JP4638606B2 - フラットパネルディスプレイにおける位相調整を監視する方法および装置 - Google Patents
フラットパネルディスプレイにおける位相調整を監視する方法および装置 Download PDFInfo
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Description
本発明は、フラットパネルディスプレイ‐グラフィックカード‐コンピュータシステムでアナログインタフェースを備えたフラットパネルディスプレイのグラフィックカードのピクセルクロックとサンプリングクロックとの間の位相調整を監視する方法および装置に関する。
【0002】
アナログインタフェースを備えたフラットパネルディスプレイは接続されるコンピュータのグラフィックカードに適合化しなければならない。位相またはサンプリング周波数が誤って調整されると、画像はシャープに見えず、障害の多いものになってしまう。
【0003】
標準モードに対しては画像位置の値すなわち上下左右の調整とサンプリング周波数とを予め調整される値として定めることができるが、位相に対してはこれは不可能である。なぜなら位相は使用されるグラフィックカードおよびビデオ線路に依存するからである。
【0004】
従来技術によるフラットパネルディスプレイには、通常、フラットパネルディスプレイの一般的な制御を担当するマイクロプロセッサが設けられている。このマイクロプロセッサはコンピュータで調整されたビデオモードを識別できるように構成されている。このモードが既にメーカ側またはユーザ側で調整されている場合には、フラットパネルディスプレイは画像位置、サンプリング周波数および位相について記憶されている調整量により駆動される。これに対してモードがフラットパネルディスプレイへのマイクロプロセッサの組み込み前のままであった場合には、画像位置、サンプリング周波数および位相について標準モードが採用される。ただし標準モードは全てのケースで満足いくものにはなっていない。
【0005】
サンプリングクロックおよび位相の調整は直接に画像品質に影響を与える。最適なサンプリング周波数は例えばビデオ信号の1つの走査線の全ピクセルのサンプリングがピクセルの安定した領域または特徴的領域(例えば各ピクセルの中央)で行われる場合に得られる。その場合データ変換により最適な結果をもたらされる。表示された画像には障害がなく安定する。換言すれば、最適なサンプリング周波数はピクセル周波数に等しい。誤ったサンプリング周波数が設定されると、例えばサンプリングクロックがピクセルクロックに比べてきわめて高速である場合、ピクセルは最初は許容領域すなわち2つのエッジの中央でサンプリングされるが、後続のピクセルはつねに一方のエッジの方向へサンプリングされ、ついには2つのピクセル間の領域が完全にサンプリングされてしまう。このため明らかに画像品質が劣化する。ピクセルが最適な特徴領域でサンプリングされない領域では、誤ったサンプリング値が導出される。画像には強い垂直方向の障害が現れる。サンプリングクロックとピクセルクロックとの間の周波数差が大きくなるにつれて、垂直方向の障害をともなう領域もますます多く画面上に見られるようになる。
【0006】
またサンプリングクロックとピクセルクロックとが一致するケースであっても、位相を適切に調整できない場合には画像品質は劣化する。その理由として、サンプリングに理想的に適していないピクセルの領域、例えば当該のピクセルの近傍または前方または後方のエッジでサンプリングが行われることが挙げられる。この問題は、サンプリングがピクセルの特徴的領域または許容領域で行われるまで位相すなわちサンプリング時点を全体としてシフトすることにより解決される。位相が正確に調整されない場合、画像品質は画面全体でノイズ信号により劣化する。
【0007】
多数のユーザにサンプリング周波数および位相と画像品質との関係が知られていない。画像がシャープでないと欠陥品であると見なされ、カスタマサービスが要求される。これには不必要なコストがかかる。取扱説明書やディスプレイのパッケージに記されたヒントを見ていないユーザも多い。さらにはグラフィックカードに対して調整されるそれぞれの分解能が固有の補償を要求することを認識していないユーザも存在する。画像品質が前述の理由から不充分である場合に最も都合がよいのはカスタマサービスまたはメーカホットラインへコンタクトを取ることであり、これによってユーザは実行すべき位相の補償を指示される。ただし幾つかのケースでは、位相を正確に調整すればよいだけなのに申し分のないモニタがギャランティとして送られることさえある。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3914249号明細書から未知のクロックによって形成された入力信号を再構成する方法が公知である。ここでは入力信号は比較クロックとともに種々の位相位置でディジタル化される。入力信号の比較クロックに対する位相位置の特性から入力信号のクロック周波数と比較クロックとの差が求められ、比較クロックの周波数が相応に補正される。
