JP4636436B2 - 高電圧漏れ電流測定装置、及びtftアレイ検査装置 - Google Patents

高電圧漏れ電流測定装置、及びtftアレイ検査装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子銃からエミッション電流を流出させる装置において、電子銃の高電圧漏れ電流を測定する装置、及びこの高電圧漏れ電流測定装置を備えるTFTアレイ検査装置に関する。
TFTアレイ検査装置は、欠陥検出用信号パターンでTFT基板を駆動し、その結果TFT基板に発生するITO電圧を電子ビーム照射により発生する二次電子の強度で検出し、アレイ全体の良否を判定する。このようなTFTアレイ検査装置のように電子銃から照射した電子ビームを用いて測定を行う他、半導体製造装置においては電子銃から照射して電子ビームを用いた対象物を加工することも行われている。
このような電子銃を備えた各種装置においては、検査精度や加工精度を維持するために電子銃の劣化を把握する必要がある。
例えば、TFTアレイ検査装置においては、電子銃の劣化により高電圧漏れ電流が増えると電子ビーム量の大きく変化する。TFTアレイ検査装置の信号処理は、電子銃から射出する電子ビーム量が一定であることを前提としているため、高電圧漏れ電流の増加に伴って電子ビーム量が大きく変化すると、正常部分についても「擬似欠陥」と誤って認識し、検査装置の欠陥検出率が低下する。
電子銃のフィラメントから放出される単位時間当たりの電子量はエミッション電流と呼ばれる。また、被検体に照射される単位時間当たりの電子量はビーム電流であり、エミッション電流に応じて変動する。電子銃はビーム電流が一定であることが求められるが、ビーム電流を一定に制御する制御回路は複雑で高価となるため、一般には、比較的に安価で簡易な構造とすることができる、エミッション電流を一定に制御する制御回路が用いられている。制御回路は、通常、高電圧電源から駆動回路に流れ込む電流をエミッション電流とし、この電流が一定となるように制御している。
しかしながら、高電圧電源から駆動回路へ流れ込む電流には、フィラメントから放出されるエミッション電流の他に、高電圧を絶縁している碍子の表面に流れる高電圧漏れ電流も含まれるため、制御回路は、エミッション電流ではなく、(エミッション電流+高電圧漏れ電流)が一定と否かを監視している。
図12(a)は、正常の稼働状態における概略構成を示し、図13(a)は正常の稼働状態における電流状態を示している。電子銃が正常動作を行っている場合には、高電圧漏れ電流は制御上無視できる程度の大きさであるため(図13(a)中の高電圧漏れ電流c)、“エミッション電流+高電圧漏れ電流”(図13(a)中のa+c)の変化は、おおむねエミッション電流(図13(a)中のa)の変化と見なすことができる。したがって、(エミッション電流+高電圧漏れ電流)の変化に応じてフィラメント電流を制御することで、エミッション電流を一定値に保持することができる(図13(a)中のa′)。
図13(b)は、高電圧漏れ電流の変動状態における電流状態を示している。高電圧漏れ電流が大きく変動している場合には(図13(b)中の高電圧漏れ電流c)、エミッション電流が一定である場合であっても(図13(b)中のエミッション電流a)、“エミッション電流+高電圧漏れ電流”(図13(b)中のa+c)は、高電圧漏れ電流の変化に伴って変化する。したがって、(エミッション電流+高電圧漏れ電流)の変化に応じてフィラメント電流を制御することで、エミッション電流が変動することになる(図13(b)中のa′)。このように、エミッション電流の変動がビーム電流の変動に影響するため、エミッション電流が一定であるにもかかわらず、ビーム電流が変動することになる。ビーム電流の変動は、TFTアレイ検査装置においては欠陥の検査精度を低下させることになる。
高電圧漏れ電流が大きく変動する要因としては、絶縁碍子の汚染による絶縁抵抗の低下、異物の付着による絶縁間距離の等価的な減少が知られている。したがって、高電圧漏れ電流の変動を監視することによって、電子銃や周辺部品の不都合を把握することができる。
従来、高電圧漏れ電流を測定するには、電子銃を備える装置の稼働を停止させ、手動によるメンテナンス操作で行っている。手動操作では、電子銃のフィラメントへの駆動回路を停止して、フィラメントから放出されるエミッション電流を零とし、この状態において、高電圧電源から駆動回路に流れ込む電流を高電圧漏れ電流として検出する。検出した高電圧漏れ電流値に基づいて良否判定を行う。メンテナンス処理が終了した後は、手動で装置の稼働を再開させる。
図12(b)は、高電圧漏れ電流の測定状態を示している。装置の稼働を停止させることで電子銃から放出されるエミッション電流を止め、このときに電流計によって高電圧電源から駆動回路に流れ込む電流を、高電圧漏れ電流として測定する。
手動によるメンテナンス操作による高電圧漏れ電流の測定は、種々の課題を含んでいる。
高電圧漏れ電流の検出は、手動によって装置稼働を停止させる必要があるため、装置を停止させている時間が長くなり、単位時間当たりの検査数量に限界がある。
手動操作によるため、誤操作、操作に熟練の程度により作業時間が長くなる場合があり、生産計画のスケジュールの実行効率を向上させることが難しい。
生産計画等の関係から、装置稼働を停止することができない場合には、設定した間隔で検査することが難しく、検査間隔が長くなると不具合の早期発見が難しい。
