JP4636667B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる定着装置に関し、特に発熱体の熱を耐熱性の定着フィルムを介して記録材に伝えて、記録材上のトナー像を加熱定着する定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置の多くは、定着装置に、熱効率が高く、安全性が良好な接触加熱型の熱ローラ方式や、省エネルギータイプのフィルム加熱方式を採用している。
【0003】
フィルム加熱方式の定着装置は、たとえば特開昭63−313182号、特開平2−157878号、特開平4−44075〜44083号、特開平4−204980〜204984号等に提案されている。
【0004】
この定着装置では、加熱部材である加熱用回転体の耐熱性フィルム(定着フィルム)を発熱体に、加圧部材である加圧用回転体の加圧ローラにより密着させて、加圧ローラにより定着フィルムを発熱体に摺動回転させ、定着フィルムと加圧ローラとで形成される圧接ニップ部(定着ニップ部)にトナー像を担持した記録材(たとえば紙)を導入して、記録材を定着フィルムと一所に搬送させて、定着フィルムを介して付与される発熱体からの熱と定着ニップ部の加圧力によって、トナー像を記録材上に永久画像として定着するものである。
【0005】
フィルム加熱方式の定着装置の装置構成の一例を図10に示す。定着装置21は、内側に金属ステー5を取り付けた上フレーム6を有し、金属ステー5はガイド部材を兼ねるヒートホルダー2を支持し、そのヒートホルダー2の下端に発熱体である加熱ヒータ1が保持され、加熱ヒータ1の外側に円筒状の定着フィルム3が配置されている。定着装置の下フレーム8内には、これに芯金4cを支持された加圧ローラ4が配置されている。金属ステー5に取り付けた図示しない加圧手段でヒートホルダー2を押さえ込むことにより、その下端の加熱ヒータ1と加圧ローラ4とを定着フィルム3を介して総圧4〜15kgf程度に圧接して、定着フィルム3と加圧ローラ4との間に定着ニップ部を形成している。
【0006】
加圧ローラ4が回転すると、定着フィルム3は定着ニップ部に作用する摩擦力により加圧ローラ4からの駆動力を受けて、ヒートホルダー2に沿って回転される。トナー像9を担持した記録材Pは、入り口ガイド7aに沿って定着ニップ部に入り、加圧ローラ4と定着フィルム3との間に挟持されて、加圧ローラ4により定着フィルム3とともに搬送される。そしてヒータ1により定着フィルム3を介して加熱され、定着ニップ部の圧接力により加圧されて、トナー像が記録材Pに定着されながら定着ニップ部を通過して、排紙ガイド7bに沿って排出されて行く。
【0007】
加圧ローラ4は、芯金4c上に耐熱性ゴム層4bおよび離型性層4aを設けてなっている。定着フィルム3は、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上するために、耐熱性、離型性および耐久性を備えたPTFE、PFA、PPS等の樹脂の膜厚が100μm以下、より好ましくは20〜40μmの単層フィルムか、または図示のように、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES等の基層フィルム3cの表面上に、導電性プライマー層3bを挟んでPTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂からなる離型性層3aをコーティングまたはチューブで形成した、同様な膜厚を有する複合層フィルムに構成されている。
【0008】
この複合層フィルムの定着フィルム3を用いる場合には、図11に示すように、定着フィルム3の端部に導電性プライマー層3bを露出させた領域を設け、この露出されたプライマー層3bに対向する加圧ローラ4の端部位置に、導電ゴムリング4dを芯金4cに嵌め込むことによって設け、導電プライマー層3bに導電ゴムリング4dを加圧当接させることで、プライマー層3bを芯金4cに接続した抵抗4eにより抵抗接地する。これにより、定着フィルム3表面の電位を安定させ、定着時、記録材上のトナー像への静電的な悪影響を生じにくくさせるようにしている。