【0009】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19751719号明細書にはアナログ画像信号に対する信号処理プロセスが記載されている。ここではアナログ画像信号は計算ユニットによって計算される。この信号はグラフィクススタンダード、例えばEGAまたはVGAに相応にディジタルで形成され、続いてアナログ形式へ変換されたものである。このプロセスではアナログ画像信号が選択された第1のサンプリング周波数によるアナログディジタル変換にかけられ、その後サンプリングされた画像に画像障害がないか検査され、補正されたサンプリング周波数が求められる。別の手法は最適なサンプリング位相を求めること、およびアクティブな画像と水平同期パルスないし垂直同期パルスとの正確な相対位置を求めることに関している。
【0010】
この点に関連して、本発明の課題は、フラットパネルディスプレイにおける位相調整監視方法および装置において、必要な位相調整をこの種の調整が要求された場合につねに行えるように保証することである。
【0011】
この課題は本発明の方法において、フラットパネルディスプレイの位相がユーザ側で調整された場合にマーカをセットし、フラットパネルディスプレイのスイッチオンまたはコンピュータでのビデオモードの切り換え、および/またはグラフィックカードの交換、および/またはコンピュータの交換の際にこのマーカへの問い合わせを行い、問い合わせの際にマーカがセットされていないことが検出された場合には表示を行うかまたは位相調整を導入することにより解決される。
【0012】
換言すれば各モードに対してすでに記憶されている調整以外のものにはマーカが挿入され、位相をユーザが調整した場合にこのマーカがセットされる。これによりユーザは取扱説明書またはその他の添付物によって位相調整の必要性を指示されるだけでなく、必要な場合にはつねに位相調整をいわば強制されるようになる。
【0013】
フラットパネルディスプレイがスイッチオンされるかまたはコンピュータのビデオモードが切り換えられると、フラットパネルディスプレイ内に存在するプロセッサがその時点でのモードに対して記憶されているマーカへ問い合わせを行う。マーカがセットされている場合、すなわちフラットパネルディスプレイがすでにユーザのシステムに合わせて調整されている場合には、システムの更なるサービスが通常のように行われる。これに対してマーカがセットされていない場合にはフラットパネルディスプレイは所定のリアクションを取り、相応の表示を行うかまたは自動的に位相調整を開始する。
【0014】
本発明の方法の有利な実施形態では、マーカはコンピュータでのビデオモードにおける変更後、および/またはグラフィックカードの交換後、および/またはコンピュータの交換後に消去される。新品のモニタではマーカを予め調整された全てのモードについて消去しなければならない。なぜなら位相はまだユーザのシステムに合わせて調整されてはいないからである。こうしたケースだけでなく、位相補償が必要となるシステム変更のたびに、本発明の方法の有利な実施形態によりこれが検出される。同様のことがフラットパネルディスプレイ内で予調整が行われていないモードに対してももちろん相当する。
【0015】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、マーカはフラットパネルディスプレイのマイクロプロセッサ内でセットまたは消去される。その際に有利には表示はOSDを介して出力される。これにより既存のハードウェアが利用され、コストが節約される。
【0016】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、位相調整後、モード変換が検出された際に行すなわち画像領域の上方および/または下方の少なくとも第1の行が“黒”であるか否か、および/または列すなわちフロントポーチ領域および/またはバックポーチ領域の少なくとも第1の列が“黒”であるか否かが検査され、検査がポジディブであった場合にマーカがセットされる。これによりユーザによって行われた位相調整の検査が行われ、行われた位相調整が最適でない場合にはユーザは指示を得ることができる。
【0017】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、位相の自動調整が導入される。手動の位相調整に比べて、自動位相調整は専門知識のない多数のユーザにとって有利である。
【0018】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち上がりエッジが求められ、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち下がりエッジが求められ、サンプリング時点がビデオパルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間のほぼ中央に位置するように位相が調整される。
【0019】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち上がりエッジが求められ、サンプリング時点がピクセル中央の方向でピクセル幅の約1/2だけシフトされるように位相が調整される。
【0020】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち下がりエッジが求められ、サンプリング時点がピクセル中央の方向でピクセル幅の約1/2だけシフトされるように位相が調整される。