そこで、本発明は上記課題を解決し、手動によって装置稼働を停止させることなく、高電圧漏れ電流を自動測定することを目的とする。
上記目的を解決するために、本発明の高電圧漏れ電流測定装置は、電子銃からエミッション電流を流出させる装置において、電子銃を駆動する電子銃駆動回路と、電子銃の駆動源を構成する高電圧電源から電子銃駆動回路へ流れ込む電流を測定する電流計と、電子銃駆動回路を制御する制御回路とを備える。
制御回路は、電子銃駆動回路を制御して、電子銃からエミッション電流を流出させない測定モードとし、この測定モードにおける電流計の電流値を高電圧漏れ電流として取得する。
電子銃駆動回路は、電子銃のフィラメントにフィラメント電流を供給する等の動作をさせることで駆動する。フィラメントはフィラメント電流によって加熱される。加熱されたフィラメントは電子を放出し、エミッション電流を流出する。
電流計は、高電圧電源から駆動回路に流れ込む電流を測定する。電子銃からエミッション電流が流出する場合には、電流計はこのエミッション電流を測定する。また、高電圧漏れ電流が存在する場合には、電流計は、この高電圧漏れ電流を含むエミッション電流を測定する。
制御回路は、電子銃駆動回路を制御して、電子銃からエミッション電流を流出させない測定モードとする。測定モードでは、電子銃からはエミッション電流が流出しないため、このとき電流計が測定する電流値は高電圧漏れ電流となる。
本発明の高電圧漏れ電流測定装置は、電子銃からエミッション電流を流出させない測定モードのための構成として複数の態様を備える。
第1の態様は、フィラメント電流を停止することでエミッション電流の流出を停止させるものであり、第2の態様は、フィラメント電流を制限することでエミッション電流の流出を停止させるものであり、第3の態様は、ウェーネルトに電圧を印加することでエミッション電流の流出を停止させるものである。
第1の態様の構成は、電子銃からエミッション電流を流出させる装置において、電子銃にフィラメント電流を供給して電子銃を駆動する電子銃駆動回路と、電子銃の駆動源を構成する高電圧電源から電子銃駆動回路へ流れ込む電流を測定する電流計と、電子銃駆動回路を制御する制御回路とを備える。
制御回路は、電子銃へのフィラメント電流の供給を停止させるフィラメント電流オフ指令を電子銃駆動回路に発する。電子銃駆動回路は、このフィラメント電流オフ指令を受けて、フィラメント電流の供給を停止する。電流計は、フィラメント電流停止時の電流値を高電圧漏れ電流として取得する。
第2の態様の構成は、電子銃からエミッション電流を流出させる装置において、電子銃のフィラメント電流を制御し電子銃を駆動する電子銃駆動回路と、電子銃の駆動源を構成する高電圧電源から電子銃駆動回路へ流れ込む電流を測定する電流計と、電子銃駆動回路を制御する制御回路とを備える。
制御回路は、電子銃に供給するフィラメント電流値を低減するフィラメント電流低減指令を電子銃駆動回路に発する。電子銃駆動回路は、このフィラメント電流低減指令を受けて、フィラメント電流を低減する。電子銃は、供給されるフィラメント電流が低減することで、エミッション電流の流出が停止する。電流計は、フィラメント電流低減時の電流値を高電圧漏れ電流として取得する。
電子銃駆動回路は電流低減回路を有し、この電流低減回路は、フィラメント電流低減指令に基づいてフィラメントに供給するフィラメント電流を低減する。この低減されたフィラメント電流値は、フィラメントからのエミッション電流の流出が停止する電流値である。
第2の態様によれば、フィラメントには、エミッション電流が流出しない程度のフィラメント電流が流れる。そのため、フィラメントは所定温度に保持され、測定モード時と装置稼働時との温度差を縮小することができる。これによって、測定モードの前後における装置稼働モードでのフィラメントや周囲の温度状態の変化を抑制することができる。
第3の態様の構成は、電子銃からエミッション電流を流出させる装置において、エミッション電流をフィードバックして電子銃のフィラメント電流を供給して電子銃を駆動する電子銃駆動回路と、電子銃の駆動源を構成する高電圧電源から電子銃駆動回路へ流れ込む電流を測定する電流計と、電子銃駆動回路を制御する制御回路とを備える。
制御回路は、電子銃にウェーネルトに電圧を印加するウェーネルト電圧指令と、フィラメント電流を制限する制限電流値指令を電子銃駆動回路に発する。ウェーネルト電圧の印加によってエミッション電流の流出を停止させ、この状態において電流計で取得した電流値を高電圧漏れ電流として取得する。
電子銃駆動回路は、エミッション電流をフィードバックして電子銃のフィラメント電流を制御するため、ウェーネルト電圧の印加によってエミッション電流の流出を停止させると、エミッション電流を増加させようとしてフィラメント電流を増加させる制御を行う。フィラメント電流の増加はフィラメントの温度を高めるため、フィラメント及びその周囲の温度状態が変化する。このとき、制限電流値指令によりフィラメント電流を制限することによって、フィラメントの温度上昇を抑制して、フィラメント及びその周囲の温度状態を通常と同様にする。
電子銃駆動回路は可変電源及び電流制限回路を有する。可変電源は、ウェーネルト電圧指令に基づいてウェーネルトに電圧を印加し、電流制限回路は、制限電流値指令に基づいてフィラメントに供給するフィラメント電流を制限する。
