JP4635382B2 - スクロール型膨張機及び冷凍装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール型の流体機械に関し、特に流体の膨張によって回転するものに係る。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スクロール型の流体機械が広く知られており、圧縮機や膨張機として利用されている。例えば、日本冷凍協会発行の「新版 冷凍空調便覧 第5版 第2巻 機器編」37〜43ページには、スクロール型流体機械を冷媒の圧縮機に適用したものが開示されている。また、特開2001−107881号公報には、スクロール型流体機械を冷媒の膨張機に適用したものが開示されている。
【0003】
図7に示すように、上記スクロール型流体機械は、固定スクロール(a)と可動スクロール(b)とを備えている。固定スクロール(a)と可動スクロール(b)とには、同一形状で渦巻き状のラップ(c)が設けられる。このスクロール型流体機械では、固定スクロール(a)と可動スクロール(b)のラップ(c)がその位相を180°ずらせて噛み合わされ、両ラップ(c)の間に対となる流体室(d)が形成される。
【0004】
上記スクロール型流体機械において、可動スクロール(b)は、固定スクロール(a)の中心回りに一定の旋回半径で公転する。その際、可動スクロール(b)は、自転することなく公転する。固定スクロール(a)と可動スクロール(b)とで区画された流体室(d)は、その体積が可動スクロール(b)の公転に伴って変化する。また、対となる流体室(d)での流体の圧力は、図8に示すように、その何れもが可動スクロール(b)の回転に伴って同様に変化する。そして、対となる流体室(d)では、可動スクロール(b)の回転に伴って同時期に流体の流入が完了し、更には同時期に流体の流出が開始される。
【0005】
上記スクロール型流体機械を圧縮機として用いる場合には、可動スクロール(b)の回転に伴って流体室(d)へ流体が吸い込まれて圧縮され、固定スクロール(a)の中央部の開口から圧縮後の流体が吐出される。一方、スクロール型流体機械を膨張機として用いる場合には、固定スクロール(a)の中央部の開口から流体室(d)へ流体が導入され、流体室(d)の流体の膨張によって可動スクロール(b)が回転駆動される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のスクロール型流体機械を膨張機として用いる場合には、次のような問題があった。
【0007】
つまり、従来のスクロール型流体機械では、対となる流体室(d)の圧力が可動スクロール(b)の回転に伴って同じように変動し(図8参照)、可動スクロール(b)に作用する回転駆動力の変動が大きくなる。このため、膨張機としてのスクロール型流体機械から取り出される回転動力のトルク変動が大きくなり、得られた動力によって圧縮機等を円滑に駆動できなくなるという問題があった。
【0008】
また、対となる流体室(d)へ同じタイミングで流体が流入するため、流体室(d)へ流体を導入する流入口(e)での流速が高まり、流入口(e)における圧力損失が過大となる。その結果、スクロール型流体機械の出入口における流体の圧力差が小さくなり、膨張機としてのスクロール型流体機械から取り出せる動力が減少するという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、膨張機として用いられるスクロール型流体機械において、得られる回転動力のトルク変動を小さくし、更には得られる回転動力の向上を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明が講じた第1の解決手段は、それぞれに渦巻き状のラップ(63,66)が形成される固定スクロール(61)と可動スクロール(64)とを備え、固定スクロール(61)と可動スクロール(64)のラップ(63,66)を互いに噛み合わせることで第1の膨張室(71)と第2の膨張室(72)とが対になって形成されるスクロール型膨張機を対象としている。そして、上記第1の膨張室(71)の閉じ込み完了時期が上記第2の膨張室(72)の閉じ込み完了時期よりも遅らされ、且つ上記第1の膨張室(71)からの流体の流出開始時期が上記第2の膨張室(72)からの流体の流出開始時期よりも遅らされるものである。
【0011】
また、上記第1の解決手段では、第1の膨張室(71)における膨張比と第2の膨張室(72)における膨張比とが等しくなるように構成される。
【0012】
また、上記第1の解決手段では、固定スクロール(61)と可動スクロール(64)のうち何れか一方のラップ(63)は、他方のラップ(66)における外周側端部の近傍にまで伸長される。
【0013】
本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、第1の膨張室(71)の閉じ込み完了時期を上記第2の膨張室(72)の閉じ込み完了時期よりも遅らせるために、固定スクロール(61)に開口して膨張室(71,72)へ流体を導入するための流入口(69)が所定の形状とされるものである。
【0014】
本発明が講じた第3の解決手段は、上記第1の解決手段において、第1の膨張室(71)の閉じ込み完了時期を上記第2の膨張室(72)の閉じ込み完了時期よりも遅らせるために、固定スクロール(61)又は可動スクロール(64)のラップ(63,66)の中心側端部が所定の形状とされるものである。