【0021】
画像位置およびサンプリング周波数は比較的簡単に所定のアルゴリズムによって求められ相応に調整されるが、位相の位置を求めるのは困難である。本発明の方法の前述の3つの実施形態は簡単かつ確実な位相調整手段である。
【0022】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、フラットパネルディスプレイ上のピクセルを有する画像領域が行列のかたちでバックポーチ領域とフロントポーチ領域との間に配置され、立ち上がりエッジを求めるための充分に明るいピクセルとしてバックポーチ領域に隣接する第1の画像列のピクセルが選択され、立ち下がりエッジを求めるための充分に明るいピクセルとしてバックポーチ領域に隣接する第1の画像列のピクセルが選択される。この方法によれば特に、連続する領域またはピクセルが大きく異なる強さの輝度を有するなかで可能なかぎり強く際立ったエッジを評価することができる。フロントポーチ領域ないしバックポーチ領域と関連して必要な条件が完全に満足され、比較的僅かなコストしかかからないので、第1の画像列ないし最後の画像列のピクセルが特に良好に適している。
【0023】
位相位置を自動調整する際に、従来のアナログインタフェースを備えたフラットパネルディスプレイでは大抵の場合白のピクセルと黒のピクセルとが切り替わる固有のテストパターンが必要となる。このテストパターンはグラフィックカードによって表示しなければならない。これはソフトウェアをコンピュータにインストールして開始しなければならず、さらにこのソフトウェアを現行の全てのオペレーションシステムで使用可能にしなければならないという欠点がある。これに対して本発明の方法の前述の有利な実施形態では、有利にはこの種のテストパターンや相応するソフトウェアは必要なく、自動位相調整を行うことができる。
【0024】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、第1の画像列および最後の画像列の複数のピクセルの輝度が測定され、第1の画像列および最後の画像列において最大輝度を有するピクセルがビデオパルスの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを求めるために選択される。このようにして充分に際立ったエッジを有するピクセルを測定に使用することができる。
【0025】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、まずピクセル
(n×k) n=1,2,...,N k=定数、例えば10
が測定され、充分に明るいピクセルが見出されなかった場合には、充分に明るいピクセルが見出されるまでピクセル
(n+m)×k m=1,2,...,N
が測定される。これにより適切なピクセルのサーチが短時間で効率的に行われる。
【0026】
本発明の方法の別の有利な実施形態では、ピクセルの振幅値を求めるために、測定振幅値が大きく変動しなくなるまで位相がシフトされ、求められた振幅値がその後続いて処理される。
【0027】
これに代えて本発明の方法の別の有利な実施形態では、振幅値を求める際に使用した位相を所定の限界値、例えば振幅値の50%よりも小さくなるまで早め、さらに位相をピクセル幅の1/2だけ遅延させ、測定された振幅値が更に処理される。
【0028】
本発明の方法の前述の2つの実施形態は、ピクセルの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの位置を求めるための前提としてピクセルの輝度を求める際の簡単な手段である。
【0029】
本発明の別の有利な実施形態では、立ち上がりエッジを求めるために測定振幅値が所定のパーセンテージ、例えば先行して求められた振幅値の50%に低下するまで位相がバックポーチ領域の方向へシフトされ、この位相値が立ち上がりエッジの位置として一時的に記憶される。さらに本発明の別の有利な実施形態では、立ち下がりエッジを求めるために測定振幅値が所定のパーセンテージ、例えば先行して求められた振幅値の50%に低下するまで位相がフロントポーチ領域の方向へシフトされ、この位相値が立ち下がりエッジの位置として一時的に記憶される。このようにして2つのピクセルの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジが簡単に求められ、位相を高度に調整して立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間でピクセルのほぼ中央に位置させることができる。
【0030】
前述の課題を解決するために、フラットパネルディスプレイ‐グラフィックカード‐コンピュータシステムでアナログインタフェースを備えたフラットパネルディスプレイのグラフィックカードのピクセルクロックとサンプリングクロックとの間の位相調整を監視する装置はマイクロプロセッサを有しており、このマイクロプロセッサはフラットパネルディスプレイの位相がユーザ側で調整された場合にマーカをセットし、該マーカにフラットパネルディスプレイのスイッチオン、またはコンピュータでのビデオモードの切り換え、および/またはグラフィックカードの交換、および/またはコンピュータの交換の際に問い合わせを行い、問い合わせの際にマーカがセットされていないことが検出された場合には、表示を行うかまたは位相調整を導入するように構成されている。この装置によれば簡単に本発明を簡単な手段およびきわめて効率的に実施することができる。