ここで、ウェーネルト電圧指令は、フィラメントからエミッション電流の流出を停止するカットオフ電圧を指令し、制限電流値指令は、フィラメントを所定温度に維持する電流値を指令する。
第3の態様によれば、フィラメントには、フィラメントを所定温度に維持する電流を流した状態でフィラメント電流を停止することができるため、フィラメントは所定温度に保持し、測定モード時と装置稼働時との温度差を縮小することができる。これによって、測定モードの前後において、装置稼働モードでのフィラメントや周囲の温度状態の変動を抑制することができる。装置稼働中に高電圧漏れ電流の測定を行っても、測定による装置稼働の温度環境を一定とすることができる。
また、本発明の高電圧漏れ電流測定装置は、TFTアレイ検査装置に適用することができ、電子銃からのエミッション電流の一部を電子ビームとして被検体に照射してTFTアレイ検査を行うTFTアレイ検査装置において、本発明の高電圧漏れ電流測定装置を備えた構成とし、高電圧漏れ電流測定装置が備える制御回路による測定モードの切り換えによりTFTアレイの検査中に高電圧漏れ電流を自動測定する。
本発明の高電圧漏れ電流測定装置及びTFTアレイ検査装置によれば、手動によって装置稼働を停止させることなく、高電圧漏れ電流を自動で測定することができる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の概略を説明するためのブロック図であり、図1(a)は高電圧漏れ電流測定装置を含む装置の稼働状態を示し、図1(b)は高電圧漏れ電流測定装置による測定状態を示している。
図1(a)において、ビーム電流を用いる装置は、電子を放出する電子銃2と、電子銃2に駆動電流を供給する電子銃駆動回路3と、高電圧電源4と、高電圧電源4から電子銃駆動回路3に流れ込む電流を測定する電流計5とを備える。
電子銃2は、電子銃駆動回路3から供給される駆動用電流によってフィラメントから電子を放出し、エミッション電流が流れる。このエミッション電流の内、対象物(図示しない)にはビーム電流が流れる。
電子銃駆動回路3は、電流計5で測定した電流をフィードバックしてフィラメントに流す電流を制御する。
ここで、高電圧漏れ電流は、電子銃2から発生する漏れ電流e- 1、電子銃駆動回路3の出力側で発生する漏れ電流e- 2、電流計5と電子銃駆動回路3の間で発生する漏れ電流e- 3、含む。これら高電圧漏れ電流(e- 1,e- 2,e- 3)は、エミッション電流e- 0を共にグラウンドから高圧電源4を通って、電子銃駆動回路3へフィードバックされる。したがって、駆動用電流及びフィードバック電流e-は(e- 0+e- 1+e- 2+e- 3)で表される。
図1(b)において、高電圧漏れ電流測定装置は電流計5が測定する電流を入力し、電子銃駆動回路3に自動測定指令を発する制御回路10を備える。測定状態において、制御回路10は電子銃駆動回路3に自動測定指令を発する。電子銃駆動回路3は、自動測定指令を受けて、電子銃2に対して駆動電流を停止したり、測定用電流を流す。これによって、電子銃2からはエミッション電流の流出が停止される。
電流計5は、このエミッション電流が停止した状態において、高電圧電源4から電子銃駆動回路3へ流れ込む電流を測定する。電流計5で測定した電流を高電圧漏れ電流として入力し、この高電圧漏れ電流に基づいて電子銃の動作状態や交換時期の判断等の判定を行う。
制御回路10による測定は、予め設定しておいたプログラムに従って行うことができ、プログラムに従って自動測定指令を発することによって、電子銃を備える装置が稼働中に、装置を停止することなく行うことができる。
次に、本発明の高電圧漏れ電流測定装置が含む複数の態様について説明する。以下では、フィラメント電流を停止することでエミッション電流の流出を停止させる第1の態様を図2〜図4を用いて説明し、フィラメント電流を制限することでエミッション電流の流出を停止させる第2の態様を図5〜図7を用いて説明し、ウェーネルトに電圧を印加することでエミッション電流の流出を停止させる第3の態様を図8〜図11を用いて説明する。
はじめに、第1の態様について説明する。図2は第1の態様の概略構成を説明するためのブロック図である。
図2において、電子ビームを用いる装置は、電子銃2と電子銃2にフィラメント電流を供給して電子銃2を駆動する電子銃駆動回路3と、電子銃2の駆動源を構成する高電圧電源4と、高電圧電源4から電子銃駆動回路3へ流れ込む電流を測定する電流計5と、電子銃駆動回路3を制御する制御回路10とを備える。
高電圧漏れ電流測定装置1は、上記した装置構成において、制御回路10中に測定モードに設定する機能、及び測定モード時に電流計5が測定する電流を高電圧漏れ電流として入力し、測定電流に基づいて電子銃の動作状態や交換時期の判断等の判定を行う機能を備える。
電子銃2はフィラメント2aを備え、フィラメント電流の供給を受けて真空チャンバ2c内に電子を放出する。フィラメント2aの前方には、電子の放出を制御するウェーネルト2bを備える。フィラメント2aから放出された電子はエミッション電流2dを形成し、その一部はビーム電流2eとして被検体9に照射される。
電子銃駆動回路3は、フィラメント2aに駆動用電流あるいは測定用電流を供給するフィラメント電流ドライバ3aを備える。フィラメント電流ドライバ3aは、制御回路10からの制御信号に基づいて、装置稼働時には駆動用電流をフィラメント2aに供給し、測定時には測定用電流をフィラメント2aに供給する。
