JP4638690B2 - 積層体およびプリント配線板 - Google Patents

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Description

本発明は、電気・電子機器等に広く使用されるプリント配線板に用いられるポリイミド樹脂組成物、これを用いた単層シートおよび積層体、並びにプリント配線板に関するものである。より詳しくは、例えば、プリント配線板の製造に好適な、ポリイミド樹脂組成物を用いてなる単層シート、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」の2層構造からなる積層体、または「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/金属薄層」、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」の3層構造からなる積層体、これら単層シートまたは積層体を用いてなるプリント配線板に関するものである。
プリント配線板は電子部品や半導体素子等を実装するために広く用いられている。近年の電子機器の小型化、高機能化の要求に伴い、プリント配線板には、回路の高密度化や薄型化が強く望まれている。特にライン/スペースの間隔が20μm/20μm以下であるような微細回路形成方法の確立はプリント配線板分野の重要な課題である。
通常、プリント配線板においては、基板となる高分子フィルムと回路との間の接着はアンカー効果と呼ばれる表面の凹凸によって達成されている。そのため、一般に高分子フィルム表面を粗化する工程が設けられ、通常その表面には表面粗度Rz値換算で3〜5μm程度の凹凸がつけられる。この様な基板表面の凹凸は、形成される回路のライン/スペースの値が30μm/30μm以上である場合には問題とならないが、特に20μm/20μm以下の線幅の回路形成には重大な問題となる。その理由は、この様な高密度の細線である回路線が基板表面の凹凸の影響をうけるためである。したがって、ライン/スペースの値が20μm/20μm以下の回路の形成には、表面平滑性の高い高分子基板への回路形成技術が必要となり、その平面性は表面粗度Rz値換算で2μm以下、望ましくは1μm以下とする必要がある。当然この場合には、接着力として上記アンカー効果は期待出来なくなるので、別の接着方法の開発が必要となる。
また、回路を形成するようなプリント配線板の場合には、プリント配線板の両面を導通させるビアホールの形成が不可欠である。そのため、その様なプリント配線板は通常、レーザーによるビアホール形成工程、デスミヤ工程、触媒付与工程、無電解銅メッキを施す工程等を経て回路形成が行われる。さらに、回路形成はエッチングによるサブトラクティブ法により行われる場合や、セミアディティブ法、アディティブ法により行われる場合もある。したがって、上記の様な微細配線を形成したプリント配線板において、配線回路と高分子フィルムとの間の接着性はこれらのプロセスに耐える必要がある。
スパッタリングや蒸着などの乾式法により形成した金属薄膜とポリイミド樹脂との接着力の向上の試みとしてはいくつかの方法が検討されている(例えば、特許文献2)。一方、金属箔とポリイミド樹脂との強固な接着を実現する方法として、銅金属箔の表面をあらかじめ表面処理しておく方法が報告されている(例えば、特許文献4および非特許文献1)。上記非特許文献1には、例えば、銅箔表面をポリベンツイミダゾール溶液及び4−アミノフェニルジスルフィド溶液で順じ処理した後、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸の皮膜を形成し、これを加熱してポリイミド樹脂とする事により銅箔とポリイミド樹脂の間に強固な接着が実現できる事が開示されている。
これに対して、プリント配線板に用いられるウエットプロセス、すなわち無電解メッキ膜を樹脂材料に直接形成する方法として、エポキシ系樹脂表面の粗化表面に無電解メッキを形成させる方法が開示されている(例えば、特許文献3)。また、ポリイミド樹脂に無電解メッキ膜を形成する方法として、苛性アルカリを含む溶液に1級アミノ基を有する有機ジスルフィド化合物、および/または1級アミノ基を有する有機チオール化合物を含む溶液で処理する方法が開示されている。
一方、硫化水素やチオール化合物は金属および金属化合物と反応して安定な塩を形成する事が知られている(例えば、非特許文献2)。チオール誘導体、とくにトリアジンチオール誘導体を用いて金属と樹脂との接着性を向上させようとする試みとして金属表面をトリアジンチオール誘導体で処理する方法などが開示されている(例えば、特許文献5、6、8、9)。上記特許文献5、6、8、9には、マグネシウム合金への処理、ゴムと金属メッキ層との接着などの方法が開示されている。
特開平11−71474号公報(1999年3月16日公開) 特開2002−113812号公報(2002年4月16日公開) 特開2000−198907号公報(2000年7月18日公開) 特開2002−208768号公報(2002年7月26日公開) 特開2001−1445号公報(2001年1月9日公開) 特開平10−237047号公報(1998年9月8日公開) 特開2000−159933号公報(2000年6月13日公開) 特開平9−71664号公報(1997年3月18日公開) 特開2000−160392号公報(2000年6月13日公開) Gi Xue, et.al、「Adhesion Promotion at High Temperature for Epoxy Resin or Polyimide onto Metal by a Two-Component Coupling System of Polybenzimidazole and 4-Aminophenyl Disulfide」、Journal of Applied Polymer Science、58巻、p.2221、1995年 日本化学会編、「実験化学講座24」、丸善書店、1992年9月25日、p320
しかしながら、上記特許文献2等に記載の方法は、いずれも一般的なプリント配線板の製造プロセスには十分な耐性を持たず、とくにデスミヤ工程や無電解メッキ膜の形成などのウエットプロセスには不十分なものであるという問題点を有している。また、上記非特許文献1に記載の方法は、表面処理された金属箔を用いる事から、もっぱらサブトラクティブ法による回路形成には適しているものの、ライン/スペースの値が20μm/20μm以下の高密度回路を形成する手段として有効なセミアディティブ法、アディティブ法には適用できないという問題点を有している。
さらに、上記特許文献3に記載の方法は、表面粗度Rzが3μm以上であれば無電解メッキ膜と樹脂材料とが良好に接着するものの、3μm以下、特に1μm程度では3N/cm程度の接着性を示すのみである事が知られており、その改良が必要であるとされている。また、上記苛性アルカリを含む溶液に1級アミノ基を有する有機ジスルフィド化合物、および/または1級アミノ基を有する有機チオール化合物を含む溶液で処理する方法で得られる無電解メッキ膜とポリイミド樹脂との間の接着強度はまだ不十分であるという問題点を有している。
また、上記特許文献5、6、8、9には、トリアジンチオール誘導体を用いたこれらの接着技術をプリント配線板の製造プロセスに適用しようという試みは成されておらず、とくにプリント配線板の重要な基材であるポリイミド樹脂を用いた製造プロセスに適用するという試みはなされていない。
すなわち、従来技術では、表面粗度Rzが1μm以下であるような極めて平滑なポリイミド樹脂表面に強固な接着性を有し、しかも通常のプリント配線板作製プロセスであるウエットプロセスに十分な耐性をもつような製造方法は開発されていない。
本発明は、上記問題点を改善するために成されたもので、その目的とするところは、金属および/または触媒と強い接着力を示す有機チオール化合物と熱可塑性ポリイミド樹脂とを含むポリイミド樹脂組成物と、該ポリイミド樹脂組成物を用いてなる単層シートおよび積層体と、該単層シートおよび積層体の極めて平面性の高いポリイミド樹脂組成物表面に、該ポリイミド樹脂組成物と強い接着力を持つ線幅の微細な金属回路が形成され、該金属回路が通常のプリント配線板の製造プロセスに対する耐性を有するプリント配線板とを提供することにある。
本発明のポリイミド樹脂組成物は、上記課題を解決するために、少なくとも有機チオール化合物と、熱可塑性ポリイミド樹脂とからなることを特徴としている。また、本発明のポリイミド樹脂組成物は、上記構成に加え、上記有機チオール化合物が、有機ジチオール化合物および/または有機トリチオール化合物であることを特徴としており、上記有機ジチオール化合物および/または有機トリチオール化合物は、トリアジンチオール誘導体であることを特徴としている。
上記構成によれば、ポリイミド樹脂組成物は、少なくとも有機チオール化合物と熱可塑性ポリイミド樹脂とからなっているため、例えば、ポリイミド樹脂組成物上に金属膜を形成する際に、熱可塑性ポリイミド樹脂と金属との間に有機チオール化合物を介した強い化学結合を有する。したがって、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着することができる。また、有機チオール化合物として有機ジチオール化合物および/または有機トリチオール化合物を用いることにより、ポリイミド樹脂組成物と金属膜との接着をより強固にすることができる。すなわち、2つ以上のチオール基を有する有機チオール化合物を用いることにより、少なくとも1つのチオール基が熱可塑性ポリイミド樹脂と化学結合をし、他のチオール基が金属膜と結合するため、ポリイミド樹脂組成物と金属膜との接着をより強固にすることができる。また、有機ジチオール化合物および/または有機トリチオール化合物としてトリアジンチオール誘導体を用いることにより、上記化学結合をより確実に安定して行うことができる。
本発明のポリイミド樹脂組成物は、上記構成に加え、上記熱可塑性ポリイミド樹脂は、一般式(1)
(式中、AおよびBは4価の有機基であり、XおよびYは2価の有機基である。mは0≦m≦1、nは0≦n≦1の範囲の値でm+n=1である。また、kは任意の整数である。)にて表される構造を有するポリイミド前駆体から得られるポリイミド樹脂であることを特徴としている。また、本発明のポリイミド樹脂組成物は、上記構成に加え、上記一般式(1)中のAおよびBは、群(1)
から選ばれる少なくとも1つであることを特徴としており、上記一般式(1)中のXおよびYは、群(2)
から選ばれる少なくとも1つであることを特徴としている。
上記構成によれば、熱可塑性ポリイミド樹脂は、4価の有機基からなるポリイミド前駆体であるポリアミド酸が、2価の有機基を介してイミド結合をしている構造である。また、4価の有機基としては、群(1)から選ばれる少なくとも1つを用いることができ、2価の有機基としては、群(2)から選ばれる少なくとも1つを用いることができる。上記4価の有機基および2価の有機基として、群(1)および群(2)から選ぶことにより、吸水率が低い、誘電率および誘電正接が小さい等の優れた特性を有する熱可塑性ポリイミド樹脂とすることができる。
本発明の単層シートは、上記課題を解決するために、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物を用いてなることを特徴としている。また、本発明の単層シートは、上記構成に加え、有機チオール化合物を溶解した溶媒に熱可塑性ポリイミド樹脂を浸漬することによって、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に有機チオール化合物が担持されていることを特徴としている。上記構成によれば、単層シートは、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物を用いてなっているため、例えば、配線としての回路を形成するためにポリイミド樹脂組成物上に金属膜を形成する際に、ポリイミド樹脂組成物に含まれる有機チオール化合物を介して、熱可塑性ポリイミド樹脂と金属膜とを化学結合により強く結合させることができ、その結果、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着させることができる。
本発明の積層体は、上記課題を解決するために、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、高分子フィルムとが積層された積層体であって、上記ポリイミド樹脂組成物からなる層は、上記高分子フィルムの片面または両面に積層されていることを特徴としている。また、本発明の積層体は、上記課題を解決するために、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層とが積層された積層体であって、上記ポリイミド樹脂組成物からなる層は、上記非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の片面または両面に積層されていることを特徴としている。また、本発明の積層体は、上記課題を解決するために、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と、金属薄層とがこの順に積層されていることを特徴としている。また、本発明の積層体は、上記課題を解決するために、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と、接着層とがこの順に積層されていることを特徴としている。
