JP4634834B2 - シルセスキオキサン重合体並びに屈折率変換材料および光−熱エネルギー変換蓄積材料 - Google Patents
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Description
また、NBD構造を有する化合物は、異性化したQC構造を有する化合物と異なる屈折率を有する、すなわち光の照射によって屈折率が変化する特性を有することから、例えば光記憶素子や光スイッチシステムに用いられる屈折率変換材料への応用が期待されている。
本発明の第1の目的は、光反応性基を有する新規なシルセスキオキサン重合体を提供することにある。
本発明の第2の目的は、屈折率の変化量が大きく、しかも、容易に成膜することができる屈折率変換材料を提供することにある。
本発明の第3の目的は、蓄熱量が大きく、しかも、容易に成膜することができる光−熱エネルギー変換蓄積材料を提供することにある。
本発明の屈折率変換材料は、屈折率の変化量が大きく、しかも、容易に成膜することができるものである。
本発明の光−熱エネルギー変換蓄積材料は、蓄熱量が大きく、しかも、容易に成膜することができるものである。
本発明のシルセスキオキサン重合体は、上記式(1)で表される繰り返し単位を含有する構成の重合体(以下、「特定のシルセスキオキサン重合体」ともいう。)である。
触媒としては、トリエチルアミンなどを用いることができ、その使用割合は、トリメトキシシラン化合物1molに対して0.05〜0.3molであることが好ましい。
また、この反応工程における反応条件としては、例えば反応温度が60℃、反応時間が6〜72時間である。
溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミドなどを用いることができる。
触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロミドなどを用いることができる。また、触媒の使用割合は、反応に供する原料重合体および原料化合物に対して0.1〜10mol%であることが好ましい。
塩基としては、水酸化カリウムなどを用いることが好ましい。また、塩基の使用割合は、原料重合体中の式(a)で表される基1molに対して0.6〜3.0molであることが好ましい。
反応条件としては、例えば反応温度が40〜100℃、反応時間が96時間である。
溶媒としては、ジメチルホルムアミドなどを用いることができる。
塩基としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどを用いることができる。また、塩基の使用割合は、原料重合体中の式(a)で表される基1molに対して0.6〜3.0molであることが好ましい。
反応条件としては、例えば反応温度が70℃、反応時間が6時間である。
(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン1.0molを、水2mLとトルエン4mLとの混合溶媒中でトリエチルアミン0.1mmolの存在下において、60℃で24時間の条件で反応させることにより、収率60%で生成物を得た。
IR分析、 1H−NMR分析、13C−NMR分析、29Si−NMR分析、GPC分析の結果から、得られた生成物は、上記式(2)で表される繰り返し単位よりなる重合体〔ポリ(p−クロロメチル)フェニルシルセスキオキサン(以下、「原料重合体(1)」ともいう。)〕であって、数平均分子量Mnが10310であり、分子量分布Mw/Mnが2.49であり、また、はしご型構造を有するものであることが確認された。
○IR( film,cm-1):
1606,1504(νC=C aromatic),
1128(νSi−O),
696(νC−Cl)
○ 1H NMR(600MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
4.45(br,2.0H,CH2 Cl),
7.01(br,4.8H,aromatic)
○13C NMR(150MHz,CDCl3 )δ(ppm):
45.2(CH2 Cl),
127.8,130.3,134.1,139.6(aromatic)
○29Si NMR(119MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
−80.6
原料重合体(1)0.684g(1mmol)と、3−フェニル−2,5−ノルボルナジエン−カルボン酸(以下、「PNC」ともいう。)0.934g(4.4mmol)とをジメチルホルムアミド(以下、「DMF」ともいう。)1.5mLに溶解し、更に1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(以下、「DBU」ともいう。)0.682g(4.4mmol)をゆっくり滴下し、70℃で6時間の条件で反応させた。 反応が終了した後、反応溶液を多量のメタノール中に注ぎ、析出した固体を回収した。この固体を、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いて2回再沈精製を行うことにより、収率70%で重合体1.105gを得た。