制御回路10は、測定全体を制御するホスト制御回路10aと、電子銃駆動回路3を制御する機能と、測定電流に基づいて電子銃の動作状態や交換時期の判断等の判定を行う機能を主に制御するローカル制御回路10cを備える。
ホスト制御回路10aは自動測定ソフトウエア10bを備え、ローカル制御回路10cにコマンドやデータを送って、電子ビームを用いた基板検査動作や加工動作等の装置稼働時における制御や、高電圧漏れ電流を測定する測定時における制御を指令する。
ローカル制御回路10cは、ホスト制御回路10aから送られるコマンドやデータに基づいて、装置稼働モードあるいは測定(高電圧漏れ電流測定)モードを設定し、各モードにおいて電子銃駆動回路3を制御する。
装置稼働モードでは、ローカル制御回路10cはエミッション電流指令値を電子銃駆動回路3に指令する。電子銃駆動回路3は、このエミッション電流指令値と、電流計5を介してフィードバックされたエミッション電流値(測定値)とを比較し、エミッション電流値(測定値)がエミッション電流指令値と一致するように、フィラメント2aに流すフィラメント電流を制御する。
高電圧漏れ電流測定モードでは、ローカル制御回路10cはフィラメントオフ指令を電子銃駆動回路3に指令する。電子銃駆動回路3は、このフィラメントオフ指令に基づいて、フィラメント電流ドライバ3aからフィラメント2aへのフィラメント電流の出力を停止する。
電子銃2は、フィラメント電流が停止することによって、エミッション電流2dの流出が停止する。したがって、電流計5は、電子銃や制御回路からの漏れ電流を測定する。ローカル制御回路10cは、電流計5で測定した電流を入力する。この電流は、フィラメント電流が停止された状態では、上記したように高電圧漏れ電流である。ローカル制御回路10cは、電流計5の測定電流値を入力することで高電圧漏れ電流値を取得する。また、ローカル制御回路10cは、ホスト制御回路10aに格納されている自動測定ソフトウエア10bに従って、高電圧漏れ電流値をデータ処理し、電子銃の動作状態や交換時期の判断等の判定を行う。
なお、図2において、A,B,C,Dはそれぞれフィラメント電流、エミッション電流、高電圧漏れ電流、及び測定電流を示している。この内、エミッション電流Bと高電圧漏れ電流Cはグラウンドから高圧電源4を通って電子銃駆動回路3へ流入する。電流計5は、この高圧電源4から電子銃駆動回路3へ流入する電流を測定電流Dとして測定する。
図3は本発明の第1の態様における装置稼働時と高電圧漏れ電流測定時における各部(A〜D)の電流を示し、図3(a)はフィラメント電流を示し、図3(b)はエミッション電流を示し、図3(c)は高電圧漏れ電流を示し、図3(d)は測定電流を示している。
測定稼働時には、エミッション電流を発生させるに要する電流値以上のフィラメント電流A1がフィラメントに供給され、エミッション電流B1が流れる。このとき、高電圧電源から電子銃駆動回路へ高電圧漏れ電流C1が流れ込んでいる場合には、測定電流D1はエミッション電流B1と高電圧漏れ電流C1とが加算された電流を測定し、フィードバックされる。
また、高電圧漏れ電流測定時には、フィラメント電流A2はオフ状態となり、エミッション電流B2の放出は停止される。このとき、高電圧電源から電子銃駆動回路へ高電圧漏れ電流C2が流れ込んでいる場合には、測定電流D2は高電圧漏れ電流C2を測定する。
図4は、本発明の第1の態様における高電圧漏れ電流の測定モードでの工程を設定するためのフローチャートである。
なお、ここでは、装置が稼働状態にある間に自動で測定モードが設定され、高電圧漏れ電流を測定し、この測定結果に基づいて電子銃等の良否判定を行う場合について説明する。
ローカル制御回路10cは、電子銃駆動回路3のフィラメント電流ドライバ3aにフィラメント電流オフ指令を送って、全電子銃のフィラメントをオフとする(S1)。
フィラメントは、稼働中に加熱されているため、フィラメントオフ指令が出された直後においても熱電子を発生する。フィラメントオフ指令の後、フィラメントの温度が熱電紙の発生温度以下となった時点で、エミッション電流の流出が停止する。そこで、第1の態様では、フィラメントオフ指令が出されてから、所定の待ち時間が経過し、エミッション電流の流出の停止が確実となった時点の後に(S2)、各電子銃のエミッション電流を測定する。エミッション電流が停止している場合には、このエミッション電流の測定で得られる電流は、高電圧漏れ電流となる(S3)。
この測定電流(エミッション電流)の測定を、指定測定間隔(時間間隔)で指定回数行う(S4,S5)。測定電流を指定回数繰り返すのは、誤差成分を低減して測定精度を高めるためである。
全電子銃について、高電圧漏れ電流の測定が終了した後、ローカル制御回路10cは、電子銃駆動回路3のフィラメント電流ドライバ3aにフィラメント電流オン指令を送って、全電子銃のフィラメントをオンとする(S6)。
取得した高電圧漏れ電流の測定結果に基づいて電子銃等の良否判定を行い、測定結果や判定結果を表示する(S7)。
第1の態様において、自動測定の条件としては、例えば測定時期としての測定間隔、測定データの平均をとるためのサンプリング数、平均化時の複数測定間隔等がある。また、電子銃の良否を判断する高電圧漏れ電流のしきい値としては、例えば、正常範囲、要注意範囲、電子銃の交換必要範囲を設定する値とすることができる。また、判定結果は、例えば色分けによって表示することができる。
