(CC(C)OCH)、6.23(d,1H,H−5,J=7.3Hz)、6.02(t,1H,H−1’,J=6.5Hz)、5.16(d,1H,OH−3’,J=3.8Hz,DO 交換可能)、4.9(br s,1H,OH−5’,DO 交換可能)、4.1(m,1H,H−3’)、3.7(m,4H,H−4’,OCH)、3.5(m,2H,H−5’,H−5”)、2.1〜1.8(2m,2H,H−2’,H−2”);FAB<0,(GT)m/e 498(M−H)、382(B);226(M−mMTr);FAB>0(GT)500(M+H)、273(mMTr);UV(EtOH 95)λmax=279nm;)λmin=250nm。
【0248】
実施例2:N−mMTr−2’−デオキシ−β−L−シチジンの5’−L−N−(t−ブトキシカルボニル)バリンエステル(2、図1)
化合物1(1g、2.00mmol)の無水DMF(34ml)溶液に連続的に、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、37mg、0.3mmol)、N−(t−ブトキシ−カルボニル)−L−バリン(Boc−Val−OH、587mg、2.7mmol)およびN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、660mg、3.2mmol)を加えた{L.M.Beauchamp;G.F.Orr;P.De Miranda;T.Burnette;T.A.Krenitsky;Antiviral Chem.Chemother.1992、3、157−164}。溶液を室温で攪拌した。40時間後、反応混合物に、付加的なDMAP(37mg、0.3mmol)、Boc−Val−OH(587mg、2.7mmol)およびDCC(660mg、3.2mmol)を再び加え、室温で40時間攪拌した。混合物を濾過し、DMFを濾液から減圧除去し、残留物をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理すると(溶離剤:CHCl中でのMeOH(0〜10%)の段階的勾配)、所望の化合物2(515mg、37%)がフォームとして得られた。H NMR(DMSO−d)δppm 8.44(br s,1H,NH,DO 交換可能)、7.7〜6.8(m,15H,,H−6および(CC(C)OCH)、.6.26(d,1H,H−5,J=7.3Hz)、6.06(t,1H,H−1’,J=6.6Hz)、5.7(bs,1H,OH−3’,DO 交換可能)、4.2〜4.0(m,3H,H−3’,H−4’およびCH)、3.8〜3.9(m,2H,H−5’,H−5”)、3.7(s,3H,,OCH)、2.0〜1.9(m,3H,H−2’,H−2”,CH)、1.36(s,9H,(CHC)、0.86(m,6H,(CHCH);FAB<0,(GT)m/e 1395(2M−H)、697(M−H)、425(M−mMTr)、382(B);216(BocVal−H);FAB>0(GT)384(B+2H)、273(mMTr);57(CHC);UV(EtOH 95)λmax=279nm;λmin=249nm。
【0249】
実施例3:2’−デオキシ−β−L−シチジン塩酸塩の5’−L−バリンエステル(3、図1)
化合物2(500mg、0.715mmol)を、CHCl(25ml)中のトリフルオロ酢酸の20%溶液に溶かし、トリイソプロピルシラン(1.47ml、71.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌し、バリンエステルを、EtO中でトリフルオロ酢酸塩として沈殿させた。数回、水と同時蒸発させた後に、沈殿物を水(2ml)に入れ、HClのジオキサン(20ml)飽和溶液で処理し、減圧蒸発させた。この処理を、3回繰り返して、最終的に所望の化合物3を、エーテル(207mg、73%)中で塩酸塩として沈殿させた。H NMR(DMSO−d)δppm 9.7(br s,1H,1/2 NH,DO 交換可能)、8.6(br s,4H,1/2 NH,NH3,DO 交換可能)、7.98(d,1H,,H−6 J=7.8Hz)、.6.17(d,1H,H−5,J=7.8Hz)、6.11(pt,1H,H−1’)、5.5(bs,<1H,OH−3’,DO 交換可能)、4.4(m,2H,H−5’,H−5”)、4.3(m,1H,H−3’)、4.2〜4.0(m,2H,H−4’,CH)、3.8〜3.9、3.7(s,3H,,OCH)、2.3〜2.1(m,3H,H−2’,H−2”,CH)、0.94(dd,6H,(CHCH,J=3.7および6.6Hz);FAB<0,(GT)m/e 361(M+Cl)、325(M−H)、116(Val−H)、110(B);216(BocVal−H);FAB>0(GT)653(2M+H)、327(M+H);112(B+2H););{a} 20−28.57(c=0.49 DMSO中);UV(EtOH 95)λmax=272nm(ε 8700);λmin=255nm(ε 7600);HPLC rt=8.37分(流速1ml/分で、30分間にプログラムされている、20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液中でのCHNの0から50%の勾配)。
【0250】
実施例4:N−アセチル−2’−デオキシ−β−L−シチジン(4、図2)
N,N−ジメチルホルムアミド(9.2ml)中のヌクレオシド、β−L−dC(415mg、1.83mmol)の懸濁液に、無水酢酸(207μl、2.20mmol)を加え、混合物を室温で24時間攪拌した[V.Bhat;B.G.Ugarkar;V.A.Sayeed,K.Grimm;N.Kosora;P.A.Domenico;E.Stocker、Nucleosides & Nucleotides、1989、8(2)、179−183]。DMFを減圧除去した後に、生じた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると[溶離剤:CHCl中の15%MeOH]、所望の化合物(310mg、63%)が得られ、これをエタノールから結晶させた;rap128〜170℃;H NMR(DMSO−d)δppm 10.86(s,1H,NH,DO 交換可能)、8.31(d,1H,,H−6,J=7.5Hz)、7.18(d,1H,H−5,J=7.5Hz)、6.09(t,1H,H−1’,J=6.3Hz)、5.25(d,1H,OH−3’,DO 交換可能,J=4.2Hz)、5.03(t,1H,OH−5’,DO 交換可能,J=5.0Hz)、4.1〜4.2(m,1H,H−3’)、3.8(m,1H,H−4’)、3.4〜3.6(m,2H,2H,H−5’,H−5”)、2.2〜2.3(m,1H,H−2’)、2.08(s,3H,CH)、2.0〜1.9(m,1H,H−2”);FAB<0、(GT)m/e 806(3M−H)、537(2M−H)、360(M+G−H)、268(M−H)、152(B);FAB>0(GT)808(3M+H)、539(2M+H)、362(M+G+H)、270(M+H)、154(B+2H)、117(S);UV(HO)λmax=297nm(ε 8300);λmin=270nm(ε 3500);。λmax=245nm(ε 14400);λmin=226nm(ε 5800);[α] 20−81.31(c=1.07 DMSO中)。
【0251】
実施例5:N−[(ジメチルアミノ)メチレン]−2’−デオキシ−β−L−シチジン(5、図3)
表題化合物を、対応するD−エナンチオマーを調製するために開発された、公表されている手順に従って調製した[S.G.Kerr,and T.I.Kalman、J.Pharm.Sci.1994、83、582−586]。L−dC(500mg、2.20mmol)のDMF(4.8ml)溶液を、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(2.8ml、21.08mmol)で処理し、室温で一夜攪拌した。溶液を減圧蒸発させ、エタノールと同時蒸発させた。エタノール/エーテルから結晶化させると、表題化合物(501.2mg、81%)が淡黄色の結晶(融点174〜176℃(文献:D−エナンチオマーでは188〜190℃))として得られた。H NMR(DMSO−d)δppm 8.60(s,1H,N=CH)、8.00(d,1H,H−6)、6.15(t,J=6.6Hz,1H,H−1’)、5.96(d,J=7.2Hz,1H,H−5)、5.22(d,J=4.2Hz,1H,OH−3’)、5.01(t,J=5.2Hz,1H,OH−5’)、4.20(m,1H,H−4’)、3.80(m,1H,H−3’)、3.56(m,2H,H−5’およびH−5”)、3.15および3.02(2s,3Hおよび3H,N(CH)、2.22〜1.90(2m,1Hおよび1H,H−2’およびH−2”);FAB>0(GT)847(3M+H)、565(2M+H)、283(M+H);FAB<0、(GT)m/z 599(2M+Cl)’317(M+Cl)、165(B)
【0252】
実施例6:3’,5’−ジ−O−アセチル−2’−デオキシ−β−L−シチジン(6、図4)
表題化合物を、L−dCから出発して、D−エナンチオマーを調製するための、Breinerら[R.G.Breiner;W.Rose;J.A.Dunn;J.E.Mae Diarmid and J.Bardos;J.Med.Chem.1990、33、2596−2603]により開発された手順に従い、1ステップで合成した。L−dC(765mg、3.37mmol)および塩化アセチル(960μl、13.48mmol)の氷酢酸(4.8ml)溶液を室温で10分間攪拌し、次いで、無水クロロホルム(3.5ml)を加え、攪拌を24時間継続した。溶液を減圧蒸発させ、エタノールと同時蒸発させた。エタノールから結晶化させると、所望の化合物78%、(融点192.193℃)が得られた(文献:D−エナンチオマーでは187〜189℃[Breiner et al.J.Med.Chem.1990、33、2596−2603]);H NMR(DMSO−d)δppm 9.8および8.7(2 br s,<3H,NH ,DO 交換可能)、8.0(d,1H,H−6 J=7.8Hz)、6.18(d,1H,H−5,J=7.8Hz)、6.08(t,1H,H−1’,J=6.7Hz)、5.2(m,1H,H−3’)、4.3〜4.1(m,3H,H−4’,H−5’,H−5”)、2,4〜2,5(m,2H,H−2’,H−2”)、2.06および2.03(2 s,6H,2 CH);FAB<0、(GT)m/e 968(3M+Cl)、657(2M+Cl)、438(M+G+Cl)、346(M+Cl)、310(M−H)、110(B);59(CHCOO);FAB>0(GT)623(2M+H)、312(M+H)、201(S)、112(B+2H)、43(CHCO)+;[α] 20 36.27(c=1.02 DMSO中);UV(MeOH)λmax=277nm(ε 9900);λmin=246nm(ε 5000)。
【0253】
実施例7:2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’,5’−L−N−(t−ブトキシカルボニル)バリンジエステル(9、図5)
−[(ジメチルアミノ)メチレン]−2’−デオキシ−β−L−シチジン(7、500mg、1.77mmol)のDMF(35ml)溶液を、Boc−Val−OH(1.31g、6.03mmol)、DMAP(86.5mg、0.71mmol)、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)(1.36g、7.09mmol)で処理し、室温で40時間攪拌した。付加的な量のBoc−Val−OH(655mg、3.01mmol)、DMAP(43.2mg、0.35mmol)、EDC(680mg、3.55mmol)を加え、溶液を、さらに20時間攪拌した。減圧蒸発させた後に、残留物をCHClに入れ、水で数回抽出した。有機層をブライン(100ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧蒸発させると、8が、粗製物質として得られ、これを、さらに精製することなく、次のステップで使用した。残留物をジオキサン(18ml)に入れ、26%NHOH26%水溶液で処理し、室温で1時間攪拌した。溶液を減圧蒸発させ、残留物を、CHCl中でのMeOH(0〜5%)の段階的勾配を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製すると、表題化合物(698.7mg、9から、58%)が得られた。H NMR(DMSO−d)δppm 7.58(d,1H,H−6)、7.29〜7.18(m,4H,NH−BocおよびNH)、6.20(t,J=6.6Hz,1H,H−1’)、5.75(d,J=7.3Hz,1H,H−5)、5.20(br.s,1H,H−3’)、4.29(m,2H,H−5’およびH−5”)、4.14(br.s,1H,H−4’)、3.86(m,2H,CH−NH−Boc)、2.31〜2.21(m,2H,H−2’およびH−2”)、2.13〜1.98(m,2H,CH(iPr))、1.38および1.36(2s,18H,tBu)、0.88および0.85(2 d,J=6.8Hz,12H,CH(CH);13C NMR(DMSO−d)δppm 172.67および172.46、166.41、156.64および155.70、141.39、95.43、85.78、82.03、79.14、75.57、64.90、60.37および60.11、37.40、30.33、29.00、19.83〜19.12;FAB>0(GT)626(M+H)+、112(B+2H)、255(M−Boc);FAB<0、(GT)m/z 1249(2M−H)、624(M−H)
【0254】
実施例8:塩酸2’−デオキシ−β−L−シチジンの3,5’−L−バリンエステル(10、図5)
9(675mg、1.08mmol)のジオキサン(30ml)溶液を、ジオキサン(30ml)中の26%HCl溶液で処理し、室温で1時間55分攪拌した。生じた白色懸濁液を、減圧蒸発させた。白色の固体残留物を、少量のMeOHに入れ、エーテル中で沈殿させると、表題化合物10が白色の固体(融点187℃、分解)として得られた;H NMR(DMSO−d)δppm 9.79(br s,1H,1/2NH)、8.72(br s,7H,1/2NHおよびNH )、8.04(d,1H,H−6)、6.21(d,J=7.8Hz,1H,H−5)、6.16(t,J=6.9Hz,1H,H−1’)、5.39(m,1H,H−3’)、4.50〜4.40(m,3H,H−4’,H−5’およびH−5”)、3.90(2 br.d,2H,CH−NH )、2.63〜2.50(2m,2H,H−2’およびH−2”)、2.21(m,2H,CH(iPr))、1.02〜0.94(m,12H,CH(CH );13C NMR(DMSO−d)δppm 169.50および168.94、161.02、148.50、145.26、95.18、87.19、82.15、76.14、65.77および65.59、58.12および58.07、37.00、30.16、19.26〜18.51;FAB>0(GT)426(M+H)、112(B+2H);FAB<0、(GT)m/z 885(2M+Cl)、460(M+Cl);UV(HO)λmax=270nm(ε 7600)。
【0255】
実施例9:2’−デオキシ−β−L−シチジンのN−Boc−バリニルエステル(13、図6)
無水THF(80ml)中のL−dC(1.80g、7.92mmol)およびトリエチルアミン(8.8ml、63.14mmol)の混合物をクロロトリメチルシラン(6ml、47.28mmol)で処理し、室温で一夜攪拌した。反応を、NHCl(26ml)の飽和水溶液および水(10mL)を加えることによりクエンチした。水性層をEtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧蒸発させると、11を含有する粗製の淡黄色のフォーム−オイルが得られ、これを、さらに精製することなく次のステップで使用した。この残留物を、CHCl(104ml)に入れ、N−(t−ブトキシカルボニル)−L−バリン(Boc−Val−OH、1.72g、7.90mmol)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP、4.20g、9.50mmol)、トリエチルアミン(2.2ml、15.78mmol)で処理し、室温で2日間攪拌した。溶液を、EtOAcで希釈し、飽和NaHCOで2回抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、減圧蒸発させると、粗製物質として12が得られ、これを、さらに精製することなく次のステップで使用した。残留物をジオキサン(80ml)に入れ、26%NHOH水溶液で処理し、室温で6時間45分攪拌した。溶液を減圧蒸発させ、無水EtOHと共に同時蒸発させ、残留物を、CHCl中でのMeOH(5〜10%)の段階的勾配を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製すると、表題化合物13がフォーム(1.64g、全体収率48.5%)として得られた。H NMR(DMSO−d)δppm 10.88(s,1H,NH−4)、8.40(d,1H,H−6)、7.26(d,J=7.4Hz,1H,H−5)、7.06(d,J=8.2Hz,1H,CH−NH−Boc)、6.15(t,J=6.3Hz,1H,H−1’)、5.32(d,J=4.2Hz,1H,OH−3’)、5.09(t,J=5.2Hz,1H,OH−5’)、4.27(m,1H,H−3’)、4.06(pt,J=7.5Hz,1H,CH−NH−Boc)、3.91(m,1H,H−4’)、3.63(m,2H,H−5’およびH−5”)、235(m,1H,H−2”)、2.06(m,2H,H−2’およびCH(CH)、1.43(s,9H,tBu)、0.92(pt,J=6.6Hz,6H,CH(CH );13C NMR(DMSO−d)δppm 174.41、162.94、156.47、155.24、146.10、96.06、88.79、87.10、79.09、70.75、61.78、61.55、41.74、30.63、29.02、19.91および19.10;FAB>0(GT)853(2M+H)、427(M+H) 311(B+2H)、255(M−Boc);FAB<0、(GT)m/z 851(2M−H)、425(M−H)、309(B)