【0009】
以上のような定着装置21によれば、加熱効率の高さや立ち上がりの速さによる待機中の予備加熱の不要化、画像形成装置のコピー開始までの待ち時間の解消など多くの利点を有しており、特に円筒形の定着フィルムを加圧ローラの回転に従動回転させるフィルム加熱方式は低コストを実現できるため、小型・低速機への導入から始まり、今後、大型・高速機への導入が期待されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のフィルム加熱方式の定着装置は、高速化、高寿命化を考えた場合に、定着画像のオフセット、尾引き、ローラ汚れによる画像品質の低下を防ぐためのさらなる改良を行う必要があった。
【0011】
たとえば、定着速度の高速化にともない定着温度を上げると、長期間の使用を通して定着フィルム3や加圧ローラ4等の部材がダメージを受け、それらの表面の離型性が劣化してオフセットが発生しやすくなる。さらに定着時にトナーが記録材の搬送方向の後方に飛び散って定着される尾引きという現象があるが、定着温度を上げると定着時に発生する水蒸気量が増えるので、この尾引きが発生しやすくなる。
【0012】
これらのオフセットや尾引きが発生しやすい条件では、定着フィルムや加圧ローラ等にトナーによる汚れも蓄積しやすくなり、定着時に記録材のトナー汚れを生じやすくなってしまう。
【0013】
そこで、定着フィルム等の表面電位を制御して、定着フィルムにトナーが付着するのを防ぐことが重要になってくる。たとえば、加圧ローラ4の芯金4cから導電ゴムリング4dを通して、定着フィルム3の表面をトナーと同極性の電位に帯電することにより、オフセット、尾引き等を低減して、定着画像の品質を改善することができる。しかし、この方法では、定着フィルム3の表面電位をある程度制御できるものの、加圧ローラ4の表面電位を制御することは困難である。
【0014】
加圧ローラ4表面は、離型性の良好なフッ素樹脂のコート層やチューブで覆われており、紙やフィルム等の記録材との摩擦により、表面がマイナスに帯電しやすくなっている。このため、トナーの帯電極性が加圧ローラ4表面と同じマイナスであると、記録材上のトナー像が定着ニップ部に入る直前で、トナーが加圧ローラ4と電気的に反発して、定着フィルム3側に転移する力が働きオフセットが生じやすくなる。
【0015】
そこで、加圧ローラ4の芯金4cをダイオードを介して接地することにより、所定極性の表面電位に制御し、定着フィルム3の方は、露出された導電プライマー層に給電部材を接触させて、直接給電により定着フィルムの表面電位を制御する方法が考えられている。
【0016】
定着フィルムに直接給電するためには、給電部材としてリン青銅等の板バネなどを接触させればよいが、しかしながら、柔軟な可撓性部材である強度的に弱い定着フィルムに金属の板バネ等を接触させたのでは、使用により接触部が摩耗してしまい、実用に耐えない問題があった。
【0017】
このようなことから、定着フィルム等の柔軟な可撓性の加熱部材に給電部材を接触して、直接給電により加熱部材に定着バイアスを印加し、表面電位を制御するに際し、加熱部材に摩耗等を生じることなく給電可能とした技術の開発が望まれていた。
【0018】
したがって、本発明の目的は、給電部材により定着フィルム等の加熱部材に摩耗を生じることなく直接給電で定着バイアスを印加して、装置の寿命に至るまで、オフセットや尾引き等のない良好な定着画像を得ることを可能とした定着装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る定着装置にて達成される。要約すれば、本発明は、導電層を有する筒状のフィルムと、前記フィルムの内面に接触するヒータと、前記フィルムを介して前記ヒータと共に定着ニップ部を形成する加圧部材と、前記フィルムの筒の端部で前記導電層に接触する導電性ブラシと、を有し、前記ヒータと前記フィルムの間にはグリスが塗布されており、前記定着ニップ部でトナー像を担持した記録材を挟持搬送しつつトナー像を記録材に定着する定着装置において、