第1の態様によれば、装置稼動状態で検査の合間に測定を行うことができるため、検査装置のダウンタイムを縮小することができ、単位時間当たりの検査量を増やすことができる。
第1の態様によれば、自動測定によって、測定時間を必要最小限に短縮することができる。
また、取得したデータの判断を予め設定した基準で実行することで、安定した判定を行うことができる。
また、装置稼動を止めずに、検査の合間を利用して自動測定・判定を行うことができる。
次に、第2の態様について説明する。図5は第2の態様の概略構成を説明するためのブロック図である。第2の態様は、フィラメント電流を低減する点で第1の態様と相違し、その他の構成については同様とすることができる。
以下、第1の構成と共通する部分については簡略に説明する。
図5において、電子ビームを用いる装置は、電子銃2と電子銃2にフィラメント電流を供給して電子銃2を駆動する電子銃駆動回路3と、電子銃2の駆動源を構成する高電圧電源4と、高電圧電源4から電子銃駆動回路3へ流入する電流を測定する電流計5と、電子銃駆動回路3を制御する制御回路10とを備える。
高電圧漏れ電流測定装置1は、上記した装置構成において、制御回路10中に測定モードに設定する機能、及び測定モード時に電流計5が測定する電流を高電圧漏れ電流として入力し、測定電流に基づいて電子銃の動作状態や交換時期の判断等の判定を行う機能を備える。これらの基本的な構成は前記した第1の構成と同様とすることができる。
電子銃2、及び電子銃2によって測定装置を形成するときの構成は、第1の態様と同様の構成とすることができる。
電子銃駆動回路3は、フィラメント2aに駆動用電流あるいは測定用電流を供給するフィラメント電流ドライバ3aと、このフィラメント電流ドライバ3aとフィラメント2aとの間に設けられる電流制限回路3bとを備える。フィラメント電流ドライバ3aは、制御回路10からの制御信号に基づいて、装置稼働時及び測定時に、エミッション電流指令値に基づいてフィラメント電流を生成し、このフィラメント電流を電流制限回路3bを介してフィラメント2aに供給する。
制御回路10は、前記した第1の態様と同様に、ホスト制御回路10aとローカル制御回路10cを備える。
ホスト制御回路10aは自動測定ソフトウエア10bを備え、ローカル制御回路10cにコマンドやデータを送って、装置稼働時及び高電圧漏れ電流の測定時における制御を指令する。
ローカル制御回路10cは、ホスト制御回路10aから送られるコマンドやデータに基づいて、装置稼働モードあるいは測定(高電圧漏れ電流測定)モードを設定し、各モードにおいて電子銃駆動回路3を制御する。
装置稼働モードでは、第1の態様と同様に、ローカル制御回路10cはエミッション電流指令値を電子銃駆動回路3に指令する。電子銃駆動回路3は、このエミッション電流指令値と、電流計5を介してフィードバックされたエミッション電流値(測定値)とを比較し、エミッション電流値(測定値)がエミッション電流指令値と一致するように、フィラメント2aに流すフィラメント電流を制御する。
一方、高電圧漏れ電流測定モードでは、ローカル制御回路10cはフィラメント電流制限指令を電流制御回路3bに指令する。電流制限回路3bは、このフィラメント電流制限指令に基づいて、フィラメント電流ドライバ3aからフィラメント2aに向けて出力されたフィラメント電流の電流値を制する。
電子銃2は、供給されるフィラメント電流の電流値が制限され、エミッション電流を放出するための最小のフィラメント電流以下となると、エミッション電流2dの流出が停止する。
したがって、電流計5は、電子銃や制御回路からの漏れ電流を測定する。ローカル制御回路10cは、電流計5で測定した電流を入力し、ホスト制御回路10aに格納されている自動測定ソフトウエア10bに従って、高電圧漏れ電流値をデータ処理し、電子銃の動作状態や交換時期の判断等の判定を行う。
第2の態様では、フィラメント2aには、エミッション電流が流出しない程度の電流制限された電流が流れている。そのため、フィラメント2aは電流によって加熱され、高電圧漏れ電流測定時においても、装置稼働時と同様の温度状態とすることができる。これによって、装置稼働時と同様の温度状態において高電圧漏れ電流を測定することができる。また、温度状態の変動を小さく抑えることができるため、測定高電圧漏れ電流測定モードが終了した後、すぐに装置稼働モードに戻すことができる。
なお、手動によって測定モードに切り換える場合には、フィラメントに電流が流れないことにより測定モード中に温度が低下するため、測定終了後に装置稼働モードに戻して場合には、測定開始前と異なる温度状態で装置を稼働とするか、あるいは、温度状態が元に戻るまで待たなければならない。
なお、図5において、A,B,C,Dはそれぞれフィラメント電流、エミッション電流、高電圧漏れ電流、及び測定電流を示している。図2と同様に、エミッション電流Bと高電圧漏れ電流Cはグラウンドから高圧電源4を通って電子銃駆動回路3へ流入し、電流計5はこの電流を測定電流Dとして測定する。
図6は本発明の第2の態様における装置稼働時と高電圧漏れ電流測定時における各部(A〜D)の電流を示し、図6(a)はフィラメント電流を示し、図6(b)はエミッション電流を示し、図6(c)は高電圧漏れ電流を示し、図6(d)は測定電流を示している。
