JP4637704B2 - 塗装仕上げ方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シーリング材等の可塑剤含有材料の表面の塗装仕上げ方法に関するものであり、主として建築分野に適用するものである。
一般に、シーリング材は雨仕舞の一貫で各種の基材・部材間の接合部や隙間に充填され、防水性・気密性の付与、さらに、例えばガラスと窓枠、窓枠とパネルといった異種の部材間の接着・固定という目的で使用されている。また、改修・改装工事においては、例えば経時で基材に発生したひび割れの補修用として、防水性・気密性を付与する目的で用いられている。
しかし、これらのシーリング材は防水性や気密性には優れているものの、その表面が露出した部分においてはべとつき(タック)が残りやすいため、経時的に埃、塵などの汚染物質が付着して美観を損なう場合がある。さらにシーリング材自体の表面汚染以外に、シーリング材中に含有される可塑剤の滲み出しにより、目地部周辺の基材や部材が汚染されるという現象が見られることがある。また、これらの基材や部材に美装と保護の目的で、仕上材として各種の塗料を施工した際に、シーリング材に含まれる可塑剤が仕上材塗膜に移行して塗膜を可塑化し、塵埃等の付着による汚染を誘発する場合もある。
このようなシーリング材の汚染現象に対して、各種の防止方法が開示されている。例えば、特開平7−82548号公報(特許文献1)には、シーリング材表面の汚れ防止方法として、シーリング材の表面に、オルガノアルコキシシランの加水分解縮合物やコロイド状シリカ等を含有する無機コーティング材を塗装する方法が開示されている
特開平7−82548号公報
しかしながら、上述の特許文献に記載されたような無機コーティング材は、通常、非常に高硬度の塗膜を形成するため、基材や部材等のムーブメントに対応するシーリング材の動きに追従することが難しく、塗膜にひび割れが発生するなど、実用上改善すべき点を有している。
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、シーリング材等の可塑剤含有材料の表面の塗装仕上げにおいて、塗膜の汚染及びひび割れを抑制することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、シーリング材等の表面を、特定の塗料用樹脂及び変性シリケート化合物を必須成分として含む上塗材によって被覆することに想到し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.可塑剤含有材料の表面を上塗材によって被覆する塗装仕上げ方法において、該上塗材として、
ガラス転移温度が−20〜60℃である塗料用樹脂の固形分100重量部に対し、シリケート化合物をSiO換算で0.1〜20重量部含有し、前記シリケート化合物として、炭素数1〜2の直鎖アルキル基と炭素数3以上の分岐アルキル基が、95:5〜50:50の当量比率で混在する変性シリケート化合物を含む上塗材を使用することを特徴とする塗装仕上げ方法。
2.前記可塑剤含有材料が建築用シーリング材である1.記載の塗装仕上げ方法。
本発明によれば、シーリング材等の可塑剤含有材料の表面の塗装仕上げにおいて、被塗面に対する追従性を確保しつつ、塗膜表面への可塑剤移行に起因する塗膜汚染を抑制することができる。本発明は、シーリング材のほか、ビニル系建材、塩化ビニル被覆品、塩化ビニル成形品等の可塑材含有材料の表面仕上げに適用することもできる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
[上塗材]
本発明において使用する上塗材は、ガラス転移温度が−20〜60℃である塗料用樹脂と、炭素数1〜2の直鎖アルキル基(以下単に「直鎖アルキル基」ともいう)と炭素数3以上の分岐アルキル基(以下単に「分岐アルキル基」ともいう)が95:5〜50:50の当量比率で混在する変性シリケート化合物を必須成分とするものである。本発明では、このような特定の上塗材を使用することにより、可塑剤含有材料の表面塗装仕上げにおける、塗膜の汚れ防止性及びひび割れ防止性を十分に高めることができる。
上記必須成分のうち、まず変性シリケート化合物について詳述する。
変性シリケート化合物における直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基から選ばれる1種以上が使用できる。この中でも本発明ではメチル基が好適である。
一方、分岐アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソヘプチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、イソオクチル基等が挙げられる。本発明では、この中でも炭素数3〜6の分岐アルキル基が好適であり、とりわけ炭素数4の分岐ブチル基が好適である。
具体的に、直鎖アルキル基と分岐アルキル基を有する変性シリケートは、以下に例示する方法により製造することができる。
(1)一般式Si(OR)(OR)(OR)(OR
