JP4637420B2 - 畳作業台 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、畳床に新たな畳表を張りつけたり畳縁を取付けたりする場合に使用される畳作業台であって、折り畳んだ状態で持ち運び可能な畳作業台に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
畳床に新たな畳表を張ったり畳縁を取付けたりする場合、一般に畳床を畳作業台に載せて作業が行われる。従来は、畳針と畳糸を持って腰を屈めて畳糸を肘で絞め上げながら行われており、そのため、畳作業台は、30〜35cm程度の高さであった。
又、畳表の張替え作業は、一般に、現場に道具を持ち込んで行われる場合が多いが、これまでの畳作業台は大きく重く、移動しづらいものが多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は、立ち作業により畳床に新たな畳表を張りつけたり、張り替えたりする場合に使用され、持ち運びに便利な畳作業台をすでに提案した(実用新案登録第3061097号)。
上記畳作業台によれば、腰を屈める等の不自然な姿勢をとらずに畳張りつけや畳張替えが可能であり、又、畳職人としての経験を有しない人でも簡単に、しかも、正確できれいに畳表の張り替えができる。更に、脚柱を折り畳むことにより、持ち運ぶことも可能である。
【0004】
しかし、上記畳作業台は、折り畳み自在なのは脚柱部分のみであって、天枠部は折畳むことができないので、折畳んだ状態でも全体的には大きく、薄い直方体であった。
従って、持ち運びには相当の力を要し、かつ、持ち運びづらいので、原則的には2人がかりで持ち運ばなければならないという若干の問題があった。
【0005】
本発明は、畳を加工する作業性に優れ、かつ、1人でも簡単に持ち運び可能な畳作業台を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による畳作業台は、縦枠と横枠で構成され、この横枠側に設けたヒンジで折り畳み自在に結合した2枚の天枠部と、この2枚の天枠部における前記ヒンジと反対側にそれぞれ2個ずつ折り畳み自在に取り付けられ、立ち作業に適した高さを有する脚柱と、前記2枚の天枠部における縦枠の一方側に沿ってそれぞれ起伏自在に設けられた縦向き載棒と、前記いずれか一方の前記天枠部の縦枠の前記ヒンジと反対側に沿って起伏自在に設けられた横向き載棒とを具備し、前記脚柱を、前記天枠部の縦枠に脚柱支持板とピンにより回動自在に取付け、前記脚柱を起立したとき前記縦枠とで、3角形をなすようにアームを配置し、このアームの一端を、ピンにより前記縦枠に回動自在に取付け、前記アームの他端側に長孔を形成し、前記脚柱に設けた締付ねじを前記長孔に摺動かつ締め付け自在に取り付け、前記一方の天枠部のヒンジと反対側の横枠の外側縁にキャスタを取付け、他方の天枠部のヒンジと反対側の横枠の外側縁にストッパ取付金具により着脱自在に畳床係止用ストッパを取付け、前記2枚の天枠部を折り畳んだとき、隣り合う脚柱間に開き防止の留め具を設け、前記各脚柱に、高さ調節脚を伸縮自在に取り付けたことを特徴とする。
【0007】
前記縦向き載棒49は、天枠40の縦枠42と同程度の長さとし、前記天枠40の縦枠42の少なくともいずれか一辺に沿って起伏自在に設ける。
【0008】
一方の天枠40の横枠43のヒンジ44と反対側には、内側に前記横向き載棒50を取付け、外側にキャスタ61を取付ける。
又、他方の天枠40の横枠43の、ヒンジ44と反対側には、畳床係止用ストッパ62を着脱自在に取付ける。
【0009】
畳の張り替え等の作業等を終了後、畳作業台を収納又は移動する場合は、以下のようにする。
起き上がっている2本の縦向き載せ棒49及び横向き載棒50を倒す。
畳作業台を裏返し、4本の脚脚41の側面にある固定ねじ48をゆるめて高さ調節脚47を縮め、かつ、締付けねじ57をすべてゆるめ、ピン60を長58内で摺動させながら脚柱41を90度折り曲げ、天枠40と平行な状態にし、再び固定ねじ48、高さ調節脚47を固定する。
一方の天枠40を持ち上げ、中央部のヒンジ44を支点にして180度折り曲げて、他方の天枠40の上に重ねる。すると、2枚の天枠40に設けられたキャスタ62及びストッパ61が同じ方向に揃えられる。
畳作業台を折畳んだ状態で、収納袋やカバー等に収納し、このまま運搬したり、作業場の片隅等に保管する。
畳作業台を折畳んだまま移動する場合は、キャスタ62を下側にして畳作業台の上部を持ち、キャスタ62側にやや傾けてストッパ61を床から浮き上がらせ、キャスタ62を転がして移動する。
【0010】
【実施例】