【0015】
本発明が講じた第4の解決手段は、冷凍装置を対象とするものであって、上記第1,第2又は第3の解決手段に係るスクロール型膨張機(60)と冷媒の圧縮機(50)とが接続され、且つ冷媒として二酸化炭素が充填された冷媒回路(20)を備え、上記冷媒回路(20)で冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う際には、上記圧縮機(50)で冷媒を該冷媒の臨界圧力以上にまで圧縮すると共に、圧縮された冷媒を上記スクロール型膨張機(60)で膨張させて回収した動力を上記圧縮機(50)の駆動に利用しているものである。
【0016】
−作用−
上記第1の解決手段では、可動スクロール(64)が回転してゆく間において、第1の膨張室(71)が密閉空間となる期間と、第2の膨張室(72)が密閉空間となる期間とが相違している。この点について説明する。
【0017】
先ず、第1の解決手段において、第1の膨張室(71)と第2の膨張室(72)とでは、閉じ込みの完了するタイミングが異なっている。つまり、第2の膨張室(72)への流体の流入が完了してからも、第1の膨張室(71)へ流体が流入し続ける。そして、第2の膨張室(72)の閉じ込み完了時点から可動スクロール(64)が所定の角度だけ公転した後に、第1の膨張室(71)の閉じ込みが完了する。その後、各膨張室(71,72)では流体が膨張し、該流体の膨張仕事が可動スクロール(64)の回転動力として取り出される。その際、各膨張室(71,72)の閉じ込み時期が異なるため、ある瞬間における各膨張室(71,72)の内圧は互いに相違している。
【0018】
更に、第1の解決手段において、第1の膨張室(71)と第2の膨張室(72)とでは、流体が膨張室(71,72)から流出し始めるタイミングが異なっている。つまり、第2の膨張室(72)の外部へ流体が流出し始めてからも、第1の膨張室(71)において流体が膨張し続ける。そして、第2の膨張室(72)からの流体の流出開始時点から可動スクロール(64)が所定の角度だけ公転した後に、第1の膨張室(71)から流体が流出し始める。
【0019】
また、第1の解決手段では、対となる膨張室(71,72)について、それぞれの膨張比が互いに等しくなっている。つまり、膨張室(71,72)から流出する流体の圧力は、対となる膨張室(71,72)の何れについても同じとなる。ここで、膨張比とは、閉じ込み完了直後における膨張室(71,72)の体積と、流体の流出開始直前における膨張室(71,72)の体積との比である。
【0020】
また、第1の解決手段において、固定スクロール(61)のラップ(63)と可動スクロール(64)のラップ(66)とは、両者を噛み合わせた状態で、一方の外周側端部が他方の外周側端部の近傍に位置するような所定の形状に形成されている。第1又は第2の膨張室(71,72)から流出する流体は、各ラップ(63,66)の外周側端部付近から各膨張室(71,72)の外へ送り出される。つまり、両膨張室(71,72)内の流体は、ラップ(63,66)の周方向のほぼ同じ位置で膨張室(71,72)から流出する。
【0021】
上記第2の解決手段では、流体の流入口(69)を所定の形状とすることで、第1の膨張室(71)と第2の膨張室(72)の閉じ込み完了時期をずらせている。つまり、流体の流入口(69)は、両膨張室(71,72)の閉じ込み完了時期を相違させるような形状とされている。
【0022】
上記第3の解決手段では、ラップ(63,66)の中心側端部を所定の形状とすることで、第1の膨張室(71)と第2の膨張室(72)の閉じ込み完了時期をずらせている。つまり、ラップ(63,66)の中心側端部は、両膨張室(71,72)の閉じ込み完了時期を相違させるような形状とされている。尚、この所定形状のラップ(63,66)は、固定スクロール(61)に形成されるものであってもよく、可動スクロール(64)に形成されるものであってもよい。
【0023】
上記第4の解決手段では、本発明に係るスクロール型膨張機(60)を用いた冷凍装置(10)が構成される。この冷凍装置(10)において、スクロール型膨張機(60)は、冷媒の圧縮機(50)と共に冷媒回路(20)に接続される。また、冷媒回路(20)には、冷媒として二酸化炭素(CO2)が充填される。
【0024】
冷媒回路(20)では、冷媒である二酸化炭素が循環し、冷凍サイクルが行われる。具体的に、圧縮機(50)では冷媒が圧縮され、該冷媒(CO2)の臨界圧力以上にまで昇圧される。圧縮機(50)から吐出された冷媒は、例えば空気等へ放熱する。放熱後の冷媒は、膨張機としての上記スクロール型膨張機(60)へ流入する。スクロール型膨張機(60)では、冷媒の膨張仕事が回転動力として取り出される。スクロール型膨張機(60)で取り出された回転動力は、圧縮機(50)を駆動して冷媒を圧縮するための動力として利用される。スクロール型膨張機(60)から流出した膨張後の冷媒は、例えば空気等から吸熱した後に圧縮機(50)に吸入され、再び圧縮される。
【0025】
【発明の効果】