【0031】
本発明の装置の別の有利な実施形態では、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち上がりエッジをバックポーチ領域に隣接する第1の画像列内で求める装置と、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち下がりエッジをフロントポーチ領域に隣接する最後の画像列内で求める装置と、サンプリング時点がビデオパルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間のほぼ中央に位置するように位相を調整する調整装置とが設けられている。
【0032】
本発明の方法および装置のその他の有利な実施形態はその他の従属請求項に記載されている。
【0033】
本発明の実施例を以下に添付図に則して説明する。図1にはアナログインタフェースを介してコンピュータシステムのグラフィックカードに接続されたフラットパネルディスプレイのブロック回路図が示されている。図2のA、Bにはビデオ信号の概略図が示されている。図3にはビデオ信号のピクセルの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの概略図が示されている。図4のA、Bには2つの理想的なビデオ信号、およびサンプリングパルスとビデオ信号との相対位置の作用が示されている。
【0034】
図1にはアナログインタフェースを介して接続されるフラットパネルディスプレイのための制御回路が示されている。この制御回路の機能を以下に種々の入力信号とその処理とに則して詳細に説明する。制御回路の入力側には一方で3つの色信号R,G,Bから成るビデオ信号が印加され、他方では水平画像同期および垂直画像同期のための2つの同期信号H−sync,V−syncが印加される。H−sync,V−syncはディジタルで伝送され、ここでの信号電圧は0および>3Vである。V−syncは画像の第1の行が伝送されることをシグナリングする。この信号は画像反復周波数に相応し、典型的には60Hz〜85Hzの範囲にある。H−syncは新たな画像行が伝送されることをシグナリングする。この信号は走査線周波数に相応し、通常は60kHzである。
【0035】
色信号R,G,Bから成るビデオ信号はアナログ信号である。信号電圧は0V〜0.7Vの範囲にある。ピクセルクロック、すなわちこの電圧の値を変化させる周波数は80MHzである。画像行ごとに所定数のピクセルが伝送されるので、ピクセルクロックは走査線周波数H−syncよりも当該のピクセル数のぶんだけ高い。
【0036】
ビデオ信号の3つの色信号R,G,Bはビデオ増幅器VAを介してそれぞれアナログディジタル変換器ADCR,ADCG,ADCBへ供給される。2つの同期信号H−sync,V−syncは個別の回路HSy,VSyにおいて処理され、伝送および種々のEMV措置を経て不明瞭になった信号エッジがリフレッシュされる。このように処理された同期信号H−sync,V−syncは続いてマイクロプロセッサμPへ供給される。マイクロプロセッサμPは周波数を測定し、そこからコンピュータシステムのグラフィックカード内で調整された分解能を求める。続いてこの分解能に対してそれぞれ記憶されているデータが位相制御回路PLLと、これに並列なASICのかたちで実現された論理回路とへディジタルデータの処理のために供給される。
【0037】
位相制御回路PLLは同期信号H−syncの周波数とマイクロプロセッサμPから送出された値とを乗算する。これによりサンプリング周波数(ピクセルクロック)が得られる。位相制御回路PLL内で生じた遅延時間のためにピクセルクロックとサンプリング周波数との間に位相差が生じる。この2つのパラメータは画面上のOSDディスプレイを介して制御される。位相制御回路で得られたサンプリング周波数はさらに3つのアナログディジタル変換器ADCR,ADCG,ADCBへ供給される。これらの変換器はアナログのデータストリームをディジタルのデータストリームへ変換する。ディジタル化されたデータは後続の論理回路ASIC内でビデオメモリVM内に含まれていたデータを用いて更に処理される。最も簡単なケースではデータは1:1で論理回路ASICに接続されたフラットパネルディスプレイへ伝送され、ビデオメモリVMがしばしば到来するデータとフラットパネルディスプレイDへ伝送されるデータとの間の時間分離のために利用される。低い分解能の補間に対しても同様にビデオメモリVMに格納されているデータへのアクセスが行われる。
【0038】
前述したように、画像位置、サンプリング周波数および位相の調整に加えて、ユーザが位相を調整し、位相に作用する変更がフラットパネルディスプレイ‐グラフィックカード‐コンピュータシステム内で行われた後にフラットパネルディスプレイのマイクロプロセッサ内でマーカがセットされる。メーカでの調整の際に記憶された位相値は標準値であるか、またはユーザ側の調整によって上書きされた設定値であるにすぎない。