【0256】
実施例10:3’,5’−N−トリバリル−2’−デオキシシチジン(14、図7)
出発物質である3’,5’−N−トリ(Boc−バリル)−2’−デオキシシチジンをCHClに溶かしたが、試料をPerlitaで濾過すると、不溶性物質が存在した。これにより、使用するCHClの容量を増やした。次いで、HCl/ジオキサン試薬を攪拌しながら加えた。数秒の内に、発泡を溶液中に観察することができ、その後、混合物は濁った。混合物を室温で約1時間攪拌した。この間に、沈殿物はさらに、結晶となった。混合物を迅速に濾過し、濾過ケークをCHClで洗浄し、次いで、ポンプ上で乾燥させると、乳白色の結晶0.16g(69%)が得られた。試薬および条件を、より明確に下記の表1に記載する。
【0257】
【表1】
Figure 0004639032
【0258】
実施例11:DiBocバリル−2’−dCおよびDiBocバリル−2’−dUに対するHPLCアッセイ法
所望の化合物を無水エタノールに溶かして、1.0mg/mL試料を調製した。次いで、0.16mg/mLの濃度が得られるまで、この溶液を、MeOH50%およびKHPO50%を含有する溶液(0.015M、pH=3.30〜3.50)で希釈した(注:使用した全ての溶剤を、使用前に脱ガスした)。次いで、この溶液20μLを直ちにWATERSからのHPLCカラム(NOVAPAK C18−4pm−3.9×150mm)に注入した。カラム温度35℃で、流速を、1mL/分にセットした。化合物を検出するために、波長検出を、Di−Boc2’dCでは275nmに、Di−Boc2’dUでは260nmに、不純物では204に15分後にセットした。カラムを、ポンプAではKHPO(0.015M,pH=3.30〜3.50、HPO10v/v%で調節)を用いて、ポンプBではHPLC用アセトニトリルを用いて作動させた。勾配パターンを表2に示す。
【0259】
【表2】
Figure 0004639032
VIII.活性化合物の抗HBV活性
ヒトDNAポリメラーゼおよびミトコンドリア機能は、インビトロでL−dCにより影響を受けなかった。L−dCは、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄前駆細胞ならびにヒトおよび他の非ヒト哺乳動物起源の多くの細胞系に対して非細胞毒性であった。
【0260】
L−dCの抗ウイルス活性および安全性を、慢性B型肝炎感染のウッドチャックモデルを使用する2つの研究で調べた。最初の研究では、WHV(>1011ゲノム当量/血清ML)に慢性的に感染したウッドチャックを、L−dCの液体処方物で、28日間にわたって1日1回、経口により治療した。対照動物には、ラミブジンまたは薬剤を含まない液体処方物を与えた。L−dC治療された群では、ウイルス負荷が、用量に応じて低下した。最も高い試験用量(10mg/kg/日)では、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイにより、ベースラインから6logほど、ウイルス負荷が低下した。処置後ウイルスリバウンドが、第2週までに検出された。全ての動物の体重が増加し、4週間の治療相または8週間の治療後追跡期間の間に、薬剤関連毒性は観察されなかった。
【0261】
L−dCにより細胞外ウイルスデオキシリボ核酸(DNA)を低減するためのインビトロ50%有効濃度(EC50)は、HBVに対しては0.24μMであり、DHBVに対しては0.87μMであった。加えて、L−dCは、細胞内HBV DNA複製中間体(RI)を、0.51μMのEC50で低下させた。HBV複製に対するL−dCの90%有効濃度(EC90)は、1.07μMであった。構造活性相関(SAR)は、3’位のヒドロキシル基(3’−OH)を置換することにより、その抗ウイルス活性がヘパドナウイルスから、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)および特定のヘルペスウイルスを含む他のウイルスへと広がることを示している。塩基中での置換は、抗ウイルス効力および選択性を低下させた。
【0262】
慢性B型肝炎ウイルス感染のウッドチャックモデルを使用する第2の研究により、第2の本発明によるヌクレオシド[β−L−2’−デオキシチミジン(L−dT)]と組み合わせた場合のL−dCの抗ウイルス効果および安全性を試験した。この研究には、L−dCが唯一の薬剤(1mg/kg/日)として使用される治療群が含まれた。12週間の治療相または12週間の治療後追跡期間の間、単独でも、L−dTと組み合わせても、L−dCには薬剤関連毒性は観察されなかった。対照動物に対しての体重または血清化学および血液学的パラメーターに変化はなかった。治療後肝生検は、脂肪変化の組織形態学的証拠(微小胞性脂肪変性)を示さなかった。L−dC(1mg/kg/日)+L−dT(1mg/kg/日)の組合せは、相乗作用を有し、ベースラインから8logほどウイルス負荷を低下させた。
【0263】
抗ウイルスヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体は、その抗ウイルス効果を細胞内三リン酸誘導体として、ウイルス複製の間のウイルスポリメラーゼのレベルで示す。天然ヌクレオシド(D−デオキシシチジンおよびD−チミジン)および抗ウイルスヌクレオシド類似体(例えば、ラミブジンおよびジドブジン(zidovudine))と同様に、L−dCはリン酸化により細胞内で活性化された。ヒト肝細胞では、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)により、L−dCは5’−一リン酸(MP)誘導体へと用量依存的に当初変換された。次いで、L−dC−MPは、5’−二リン酸(DP)形に変換され、これは引き続き、主に細胞内5’−三リン酸(TP)代謝物に変換された。L−dC−TPレベルは、L−dC10μM(一次ヒト肝細胞中90.1μM)に暴露されたHepG2細胞では24時間目に72.4μMに達し、細胞内半減期15.5時間を有した。内在ポリメラーゼアッセイでは、L−dC−TPは、1.82μMの50%阻害濃度(IC50)でWHVのビリオン関連DNAポリメラーゼを阻害した。L−dCによるHBV DNAポリメラーゼの阻害に関する詳細なメカニズムは、調査中である。一次培養中のHepG2細胞またはヒト肝細胞をL−dCに暴露すると、第2のTP誘導体であるβ−L−2’−デオキシウリジン5’−三リン酸(L−dU−TP)が生じた。L−dC10μM(一次ヒト肝細胞中43.5μM)に曝されたHepG2細胞では、24時間目に、L−dU−TPレベルは18.2μMに達した。内在ポリメラーゼアッセイでは、L−dU−TPは、5.26μMのIC50でWHVのビリオン関連DNAポリメラーゼを阻害した。
【0264】
一次ヒト肝細胞培養およびヒト肝ガン細胞系(HepG2)では、L−dCの主な代謝物は、L−dC−TPであった。これらの細胞をL−dCに曝すと、L−dU−TPの形成がもたらされた。インビトロ薬理学的アッセイは、L−dC−TPが、ビリオン−関連DNAポリメラーゼに対して、1.82mMのIC50でヘパドナウイルスDNA合成を阻害することを示した。L−dU−TPは、5.26μMのIC50でヘパドナウイルスDNA合成を阻害した。L−dC−TPおよびL−dU−TPは、最も高い試験濃度である100μMの濃度まで、ヒトDNAポリメラーゼα、βおよびγを阻害しなかった。
【0265】
2.2.15細胞培養(肝炎ビリオンで形質転換させたHepG2細胞)中でのウイルスの成長を阻害する活性化合物の能力は、下記に詳述するように評価することができる。
【0266】
この培養系中での抗ウイルス効果に関するアッセイおよびHBV DNAの分析の概要および詳細は、既に記載されている(Korba and Milman、1991、Antiviral Res.、15:217)。抗ウイルス評価を、細胞の2つの別々の継代で行う。全てのプレート中の全てのウェルに、同じ密度で同時に接種する。
【0267】
細胞内および細胞外HBV DNAの両方のレベルにおける固有の変化により、未処置細胞でのこれらのHBV DNA形での平均レベルよりも3.5倍(HBVビリオンDNAで)または3.0倍(HBV DNA複製中間体で)高い抑制のみを、統計的に有意とみなす(P<0.05)。各細胞DNA製剤に組み込まれたHBV DNAレベル(これらの実験での細胞1個当たりでは、一定なまま)を使用して、細胞内HBV DNA形のレベルを算出することにより、等量の細胞DNAを、別々のサンプル間で比較することが保証される。
【0268】
未処置細胞での細胞外HBVビリオンDNAの典型的な値は、50から150pg/培地ml(平均約76pg/ml)である。未処置細胞での細胞内HBV DNA複製中間体は50から100μg/細胞DNApg(平均約74pg/細胞DNAμg)である。通常、抗ウイルス化合物での処置による細胞内HBV DNAレベルの低下は、HBVビリオンDNAレベルの低下に比べると、明白さに劣り、よりゆっくりと生じる(Korba and Milman、1991、Antiviral Res.、15:217)。
【0269】
ハイブリダイゼーション分析を行う方法では、1細胞当たりの2〜3個のゲノムコピーに対する細胞内HBV DNA約1.0pgと、ウイルス粒子3×10個/mLに対する細胞外HBV DNA1.0pg/mlとが等量となる。
【0270】
実施例
実施例12:可溶性研究
水中での天然デオキシリボシトシン(D−dC)、L−dCの3’−バリニルエステルおよびL−dCの3’,5’−ジバリニルエステルの可溶性を比較した。L−dCの可溶性を初めに、表3に示すように、様々なよく知られている濃度のβ−L−dCを連続して注入することによるHPLCデータ(即ち曲線下面積)を分析することにより評価した。HPLCを、1分当たり1mLの流速を伴う15分間のプログロムで、20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAAc)中でのCHCNの0から25%の勾配を用いてNova−Pack C18カラム(3.9×150mm)で作動させた。溶液濃度:曲線下面積により、y=4150049477×−4334.46845の比例関係が得られた。
【0271】
【表3】
Figure 0004639032
【0272】
これから、天然デオキシリボシトシン(D−dC)を用いて飽和溶液を調製した;サンプルを3つ取り、HPLCに注入した。この飽和溶液の濃度は、1.07、1.08および0.96モル/Lであると決定された;したがって、飽和溶液は、1.03モル/Lまたは272g/Lの平均飽和濃度を有した。結果を表4に作表する。
【0273】
【表4】
Figure 0004639032
【0274】
同様に、水へのβ−L−dCの塩酸3’−バリニルエステルの可溶性を評価した。表5に示すように、様々な濃度のβ−L−dCの塩酸3’−バリニルエステルをHPLCに連続して注入し、曲線下面積を測定することにより、校正曲線を求めた。ここでも、HPLCを、1分当たり1mLの流速を伴う15分間のプログロムで、20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAAc)中でのCHCNの0から25%の勾配を用いてNova−Pack C18カラム(3.9×150mm)で作動させた。曲線下面積に対する溶液濃度より、y=3176423963×−33051.63の比例関係が得られた。
【0275】
【表5】
Figure 0004639032
【0276】
これから、β−L−dCの塩酸3’−バリニルエステルの飽和溶液を試みたが、得られなかった。したがって、実験室で容易に得ることができたβ−L−dCの塩酸3’−バリニルエステルの最大量を、水に溶かした。3つのサンプルを集め、HPLCからの曲線下面積から、平均濃度1.013、0.996および1.059モル/Lを有することを決定した。結果を表6に作表する。
【0277】
【表6】
Figure 0004639032
3つの結果は全て、校正曲線から算出された予測範囲内であり、これらの高い濃度での化合物の完全な可溶性を示し、このサンプルの飽和溶液は、3つのサンプルの平均値よりも高い、即ち1.023モル/Lまたは408g/Lを上回ることを示している。
【0278】
水中でのβ−L−dCの塩酸3’,5’−バリニルエステルの可溶性を評価した。表7に示すように、様々な濃度のβ−L−dCの塩酸3’,5’−ジバリニルエステルをHPLCに連続して注入し、曲線下面積を測定することにより、校正曲線を求めた。HPLCを、1分当たり1mLの流速を伴う15分間のプログロムで、20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAAc)中でのCHCNの0から25%の勾配を用いてNova−Pack C18カラム(3.9×150mm)で作動させた。溶液濃度:曲線下面積により、y=3176423963x−33051.63の比例関係が得られた(図8b)。
【0279】
【表7】
Figure 0004639032
【0280】
これから、β−L−dCの塩酸3’,5’−ジバリニルエステルの飽和溶液を試みたが、得られなかった。したがって、実験室で容易に得ることができたβ−L−dCの塩酸3’,5’−ジバリニルエステルの最大量を、水に溶かした。3つのサンプルを集め、HPLCからの曲線下面積から、平均濃度2.8、2.4および2.4モル/Lを有することを決定した。結果を表8に作表する。
【0281】
【表8】
Figure 0004639032
3つの結果は全て、校正曲線から算出された予測範囲内であり、これらの高い濃度での化合物の完全な可溶性を示し、この試料の飽和溶液は、3つのサンプルの平均値よりも高い、即ち2.5モル/Lまたは1337g/Lを上回ることを示している。
【0282】
同様の可溶性研究を、β−L−dCの塩酸5’−バリニルエステル(5.1モル/Lまたは1664g/Lを上回る)およびβ−L−dCの塩酸3’,5’−ジアセチルエステル(3.3モル/Lまたは1148g/L)で行った。累積結果を、表9に作表する。
【0283】
【表9】
Figure 0004639032
【0284】
実施例13:Log P研究−リン酸緩衝液
オクタノール−1(B)で飽和させた一塩基リン酸カリウム溶液(28.5mL)および二塩基リン酸カリウム溶液(71.5mL)の混合物から製造された0.02Mリン酸緩衝液(A、100mL、pH7.2)2.2mLに、D−dC約1.5mgを溶かした。この溶液1mLに、0.02Mリン酸緩衝液(A)で飽和させたオクタノール−1(B)1mLを加えた。生じた混合物を攪拌し、遠心分離した;各相から3つのサンプルを集め、表10に示すように、HPLCにより分析した。HPLCを、1分当たり1mLの流速を伴う15分間のプログロムで、20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAAc)中でのCHCNの0から25%の勾配を用いてNova−Pack C18カラム(3.9×150mm)で作動させた。D−dCのlog Pは−1.41であり、したがってD−dCはオクタノールよりも水を好むことが判明した。
【0285】
【表10】
Figure 0004639032
【0286】
同様に、一塩基リン酸カリウム溶液(28.5mL)および二塩基リン酸カリウム溶液(71.5mL)の混合物から製造された0.02Mリン酸緩衝液(A、100mL、pH7.2)2.5mLに、塩酸L−dC−3’−バリンエステル約1.5mgを溶かした。次いで、溶液をオクタノール−1(B)で飽和させた。この溶液1mLに、0.02Mリン酸緩衝液(A)で飽和させたオクタノール−1(B)1mLを加えた。生じた混合物を攪拌し、遠心分離した;各相から3つのサンプルを集め、表11に示すように、HPLCにより分析した。HPLCを、1分当たり1mLの流速を伴う15分間のプログロムで、20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAAc)中でのCHCNの0から25%の勾配を用いてNova−Pack C18カラム(3.9×150mm)で作動させた。
【0287】
【表11】
Figure 0004639032
塩酸L−dC−3’−バリンエステルのlog Pは−1.53であり;したがってL−dC−3’−バリンエステルは、D−dCよりも高い程度で、オクタノールよりも水を好むことが判明した。
【0288】
塩酸L−dC−5’バリンエステルおよび塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルに関して、log P値を算出した。結果を表12に作表する。しかし、塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルでのlog P値はおそらく、測定された値(−0.86)よりも低いことを特記すべきである。実験の間に、3’−もしくは5’−モノバリニルエステルまたはさらにL−dCへのジバリンエステルの有意な変換が観察された。塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルの変換が水性相で50%、有機相で14%検出された。この変換は、pH7のリン酸緩衝液中でのエステルの不安定性による(実施例15および16参照)。
【0289】
【表12】
Figure 0004639032
【0290】
実施例14:Log P’研究−MilliQ水