IR分析、 1H−NMR分析、13C−NMR分析、GPC分析の結果から、得られた重合体は、上記式(1)においてR2 が式(イ)で表される基である繰り返し単位よりなる重合体(以下、「シルセスキオキサン重合体(1)」ともいう。)であって、数平均分子量Mnが5193であり、分子量分布Mw/Mnが1.08であることが確認された。また、シルセスキオキサン重合体(1)におけるエステル化率は100%であり、 1H−NMRスペクトル図によりクロロメチル基に起因するピークの消失と−COO−CH2 −基に起因する新たなピークを確認し、13C−NMRスペクトル図により167.5ppmにエステル部位に起因する炭素ピークを確認したことから、原料重合体(1)に対するPNCの導入率は100%であることが明らかとなった。
図2(a)においては、シルセスキオキサン重合体(1)の 1H−NMRスペクトル図と共に、原料重合体(1)の 1H−NMRスペクトル図を示した。
○IR( film,cm-1):
1698(νC=O easter),
1608(νC=C NBD),
1594,1490(νC=C aromatic),
1218(νC−O−C),
1130(νSi−O)
○ 1H NMR(600MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
1.40〜2.30(m,3,4H,CH in NBD),
3.50〜4.10(m,2.6H,CH=CH in NBD),
5.01(br,2.0H,CH2 −OCO),
6.30〜7.81(m,13.3H,aromatic)
○13C NMR(150MHz,CDCl3 )δ(ppm):
52.9(Ch),
58.6(Ck),
65.4(Cg),
67.9(Ci),
70.6(Ce),
127.6(Cn),
128.5(Cc),
134.0(Cp),
134.1(Ca),
135.5(Cm),
137.0(Cb),
138.8(Cg),
140.8(Cd),
143.6(Cj),
165.0(Cl),
167.5(Cf)
3−フェニル−2,5−ノルボルナジエン−2−(4’−ヒドロキシフェニル)ケトン(以下、「PNHK」ともいう。)1.282g(4.4mmol)、水酸化カリウム0.249g(4.4mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(以下、「TBAB」ともいう。)0.144g(10mol%)の混合物に、DMF2.0mLを加え、室温で2時間撹拌した。その後、DMF1.5mLに溶解させた原料重合体(1)0.619g(1.0mmol)を加え、40℃で96時間の条件で反応させた。
反応が終了した後、反応溶液を多量のメタノール中に滴下し、析出した固体を回収した。この固体を、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いて2回再沈精製を行うことにより、収率69%で重合体1.097gを得た。
IR分析、 1H−NMR分析、13C−NMR分析、GPC分析の結果から、得られた重合体は、上記式(1)においてR2 が式(ロ)で表される基である繰り返し単位よりなる重合体(以下、「シルセスキオキサン重合体(2)」ともいう。)であって、数平均分子量Mnが5996であり、分子量分布Mw/Mnが1.12であることが確認された。また、シルセスキオキサン重合体(2)におけるエーテル化率は100%であり、 1H−NMRスペクトル図によりクロロメチル基に起因するピークの消失と−O−CH2 −基に起因する新たなピークを確認し、13C−NMRスペクトル図により194.6ppmにカルボニル部位に起因する炭素ピークを確認したことから、原料重合体(1)に対するPNHKの導入率は100%であることが明らかとなった。
図3(a)においては、シルセスキオキサン重合体(2)の 1H−NMRスペクトル図と共に、原料重合体(1)の 1H−NMRスペクトル図を示した。
○IR( film,cm-1):
1625(νC=C in NBD),
1596,1506(νC=C aromatic),
1249(νC=O ester ),
1133(νSi−O)
○ 1H NMR(600MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
2.00〜2.50(m,2.0H,CH in NBD),
3.80〜4.15(m,2.0H,CH in NBD),
4.94(br,2.0H,−CH2 −O−),
6.00〜7.98(m,15.2H,aromatic,CH=CH in NBD)
○13C NMR(150MHz,CDCl3 )δ(ppm):
55.3,56.5,69.5(CH in NBD),
71.0(CH2 ),
114.0,134.2(CH=CH),
126.5,127.4,127.8,127.9,130.3,131.5,141.4,143.6,147.2,160.2,161.9(aromatic),
194.6(C=O)