【0039】
新品のフラットパネルディスプレイでは予め調整された全てのモードについてマーカが消去されているはずである。グラフィックカードでの変更またはコンピュータ設定における変更の際にも、位相は新たに調整しなければならず、ユーザに対してフラットパネルディスプレイの次の使用開始の際に必要な調整を指示するためには相応にマーカを消去しなければならない。同じことがもちろんフラットパネルディスプレイにおいて予調整がまだ行われていないモードに対しても当てはまる。
【0040】
いずれの場合にもマーカがセットされず、フラットパネルディスプレイがスイッチオンされる場合、マイクロプロセッサは例えばフラットパネルディスプレイのOSD(on screen display)を介してメッセージを表示し、ユーザに位相調整を促す。そうでない場合、マーカが存在しなければ自動的に位相調整が開始される。
【0041】
本発明の有利な実施例では、ユーザが行った位相調整の検査が行われ、モード変換のたびにシステムが変更されたか否かが検査される。このようにしてユーザが行った位相調整が充分であるか否かが検出される。このような検査の際には画像領域上方の1つまたは複数の第1の行、または画像領域下方の1つまたは複数の第1の行、またはフロントポーチ領域に隣接する1つまたは複数の第1の列、またはバックポーチ領域に隣接する1つまたは複数の第1の列が“黒”であるか否かが検出される。この検査によって相応の行が“黒”でないことが検出された場合、画像は正確にセンタリングされておらず、アラインメントが必要である。画像がセンタリングされていても位相が正確に調整されていない場合には、検査された少なくとも1つの列ないし行が“黒”でない。なぜなら画像領域に接する列/行の画像情報の一部が可視となっているからである。この場合にも位相調整が必要である。
【0042】
さらに本発明では位相を後から調整しなければならないケースの全てが検出されることを指摘しておく。しかもフラットパネルディスプレイが他のグラフィックカードまたは他のコンピュータと同じ分解能で駆動されるケースも検出される。
【0043】
図2のA,Bからまずわかるのは、ビデオ信号をサンプリングする位相が画像の品質に大きな役割を果たしていることと、位相は多くの場合に種々のビデオ信号で相応に種々の位置に存在するということである。図2のAにはオーバシュートをともなう高速ビデオ信号が示されており、ビデオ信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの間のサンプリング領域は比較的狭く、立ち下がりエッジの方向へシフトされている。これに対して図2のBにはオーバシュートのない緩慢なビデオ信号が示されており、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間のサンプリング領域は比較的広くほぼ中央にセンタリングされている。2つの信号を観察するとわかるように、例えば緩慢なビデオ信号では立ち下がりエッジの領域の右縁部に位相位置が存在するが、ここでは位相振幅値は必要ない。一方同じ位相位置で高速ビデオ信号では必要な振幅値が測定される。また理想的な位相位置がビデオ信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの間のほぼ中央に位置することがわかる。位相位置はこの値へ調整しなければならない。したがって位相調整はそれぞれのシステムに依存して重要である。
【0044】
前述したように、自動位相調整は他のパラメータの調整よりも問題が起こりやすい。次の図に則してさらにこの種の自動調整がどのように行われるかを説明する。
【0045】
位相位置を求める際にビデオ信号のエッジから出発する。エッジを求めるために、このエッジができるだけ強く際立っているとよい。これはエッジ前方の信号をできるだけ小さくしてエッジ後方を強く際立たせるケース、またはその逆のケースである。第1の要求はサンプリングギャップすなわちバックポーチ領域およびフロントポーチ領域により理想的に満足され、第2の要求は明るいピクセルにより満足される。走査線の開始部の明るいピクセルは立ち上がりエッジを求めるために、走査線の終了部の明るいピクセルは立ち下がりエッジを求めるためにきわめて良好に適している。
【0046】
この場合にこれが異なる画像走査線の2つの異なるピクセルのエッジであるということは問題にはならない。なぜならピクセルクロックおよびサンプリングクロックが既知であり、相応に考慮されるからである。選択されたピクセルは少なくとも1つの原色RGBで充分に高い強度を有しており、これにより振幅の充分大きなエッジを見出すことができる。
【0047】
基本的には任意の個所でビデオ信号内に位置する明るいピクセルと暗いピクセルとから成る組み合わせの全てがエッジを求めるのに適している。多くの場合、フロントポーチ領域/バックポーチ領域と第1の画像列/最後の画像列の明るいピクセルとの組み合わせによりサーチされるエッジを求めることができる。適切な2つのピクセル対を画像内容全体にわたって通しサーチする必要はない。
【0048】