前記導電性ブラシは、固定用板金に直毛の導電性繊維の束を前記フィルムの回転方向に沿って複数束植毛したものであり、前記回転方向の上流側の束ほど前記導電性繊維の長さが長く、前記導電層に対して全ての束の前記導電性繊維が、その先端が根元よりも前記回転方向の上流側となるカウンター方向に接触しており、前記回転方向の下流側の束のほうが上流側の束よりも前記フィルムとの接触量が大きいことを特徴とする定着装置である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る定着装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0022】
実施例1
本発明は、画像形成装置に使用される定着装置の改良にあるが、まず、本発明の定着装置が使用される画像形成装置の一例として、図1に示す電子写真プロセス利用のレーザービームプリンタについて説明する。
【0023】
図1に示されるように、本プリンタは、像担持体として回転ドラム型の電子写真感光体、すなわち感光ドラム11を備え、この感光ドラム11は、OPC、アモルファスシリコン等の感光材料をアルミニウムやニッケル等のシリンダ状の基体上に塗布して形成されており、矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。感光ドラム11はその回転過程で、表面を帯電ローラ12により所定の極性・電位に一様に帯電される。
【0024】
つぎに、露光装置としてのレーザースキャナ13が、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応してON/OFF制御されたレーザービーム13aを出力して、回転する感光ドラム11の表面に走査露光する。これにより、感光ドラム11の表面に走査露光のパターンに対応した静電潜像が形成される。感光ドラム11上の静電潜像は、現像装置14によって現像され、トナー像として可視化される。
【0025】
感光ドラム11上のトナー像は、感光ドラム11と転写ローラ15とで形成された転写ニップ部Tにおいて、給紙カセット17から転写ニップ部Tに所定のタイミングで給紙された記録材Pに、転写ローラ15の作用により転写される。給紙カセット17は記録材Pを積載収容しており、収容された記録材Pは、給紙ローラ18と図示しない分離部材との協同作用により、1枚ずつ分離して給紙され、シートパス19を通ってレジストローラ20まで搬送され、感光ドラム11上のトナー像が転写ニップ部Tに到達するのに同期して、レジストローラ20により転写ニップ部Tに供給される。
【0026】
転写ニップ部Tでトナー像の転写を受けた記録材Pは、定着装置21に搬送され、そこで記録材P上のトナー像が定着され、シートパス22を通って装置上面の排紙部23に排出される。一方、トナー像の転写を終了した感光ドラム1は、表面に残留した転写残りトナーをクリーニング装置16により除去された後、繰り返して作像に供される。
【0027】
上記のレーザービームプリンタは、A4縦通紙で24ppm(プロセススピード150mm/秒)の性能を有している。定着装置21は、このような性能のプリンタに搭載してある。
【0028】
以下、本発明の定着装置について説明する。本発明は、給電部材を導電性材料の可撓性部材とし、給電部材により定着フィルム等の加熱部材に摩耗を生じることなく、直接給電で定着バイアスを印加可能としたことが大きな特徴である。これにより、装置の寿命に至るまで、オフセットや尾引き等のない良好な定着画像を得ることを可能とするものである。
【0029】
本発明の一実施例では、定着装置21は、フィルム加熱方式のオンデマンド装置とされ、基本構成は、図10に示した従来の定着装置と同様であるが、本実施例では、図2に示すように、定着フィルム3側に給電部材として給電ブラシ30を設け、また加圧ローラ4に、芯金4cと接地間にダイオード40を介挿して、それぞれの表面電位を制御する点が異なる。以下、本発明の説明で必要に応じ図10を援用する。
【0030】
給電ブラシ30は、定着フィルム3の片側端部の導電プライマー層3bの露出領域に当接されており、本発明によれば、その当接は定着フィルム3の移動方向に沿った方向とし、かつブラシの下流側の部分で接触量を大としている。これについては後述する。