本発明では、対となって形成される第1の膨張室(71)と第2の膨張室(72)とについて、それぞれの閉じ込み完了時期と流体の流出開始時期とを相違させている。このため、本発明によれば、膨張室(71,72)における流体の膨張により可動スクロール(64)へ付与される回転力の変動幅を小さくでき、膨張機としてのスクロール型膨張機(60)で得られる回転動力のトルク変動幅を縮小できる。
【0026】
また、本発明では、第1の膨張室(71)と第2の膨張室(72)とで閉じ込み完了時期がずれており、従来のような両膨張室(71,72)が同時に閉じ込みを完了するものに比べ、流体の流入口(69)を通る流体の流速が低くなる。このため、流入口(69)を通過する際の流体の圧力損失を低減することができ、膨張室(71,72)へ流入する流体の圧力を高く維持することができる。従って、本発明によれば、スクロール型膨張機(60)へ流入する流体と、そこから流出する流体との圧力差を充分に確保でき、スクロール型膨張機(60)で取り出せる回転動力を向上させることができる。
【0027】
また、本発明では、対となる両膨張室(71,72)における膨張比が互いに等しくなっている。従って、可動スクロール(64)をスムーズに回転させることができ、スクロール型膨張機(60)から取り出される回転動力のトルク変動幅を、一層小さくすることができる。
【0028】
また、本発明では、固定スクロール(61)又は可動スクロール(64)のラップ(63,66)を所定の形状としている。このため、ラップ(63,66)の周方向のほぼ同じ位置から膨張室(71,72)内の流体を流出させることができる。
【0029】
ここで、図7に示す従来のスクロール型流体機械を膨張機として用いた場合、膨張室(d)内の流体は、ラップ(c)の周方向の180°離れた位置から流出する。それ故、スクロール型流体機械からの流体の流出ポートを一箇所だけにしようとすると、何れか一方の膨張室(d)から流出する流体は、ラップ(c)の外側を迂回して流れて流出ポートへ導かれることとなる。そして、ラップ(c)の外側を迂回する間に、膨張室(d)から流出した流体が吸熱し、スクロール型流体機械から送り出される流体のエンタルピが増大してしまう。
【0030】
これに対し、本発明によれば、ラップ(63,66)の周方向のほぼ同じ位置から膨張室(71,72)内の流体を流出させることが可能である。従って、膨張室(71,72)から流出した流体を直ちに一箇所の流出ポート(37)へ導くことができ、スクロール型膨張機(60)から送り出される流体のエンタルピが増大するのを防止できる。
【0031】
また、上記第4の解決手段では、本発明に係るスクロール型膨張機(60)を膨張機として冷凍装置(10)に設け、冷媒の膨張仕事を回転動力として回収し、更には回収した回転動力を圧縮機(50)の駆動に利用している。従って、本解決手段によれば、圧縮機(50)で冷媒を圧縮するために外部から供給される電力等のエネルギを削減でき、冷凍装置(10)のCOP(成績係数)を向上させることができる。
【0032】
更に、本発明に係るスクロール型膨張機(60)を備えた第4の解決手段の冷凍装置(10)では、次のような効果が得られる。つまり、この冷凍装置(10)によって対象物を冷却する際には、スクロール型膨張機(60)から流出した膨張後の冷媒が空気等の冷却対象物から吸熱する。一方、本発明に係るスクロール型膨張機(60)によれば、ラップ(63,66)を所定の形状とすることによって、スクロール型膨張機(60)から流出する冷媒のエンタルピを低く維持することが可能である。従って、この場合には、膨張後の冷媒が対象物から吸熱し得る熱量を増大させることができ、冷凍装置(10)の冷却能力を向上させることが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態1は、本発明に係る冷凍装置によって構成された空調機(10)である。
【0034】
《空調機の全体構成》
図1に示すように、上記空調機(10)は、いわゆるセパレート型のものであって、室外機(11)と室内機(13)とを備えている。室外機(11)には、室外ファン(12)、室外熱交換器(23)、第1四路切換弁(21)、第2四路切換弁(22)、及び圧縮・膨張ユニット(30)が収納されている。室内機(13)には、室内ファン(14)及び室内熱交換器(24)が収納されている。そして、室外機(11)は屋外に設置され、室内機(13)は屋内に設置されている。また、室外機(11)と室内機(13)とは、一対の連絡配管(15,16)で接続されている。尚、圧縮・膨張ユニット(30)の詳細は後述する。
【0035】
上記空調機(10)には、冷媒回路(20)が設けられている。この冷媒回路(20)は、圧縮・膨張ユニット(30)や室内熱交換器(24)などが接続された閉回路である。また、この冷媒回路(20)には、冷媒として二酸化炭素(CO2)が充填されている。
【0036】
上記室外熱交換器(23)と室内熱交換器(24)とは、何れもクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されている。室外熱交換器(23)では、冷媒回路(20)を循環する冷媒が室外空気と熱交換する。室内熱交換器(24)では、冷媒回路(20)を循環する冷媒が室内空気と熱交換する。
【0037】