上記構成によれば、積層体として、有機チオール化合物および熱可塑性ポリイミド樹脂を含むポリイミド樹脂組成物からなる層と、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層とが積層されている積層体、または上記ポリイミド樹脂組成物からなる層と非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と金属薄層とが積層されている積層体、または上記ポリイミド樹脂組成物からなる層と非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と接着層とが積層されている積層体を用いている。例えば、プリント配線板に、ポリイミド樹脂組成物単体ではなく積層体を用いることにより、プリント配線板に低熱膨張性、高弾性率、耐熱性、寸法安定性、または界面密着性等の性質を具備させることができる。
また、本発明の積層体は、上記構成に加え、有機チオール化合物を溶解した溶媒に熱可塑性ポリイミド樹脂を浸漬することによって、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に有機チオール化合物が担持されていることを特徴としている。上記構成によれば、積層体は、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物を用いてなっているため、例えば、配線としての回路を形成するためにポリイミド樹脂組成物上に金属膜を形成する際に、ポリイミド樹脂組成物に含まれる有機チオール化合物を介して、熱可塑性ポリイミド樹脂と金属膜とを化学結合により強く結合させることができ、その結果、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着させることができる。
本発明のプリント配線板は、上記課題を解決するために、上記いずれかに記載の単層シートを用いてなることを特徴としている。また、本発明のプリント配線板は、上記課題を解決するために、上記いずれかに記載の積層体を用いてなることを特徴としている。上記構成によれば、プリント配線板は、上記いずれかに記載の単層シートまたは積層体を用いてなっているため、例えば、配線としての回路を形成するためにポリイミド樹脂組成物上に金属膜を形成する際に、ポリイミド樹脂組成物に含まれる有機チオール化合物を介して、熱可塑性ポリイミド樹脂と金属膜とを化学結合により強く結合させることができるため、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着させることができる。したがって、接着性の優れたプリント配線板とすることができる。また、上記プリント配線板に積層体を用いた場合には、プリント配線板に低熱膨張性、高弾性率、耐熱性、寸法安定性、または界面密着性等の性質を具備させることができる。
以上のように、本発明のポリイミド樹脂組成物は、少なくとも有機チオール化合物と、熱可塑性ポリイミド樹脂とからなる構成であるので、例えば、ポリイミド樹脂組成物上に金属膜を形成する際に、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着することができるという効果を奏する。また、本発明の単層シートは、上記のポリイミド樹脂組成物を用いてなる構成であるので、例えば、配線としての回路を形成するためにポリイミド樹脂組成物上に金属膜を形成する際に、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着させることができるという効果を奏する。
以上のように、本発明の積層体は、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、高分子フィルムまたは非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層とが積層された積層体であって、上記ポリイミド樹脂組成物からなる層は、上記高分子フィルムまたは非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の片面または両面に積層されている構成である。また、本発明の積層体は、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と、金属薄層または接着層とがこの順に積層されている構成である。上記構成によれば、例えば、プリント配線板に、ポリイミド樹脂組成物単体ではなく積層体を用いることにより、プリント配線板に低熱膨張性、高弾性率、耐熱性、寸法安定性、または界面密着性等の性質を具備させることができるという効果を奏する。
以上のように、本発明のプリント配線板は、上記の単層シートまたは上記の積層体を用いてなる構成であるため、接着性の優れたプリント配線板とすることができるという効果を奏する。また、上記プリント配線板に積層体を用いた場合には、プリント配線板に低熱膨張性、高弾性率、耐熱性、寸法安定性、または界面密着性等の性質を具備させることができるという効果を併せて奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のポリイミド樹脂組成物は、少なくとも有機チオール化合物と、熱可塑性ポリイミド樹脂とからなっている。また、上記ポリイミド樹脂組成物を用いた単層シートまたは積層体は、例えば、プリント配線板等に用いることができる。従来のプリント配線板を製造する方法における無電解メッキ膜を形成する工程では、無電解メッキ膜を形成するために担持されるパラジウム触媒が高分子フィルムの表面に単に化学的に吸着されただけの状態にある。しかし、本発明の単層フィルまたは積層体を用いる事により強い接着力で触媒の担持が行われ、その結果、強固な接着を実現した無電解メッキ膜が形成される。すなわち、有機チオール化合物を介してポリイミド樹脂組成物と金属および/または触媒との化学結合が強くなったものと考えられる。有機チオール化合物が金属との間で強い接着を示すことは知られていたが、熱可塑性ポリイミド樹脂との間で特に強固な接着が実現できたのは始めてである。
以下、本発明の実施の一形態を具体的に説明する。
(I)ポリイミド樹脂組成物
本発明に係るポリイミド樹脂組成物は、少なくとも有機チオール化合物と、熱可塑性ポリイミド樹脂とからなっている。すなわち、本発明のポリイミド樹脂組成物は、有機チオール化合物が熱可塑性ポリイミド樹脂の中に添加されている、または有機チオール化合物が熱可塑性ポリイミド樹脂表面に担持されている構成を有している。また、本発明のポリイミド樹脂組成物は、上記のように、少なくとも有機チオール化合物と、熱可塑性ポリイミド樹脂とを含む構成であればよく、有機チオール化合物および熱可塑性ポリイミド樹脂以外の成分を含むポリイミド樹脂組成物であってもよい。
<熱可塑性ポリイミド樹脂>
上記熱可塑性ポリイミド樹脂は、一般式(1)
(式中、AおよびBは4価の有機基であり、XおよびYは2価の有機基である。mは0≦m≦1、nは0≦n≦1の範囲の値でm+n=1である。また、kは任意の整数である。)にて表される構造を有するポリイミド前駆体から得られるポリイミド樹脂であり、一般式(1)中のAおよびBは、下記群(1)
に示す4価の有機基から選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、また、上記一般式(1)中のXおよびYは、下記群(2)
に示す2価の有機基から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
すなわち、上記熱可塑性ポリイミド樹脂は、4価の有機基および2価の有機基を有するポリイミド前駆体であるポリアミド酸から合成され、上記4価の有機基としては、例えば酸二無水物化合物を挙げることができ、2価の有機基としては、例えばジアミン化合物を挙げることができる。また、上記熱可塑性ポリイミド樹脂は、例えばピロメリット酸二無水物とオキシジアニリンとから合成されるいわゆる非熱可塑性ポリイミド樹脂とは異なり、ガラス転移温度を有する。
(酸二無水物化合物)
熱可塑性ポリイミド樹脂は、原料となる酸二無水物化合物とジアミン化合物とから合成される。上記熱可塑性ポリイミド樹脂を得るための酸二無水物化合物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、p−フェニレンジフタル酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種類または2種類以上の酸二無水物化合物を用いることが好ましい。
(ジアミン化合物)
また、上記熱可塑性ポリイミド樹脂を得るためのジアミン化合物としては、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ サフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド等から選ばれる1種類または2種類以上のジアミン化合物を用いることが好ましい。
(酸二無水物化合物とジアミン化合物との組み合わせ)
上記熱可塑性ポリイミド樹脂を得るための酸二無水物化合物とジアミン化合物との組み合わせとしては、上記に挙げた酸二無水物残基を与える酸二無水物化合物から選ばれた少なくとも1種類の酸二無水物化合物と、上記に挙げたジアミン残基を与えるジアミン化合物から選ばれた少なくとも1種類のジアミン化合物との組み合わせが好ましい。また、その中でも酸二無水物化合物としては、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸無水物、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)が、ジアミン化合物としては、1,3−ジアミノベンゼン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンが工業的に入手可能であり、また、これらの組み合わせから得られる熱可塑性ポリイミド樹脂は、吸水率が低くなる、誘電率が小さい、誘電正接が小さい等の優れた特性を有するとともに、本発明の効果である無電解メッキ膜との接着強度を上げる効果を発現するため特に好ましい。
(熱可塑性ポリイミド樹脂の合成)
本発明のポリイミド樹脂組成物に用いられる熱可塑性ポリイミド樹脂は、前駆体であるポリアミド酸をイミド化することにより得られる。上記酸二無水物化合物の少なくとも1種類とジアミン化合物の少なくとも1種類とを、実質的等モル量となるように有機溶媒中に溶解、反応させることによりポリアミド酸有機溶媒溶液を得ることができる。
上記イミド化には、熱キュア法及びケミカルキュア法のいずれかを用いることが好ましい。熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法である。また、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤(脱水剤)と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される触媒とを作用させる方法である。また、脱水剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物を用いることも可能である。なお、ケミカルキュア法と熱キュア法とを併用してもよく、イミド化の反応条件は、ポリアミド酸の種類、得られるポリイミド樹脂組成物の形態、熱キュア法および/またはケミカルキュア法の選択等により変動し得る。ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが特に好ましく用いられる。
上記熱可塑性ポリイミド樹脂は種々の形態をとることができ、例えば、成形体、単層シート、または支持体上に熱可塑性ポリイミド樹脂を層状に形成した積層体等の形態をとることができる。
上記形態のうち、支持体上に熱可塑性ポリイミド樹脂を層状に形成した積層体を製造するためには幾つかの方法が考えられる。熱可塑性ポリイミド樹脂が溶媒に不溶性である場合は、前駆体のポリアミド酸の溶液を支持体上にフィルム状に流延塗布し、上記のイミド化方法、即ち熱キュア法またはケミカルキュア法によりイミド化と溶媒乾燥を行うことによって積層体とすることができる。一方、熱可塑性ポリイミド樹脂が溶媒溶解性を示す場合、一度熱可塑性ポリイミド樹脂を粉体状、繊維状、フィルム状の形態で得た後、溶媒に溶解した熱可塑性ポリイミド溶液を支持体上にフィルム状に流延塗布することによっても積層体とすることが可能である。また、熱可塑性ポリイミド樹脂が溶媒溶解性を示す場合であっても、不溶性である場合と同様の方法で積層体を製造することが可能である。
<有機チオール化合物>
次に本発明の有機チオール化合物について説明する。本発明で用いる有機チオール化合物は、1つの分子内に1つ以上のSM基(ただし、Mはそれぞれ、H、Li,Na,K、から選ばれる任意の元素)を持つ化合物を言い、2つ以上のSM基をもつ化合物である有機ジチオール化合物または有機トリチオール化合物などである事がより好ましい。2つ以上のSM基を持つ化合物がより好ましい理由は、少なくともSM基の1つが熱可塑性ポリイミド樹脂と化学結合を形成し、他のSM基が無電解メッキ膜と結合することにより、ポリイミド樹脂組成物と無電解メッキ膜とが強固な接着性を発現するためである。