前述して明らかなように、ビデオ信号のサンプリングに対する理想的な領域は信号の目標値と実際値とが一致する領域である。ただしビデオ信号のエッジ領域での振幅測定が困難なこともある。その理由はビデオ信号およびサンプリングパルスのジッタである。ジッタがビデオ信号の立ち上がり時間および立ち下がり時間に比べて大きいと、複数回の測定を平均化することにより確かにエッジは検出できるが、測定個所でのエッジの振幅に関する記述が当てはまらなくなってしまうことがある。
【0049】
図4のA,Bにはエッジを検出する際の問題点が示されている。理想的なビデオ信号に所望のサンプリング時点を表す破線が挿入されている。ハッチング領域は複数回の測定中ジッタを通して実際にサンプリングされる領域を表す。測定値が平均化されると、第1のケースでは平均値は約80%となる。この平均値を誤って解釈すると、立ち上がりエッジが振幅の80%に達するまさにその個所に存在すると考えてしまう。しかし実際にはそうではない。第2のケースで記述を50%とするほうがむしろ正しくなる。
【0050】
この結果からわかるのは、ジッタのためにエッジが所定の値に達する位置を求めることがほとんど不可能になるという点である。最小誤差は多くの場合、測定値を平均化することにより目標値の約50%までとなる。もちろん他の値をサーチすることもできる。小さな値は、例えば、実際のピクセル振幅を求める際の精度を幾らか緩めることができる利点を有する。
【0051】
以下では画像位置およびサンプリング周波数がすでに正確に調整されているものとする。さらにA/D変換器のデータへのアクセスも可能である。立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジは次のようにして(以下のステップを実行することにより)求められる。
【0052】
立ち上がりエッジ
1.第1の画像列においてR、G、Bのいずれかの最大可能な充分に高い値を有するピクセルをサーチする。
【0053】
2.位相が第1のステップで予め調整されて測定が誤っているはずなので、振幅の実際値は測定値より高いかもしれない。振幅の実際値は測定により適切なサンプリング時点で求められる。これは測定される振幅値が上昇しなくなるまで位相を遅延させるか、または測定される振幅値がきわめて低くなるまでとりあえず位相を早めることにより行われる。エッジの開始部をマーキングする当該の位相値はピクセル幅の1/2だけ遅延される。
【0054】
3.複数回の測定にわたって平均化されたサンプリング値が第2のステップで求められた値の約50%に低下するまで位相がバックポーチ領域の方向へシフトされる。当該の位相値はここに立ち上がりエッジが存在するので一時的に記憶される。
【0055】
立ち下がりエッジ
4.第1の画像列においてR、G、Bのいずれかの最大可能な充分に高い値を有するピクセルをサーチする。この場合にも検査すべきピクセルごとに唯一の測定を行えば充分である。できる限り正確な測定値を得るために、サンプリング前の位相を第2のステップで見出された値へ調整しなければならない。
【0056】
5.平均化されたサンプリング値が第4のステップで求められた値の約50%に低下するまで位相がフロントポーチ領域の方向へシフトされる。当該の位相値はここに立ち下がりエッジが存在するので一時的に記憶される。
【0057】
これに代えて、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち上がりエッジを求め、サンプリング時点がピクセル中央の方向でピクセル幅の約1/2だけシフトされるように位相を調整することによりサンプリング時点を求めることができる。またはこれに代えて充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち下がりエッジを求め、サンプリング時点がピクセル中央の方向でピクセル幅の約1/2だけシフトされるように位相を調整することによりサンプリング時点を求めてもよい。その場合に上述の第1〜第5のステップは相応に簡単化される。
【0058】
理想的なサンプリング時点は理論的には2つのエッジの間に存在する。しかし実際には2つのエッジのちょうど中央に存在するのではなく、僅かに遅れてサンプリングされると考えるほうが有利である。これにより場合によって発生するグラフィックカードのオーバシュートを回避し、エッジの軽微な指数特性をも考慮に入れることができる。
【0059】
本発明のハードウェアでは、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち上がりエッジを求める装置と、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち下がりエッジを求める装置と、サンプリング時点がビデオパルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間のほぼ中央に位置するように位相を調整する調整装置と、ピクセルのサンプリング値を求めるために測定振幅値が大きく変動しなくなるまで位相をシフトし、求められた振幅値を更に処理する装置とが設けられている。
【0060】
さらに、サンプリング値を求める際に使用される位相を測定振幅値が所定の限界値、例えばサンプリング値の50%よりも小さくなるまで早める装置が設けられており、また位相をピクセル幅の1/2だけ遅延させ、測定されたサンプリング値を更に処理する装置が設けられている。