上記第1四路切換弁(21)は、4つのポートを備えている。この第1四路切換弁(21)は、その第1のポートが圧縮・膨張ユニット(30)の吐出ポート(35)と配管接続され、第2のポートが連絡配管(15)を介して室内熱交換器(24)の一端と配管接続され、第3のポートが室外熱交換器(23)の一端と配管接続され、第4のポートが圧縮・膨張ユニット(30)の吸入ポート(34)と配管接続されている。そして、第1四路切換弁(21)は、第1のポートと第2のポートとが連通し且つ第3のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第3のポートとが連通し且つ第2のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
【0038】
上記第2四路切換弁(22)は、4つのポートを備えている。この第2四路切換弁(22)は、その第1のポートが圧縮・膨張ユニット(30)の流出ポート(37)と配管接続され、第2のポートが室外熱交換器(23)の他端と配管接続され、第3のポートが連絡配管(16)を介して室内熱交換器(24)の他端と配管接続され、第4のポートが圧縮・膨張ユニット(30)の流入ポート(36)と配管接続されている。そして、第2四路切換弁(22)は、第1のポートと第2のポートとが連通し且つ第3のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第3のポートとが連通し且つ第2のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
【0039】
《圧縮・膨張ユニットの構成》
図2に示すように、圧縮・膨張ユニット(30)は、縦長で円筒形の密閉容器であるケーシング(31)の内部に、圧縮機構部(50)と、膨張機構部(60)と、モータ(40)とを収納したものである。また、圧縮・膨張ユニット(30)のケーシング(31)には、吸入ポート(34)、吐出ポート(35)、流入ポート(36)、及び流出ポート(37)が設けられている。
【0040】
上記ケーシング(31)の内部には、その高さ方向の中央部よりもやや上方にフレーム(67)が設けられている。このフレーム(67)により、ケーシング(31)の内部空間は、フレーム(67)の上側の上部空間(32)と、フレーム(67)の下側の下部空間(33)とに区画される。そして、ケーシング(31)内の上部空間(32)に膨張機構部(60)が設置され、その下部空間(33)に圧縮機構部(50)及びモータ(40)が設置されている。また、下部空間(33)において、モータ(40)は圧縮機構部(50)の上方に配置されている。
【0041】
上記モータ(40)は、ステータ(41)とロータ(42)とを備えている。ステータ(41)は、上記ケーシング(31)に固定されている。ロータ(42)は、ステータ(41)の内側に配置されている。また、ロータ(42)には、該ロータ(42)と同軸に駆動軸(45)が貫通している。この駆動軸(45)は、その下端部が圧縮機構部(50)に連結され、その上端部が膨張機構部(60)に連結されている。
【0042】
上記圧縮機構部(50)は、いわゆるスイング型ロータリ圧縮機に構成されている。該圧縮機構部(50)は、シリンダ(51)と、該シリンダ(51)のシリンダ室(52)に収納されたピストン(53)と、上記シリンダ室(52)の上面を閉鎖するフロントヘッド(54)と、上記シリンダ室(52)の下面を閉鎖するリアヘッド(55)とを備えている。そして、上記駆動軸(45)の下端部は、フロントヘッド(54)からシリンダ(51)を経てリアヘッド(55)に貫通している。
【0043】
上記ピストン(53)は、円環状に形成され、駆動軸(45)の下端部に回転自在に嵌め込まれている。ピストン(53)が嵌め込まれる駆動軸(45)の下端部は、下側偏心軸部(46)を構成している。この下側偏心軸部(46)は、駆動軸(45)の軸心より偏心して形成されている。
【0044】
上記ピストン(53)には、図示しないが、ブレードが一体に形成されている。該ブレードは、ブッシュを介してシリンダ(51)に挿入されている。そして、上記ピストン(53)はブッシュを支点に揺動し、シリンダ室(52)における容積を減少させて冷媒を圧縮する。
【0045】
上記シリンダ(51)には、冷媒の吸入口(57)が形成されている。この吸入口(57)には、吸入ポート(34)が接続されている。上記フロントヘッド(54)には、冷媒の吐出口(58)が形成されている。また、フロントヘッド(54)には、吐出口(58)を開閉する吐出弁(56)が設けられている。この吐出口(58)は、ケーシング(31)内の下部空間(33)に開口している。そして、下部空間(33)の上端付近には、吐出ポート(35)の一端が開口している。
【0046】
上記膨張機構部(60)は、スクロール型膨張機を構成している。この膨張機構部(60)は、固定スクロール(61)と可動スクロール(64)とを備えている。また、上記フレーム(67)は、ケーシング(31)内を上下に仕切るだけでなく、この膨張機構部(60)をも構成している。
【0047】
上記固定スクロール(61)は、鏡板(62)と、該鏡板(62)の下面側へ突出する渦巻き状の固定側ラップ(63)とを備えている。固定スクロール(61)の鏡板(62)は、ケーシング(31)に固定されている。一方、上記可動スクロール(64)は、板状の鏡板(65)と、該鏡板(62)の上面側へ突出する渦巻き状の固定側ラップ(63)とを備えている。そして、固定スクロール(61)と可動スクロール(64)とは互いに対向する姿勢で配置され、固定側ラップ(63)と可動側ラップ(66)が噛み合うことで膨張室(71,72)が区画される。固定側ラップ(63)及び可動側ラップ(66)の形状や、これらにより区画される膨張室(71,72)については、後述する。