【0031】
この給電ブラシ30には、トナー像を担持した記録材が定着装置21を通過する際、トナーと同極性のマイナスの定着バイアスが印加され、これにより給電ブラシ30を介して定着バイアスが定着フィルム3に印加される。本実施例では、給電ブラシ30には、図1の帯電ローラ12に帯電バイアスを印加するのと同じ高圧電源Eを接続して、感光ドラム11の帯電時に使用するDC成分の約−600Vと同じ電圧を印加した。定着バイアスの印加により、定着フィルム3の表面電位がマイナスに制御され、定着装置21に入る定着前の記録材上のトナーが定着フィルム3へ転移するのが静電的に防がれ、トナーが定着フィルムにオフセットするのが防止される。
【0032】
本実施例によれば、加圧ローラ4は、図10の芯金4c上のゴム層4bを導電性としている。本例では、ゴム層4bを10×5Ωcm以下の抵抗値の導電性シリコーンスポンジで形成し、厚さ6mmとした。芯金4cは外径13mmのアルミニウム製で、表面の離型性層4aは厚さ50μmのPFAチューブを被せて形成した。加圧ローラ4の外径は25mmとした。
【0033】
加圧ローラ4の芯金4cには、上記したように、グランドとの間にダイオード40を接続している。これにより、加圧ローラ4にトナーと逆極性のプラスの電圧をかけて、加圧ローラ4の表面電位をプラス極性に制御し、定着装置21に入る定着前の記録材上トナーを記録材に静電的に押さえ付けて、この面からも、トナーが定着フィルム3にオフセットするのを防止している。
【0034】
さて、給電ブラシ30は、図3に示すように、アルミニウム製の固定用板金31の定着フィルム3の周方向(移動方向)に沿う長手方向に、導電性繊維のブラシ毛32の束を複数束、1列に植毛してなっている。本例では、単繊維外径20μmの導電性アモルファス繊維からなるブラシ毛32の束を5束、板金31にシリコーン系熱硬化性テープで固定して植毛した。
【0035】
定着フィルム3に対するブラシ毛32の束の当接は、定着フィルム3の移動方向に対するカウンター方向とされる。本実施例では、図4に示すように、ブラシ毛束X(X1〜X5)と定着フィルム表面の接線tとがなす角度(進入角)θをθ<90゜として、カウンター方向に当接した。
【0036】
本実施例では、このブラシ毛32の5つの束Xをピッチc=1.5mmの等間隔に設け、毛束のブラシ毛長さbを表1に示す値として、進入角θを調節することにより、毛束の導電プライマー層3bに対する進入量(ブラシ進入量)aを表1に示すように調整した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示されるように、本実施例1では、ブラシ進入量aをX1<X5<X2<X4<X3とし、進入量が最も多い真ん中の毛束X3を境にして、全体的に見て上流側の毛束X1〜X2よりも下流側の毛束X3〜X4で進入量が多くなるようにした。
【0039】
上記のように、定着フィルム3の移動方向に関し、給電ブラシ30の進入量をブラシの下流側で多くすれば、ブラシの下流側では、ブラシ毛32の先だけでなく、ブラシ毛の腹部でも導電プライマー層3bと接触させることができ、接触面積、すなわち接触量を増すことができる。
【0040】
このように、給電ブラシ30を導電プライマー3bに対し定着フィルム3の移動方向に沿って接触させ、かつブラシ30の接触量を下流側で大とした理由は、導電プライマー3bに付着したグリス等の絶縁性異物を、専らブラシ30の上流側のブラシ毛で除去して、下流側のブラシ毛に付着するのを防ぎ、下流側のブラシ毛では、良好な導通を得るためである。
【0041】
フィルム加熱方式の定着装置21では、定着フィルム3とその内側の加熱ヒータ1との摺動性を向上させるためにグリスを用いているが、そのグリスが定着フィルム3の端部に染み出してプライマー層3bに付着したり、トナー、紙粉などの異物がプライマー層3bに付着して、定着フィル3の回転に従ってブラシ30のところに運ばれる。しかし、本実施例によれば、給電ブラシ30を定着フィルム3の移動方向に沿って接触させているので、グリスやトナー、紙粉などの絶縁性異物をブラシ30の上流側の毛先に保持し、また毛束で拡散して、下流側のブラシ毛に付着するのを防ぐことができる。またブラシ毛の接触量を下流側で大きくしているので、導電プライマー層3bとの十分な接触をとることができ、長期間の使用によっても良好な導通を得ることができる。