【0061】
さらに立ち上がりエッジを求めるために測定振幅値が所定のパーセンテージ、例えば先行して求められた振幅値の50%に低下するまで位相をバックポーチ領域の方向へシフトさせ、この位相値を立ち上がりエッジの位置として一時的に記憶する装置が設けられている。また立ち下がりエッジを求めるために測定振幅値が所定のパーセンテージ、例えば先行して求められた振幅値の50%に低下するまで位相をフロントポーチ領域の方向へシフトさせ、この位相値を立ち下がりエッジの位置として一時的に記憶する装置が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フラットパネルディスプレイのブロック回路図である。
【図2】 ビデオ信号の概略図である。
【図3】 ビデオ信号のピクセルの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの概略図である。
【図4】 2つの理想的なビデオ信号、およびサンプリングパルスとビデオ信号との相対位置の作用を示す図である。
Claims (28)
- フラットパネルディスプレイ‐グラフィックカード‐コンピュータシステムでアナログインタフェースを備えたフラットパネルディスプレイのグラフィックカードのピクセルクロックとサンプリングクロックとの間の位相調整を監視する方法において、
フラットパネルディスプレイの位相がユーザ側で調整された場合にマーカをセットし、
フラットパネルディスプレイのスイッチオンまたはコンピュータでのビデオモードの切り換え、またはグラフィックカードの交換、またはコンピュータの交換の際にマーカへの問い合わせを行い、
問い合わせの際にマーカがセットされていないことが検出された場合にはユーザに位相調整を促す表示を行うかまたは位相調整を導入する
ことを特徴とする位相調整を監視する方法。 - マーカをコンピュータでのビデオモードにおける変更後、またはグラフィックカードの交換後、またはコンピュータの交換後に消去する、請求項1記載の方法。
- マーカをフラットパネルディスプレイのマイクロプロセッサ内でセットまたは消去する、請求項1または2記載の方法。
- OSDを介して前記ユーザに位相調整を促す表示を出力する、請求項1記載の方法。
- 位相調整後、モード変換が検出された際に行すなわち画像領域の上方または下方の少なくとも第1の行が"黒"であるか否か、あるいは、列すなわちフロントポーチ領域またはバックポーチ領域の少なくとも第1の列が"黒"であるか否かを検査し、検査の結果、少なくとも第1の行または少なくとも第1の列が"黒"であった場合にのみマーカをセットする、請求項1記載の方法。
- 位相の自動調整を導入する、請求項1記載の方法。
- 充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち上がりエッジを求め、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち下がりエッジを求め、サンプリング時点がビデオパルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間の中央に位置するように位相を調整する、請求項6記載の方法。
- 充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち上がりエッジを求め、サンプリング時点がピクセル中央の方向でピクセル幅の1/2だけシフトされるように位相を調整する、請求項6記載の方法。
- 充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち下がりエッジを求め、サンプリング時点がピクセル中央の方向でピクセル幅の1/2だけシフトされるように位相を調整する、請求項6記載の方法。
- フラットパネルディスプレイ上のピクセルを有する画像領域を行列のかたちでバックポーチ領域とフロントポーチ領域との間に配置し、立ち上がりエッジを求めるための充分に明るいピクセルとしてバックポーチ領域に隣接する第1の画像列のピクセルを選択し、立ち下がりエッジを求めるための充分に明るいピクセルとしてフロントポーチ領域に隣接する第1の画像列のピクセルを選択する、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
- 第1の画像列および最後の画像列の複数のピクセルの輝度を測定し、第1の画像列および最後の画像列において最大輝度を有するピクセルをビデオパルスの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを求めるために選択する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
- まずn×k個のピクセルを測定し、充分に明るいピクセルが見出されなかった場合には充分に明るいピクセルが見出されるまで(n+m)×k個のピクセルを測定し、ここでnおよびmは自然数、kは定数である、請求項11記載の方法。
- 測定振幅値が大きく変動しなくなるまで位相をシフトし、ピクセルの振幅値を求める、請求項11記載の方法。