有機チオール化合物の具体的な例については、本発明の目的を達成するものであれば特に制限はないが、例えば、有機モノチオール類としては、2−マーカプトピリジン、2−マーカプトピリミジン、2−マーカプトベンゾイミダゾール、2−マーカプトベンゾチアゾール、2−マーカプトベンゾオキサゾール、2−マーカプトエタノール、4−マーカプトブタノール、5−メチル−1,3,4−チアゾール−2−チオール、などを例示する事ができる。
また、有機ジチオール類としては、2,5−ジマーカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,3−ジマーカプト−1−プロパノール、2,6−ジマーカプトプリン、2,5−ジマーカプト−1,3,4−チアジアゾール,ジポタシウム塩、2−マーカプトエチルエーテル、2−マーカプトエチルスルフィド、などを例示する事ができる。
中でも有機チオール化合物として、トリアジンジチオール誘導体、あるいはトリアジントリチオール誘導体は好ましく用いられる。例えば、トリアジンジチオール誘導体、またはトリアジントリチオール誘導体としては下記一般式(2)、または一般式(3)で示される化合物を挙げることができる。
(式中、 はそれぞれ、H、Li,Na,Kから選ばれる任意の元素であり、Rは、H、炭素数が1〜18の任意の飽和アルキル基、炭素数が1〜18のアルキン、アルケン等の不飽和アルキル置換基、フェニル基、アミノ基またはSH基である)
(式中、 はそれぞれ、H、Li,Na,K、Caから選ばれる任意の元素であり、 はそれぞれ、H、炭素数が1〜18の任意の飽和アルキル基、炭素数が1〜18のアルキン、アルケン等の不飽和アルキル置換基、フェニル基、またはアミノ基である)
具体的には、一般式(2)および一般式(3)における としてH、 としてHまたはNa、一般式(2)におけるRとして、H、C、C、SH、さらに一般式(3)におけるR−N−Rとして、N(CH、NH(C)、N(C、N(C17、N(C1225、N(CHCH=CH、NHC16CH=CHC17、NCHCH=CH(C17)、NHCN(CHなどを例示する事ができる。
(ポリイミド樹脂組成物の表面処理)
上述のように、上記の有機チオール化合物は、熱可塑性ポリイミド樹脂の中に添加されている構成であってもよく、後述するプリント配線板の製造過程において、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に溶液浸漬などの表面処理を実施することによって、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に担持されている構成であってもよい。
(有機チオール化合物の添加方法)
ここで、有機チオール化合物を熱可塑性ポリイミド樹脂の中に添加する方法について説明する。有機チオール化合物を熱可塑性ポリイミド樹脂に添加する方法としては、熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の状態で添加してもよく、熱可塑性ポリイミド樹脂と有機チオール化合物とを溶解する溶媒を用いて添加してもよい。上記溶媒としては、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどを用いることが好ましく、N,N−ジメチルフォルムアミドを用いることが特に好ましい。また、上記一般式(2)および一般式(3)に示すトリアジンチオール誘導体の中で、M1、M2の少なくとも一つがNaなどのアルカリ金属である場合には、アルカリ性の水溶液やアルカリ性メタノールに可溶である場合が多く、これらの溶媒も熱可塑性ポリイミド樹脂へのトリアジンチオール誘導体の添加に好ましく用いられる。なお、熱可塑性ポリイミド樹脂に対する有機ジチオール化合物の添加量は重量比で10%以下であることが好ましい。また、有機ジチオール化合物の添加量は2%以下であることがより好ましく、1%以下の添加量でも十分にその効果を発揮し、0.01%でもその効果が認められ、0.001%でも効果が確認できる事がある。以上のように、熱可塑性ポリイミド樹脂に有機チオール化合物を添加することによって、成形体、単層シート、または支持体上に熱可塑性ポリイミド樹脂を層状に形成した積層体等からなるポリイミド樹脂組成物を得ることができる。
(有機チオール化合物の担持方法)
熱可塑性ポリイミド樹脂表面に有機チオール化合物を担持させる方法としては、有機チオール化合物を溶解した溶媒に熱可塑性ポリイミド樹脂を浸漬するか、あるいは該溶媒を用いて、熱可塑性ポリイミド樹脂の表面が適度な厚みとなるように膨潤および/または溶解させることにより、表面に有機チオール化合物を担持する方法を用いることが好ましい。熱可塑性ポリイミド樹脂表面に強固に担持された有機チオール化合物は、後述するプリント配線板の製造工程にて熱可塑性ポリイミド樹脂表面に無電解メッキ膜を形成するための触媒や、触媒を介して無電解メッキ膜と強固に結合するため、結果として、本発明のポリイミド樹脂組成物と無電解メッキ膜との接着性を高めることが可能となる。なお、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に有機チオール化合物を担持させる方法は、プリント配線板の製造工程にて熱可塑性ポリイミド樹脂の表面処理を実施することにより行われるため、その詳細については後述する。
<その他の成分>
上記熱可塑性ポリイミド樹脂に加えて、接着性や耐熱性、加工性などの諸特性を改善させるために、耐熱性や低吸湿性などの諸特性を損なわない範囲でその他の成分を含有させてもよい。その他の成分としては、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂;高分子鎖の側鎖または末端にアリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基などの反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を挙げることができる。上記その他の成分は、単独にまたは適宜組み合わせて含有させることができる。
(II)単層シート
本発明のポリイミド樹脂組成物は、層状に形成することによって、ポリイミド樹脂組成物を用いてなる単層シートとすることができる。また、有機チオール化合物を溶解した溶媒に熱可塑性ポリイミド樹脂を浸漬することによって、または熱可塑性ポリイミド樹脂表面に有機チオール化合物を担持させることによって、ポリイミド樹脂組成物の表面処理がされていることが好ましい。なお、単層シートの具体的な製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
(III)積層体
本発明のポリイミド樹脂組成物と、他の高分子フィルムとを積層することにより積層体を得ることができる。本発明のポリイミド樹脂組成物を、例えばプリント配線板に適用する為には、本発明のポリイミド樹脂組成物からなる層(以下、熱可塑性ポリイミド樹脂層という)と、他の高分子フィルムとの積層体であることが好ましい。積層体を用いることが好ましい理由は、積層体を用いる事によりプリント配線板が低熱膨張性、高弾性率、耐熱性等の性質を具備するためである。積層体は、高分子フィルム上にポリイミド樹脂組成物を塗布することにより作製することが可能となっている。高分子フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶高分子、エポキシ樹脂などを使用することが可能である。特に高分子フィルムを支持体として用いるには、高分子フィルムが非熱可塑性ポリイミド樹脂であることが、プリント配線板にとって重要な特性である、平均熱膨張係数を小さくすることが可能であるので、好ましい。すなわち、熱可塑性ポリイミド樹脂層と、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層(以下、非熱可塑性ポリイミド樹脂層という)とからなる積層体であることが耐熱性、寸法安定性、界面の密着性等の観点より最も好ましい。
なお、以下においては、非熱可塑性ポリイミド樹脂層上に熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成した積層体を「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」と表記し、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の両面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成した積層体を「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」等のように表記する。熱可塑性ポリイミド樹脂層が例えば金属薄層や接着層の場合においても同様とする。
<非熱可塑性ポリイミド樹脂>
上記の積層体に使用される非熱可塑性ポリイミド樹脂については特に制限はなく、ポリイミド樹脂組成物の耐熱性、寸法安定性、界面の密着性を満足する物であれば公知の非熱可塑性ポリイミド樹脂を用いる事ができ、その製造方法についても公知の方法を用いる事ができる。
上記非熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体としては、公知のポリアミド酸を適用することができる。上記ポリアミド酸は、酸二無水物化合物の少なくとも1種類とジアミン化合物の少なくとも1種類とを、実質的等モル量となるように有機溶媒中に溶解、反応させることにより得ることができる。非熱可塑性ポリイミド樹脂は前駆体であるポリアミド酸をイミド化することにより得ることができ、イミド化は、熱キュア法またはケミカルキュア法のいずれかを用いるか、併用して用いることにより行うことができる。
上記非熱可塑性ポリイミド樹脂を合成するために用いられる酸二無水物化合物としては、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)等を単独で用いるか、またはこれらを任意の割合で混合した混合物を用いることが好ましい。また、非熱可塑性ポリイミド樹脂を合成するために用いられるジアミン化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、p−フェニレンジアミン等を単独で用いるか、またはこれらを任意の割合で混合した混合物を用いることが好ましい。非熱可塑性ポリイミド樹脂を合成するために用いられる酸二無水物化合物とジアミン化合物との好ましい組み合わせは、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの組み合わせ、ピロメリット酸二無水物と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびp−フェニレンジアミンとの組み合わせ、ピロメリット酸二無水物およびp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびp−フェニレンジアミンとの組み合わせ、あるいは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの組み合わせを挙げることができる。これらの組み合わせによる酸二無水物化合物とジアミン化合物とを用いて合成した非熱可塑性ポリイミド樹脂は、適度な弾性率、寸法安定性、低吸水率等の優れた特性を発現し、本発明のポリイミド樹脂組成物からなる各種積層体に好適に用いることができる。
なお、上記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚みは、2μm以上125μm以下であることが好ましく、5μm以上75μm以下であることがより好ましい。また、上記非熱可塑性ポリイミド樹脂層は、公知の方法で無機物または有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤や酸化防止剤を添加してもよく、またコロナ放電処理、プラズマ放電処理、イオンガン処理等の公知の物理的表面処理や、プライマー処理等の化学的表面処理を施すことによって良好な特性を付与する事ができる。
<「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体>
上記「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体の製造には各種方法が適用できる。例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂が溶媒に不溶性である場合は、前駆体のポリアミド酸の溶液を非熱可塑性ポリイミド樹脂層上に流延塗布し、上記のイミド化方法、すなわち熱キュア法またはケミカルキュア法によりイミド化と溶媒乾燥とを行うことによって熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成することができる。一方、熱可塑性ポリイミド樹脂が溶媒溶解性を示す場合は、一度熱可塑性ポリイミド樹脂を粉体状、繊維状、フィルム状の形態で得た後、溶媒に溶解した熱可塑性ポリイミド溶液を非熱可塑性ポリイミド樹脂層上に流延塗布し溶媒乾燥させることによって熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成することが可能であり、不溶性である場合と同様に前駆体のポリアミド酸を非熱可塑性ポリイミド樹脂層上に流延塗布する方法も適用可能である。積層体を形成するための別の方法としては、あらかじめ熱可塑性ポリイミド樹脂からなるフィルムを製造した後、非熱可塑性ポリイミド樹脂層上にプレス加工、ラミネート加工等の公知の方法を行うことによって積層体を得ることも可能である。