測定稼働時には、エミッション電流を発生させるに要する電流値以上のフィラメント電流A1がフィラメントに供給され、エミッション電流B1が流れる。このとき、測定電流D1はエミッション電流B1と高電圧漏れ電流C1とが加算された電流を測定し、フィードバックされる。
また、高電圧漏れ電流測定時には、フィラメント電流A2は低減され、この電流低減によりエミッション電流B2の放出は停止される。このとき、測定電流D2は高電圧漏れ電流C2を測定する。
図7は、本発明の第2の態様における高電圧漏れ電流の測定モードでの工程を設定するためのフローチャートである。
なお、ここでは、装置が稼働状態にある間に自動で測定モードが設定され、高電圧漏れ電流を測定し、この測定結果に基づいて電子銃等の良否判定を行う場合について説明する。
ローカル制御回路10cは、電子銃駆動回路3のフィラメント電流ドライバ3aにフィラメント電流低減指令を送って、全電子銃のフィラメントに供給するフィラメント電流を低減する。フィラメント電流が低減し、エミッション電流の流出に要する電流値以下となると、フィラメントはエミッション電流の流出を停止する(S11)。
フィラメントは、稼働中に加熱されているため、フィラメント電流低減指令が出された直後においても熱電子を発生する。フィラメント電流低減指令の後、フィラメントの温度が熱電紙の発生温度以下となった時点で、エミッション電流の流出が停止する。そこで、第2の態様では、フィラメント電流低減指令が出されてから、所定の待ち時間が経過し、エミッション電流の流出の停止が確実となった時点の後に(S12)、各電子銃のエミッション電流を測定する。エミッション電流が停止している場合には、このエミッション電流の測定で得られる電流は、高電圧漏れ電流となる(S13)。
この測定電流(エミッション電流)の測定を、指定測定間隔(時間間隔)で指定回数行う(S14,S15)。測定電流を指定回数繰り返すのは、誤差成分を低減して測定精度を高めるためである。
全電子銃について、高電圧漏れ電流の測定が終了した後、ローカル制御回路10cは、電子銃駆動回路3のフィラメント電流ドライバ3aへのフィラメント電流低減指令の送出を停止し、全電子銃のフィラメントへ供給するフィラメント電流の電流値を復帰させる(S16)。
取得した高電圧漏れ電流の測定結果に基づいて電子銃等の良否判定を行い、測定結果や判定結果を表示する(S17)。
第2の態様において、自動測定の条件としては、例えば測定時期としての測定間隔、測定データの平均をとるためのサンプリング数、平均化時の複数測定間隔等がある。また、電子銃の良否を判断する高電圧漏れ電流のしきい値としては、例えば、正常範囲、要注意範囲、電子銃の交換必要範囲を設定する値とすることができる。また、判定結果は、例えば色分けによって表示することができる。
第2の態様によれば、フィラメントをオフとすることなく、フィラメント電流を一時的に低減させ、自動測定中にフィラメントから発生する発熱量を稼働状態に近づけることで稼動復帰に要する暖機運転を短縮することができる。
次に、第3の態様について説明する。図8は第3の態様の概略構成を説明するためのブロック図である。第3の態様は、ウェーネルトによってエミッション電流を制御する点で第1の態様と相違し、その他の構成については同様とすることができる。
以下、第1の構成と共通する部分については簡略に説明する。図8において、電子ビームを用いる装置は、電子銃2と電子銃2にフィラメント電流を供給して電子銃2を駆動する電子銃駆動回路3と、電子銃2の駆動源を構成する高電圧電源4と、高電圧電源4から電子銃駆動回路3へ流入する電流を測定する電流計5と、電子銃駆動回路3を制御する制御回路10とを備える。
高電圧漏れ電流測定装置1は、上記した装置構成において、制御回路10中に測定モードに設定する機能、及び測定モード時に電流計5が測定する電流を高電圧漏れ電流として入力し、測定電流に基づいて電子銃の動作状態や交換時期の判断等の判定を行う機能を備える。これらの基本的な構成は前記した第1の構成と同様とすることができる。
電子銃2、及び電子銃2によって測定装置を形成するときの構成は、第1の態様と同様の構成とすることができる。なお、図5では、検出器6,測定装置7は省略している。
電子銃駆動回路3は、フィラメント2aに駆動用電流あるいは測定用電流を供給するフィラメント電流ドライバ3aと、このフィラメント電流ドライバ3aとフィラメント2aとの間に設けられる電流制限回路3bと、ウェーネルト2bに負電圧を印加する可変電源3cを備える。フィラメント電流ドライバ3aは、制御回路10からの制御信号に基づいて、装置稼働時及び測定時に、エミッション電流指令値に基づいてフィラメント電流を生成し、このフィラメント電流を電流制限回路3bを介してフィラメント2aに供給する。
制御回路10は、前記した第1の態様と同様に、ホスト制御回路10aとローカル制御回路10cを備える。
ホスト制御回路10aは自動測定ソフトウエア10bを備え、ローカル制御回路10cにコマンドやデータを送って、装置稼働時及び高電圧漏れ電流の測定時における制御を指令する。
ローカル制御回路10cは、ホスト制御回路10aから送られるコマンドやデータに基づいて、装置稼働モードあるいは測定(高電圧漏れ電流測定)モードを設定し、各モードにおいて電子銃駆動回路3を制御する。
装置稼働モードでは、第1の態様と同様に、ローカル制御回路10cはエミッション電流指令値を電子銃駆動回路3に指令する。電子銃駆動回路3は、このエミッション電流指令値と、電流計5を介してフィードバックされたエミッション電流値(測定値)とを比較し、エミッション電流値(測定値)がエミッション電流指令値と一致するように、フィラメント2aに流すフィラメント電流を制御する。