- 位相を、測定振幅値が振幅値の50%よりも小さくなるまで早め、さらに位相をピクセル幅の1/2だけ遅延させて、ピクセルの振幅値を求める、請求項11記載の方法。
- 立ち上がりエッジを求めるために測定振幅値が先行して求められた振幅値の50%に低下するまで位相をバックポーチ領域の方向へシフトさせ、該位相値を立ち上がりエッジの位置として一時的に記憶する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
- 立ち下がりエッジを求めるために測定振幅値が先行して求められた振幅値の50%に低下するまで位相をフロントポーチ領域の方向へシフトさせ、該位相値を立ち下がりエッジの位置として一時的に記憶する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
- 位相およびサンプリング時点を立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間の中央に対してピクセル幅の10%だけ遅延させる、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
- フラットパネルディスプレイ‐グラフィックカード‐コンピュータシステムでアナログインタフェースを備えたフラットパネルディスプレイのグラフィックカードのピクセルクロックとサンプリングクロックとの間の位相調整を監視する装置において、
マイクロプロセッサが設けられており、
該マイクロプロセッサは、フラットパネルディスプレイの位相がユーザ側で調整された場合にマーカをセットし、該マーカにフラットパネルディスプレイのスイッチオン、またはコンピュータでのビデオモードの切り換え、またはグラフィックカードの交換、またはコンピュータの交換の際に問い合わせを行い、問い合わせの際にマーカがセットされていないことが検出された場合にユーザに位相調整を促す表示を行うかまたは位相調整を導入するように構成されている、
ことを特徴とする位相調整を監視する装置。 - マイクロプロセッサはマーカをコンピュータでのビデオモードにおける変更後、またはグラフィックカードの交換後、またはコンピュータの交換後に消去するように構成されている、請求項18記載の装置。
- マイクロプロセッサはマーカをフラットパネルディスプレイのマイクロプロセッサ内でセットまたは消去するように構成されている、請求項18または19記載の装置。
- 表示装置が設けられており、該表示装置によりOSDを介して前記ユーザに位相調整を促す表示が出力される、請求項18記載の装置。
- 検査装置が設けられており、該検査装置により、位相調整後モード変換が検出された際に行すなわち画像領域の上方または下方の少なくとも第1の行が"黒"であるか否か、または列すなわちフロントポーチ領域またはバックポーチ領域の少なくとも第1の列が"黒"であるか否かが検査され、検査の結果、少なくとも第1の行または少なくとも第1の列が"黒"であった場合にのみマーカがセットされる、請求項18記載の装置。
- 調整装置が設けられており、該調整装置により位相の自動調整が導入される、請求項18記載の装置。
- 充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち上がりエッジをバックポーチ領域に隣接する第1の画像列内で求める装置と、充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち下がりエッジをフロントポーチ領域に隣接する最後の画像列内で求める装置と、サンプリング時点がビデオパルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間の中央に位置するように位相を調整する調整装置とが設けられている、請求項23記載の装置。
- 充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち上がりエッジをバックポーチ領域に隣接する第1の画像列内で求める装置が設けられており、サンプリング時点がピクセル中央の方向へピクセル幅の1/2だけシフトされるように位相を調整する調整装置が設けられている、請求項23記載の装置。
- 充分に明るいピクセルのビデオパルスの立ち下がりエッジをフロントポーチ領域に隣接する最後の画像列内で求める装置が設けられており、サンプリング時点がピクセル中央の方向へピクセル幅の1/2だけシフトされるように位相を調整する調整装置が設けられている、請求項23記載の装置。
- 立ち上がりエッジを求めるために測定振幅値が先行して求められた振幅値の50%に低下するまで位相をバックポーチ領域の方向へシフトさせ、該位相値を立ち上がりエッジの位置として一時的に記憶する装置が設けられている、請求項24から26までのいずれか1項記載の装置。
- 立ち下がりエッジを求めるために測定振幅値が先行して求められた振幅値の50%に低下するまで位相をフロントポーチ領域の方向へシフトさせ、該位相値を立ち下がりエッジの位置として一時的に記憶する装置が設けられている、請求項24から26までのいずれか1項記載の装置。
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