ジバリンエステルがモノエステルおよびL−dCに変換するのを回避するために、代替log P研究をリン酸緩衝液の代わりにMilliQ水(A’)を使用して行った(pH7.2の代わりに、pH6.5)。ジバリニルエステルの塩酸塩形のみが、水中で考慮されうることを特記することが重要である。塩酸L−dC−3’,5’−ジバリニルエステル約1.5mgを、オクタノール−1(B)で飽和させたMilliQ水(A’、pH6.5)2.2mLに溶かした。この溶液1mLに、MilliQ水(A’)で飽和させたオクタノール−1(B)1mLを加えた。生じた混合物を攪拌し、遠心分離した;各相から3つのサンプルを集め、表13に示すように、HPLCにより分析した。HPLCを、1分当たり1mLの流速を伴う15分間のプログロムで、20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAAc)中でのCHCNの0から25%の勾配を用いてNova−Pack C18カラム(3.9×150mm)で作動させた。これらの条件下での3’,5’−ジバリンのlog P’は、−2.72であり、リン酸緩衝液中の対イオンの強い効果を示していることが判明した。水性相でも有機相でも、モノエステルまたはL−dCへのジバリンの変換は観察されなかった。
【0291】
【表13】
Figure 0004639032
【0292】
同様に、塩酸L−dC−5’−バリニルエステル約1.5mgを、オクタノール−1(B)で飽和させたMilliQ水(A’、pH6.5)2.2mLに溶かした。この溶液1mLに、MilliQ水(A’)で飽和させたオクタノール1(B)1mlを加えた。生じた混合物を攪拌し、遠心分離した;各相から3つのサンプルを集め、表14に示すように、HPLCにより分析した。HPLCを、1分当たり1mLの流速を伴う15分間のプログロムで、20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAAc)中でのCHCNの0から25%の勾配を用いてNova−Pack C18カラム(3.9×150mm)で作動させた。これらの条件下での5’−バリンのlog Pは−2.75であり、ここでも、リン酸緩衝液を使用するlog P研究で測定された値よりも低い値であることが判明した。
【0293】
【表14】
Figure 0004639032
【0294】
これらの条件下では、塩酸L−dC−5’−バリニルエステルおよび塩酸L−dC−3’,5’−ジバリニルエステルでのlog P’値は、非常に似ている(表15)。
【0295】
【表15】
Figure 0004639032
【0296】
実施例15:pH7.4での安定性研究
塩酸L−dC−3’−バリンエステルの各代謝物の分解速度を算出した。pH7.40での塩酸L−dC−3’−バリンエステルの半減期は、37℃で、0.2Mトリス−HCl溶液中では、7時間と求められた。これらの条件で、塩酸L−dC−3’−バリンエステルは、単純にL−dCに変換される。シトシンは検出されず、したがって検出可能なグリコシド結合切断はなかった。
【0297】
同様に、塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルの各代謝物の分解速度を算出した。pH7.42での塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルの半減期は、37℃で、0.2Mトリス−HCl溶液中では、2.4時間と求められた。これらの条件で、塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルは一部、3’−および5’−バリニル−L−dCに加水分解され、これらは後で、L−dCに変換される。シトシンは検出されず、したがって検出可能なグリコシド結合切断はなかった(スキーム4、図9aおよび9b)。
【0298】
【化52】
Figure 0004639032
【0299】
実施例16:pH7.20での安定性研究
pH7.20での塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルの半減期は、20mMリン酸緩衝液中では、2.2時間と求められた。これらの条件で、塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルは一部、3’−および5’−バリニル−L−dCに加水分解され、これらは後で、L−dCに変換される。シトシンは検出されず、したがって検出可能なグリコシド結合切断はなかった(スキーム5、図10aおよび10b)。
【0300】
【化53】
Figure 0004639032
【0301】
実施例17:pH4.5での安定性研究
pH4.51での塩酸L−dC−3’−バリンエステルの半減期は、20mM酢酸緩衝液中では、8.6日と決定された。ここでも、塩酸L−dC−3’−バリンエステルは単純に、L−dCに変換される。シトシンは検出されず、したがって検出可能なグリコシド結合切断はなかった。
【0302】
同様に、pH4.51での塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルの半減期は、20mM酢酸緩衝液中では、44時間と決定された。これらの条件で、塩酸L−dC−3’,5’−ジバリンエステルは一部、3’−および5’−バリニル−L−dCに加水分解され、これらは後で、L−dCに変換される。シトシンは検出されず、したがって検出可能なグリコシド結合切断はなかった(図11aおよび11b)。
【0303】
実施例18:pH1.2での安定性研究
pH1.2での塩酸L−dC−3’−バリンエステルの半減期は、135mM KCl−HCl緩衝液中では、48時間を上回ると決定された。シトシンは検出されず、したがって検出可能なグリコシド結合切断はなかった。
【0304】
同様に、塩酸L−dC−5’−バリンエステルで、安定性研究を行った。この化合物は、pH1.2で完全に安定で、他の代謝物または分解生成物は、23時間目まで検出されなかった。溶液中、2日目までは、グリコシド結合切断は検出されなかった。
【0305】
L−dCの3’,5’−ジアセチルエステルは、pH1.2で11.2時間の半減期を有することが判明した。これらの条件下で、化合物は部分的に加水分解されて3’−または5’−誘導体となり、これらは、後でL−dCに変換された。溶液中、2日目までは、グリコシド結合切断は検出されなかった。
【0306】
L−dCの3’,5’−ジバリニルエステルは、1.23のpHで完全に安定であることが判明した。それというのも、他の化合物が、これらの条件下に48時間目まで検出されなかったためである。溶液中、2日目までは、グリコシド結合切断は検出されなかった(図12)。
【0307】
あるいは、L−dCのN位をジメチルアミノメチレンまたはアセチルでマスクすると、pH1.2での化合物の半減期は、それぞれ僅か26分または50分であった。
【0308】
実施例19:カニクイザルでのL−dCの単一用量生物学的利用率
カニクイザルにL−dCをIVおよび経口投与した後の、L−dCの薬物動態を求めた。この研究では、トリチウム([3H])放射能標識されたL−dC10mg/kgを3匹のカニクイザルに、単一IV用量として投与した。6週間の洗出し期間の後に、同じ3匹のサルに、L−dCの同一経口用量を与えた。薬物動態分析のための血液サンプルを、投薬前、および投薬の0.25、0.5、1、2、3、6、8および24時間後に集めた。薬物動態分析のための尿サンプルを、パンキャッチ(pan catch)を介して、投薬前および投薬後:0〜2、2〜4、4〜8および8〜12時間間隔で、次いで、その後は、12時間間隔で、投薬後336時間にわたって集めた。薬剤を検出し、逆相高速液体クロマトグラフィー技術を使用して、濃度を求めた。血液および尿薬剤レベルデータは、非モデリング数学的方法により分析し、AUCを線形台形公式により導き出した。
【0309】
L−dCの静脈内投与。IV投与後のL−dCの平均Cmaxは95.7μMであり、全ての動物で、最初期のサンプリング時間(投薬の15分後)に生じた。L−dC血漿濃度は、1.59時間の平均t1/2で、IVボーラスの後に時間を追って低下した。IV投与後のL−dCの全クリアランス(CL)および腎クリアランス(CLR)の平均は、それぞれ0.53L/時/kgおよび0.46L/時/kgであった。1.22L/kgの平均のみかけの分布容積(V)は、L−dCが、かなりの血管外組織分布を有したことを示していた。
【0310】
尿排泄は迅速で、投与用量の71%が2時間以内に回収された。L−dCが、尿中で回収された用量の大部分(94%)を示した。腎クリアランス(0.46L/時/kg)は、全L−dCクリアランスの87%を占め、腎排泄が排泄の主要な経路であることを示していた。
【0311】
L−dUが、血漿および尿中で検出されたが、これは、L−dCの代謝排泄がIV投与の後に生じたことを示していた。低レベルのL−dUが、検出限界で血漿中で検出された(検出下限(LLOD)=0.1μM)。L−dUの腎排泄は、尿中で回収された全用量の4.0%であった。L−dUの他に、血漿または尿中で他の代謝物は検出されなかった。
【0312】
L−dCの経口投与。Cmaxは3.38μMであり、2.33時間のTmaxで生じた。L−dCの血漿濃度は、2.95時間の平均終点t1/2で、二相的に減退し、全てのカニクイザルで、24時間で検出限界を下回った。L−dCは、16.4%の平均経口生物学的利用率(F)で、胃腸管から吸収された。
【0313】
L−dUが、血漿および尿中で検出され、このことは、経口投与の後に、L−dCの代謝排泄が生じたことを示している。低レベルのL−dUが、LLODで血漿中で検出された。L−dUの他に、血漿または尿中で他の代謝物は検出されなかった。
【0314】
投与された経口用量の約8.5%が、12時間以内に尿中で回収された。72時間後に、15.5%±8%が回収された。L−dCは、尿中に排泄された薬剤の大部分(〜69%)を占めた。L−dUの腎排泄は、全回収用量の29%であった。便は集めなかった。
【0315】
表16は、カニクイザルへのL−dCのIVおよび経口投与での薬物動態結果の概要を示している。
【0316】
【表16】
Figure 0004639032
【0317】
実施例20:アカゲザルでのL−dCの単一用量生物学的利用率
アカゲザルに経口投与した後の、L−dCの薬物動態を求めた。この研究では、[3H]放射能標識したL−dC10mg/kgを3匹のアカゲザルに、単一経口用量として投与した。薬物動態分析のための血液サンプルを、投薬前、および投薬の0.25、0.5、1、2、3、6、8および24時間後に集めた。薬物動態分析のための尿サンプルを、パンキャッチを介して、投薬前および投薬後:0〜2、2〜4、4〜8および8〜12時間間隔で、次いで、その後は、12時間間隔で、投薬後336時間にわたって集めた。薬剤を検出し、逆相HPLC技術を使用して、濃度を求めた。血液および尿薬剤レベルデータは、非モデリング数学的方法により分析し、AUCを線形台形公式により導き出した。
【0318】
平均AUC0.25→8およびCmax値はそれぞれ、12.2mgM.hおよび3.23mgMであった。Cmaxは0.83時間のTmaxで生じた。平均t1/2は、3.34時間であり、L−dC血漿濃度は、全てのサルで24時間で検出レベルを下回った。L−dCの平均腎クリアランスは、0.273L/時/kgであった。L−dCを与えたサルの血漿中で、他の代謝物は観察されなかった。
【0319】
投与された経口用量の約8.5%(L−dCの経口生物学的利用率〜16%)が、8時間以内に尿中で回収された。48時間後に、15%が回収された。L−dCは、尿中に排泄された薬剤の大部分(〜77%)を占めた。L−dUの腎排泄は、全回収用量の23%であった。L−dUの他は、他の代謝物は検出されなかった。
【0320】
アカゲザルに経口投与した後の、L−dCでのAUCおよびCmaxは、カニクイザルで観察されたものと同様であった。
【0321】
実施例21:ラットでのL−dCの単一用量生物学的利用率
ラットでのL−dCの薬物動態および生物学的利用率を求めた。この研究では、[3H]放射能標識されたL−dC10mg/kgを3匹の雌のSprague−Dawleyラットに、単一IV用量として投与した。3匹の動物からなる第2群に、L−dCの同一の経口用量を与えた。薬物動態分析のための血液サンプルを、投薬の0.17、0.33、0.5、1、2、3、4、6、8および24時間後に集めた。尿を、投薬の8および24時間後に集めた。薬剤を検出し、逆相HPLC技術を使用して、血漿および尿中での濃度を求めた。データを、非モデリング数学的方法により分析し、AUCを線形台形公式により導き出した。
【0322】
L−dCの静脈内投与:平均AUC0.25→8値は、30.1mM.hであった。L−dCのCmaxは、91.1mgMであり、全ての動物で、最初期のサンプリング時間(投薬の10分後)に生じた。L−dC血漿濃度は、IVボーラスの後に、1.21時間の平均t1/2で二相的に減退した。L−dCのCLの平均は1.44L/時/kgであった。2.53L/kgの平均Vdは、L−dCがかなりの血管外組織分布を有することを示した。他の代謝物は、L−dCを与えたラットの血漿では観察されなかった。
【0323】
L−dCは、尿中で回収された放射能の大部分を占めた。L−dUが、尿中で検出され、このことは、L−dCの代謝排出がIV投与の後に生じたことを示していた。
【0324】
L−dCの経口投与:平均AUC0.25→8値は、4.77mM.時であった。平均Cmaxは、1.50mgMであり、1.0時間のTmaxで生じた。L−dC血漿濃度は、2.52時間のt1/2で減退した。L−dCは、15.4%の平均経口生物学的利用率(F)で、胃腸管からの摂取に限られた。他の代謝物は、L−dCの経口投与後のラット血漿では観察されなかった。
【0325】
L−dCは、尿中で回収された放射能の大部分を占めた。L−dUが、血漿および尿中で検出され、このことは、L−dCの代謝排泄が、経口投与の後に生じたことを示していた。
【0326】
表17は、IVおよび経口L−dC両方の薬物動態結果の概要を示している。
【0327】
【表17】
Figure 0004639032
【0328】
実施例22:ウッドチャックでのL−dCの単一用量生物学的利用率
ウッドチャックでのL−dCの薬物動態および生物学的利用率を求めた。この研究では、[3H]放射能標識されたL−dC10mg/kgを3匹のウッドチャックに、単一IV用量として投与した。薬物動態分析のための血液サンプルを、投薬の2、5、15および30分後および1.0、1.5、2.0、3.0、4.0および24時間後に集めた。7日間の洗出し期間の後に、同じ動物に、L−dC10mg/kgを単一経口用量として与えた。薬物動態分析のための血液サンプルを、投薬の15および30分後および1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、8.0および24時間後に集めた。尿を、投薬の24時間後に集めた。血漿薬剤レベル、CL、t1/2およびFを求めた。薬剤レベルを、インライン放射能検出およびシンチレーションカウンティングと共にHPLC方法を使用して求めた。
【0329】
L−dCの静脈内投与:L−dCの平均Cmaxは、112μMであり、全ての動物で最も早いサンプリング時間(投薬の2分後)で生じた。L−dC血漿濃度は、ボーラスの静脈内投与(IV)後、2.85時間の平均t1/2で二段階で減退した。L−dCのCLの平均は、0.39L/時/kgであった。平均Vは、1.17L/kgであった。L−dCは、尿中で回収された放射能の大部分を占めた。L−dUが、血漿および尿中で検出されたが、このことは、L−dCの代謝排出がIV投与の後に生じたことを示していた。血漿中で断続的に検出されるL−dUレベルは、0.75μMの平均Cmaxで、アッセイ定量の限界か、それ未満であった。
【0330】
L−dCの経口投与:Cmaxは、1.37μMであり、3時間のTmaxで生じた。L−dC血漿濃度は、5.22時間の平均t1/2で減退した。L−dCは、平均9.57%を伴う5.60から16.9%の範囲の経口生物学的利用率で、胃腸管から吸収された。L−dCは、尿中で回収された放射能の大部分を占めた。L−dUが、血漿および尿中で検出されたが、このことは、L−dCの代謝排出が、経口投与の後に生じたことを示していた。血漿中のL−dUは、0.19μMの平均Cmaxで、定量限界近くであった。
【0331】
表18は、IVおよび経口L−dCの両方での、薬物動態結果の概要を示している。
【0332】
【表18】
Figure 0004639032
【0333】
実施例23:L−dCのプロドラッグの生物学的利用率
L−dC、L−dCの5’−モノエステル、L−dCのジバリンエステル、およびL−dCのジアセチルエステルの生物学的利用率を、L−dTと共に、またはこれを伴わずに、カニクイザルで評価した。L−dCのジバリンエステルをサルに経口投与すると、用量の約73%が吸収された。吸収されたL−dCのジバリンエステルのうち、99%以上が迅速に、L−dCに変換されて、血漿に高い濃度のL−dCをもたらし、L−dCのジバリンエステルは検出することができなかった。低い血漿濃度のL−dCのモノバリンエステルが、L−dCのジバリンエステルの経口投与のすぐ後に検出された。低い血漿濃度のβ−L−2’−デオキシウリジン(L−dU)が断続的に検出された。他の代謝物は検出されなかった。結果を表19に示す。ここに示されているように、L−dCの3’,5’−ジバリルエステルとL−dTの組合せにより、L−dCの最も高い生物学的利用率が得られた。
【0334】
【表19】
Figure 0004639032
【0335】
実施例24:カニクイザルでのdival−L−dCの単一用量生物学的利用率