本発明による畳作業台の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2において、本発明による畳作業台は、1辺が50mmの正方形中空のアルミニウム角筒を枠材として用いて構成したもので、2枚の天枠部40と、折り畳み及び伸縮可能な4本の脚柱41と、前記2枚の天枠40を結合するヒンジ44と、天枠部40の縦枠42側にそれぞれ設けられた縦向き載棒49と、いずれか一方の天枠部40の横枠43側に設けられた横向き載棒50と、いずれか一方の天枠部40に設けられたキャスタ62と、他方の天枠部40に設けられた畳床係止用ストッパ61とからなる。
前記天枠部40は、縦枠42と横枠43とを、一辺が800mmの正方形となるように溶接され、かつ、内側に2本の横枠43が等間隔で溶接されて構成されている。
【0011】
前記脚柱41は、長さが600mmで、この脚柱41を垂直に立て、これらの間にH型に脚柱補強枠46を溶接する。このH型に溶接したものを2組用意し、各脚柱41の下方部に長さ調節脚47を伸縮自在に嵌合し、立ち作業に適した高さを有するように、長さ600〜800mmの範囲で調節した後、固定ねじ48で固定されている。
前記各脚柱41の上部に脚柱支持板45が溶接により取付けられ、脚柱41を天枠部40の両端部付近の下面に当てがいつつ、2枚の脚柱支持板45で縦枠42の両側面を挟みつつ、ピン65によって前記縦枠42に折り畳み自在に取り付ける。
又、各脚柱41の下部と縦枠42の側面との間に長孔56を有するアーム58が設けられ、このアーム58の脚柱41側は締付けねじ57によって取付けられ、このアーム57の縦枠42側はピン60によって回動自在に取付けられる。
【0012】
前記2枚の天枠40のそれぞれの縦枠42に沿って、アルミニウム円筒からなる縦向き載棒49が支持部材51、L字金具53及びピン54によって起伏自在に設けられている。この縦向き載棒49は、図4に示すように、天枠40の上に起き上がらせて畳床を天枠40に載せるときに使用する。
【0013】
一方の前記天枠40の横枠43の内側に沿って、アルミニウム円筒からなる横向き載棒50が、支持部材51、L字金具53及びピン54によって起伏自在に設けられている。これらの横向き載棒50は、図3に示すように、天枠40の上に起き上がらせ畳床を天枠40に載せるときに使用する。
又、この横向き載せ棒50を取付けた天枠40の外側に2個のキャスタ62が取付けられている。
他方の天枠40のヒンジ44と反対側の横枠43に沿って、端面がクランク型に折曲した畳床係止用ストッパ61が両端の取付け金具63により着脱自在に取付けられている。
【0014】
以上のような構成において畳作業台を持ち運ぶときには、図1に示す状態の作業台を裏返しにして、固定ねじ48をゆるめて高さ調節脚47を縮め、又、両側の脚柱41の締付けねじ57をゆるめ、両側の脚柱41を内側に折り畳み、その後に、固定ねじ48と締付けねじ57を締付ける。
一方の天枠40を、ヒンジ44を支点として他方の天枠40側へ折畳み、隣り合う脚柱41間に設けられた留め具64で天枠部40,40が開かないように留める。
このまま運搬するときは、キャスタ62が床面や地面に接するように天枠40を持ち上げる。このとき、天枠40をキャスタ62側に傾けてストッパ61を床から浮かせ、キャスタ62を転がして運搬する。
或いは、畳作業台を折畳んだ状態で、図示しない収納袋等に収納してもよい。
【0015】
以上のように構成した畳作業台を用いて畳床に畳表を張り替える場合の作業工程を説明する。
工程1:畳床29と畳表16を用意し、畳床29を図3に示すように組立てられた畳作業台の上に載せる。畳表16の張替の場合には、畳作業台の上に畳床29を裏返しにして載せて古い畳縁31と畳表16の裏側部分を外し、ついで、畳床29を表向きにして畳縁31と畳表16を剥がす。
【0016】
工程2:畳床29に畳表16を張付ける。
図3に示すように、脚柱41における両側の横向き載棒50を天枠40の上に起き上がらせ、その上に畳床29を表向きにして載せ、この畳床29の他方の端を天枠40の他端に設けたストッパ61に押し付け、更に畳床29の中央部分を上から強く押しつけて湾曲させる。この状態で畳床29の上前12側に、畳表16を直線的に切断した側を合わせて載せる。この畳表16は、上前12側が一致し、下前13側が少なくとも30mm程度突出し、左右が少なくとも100mm程度はみ出すようなものが用いられ、一端縁部を下向きに折り込んで仮止めピン32で仮止めし、さらに他端部をしっかりと引っ張り込んで同様に仮止めピン32で仮止めする。すると、畳表16と畳床29との間に隙間38が形成される。
畳床29を裏返しにして畳床29の側面から下端まで巻き込み一定幅で切断し、コ字形などの釘を一定間隔で打ち込み、畳表16のほつれ防止のために端縁に沿って接着テープを接着し、さらに、釘を一定間隔で打ち込む。接着テープが十分な接着力を有する場合には、コ字形などの釘を省くこともできる。湾曲した畳床29を平坦にすると、畳表16は、皺のないピンと張った状態となる。
【0017】
工程3:上前12側に畳縁31を取り付ける。
図4に示すように、2枚の天枠40のそれぞれの縦向き載棒49を起き上がらせて、その上に畳床29を載せ、畳床29の上前12に畳縁31を取付ける。このとき畳床29が斜めになり、上前12がやや上向きになるので、畳縁31の取付け作業性がよくなる。