原料重合体(1)0.341g(0.5mmol)と、2−(ベンゾフラン−2−イル)−7,7−ジメチル−3−(5−カルボキシチオフェン−2−イル)−5,6−ビス(トリフルオロメチル)−2,5−ノルボルナジエン(以下、「BMCFn」ともいう。)1.037g(2.2mmol)とをDMF1.1mLに溶解し、更にDBU0.344g(2.2mmol)をゆっくり滴下し、70℃で6時間の条件で反応させた。
反応が終了した後、反応溶液を多量のメタノール中に注ぎ、析出した固体を回収した。この固体を、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いて2回再沈精製を行うことにより、収率66%で重合体0.895gを得た。
IR分析、 1H−NMR分析、13C−NMR分析、GPC分析の結果から、得られた重合体は、上記式(1)においてR2 が式(ハ)で表される基である繰り返し単位よりなる重合体(以下、「シルセスキオキサン重合体(3)」ともいう。)であって、数平均分子量Mnが5379であり、分子量分布Mw/Mnが1.15であることが確認された。また、シルセスキオキサン重合体(3)におけるエステル化率は100%であり、 1H−NMRスペクトル図によりクロロメチル基に起因するピークの消失と−COO−CH2 −基に起因する新たなピークを確認し、13C−NMRスペクトル図により161.7ppmにエステル部位に起因する炭素ピークを確認したことから、原料重合体(1)に対するBMCFnの導入率は100%であることが明らかになった。
図4(a)においては、シルセスキオキサン重合体(3)の 1H−NMRスペクトル図と共に、原料重合体(1)の 1H−NMRスペクトル図を示した。
○IR( film,cm-1):
1710(νC=O ester ),
1608(νC=C NBD),
1560,1509,1392(νC=C aromatic,benzofuran),
1324(νC−F),
1267(νC−O−C ester ),
1213(νC−O−C ether ),
1133(νSi−O),
1022,873,750(benzofuran),
690(thiofuran )
○ 1H NMR(600MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
1.21(s,6.5H,CH3 in NBD),
3.88(s,2.1H,CH in NBD),
5.23(br,2.0H,CH2 −COO),
6.80〜7.85(m,12.1H,aromatic and benzofuran)
○13C NMR(150MHz,CDCl3 )δ(ppm):
21.7(CH3 ),
65.4,66.3(CH in NBD),
68.1(CH2 ),
79.7(C−CH3 in NBD),
111.1,107.2(CF3 ),
120.6,121.3,122.4,123.4,124.2,125.8,127.2,128.1,133.5,133.8,134.0,134.3,138.0,144.4,144.6,149.6,151.4,155.2(aromatic),
161.7(COO)
原料重合体(1)0.365g(0.5mmol)と、2−(ベンゾチオフェン−2−イル)−7,7−ジメチル−3−(ジメチレンオキシフラン−2−イル)−5,6−ビス(トリフルオロメチル)−2,5−ノルボルナジエン(以下、「NBD」ともいう。)1.181g(2.2mmol)とをDMF1.1mLに溶解し、更にDBU0.356g(2.2mmol)をゆっくり滴下し、70℃で6時間の条件で反応させた。
反応が終了した後、反応溶液を多量のメタノール中に注ぎ、析出した固体を回収した。この固体を、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いて2回再沈精製を行うことにより、収率51%で重合体0.776gを得た。
IR分析、 1H−NMR分析、13C−NMR分析、GPC分析の結果から、得られた重合体は、上記式(1)においてR2 が式(ニ)で表される基である繰り返し単位よりなる重合体(以下、「シルセスキオキサン重合体(4)」ともいう。)であって、数平均分子量Mnが4509であり、分子量分布Mw/Mnが1.10であることが確認された。また、シルセスキオキサン重合体(4)におけるエステル化率は100%であり、 1H−NMRスペクトル図によりクロロメチル基に起因するピークの消失と−COO−CH2 −基に起因する新たなピークを確認し、13C−NMRスペクトル図により160.9ppmにエステル部位に起因する炭素ピークを確認したことから、原料重合体(1)に対するNBDの導入率は100%であることが明らかとなった。
図5(a)においては、シルセスキオキサン重合体(4)の 1H−NMRスペクトル図と共に、原料重合体(1)の 1H−NMRスペクトル図を示した。
○IR( film,cm-1):
1710(νC=O ester ),
1608(νC=C NBD),
1573,1482,1444(νC=C aromatic and furan ),
1363(νC−F),
1265,1245(νC−O−C ester ),
1214(νC−O−C ether ),
1132(νSi−O),
887,806(furan ),
755(thiofuran )