各種積層体における熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚さは、回路基板として低熱膨張性、耐熱性、電気特性等種々の優れた特性を持つ非熱可塑性ポリイミドフィルムの物性を生かすためにできるだけ薄いことが好ましい。すなわち、熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚さは、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚さより薄い事が好ましく、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚さの1/2以下であることがより好ましく、1/5以下である事がさらに好ましい。
<「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体>
なお、上記積層体としては、上記「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体の他に、例えば、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の両面に熱可塑性ポリイミド層を形成した、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を用いることができる。
<「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/金属薄層」からなる積層体>
また、上記積層体としては、上記「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を用いて、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の熱可塑性ポリイミド樹脂層が形成された面と反対側の面上に金属薄層が形成された、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/金属薄層」からなる積層体を用いることができる。「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/金属薄層」からなる積層体の金属薄層は、例えば、湿式メッキ法により形成した銅箔層でもよく、凹凸の形成された銅箔を直接、非熱可塑性ポリイミド樹脂層上に接着した銅箔層(例えば、適当な表面凹凸を有する銅箔上に前駆体のポリアミド酸の溶液を流延塗布し、熱キュア法またはケミカルキュア法によりイミド化と溶媒乾燥とを行うことによって、銅箔上に非熱可塑性ポリイミド層を形成したもの)でもよく、あるいは適当な接着剤を介して銅箔層と非熱可塑性ポリイミド樹脂層とを張り合わせた形態の銅箔層でもよい。接着剤を介して非熱可塑性ポリイミド樹脂層と銅箔層とを接着させる方法は、熱ラミネート方法、熱プレス方法等の公知の方法を使用することができる。
<「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」からなる積層体>
さらに、上記積層体としては、上記「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を用いて、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の熱可塑性ポリイミド樹脂層が形成された面と反対側の面上に接着層が形成された、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」からなる積層体を用いることができる。「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」からなる積層体の接着層には、通常の接着性樹脂を用いることができ、適当な樹脂流れ性を有するとともに、強固な接着性を実現できるものであれば公知の技術を適用することができる。この接着層に用いられる接着性樹脂としては、大きくは、熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着性樹脂、熱硬化性樹脂の硬化反応を利用した硬化型接着性樹脂、の二種類に分けることができる。
上記の熱融着性の接着性樹脂として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂等が挙げられる。これらの1種類または2種類以上の組み合わせを積層体の接着層として用いることができる。中でも優れた耐熱性、電気信頼性等の観点より熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。一方、熱硬化型接着性樹脂として用いられる熱硬化性樹脂としては、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアナート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらを単独、または適宜組み合わせて用いることができる。また、上記熱硬化性樹脂以外に、高分子鎖の側鎖または末端にエポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基,水酸基等の反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を熱硬化成分として使用することも可能である。加熱接着時の接着剤の流れ性を制御する目的で、熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を混合することも可能である。熱硬化性樹脂が多すぎると接着層が脆くなるおそれがあり、少なすぎると接着剤の流れ性が低下したり、接着性が低下したりするおそれがある。積層体に用いる接着剤としては、接着性、加工性、耐熱性、柔軟性、寸法安定性、低誘電特性、価格等の観点からポリイミド樹脂、エポキシ樹脂系、シアナートエステル樹脂系を単独で、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。
(IV)プリント配線板、およびプリント配線板の製造方法
次に、本発明のポリイミド樹脂組成物からなる積層体を用いたプリント配線板、およびプリント配線板を製造する方法について説明する。本発明のポリイミド樹脂組成物を用いてなる単層シートおよび積層体を用いることによりプリント配線板を得ることができる。本実施の形態においては、積層体として「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/金属薄層」を例に挙げて説明する。
<ポリイミド樹脂組成物の表面処理方法>
上述のように、本発明のポリイミド樹脂組成物は、熱可塑性ポリイミド樹脂と有機チオール化合物とからなっており、有機チオール化合物は各種積層体の形態において熱可塑性ポリイミド樹脂に予め添加されていてもよく、プリント配線板の製造工程の中で熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面処理を実施するという形で添加されていてもよい。前者の場合、有機チオール化合物を含有する熱可塑性ポリイミド樹脂材料、または有機チオール化合物を含有する熱可塑性ポリイミド樹脂を用いた各種積層体となる。後者の場合、熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する各種積層体に対して、プリント配線板の製造途中の段階で熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面処理が実施されることにより、有機チオール化合物を含有する熱可塑性ポリイミド樹脂層になる。
(無電解メッキ膜の形成方法)
本発明のプリント配線板を製造する方法においては、いかなる種類の積層体を用いた場合であっても、積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂層上に無電解メッキ膜を形成する無電解金属膜形成工程が行われる。また、上記無電解メッキ膜としては、無電解銅メッキ膜、無電解ニッケルメッキ膜、無電解金メッキ膜が好ましく使用され、無電解銅メッキ膜がより好ましく使用可能である。無電解金属として例えば無電解銅を用いた場合には、(1)クリーナーコンディショナーによる熱可塑性ポリイミド樹脂層表面の洗浄、(2)水洗、(3)酸性溶液中での触媒のプレディップ、(4)アルカリ溶液中での触媒付与、(5)水洗、(6)還元、(7)水洗、(8)無電解銅メッキ、(9)水洗の各工程をこの順に行うことによって無電解銅メッキ膜を形成することができる。
なお、上記熱可塑性ポリイミド樹脂層に無電解銅メッキ膜を形成する方法は、上記工程(1)〜(9)にて示された工程に限定されることはなく、公知の方法で行うことができる。具体的には、上記の方法で触媒担持まで実施した熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面を水洗した後、還元を行って触媒の活性を上げ、さらに水洗する。最後に無電解銅メッキを行うことによって、無電解銅メッキ膜を形成することができる。
上記の方法により無電解銅メッキ膜が形成された熱可塑性ポリイミド樹脂の表面粗度Rzは1μm以下であり、その接着強度は6N/cm以上であった。
また、上記の方法を用いることによって熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面を平滑にすることが可能であり、上記方法はライン/スペースの値が20μm/20μm以下の高密度回路を形成するのに好適である。表面粗度RzはJIS B0601等の表面形状に関する規格に規定されており、その測定には、JIS B0651の触針式表面粗さ計やB0652の光波干渉式表面粗さ計を用いることができる。本発明では、光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて熱可塑性ポリイミド樹脂層表面の10点平均粗さを測定した。以上の様に、熱可塑性ポリイミド樹脂層への本発明の表面処理を用いることにより、従来よりも小さな粗化表面に強固に無電解メッキ膜を接着することを実現でき、これによりプリント配線板の高密度化、即ち微細配線形成が可能になった。
(有機チオール化合物の担持方法)
なお、熱可塑性ポリイミド樹脂層上に有機チオール化合物を担持させるための表面処理工程は、上記工程の(1)と(2)との工程間で実施するか、あるいは(4)の工程で触媒付与と同時に実施するのが好ましい。上記工程(1)と(2)との間で熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面処理を行うために用いられる溶媒としては、メタノール、グリコール類、テトラヒドロフラン、アルカリ性水溶液、アルカリ性メタノール溶液、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが特に好ましく用いられる。この様な溶剤に溶解される有機チオール化合物は、一般に0.01〜5%溶液が用いられ、0.1〜1%溶液がより好ましく用いられる。処理時間、処理温度などの処理条件は、有機チオール化合物を熱可塑性ポリイミド樹脂層に担持させるための最適な条件から選択すればよい。これにより、熱可塑性ポリイミド樹脂層上に有機チオール化合物を担持させることができる。また、この様な溶剤で表面処理した熱可塑性ポリイミド樹脂層は、必要に応じて水やメタノールで洗浄され、次の工程、すなわち酸性溶液中での触媒のプレディップ、アルカリ溶液中での触媒付与、水洗、還元、水洗、無電解銅メッキ、水洗、の工程にまわされる。
また、上記工程(4)の触媒を担持させる触媒担持工程と同時に熱可塑性ポリイミド樹脂層上へ有機チオール化合物を担持させるためには例えば次の様に行う。すなわち、触媒担持は通常アルカリ性水溶液の中で行われるので、この様なアルカリ性水溶液に可溶であるトリアジンチオールのナトリウム塩を選択し、これを触媒担持溶液に添加すればよい。トリアジンチオールのナトリウム塩の添加量は、一般に0.01から1%程度の濃度が適当である。表面処理工程において熱可塑性ポリイミド樹脂層を膨潤および/または溶解させる膨潤溶解工程を行うことにより、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面に1μm以下の微小な凹凸面を形成することができるため、強固に触媒を担持する効果があるとともに、有機チオール類を添加することによる化学的結合を強固にする効果があるので好ましい。
上記の膨潤溶解工程における液相処理において使用される溶液は、熱可塑性ポリイミド樹脂を膨潤および/または溶解させるものであれば特に限定されず、有機アルカリ化合物を含む水溶性液体、アルカリ水溶液、あるいは有機溶剤等が好ましく使用される。熱可塑性ポリイミド樹脂を溶解する有機溶剤としては、具体的にはアミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミドが好ましく用いられる。また、アルカリ水溶液と有機溶剤とを組み合わせて用いることがより好ましく、水酸化ナトリウム水溶液とエチレングリコール系有機溶剤との組み合わせを用いることが特に好ましい。この様な組み合わせの溶剤を用いて処理を行うことにより熱可塑性ポリイミド樹脂は膨潤状態となり、本発明の目的には特に有効である。また、水酸化カリウム/エタノールアミン/水の混合液も好ましく用いられる。