3匹の雄の非ナイーブなカニクイザル(macaca fascicularis)にdival−L−dC10mg/kgを、無菌9.0%食塩水に溶かした痕跡量のトリチウム([3H])標識されたドラブ(drub)(250μCi)と共に静脈内で与えた。6週間の洗出し期間の後に、同じ3匹の動物に、同じ経口用量のdival−L−dCを与えた。血液サンプルを、ヘパリン化管で、投薬前(〜18時間)および投薬の0.25、0.50、1、2、3、4、6、8および24時間後に集めた。尿を、投薬後336時間まで、0〜2、2〜4、4〜8、8〜12時間間隔、次いで12時間間隔で集めた。薬剤を、液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)技術を用いて血漿および尿中で定量化した。dival−L−dCを投与した後に、L−dCの血漿濃度時間経過を、非モデリング数学的方法により分析し、時間−濃度曲線下の面積(AUC)を、線状台形公式により導き出した。dival−L−dCをIVおよびPO投与した後のL−dCの生物学的利用率(F)を、L−dC AUCから算出したが、その際、F=AUCpo/AUCiv×iv用量/po用量であった。
【0336】
静脈内投与されたdival−L−dCは静脈内投与の後に迅速に、L−dCに変換された。dival−L−dCが血漿中で、15分目に(1.39μM)および30分目に(0.36μM、3匹のうちの1匹)検出された[定量の下限(LLOQ)=0.23μMまたは100ng/mL]。dival−L−dCは、投薬の30分後には血漿中で検出されなかった。dival−L−dCの部分的に脱エステル化された形、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルが血漿中で15分目に(3.23μM)検出され、2時間で0.08μMまで濃度が低下した(LLOQ=0.031μMまたは10ng/ml)。L−dCは、静脈内投与後に血漿中に存在する薬剤の大部分を示していた。L−dCでの平均AUC0.25→8値は19.8μM・時であった。L−dCの平均最高血漿濃度(Cmax)は、24.6μM(LLOQ=0.088μMまたは20ng/mL)であり、全ての動物で最初期のサンプリング時間(投薬後15分)で生じた。L−dCの血漿濃度は、1.73時間の平均t1/2で、二段階で減少した。L−dCの全身クリアランス(CL)およびみかけの分布容積(V)の平均はそれぞれ、1.01L/時/kgおよび2.46L/kgであり、これは、L−dCがかなりの血管外組織分布を有することを示している。エクスビボでのdival−L−dCおよびL−dCのヒト血漿タンパク質への結合はそれぞれ、13.3%±2.6%および19.7%±5.9%であった。dival−L−dCおよびL−dC遊離薬剤レベルに対するヒト血漿タンパク質結合の影響は最小であり、このことは、結合部位置換を伴う薬物相互作用は、予期されないことを示している。
【0337】
尿排泄は迅速で、dival−L−dCの投与用量の58±3%が、静脈内投与後2時間以内に排泄された。L−dCは、尿中に排泄された薬剤の大部分(〜93%)を占めた。L−dUも、血漿および尿で検出された。このことは、L−dCの代謝排出が、dival−L−dCの投与後にも生じることを示していた。低レベルのL−dUが血漿中で、別々の時点に、3匹中2匹で0.22μMから0.88μMの濃度範囲(LLOQ=0.22μMまたは50ng/mL)で検出された。3匹目のサルでは、いずれの時点でもL−dUのレベルは検出不可能であった。L−dUおよびdival−L−dCの部分的に脱エステル化された形、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルの腎排泄は少量で、それぞれ、全回収用量の約2.5%および3.7%であった。dival−L−dCが、3匹の動物のうちの1匹の尿中で、IV投与の2時間後に検出され、これは、回収用量の約0.15%を占めた。
【0338】
血漿および尿中でのモノバリンエステルおよびL−dUの両方の断続的な低い濃度のために、これらの代謝物の薬物動態分析を行うことは実行不可能であった。dival−L−dCのモノバリンエステルの出現は、それが、dival−L−dCのL−dCへの変換での中間体であるので、予測外ではなかった。加えて、サル、ラットおよびヒト一次肝細胞ならびにHepG2細胞の抽出物でのインビトロ細胞代謝研究により、L−dCは直接的に脱アミノ化されてL−dUにされるのではなく、L−dC一リン酸(−MP)が、L−dU−MPに変換され、これが、L−dU二リン酸(−DP)および三リン酸(−TP)に活性化されるか、L−dUに代謝され、次いで、細胞外区画(血漿)で検出されることが証明された。L−dUは、非細胞毒性(CC50>200μM)で、L−dU−TPはインビトロで、B型肝炎ウイルスデオキシリボ核酸(DNA)ポリメラーゼに対して5.26μMのIC50を有した(Microbiology and Virology、10章参照)。
【0339】
経口投与されたdival−L−dCも経口投与後に迅速に、L−dCに変換され、血漿サンプル中でいずれの時点でも検出することができなかった(溶液でのdival−L−dCのLLOQ=0.23μMまたは100ng/mL)。dival−L−dCの部分的に脱エステル化された代謝物、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルが血漿中で、30分目および1時間目に、0.034βから0.107βの範囲の濃度で検出された(溶液でのモノエステルのLLOQ=0.031μMまたは10ng/mL)。dival−L−dCは、血漿中で検出されなかった。
【0340】
L−dCは、dival−L−dCの経口投与後の血漿薬剤レベルの大部分(Cmaxで>99%)を示した。L−dCの平均AUC0.25→8値は14.0μM時であった。L−dCのCmaxは8.26μM(溶液でのL−dCのLLOQ=0.088μMまたは20ng/mL)であり、dival−L−dCの投与後0.67時間目に生じた。L−dCの血漿濃度は、2.28時間の平均t1/2で、二相的に減退した。dival−L−dCの投与後のL−dCの平均経口生物学的利用率は72.7%±22%であった。
【0341】
L−dUは、血漿中でも検出され、このことは、L−dCの代謝排出はdival−L−dCの経口投与後に生じることを示している。低レベルのL−dUが血漿中で、3匹の動物のうちの2匹で30分目から4時間目に、0.24μMから0.66μMの範囲の濃度で(溶液でのL−dUのLLOQ=0.22μMまたは50ng/mL)、かつ1匹の動物で8時間目にのみ、0.39μMの濃度で検出することができた。
【0342】
経口投与後、dival−L−dCは迅速に、胃腸管から吸収され、初回通過の腸および/または肝代謝によりL−dCに変換された。dival−L−dCも、L−dC代謝も、肝ミクロソーム酵素を伴わなかった。高用量レベルのdival−L−dCの投与の後に、L−dCのモノバリンエステルが一時的に、L−dCに変換される前に検出された。経口投与の後には、dival−L−dCは検出されなかった。L−dUの断続的な低い血漿レベルが、アッセイ定量の下限で、またはそれ未満で検出された。L−dUが、L−dCの細胞接種後にL−dCの脱アミノ化により生じた。
【0343】
投与された経口用量の約31±8%が、4時間以内に尿中で回収された。72時間後に、39±8%が回収された。L−dCは、尿中に排泄された薬剤の大部分(〜95%)を占めた。L−dUおよびdival−L−dCの部分的に脱エステル化された形、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルの腎排泄は少量で、それぞれ全回収用量の約2.5%および0.2%であった。尿中で、dival−L−dCは検出されなかった。
【0344】
表20は、dival−L−dCをIVおよび経口で投与した後のL−dCの薬物動態結果の概要を示している。
【0345】
【表20】
Figure 0004639032
【0346】
表21は、dival−L−dCをIVおよび経口投与した後の、dival−L−dC、L−dCのモノバリン誘導体、L−dCおよびL−dUの代謝物形成形態の概要を示している。
【0347】
【表21】
Figure 0004639032
【0348】
実施例25:カニクイザルでの、dival−L−dCを介してのL−dCの経口生物学的利用率
投薬実験を受けたことのある雄カニクイザル(macaca fascicularis)3匹にdival−L−dC10mg/kgを、無菌9.0%食塩水に溶かした痕跡量の[3H]−標識された薬剤(250μCi)と共に経口で与えた。血液サンプルをヘパリン化管で、投薬前(〜18時間)および投薬の0.25、0.50、1、2、3、4、6、8および24時間後に集めた。尿を、投薬後336時間まで、0〜2、2〜4、4〜8、8〜12時間間隔で、次いで12時間間隔で集めた。薬剤を、HPLC分析を用いて血漿および尿中で定量化した。dival−L−dCを投与した後に、L−dCの血漿濃度時間経過を、非モデリング数学的方法により分析し、時間−濃度曲線下の面積(AUC)を、線状台形公式により導き出した。経口投与後に、dival−L−dCは迅速に吸収され、L−dCに変換された。血漿サンプルをラジオクロマトグラフィック高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析することにより、回収された放射能の大部分がL−dCであったことが確認された。dival−L−dCが、1匹の動物のみで投薬の15分後に0.35μMの濃度で検出された。dival−L−dCの部分的に脱エステル化された形、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルは、血漿または尿中では検出されなかった。投与された経口用量の約26%が8時間以内に尿中で回収された。72時間後に、31%が回収された。L−dCは、尿中に排泄された薬剤の大部分(〜89%)を占めた。L−dUの腎排泄は少量で、回収された用量の約10%であった。dival−L−dCまたはその部分的に脱エステル化された形および他の代謝物は、尿中で検出されなかった。
【0349】
全体的な薬物動態プロファイルは、同様のCmax対AUC比により証明されるような薬物動態研究で決定されたものに匹敵した。低いレベルのL−dUが、3匹の動物のうちの2匹の血漿中で、平均Cmax0.33μMで検出された。第3の動物の血漿では、L−dUは検出されなかった。L−dUのレベルは、定量の下限か、それ未満で、薬物動態分析は不可能であった。
【0350】
実施例26:dival−L−dCのインビトロ代謝
ヒト血漿中でのdival−L−dCおよびその脱エステル化代謝物の安定性およびタンパク質結合を求めるための研究を行った。dival−L−dCをヒト血漿中、37℃でインキュベーションし、サンプルを、24時間目までの様々な時点で分析した(図13)。L−dCへの完全な変換により、dival−L−dCは、24時間後には検出することができなかった。2種の付加的な代謝物(β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルおよびβ−L−2’−デオキシシチジン−バリンエステル)も認められた。これらの代謝物の過渡的性質は、これらが、dival−L−dCのL−dCへの変換での中間体であることを示していた。ヒト血漿中、37℃でのdival−L−dCのインビトロ半減期は、約39分と決定された。
【0351】
dival−L−dCおよびL−dCの遊離レベルに対するヒト血漿タンパク質結合の影響力も、限外濾過法を使用して調査した。dival−L−dCの血漿タンパク質結合は、13.3%±2.6%であった。血漿タンパク質へのL−dCの結合は、19.7%±5.9%であった。この研究により、dival−L−dCおよびL−dCに対するヒト血漿タンパク質結合の影響力は最小であることが判明し、このことは、結合部位置換を伴う薬剤相互作用は予測されないことを示している。
【0352】
実施例27:L−dCの代謝活性および細胞内プロファイル
L−dCの細胞代謝を、HepG2細胞およびヒト一次肝細胞で調べた。高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、L−dCは肝細胞中で大規模にリン酸化されることが証明された。24時間、L−dC10μMに曝されたHepG2細胞での主な代謝物は、L−dC−Tpであり、これは、72.4±1.8μMに達した(表23参照)。一次ヒト肝細胞では、24時間目でのL−dC−TP濃度は90.1±37μMであり、HepG2細胞でのリン酸化レベルと同様であった。L−dCに肝細胞を曝すと、第2の5’−三リン酸塩誘導体、L−dU−TPの活性化が生じた。L−dC10μMに曝されたHepG2細胞では、L−dU−TPレベルは、24時間目に18.2μM(一次ヒト肝細胞では43.5pM)に達した。一次ラットおよびサル肝細胞では、L−dCのリン酸化の規模は若干、低かった。
【0353】
【表22】
Figure 0004639032
【0354】
L−dCおよびL−dUのリン酸化誘導体に加えて、[β−L−2’−デオキシリポヌクレオチド代謝物の形成が認められた。24時間、L−dC10μMに曝されたHepG2細胞および一次肝細胞培養では、[3−L−2’−デオキシシチジン−5’−ジホスホコリン(L−dC−DP−コリン)がそれぞれ、25.6μM(範囲25.6〜25.7μM)および12.3μM(範囲8.82〜15.8μM)の濃度で検出された。
【0355】
[3H]−L−dC10μMにHepG2細胞を24時間曝した後に得られた代謝プロファイルを図14に示す。L−dC−TPの明らかな細胞内半減期は15.5±0.34時間で、これは、ウイルスリバウンド実験での薬剤中止の後も続く抗ウイルス活性と関連があった。一次ヒト肝細胞で検出されたリン酸化パターンは、HepG2細胞を使用して得られたものと同様に、定性的かつ定量的であった(図15)。
【0356】
実施例28:代謝活性に伴う細胞キナーゼ
D−デオキシシチジン(dCyd)は、dCyd−5’−一リン酸塩(dCMP)に変換するための細胞質dCydキナーゼ(dCK)およびミトコンドリアチミジンキナーゼ(TK2)の天然基質である。細胞質チミジンキナーゼ(TK1)およびTK2は、Thd−5’−一リン酸塩(TMP)に変換するための天然基質としてD−チミジン(Thd)を利用する。L−dCの初期リン酸化に関わる細胞キナーゼは、L−dCおよび天然内在性ThdおよびdCydを用いる競合研究で同定された。L−dCの細胞内リン酸化は、Thdによってではなく、dCydによって用量依存的に減退した。したがって、dCydは、L−dCリン酸化の阻害剤として作用した。L−dCの細胞内リン酸化における変化は、HepG2細胞がThdおよびdCydの両方またはdCyd単独に曝された場合と同様であった。天然デオキシピリミジン、dCydのみによるL−dCリン酸化の阻害は、dCKが、L−dCリン酸化に関わることを示していた。
【0357】
L−dCのリン酸化におけるこれらのピリミジンヌクレオシドキナーゼ活性の役割をさらに、キナーゼ欠損細胞系で調べた。dCK欠損細胞では、L−dCのリン酸化代謝物の量が著しく減少した。しかしながら、TK1欠損細胞でのL−dCリン酸化では、著しい違いは観察されなかった。これらのデータは、前記の競合研究と一致しており、このことは、dCKが、L−dCのL−dC−MPへのリン酸化において重要な役割を果たしていることを示している。
【0358】
酵素源としてHepG2細胞の細胞質抽出物を使用したところ、L−dC、ThdおよびdCydリン酸化の定常状態動態は、みかけのミカエリス−メンテン定数(K)および最大初速度(Vmax)値により示されているように、類似していた(L−dC:5.75mMのKおよび1.12mmol/分/タンパク質mgのVmax;Thd:4.06mMのKおよび1.26mmol/分/タンパク質mgのVmax;dCyd:4.85mMのKおよび2.15nmol/分/タンパク質mgのVmax)。加えて、L−dC、ThdおよびdCydリン酸化の効率は、その対応するVmax/Kにより定義されるように、それらの値において類似していた(それぞれ、0.19、0.31および0.44)。
【0359】
加えて、L−dCの細胞内リン酸化の規模は、ウッドチャック肝抽出物中の天然内在基質であるThdおよびdCydの規模と同等であった。このことは、慢性B型肝炎ウイルス感染のウッドチャックモデルでの抗ウイルス試験を支持していた。L−dCのリン酸化は、内在基質のリン酸化と同様であった。さらに、L−dCのリン酸化レベルは、L−dCのレベルおよびヒト肝抽出物での内在基質のレベルに匹敵した。
【0360】
実施例29:ヘパドナウイルスに対するL−dCの抗ウイルス活性
ヒトB型肝炎ウイルスに対するL−dCの抗ウイルス活性を、HBV−発現肝ガン細胞系2.2.15で、未処置の対照細胞に対しての、細胞外HBV DNAおよび複製中間体の減少により測定した(表24参照)。リボ核酸(RNA)およびDNAウイルスのパネルを使用するL−dCの抗ウイルス活性の確認試験を、NIH Antiviral Research and Antimicrobial Chemistry Programにより行った。
【0361】
L−dCは、ヘパドナウイルス(HBV、DHBV)以外のウイルスの複製を阻害しなかった。L−dCは、インビトロでHBV複製に対して有効な抗ウイルス活性を有し、0.24μMのEC50(EC90 1.06μM)で、細胞外HBV DNA産生を減少させた。L−dCはさらに、0.5μMのEC50で、細胞内HBV DNA複製中間体(RI)を減少させた。さらにL−dCは、0.87μMのEC50で、一次アヒル肝細胞(PDH)培養でのアヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)DNA合成の用量依存的阻害をもたらした。
【0362】
【表23】
Figure 0004639032
【0363】
様々なDNAおよびRNAウイルスの複製を支持するために使用されたいずれの細胞系または一次細胞型でも、試験されたL−dCの最大濃度で、細胞毒性は検出されなかった。ヒトPBMC、HFFまたは哺乳動物由来の他の細胞型で、毒性は見られなかった。
【0364】
実施例30:ウッドチャックでのL−dCの抗ウイルス活性 28日