○ 1H NMR(600MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
1.23(s,6.5H,CH3 in NBD),
3.78〜4.40(m,6.2H,CH in NBD and dimethylene ),
5.22(br,2.0H,CH2 −COO),
6.78〜7.78(m,10.4H,aromatic and thiofuran )
○13C NMR(150MHz,CDCl3 )δ(ppm):
22.0(CH3 ),
63.9,64.5,64.9,65.7(CH in NBD and CH2 ),
67.0(CH2 ),
80.7(C−CH3 in NBD),
106.2,111.1(CF3 ),
118.9,120.6,120.8,121.1,122.4,122.6,123.1,123.8,125.4,127.0,128.3,134.2,135.9,136.7,137.6,138.5,139.6,144.3,145.3,151.4,155.0(aromatic,furan and benzothiofuran),
160.9(COO)
4−フェニルアゾフェノール0.878g(4.4mmol)、水酸化カリウム0.249g(4.4mmol)、TBAB0.152g(10mol%)の混合物に、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)1.5mLを加え、2時間撹拌した。その後、NMP1.5mLに溶解させた原料重合体(1)0.686g(1.0mmol)を加え、100℃で96時間の条件で反応させた。
反応が終了した後、反応溶液を多量のメタノール中に滴下し、析出した固体を回収した。この固体を、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いて2回再沈精製を行うことにより、収率81%で重合体1.126gを得た。
IR分析、 1H−NMR分析、13C−NMR分析、GPC分析の結果から、得られた重合体は、上記式(1)においてR2 が式(ホ)で表され、R3 が水素原子を示す基である繰り返し単位よりなる重合体(以下、「シルセスキオキサン重合体(6)」ともいう。)であって、数平均分子量Mnが5446であり、分子量分布Mw/Mnが1.24であることが確認された。また、シルセスキオキサン重合体(6)にけるエーテル化率は100%であり、 1H−NMRスペクトル図によりクロロメチル基に起因するピークの消失と−O−CH2 −基に起因するの新たなピークを確認したことから、原料重合体(1)に対する4−フェニルアゾフェノールの導入率は100%であることが明らかとなった。
図7(a)においては、シルセスキオキサン重合体(6)の 1H−NMRスペクトル図と共に、原料重合体(1)の 1H−NMRスペクトル図を示した。
○IR( film,cm-1):
1600,1500(νC=C aromatic),
1249(νC=O ester ),
1137(νSi−O)
○ 1H NMR(600MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
4.82(br,2.0H,CH2 −O),
6.30〜8.19(m,12.5H,aromatic)
○13C NMR(150MHz,CDCl3 )δ(ppm):
69.9(CH2 ),
114.2,122.5,124.7,126.6,128.9,130.3,134.3,138.9,147.1,152.6,160.8(aromatic)
原料重合体(1)0.685g(1mmol)と、9−アントラセンカルボン酸スペーサー1.318g(4.4mmol)とをDMF1.5mLに溶解し、更にDBU0.678g(4.4mmol)をゆっくり滴下し、70℃で6時間の条件で反応させた。
反応が終了した後、反応溶液を多量のメタノール中に注ぎ、析出した固体を回収した。この固体を、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いて2回再沈精製を行うことにより、収率75%で重合体1.437gを得た。
IR分析、 1H−NMR分析、13C−NMR分析、GPC分析の結果から、得られた重合体は、上記式(1)においてR2 が式(ヘ)で表される基である繰り返し単位よりなる重合体(以下、「シルセスキオキサン重合体(7)」ともいう。)であって、数平均分子量Mnが3199であり、分子量分布Mw/Mnが1.18であることが確認された。また、シルセスキオキサン重合体(7)におけるエステル化率は100%であり、 1H−NMRスペクトル図によりクロロメチル基に起因するピークの消失と−COO−CH2 −基に起因する新たなピークを確認し、13C−NMRスペクトル図により172.3ppmおよび173.9ppmにエステル部位に起因する炭素ピークを確認したことから、原料重合体(1)に対する9−アントラセンカルボン酸スペーサーの導入率は100%であることが明らかとなった。
図7(a)においては、シルセスキオキサン重合体(7)の 1H−NMRスペクトル図と共に、原料重合体(1)の 1H−NMRスペクトル図を示した。
○IR( film,cm-1):
1733(νC=O),