【0042】
表1には実施例1と合わせて比較例1を示してあるが、この比較例1は、給電ブラシ自体は実施例1と同じであるものの、図4の進入角θをθ>90゜とすることにより、ブラシ進入量aが、最も多い真ん中の毛束X3を境にして、全体的に見て下流側よりも上流側で多くなっている。
【0043】
このように、給電ブラシ30の進入量がブラシの上流側で多くすると、ブラシの上流側で、図5に示すように、ブラシ毛の腹部が導電プライマー層3bと接触して接触量が増すが、ブラシ30に運ばれてくるグリスやトナー等の絶縁性異物が付着するので、ブラシの上流側の接触状態が悪化してしまう。またブラシの下流側の部分は接触量が元々少ないので、ちょっとしたグリス等の付着や損傷で接触状態が悪化する。したがって、比較的短期間のうちにブラシの上流側、下流側がともに給電部として機能しなくなる。
【0044】
なお、図6に示すように、給電ブラシ30を定着フィルムの長手方向に沿って導電プライマー層3bに当接させる方法も考えられるが、導電プライマー層3bの露出部の幅はたとえば5mmと狭く、定着フィルムの長手方向に短いブラシししか使用できない上、ブラシに運ばれてくるグリスやトナー等の絶縁性異物の付着により、短期間で接触状態が悪化してしまう。
【0045】
上記の表1に示した実施例1の下流側でブラシ進入量を相対的に多くした給電ブラシと、比較例1の上流側でブラシ進入量を多くした給電ブラシとについて、定着枚数20万枚が寿命である定着装置に用いて、定着枚数20万枚の連続画像形成を行って、そのときの定着画像の尾引きレベルおよび定着フィルムの表面電位を調査、測定した。尾引きレベルの調査結果を表2に示し、定着フィルムの表面電位の測定結果を図7示す。試験環境は、23℃、50%RHの常温常湿環境で、記録材は普通紙としてXEROX4024(LTRサイズ、坪量75g/m2)の紙を用い、20万枚の連続通紙をした。
【0046】
表2において、符号の意味はつぎの通りである。○:尾引きがなく良好である、△:尾引きがあるが、許容レベルで実用上可である、×:尾引きが多く不良である。
【0047】
【表2】
【0048】
表2に示されるように、比較例1は、耐久試験の初期から5万枚までは、尾引きながなく良好であったが、その後、尾引きが発生して、10万枚から最後の20万枚までは尾引きが多く、結果は不良になった。実施例1は、比較例1ほど尾引きが発生せず、耐久試験の10万枚から20万枚まででも尾引きが許容レベルであった。これは、図7に示されるように、定着枚数に対する定着フィルムの表面電位の低下が、比較例1では大きいのに対し、本実施例1では小さく、トナーを記録材上の紙に付着させる力が強く、トナーが定着フィルムの表面に付着しにくいからである。
【0049】
定着フィルム3の表面電位が低下する原因の一つにはフィルムの劣化がある。
これは、使用により定着フィルム表面の離型性層が記録材や加圧ローラ等との摩擦により削れ、給電ブラシからフィルムに給電された帯電電流が漏れやすくなっているためである。他の原因には、給電ブラシとフィルムの導電プライマー層の接触状態が不安定になっていることが挙げられる。
【0050】
比較例1では、耐久試験20万枚後に給電ブラシと導電プライマー層の接触状態が初期と比べて悪化していると考えられ、耐久試験後に給電ブラシを観察すると、特に上流側のブラシ毛先がグリスやトナーで汚れていた。
【0051】
この比較例1の給電ブラシを新品同様に清掃して使用した場合を便宜上比較例2として、そのときの尾引きレベルおよびフィルム表面電位を上記の表2および図7に示す。比較例1の給電ブラシを清掃してグリス等を除去すると、給電ブラシの帯電性能がかなり回復して、定着画像の尾引きはなくり、また定着フィルムの表面電位は、実施例1の定着枚数20万枚のフィルム表面電位とほぼ同じレベルになった。
【0052】
これから分かるように、本実施例によれば、長期間の使用を通じて、給電ブラシの給電性能をかなり初期に近い状態に維持でき、安定して定着フィルムにバイアスを給電することができる。