WHVに慢性的に感染しているウッドチャックは、HBV感染のモデルとして広く受け入れられていて、抗HBV薬の評価で使用することができることが判明している。これは、慢性HBV感染の治療に関する抗ウイルス活性のプラスの予測子であることが判明しており、ヌクレオシドおよびその類似体の安全性を評価するための感受系として役立つ。
【0365】
L−dCをウッドチャックに、28日間にわたって1日1回、0.01から10mg/kg/日で経口投与した。薬剤治療中の28日間および治療後追跡中の56日間のWHV DNAの血清レベルを、DNAドットブロットハイブリダイゼーション(約107ゲノム当量(geq)/血清mLの検出限界)および定量PCR(300geq/血清mLの検出限界)(1)により求めた。治療の初めの数日間の間に、WHV DNA複製は著しく阻害され、治療相を通じて維持された。L−dCを1日1回経口輸送すると、強い抗ウイルス効果が生じ、これは、DNAドットブロットハイブリダイゼーションアッセイの使用により求めたように、用量に依存した(図16)。
【0366】
図17は、慢性B型肝炎感染のウッドチャックモデルで、28日間、10mg/kg/日で治療された個々の動物でのL−dCの抗ウイルス活性を示している。特に、L−dC10mg/kg/日治療群では、14から28日目にウイルス負荷が、定量PCRアッセイにより測定されたように、ベースラインから2〜6log低下した。薬剤中止の後に、ウイルスリバウンドは、1から2週間で治療前レベル付近に達した。
【0367】
ラミブジン治療群(10mg/kg/日、経口)では、HBVウイルス負荷は、約0.5logから1.0log(geq/mL;データは示さず)低下したが、これは、シチジンヌクレオシド類似体(30)であるラミブジンを同じ濃度で使用する予備研究と一致する。
【0368】
実施例31:L−dC処置された細胞でのウイルスリバウンド
L−dC処置された2.2.15細胞でのウイルスリバウンドが、薬剤中止の後に生じた。HBV複製は、処置後18日で、処置前レベルの50%まで回復した。L−dC処置後のウイルスリバウンド動態は、著しい抗ウイルス効果が、薬剤中止の後にも継続したことを示しており、このことは、L−dC−TPの細胞内半減期(HepG2細胞で、15.5時間)に一致した。
【0369】
実施例32:薬剤耐性HBVに対する、L−dCの抗ウイルス活性
HBV感染患者に投与するラミブジン(1日1回、100mg)の対照臨床研究で、YMDD−突然変異HBVの有病率は、1年の治療の後に14から32%であり、2から3年の治療の後には58%であった(18〜20)。突然変異ウイルスは、YMDD突然変異を伴わなかったラミブジン治療患者に比較して、低い治療応答の証拠に関連していた。
【0370】
ラミブジン投与の間に復活したHBV複製の証拠を示した患者から得られたウイルス分離株の遺伝子型分析は、ラミブジンに対するHBV感度の低下は、突然変異に随伴し、その際、HBVポリメラーゼの触媒ドメイン(552位)のYMDDモチーフ中で、メチオンからバリンまたはイソロイシンへの置換および528位で、ロイシンからメチオニンへの置換が生じたことを示している。
【0371】
YMDD突然変異を有するHBV組換え型は、ラミブジン耐性であり、インビトロでは野生型HBVよりも複製能力が若干、劣る(21)。L−dCの三リン酸塩誘導体を、野生型および突然変異HBV DNAポリメラーゼに対して試験して、IC50値を比較する。加えて、ラミブジン−耐性HBV分離株と552および528位に突然変異を有する組換えウイルスに対して、L−dCの抗ウイルス試験を行う。
【0372】
加えて、WHV−感染ウッドチャックの慢性治療の間にインビボで、L−dC薬剤耐性HBV突然変異体を選択することも、考えられる。ウッドチャックインビボモデルでの薬剤耐性突然変異体の選択の関連性は、不確実である。それというのも、ウッドチャックでのラミブジン−耐性突然変異体のスペクトルは、HBV感染患者で同定されたものとは合わないためである(20〜22)。この長期研究(12から24カ月)のサブセットから、感染した肝細胞からのHBV共有結合閉環状(ccc)DNAの治療関連排出に関連する情報が得られた。現時点では、薬剤耐性突然変異を選択するためにDHBVインビトロモデルを使用することは不可能である。それというのも、このモデルで使用される一次アヒル肝細胞は、薬剤耐性ウイルスを選択するために必要とされる長期間にわたっては、細胞培養に耐えられないためである。
【0373】
実施例33:L−dT+L−dCの組合せ抗ウイルス活性および細胞毒性
ほぼ等モル比でのL−dTとL−dCとの組合せの抗HBV活性および細胞毒性を、2.2.15細胞で試験したところ、1:1、1:3および3:1の比で相乗作用を有することが判明した(表25参照)。
【0374】
【表24】
Figure 0004639032
【0375】
実施例34:L−dCでのヒト骨髄前駆細胞毒性アッセイ
一定のヌクレオシド類似体の骨髄抑制効果により、クローン原性アッセイで、ヒト骨髄前駆細胞の成長に対する潜在的な効果に関して試験する必要性が注目されている。特に、貧血および好中球減少症は、抗HIV薬剤のジドブジン(ZDV)に伴う最も一般的な薬剤関連臨床毒性である。この毒性は、健康なボランティアから得た骨髄細胞を使用するインビトロアッセイで、モデリングされている(Sommadossi J−P、Carlisle R.「Toxicity of 3’−azido−3’−deoxythymidine and 9−(1,3−dihydroxy−2−propoxymethyl)guanine for normal human hematopoietic progenitor cells in vitro」、Antimicrob Agents Chemother 1987、31(3)、452−454)。ZDVは、1〜2μMの臨床関連濃度で、ヒトグラニロサイト(granylocyte)−マクロファージコロニー形成(CFU−GM)および赤血球系バースト形成(BFU−E)活性を直接的に阻害することが判明している。プラス対照としてZDVを、マイナス対照としてラミブジンを用いるヒト骨髄クローン原性アッセイを使用したところ、L−dCは、CFU−GMおよびBFU−Eで、>10μMのIC50を有した(表26参照)。
【0376】
【表25】
Figure 0004639032
【0377】
実施例35:L−dCでのミトコンドリア毒性アッセイ
ZDV、スタブジン(stavudine、d4T)、ジダノシン(didanosine、ddI)、ザルシタビン(zalcitabine、ddC)などのHIV治療に認められている抗ウイルスヌクレオシド類似体は、末梢神経障害、ミオパシー、すい臓炎などの臨床性を限定する遅発毒性を伴う(8〜11)。これらの臨床的に不利な事象は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)含有物の減少およびmtDNAへのヌクレオシド類似体の導入による、ミトコンドリア機能の阻害に基づいている。加えて、特定のヌクレオシド類似体、フィアルウリジン(FIAU)は、直接的なミトコンドリア毒性により、肝不全、すい炎、神経障害、ミオパシーおよび乳酸アシドーシスをもたらした。乳酸産生の薬剤関連増加は、ミトコンドリア機能の障害または酸化的リン酸化のマーカーとみなすことができる。
【0378】
ミトコンドリア毒性をもたらすL−dCの可能性を評価するために、いくつかのインビトロ研究を、ヒト肝ガン細胞系HepG2を使用して行った。これらの研究には、乳酸産生、mtDNA含有物の分析およびミトコンドリア超微細構造の形態(例えば、クリスタの損失、マトリックスの溶解および膨潤ならびに脂質滴形成)の変化の測定が含まれた。ミトコンドリアに対するL−dCの効果を、表27に示す。
【0379】
L−dCで長期処置された細胞と未処置の細胞とで、生じた乳酸レベルに差異は観察されなかった。ZDVおよびFIAU処置された細胞での乳酸産生は、ビヒクル対照に比較して100%ほど増加した。10μMまでの濃度のL−dCに14日間、HepG2細胞を曝したところ、ミトコンドリアDNA含有に関して効果はなかったが、これに対して、ddC−処置された細胞では、87%減少した。L−dC10μMに14日間曝した後に、HepG2細胞、特にミトコンドリアの超微細構造を、透過電子顕微鏡法により調べた。細胞構成またはミトコンドリア形態に、認識可能な変化は検出できなかった。ミトコンドリアクリスタのサイズおよび組織は、正常であった。ZDV処置された細胞は、クリスタの損失を伴う典型的な膨潤ミトコンドリアを示した。ddC−およびFIAU処置された細胞では、ミトコンドリア形態も異常であった。
【0380】
【表26】
Figure 0004639032
【0381】
実施例36:L−dCでのヒトDNAポリメラーゼα、βおよびγ毒性アッセイ
ヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体は通常、細胞内で代謝されて、そのTP誘導体になる。細胞DNAポリメラーゼにより通常は、正常に核およびミトコンドリアDNAが、合成および修復される。TP代謝物は、DNAポリメラーゼのための潜在的な基質なので、L−dC−TPがヒトDNAポリメラーゼを阻害するかどうかを決定する研究を行った。
【0382】
ヌクレオシド類似体である3’−アミノ−3’−デオキシチミジン(AMT)TPは、10μMの濃度で、ヒトDNAポリメラーゼαを30%阻害した。ヒトDNAポリメラーゼβおよびγはそれぞれ、ddC−TPにより50%(5μM)および35%(2.5μM)阻害された。L−dC−TPおよびL−dU−TPは、100μMの濃度まで、ヒトDNAポリメラーゼα、βおよびγに対して阻害性を示さなかった(表28)。これらの結果は、L−dCおよびL−dUのTPは、これらの核およびミトコンドリアヒトDNAポリメラーゼに対して低い親和性を有することを示しており、このことは、インビトロおよびインビボで観察されたL−dCの有利な安全性プロファイルと一致している。
【0383】
【表27】
Figure 0004639032
【0384】
実施例37:ラットでのdival−L−dCの毒性アッセイ
ラットで、dival−L−dCの単一経口用量に伴う毒性を求めた。全部で40匹の動物(Sprague−Dawleyラット、6から8週齢)で研究した;動物を10匹(雄5匹および雌5匹)ずつそれぞれランダム化して、単一経口用量のdival−L−dCを研究の用量範囲ファインディングポーション(500、1000または2000mg/kg)から選択される3種の用量のいずれかで、または対照品を投与した。動物を15日間観察した。瀕死率(moribundity)および死亡率に関するケージサイド観察を、1日に2回記録した。臨床観察および体重を、1、8、14および15日目に1日1回記録した。さらに15日目に、血液学および血清化学のための血液サンプルを集めた。15日目評価の終了後に、全ての動物を安楽死させ、包括的な全身検死を行ったが、これには、体外表面、全てのオリフィスおよび頭蓋、胸部および腹腔およびその内容物のマクロ組織検査を含んだ。体重および選択された臓器の重量ならびに臓器対体および臓器対脳の重量比も、記録した。
【0385】
研究の間、毒性の明白な徴候は観察されず、体重、臓器重量または臨床的病理パラメーターに対する治療関連効果は見られなかった。血液学または血清化学プロファイルにおいて、治療関連異常は認められなかった。さらに、検死で観察された治療関連肉眼的病変はなかった。この研究の結果に基づき、ラットでの単一経口用量によるdival−L−dCのNOAELは、2000mg/kgであった。
【0386】
実施例38:サルでのdival−L−dCの毒性アッセイ
カニクイザルで、dival−L−dCの5つの段階的に高まる用量の潜在的な毒性を求めた。動物4匹(雄2匹および雌2匹)ずつにそれぞれ、全部で5種の経口dival−L−dC用量を、各用量レベル(20、100、500、1000および2000mg/kg)1レベルずつ、それぞれ1、4、7、10および14日目に与えた。
【0387】
瀕死率および死亡率に関するケージそばでの観察を、1日に2回記録した。臨床観察を、毎日記録した。1、4、7、10および14日目の処置前および17日目の検死前に、血液学および血清化学のための血液サンプルを集め、体重を測定した。17日目評価の終了後に、全ての動物を安楽死させ、肉眼検査および包括的組織収集を含む完全検死を行った。
【0388】
治療関連の臨床異常は観察されなかった。1日目の当初用量の後に、各動物は、約0.6kgの体重減少を示した。4日目から、残る研究の間、全ての動物は、体重を維持した。
【0389】
次の観察が、個々の血液学プロファイルで認められた。17日目に、赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(HGB)およびヘマトクリット(HCT)が、1日目に得られた値と比べて、4匹の動物のいずれでも累積的に、約15%から27%低かった。No.1001(雄)の動物を除き、各時点で、これらのパラメーターの変化は、その前に記録された値の<10%であった。No.1001の動物では、4日目に、RBC、HGBおよびHCT値が、1日目の値から約18%低下し、その後、この動物での変化は全体で、<±9%であった。この初期変化の原因は分からず、毒物学的有意性は不確かである。1日目に、白血球数(WBC)が、No.1101の動物で著しく上昇したが(雌、36.3×10細胞/μl)、4日目にはほぼ55%低下した。絶対多形核白血球(APLY)および多形核白血球率(PLY)も、1日目での高いレベルから4日で低下した(それぞれ73%および40%)。変化は、残る研究の間、一定ではなかった。毒物学的関連性は不確かである。
【0390】
次の観察が、個々の血清化学プロファイルで認められた。17日目の血液尿素窒素(BUN)値は、1日目の値に比較すると、4匹全てのサルで低下した(累積的に、〜43%)。これらの累積変化は、−39%から+46%の一時的な変化から生じている。これらの変化は、この研究では全てのサルで一致したが;毒物学的関連性は不確かである。
【0391】
この研究の結果に基づき、サルでの、強制栄養による単一経口用量でのdival−L−dCのNOAELは、2000mg/kgであった。
【0392】
実施例39:ウッドチャックでのL−dCの28日毒性アッセイ
慢性B型肝炎感染のウッドチャックモデルは、ヌクレオシド類似体の臨床前毒性評価に役立てられている。げっ歯類または霊長類での臨床前評価では見られない、ヒトでFIAUにより惹起される遅延型の重大な肝細胞毒性をこのモデルは証明した。肝生検で見られる著しい体重減少、痩せおよび肝細胞損傷を含む、ウッドチャックで観察されるFIAU惹起毒性は、治療の開始後6から8週間から確認され、FIAU治療されているHBV感染患者で観察されたものと同様であった。
【0393】
ウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)感染したウッドチャックでのL−dCの抗ウイルス活性および安全性、さらに治療後ウイルスリバウンドを求めた。雄および雌のウッドチャックを、新生児の時点で、WHV担体の希釈血清を皮下接種することにより感染させて、全て、WHVの慢性担体にした。動物(16から18カ月齢)を、体重、g−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)レベル、性別および定量ドットブロット分析により測定された血清WHV DNA濃度(>1011ゲノム当量/血清mL)に基づき比較可能な群にランダム化した。
【0394】
動物3匹ずつに、0.01、0.1、1.0または10.0mg/kg/日の用量でL−dCを、経口で28日間与えた。加えて、3匹の動物にラミブジン10mg/kg/日を、経口で28日間与えた。4匹の動物に、同じスケジュールで、ビヒクル対照を与えた。全ての動物を、治療の後、付加的に56日間、WHVのリバウンドに関して監視した。WHV DNAレベルのための血液サンプルを、−7、0、1、3、7、14、21および28日目に得て、WHV DNAレベルをさらに、治療後の1、3、7、14、28および56日目に得た。WHV DNAレベルを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術により検出した。同時に、体重を調べ、薬剤用量を、それに応じて調節した。毒性の臨床証拠が観察された場合には、臨床生化学および血液学的試験を行った。組織の組織評価を含む死亡後検査を、研究の間に死亡した1匹の動物で行った。
【0395】
4週間の治療期間または8週間の治療後追跡期間の間、毒性は観察されなかった。さらに、対照動物に比較して、L−dC治療群で体重減少はなかった(図18)。動物は全て、84日プロトコル期間の間に、対照動物と同様に体重が増加した。0.1mg/kg/日群の1匹の動物(♯98051)が、治療の終了後8日目に死亡した。死亡後検査により、肝臓の左側葉に大きな肝ガン(8×5×2cm)が見つかり、死亡は、この悪性病変によった。肝細胞新生物は、このモデルでは、9カ月齢で見られ、15カ月齢での死亡原因であった。この動物の死亡は、肝細胞ガンによるものであり、WHV感染の自然な病歴で予測される部であり、L−dC治療に関連するとは考えられなかった。それというのも、薬剤毒性が、この動物の死亡における1ファクターであるという徴候がなかったためである。
【0396】
実施例40:ウッドチャックでの、L−dCの12週間毒性アッセイ
ウッドチャックで、L−dCの抗ウイルス活性および安全性を求めた。この研究では、動物4匹ずつに、L−dC1.0mg/kg/日またはビヒクル対照を経口で、12週間与えた。4匹の付加的動物には、L−dCを他のヌクレオシド類似体であるL−dTと共に与えた。動物を比較可能な群にランダム化し、性別、体重および治療前血清WHV DNAおよびGGTレベルにより階層化した。
【0397】