1608,1500(νC=C aromatic),
1213(νC−O−C),
1151,1056,1022(νSi−O)
○ 1H NMR(600MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
1.56〜3.61(m,8.6H,CH,CH=CH in NBD),
4.91(br,2.0H,CH2 −OCO),
6.08(br,4.8H,aromatic in main chain ),
7.30〜8.51(m,9.2H,aromatic in anthracene)
○13C NMR(150MHz,CDCl3 )δ(ppm):
28.9(Cg),
36.4(Cj),
59.1(Ch),
65.9(Ce),
123.8(Cr),
125.9(Co),
126.5(Cn),
127.0(Cm),
129.0(Cp),
129.1(Cl),
131.0(Ca),
131.2(Ck),
131.3(Cb),
134.1(Cd),
172.3(Cf),
173.9(Ci)
原料重合体(1)0.686g(1mmol)と、1−ナフタレン酢酸0.820g(4.4mmol)とをDMF2mLに溶解し、更にDBU0.686g(4.4mmol)をゆっくり滴下し、70℃で6時間の条件で反応させた。
反応が終了した後、反応溶液を多量のメタノール中に注ぎ、析出した固体を回収した。この固体を、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いて2回再沈精製を行うことにより、収率57%で重合体0.792gを得た。
IR分析、 1H−NMR分析、13C−NMR分析、GPC分析の結果から、得られた重合体は、上記式(1)においてR2 が式(ト)で表される基である繰り返し単位よりなる化合物(以下、「シルセスキオキサン重合体(8)」ともいう。)であって、数平均分子量Mnが4798であり、分子量分布Mw/Mnが1.08であることが確認された。また、シルセスキオキサン重合体(8)におけるエステル化率は100%であり、 1H−NMRスペクトル図によりクロロメチル基に起因するピークの消失と−COO−CH2 −基に起因する新たなピークを確認し、13C−NMRスペクトル図により171.1ppmにエステル部位に起因する炭素ピークを確認したことから、原料重合体(1)に対する1−ナフタレン酢酸の導入率は100%であることが明らかとなった。
図8(a)においては、シルセスキオキサン重合体(8)の 1H−NMRスペクトル図と共に、原料重合体(1)の 1H−NMRスペクトル図を示した。
○IR( film,cm-1):
1735(νC=O),
1606,1509(νC=C aromatic),
1247(νC−O−C),
1128(νSi−O)
○ 1H NMR(600MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
3.92(br,2.0H,CH2 ),
4.83(br,2.0H,COOCH2 ),
6.10〜8.00(m,13.0H,aromatic)
○13C NMR(125MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
38.6(CH2 ),
66.0(CH2 ),
123.6,125.3,126.1,127.2,127.9,128.5,130.2,131.8,133.6,134.0,138.4(aromatic),
171.1(COO)
4−ヒドロキシカルコン0.994g(4.4mmol)、水酸化カリウム0.249g(4.4mmol)、TBAB0.145g(10mol%)の混合物に、DMF1.5mLを加え、2時間撹拌した。その後、DMF1.5mLに溶解させた原料重合体(1)0.694g(1.0mmol)を加え、40℃で96時間の条件で反応させた。
反応が終了した後、反応溶液を多量のメタノール中に滴下し、析出した固体を回収した。この固体を、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いて2回再沈精製を行うことにより、収率64%で重合体0.975gを得た。
IR分析、 1H−NMR分析、13C−NMR分析、GPC分析の結果から、得られた重合体は、上記式(1)においてR2 が式(リ)で表される基である繰り返し単位よりなる重合体(以下、「シルセスキオキサン重合体(12)」ともいう。)であって、数平均分子量Mnが6765であり、分子量分布Mw/Mnが1.10であることが確認された。また、シルセスキオキサン重合体(12)におけるエーテル化率は100%であり、 1H−NMRスペクトル図によりクロロメチル基に起因するピークの消失と−O−CH2 −基に起因する新たなピークを確認し、13C−NMRスペクトル図により188.0ppmにカルコン部位に起因するC=Oのピークを確認したことから、原料重合体(1)に対する4−ヒドロキシカルコンの導入率は100%であった。
図9(a)においては、シルセスキオキサン重合体(12)の 1H−NMRスペクトル図と共に、原料重合体(1)の 1H−NMRスペクトル図を示した。
○IR( film,cm-1):