【0053】
また実施例1では、尾引き以外の画像品質のオフセットや加圧ローラ汚れについても、比較例1と比較して良好であった。
【0054】
以上説明したように、本実施例では、定着フィルム3の導電プライマー層3bに対し給電ブラシ30を定着フィルム移動方向に沿って接触させ、かつブラシ30の定着フィルムに対する進入量を下流側で増すことにより、導電プライマー層との接触量を下流側で大としたので、長期間の使用による給電ブラシへのグリス等の付着、汚染での悪影響を防いで、定着バイアスの印加により定着フィルムの表面電位を良好に制御でき、尾引き等のない良好な定着画像を安定して得ることができるようになった。
【0055】
以上では、給電ブラシ30の定着フィルム3に対する進入量をブラシの下流側で増して、ブラシの導電プライマー層との接触量を下流側で大としたが、本発明はこれに限られず、給電ブラシの下流側でブラシ毛束の繊維本数を増して、下流側のブラシ密度を高くしたり、下流側で毛束のピッチを狭めて、下流側でブラシ密度を高めたり、あるいは下流側で毛束の繊維を太くして、下流側でブラシの接触圧を高めるなどによって、ブラシの導電プライマー層との接触量を下流側で大としてもよく、同様な効果を得ることができる。
【0056】
また定着フィルム3の給電部材として、導電性繊維のフェルト(不織布)を用いることもでき、その場合は、フェルトを定着フィルム3の移動方向に長い形態とし、かつその定着フィルムの移動方向に関し、フェルトの下流側の部分の面積を大とし、もしくは当接圧を大とすることにより、フェルトの下流側で導電プライマー層3bとの接触量を大とすればよい。
【0057】
実施例2
本実施例では、図8に示すように、給電ブラシ30よりも定着フィルム3の移動方向上流側に、清掃部材として基台35に耐熱性のフェルト36を設けたフェルト部材34を設置して、フェルト36を定着フィルム3の露出された導電プライマー層3bに当接させ、導電プライマー層表面に付着したトナーや紙粉、グリス等の異物を、給電ブラシ30の上流側で前もって捕獲し、除去させるようにしたことが特徴である。
【0058】
フェルト35にはアラミド繊維(デュポン社製ノーメックス)のフェルトを使用した。このフェルト35には、好ましくは、導電プライマー層35bとの摩擦を軽減するために、耐熱性のシリコーンオイルを含浸することが望ましい。
【0059】
給電ブラシ30は、実施例1と同じもので、導電プライマー層3bに定着フィルム3の移動方向に沿って接触させ、かつブラシの下流側でブラシ毛の進入量を大とすることにより、下流側で導電プライマー層との接触量を大としている。
【0060】
本実施例において、記録材として、IGEPA社製のCONTINENTALLX紙(A4サイズ、坪量80g/m2)と、FOXRIXVR BOND社製のラフ紙(LTRサイズ、坪量75g/m2)を交互に500枚ずつ通紙する態様で、連続20万枚の定着試験を行い、そのときの尾引きレベルを調査した結果を表3に示す。表3には、実施例2および比較例1による場合の結果も合わせて示す。またそのときのフィルム表面電位を調査した結果を図9に示す。図9には、実施例1および比較例1による場合の結果も合わせて示す。表3において、符号の意味は表2のときと同じである。
【0061】
【表3】
【0062】
上記のCONTINENTAL LX紙は、填料に炭酸カルシウムが多く含まれた高炭カル紙で、プラス電荷の紙粉が発生しやすく、定着フィルムや加圧ローラへの紙粉の付着や蓄積が起こりやすい紙である。またFOXRIXVR BONDラフ紙は、表面に凹凸を有する紙で、トナーが定着しづらく、定着フィルムや加圧ローラへのトナーの付着が起こりやすい。これらの紙を通紙して定着した場合、定着フィルムや加圧ローラ表面に紙粉やトナーによる汚れが溜まって、給電ブラシの繊維を汚し、導電プライマー層とブラシの接触状態が不安定になり、給電不良を起こすことが容易に想像される。
【0063】
実施例1の場合、普通紙を使用したとき、先の図7に示すように、定着20万枚の定着フィルム3の表面電位は約−400Vであったが、高炭カル紙やラフ紙を使用したときは、図9に示すように、定着20万枚でフィルム表面電位は約−340Vまで落ちていて、定着画像も劣化している。