【0048】
上記固定スクロール(61)の鏡板(62)の中央部には、冷媒の流入口(69)が形成されている。この流入口(69)は、膨張室(71,72)と上部空間(32)とを連通させるために、固定スクロール(61)の鏡板(62)を貫通して形成されている。また、流入口(69)は、所定の形状に形成されている。この点については後述する。ケーシング(31)の頂部には、上部空間(32)へ冷媒を導入するための流入ポート(36)が設けられている。固定側ラップ(63)及び可動側ラップ(66)の外周側には、冷媒の流出口(70)が形成されている。この流出口(70)には、流出ポート(37)が接続されている。
【0049】
上記可動スクロール(64)の鏡板(65)は、その下面側の中央部が下方に突出した形状となっており、この突出した部分が駆動軸(45)の上端部に回転自在に嵌め込まれている。この鏡板(65)が嵌め込まれる駆動軸(45)の上端部は、上側偏心軸部(47)を構成している。この上側偏心軸部(47)は、駆動軸(45)の軸心より偏心して形成されている。また、駆動軸(45)には、上側偏心軸部(47)の直下に鍔状の鍔部(48)が形成されている。可動スクロール(64)に作用するスラスト荷重は、駆動軸(45)の鍔部(48)とフレーム(67)とによって受けられる。
【0050】
更に、上記可動スクロール(64)は、オルダムリング(68)を介してフレーム(67)に支持されている。このオルダムリング(68)は、可動スクロール(64)の自転を規制するためのものである。そして、可動スクロール(64)は、自転することなく、所定の旋回半径で公転する。この可動スクロール(64)の旋回半径は、上側偏心軸部(47)の偏心量と同じである。
【0051】
図3に示すように、可動側ラップ(66)は、円の伸開線であるインボリュート曲線を描くように形成されている。一方、固定側ラップ(63)は、可動側ラップ(66)の旋回運動に伴う軌跡の包絡線を描くように形成されている。また、固定側ラップ(63)は、その巻き角が可動側ラップ(66)の巻き角よりも約180°だけ大きくなるように形成されている。そして、このように形成された可動側ラップ(66)と固定側ラップ(63)は、互いの位相が概ね180°ずれた姿勢で噛み合わされている。
【0052】
尚、本実施形態1において、固定側ラップ(63)の最外周部分は周囲の壁と一体に形成されている。従って、図3においては、固定側ラップ(63)における最外周部分の内側面だけが現れているが、同図に二点鎖線で示すように、固定側ラップ(63)の最外周部分は可動側ラップ(66)の最外周部分の周囲を囲むように伸長されている。そして、固定側ラップ(63)は、その外周側端部が可動側ラップ(66)の外周側端部の直ぐ外側に位置するような形状とされている。つまり、固定側ラップ(63)における渦巻きの巻き終わり部が、可動側ラップ(66)における渦巻きの巻き終わり部の近傍に位置している。
【0053】
上述のように可動側ラップ(66)と固定側ラップ(63)を噛み合わせることにより、第1の膨張室である第1室(71)と第2の膨張室である第2室(72)とが対になって区画形成される。つまり、可動側ラップ(66)の外側面と固定側ラップ(63)の内側面とに挟まれて第1室(71)が形成され、固定側ラップ(63)の外側面と可動側ラップ(66)の内側面とに挟まれて第2室(72)が形成される。
【0054】
また、上述したように、本実施形態1では、固定側ラップ(63)の巻き角を可動側ラップ(66)の巻き角よりも大きくしている。そして、両者の巻き角を相違させることにより、対となる第1室(71)と第2室(72)とで冷媒の流出開始時期を相違させている。
【0055】
上述のように、冷媒の流入口(69)は、固定スクロール(61)の鏡板(62)の中央部に開口している。この流入口(69)は、固定側ラップ(63)における中心側端部の内側面に沿って開口している。また、流入口(69)の開口形状は、可動側ラップ(66)の中心側端部の移動方向に沿って円形を引き延ばしたような形状となっている。本実施形態1では、流入口(69)の開口形状を所定の形状とすることで、対となる第1室(71)と第2室(72)とで閉じ込み完了時期を相違させると共に、第1室(71)における膨張比と第2室(72)における膨張比とを一致させている。
【0056】
−運転動作−
上記空調機(10)の動作について説明する。ここでは、空調機(10)の冷房運転時及び暖房運転時の動作について説明し、続いて膨張機構部(60)の動作について説明する。
【0057】
《冷房運転》
冷房運転時には、第1四路切換弁(21)及び第2四路切換弁(22)が図1に破線で示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮・膨張ユニット(30)のモータ(40)に通電すると、冷媒回路(20)で冷媒が循環し、図4のモリエル線図(圧力−エンタルピ線図)に示すような冷凍サイクルが行われる。
【0058】