WHV DNAおよび体重を、0、1、3、7、14、21、28、42、56および84日目に、さらに治療後7、14、21、28、42、56、70および84日目に測定した。定量的PCRにより、WHV DNAレベルを決定した。血液学、血清化学、WHV血清学および肝生検のための適切なサンプルを治療前および84日目に集めた。血漿薬剤レベルを、0、14および84日目の投薬の2.5時間後に集めたサンプルから決定した。
【0398】
L−dC(1mg/kg/日、経口)は、よく許容され、治療の12週間または追跡の12週間の間、薬剤関連毒性は見られなかった。L−dC(1mg/kg/日、経口)で12週間治療された慢性感染ウッドチャックでのWHVウイルス血症は、この用量での28日研究での応答と同様に、治療の12週間が終わるまでに0.5から1log 10低下した。この研究には、L−dT1mg/kg/日および組み合わせて投与されるL−dC(1mg/kg/日)+L−dT(1mg/kg/日)で治療される付加的な群が含まれた。このL−dCおよびL−dTの組合せは、28日研究で、L−dCまたはL−dT10mg/kg/日での治療の間に見られたのと同様に、ウイルス負荷を検出限界まで減らした。L−dCで治療された群の動物と対照群の動物との間に体重の差異はなかった(図19参照)。対照群の動物1匹が、8週目に死亡した;検死により、死亡の原因は、大動脈退化および破裂であると判明した。上行大動脈の異常、自然破裂は、未感染およびWHV感染ウッドチャックの両方で、履歴的に観察されている。全ての動物の体重が、24週間の研究期間の間に、若干、減少した。この若干の体重減少は、冬眠の接近によることが、以前の経験から確定されている(B.Tennant、DVM;Marmotech,Inc.)。全ての動物からの血清化学および血液学は、治療の前後12週間、正常範囲内であった。顕微鏡法により評価される肝組織形態学は、すべての群で正常であった。脂肪変化の証拠はなかった(微小胞性脂肪変性)。
【0399】
実施例41:カニクイザルでのdival−L−dCの反復用量毒性動態
カニクイザルに25日間経口投与した後の、dival−L−dCの潜在的な毒性および薬物動態を求めた。8匹の動物(雄4匹および雌4匹)をランダム化して、強制栄養により3種の用量のうちのいずれか(500、1000または2000mg/kg)でdival−L−dCまたはビヒクル対照を1日1回25日間与えた(全部でN=32)。瀕死率および死亡率に関するケージそばでの観察を1日2回記録し、臨床観察を1日1回記録した。1、8、15および25日目の治療前および26日目の検死の前に体重を記録した。摂食量を毎日記録し、1週間隔で1日平均として報告した。理学的検査および眼科検査ならびに尿検査を、治療の前および検死時に行った。26日評価の終了の後に、全ての動物を安楽死させ、包括的な全身検死を行ったが、これには、体外表面、全てのオリフィスおよび頭蓋、胸部および腹腔およびその内容物のマクロ組織検査を含んだ。体重および選択された臓器の重量および臓器対体および臓器対脳の重量比も、記録した。包括的な全身検死により得られた組織を施設内試験審査委員会の獣病理医が組織形態学的に評価した。
【0400】
A.体重
25日目に0.1kgの体重低下(1日目に比較して)を示したNos.2002(500mg/kg群)と4001および4003(2000mg/kg群)の動物を除き、全ての動物は、研究経過の間、体重を維持したか、増やした。対照群動物での研究前平均体重は治療群での平均体重よりも0.13〜0.25kg多いので、対照群の雄とdival−L−dC治療群の雄との間の統計的に有意な差は、毒性的に関連があるとはみなされない。
【0401】
B.摂食量
研究経過の間、全ての動物は、予測されるばらつきを伴う適切な摂食量を維持した。平均ビスケット消費は、500mg/kg群の雄で8/9、15/16および16/17日目に;1000mg/kg群の雄で24/25日目に;2000mg/kg群の雄で8/9、15/16、16/17、20/21および23/24日目に対照群の雄よりも少なかった。雌で認められた差異は、2000mg/kg群の雌での7/8日目の摂食量の減少のみである。これらの差異は、毒性的に関連があるとはみなされない。
【0402】
C.臨床病理学
血液学。治療開始前の1日目には、対照群と治療群との間で血液学的パラメーターに差はなかった。26日目に、いくつかの統計的に有意な差が、赤血球恒数に認められ、これには、赤血球数(RBC_(治療された雌全て)の低下、ヘモグロビン(HGB)の低下(治療された雄全て)およびヘマトクリット(HCT)の低下(両性別の全ての治療群)が含まれた。雄も、RBCの低下を示したが、その差は統計的には有意ではなかった。ヘモグロビン濃度も、治療された雌の方が低かったが、統計的には有意ではなかった。1日目に対して、RBC、HGBおよびHCTが、対照およびdival−LdC治療された雄および雌で26日目に低下した。しかしながら、対照動物で観察された相対低下は、dival−L−dC治療された動物で認められた低下よりも少なかった。これらの結果は、臨床的に関連する非溶血性貧血を示しているが;用量応答現象は最小で、組織病理的評価は、骨髄が応答性を維持していることを示している。したがって、進行性または長期的影響は見込まれないと思われる。
【0403】
白血球数では、絶対多形核白血球(APLY)の低下(500MG/KGおよび1000mg/kg群の雌および2000mg/kg群の雄および雌)、多形核白血球率(PLY)の低下(1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雌)およびリンパ球率(LYM)の増加(2000mg/kg群の雄と1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雌)があった。
【0404】
血清化学。全ての治療された雄で、平均アルカリフォスファターゼ(ALK)レベルが26日目に、雄の対照群平均ALKよりも著しく低かった。さらに、平均グロブリン(GLOB)およびカルシウム(CAL)レベルが、26日目に、2000mg/kg群の雄で高まった。これらの変化は、臨床的に関連があるとはみなされなかった。平均カリウム(K)値は、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雄で、対照群よりも高く、これらの治療群に存在する観察された非溶血性貧血に関連づけることができた。26日目に、雌では、血清化学パラメーターに変化はなかった。
【0405】
尿検査。平均尿pHが、2000mg/kg群の雄と1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雌で若干、低下したが、その差は、統計的には有意ではなかった。高用量の雄および雌の尿に結晶が存在しないことは、注目すべきで、尿の酸性化と一致した。
【0406】
D.臓器重量
1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雄の肺(絶対)と2000mg/kg群の雄の相対胸腺(胸腺:脳)で、統計的に有意な臓器重量の低下が認められた。しかしながら、これらの差は、毒性に関連があるとはみなされなかった。
【0407】
E.病理学
肉眼的。dival−L−dCの投与に関連すると理解される肉眼的所見は存在しなかった。全ての肉眼的所見は、非ヒト霊長類での付随的所見として通常存在する所見の特徴を示していた。
【0408】
顕微鏡的。胸腺萎縮は、治療関連の所見と理解される、顕微鏡でのみの所見であった。胸腺萎縮の発生および重度は、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雄および雌で高まったが、500mg/kg群の動物には影響を及ぼさなかった。しかしながら、胸腺萎縮の臨床的有意性は、あいまいであると理解された。用量反応関係は弱く、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雄の全てが影響を受けたわけではなく、胸腺萎縮は一般に、霊長類の年齢に伴って生じる。この研究で存在した他の顕微鏡的所見は通常、この年齢の霊長類で観察される通常のタイプおよび発生率の軽症の炎症または変性変化であった。
【0409】
毒性動態。血液学および血清化学のための血液サンプルを、1日目の治療前および26日目の検死前に集めた。血液サンプルを薬物動態分析のために、25日目に、各動物から、用量後の次の各時点:0.5、1、2、4、6、8、12および24時間に集めた。血液から血漿を調製し、dival−L−dCおよび3種の代謝物:L−dC、L−dUおよびdival−L−dCの部分的にエステル化された形、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルの濃度に関して分析した。L−dCおよびβ−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルのみが、定量可能であった。1000および2000mg/kg群での平均血漿濃度−時間データで、WinNonlin 1.5(Model 200)を使用して、非コンパートメント薬物動態分析を行った。500mg/kg群の分析は、進行中である。
【0410】
25日目でのβ−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルの血漿濃度は、dival−L−dCの経口投与後1時間(中央Tmax)で最大値(Cmax)に達したが、これに対して、L−dCでは、2〜4時間の中央Tma であった。しかしながら、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルCmax値は、L−dCにおいてよりも約2桁低かった。Cmaxに達した後に、L−dCの濃度は、各群で、みかけの2指数的に減退した。推定終末相平均半減期は、両用量群の雄および雌で、約4〜5時間であった。しかし、これらの半減期推定値は、最低値とみなすべきである。それというのも、多くの個々の推定値は、終末相が完全には同定することができない投薬の6から12時間後からのデータに基づくためである。平均β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステル濃度も、Cmaxに達した後に減退したが、終末相は、半減期の推定を可能にするほどには適切に定められなかった。2000mg/kg群の雄の濃度値よりも半分低い1000mg/kg群の雄を除いて、L−dCおよびβ−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルでの平均Cmax値は、各用量群の雄および雌で同様であった。したがって、Cmaxは、1000mg/kg群の雄でのみ、用量に伴い増加すると判明した。
【0411】
雄および雌でのL−dD AUClastの比較により、Cmaxで認められた傾向と同様の傾向が示され、その際、1000mg/kg群の雄は、2000mg/kg群の雄のAUClast値よりも約半分低い値を示した。雄および雌でのβ−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルAUClastの比較により、性別関連の差異は存在しないことが示され、AUClastは、用量の増加に正比例して増加すると判明した。
【0412】
データは、dival−L−dCの経口投与後は、ジ−val−L−dCの脱エステル化された形、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステル、次いで、L−dCへの迅速な変換であるが、全体的な暴露は、L−dCでは、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルにおいてよりも100倍高いことを示している。代謝物β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルへの全体的な暴露は、容量の増加に伴い、ほぼ直線状に増加すると判明している。
【0413】
毒性動態の概要を、表29に示す。
【0414】
【表28】
Figure 0004639032
【0415】
実施例42:ラットでのdival−L−dCの反復用量毒性動態
ラットに28日間経口投与した後のdival−L−dCの潜在的毒性および薬剤動態を求めた。動物を20匹(雄10匹および雌10匹)ずつランダム化し、3種の用量(500、1000または2000mg/kg)のいずれかで強制栄養によりdival−L−dCまたはビヒクル対照を1日1回28日間与えた。瀕死率および死亡率に関するケージサイド観察を1日2回記録した。臨床観察を1日1回記録した。体重を1、8、15、22および28日目の投薬前と、29日目の検死前に記録した。摂食量を週に1回記録した。血液学および血清化学のための血液サンプルも、29日目の検死の前に集めた。29日評価の終了の後に、全ての動物を安楽死させ、包括的な全身検死を行ったが、これには、体外表面、全てのオリフィスおよび頭蓋、胸部および腹腔およびその内容物のマクロ組織検査を含んだ。体重および選択された臓器の重量および臓器対体および臓器対脳の重量比も、記録した。包括的な全身検死により得られた組織をボード公認の獣病理医が、組織形態学的に評価した。
【0416】
A.体重
22および28日目の2000mg/kg群の雄の平均体重値は、雄の対照群での平均値よりも著しく低かった。28日目の2000mg/kg群の雌の平均体重値も、対照群の雌での平均値よりも著しく低かった。
【0417】
B.摂食量
2000mg/kg群の雄では、研究期間の間を通して摂食量が減った。さらに、研究の第3週の間、1000mg/kg群の雄の摂食量は、対照群の雄よりも著しく少なかった。研究の第2、3および4週の間、1000mg/kgおよび2000mg/kgの雌で、摂食量が著しく減った。
【0418】
C.臨床病理学
血液学:29日目に、いくつかの統計的に有意な差が、赤血球恒数に認められた。赤血球数(RBC)が、3種の用量レベル(500、1000および2000mg/kg)の全てで、雄および雌の両方で著しく低下した。ヘモグロビン濃度(HGB)が、2000mg/kg群の雄、1000mg/kg群の雌および2000mg/kg群の雌で低下した。ヘマトクリット(HCT)の低下が、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雄および雌で認められた。平均赤血球容積(MCV)が、500、1000および2000mg/kg群の雄と500および1000mg/kg群の雌で著しく増加した。平均赤血球ヘモグロビン(MCH)が、500、1000および2000mg/kg群の雄および雌で著しく増加した。平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)が、1000mg/kgの雌で増加した。有核赤血球数(NRC;絶対および相対)が、1000mg/kgおよび2000mg/kgの雄で低下し、2000mg/kgの雌で増加した。これらの変化は、治療に関連した軽い反応貧血を示している。
【0419】
白血球数(WBC)が、2000mg/kgの雄で低下した。2000mg/kg群の雄で、単球(MNO;絶対および相対)の低下があった。血小板(PLT)が、2000mg/kgの雄で増加した。しかしながら、これらの変化は、定量的に小さく、毒性関連性はあいまいである。
【0420】
血清化学:平均グロブリン(GLOB)レベルが、29日目に2000mg/kg群の雄および1000mg/kg群の雌で低下した。アルブミン/グロブリン比が、1000および2000mg/kg群の雄と1000mg/kg群の雌で増加した。アルカリフォスファターゼ(ALK)レベルが、500mg/kg群の雌で上昇した。コレステロール(CHOL)レベルが、1000mg/kgの雌で増加した。これらの僅かな変化は、用量−反応相関性のパターンまたは傾向を示さないので、これらの値が毒性学的に適当であることを示した。
【0421】
D.臓器重量
絶対臓器重量の著しい低下が、肺(2000mg/kg群の雄および雌)および胸腺(2000mg/kg群の雄、1000mg/kg群の雌および2000mg/kg群の雌)で認められた。2000mg/kg群の雄での前立腺および精嚢の平均絶対臓器重量の低下も著しかった。平均絶対心臓重量が、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雌で低下した。唾液腺平均重量が、2000mg/kg群の雌で低下した。平均脾臓重量が、2000mg/kg群の雌で増加した。
【0422】
相対(対体重)臓器重量の変化には、2000mg/kg群の雄および雌での脳重量の増加が含まれた。1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雄の平均精巣重量の増加が認められた。相対胸腺重量が、2000mg/kg群の雄、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雌で低下した。平均相対脾臓重量が、2000mg/kg群の雌で増加した。
【0423】
さらに、相対(対脳重量)臓器重量変化には、2000mg/kg群の雄での相対肺重量の低下が含まれた。相対胸腺重量が、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雄および雌で低下した。相対前立腺および精嚢平均重量も、2000mg/kg群の雄で低下した。平均相対心臓重量が、唾液腺の平均相対重量と同様に、2000mg/kg群の雌で低下した。相対脾臓重量が、2000mg/kg群の雌で増加した。
【0424】
臓器重量(胸腺、肺、心臓、唾液腺、前立腺、精嚢および脳)の低下は、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の動物で示される全身体重低下に従うと理解された。1000mg/kgおよび2000mg/kg群の動物で顕微鏡的に観察された胸腺萎縮は、観察された胸腺重量低下と一致した。重量の低下を伴った他の組織は、顕微鏡的関連性を有しなかった。脾臓重量の増加は、顕微鏡的に観察された赤血球産生活性の結果と理解された。