【0018】
工程4:上前12側の畳縁31の取付けを終了後、下前13側に畳縁31を取り付ける。
起き上がった縦向き載棒49の上に下前13側が載るように畳床29を180度反転し、畳床29を表向きにして載せ、この畳床29の中央部分を上から強く押しつけて畳床29のみを湾曲させる。この状態で、畳床29の下前13よりも2〜3mm内側になるように畳表16を切断する。そして、畳表16の両端部をしっかりと引っ張り込んで仮止めピン32で仮止めする。すると、畳表16と畳床29との間に隙間38が形成される。
この状態で下前13に畳縁31を取付ける。湾曲した畳床29を平坦にすると、畳表16は、皺のないピンと張った状態で張り上がる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、上述のように構成したので、以下の効果を有する。
脚柱41及び天枠40を折畳むことができるので、従来の畳作業台と比較して大きさが半分程度となり、コンパクトになる。
更に、天枠40の横枠43にはキャスタ62を設けたので、畳作業台を持ち上げなくても移動可能となる。
従って、従来の畳作業台と比較して、格段に持ち運びしやすい畳作業台を得ることができる。
【0020】
脚柱41の下部に、畳作業台の高さを調節するための高さ調節脚47を設けたので、作業する人の背の高さや作業内容に応じて高さを変えることが可能となり、又、座って作業することも可能であり、その結果、畳を加工する作業性をより優れたものとすることができる。更に、畳床の端面をやや上向きにして作業できるので、より作業性を向上させることができる。
【0021】
2枚の天枠40を構成する縦枠41と縦枠42、脚柱41、縦向き載棒49及び横向き載棒50は、アルミニウムの角筒又は円筒からなる構成としたので、軽量で持ち運びの容易な畳作業台を得ることができる。
【0022】
又、畳作業台の収納スペースが従来のものの約半分で済み、移動にもあまり力を必要としないため、1人で簡単にで移動することもできる。
【0023】
前記縦向き載棒49及び前記横向き載棒50を起き上がらせ、畳床29を湾曲した状態で畳表16を張ることにより、湾曲した畳床29を平坦にすると、畳表16は、皺のないピンと張った状態で張り上げることができる。
【0024】
従って、畳床29に畳表16を張り替えする場合、永年の経験を有する職人によることなく、畳職人としての経験を有しない人でも簡単に、しかも、正確できれいに畳表の張り替えができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による畳作業台の一実施例を示す斜視図である。
【図2】 (a)は、図1の畳作業台を折畳んだ状態の左側面図、(b)は、同じく右側面図である。
【図3】 本発明による縦枠方向の断面図である。
【図4】 本発明の畳作業台の側面図である。
【符号の説明】
12…上前、13…下前、16…畳表、29…畳床、31…畳縁、32…仮止めピン、38…隙間、40…天枠部、41…脚柱、42…横枠43…横枠、44…ヒンジ、45…脚柱支持板、46…脚柱補強枠、47…高さ調節脚、48…固定ねじ、49…縦向き載棒、50…横向き載棒、51…載棒支持部材、52…収納袋、53…L金具、54…ピン、56…長孔、57…締付ねじ、58…アーム、60…ピン、61…畳床係止用ストッパ、62…キャスタ、63…ストッパ取付金具、64…留め具、65…ピン。

Claims (2)

  1. 縦枠と横枠で構成され、この横枠側に設けたヒンジで折り畳み自在に結合した2枚の天枠部と、この2枚の天枠部における前記ヒンジと反対側にそれぞれ2個ずつ折り畳み自在に取り付けられ、立ち作業に適した高さを有する脚柱と、前記2枚の天枠部における縦枠の一方側に沿ってそれぞれ起伏自在に設けられた縦向き載棒と、前記いずれか一方の前記天枠部の縦枠の前記ヒンジと反対側に沿って起伏自在に設けられた横向き載棒とを具備し、前記脚柱を、前記天枠部の縦枠に脚柱支持板とピンにより回動自在に取付け、前記脚柱を起立したとき前記縦枠とで、3角形をなすようにアームを配置し、このアームの一端を、ピンにより前記縦枠に回動自在に取付け、前記アームの他端側に長孔を形成し、前記脚柱に設けた締付ねじを前記長孔に摺動かつ締め付け自在に取り付け、前記一方の天枠部のヒンジと反対側の横枠の外側縁にキャスタを取付け、他方の天枠部のヒンジと反対側の横枠の外側縁にストッパ取付金具により着脱自在に畳床係止用ストッパを取付け、前記2枚の天枠部を折り畳んだとき、隣り合う脚柱間に開き防止の留め具を設け、前記各脚柱に、高さ調節脚を伸縮自在に取り付けたことを特徴とする畳作業台。
  2. 天枠部と脚柱は、アルミニウムの角筒からなり、縦向き載棒と横向き載棒はアルミニウムの円筒からなることを特徴とする請求項1記載の畳作業台。
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