(式中、R〜Rは、炭素数1〜2の直鎖アルキル基と、炭素数3以上の分岐アルキル基が混在しているものとする)で表されるテトラアルコキシシランを加水分解縮合させる。縮合方法としては公知の方法が採用でき、縮合後の平均縮合度は2〜100(好ましくは4〜20)程度とすればよい。この場合、縮合の際に他のテトラアルコキシシランを混合して縮合することもできる。上記一般式で表される化合物の具体例としては、例えば、モノイソプロポキシトリメトキシシラン、モノイソプロポキシトリエトキシシラン、モノイソブトキシトリメトキシシラン、モノイソブトキシトリエトキシシラン、ジイソブトキシジメトキシシラン等が挙げられる。
(2)テトラメトキシシラン縮合物及び/またはテトラエトキシシラン縮合物に、炭素数3以上の分岐アルキル基を有するアルコールを反応(エステル交換反応)させる。この方法におけるアルコールとしては、例えば、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール等が挙げられる。テトラメトキシシラン縮合物及び/またはテトラエトキシシラン縮合物としては、平均縮合度2〜100(好ましくは4〜20)程度のものを使用すればよい。
(3)テトラメトキシシラン及び/またはテトラエトキシシランに、水、及び炭素数3以上の分岐アルキル基を有するアルコールを反応させる。この方法では、加水分解縮合反応とエステル交換反応を並行して行うことができる。加水分解縮合反応による平均縮合度は2〜100(好ましくは4〜20)程度とすればよい。アルコールとしては、上記(2)と同様の化合物が使用できる。
本発明における変性シリケート化合物は、炭素数1〜2の直鎖アルキル基と炭素数3以上の分岐アルキル基が、通常95:5〜50:50、好ましくは90:10〜55:45、より好ましくは85:15〜60:40の当量比率で混在するものである。直鎖アルキル基と分岐アルキル基の混在比率がかかる範囲内であれば、本発明の効果を十分に発揮することができる。直鎖アルキル基と分岐アルキル基の比率が上記範囲から外れる場合は、汚れ防止性、ひび割れ防止性等において顕著な効果を得ることができない。
上記(1)〜(3)に例示した変性シリケート化合物の製造方法では、直鎖アルキル基と分岐アルキル基との当量比率が上記範囲内となるように、原料化合物の種類や量を適宜調整すればよい。
本発明における上塗材は、上述の変性シリケート化合物を塗料用樹脂と混合することにより得られるものである。
塗料用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。このような塗料用樹脂の形態としては、溶剤可溶性樹脂、非水分散性樹脂、水溶性樹脂、水分散性樹脂、無溶剤型樹脂等が挙げられる。
このうち、溶剤可溶性樹脂及び/または非水分散性樹脂としては、非水系溶剤を媒体とするものであって、当該全溶剤のうち50重量%以上(好ましくは60重量%以上)が脂肪族炭化水素である所謂弱溶剤形樹脂が好適である。かかる弱溶剤形樹脂は、芳香族炭化水素系溶剤を主溶剤とする強溶剤形樹脂に比べ、低毒性であり、作業上の安全性が高く、さらには既存塗膜上に塗装を行った際のリフティング発生を抑制できる等の特徴を有するものである。脂肪族炭化水素としては、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等が挙げられ、この他、テルピン油やミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素系溶剤を使用することもできる。特に、トルエン、キシレンを含まず、引火点21℃以上の第2石油類に該当するものが、安全衛生上好ましい。本発明では、塗料用樹脂としてかかる弱溶剤形樹脂を使用した場合において、特に優れた効果を得ることができる。
上塗材における塗料用樹脂は架橋反応性を有するものであってもよい。塗料用樹脂が架橋反応型樹脂である場合は、塗膜の強度、耐水性、耐候性、密着性等を高めることができる。架橋反応型樹脂は、それ自体で架橋反応を生じるもの、あるいは別途混合する架橋剤によって架橋反応を生じるもののいずれであってもよい。このような架橋反応性は、例えば、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、アルド基とセミカルバジド基、ケト基とセミカルバジド基、アルコキシル基どうし、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基等の反応性官能基を組み合わせることによって付与することができる。この中でも水酸基−イソシアート基架橋反応型樹脂が好適である。
塗料用樹脂のガラス転移温度は、通常−20〜60℃であり、好ましくは−10〜50℃である。塗料用樹脂のTgがこのような範囲内であれば、被塗面の変位に対する追従性が付与され、形成塗膜におけるひび割れ発生を抑制することができる。塗料用樹脂のTgが−20℃より低い場合は、汚れ防止性が不十分となりやすい。また、塗膜に膨れが発生しやすくなる。Tgが60℃より高い場合は、被塗面の変位に追従できず、塗膜に割れが発生するおそれがある。なお、本発明におけるTgは、合成樹脂エマルションを構成するモノマーの種類とその構成比率から、Foxの計算式によって求められる値である。