【0425】
E.病理学
顕微鏡的:胸腺萎縮およびリンパ壊死の発生が、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の動物で増加したが、500mg/kg群の動物には影響がなかった。しかしながら、胸腺萎縮およびリンパ壊死の臨床的有意性は、用量−反応相関が弱かったので、あいまいであると理解された。これらの胸腺変化は、様々なファクターによりストレスをかけられた動物での非特異的変化として存在することが多く、著しい体重低下が、この研究では1000mg/kgおよび2000mg/kg群の動物で観察された。
【0426】
脾臓での赤血球新生が、1000mg/kgおよび2000mg/kg群の雄および雌で、対照とは明確に区別されるほど増加したが、500mg/kg群の動物からの脾臓は、対照と同等であった。肝臓での血液新生が、2000mg/kg群の雄および雌で、対照とは明確に区別されるほど増加したが、500mg/kgおよび1000mg/kg群の動物からの肝臓は、対照においてと同等であった。胸骨骨髄の過形成が、2000mg/kg群の雄および雌で観察された。脾臓での赤血球新生、肝臓での血液新生の増加および骨髄での過形成は全て、血液学的結果の一部として観察された軽い貧血に対する予測される適切な反応と理解された。これらの結果により、継続治療の間の貧血の応答的特性が確認される。
【0427】
この研究では、いくつかの他の顕微鏡的変化が存在した。一般に、げっ歯類強制栄養研究で観察される通常のタイプおよび発生率の軽い炎症性または変性変化が存在した。
【0428】
毒性動態:付加的な54匹の動物(雄27匹および雌27匹)から、1日目および28日目に薬物動態分析のためのサンプルを集めた。いずれの日でも、サンプルを、6つの各時点(時点毎に2匹の動物を交換):投薬の0.5、1、2、4、8および24時間後に集めた。血液から血漿を調製し、dival−L−dCおよび3種の代謝物:L−dC、L−dUおよびdival−L−dCの部分的に脱エステル化された形、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルの濃度に関して分析した。L−dCおよびβ−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルのみが、確認することができた。1000および2000mg/kgの群での平均血漿濃度−時間データで、WinNonlin 1.5(Model 200)を使用して非コンパートメント薬物動態分析を行った。500mg/kg群の分析は、進行中である。
【0429】
代謝物L−dCの平均血漿濃度は、最大値(Cmax)に、1000mg/kg用量群では投薬の2時間後(Tmax)に、2000mg/kg用量群では投薬の1〜4時間後に達した。雄および雌での平均Cmax値は、各1000mg/kgおよび2000mg/kg用量群で同等であり、両方の群で、28日目と1日目で同様であった。Cmaxは、多くの場合に用量と共に増加したが、増加の規模は一定ではなかった。Cmaxに達した後に、L−dC濃度は各群で、明白に2指数的に減退した。1000mg/kg用量群に対して推定される終末期半減期(9〜17時間)は、2000mg/kg用量群(6〜8時間)よりも長い傾向があったが、半減期推定値は、注意して解釈すべきである。半減期の推定は、3つのデータポイントのみを使用することが必要で、データは、あいまいな傾向があった。また、使用される3つのデータポイントのうちの1つは、終末相を立証することができなかった4時間目であった。L−dC濃度のTlastは、全てのデータセットで24時間目に生じた。AUClastは、各群の雄および雌で同等で、28日目と1日目とで実質的な差異があるとは思われなかった。L−dCのCmaxは、前記のように、dival−L−dCの用量の増加に一致して増加するとは思われなかったが、L−dCのAUClastは、dival−L−dCと共に、用量に対してほぼ比例するような関係で増加した。
【0430】
β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルの血漿平均濃度は、投薬の1から2時間後に(Tmax)、最大値(Cmax)に達した。雄および雌での平均Cmax値は、各用量群で同様であったが、雌でより高い値を示す傾向があった。Cmax値は、1日目および28日目にそれぞれ雌の方が、14%から50%高かったが、ただし、2000mg/kg群の雌でのβ−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルCmax値は、28日目に、雄よりも約164%高かった。それぞれの性の範囲内で値を比較すると、28日目でのCmax値は、1日目と同様であったが、2000mg/kg群の雌では、Cmax値は、1日目よりも28日目で130%高かった。通常、用量に対して線形比例しない係数によってではあるが、Cmaxは、いずれの場合にも用量に伴って増加した。
【0431】
β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルのみかけの終末排出相は、十分には特定できず、したがって半減期は報告しなかった。β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステル濃度のTlastは、1000mg/kg用量群では4〜8時間目に、2000mg/kg用量群では8〜24時間目で生じた。Cmaxで認められるように、AUClastは、雄よりも雌で25%から50%ほど高かった。AUClastは、雄でも雌でも1日目に対して28日目で一貫して若干、高かった(30%から62%)。AUClastは、用量に対してほぼ線比例と考えられる関係で、用量に伴って増加した。
【0432】
これらのデータは、L−dCおよびβ−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルの両方が相対的に迅速に、体循環に達したことを示している。Cmaxにより測定される全体的な暴露は、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルよりもL−dCで10から40倍高く、AUClastで測定すると35から80倍であった。暴露は、1000〜2000mg/kg/日の用量範囲内で用量に比例して増加すると考えられた。L−dCの29日目での全体的な暴露は、1日目に観察される暴露と同等で、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステル暴露は通常、28日目により高く、このことは、β−L−2’−デオキシシチジン−5’−バリンエステルの蓄積が、反復投薬の間に生じることを示している。
【0433】
毒性動態結果の概要を、表30に示す。
【0434】
【表29】
Figure 0004639032
【0435】
実施例43:S.TyphimuriumおよびE.Coliプレート取込み突然変異アッセイ(遺伝毒性)
dival−L−dCは、動物に経口投与されると迅速に、L−dCに変化して、高血漿濃度のL−dCおよび検出不可能なdival−L−dCをもたらす。そこで、インビトロで行われる変異原性研究を、L−dCを使用して行った。この研究は、FDA GLP規制に従い行った。L−dCを、Salmonella typhimurium株TA98、TA100、TA1535およびTA1537のヒスチジンオペロンおよびEscherichia coli株WP2uvrAのトリプトファンオペロンで突然変異を惹起するその可能性に関して試験した。50、100、500、1000および5000mg/プレートの濃度のL−dCとプラスおよびマイナス対照を試験した。試験株を、外因活性の不在下および誘発ラット肝臓S−9抽出物およびeo因子(eofactor)の存在下に、L−dCまたは対照にさらした。約68時間インキュベーションした後に、L−dCおよび対照を、1プレート当たりの復帰突然変異体の数および背景ミクロコロニーローンの完全性に関して評価した。
【0436】
マイナスおよびプラス対照の両方を、試験の必要性に合わせた。固有および確認アッセイの両方の結果は、L−dCは、誘発ラット肝臓S−9抽出物の存在または不在下での試験株のいずれでも、復帰突然変異体の数の著しい増加を惹起しなかったことを示していた。研究所見に基づき、5000mg/プレートまでのL−dC濃度では、S.typhimuriumまたはE.Coliプレート取込み突然変異アッセイで変異原性の証拠はないと、結論された。
【0437】
実施例44:染色体異常アッセイ
dival−L−dCは、動物に経口投与されると迅速に、L−dCに変化して、高血漿濃度のL−dCおよび検出不可能なdival−L−dCをもたらす。したがって、インビトロで行われる変異原性研究を、L−dCを使用して行った。この研究は、FDA GLP規制に従い行った。L−dCを、培養CHO細胞で染色体異常を惹起するその可能性に関して試験した。固有アッセイでは、100、500、1000および5000mg/mLの濃度のL−dCとプラスおよびマイナス対照を、代謝活性を伴って、または伴わずに試験した。18時間継続的に処置した後に、相対細胞成長(RCG)および相対分裂指数(RMI)の減少により、毒性を求めた。RCGおよびRMI結果に基づき、染色体異常に3段階の最も高い濃度(500、1000および5000mg/mL)から採点した。細胞100個の分裂中期に、各濃度の重複培養のそれぞれから採点した(プラスおよびマイナス対照を含む)。
【0438】
確認アッセイを、活性化を伴わずに、1.0、10、100、500、1000および5000mg/mLの濃度のL−dCのみを用いて行った。18時間の継続治療の後に、RCGおよびRMIの低下が決定された。RCGおよびRMI結果に基づき、染色体異常に3段階の最も高い濃度(500、1000および5000mg/mL)から採点した。細胞100個の分裂中期を、各濃度レベルの重複培養のそれぞれから採点した(プラスおよびマイナス対照を含む)。
【0439】
固有および確認アッセイからの結果は、溶媒対照に比較して、L−dCが、代謝活性を伴っても、伴わなくても、いずれの試験濃度でも、異常を伴う細胞パーセンテージに統計的に有意な増加(カイ2乗検定により求められるp−値£0.05として定義される)を惹起しなかったことを示していた。研究所見に基づき、5000mg/mLまでの濃度のL−dCに曝した後に、CHOアッセイに染色体異常の証拠はなく、L−dCは、染色体異常誘発薬とは考えられないと、結論された。
【0440】
実施例45:マウス小核アッセイ
dival−L−dCは、動物に経口投与されると迅速に、L−dCに変化して、高血漿濃度のL−dCおよび検出不可能なdival−L−dCをもたらす。したがって、インビトロで行われる変異原性研究を、L−dCを使用して行った。この研究は、FDA GLP規制に従い行った。げっ歯類での経口生物学的利用率を10〜20%と仮定すると(Pharmacology and Toxicology、Section 8.1.7.3参照)、L−dCへの暴露(用量2000mg/kg)は、400mg/kgに達するか、これを上回るはずである。このレベルの暴露は、予測されるヒト暴露を20から50倍上回る。
【0441】
L−dCを、雄および雌のマウスの骨髄細胞中に微小核多染性赤血球(MPCE)を惹起するその可能性に関して試験した。500、1000および2000mg/kgの濃度のL−dCとプラスおよびマイナス対照を試験した。研究薬剤を、単一用量として経口強制栄養により投与した。L−dCまたはマイナス対照投与の約24および48時間後に2回収穫を行い、プラス対照投与の約24時間後に単一収穫を行った。1回の収穫時に1用量群当たり5匹の雄および5匹の雌のマウスを使用した。多染性赤血球(PCE)およびMPCE頻度のパーセンテージを、各時点で決定した。
【0442】
研究の結果は、マイナス対照に比較して、いずれのL−dC用量群のいずれの時点でも、MPCEの数に統計的に有意な増加(片側スチューデントt検定により求められるp−値£0.025として定義)は存在しなかったことを示している。毒性の指標としての、ビヒクル対照に対して20%を上回るPCEのパーセンテージの低下が両方の性で、24時収穫時点での各試験物品用量レベルで観察された(雄では−30.5%から−43.1%、雌では−26.1%から−32.2%)。この低下は、標的組織への試験物品の適切な暴露を示している。しかしながら、20%を上回るこの低下は両方の性で、48時間の収穫時点では、いずれの試験物品用量レベルでも観察されなかった。
【0443】
この研究は、試験条件下で、試験結果を評価するための基準セットに従うと、L−dCは、2000mg/kgまでの用量で雄または雌の動物に対して、小核アッセイで陰性であったことを示している。
【0444】
実施例46:毒性所見の総合的概要
慣用の細胞ベースアッセイを、L−dCおよび細胞代謝物の細胞毒性を評価するために使用した。L−dCは、潜在的抗ウイルス薬の抗−I−IBV活性を求めるために慣用的に使用されるヒト肝ガン細胞系2.2.15に対して、非細胞毒性であった(50%細胞毒性濃度、CC50、>2000μM)。L−dCは、ヒト末梢血単核細胞に対して(PBMC;CC50>100μM)、ヒト骨髄前駆細胞に対して(50%阻害濃度、IC50、顆粒球マクロファージコロニー形成単位(CFU−GM)および赤芽球バースト形成単位(BFU−E)アッセイで、>10μM)、細胞毒性ではなかった。
【0445】
【表30】
Figure 0004639032
【0446】
加えて、L−dCは、ヒトおよび他の哺乳動物由来の数多くの他の細胞系に対して細胞毒性ではなかった。機能、形態学またはミトコンドリアのDNA含有物に認識できる変化は認められず、L−dC処置された肝細胞で乳酸蓄積は存在しなかった(IC50>10μM)。L−dCの三リン酸形は、100μMの濃度までヒトDNAポリメラーゼα、βおよびγに対して阻害性ではなかった。
【0447】
ラットおよびサルでの急性単一用量(500、1000および2000mg/kg単一経口用量を含む)毒性研究で(2000mg/kgまで1、4、7、10および14日にわたる用量エスカレーション)、毒性の明白な証拠もなく、体重、摂食量または臨床病理パラメーター(血液学および血清化学)に対するdival−L−dC関連効果もなかった。加えて、検死で観察される肉眼的障害もなく、dival−L−dCによる組織形態分析での顕微鏡的所見もなかった。これらの研究の結果に基づき、Sprague−Dawleyラットおよびカニクイザルでの経口強制栄養による単一用量の後の、逆効果が観察されないレベル(NOAEL)は、dival−L−dCでは2000mg/kgであった。
【0448】
サルでの亜慢性(25日)毒性研究で、dival−L−dCでのNOAELは、500mg/kgを下回った。胸腺萎縮は、dival−L−dCに関連するかもしれないが、臨床的有意性は不明と考えられる顕微鏡的所見のみであった。軽い非溶血性貧血(赤血球数の低下、ヘモグロビンおよびヘマトクリット低下)および結果が明らかでない絶対および相対多形核白血球数の低下が、500mg/kg用量レベルで認められた。血液変化の他は、いずれの用量グループでも他の毒性は確認されなかった。
【0449】
ラットでの亜慢性(28日)毒性研究では、dival−L−dCでのNOAELは、500mg/kgを下回った。2000mg/kgの用量でラットに28日間dival−L−dCを経口投与すると、治療関連変化が生じ、これには、軽い大球性貧血、胸腺重量低下、脾臓重量増加(雌のみ)、体重低下および脾臓、肝臓および胸骨骨髄での血液新生が含まれた。1000rog/kgの用量でラットに28日間dival−L−dCを経口投与すると、治療関連変化が生じ、これには、軽い大球性貧血、胸腺萎縮(雌のみ)および脾臓での血液新生が含まれた。肝臓、脾臓および骨髄で見られた組織形態変化は、軽い貧血に対する血液学的反応を反映している。500mg/kgの用量でラットに28日間dival−L−dCを経口投与すると、軽い大球性貧血が生じた。認められた血液学的変化および造血反応の他に、いずれの用量群でも他の毒性は確認されなかった。
【0450】
正常で健康なウッドチャックまたはB型肝炎ウイルスに慢性的に感染しているウッドチャック(HBV感染治療のための有効モデル)では、L−dCを与えられた動物での急性(IVおよびPOで、単一用量10mg/kg)および亜慢性(経口で、10mg/kg/日で28日および経口で、1mg/kg/日で12週)研究の間、毒性は観察されなかった。対照動物に比較して、L−dC治療群で重量低下はなく、臨床病理パラメーター(血液学および血清化学)は、正常な範囲内で、12週研究での治療の終了後に行われた肝生検は、脂肪変化の証拠を示さなかった(微小胞脂肪変性)。
【0451】
L−dCは、S.typhimuriumまたはE.coli取込み変異原性アッセイで、5000μg/プレートまでの濃度で突然変異誘発性ではなかった。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)アッセイで、5000μg/mL(または22.0mM)までの濃度のL−dCに暴露した後に、染色体異常の証拠はなかった。マウス小核アッセイで、L−dCは、2000mg/kgまでの用量で、雄または雌の動物に対して染色体異常誘発性ではなかった。
【0452】
サルで認められた軽い貧血は、最も高い用量(2000mg/kg)でも、ラットでは500mg/kgでも、臨床的関連性を伴わなかった。加えて、網状赤血球数は変化しなかった。これらの研究で、規則的な可逆性コンポーネントはなかったが、比較的高い用量でのラットの脾臓および肝臓で見られる髄外血液新生により示されるように、血液学的リバウンドが生じうることが明らかである。
【0453】
【表31】
Figure 0004639032
【0454】