一方、高電圧漏れ電流測定モードでは、ローカル制御回路10cはウェーネルト電圧指令を可変電源3cに指令し、また、制限電流値指令を電流制限回路3bに指令する。
可変電源3cは、ウェーネルト電圧指令で設定される負電圧をウェーネルト2bに印加する。負電圧が印加されたウェーネルト2bは、フィラメント2aから放出した電子の放出を制限してエミッション電流の流出を停止する。
フィラメント電流ドライブ3aは、装置稼働時と同様に、電流計5からのエミッション電流をフィードバックし、ローカル制御装置10cから指令されたエミッション電流指令値との差に基づいて、エミッション電流が指令値となるようにフィラメント電流を制御し、電流制限回路3bを通してフィラメント2aに送る。
このように、フィラメント電流ドライブ3aは、エミッション電流のフィードバック制御を行うため、ウェーネルト電圧指令によってウェーネルト2bに負電圧が印加されてエミッション電流が停止すると、エミッション電流をエミッション電流指令値となるように増加させようとして、フィラメント電流を増加させる制御を行う。
このように、フィードバック制御によってフィラメント電流が増加すると、フィラメント2aに過大な電流が流れ、フィラメント温度も上昇することになり、装置稼働状態と異なる温度環境となる。
そこで、本発明の第3の態様では、ローカル制御回路10cは、電流制限回路3bに制限電流値指令を送る。電流制限回路3bは、フィラメント電流ドライブ3aから送られた過大なフィラメント電流を制限電流値指令に従って制限する。この電流制限によって、フィラメント2aのフィラメント温度は、通常の装置稼働時と同様の温度に抑制される。これによって、電子銃2a及びその周囲の温度環境を装置稼働時と同様とした状態のままで、高電圧漏れ電流を測定することができる。
電流計5は、高電圧電源4の碍子表面から漏れる漏れ電流を測定する。ローカル制御回路10cは、電流計5で測定した電流を入力し、ホスト制御回路10aに格納されている自動測定ソフトウエア10bに従って、高電圧漏れ電流値をデータ処理し、電子銃の動作状態や交換時期の判断等の判定を行う。
第3の態様では、フィラメント2aには、高電圧漏れ電流測定時においても通常の装置稼働時と同様の電流が流れ、装置稼働時と同様の温度状態とすることができる。これによって、装置稼働時と同様の温度状態において高電圧漏れ電流を測定することができる。また、温度状態の変動を小さく抑えることができるため、測定高電圧漏れ電流測定モードが終了した後、すぐに装置稼働モードに戻すことができる。
図9,10において、A,B,C,Dはそれぞれフィラメント電流、エミッション電流、高電圧漏れ電流、及び測定電流を示し、Eはウェーネルト電圧を示している。図2と同様に、エミッション電流Bと高電圧漏れ電流Cはグラウンドから高圧電源4を通って電子銃駆動回路3へ流入し、電流計5はこの電流を測定電流Dとして測定する。
図9は本発明の第3の態様においてフィラメント電流を制限しない場合を示し、図10はフィラメント電流を制限した場合を示し、図9(a),図10(a)はフィラメント電流を示し、図9(b),図10(b)はウェーネルト電圧を示し、図9(c),図10(c)はミッション電流を示し、図9(d),図10(d)は電子銃の温度を示し、図9(e),図10(e)は高電圧漏れ電流を示し、図9(f),図10(f)は測定電流を示している。
フィラメント電流を制限しない場合には、ウェーネルト電圧の負電圧が高まることで(図9(b)中の丸数字1)、エミッション電流が停止する(図9(c)中の丸数字2)。エミッション電流の停止によって、測定電流は高電圧漏れ電流のみとなる(図9(f)中の丸数字5)。
また、エミッション電流が停止すると、エミッション電流のフィードバック制御によってフィラメント電流が上昇し(図9(a)中の丸数字3)、電子銃の温度が上昇する(図9(d)中の丸数字4)。
一方、フィラメント電流を制限した場合には、フィラメント電流を制限しない場合と同様に、ウェーネルト電圧の負電圧が高まることで(図10(b)中の丸数字1)、エミッション電流が停止する(図10(c)中の丸数字2)。エミッション電流の停止によって、測定電流は高電圧漏れ電流のみとなる(図10(f)中の丸数字5)。
一方、エミッション電流が停止すると、エミッション電流のフィードバック制御によってフィラメント電流を上昇させようとするが、制限電流値指定によって電流制限され(図10(a)中の丸数字3)、電子銃の温度の上昇は抑制される(図10(d)中の丸数字4)。
図11は、本発明の第3の態様における高電圧漏れ電流の測定モードでの工程を設定するためのフローチャートである。
なお、ここでは、装置が稼働状態にある間に自動で測定モードが設定され、高電圧漏れ電流を測定し、この測定結果に基づいて電子銃等の良否判定を行う場合について説明する。
ローカル制御回路10cは、電子銃駆動回路3の電流制限回路3bに制御電圧値指令を送って、全電子銃のフィラメントに供給するフィラメント電流を稼働時と同じ電流値に制限する(S21)。また、ローカル制御回路10cは、電子銃駆動回路3の可変電源3cにウェーネルト電圧指令を送って、全電子銃のウェーネルトに印加する電圧をカットオフレベルに下げ、エミッション電流の流出を停止する(S22)。