圧縮機構部(50)へは、図4における点aの状態の冷媒が吸入される。圧縮機構部(50)では、冷媒が点aの状態から点bの状態にまで圧縮される。尚、点bの状態における圧力は、冷媒である二酸化炭素(CO2)の臨界圧力よりも高くなっている。点bの状態となった冷媒は、ケーシング(31)内の下部空間(33)へ吐出され、吐出ポート(35)を通ってケーシング(31)の外部へ流出する。その後、この点bの状態の冷媒は、第1四路切換弁(21)を通って室外熱交換器(23)へ送られる。
【0059】
室外熱交換器(23)では、流入した冷媒が室外ファン(12)により送られる室外空気と熱交換する。この熱交換により、点bの状態の冷媒は、室外空気へ放熱して点cの状態となる。点cの状態の冷媒は、第2四路切換弁(22)を通過し、流入ポート(36)を通って圧縮・膨張ユニット(30)の上部空間(32)へ流入し、更には膨張機構部(60)へ流入する。
【0060】
膨張機構部(60)では、流入した冷媒が等エントロピ過程で膨張し、点cの状態から点dの状態へ変化する。ここで、冷媒を膨張弁で膨張させる場合には、図4に破線で示すように、冷媒が断熱膨張過程(等エンタルピ過程)で膨張する。これに対し、上記膨張機構部(60)では、冷媒が等エントロピ過程で膨張し、冷媒の圧力とエンタルピの両方が低下する。膨張機構部(60)から流出した点dの状態の冷媒は、流出ポート(37)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から流出し、第2四路切換弁(22)を通過して室内熱交換器(24)へ送られる。
【0061】
室内熱交換器(24)では、流入した冷媒が室内ファン(14)により送られる室内空気と熱交換する。この熱交換により、点dの状態の冷媒が室内空気から吸熱して点aの状態となり、室内空気が冷却される。点aの状態の冷媒は、第1四路切換弁(21)を通過し、吸入ポート(34)を通って圧縮・膨張ユニット(30)の圧縮機構部(50)へ吸入される。そして、圧縮機構部(50)は、吸入した冷媒を再び圧縮して吐出し、この循環が繰り返される。
【0062】
ここで、膨張機構部(60)では、流入した冷媒を点cの状態から点dの状態にまで膨張させており、冷媒のエンタルピ低下量WEに相当する回転動力が回収される(図4参照)。この回収された回転動力は、駆動軸(45)によって圧縮機構部(50)へ伝達され、圧縮機構部(50)のピストン(53)を回転させるために利用される。そして、圧縮機構部(50)へはモータ(40)により回転動力WCが伝達され、膨張機構部(60)から伝達される回転動力WEと共にピストン(53)を回転駆動するために用いられる。
【0063】
《暖房運転》
暖房運転時には、第1四路切換弁(21)及び第2四路切換弁(22)が図1に実線で示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮・膨張ユニット(30)のモータ(40)に通電すると、冷媒回路(20)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。
【0064】
具体的に、圧縮機構部(50)で圧縮された冷媒は、吐出ポート(35)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から流出し、第1四路切換弁(21)を通過して室内熱交換器(24)へ送られる。室内熱交換器(24)では、流入した冷媒が室内空気と熱交換する。この熱交換により、冷媒が室内空気へ放熱し、室内空気が加熱される。室内熱交換器(24)で放熱した冷媒は、第2四路切換弁(22)を通過し、流入ポート(36)を通って膨張機構部(60)へ流入する。
【0065】
膨張機構部(60)では、流入した冷媒が等エントロピ過程で膨張する。膨張後の冷媒は、流出ポート(37)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から流出し、第2四路切換弁(22)を通過して室外熱交換器(23)へ流入する。室外熱交換器(23)では、流入した冷媒が室外空気と熱交換を行い、冷媒が室外空気から吸熱する。吸熱後の冷媒は、第1四路切換弁(21)を通過し、吸入ポート(34)を通って圧縮・膨張ユニット(30)の圧縮機構部(50)へ吸入される。圧縮機構部(50)は、吸入した冷媒を再び圧縮して吐出し、この循環が繰り返される。
【0066】
《膨張機構部の動作》
膨張機構部(60)の動作について、図3及び図5を参照しながら説明する。
【0067】
図3において、固定側ラップ(63)及び可動側ラップ(66)の最内周部で区画される第1室(71)及び第2室(72)は、共に流入口(69)と連通している。この状態で、圧縮された後に放熱した高圧の冷媒は、流入口(69)を通って第1室(71)及び第2室(72)へ流入する。
【0068】
この状態から、可動スクロール(64)は、図3における時計方向に公転してゆく。そして、図5に示すように、可動スクロール(64)の回転角がT1となった時点で第2室(72)が流入口(69)から遮断され、第2室(72)の閉じ込みが完了する。その後、閉空間となった第2室(72)において冷媒が膨張し、可動スクロール(64)が回転するに従って第2室(72)の内圧が低下してゆく。この第2室(72)における内圧の低下は、可動スクロール(64)の回転角がT3となるまで続く。そして、可動スクロール(64)の回転角がT3となった時点で第2室(72)が流出口(70)と連通し、第2室(72)から流出口(70)へ冷媒が流出する。