ラミブジン(Epivir−HBVT(商標))およびバラシクロビル(valacyclovir、Valtrex(商標))の臨床前毒性研究において、同様の血液変化が同等またはより低い用量で観察された。これらの承認されている薬剤はいずれも、dival−L−dCと同じ十分に同定されている群(ヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体)のメンバーである。比較のためにラミブジンを選択することは、これが、dival−L−dCと同様にシトシン誘導体であるということおよび慢性B型肝炎感染を治療するためのその承認に基づく。比較のためにバラシクロビルを選択することは、これが、ヌクレオシドアシクロビルのバリンエステルプロドラッグであるということに基づく。
【0455】
本発明を、その好ましい実施形態を参照しつつ記載した。先行する本発明の詳細な説明から、本発明の変形形態および修正形態は、当技術分野の当業者には明らかであろう。これらの変形形態および修正形態の全てが、本発明の範囲内であることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1a】 本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからの2’−デオキシ−β−L−シチジン(β−L−dC)の3’−バリニルエステルの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
【図1b】 本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからの2’−デオキシ−β−L−シチジン(β−L−dC)の5’−バリニルエステルの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
【図2】 本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからのN−アセチル−2’−デオキシ−β−L−シチジンの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
【図3】 本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからのN−[(ジメチルアミノ)メチレン]−2’−デオキシ−β−L−シチジンの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
【図4】 本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからの3’,5’−ジ−O−アセチル−2’−デオキシ−β−L−シチジンの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
【図5】 本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからの2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’,5’−ジ−O−バリニルエステルの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
【図6】 本発明による、2’−デオキシ−β−L−シチジンからの2’−デオキシ−β−L−シチジンのN−(Boc−バリニル)エステルの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
【図7】 本発明による、3’,5’,N−トリ−(Boc−L−バリニル)−2’−デオキシ−β−L−シチジンからの3’,5’,N−トリ−(L−バリニル)−2’−デオキシ−β−L−シチジンの合成を例示するための非限定的実施例を示す図である。
【図8a】 様々なヌクレオシドの可溶性を決定するために使用することができる標準校正法を示す線グラフであり、天然のβ−D−デオキシリボシトシンで決定された校正曲線を示す図である。
【図8b】 様々なヌクレオシドの可溶性を決定するために使用することができる標準校正法を示す線グラフであり、β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルで決定された校正曲線を示す図である。
【図9a】 pH7.42でのβ−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの安定性を評価するために使用されるHPLCプロファイルの非限定的実施例を示す図である。
【図9b】 β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルとその代謝物との時間に応じた相対濃度を示す線グラフである。
【図10a】 pH7.20でのβ−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの安定性を評価するために使用されるHPLCプロファイルの非限定的実施例を示す図である。
【図10b】 β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルとその代謝物との時間に応じた相対濃度を示す線グラフである。
【図11a】 pH4.51でのβ−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの安定性を評価するために使用されるHPLCプロファイルの非限定的実施例を示す図である。
【図11b】 β−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルとその代謝物との時間に応じた相対濃度を示す線グラフである。
【図12】 pH1.23でのβ−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルの安定性を評価するために使用されるHPLCプロファイルの非限定的実施例を示す図である。
【図13】 ヒト血漿中でのβ−L−デオキシリボシトシンの3’,5’−ジバリニルエステルのインビトロ代謝を示す線グラフである。
【図14】 HepG2細胞でのβ−L−デオキシリボシトシン(L−dC)の細胞内代謝を示す線グラフである。
【図15】 一次ヒト肝細胞でのL−dCの細胞内蓄積を示す線グラフである。
【図16】 慢性B型肝炎ウイルス感染しているウッドチャックモデルでの28日間の慢性B型肝炎ウイルス感染治療での、L−dCの抗ウイルス用量応答を示す棒グラフである。
【図17】 慢性B型肝炎ウイルス感染しているウッドチャックモデルでのL−dCの抗ウイルス活性を示す線グラフである。
【図18】 経口によりL−dC(0.01〜10mg/kg/日)で28日間治療された個々のウッドチャックの体重を示す線グラフである。
【図19】 経口によりL−dC(1mg/kg/日)で12週間治療された個々のウッドチャックの体重を示す線グラフである。

Claims (56)

  1. 式(I):
    Figure 0004639032
    [式中、
    は、水素またはL−バリニルであり;
    は、L−バリニルであり;
    Xは、Oであり;および
    BASEは、ピリミジン塩基である]の3’−置換−β−Lヌクレオシド、またはその薬剤として許容される塩。
  2. が水素である、請求項1に記載の化合物。
  3. がL−バリニルである、請求項1に記載の化合物。
  4. 下記式:
    Figure 0004639032
    [式中、
    は、水素またはL−バリニルであり;
    は、L−バリニルであり;および
    およびRは、独立に、H、直鎖、分枝鎖もしくは環式アルキル、ジアルキルアミノアルキレン、CO−アルキル、CO−アリール、またはL−バリニルである]の化合物、またはその薬剤として許容される塩。
  5. が水素である、請求項4に記載の化合物。
  6. がL−バリニルである、請求項4に記載の化合物。
  7. が水素であり、RがL−バリニルである、請求項4に記載の化合物。
  8. およびRが水素である、請求項4に記載の化合物。
  9. が水素であり、Rがジメチルアミノメチレンである、請求項4に記載の化合物。
  10. が水素であり、RがCO−アルキルである、請求項4に記載の化合物。
  11. が水素であり、RがCO−メチルである、請求項10に記載の化合物。
  12. が水素であり、RがL−バリニルである、請求項4に記載の化合物。
  13. 下記式:
    Figure 0004639032
    [式中、
    は、水素またはL−バリニルであり;および
    は、L−バリニルである]の化合物、またはその薬剤として許容される塩。
  14. が水素である、請求項13に記載の化合物。
  15. がL−バリニルである、請求項13に記載の化合物。
  16. が水素であり、RがL−バリニルである、請求項13に記載の化合物。
  17. 下記式:
    Figure 0004639032
    [式中、
    は、水素、またはL−バリニルであり;および
    は、L−バリニルである]の化合物、またはその薬剤として許容される塩。
  18. が水素である、請求項17に記載の化合物。
  19. がL−バリニルである、請求項17に記載の化合物。
  20. が水素であり、RがL−バリニルである、請求項17に記載の化合物。
  21. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩を、薬剤として許容される担体または希釈剤と共に含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物。
  22. 請求項4〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩を、薬剤として許容される担体または希釈剤と共に含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物
  23. 請求項13〜16のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩を、薬剤として許容される担体または希釈剤と共に含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物
  24. 請求項17〜20のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩を、薬剤として許容される担体または希釈剤と共に含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物
  25. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩を、1種以上の他の抗B型肝炎ウイルス薬と組合せて含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物。
  26. 1種以上の抗B型肝炎ウイルス薬がβ−L−デオキシリボヌクレオシドである、請求項25に記載の組成物。
  27. β−L−デオキシリボヌクレオシドが、β−L−デオキシリボチミジン(β−L−dT)、β−L−デオキシリボシトシン(β−L−dC)、およびβ−L−デオキシリボウリジン(β−L−dU)からなる群から選択される、請求項26に記載の組成物。
  28. β−L−デオキシリボヌクレオシドがβ−L−デオキシリボチミジン(β−L−dT)である、請求項27に記載の組成物。
  29. 化合物が2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’−バリニルエステルであり、1種以上の抗B型肝炎ウイルス薬がβ−L−dTである、請求項28に記載の組成物。
  30. 化合物が2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’,5’−ジバリニルエステルであり、1種以上の抗B型肝炎ウイルス薬がβ−L−dTである、請求項28に記載の組成物。
  31. 請求項4〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩を、1種以上の他の抗B型肝炎ウイルス薬と組合せて含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物
  32. 1種以上の抗B型肝炎ウイルス薬がβ−L−デオキシリボヌクレオシドである、請求項31に記載の組成物
  33. β−L−デオキシリボヌクレオシドが、β−L−デオキシリボチミジン(β−L−dT)、β−L−デオキシリボシトシン(β−L−dC)、およびβ−L−デオキシリボウリジン(β−L−dU)からなる群から選択される、請求項32に記載の組成物
  34. β−L−デオキシリボヌクレオシドがβ−L−デオキシリボチミジン(β−L−dT)である、請求項33に記載の組成物
  35. 化合物が2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’−バリニルエステルであり、1種以上の抗B型肝炎ウイルス薬がβ−L−dTである、請求項34に記載の組成物
  36. 化合物が2’−デオキシ−β−L−シチジンの3’,5’−ジバリニルエステルであり、1種以上の抗B型肝炎ウイルス薬がβ−L−dTである、請求項34に記載の組成物
  37. 請求項13〜16のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩を、1種以上の他の抗B型肝炎ウイルス薬と組合せて含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物
  38. 1種以上の抗B型肝炎ウイルス薬がβ−L−デオキシリボヌクレオシドである、請求項37に記載の組成物
  39. β−L−デオキシリボヌクレオシドが、β−L−デオキシリボチミジン(β−L−dT)、β−L−デオキシリボシトシン(β−L−dC)、およびβ−L−デオキシリボウリジン(β−L−dU)からなる群から選択される、請求項38に記載の組成物
  40. β−L−デオキシリボヌクレオシドがβ−L−デオキシリボチミジン(β−L−dT)である、請求項39に記載の組成物
  41. 請求項17〜20のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩を、1種以上の他の抗B型肝炎ウイルス薬と組合せて含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物
  42. 1種以上の抗B型肝炎ウイルス薬がβ−L−デオキシリボヌクレオシドである、請求項41に記載の組成物
  43. β−L−デオキシリボヌクレオシドが、β−L−デオキシリボチミジン(β−L−dT)、β−L−デオキシリボシトシン(β−L−dC)、およびβ−L−デオキシリボウリジン(β−L−dU)からなる群から選択される、請求項42に記載の組成物
  44. β−L−デオキシリボヌクレオシドがβ−L−デオキシリボチミジン(β−L−dT)である、請求項43に記載の組成物
  45. 宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造における、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩の使用。
  46. 宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造における、請求項4〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩の使用
  47. 宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造における、請求項13〜16のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩の使用
  48. 宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造における、請求項17〜20のいずれか一項に記載の化合物またはその薬剤として許容される塩の使用
  49. 次式の化合物、またはその薬剤として許容される塩。
    Figure 0004639032
  50. 次式の化合物、またはその薬剤として許容される塩。
    Figure 0004639032
  51. 次式の化合物またはその薬剤として許容される塩を、β−L−デオキシリボチミジンと組合せて含む医薬組成物。
    Figure 0004639032
  52. 次式の化合物またはその薬剤として許容される塩を、β−L−デオキシリボチミジンと組合せて含む医薬組成物。
    Figure 0004639032
  53. 宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造における、次式の化合物またはその薬剤として許容される塩の使用。
    Figure 0004639032
  54. 宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造における、次式の化合物またはその薬剤として許容される塩の使用。
    Figure 0004639032
  55. 宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造における、治療量のβ−L−デオキシリボチミジンと併用または交代で用いる、次式の化合物またはその薬剤として許容される塩の使用。
    Figure 0004639032
  56. 宿主のB型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造における、治療量のβ−L−デオキシリボチミジンと併用または交代で用いる、次式の化合物またはその薬剤として許容される塩の使用。
    Figure 0004639032
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