本発明では、塗料用樹脂に変性シリケート化合物を混合する際、上記変性シリケート化合物以外のシリケート化合物を併用することもできるが、シリケート化合物全体の80重量%以上(好ましくは95重量%以上)が上記変性シリケート化合物で構成されるようにすることが望ましい。
上塗材においては、上述の如き特定の変性シリケートを使用することにより、従来技術に比べシリケート化合物が少量であっても十分な汚れ防止効果を得ることができ、形成塗膜の下地への追従性、ひび割れ防止性等の点においても有利である。すなわち、本発明によれば、上塗材におけるシリケート化合物を相対的に減量することが可能となり、実用上極めて有用な塗料設計を行うことができる。
シリケート化合物の混合比率は、塗料用樹脂の固形分100重量部に対して、SiO換算で0.1〜20重量部(好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部)となる範囲内で設定すればよい。シリケート化合物の混合比率が0.1重量部未満では、汚れ防止性が不十分となる。逆に20重量部を越える場合は、形成塗膜の下地への追従性が不十分となり、割れ等が生じやすくなる。
なお、本発明におけるSiO換算とは、アルコキシシランやシリケートなどのSi−O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO)となって残る重量分にて表したものである。
一般に、アルコキシシランやシリケートは、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノール同士やシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO)となる。これらの反応は
RO(Si(OR)O)R+(n+1)HO→nSiO+(2n+2)ROH
(Rはアルキル基を示す。nは整数。)
という反応式で表される。本発明におけるSiO換算は、この反応式をもとに残るシリカ成分の量を換算したものである。
上塗材においては、上述の成分に加えアミン化合物を混合することができる。かかるアミン化合物を混合することにより、上塗材を塗り重ね(リコート)する際の密着性を高めることができる。さらに、かかるアミン化合物は、上記変性シリケート化合物との相互作用により、汚れ防止性、硬化性等の物性向上にも寄与するものである。
アミン化合物としては、例えば、エチルアミン、ジメチルアミン、ジアミルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、モルホリン等のほか、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルフェニルエタノールアミン等のアルカノール基含有アミン化合物、トリエチレンジアミン(〔2,2,2〕ジアザビシクロオクタン)、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等のアミノアルキル基含有アミン化合物、アミノメチルトリエトキシシラン、ジアミノメチルジエトキシシラン、γ−アミノイソブチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有アミン化合物等が挙げられる。
また本発明では、アミン化合物として、ビス(2,2,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等の光安定剤を使用することもできる。
アミン化合物としては、とりわけ、塩基解離定数pKbが3以上11以下(好ましくは4以上8以下)であるアミン化合物が好適である。このような化合物を使用することにより、リコート性、汚れ防止性、硬化性等の物性をいっそう高めることができる。
アミン化合物の混合比率は、塗料用樹脂の固形分100重量部に対し、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.02〜5重量部である。かかる範囲内であれば、リコート性、汚れ防止性、硬化性等において十分な効果を得ることができ、上塗材のポットライフ確保等の点においても好適である。
本発明における上塗材では、上述の成分に加え、顔料を含むこともできる。顔料としては、一般的に塗料に配合可能な着色顔料、体質顔料等が使用できる。このような顔料の混合比率は、塗料用樹脂の固形分100重量部に対し、通常5〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは10〜100重量部である。顔料の混合比率が高すぎる場合は、塗膜にひび割れが生じるおそれがあるため注意を要する。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、アルミニウム顔料、パール顔料等を使用することもできる。