【0069】
一方、第1室(71)は、可動スクロール(64)の回転角がT1となった時点において、依然として流入口(69)と連通している(図5参照)。そして、その後も第1室(71)へ冷媒が流入し続け、可動スクロール(64)の回転角がT2となった時点で第1室(71)の閉じ込みが完了する。その後、閉空間となった第1室(71)において冷媒が膨張し、可動スクロール(64)が回転するに従って第1室(71)の内圧が低下してゆく。この第1室(71)における内圧の低下は、可動スクロール(64)の回転角がT4となるまで続く。つまり、可動スクロール(64)の回転角がT3となって第2室(72)から冷媒が流出し始める時点においても、第1室(71)では依然として冷媒の膨張が継続している。そして、可動スクロール(64)の回転角がT4となった時点で第1室(71)が流出口(70)と連通し、第1室(71)から流出口(70)へ冷媒が流出する。
【0070】
このように、本実施形態1では、第1室(71)の閉じ込み完了時期が第2室(72)の閉じ込み完了時期よりも遅くなっており、更には、第1室(71)からの冷媒の流出開始時期が第2室(72)からの冷媒の流出開始時期よりも遅くなっている。このため、可動スクロール(64)の回転角がT1からT4に至るまでの何れの時点においても、第1室(71)の内圧の方が第2室(72)の内圧よりも高くなっている。また、第1室(71)の膨張比と第2室(72)の膨張比とは等しくなっており、図5に示すように、第1室(71)から流出する冷媒の圧力と第2室(72)から流出する冷媒の圧力とは同じ値となっている。
【0071】
−実施形態1の効果−
本実施形態1に係る膨張機構部(60)では、対となる第1室(71)と第2室(72)とについて、それぞれの閉じ込み完了時期と冷媒の流出開始時期とを相違させている。このため、本実施形態1によれば、第1室(71)及び第2室(72)における冷媒の膨張により可動スクロール(64)へ付与される回転力の変動幅を小さくでき、膨張機構部(60)において得られる回転動力のトルク変動幅を縮小できる。
【0072】
また、本実施形態1に係る膨張機構部(60)では、第1室(71)と第2室(72)とで閉じ込み完了時期がずれており、従来のような第1室(71)と第2室(72)が同時に閉じ込みを完了するものに比べ、流入口(69)を流れる冷媒の流速が低くなる。このため、流入口(69)を通過する際の冷媒の圧力損失を低減することができ、第1室(71)及び第2室(72)へ流入する流体の圧力を高く維持することができる。従って、本実施形態1によれば、膨張機構部(60)の出入口における冷媒の圧力差を充分に確保でき、膨張機構部(60)において取り出せる回転動力WEを増大させることができる。この結果、モータ(40)により圧縮機構部(50)へ付与すべき回転動力WCを削減して空調機(10)の消費電力を低減することができ、空調機(10)のCOPを向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態1に係る膨張機構部(60)では、固定側ラップ(63)の外周側端部が可動側ラップ(66)の外周側端部の近傍に位置している。それ故、第1室(71)から流出する冷媒と第2室(72)から流出する冷媒とは、その何れもが流出後直ちに流出口(70)へ流れ込み、流出ポート(37)から圧縮・膨張ユニット(30)の外部へ送り出される。このため、従来のような第1室(71)と第2室(72)とで冷媒の流出地点が180°離れているものに比べ、流出した冷媒が流出口(70)に至るまでに流れる距離を短縮でき、その間における冷媒の吸熱量を削減できる。
【0074】
ここで、上記空調機(10)の冷房能力は、図4における点aと点dのエンタルピ差に冷媒循環量を乗じた値となる。一方、膨張機構部(60)から流出する冷媒のエンタルピが増大すると、点dが図4の右側へ移動することとなり、点aと点dのエンタルピ差が小さくなってしまう。これに対し、本実施形態1によれば、膨張機構部(60)から流出する冷媒のエンタルピが上昇するのを防止でき、これによって上記空調機(10)の冷房能力を充分に確保することができる。
【0075】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2は、上記実施形態1において、膨張機構部(60)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態2に係る膨張機構部(60)について、上記実施形態1と異なる点について説明する。
【0076】
図6に示すように、本実施形態2に係る膨張機構部(60)では、流入口(69)及び可動側ラップ(66)の形状が変更されている。具体的に、流入口(69)は、固定側ラップ(63)の中心側端部に沿って円形に開口している。一方、可動側ラップ(66)は、その中心側端部が上記実施形態1のものよりも短く形成されている。つまり、この可動側ラップ(66)の中心側端部は、上記実施形態1のものに比べ、インボリュート曲線の基礎円の中心から遠ざかっている。尚、本実施形態2に係る可動側ラップ(66)の外周側端部(渦巻きの巻き終わり部)の位置は、上記実施形態1のものと同じである。
【0077】