フィラメントは、稼働中に加熱されているため、ウェーネルト電圧指令が出された直後においても熱電子を発生する。
ウェーネルト電圧指令の後、所定の待ち時間が経過してエミッション電流の流出の停止が確実となった時点の後に(S23)、各電子銃のエミッション電流を測定する。エミッション電流が停止している場合には、このエミッション電流の測定で得られる電流は、高電圧漏れ電流となる(S24)。
この測定電流(エミッション電流)の測定を、指定測定間隔(時間間隔)で指定回数行う(S25,S26)。測定電流を指定回数繰り返すのは、誤差成分を低減して測定精度を高めるためである。
全電子銃について、高電圧漏れ電流の測定が終了した後、ローカル制御回路10cは、電子銃駆動回路3の電流制限回路3bに対するフィラメント電流制限を稼働時の条件に戻し(S27)、可変電源3cに対するウェーネルト電圧を稼働時の条件に戻す(S28)。
取得した高電圧漏れ電流の測定結果に基づいて電子銃等の良否判定を行い、測定結果や判定結果を表示する(S29)。
第3の態様において、自動測定の条件としては、例えば測定時期としての測定間隔、測定データの平均をとるためのサンプリング数、平均化時の複数測定間隔等がある。また、電子銃の良否を判断する高電圧漏れ電流のしきい値としては、例えば、正常範囲、要注意範囲、電子銃の交換必要範囲を設定する値とすることができる。また、判定結果は、例えば色分けによって表示することができる。
第3の態様によれば、高電圧漏れ電流の測定時でもフィラメント電流を実稼働状態と同一にしたままでの構成とすることができ、電子銃の発熱条件を常に一定にすることができる。
また、第3の態様によれば、電子銃の発熱条件を変化させることなく、暖機運転が不要となり、すぐに稼働状態に移行することができる。
本発明の高電圧漏れ電流測定装置は、液晶アレイ基板や有機ELアレイ基板を検査する検査装置に適用することができる。
本発明の概略を説明するためのブロック図である。 本発明の第1の態様の概略構成を説明するためのブロック図である。 本発明の第1の態様における装置稼働時と高電圧漏れ電流測定時における各部の電流を示す図である。 本発明の第1の態様における高電圧漏れ電流の測定モードでの工程を設定するためのフローチャートである。 本発明の第2の態様の概略構成を説明するためのブロック図である。 本発明の第2の態様における装置稼働時と高電圧漏れ電流測定時における各部の電流を示す図である。 本発明の第2の態様における高電圧漏れ電流の測定モードでの工程を設定するためのフローチャートである。 本発明の第3の態様の概略構成を説明するためのブロック図である。 本発明の第3の態様においてフィラメント電流を制限しない場合を示す図である。 本発明の第3の態様においてフィラメント電流を制限した場合を示す図である。 本発明の第3の態様における高電圧漏れ電流の測定モードでの工程を設定するためのフローチャートである。 稼働状態及び測定状態における概略構成を説明するための図である。 稼働状態及び測定状態における信号を説明するための図である。
符号の説明
1…TFTアレイ検査装置、2…電子銃、2a…フィラメント、2b…ウェーネルト、2c…真空チャンバ、2d…エミッション電流、2e…ビーム電流、3…電子銃駆動回路、3a…フィラメント電流ドライバ、3b…電流制限回路、3c…可変電源、4…高電圧電源、5…電流計、6…検出器、7…測定装置、9…被検体、10…制御回路、10a…ホスト制御回路、10b…自動判定ソフトウエア、10c…ローカル制御回路。

Claims (4)

  1. 電子銃からエミッション電流を流出させる装置において、
    エミッション電流をフィードバックして電子銃のフィラメント電流を供給して電子銃を駆動する電子銃駆動回路と、
    前記電子銃の駆動源を構成する高電圧電源から電子銃駆動回路へ流入する電流を測定する電流計と、
    前記電子銃駆動回路を制御する制御回路とを備え、
    前記制御回路は、電子銃のウェーネルトに電圧を印加するウェーネルト電圧指令と、フィラメント電流を制限する制限電流値指令を電子銃駆動回路に発し、前記ウェーネルト電圧の印加によりエミッション電流の流出を停止させた状態において前記電流計で取得した電流値を高電圧漏れ電流として取得する、高電圧漏れ電流測定装置。
  2. 前記電子銃駆動回路は可変電源及び電流制限回路を有し、
    前記可変電源は、前記ウェーネルト電圧指令に基づいてウェーネルトに電圧を印加し、
    前記電流制限回路は、前記制限電流値指令に基づいてフィラメントに供給するフィラメント電流を制限する、請求項1に記載の高電圧漏れ電流測定装置。
  3. 前記ウェーネルト電圧指令は、フィラメントからエミッション電流の流出を停止するカットオフ電圧を指令し、
    前記制限電流値指令は、フィラメントを所定温度に維持する電流値を指令する、請求項2に記載の高電圧漏れ電流測定装置。
  4. 電子銃からのエミッション電流の一部を電子ビームとして被検体に照射してTFTアレイ検査を行うTFTアレイ検査装置において、
    前記請求項1乃至3のずれかに記載の高電圧漏れ電流測定装置を備え、
    前記高電圧漏れ電流測定装置が備える制御回路による測定モードの切り換えによりTFTアレイの検査中に高電圧漏れ電流を自動測定する、TFTアレイ検査装置。
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