<「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を用いた場合におけるプリント配線板の製造方法>
次に、積層体として「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を用いた場合におけるプリント配線板の製造方法を説明する。
(第一のプリント配線板の製造方法)
第一のプリント配線板の製造方法として、まず、有機チオール化合物を含有する熱可塑性ポリイミド樹脂層表面にパラジウム触媒を担持し、その後無電解銅メッキ膜を形成する。さらに無電解銅メッキ膜上にレジスト膜を形成し、露光、エッチングにより回路の形成を予定する部分のレジスト膜を取り除く。次に無電解銅メッキ膜が露出する部分を給電電極として使用して、電解銅を用いたパターンメッキ方法により回路を形成するための電解銅メッキ膜が形成される。次いで、レジスト膜部分を取り除き、不要部分の無電解銅メッキ膜をエッチングにより取り除くことで回路が形成される。なお、この方法はセミアディティブ法と呼ばれる方法である。
(第二のプリント配線板の製造方法)
第二のプリント配線板の製造方法は以下のように行われる。まず上記第一のプリント配線板の製造方法と同様に、有機チオール化合物を含有する熱可塑性ポリイミド樹脂層表面にパラジウム触媒担持を施し、無電解銅メッキ膜を形成する。次に無電解銅メッキ膜表面に電解銅メッキ膜を形成した後に、電解銅メッキ膜表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路を形成しない部分のレジスト膜を除去し、次にエッチングにより不要な電解銅メッキ膜および無電解銅メッキ膜を取り除くことで回路が形成される。
<「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を用いた場合におけるプリント配線板の製造方法>
次に、積層体として「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を用いた場合におけるプリント配線板の製造方法について説明する。
(第三のプリント配線板の製造方法)
第三のプリント配線板の製造方法として、まず積層体を貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いた穴開け方法によって行うことができる。小さなビアホールを形成する場合には、炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザーを用いた穴開け方法を用いることが好ましい。ビアホールを形成した後に、ビアホール内部およびビアホール周辺に生成した、ポリイミド分解物や熱による炭化物を主成分とするスミヤを除去するデスミヤ工程を実施する。次にパラジウム触媒を熱可塑性ポリイミド樹脂層表面に担持させる触媒担持工程を行い、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面およびビアホール内部に無電解銅メッキ膜を形成する。さらに無電解銅メッキ膜表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト膜を取り除く。次に無電解銅メッキ膜が露出する部分を給電電極として使用して、電解銅を用いたパターンメッキ方法により回路を形成するための電解銅メッキ膜を形成する。ついでレジスト膜部分を取り除き、不要部分の無電解銅メッキ膜をエッチングにより取り除くことで回路が形成される。
(第四のプリント配線板の製造方法)
第四のプリント配線板の製造方法は以下のように行われる。まず、上記積層体を貫通するビアホールを形成する。次に上記第三のプリント配線板の製造方法と同様にデスミヤ工程、触媒担持工程を経て、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面およびビアホール内部に無電解銅メッキ膜を形成する。次に無電解銅メッキ膜表面に電解銅を用いたパターンメッキ方法により電解銅メッキ膜を形成し、積層体両面をビアホールによって電気的に接続する。次に電解銅メッキ膜表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路を形成しない部分のレジスト膜を除去し、次にエッチングにより不要な電解銅メッキ膜および無電解銅メッキ膜を取り除くことで回路が形成される。
<「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」からなる積層体を用いた場合におけるプリント配線板の製造方法>
次に、積層体として「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いた場合におけるプリント配線板の製造方法について説明する。まず、積層体の接着層と内層回路を有する内層基板とを対向させて積層、硬化させる。次に、炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザーを用いた穴開け方法によって積層体を貫通し、内層回路まで至るビアホールを形成した後、デスミヤ工程および触媒担持工程を行う。そして、上記第三のプリント配線板の製造方法または第四のプリント配線板の製造方法と同様の方法にて回路が形成される。
<「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/金属薄層」からなる積層体を用いた場合におけるプリント配線板の製造方法>
次に、積層体として「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/金属薄層」からなる積層体を用いた場合におけるプリント配線板の製造方法について説明する。
(第五のプリント配線板の製造方法)
第五のプリント配線板の製造方法として、まず、熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミド樹脂層とを貫通し、金属薄層に至るまたは金属薄層を貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いた穴開け方法によって行うことができる。ビアホール形成後、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面およびビアホール内部に生成したスミヤを除去するデスミヤ工程を行い、パラジウム触媒を熱可塑性ポリイミド樹脂層表面に担持させる触媒担持工程を行う。さらに、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面およびビアホール内部に無電解銅メッキ膜を形成した後に、無電解銅メッキ膜上にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト膜を取り除く。次に無電解メッキ膜が露出する部分を給電電極として使用して、電解銅を用いたパターンメッキ方法により回路を形成するための電解銅メッキ膜を形成する。ついでレジスト膜部分を取り除き、不要部分の無電解銅メッキ膜をエッチングにより取り除くことで回路が形成される。
(第六のプリント配線板の製造方法)
第六のプリント配線板の製造方法は以下のように行われる。まず、熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミド樹脂層を貫通し、金属薄層に至るまたは金属薄層を貫通するビアホールを形成する。上記第五のプリント配線板の製造方法と同様にデスミヤ工程、触媒担持工程を行い、次いで無電解銅メッキ膜を形成する。次に無電解銅メッキ膜上に電解銅を用いたパターンメッキ方法により電解銅メッキ膜を形成し、積層体両面をビアホールによって電気的に接続する。次に電解銅メッキ膜表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路を形成しない部分のレジスト膜を取り除き、エッチングにより不要な電解銅メッキ膜および無電解銅メッキ膜を取り除くことで回路が形成される。
なお、有機チオール化合物を含む熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成するためには、上述のように、最初から熱可塑性ポリイミド樹脂層の中に有機チオール化合物を添加しておいてもよく、熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面処理によって担持させてもよい。後者の表面処理の方法としては有機チオール化合物を含む溶剤に熱可塑性ポリイミド樹脂層を浸漬する方法を用いることが好ましく、その際に熱可塑性ポリイミド樹脂層表面を膨潤および/または溶解させることがより好ましい。この様な表面処理の工程は少なくともプリント配線板の製造工程における無電解メッキ膜を形成する工程を実施するまでの適当な工程に加えることができる。さらにはデスミヤを含む工程の場合には、デスミヤ工程終了後に実施することが好ましい。この様に本発明においては、熱可塑性ポリイミド樹脂層上へ無電解メッキ膜を形成させる工程で、有機チオール化合物が熱可塑性ポリイミド樹脂層に含まれている事が重要であり、これにより本発明のポリイミド樹脂組成物からなる層と無電解メッキ膜との良好な接着強度を発現することができる。
また、本発明のプリント配線板の製造方法においては、所望するプリント配線板の仕様等から要請される必要性に応じて、工法およびプロセス条件を適宜選択することが可能であり、またその他の公知の技術を組み合わせることも可能であり、全て本発明のプリント配線板の製造方法の範疇に含まれる。
即ち、ビアホール形成は公知の炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザーやエキシマレーザー等を用いることが可能であり、また、デスミヤ工程は過マンガン酸塩、有機アルカリ溶液等を用いたウエットプロセス、プラズマを利用したドライプロセス等が適用可能である。また、無電解メッキ膜を形成するメッキの種類としてはパラジウム等の貴金属の触媒作用を利用した化学メッキ、析出する金属の種類としては銅、ニッケル、金等が使用可能である。さらには、レジストとしては液状レジストやドライフィルムレジスト等が適用可能であり、特に取扱い性に優れたドライフィルムレジストは好ましく使用可能である。また、セミアディティブ法で回路形成する場合に給電電極として使用する無電解メッキ膜を除去するためのエッチングに用いるエッチャントは、無電解メッキ膜の種類により適宜選択することができ、無電解メッキ膜が無電解銅メッキ膜である場合、硫酸/過酸化水素、過硫酸アンモニウム/硫酸系エッチャントが好ましく使用され、また、無電解メッキ膜が無電解ニッケルメッキ膜、無電解金メッキ膜等の場合、それらを選択的にエッチングできるエッチャントを使用すればよい。
以上のように、本発明のポリイミド樹脂組成物からなる各種積層体を用いたプリント配線板の製造方法について述べたが、本発明の積層体を用いることにより、デスミヤ工程や無電解金属膜形成工程などの通常の製造工程が適用でき、ライン/スペースの値が20μm/20μm以下であるような高密度回路形成が可能で、優れた接着性と高い信頼性を持つプリント配線板を得る事ができる。
以上のように、本発明のポリイミド樹脂組成物は、少なくとも有機チオール化合物と、熱可塑性ポリイミド樹脂とからなる構成である。また、上記のポリイミド樹脂組成物において、上記有機チオール化合物が、有機ジチオール化合物および/または有機トリチオール化合物である構成としてもよく、上記有機ジチオール化合物および/または有機トリチオール化合物は、トリアジンチオール誘導体である構成としてもよい。上記構成によれば、例えば、ポリイミド樹脂組成物上に金属膜を形成する際に、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着することができるという効果を奏する。また、有機チオール化合物として有機ジチオール化合物および/または有機トリチオール化合物を用いることにより、ポリイミド樹脂組成物と金属膜との接着をより強固にすることができ、有機ジチオール化合物および/または有機トリチオール化合物としてトリアジンチオール誘導体を用いることにより、上記化学結合をより確実に安定して行うことができるという効果を併せて奏する。
上記のポリイミド樹脂組成物において、上記熱可塑性ポリイミド樹脂は、上記一般式(1)にて表される構造を有するポリイミド前駆体から得られるポリイミド樹脂である構成としてもよい。また、上記のポリイミド樹脂組成物において、上記一般式(1)中のAおよびBは、上記群(1)から選ばれる少なくとも1つである構成としてもよく、上記一般式(1)中のXおよびYは、上記群(2)から選ばれる少なくとも1つである構成としてもよい。上記構成によれば、ポリイミド前駆体の4価の有機基および2価の有機基として、群(1)および群(2)から選ぶことにより、吸水率が低く、誘電率および誘電正接が小さく等の優れた特性を有する熱可塑性ポリイミド樹脂とすることができるという効果を奏する。
以上のように、本発明の単層シートは、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物を用いてなる構成である。また、上記単層シートは、有機チオール化合物を溶解した溶媒に熱可塑性ポリイミド樹脂を浸漬することによって、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に有機チオール化合物が担持されている構成としてもよい。上記構成によれば、例えば、配線としての回路を形成するためにポリイミド樹脂組成物上に金属膜を形成する際に、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着させることができるという効果を奏する。