本実施形態2では、流入口(69)及び可動側ラップ(66)を上記の形状とすることで、第1室(71)と第2室(72)の閉じ込み完了時期をずらせると共に、第1室(71)と第2室(72)の膨張比を一致させている。つまり、上記実施形態1では、可動側ラップ(66)の中心側端部を固定側ラップ(63)の中心側端部と同一形状としつつ流入口(69)の開口形状によって第1室(71)と第2室(72)の閉じ込み完了時期を相違させているのに対し、本実施形態2では、流入口(69)の開口形状を単純な円形としながら可動側ラップ(66)の中心側端部の形状を変更することで第1室(71)と第2室(72)の閉じ込み完了時期を相違させている。
【0078】
【発明のその他の実施の形態】
上記の各実施形態では、本発明に係る冷凍装置を用いて空調機(10)を構成しているが、これに代えて温水を生成するための給湯機を構成してもよい。この場合、冷媒回路(20)では、室内熱交換器(24)に代えて冷媒と水を熱交換させる加熱用熱交換器が設けられ、更には第1四路切換弁(21)及び第2四路切換弁(22)が省略される。そして、圧縮機構部(50)から吐出された冷媒が加熱用熱交換器へ送られ、この冷媒からの放熱によって水が加熱される。また、放熱後の冷媒は、膨張機構部(60)で膨張した後に室外熱交換器(23)へ送られ、室外空気から吸熱した後に再び圧縮機構部(50)へ吸入される。
【0079】
また、上記の各実施形態では、圧縮機構部(50)において固定側ラップ(63)の長さを可動側ラップ(66)の長さよりも長くしているが、これとは逆に可動側ラップ(66)の長さを固定側ラップ(63)の長さの長さより長くしてもよい。この構成においても、第1室(71)と第2室(72)の閉じ込み完了時期及び冷媒の流出開始時期をずらせることは可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1に係る空調機の配管系統図である。
【図2】 実施形態1に係る圧縮・膨張ユニットの概略断面図である。
【図3】 実施形態1に係る固定側ラップと可動側ラップの形状を示す図2のA-A断面図である。
【図4】 実施形態1に係る空調機の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。
【図5】 実施形態1に係る膨張機構部における可動スクロールの回転角と第1室及び第2室の内圧との関係図である。
【図6】 実施形態2に係る固定側ラップと可動側ラップの形状を示す図3相当図である。
【図7】 従来技術に係る固定側ラップと可動側ラップの形状を示す概略断面図である。
【図8】 従来技術に係るスクロール型流体機械における可動スクロールの回転角と流体室の内圧との関係図である。
【符号の説明】
(20) 冷媒回路
(50) 圧縮機構部(圧縮機)
(60) 膨張機構部(スクロール型膨張機)
(61) 固定スクロール
(64) 可動スクロール
(63) 固定側ラップ
(66) 可動側ラップ
(69) 流入口
(71) 第1室(第1の膨張室)
(72) 第2室(第2の膨張室)
Claims (4)
- それぞれに渦巻き状のラップ(63,66)が形成される固定スクロール(61)と可動スクロール(64)とを備え、固定スクロール(61)と可動スクロール(64)のラップ(63,66)を互いに噛み合わせることで第1の膨張室(71)と第2の膨張室(72)とが対になって形成されるスクロール型膨張機であって、
上記第1の膨張室(71)の閉じ込み完了時期が上記第2の膨張室(72)の閉じ込み完了時期よりも遅らされ、且つ上記第1の膨張室(71)からの流体の流出開始時期が上記第2の膨張室(72)からの流体の流出開始時期よりも遅らされる一方、
上記第1の膨張室(71)における膨張比と上記第2の膨張室(72)における膨張比とが等しくなるように構成され、
上記固定スクロール(61)と上記可動スクロール(64)のうち何れか一方のラップ(63)は、他方のラップ(66)における外周側端部の近傍にまで伸長されているスクロール型膨張機。 - 請求項1に記載のスクロール型膨張機において、
第1の膨張室(71)の閉じ込み完了時期を上記第2の膨張室(72)の閉じ込み完了時期よりも遅らせるために、固定スクロール(61)に開口して膨張室(71,72)へ流体を導入するための流入口(69)が所定の形状とされているスクロール型膨張機。 - 請求項1に記載のスクロール型膨張機において、
第1の膨張室(71)の閉じ込み完了時期を上記第2の膨張室(72)の閉じ込み完了時期よりも遅らせるために、固定スクロール(61)又は可動スクロール(64)のラップ(63,66)の中心側端部が所定の形状とされているスクロール型膨張機。 - 請求項1,2又は3に記載のスクロール型膨張機(60)と冷媒の圧縮機(50)とが接続され、且つ冷媒として二酸化炭素が充填された冷媒回路(20)を備え、
上記冷媒回路(20)で冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う際には、上記圧縮機(50)で冷媒を該冷媒の臨界圧力以上にまで圧縮すると共に、圧縮された冷媒を上記スクロール型膨張機(60)で膨張させて回収した動力を上記圧縮機(50)の駆動に利用している冷凍装置。
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