【0064】
一方、実施例2では、定着に不利な条件の高炭カル紙やラフ紙を通紙した場合でも、定着フィルム3の表面電位の低下量は少なく、定着装置の寿命を通じて良好な定着画像を得ることができた。
【0065】
このように、本実施例では、清掃部材のフェルト36が、定着フィルム3の表面に付着したトナーや紙粉、グリス等の異物を捕獲して除去するので、給電ブラシ30は、定着フィルム3表面の導電プライマー層3bと常に良好な接触状態を維持することができる。したがって、定着装置が過酷に使用された場合でも、給電ブラシ30に導電プライマー層3bとの良好な接触を確保して、安定した定着画像を得ることができる。
【0066】
以上では、定着フィルム3に対し清掃部材としてフェルト部材34を用いたが、フェルト部材の代わりに給電ブラシ30のような導電性のブラシを給電ブラシ30の上流に少なくとも1つ以上設置し、その上流側のブラシに定着フィルム3の清掃の機能だけでなく、定着バイアスの給電の機能を持たせ、上流側のブラシおよび給電ブラシ30によって、定着フィルム3に定着バイアスを印加させるようにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の定着装置によれば、定着フィルムに摩耗を生じることなく直接給電で定着バイアスを印加して、装置の寿命に至るまで、オフセットや尾引き等のない良好な定着画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着装置が使用される画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の定着装置の一実施例における定着フィルムおよび加圧ローラの表面電位制御法を示す説明図である。
【図3】図2の定着装置の定着フィルムおよびこれに設ける給電ブラシを示す斜視図である。
【図4】図3の給電ブラシの定着フィルムへの進入量等の寸法関係を示す説明図である。
【図5】比較例の給電ブラシによる定着フィルムの導電プライマーへの接触を示す説明図である。
【図6】定着フィルムへの給電ブラシの好ましくない長手方向接触を示す説明図である。
【図7】図2の実施例での定着枚数とフィルム表面電位との関係を比較例1等との場合と合わせて示すグラフである。
【図8】本発明の定着装置の他の実施例において定着フィルムに帯電ブラシの他に清掃部材を設置したところを示す説明図である。
【図9】図8の実施例での定着枚数とフィルム表面電位との関係を比較例1等による場合と合わせて示すグラフである。
【図10】従来の定着装置を示す断面図である。
【図11】図10の定着装置での定着フィルムの表面電位制御法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 加熱ヒータ
3 定着フィルム
3a 離型性層
3b 導電プライマー層
4 加圧ローラ
4b ゴム層
4c 芯金
21 定着装置
30 給電ブラシ
32 ブラシ毛
34 フェルト部材
36 フェルト
40 ダイオード
Claims (1)
- 導電層を有する筒状のフィルムと、前記フィルムの内面に接触するヒータと、前記フィルムを介して前記ヒータと共に定着ニップ部を形成する加圧部材と、前記フィルムの筒の端部で前記導電層に接触する導電性ブラシと、を有し、前記ヒータと前記フィルムの間にはグリスが塗布されており、前記定着ニップ部でトナー像を担持した記録材を挟持搬送しつつトナー像を記録材に定着する定着装置において、
前記導電性ブラシは、固定用板金に直毛の導電性繊維の束を前記フィルムの回転方向に沿って複数束植毛したものであり、前記回転方向の上流側の束ほど前記導電性繊維の長さが長く、前記導電層に対して全ての束の前記導電性繊維が、その先端が根元よりも前記回転方向の上流側となるカウンター方向に接触しており、前記回転方向の下流側の束のほうが上流側の束よりも前記フィルムとの接触量が大きいことを特徴とする定着装置。
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