以上のように、本発明の積層体は、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、高分子フィルムとが積層された積層体であって、上記ポリイミド樹脂組成物からなる層は、上記高分子フィルムの片面または両面に積層されている構成である。また、本発明の積層体は、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層とが積層された積層体であって、上記ポリイミド樹脂組成物からなる層は、上記非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層の片面または両面に積層されている構成である。また、本発明の積層体は、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と、金属薄層とがこの順に積層されている構成である。また、本発明の積層体は、上記いずれかに記載のポリイミド樹脂組成物からなる層と、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と、接着層とがこの順に積層されている構成である。上記構成によれば、例えば、プリント配線板に、ポリイミド樹脂組成物単体ではなく積層体を用いることにより、プリント配線板に低熱膨張性、高弾性率、耐熱性、寸法安定性、または界面密着性等の性質を具備させることができるという効果を奏する。
また、上記積層体は、有機チオール化合物を溶解した溶媒に熱可塑性ポリイミド樹脂を浸漬することによって、熱可塑性ポリイミド樹脂表面に有機チオール化合物が担持されている構成としてもよい。上記構成によれば、例えば、配線としての回路を形成するためにポリイミド樹脂組成物上に金属膜を形成する際に、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着させることができるという効果を奏する。
以上のように、本発明のプリント配線板は、上記いずれかに記載の単層シートを用いてなる構成である。また、本発明のプリント配線板は、上記いずれかに記載の積層体を用いてなる構成である。上記構成によれば、ポリイミド樹脂組成物に含まれる有機チオール化合物を介して、熱可塑性ポリイミド樹脂と金属膜とを化学結合により強く結合させることができるため、ポリイミド樹脂組成物と金属膜とを強固に接着させることができる。したがって、接着性の優れたプリント配線板とすることができるという効果を奏する。また、上記プリント配線板に積層体を用いた場合には、プリント配線板に低熱膨張性、高弾性率、耐熱性、寸法安定性、または界面密着性等の性質を具備させることができるという効果を併せて奏する。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行い得る。なお、実施例中の種々の熱可塑性ポリイミド樹脂の作製、非熱可塑性ポリイミド樹脂の作製、積層体の作製、接着層の合成・作製、積層、および各種測定・評価は以下の方法で行った。
(熱可塑性ポリイミド樹脂前駆体の合成(作製法X))
熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸を作製する方法の一例を以下に説明する。まず、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン(以下、DA3EGという)0.30molと、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPという)0.70molとをN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)に溶解した。そしてこのDMF溶液を撹拌しながら3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下TMEGという)0.83molおよび3,3’,4,4‘−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDAという)0.17molを加えた。その後、約25℃、約1時間攪拌することにより固形分濃度が20wt%のポリアミド酸のDMF溶液を得た。
(熱可塑性ポリイミド樹脂前駆体の合成(作製法Y))
次に、熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸を作製する方法の他の例を以下に説明する。BAPPをDMFに均一に溶解し、撹拌しながら酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とエチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)とのモル比が4:1となるように添加し、かつ酸二無水物のモル数と等モルになるようにジアミンを添加して約25℃、約1時間撹拌した。これにより固形分濃度が20wt%のポリアミド酸のDMF溶液を得た。
(熱可塑性ポリイミド樹脂前駆体の合成(作製法Z))
次に、熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸を作製する方法のさらに他の例を以下に説明する。ジアミンとして1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンと3,3’−ジヒドロキシベンジジンとをモル比4:1となるようにDMFに溶解した。そして、このDMF溶液を撹拌しながら酸二無水物として4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)をジアミンと等モルになるように添加して約25℃、約1時間撹拌することにより、固形分濃度が20wt%のポリアミド酸のDMF溶液を得た。
(有機チオール誘導体)
次に、本実施例にて用いる有機チオール化合物について以下に説明する。本実施例においては、有機チオール化合物として、アルドリッチ社製の以下の試薬を用いた。有機モノチオール化合物としては、2−マーカプトピリジン(略号:MPY)、2−マーカプトピリミジン(略号:MPM)、2−マーカプトベンゾイミダゾール(略号:MBI)、2−マーカプトベンゾチアゾール(略号:MBT)の4種類を用いた。また、有機ジチオール化合物としては、2,5−ジマーカプト−1,3,4−チアジアゾール(略号:DMT)、2,5−ジマーカプト−1,3,4−チアジアゾール,ジポタシウム塩(略号:DMTN)、2−マーカプトエチルエーテル(略号:DME)、2−マーカプトエチルスルフィド(略号:DMES)の4種類を用いた。さらに、トリアジンチオール化合物として、三協化成(株)社製のトリチオシアヌル酸(略号:TT)、トリチオシアヌル酸モノナトリウム塩(略号:TTN)、6−ジブチルアミノ−1、3,5トリアジンジチオール(略号:DB)、6−ジブチルアミノ−1、3,5トリアジンジチオールモノナトリウム塩(略号:DBN)、6−アニリノ−1、3,5、トリアジンチオール(略号:AF)、6アニリノ−1、3,5、トリアジンチオールモノナトリウム塩(略号:AFN)の6種類を用いた。
(非熱可塑性ポリイミド樹脂フィルム)
本実施例においては、非熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムとして、3種類の鐘淵化学社製アピカルフィルム(AH:厚さ25μm、NPI:厚さ25μm、HP:厚さ25μm)を用いた。
(積層体の作製)
次に、本実施例における積層体の作製方法について説明する。上記の3種類の非熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムをコアフィルムとして用い、その両面あるいは片面に、グラビヤコーターを用いて上記作製法X、YまたはZで作製した熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸のDMF溶液を塗布した。
塗布後、加熱処理により溶媒乾燥、およびポリアミド酸のイミド化を行い、最終加熱温度390℃で熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミド樹脂層とからなる積層体を作製した。また、ポリアミド酸のDMF溶液の塗布量を変えて同様の方法を用いることにより、熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚さが異なる数種類の積層体を得た。なお、以下において、例えば非熱可塑ポリイミド樹脂層がAHであり、AHの片面のみに作製法Xで作製したポリアミド酸からなる熱可塑性ポリイミド樹脂層を設けた積層体の場合にはX/AHと記載し、非熱可塑性ポリイミド樹脂層がAHであり、AHの両面に作製法Xで作製したポリアミド酸からなる熱可塑ポリイミド樹脂層を設けた積層体の場合にはX/AH/Xと記載し、非熱可塑性ポリイミド樹脂層がAHであり、AHの片面には作製法Xで作製したポリアミド酸からなる熱可塑ポリイミド樹脂層を設け、他の面には銅箔層を設けた場合にはX/AH/Cuと記載し、他の場合にも同様とする。
なお、X/AH/Cuは、18μmの圧延銅箔(商品名BHY−22B−T:ジャパンエナジー社製)のマット面に3種類の非熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸を流延塗布し、最終乾燥温度500℃にて乾燥し、さらに上記作製法Xで作製した熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸のDMF溶液を塗布した。塗布後、加熱処理により溶媒乾燥、およびポリアミド酸のイミド化を行い、最終加熱温度390℃で加熱することにより得た。また、上記と同様の方法を用いることによって、上記作製法Yで作製したポリアミド酸のDMF溶液を用いた場合にはY/AH/Cuを得ることができ、上記作製法Zで作製したポリアミド酸のDMF溶液を用いた場合にはZ/AH/Cuを得ることができる。
(接着層)
次に、接着層を作成し、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」からなる積層体を作製する方法について説明する。窒素雰囲気下でDMFに1当量のビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン(以下BAPS−Mという)を溶解した。DMF溶液を冷却しながら撹拌し、1当量の4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)(以下、BPADAという)を溶解、重合することにより固形分濃度が30重量%のポリアミド酸重合体溶液を得た。このポリアミド酸重合体溶液を200℃、665Paの減圧下で180分加熱することにより、固形の熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。上記で得た熱可塑性ポリイミド樹脂と、ノボラック型のエポキシ樹脂(エピコート1032H60:油化シェル社製)と、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(以下、4,4’−DDSとする)とを、各重量比が70/30/9になるように混合し、混合物をジオキソランに固形分濃度が20重量%になるように溶解することによって接着剤溶液を得た。得られた接着剤溶液を上記にて得た「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体の非熱可塑性ポリイミド樹脂層上に、乾燥後の厚みが12.5μmになるように塗布し、170℃で2分間乾燥させることにより接着層が形成され、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」からなる積層体を得た。次に、銅箔が形成された厚さ12μmのガラスエポキシ銅張積層板から内層回路板を作製し、次いで上記の積層体を温度200℃、熱板圧力3MPa、プレス時間2時間、真空条件1KPaの条件で真空プレスすることにより内層回路板に積層、硬化した。
(接着強度の測定)
上記手法にて得た積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂層と、熱可塑性ポリイミド樹脂層上に形成する無電解メッキ膜との接着強度を、IPC―TM−650−method.2.4.9に従い、パターン幅3mm、剥離角度90度、剥離速度50mm/minで測定した。
(プレッシャークッカー試験(PCT試験))
上記接着強度の耐環境安定性を調べる目的でプレッシャークッカー試験を、121℃、100%RH、96時間、の条件下で行った。
(表面粗さの測定)
光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて、下記の条件でフィルム表面の表面粗度Rz(十点平均粗さ)を測定した。
(測定条件)
対物レンズ:50倍ミラウ、イメージズーム:2、FDA Res:Normal
解析条件:
リムーブ(Remove):シリンダー、フィルター:High Pass
フィルター下限開口径(Filter Low Waven):0.002mm