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。上塗材における体質顔料の粒子径は、通常50μm以下、好ましくは0.5μm以上30μm以下である。
本発明の上塗材には、本発明の効果を著しく損なわない範囲内であれば、通常塗料に使用可能な各種成分を混合することができる。このような成分としては、例えば、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、pH調整剤、吸着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
本発明における上塗材は、上記塗料用樹脂及び変性シリケート化合物を構成成分とするものであれば、その形態については特に限定されないが、通常は、塗料用樹脂を含む主剤と、変性シリケート化合物を含む硬化剤からなる2液型塗料とすることが望ましい。このような形態であれば、塗料の安定性確保、汚れ防止性能の発現等の点で好適である。着色顔料、体質顔料等の成分は、常法により主剤に均一に混合すればよい。
塗料用樹脂が架橋反応基を有するものであって、当該反応基と反応可能な架橋剤を使用する場合、該架橋剤は硬化剤に混合すればよい。具体的に、塗料用樹脂が水酸基を有するものである場合には、イソシアネート化合物を硬化剤に混合することができる。
[塗装方法]
本発明は、主に建築物の内外装において適用することができる。
本発明において、上記上塗材を用いてシーリング材上に塗装を行う際には以下のように実施することができる。
塗装の対象となる被塗面は、各種基材によって形成された面であって、その目地部や補修部等にシーリング材が充填された面である。基材としては、例えばコンクリート、サイディングボード、軽量気泡コンクリート(ALC)板、押出成形板、磁器タイル、金属、ガラス、プラスチック等が挙げられる。これら被塗面は、何らかの表面処理(シーラー、サーフェーサー、フィラー、パテ等)が施されたものであってもよく、既存塗膜等を有するものであってもよい。
シーリング材としては、可塑剤を含有するものが対象となるが、具体的には、シリコーン系シーリング材、変性シリコーン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材、変性ポリサルファイド系シーリング材、アクリルウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、SBR系シーリング材、ブチルゴム系シーリング材等が挙げられる。これらは一成分形、二成分形のいずれであってもよい。シーリング材における可塑剤含有量は、通常0.1〜50重量%程度である。
このような被塗面に上記上塗材を塗付する際、通常は基材表面及びシーリング材表面を含む被塗面全面に塗装を行えばよい。シーリング材の表面処理のみを目的とする場合は、シーリング材表面及びその周辺を、シーリング材が打設された幅より3〜10mm程度広く塗付すればよい。上塗材の塗付量は通常、固形分換算で30〜300g/m2程度である。塗装方法としては、ハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等の方法を採用することができる。
本発明は、上記のシーリング材の他に、ビニル系建材、塩化ビニル被覆品、塩化ビニル成形品等の可塑剤を含有する各種材料に適用することもできる。このうち、ビニル系建材としては、塩化ビニル系樹脂を主成分とし、さらに可塑剤を含有する壁材、天井材、床材等が対象となる。このような材料を対象とする場合も、ハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等の方法により、固形分換算の塗付量が30〜300g/m2程度となるように塗装を行えばよい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(変性シリケート化合物の製造)
・変性シリケート化合物(1)
メチルシリケート縮合物(重量平均分子量1000、平均縮合度8、不揮発分100%)100重量部に対して、イソブチルアルコール52重量部と、触媒としてジブチルスズジラウレート0.03重量部を添加し、混合後、75℃で8時間脱メタノール反応を行い、変性シリケート化合物(1)を製造した。この変性シリケート化合物(1)におけるメチル基とイソブチル基との当量比率は62:38であり、900℃にて焼成して得られたシリカ残量比率は43重量%であった。
・変性シリケート化合物(2)
メチルシリケート縮合物(重量平均分子量1000、平均縮合度8、不揮発分100%)100重量部に対して、n−ブチルアルコール52重量部と、触媒としてジブチルスズジラウレート0.03重量部を添加し、混合後、75℃で8時間脱メタノール反応を行い、変性シリケート化合物(2)を製造した。この変性シリケート化合物(2)におけるメチル基とn−ブチル基との当量比率は62:38であり、900℃にて焼成して得られたシリカ残量比率は43重量%であった。
(主剤の製造)
・主剤(1)