(平均熱膨張係数の測定)
平均熱膨張係数の測定は、下記条件でTMA−50(商品名、島津製作所製)を使用して測定し、測定結果における100℃〜200℃間の平均の熱膨張率を試料の熱膨張率とした。
測定方法:引張モード(試料にかかる荷重が0gとなるように調整)
昇温速度:10℃/分
測定範囲:30℃〜300℃
(実施例1〜18)
上記作製法X、YまたはZにて作製したポリアミド酸のDMF溶液に6種類のトリアジンチオール化合物(TT、TTN、AF、AFN、DB、DBN)を個別に添加することによって18種類の熱可塑性ポリイミド樹脂からなる単層シートを作製した。その後、熱可塑性ポリイミド樹脂フィルム上に電解銅メッキ層を形成して接着強度等の測定を行った。以下具体的に説明する。まず、上記6種類のトリアジンチオール誘導体のうちの1つを、上記作製法X、YまたはZにて作製したポリアミド酸のDMF溶液に、ポリイミド樹脂組成物量に対して重量比で0.1%となるように添加した。添加後、ポリアミド酸のDMF溶液をアルムニウム箔表面に塗布し、剥離後熱処理する方法で熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを作製した。熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムの厚さは25μmとした。なお、比較のためにトリアジンチオール誘導体を添加していない熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムも作製した。そして、上記各熱可塑性ポリイミド樹脂フィルム上に無電解銅メッキ膜を形成した。具体的な無電解銅メッキ膜形成の条件は表1に示す通りであり、その工程条件はアトテック社の無電解銅メッキプロセスに準じた条件にて行った。
続いて、電解銅メッキを行い無電解銅メッキ膜上に厚さ8μmの電解銅メッキ膜を形成し、常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。常温での接着強度はいずれも8N/cm以上の優れた接着強度を示した。また、PCT試験後の接着強度も6N/cmであり優れた特性を示した。これに対してトリアジンチオール誘導体を添加しなかった系(比較例1〜3)では接着強度は4N/cm以下であり、本発明の有用性が確認できた。
参考例19〜26)
上記作製法Xにて作製したポリアミド酸のDMF溶液に8種類の有機チオール化合物(MPY、MPM、MBI、MBT、DMT、DMTN、DME、DMES)を個別に添加することによって8種類の熱可塑性ポリイミド樹脂からなる単層シートを作製した。その後、熱可塑性ポリイミド樹脂フィルム上に電解銅メッキ膜を形成して接着強度等の測定を行った。以下具体的に説明する。まず、上記8種類の有機チオール化合物のうちの1つを、上記作製法Xにて作製したポリアミド酸のDMF溶液に、ポリイミド樹脂組成物量に対して重量比で0.1%となるように添加した。添加後、ポリアミド酸のDMF溶液をアルミニウム箔表面に塗布し、剥離後熱処理する方法で熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを作製した。そして、上記実施例1の方法と同じ方法を用いて無電解銅メッキ膜、および電解銅メッキ膜を形成し、常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表3に示す。表3に示すように、有機モノチオール化合物を添加した熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを用いた場合の接着強度はいずれも6N/cm以上であり、有機ジチオール化合物を添加した熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを用いた場合の接着強度は8N/cm以上となっており、いずれの場合も優れた接着強度を示した。また、PCT試験後の接着強度もそれぞれ3N/cm以上、5N/cm以上であり、本発明の有効性が確認できた。
(実施例27〜38)
上記作製法Xにて作製したポリアミド酸のDMF溶液に2種類のトリアジンチオール誘導体(TT、DB)を、ポリイミド樹脂組成物量に対する添加量を変えて個別に添加することによって12種類の熱可塑性ポリイミド樹脂からなる単層シートを作製した。その後、熱可塑性ポリイミド樹脂フィルム上に電解銅メッキ膜を形成して接着強度等の測定を行った。以下具体的に説明する。まず、上記2種類のトリアジンチオール誘導体のうちの1つを、上記作製法Xにて作製したポリアミド酸のDMF溶液に、ポリイミド樹脂組成物量に対して重量比で0.001%、0.1%、1%、4%、および10%となるように添加した。添加後、ポリアミド酸のDMF溶液をアルミニウム箔表面に塗布し、剥離後熱処理する方法で熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを作製した。熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムの厚さは25μmとした。そして、上記実施例1の方法と同じ方法を用いて無電解銅メッキ膜、および電解銅メッキ膜を形成し、常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表4に示す。表4に示すように、トリアジンチオール誘導体の添加量としては10%以下が適当で、0.001%の添加量でも本発明の効果を認めることが出来た。
参考例39〜47)
参考例では、作製法X、YまたはZにて作製したポリアミド酸のDMF溶液に有機チオール化合物を添加することにより熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを作製するのではなく、熱可塑性ポリイミド樹脂フィルム上に無電解銅メッキ膜を形成する工程の中で有機チオール化合物を添加することによって、有機チオール化合物が担持された熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを作製し、その接着強度等を測定した。
まず、有機チオール化合物が添加されていない熱可塑性ポリイミド樹脂からなる単層シートを作成した。そして、上記実施例1の無電解銅メッキ膜を形成する方法におけるクリーナーコンディショナー工程において、クリーナーコンディショナー液に3種類のトリアジンチオールナトリウム塩(TTN、DBN、AFN)のうちの1種類を2g添加した。このクリーナーコンディショナー液に有機チオール化合物が添加されていない熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを浸漬して表面処理を行った。その後、実施例1の方法と同じ方法を用いて無電解銅メッキ膜、および電解銅メッキ膜を形成し、常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表5に示す。表5に示すように、本参考例にて示すような表面処理方法によって有機チオール化合物を添加した熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを用いた場合であっても、十分な接着性向上の効果が認められることが分かった。
参考例48〜56)
参考例では、作製法X、YまたはZにて作製したポリアミド酸のDMF溶液に有機チオール化合物を添加することにより熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを作製するのではなく、熱可塑性ポリイミド樹脂フィルム上に無電解銅メッキ膜を形成する工程のクリーナーコンディショナー液による処理の後に、有機チオール化合物を添加することによって、有機チオール化合物が担持された熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを作製し、その接着強度等を測定した。
まず、有機チオール化合物が添加されていない熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを作成した。そして、上記実施例1の無電解銅メッキ膜を形成する方法におけるクリーナーコンディショナー工程の後に、3種類のトリアジンチオールナトリウム(TT、DB、AF)のうちの1種類をDMFに溶解させた0.2%DMF溶液を調整し、このDMF溶液に有機チオール化合物が添加されていない熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを浸漬して表面処理を行った。その後、実施例1の方法と同じ方法を用いて無電解銅メッキ膜、および電解銅メッキ膜を形成し、常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表6に示す。表6に示すように、本参考例にて示すような表面処理方法によって有機チオール化合物を添加した熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを用いた場合であっても、十分な接着性向上の効果が認められることが分かった。
(実施例57〜60)
次に、市販のフィルムと熱可塑性ポリイミド樹脂層との積層体を作成した後に、熱可塑性ポリイミド樹脂層上に電解銅メッキ膜を形成して接着強度等を測定した。
積層体作製のための市販のフィルムとして、代表的なフィルム材料であるポリアミドイミド(三菱化成(株)社製Torlon)、ポリエーテルイミド(GE社製、Ultem)、液晶ポリマー(新日鉄化学(株)製、ベクスター)、芳香族ポリエステル(住友化学社製、S200)の4種類の市販のフィルムを用いた。フィルム厚さは25μmとした。上記フィルム上に上記作製法Zにて作製したポリアミド酸のDMF溶液にポリイミド組成物に対して重量比で0.1%になるようにDBを添加した溶液を塗布し、厚さ4μmの熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成することによって積層体を作製した。
上記積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面に上記実施例1の方法と同じ方法で無電解等メッキ膜、および電解銅メッキ膜を形成し、常温での接着強度、およびプレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表7に示す。表7に示すように、常温での接着強度はいずれも8N/cm以上の優れた接着強度を示した。また、PCT試験後の接着強度も6N/cm以上であり優れた接着強度を示した。
(実施例61〜63)
次に、非熱可塑性ポリイミド樹脂層と熱可塑性ポリイミド樹脂層とからなる積層体を作製した後に、熱可塑性ポリイミド樹脂層上に無電解銅メッキ膜、電解銅メッキ膜を形成して接着強度等を測定した。
非熱可塑性ポリイミド樹脂層として、アピカルAH、NPI、HPからなる厚さが25μmの非熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを用いた。上記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の片面に上記作製法Xにて作製したポリアミド酸のDMF溶液にポリイミド組成物に対して重量比で0.1%になるようにDBを添加した溶液を塗布し、厚さ4μmの熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成することによって積層体を作製した。上記積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面に上記実施例1の方法と同じ方法で無電解銅メッキ膜、および電解銅メッキ膜を形成し、常温での接着強度、およびプレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表8に示す。表8に示すように、常温での接着強度はいずれも9N/cm以上の優れた接着強度を示しており、PCT試験後の接着強度も6N/cm以上を有していた。また、回路基板にとって重要な特性である基板の平均熱膨張係数(ppm/℃、測定範囲:25℃〜150℃)も18ppm/℃以下であり優れた特性を示した。
参考例64〜67)
次に、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の両面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を積層した積層体を作成し、積層体の熱膨張係数を測定した。また、熱可塑性ポリイミド樹脂層上に電解銅メッキ膜を形成して接着強度等を測定した。
まず、非熱可塑性ポリイミド樹脂層としてNPIからなる厚さが12.5μmの非熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムを用いた。この非熱可塑性ポリイミド樹脂層の両面に、上記作製法Yにて作製したポリアミド酸のDMF溶液を塗布し、熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成することによって積層体を作製した。積層体として、熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚さが2μm、4μm、6μm、8μmである異なる4種類の積層体を作製した。そして、この各積層体の熱膨張係数を測定した。その結果を表9に示す。熱膨張係数は、熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成した後の熱膨張係数を測定した。また、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の熱膨張係数が本参考例においては12ppm/℃であるため、積層体の熱膨張係数が20ppm/℃以下の場合を○、20ppm/℃より大きく30ppm/℃以下の場合を△、30ppm/℃以上の場合を×と評価した。