非水分散形アクリルポリオール(水酸基価50KOHmg/g、重量平均分子量80000、ガラス転移温度35℃、固形分50重量%、媒体:ミネラルスピリット、脂肪族炭化水素70重量%)200重量部に対し、酸化チタン86重量部、ミネラルスピリット18重量部、シリコーン系消泡剤1重量部を常法にて均一に混合・撹拌することにより、主剤(1)を製造した。
・主剤(2)
非水分散形アクリルポリオール(水酸基価50KOHmg/g、重量平均分子量80000、ガラス転移温度35℃、固形分50重量%、媒体:ミネラルスピリット、脂肪族炭化水素70重量%)200重量部に対し、酸化チタン86重量部、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(分子量508、pKb5.5)2重量部、ミネラルスピリット18重量部、シリコーン系消泡剤1重量部を常法にて均一に混合・撹拌することにより、主剤(2)を製造した。
(硬化剤の製造)
・硬化剤(1)
イソシアヌレート構造含有ポリイソシアネート(不揮発分100重量%、NCO含有量21重量%)40重量部に対し、ソルベッソ100(エクソンケミカル社製)40重量部、変性シリケート化合物(1)20重量部を均一に混合することにより、硬化剤(1)を製造した。
・硬化剤(2)
イソシアヌレート構造含有ポリイソシアネート(不揮発分100重量%、NCO含有量21重量%)40重量部に対し、ソルベッソ100(エクソンケミカル社製)40重量部、変性シリケート化合物(2)20重量部を均一に混合することにより、硬化剤(2)を製造した。
・硬化剤(3)
イソシアヌレート構造含有ポリイソシアネート(不揮発分100重量%、NCO含有量21重量%)40重量部に対し、ソルベッソ100(エクソンケミカル社製)10重量部、変性シリケート化合物(2)50重量部を均一に混合することにより、硬化剤(3)を製造した。
(塗料の製造)
・塗料A
上記方法にて製造した主剤(1)と硬化剤(1)を86:14の重量比率で均一に混合して塗料Aを得た。この塗料Aにおける変性シリケート化合物の混合比率は、樹脂固形分100重量部に対してSiO換算で4.3重量部である。
・塗料B
上記方法にて製造した主剤(2)と硬化剤(1)を86:14の重量比率で均一に混合して塗料Bを得た。この塗料Bにおける変性シリケート化合物の混合比率は、樹脂固形分100重量部に対してSiO換算で4.3重量部である。
・塗料C
上記方法にて製造した主剤(1)と硬化剤(2)を86:14の重量比率で均一に混合して塗料Cを得た。この塗料Cにおける変性シリケート化合物の混合比率は、樹脂固形分100重量部に対してSiO換算で4.3重量部である。
・塗料D
上記方法にて製造した主剤(1)と硬化剤(3)を86:14の重量比率で均一に混合して塗料Dを得た。この塗料Dにおける変性シリケート化合物の混合比率は、樹脂固形分100重量部に対してSiO換算で10.7重量部である。
(汚れ防止性試験)
縦300mm×横300mm×厚さ3mmのスレート板上に、縦300mm×横140mm×厚さ12mmの窯業系サイディングボード2枚を、20mmの間隔を設けて取り付けた。このボード間の目地部に対し、ポリウレタン系シーリング材(ジオクチルフタレート10重量%含有)をへらで充填し、7日間養生した。次に、各上塗材を塗付量0.3kg/m2でスプレー塗装し14日間養生した。なお、塗装、養生等はすべて標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で行った。
以上の方法で得た試験板を、80℃環境下にて7日間放置後取り出し、標準状態で放冷した。次いで、試験体を水平に置いて8号黒色珪砂を散布した後、試験板を垂直に立てて珪砂を自然落下させた。このとき、付着した8号黒色珪砂の程度(ふりかけた面積に対する付着面積の割合)を目視にて確認した。その結果、いずれも黒色珪砂の付着量は少なかったが、中でも上塗材Bの試験体が最も良好であり、次いで上塗材A及びD、次いで上塗材Cの順となった。
(ひび割れ防止性試験)
また、上記方法で得られた試験板について、水浸漬(23℃)18時間→−20℃3時間→80℃3時間を1サイクルとする温冷繰返し試験を合計10サイクル行った後、塗膜外観を確認した。その結果、上塗材A、B、及びCを塗装した試験体では異常は認められなかったが、上塗材Dの試験体ではわずかにひび割れ発生が認められた。

Claims (2)

  1. 可塑剤含有材料の表面を上塗材によって被覆する塗装仕上げ方法において、該上塗材として、
    ガラス転移温度が−20〜60℃である塗料用樹脂の固形分100重量部に対し、シリケート化合物をSiO換算で0.1〜20重量部含有し、前記シリケート化合物として、炭素数1〜2の直鎖アルキル基と炭素数3以上の分岐アルキル基が、95:5〜50:50の当量比率で混在する変性シリケート化合物を含む上塗材を使用することを特徴とする塗装仕上げ方法。
  2. 前記可塑剤含有材料が建築用シーリング材である請求項1記載の塗装仕上げ方法。
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