その後、上記参考例49の方法と同じ方法でトリアジンチオール(DB)を含むDMF溶液で熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面処理を行った後に、無電解銅メッキ膜を形成し、厚さ18μmの電解銅メッキ膜を形成した。そして、常温での接着強度、およびプレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表9に示す。表9に示すように、常温での接着強度はいずれも9N/cm以上を示し、PCT試験後の接着強度は6N/cm以上を示した。
以上の結果から、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の優れた特性(低熱膨張性)を発現させるためには、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の両面に形成した各熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚さの合計が、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚さの1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましいことが判った。
参考例68)
次に、Y/HP/Y(Yの厚さは4μm、HPの厚さは25μm)の構成を有する積層体を作製し、この積層体を用いて以下の方法で回路を形成した。
まず、UV−YAGレーザーを用いて積層体を貫通するように、内径30μmのビアホールを形成し、過マンガン酸を用いたデスミヤ処理によりビアホールのスミヤ除去を行った。デスミヤ処理は、表10に示すアトテック株式会社製過マンガン酸デスミヤシステムを用いて行った。
次いで、上記参考例49の表面処理方法と同じ方法を用いて、トリアジンチオール(DB)による熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面処理を行った。次に、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面、およびビアホール内部に無電解銅メッキ膜を形成した。次に、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面、およびビアホール内部に液状感光性メッキレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースの値が15μm/15μmであるレジストパターンを形成した。続いて、厚さが10μmの電解銅メッキ膜を形成することによって、無電解銅メッキ膜が露出する部分の表面に銅回路を形成した。電解銅メッキ膜の形成は10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間メッキすることによって行った。電流密度は2A/dmである。次にアルカリ型の剥離液を用いて液状感光性メッキレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅メッキ膜を除去することによってプリント配線板を得た。得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースの値を有していた。また、回路パターンは9N/cmの強さで強固に接着していた。
参考例69)
次に、X/HP/Cu(Xの厚さは1μm、HPの厚さは25μm、銅箔層の厚さは15μm)の構成を有する積層体を作製し、この積層体を用いて以下の方法で回路を形成した。
UVレーザーを用いて、熱可塑性ポリイミド樹脂層側から熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミド樹脂層とを貫通し、銅箔層に至るビアホールを形成した。続いて、過マンガン酸を用いたデスミヤ処理によりビアホールのスミヤ除去を行った。さらに、上記参考例48の表面処理方法と同じ方法でトリアジンチオール(TT)による熱可塑性ポリイミド樹脂層およびビアホールの表面処理を行った。さらに、熱可塑性ポリイミド樹脂層の表面およびビアホールの内部に無電解銅メッキ膜の形成、および電解銅メッキ膜の形成を行った。次に、電解銅メッキ膜上および銅箔層上(両面の銅層上)にドライフィルム
レジスト(旭化成ドライレジストAQ)をコーティングし、露光、現像を行った後に、通常のサブトラクティブ法を用いることにより熱可塑性ポリイミド樹脂層側の表面にはライン/スペースの値が20μm/20μmである回路が、銅箔層側の表面にはライン/スペースの値が100μm/100μmである回路が形成されたプリント配線板を得た。エッチング液には塩化第二鉄水溶液を用いた。得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースの値を有しており、また、回路パターンは9N/cmの強度で強固に接着していた。
参考例70)
次に、「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層/接着層」の構成を有する積層体を作成し、この積層体を用いて以下の方法で回路を形成した。
まず、HPからなる厚み12.5μmの非熱可塑性ポリイミド樹脂層の片面に上記作製法Yにて製造したポリアミド酸のDMF溶液を塗布し、熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成することによって「熱可塑性ポリイミド樹脂層/非熱可塑性ポリイミド樹脂層」からなる積層体を作製した。熱可塑性ポリイミド樹脂層の厚さは3μmとした。次に、熱可塑性ポリイミド樹脂層が形成されていない面の非熱可塑性ポリイミド樹脂層表面に接着層(12μm)を塗布することにより「熱可塑性ポリイミド層/非熱可塑性ポリイミド層/接着層」からなる積層体を得た。そして、上述した方法を用いて、この積層体をガラスエポキシ銅張積層板から作製した内層回路板上に積層硬化させた。
次に、UV−YAGレーザーを用いて、内層回路まで至る内径30μmのビアホールを形成し、過マンガン酸を用いたデスミヤ処理によりビアホールのスミヤ除去を行った。さらに、上記参考例48の表面処理方法と同じ方法でトリアジンチオール(TT)による熱可塑性ポリイミド樹脂層表面、およびビアホール内部の表面処理を行った。さらに、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面、およびビアホール内部に無電解銅メッキ膜を形成した。次に、熱可塑性ポリイミド樹脂層表面、およびビアホール内部に液状感光性メッキレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースの値が15μm/15μmであるレジストパターンを形成した。続いて、厚さが10μmの電解銅メッキ膜を形成することによって、無電解銅メッキ膜が露出する部分の表面に銅回路を形成した。電解銅メッキ膜の形成は10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間メッキすることによって行った。電流密度は2A/dmである。次にアルカリ型の剥離液を用いて液状感光性メッキレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅メッキ膜を除去することによってプリント配線板を得た。得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースの値を有しており、また、回路パターンは10N/cmの強さで強固に接着していた。
以上のように、本発明にかかるポリイミド樹脂組成物を用いることによって、ポリイミド樹脂組成物と金属膜との接着性を強固なものにすることができる。このため、例えば、ポリイミド樹脂組成物を用いて作製された単層シートや積層体は、プリント配線板等に好適に用いることができる。したがって、本発明は、ポリイミド樹脂組成物を製造する各種樹脂産業や化学産業だけでなく、積層体等を製造する樹脂加工産業や、さらには回路基板等を製造する電子部品産業ひいては電子機器産業にも利用することができる。

Claims (8)

  1. ポリイミド樹脂組成物からなる層と、高分子フィルムとが積層された積層体であって、
    上記ポリイミド樹脂組成物からなる層は、上記高分子フィルムの片面または両面に積層され、
    上記ポリイミド樹脂組成物は、
    少なくとも有機チオール化合物を、熱可塑性ポリイミド樹脂に添加してり、
    上記有機チオール化合物は、
    一般式(2)
    (式中、M 、M はそれぞれ、H、Li、Na、Kから選ばれる任意の元素であり、Rは、H、炭素数が1〜18の任意の飽和アルキル基、炭素数が1〜18のアルキン、アルケン等の不飽和アルキル置換基、フェニル基、アミノ基またはSH基である)、または
    一般式(3)
    (式中、M 、M はそれぞれ、H、Li、Na、K、Caから選ばれる任意の元素であり、R 、R はそれぞれ、H、炭素数が1〜18の任意の飽和アルキル基、炭素数が1〜18のアルキン、アルケン等の不飽和アルキル置換基、フェニル基、またはアミノ基である)
    で示される、トリアジンジチオール誘導体またはトリアジントリチオール誘導体であり、
    上記熱可塑性ポリイミド樹脂は、
    一般式(1)
    (式中、AおよびBは4価の有機基であり、XおよびYは2価の有機基である。mは0≦m≦1、nは0≦n≦1の範囲の値でm+n=1である。また、kは任意の整数である。)
    にて表される構造を有するポリイミド前駆体から得られるポリイミド樹脂であり、
    上記一般式(1)中のAおよびBは、群(1)
    から選ばれる少なくとも1つであり、
    上記一般式(1)中のXおよびYは、群(2)
    から選ばれる少なくとも1つであるポリイミド樹脂組成物であることを特徴とする積層体。
  2. 上記高分子フィルムは、非熱可塑性ポリイミド樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 上記ポリイミド樹脂組成物からなる層と、上記非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と、金属薄層とがこの順に積層されていることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
  4. 上記ポリイミド樹脂組成物からなる層と、上記非熱可塑性ポリイミド樹脂からなる層と、接着層とがこの順に積層されていることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
  5. 上記ポリイミド樹脂組成物は、上記熱可塑性ポリイミド樹脂に対する重量比で0.001%以上、0.01%以下の範囲内で上記有機チオール化合物を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の積層体を用いてなることを特徴とするプリント配線板。
  7. ポリイミド樹脂組成物を用いてなる単層シートを用いてなるプリント配線板であり、
    上記ポリイミド樹脂組成物は、
    少なくとも有機チオール化合物を、熱可塑性ポリイミド樹脂に添加してなり、
    上記有機チオール化合物は、
    一般式(2)
    (式中、M 、M はそれぞれ、H、Li、Na、Kから選ばれる任意の元素であり、Rは、H、炭素数が1〜18の任意の飽和アルキル基、炭素数が1〜18のアルキン、アルケン等の不飽和アルキル置換基、フェニル基、アミノ基またはSH基である)、または
    一般式(3)
    (式中、M 、M はそれぞれ、H、Li、Na、K、Caから選ばれる任意の元素であり、R 、R はそれぞれ、H、炭素数が1〜18の任意の飽和アルキル基、炭素数が1〜18のアルキン、アルケン等の不飽和アルキル置換基、フェニル基、またはアミノ基である)
    で示される、トリアジンジチオール誘導体またはトリアジントリチオール誘導体であり、
    上記熱可塑性ポリイミド樹脂は、
    一般式(1)
    (式中、AおよびBは4価の有機基であり、XおよびYは2価の有機基である。mは0≦m≦1、nは0≦n≦1の範囲の値でm+n=1である。また、kは任意の整数である。)
    にて表される構造を有するポリイミド前駆体から得られるポリイミド樹脂であり、
    上記一般式(1)中のAおよびBは、群(1)
    から選ばれる少なくとも1つであり、
    上記一般式(1)中のXおよびYは、群(2)
    から選ばれる少なくとも1つであるポリイミド樹脂組成物であることを特徴とするプリント配線板。
  8. 上記ポリイミド樹脂組成物は、上記熱可塑性ポリイミド樹脂に対する重量比で0.001%以上、0.01%以下の範囲内で上記有機チオール化合物を含有していることを特徴とする請求項7に記載のプリント配線板。
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