1606,1508(νC=C aromatic),
1257(νC=O carbonyl),
1218(νC−O−C ether ),
1130(νSi−O)
○ 1H NMR(600MHz,CDCl3 ,TMS)δ(ppm):
4.80(br,2.0H,−CH2 −O−),
6.25〜8.20(m,16.3H,aromatic and CH=CH)
○13C NMR(150MHz,CDCl3 )δ(ppm):
69.7(CH2 ),
126.7,144.1(CH=CH),
114.4,121.6,128.3,128.8,130.3,130.8,131.4,134.2,144.9,162.1(aromatic),
188.0(C=O)
(1)光反応特性:
シルセスキオキサン重合体(1)およびシルセスキオキサン重合体(7)の各々を、重合体中の光反応性基の濃度が5×10-5mol/Lとなるようにテトラヒドロフランに溶解した。また、シルセスキオキサン重合体(2)を、重合体中の光反応性基の濃度が2.5×10-5mol/Lとなるようにテトラヒドロフランに溶解した。また、シルセスキオキサン重合体(3)、シルセスキオキサン重合体(4)、シルセスキオキサン重合体(6)およびシルセスキオキサン重合体(8)の各々を、重合体中の光反応性基の濃度が1×10-5mol/Lとなるようにテトラヒドロフランに溶解した。
得られた溶液の各々を石英セルに入れ、シルセスキオキサン重合体(7)に係る溶液については2時間の窒素置換を行った後、この溶液に対して、500Wキセノンランプおよび熱線カットフィルターを用い、1.8〜2.0mW/cm2 (313nm)の条件で、光照射時間を変えながら光照射処理を行うと共に、紫外分光光度計により、当該溶液における紫外線の吸光度の変化を測定した。結果を図10〜図15に示す。
得られた溶液の各々を、石英セルの内壁面に塗布し、室温で2時間減圧乾燥処理することにより、最大吸収波長における吸光度が上記の溶液中の最大吸収波長における吸光度と同程度になるような厚みを有する薄膜を形成した。シルセスキオキサン重合体(7)に係る薄膜については2時間の窒素置換を行った後、石英セル内に形成された薄膜に対して、500Wキセノンランプおよび熱線カットフィルターを用い、1.8〜2.0mW/cm2 (313nm)の条件で、光照射時間を変えながら光照射処理を行うと共に、紫外分光光度計により、当該薄膜における紫外線の吸光度の変化を測定した。結果を図10〜図15に併せて示す。
図11の結果から、シルセスキオキサン重合体(2)は、溶液においては、光異性化反応が光照射時間が3分30秒間で完了し、薄膜においては、光異性化反応が光照射時間が3分間で完了することが確認された。シルセスキオキサン重合体(2)においては、分子同士の密度が狭く効率的にエネルギー移動がなされるために薄膜においての方が光異性化反応の完了時間が速くなったと考えられる。
図12の結果から、シルセスキオキサン重合体(3)は、溶液においては、光異性化反応が光照射時間が6秒間で完了し、薄膜においては、光異性化反応が光照射時間が50秒間で完了することが確認された。シルセスキオキサン重合体(3)においては、嵩高い置換基による立体障害により異性化が進行しにくくなったために薄膜においての方が光異性化反応の完了時間が遅くなったと考えられる。
図13の結果から、シルセスキオキサン重合体(4)は、溶液においては、光異性化反応が光照射時間が7秒間で完了し、薄膜においては、光異性化反応が光照射時間が2分間で完了することが確認された。シルセスキオキサン重合体(4)においては、嵩高い置換基による立体障害により異性化が進行しにくくなったために薄膜においての方が光異性化反応の完了時間が遅くなったと考えられる。
図14の結果から、シルセスキオキサン重合体(6)は、溶液においておよび薄膜においても、光異性化反応が光照射時間が20秒間で完了することが確認された。
図15の結果から、シルセスキオキサン重合体(7)は、溶液においては、光異性化反応が光照射時間が8分間で完了し、薄膜においては、光異性化反応が光照射時間が16分間で完了することが確認された。シルセスキオキサン重合体(7)においては、分子密度が狭くて二量化反応が生じにくくなったために薄膜においての方が光異性化反応の完了時間が遅くなったと考えられる。
また、シルセスキオキサン重合体(8)については、溶液および薄膜においても共に光照射時間が10時間以上となっても光異性化反応が完了しなかった。
図16(a)および(b)においては、各々、シルセスキオキサン重合体(1)に係る値を「■(黒四角)」、シルセスキオキサン重合体(2)に係る値を「●(黒丸)」で示した。図17(a)および(b)においては、各々、シルセスキオキサン重合体(3)に係る値を「■(黒四角)」、シルセスキオキサン重合体(4)に係る値を「●(黒丸)」で示した。図18(a)および(b)においては、シルセスキオキサン重合体(6)に係る値を「●(黒丸)」で示した。
シルセスキオキサン重合体(1)〜シルセスキオキサン重合体(4)、シルセスキオキサン重合体(6)〜シルセスキオキサン重合体(8)およびシルセスキオキサン重合体(12)の各々について、窒素気流下、昇温速度10℃/minの条件で、熱重量−示差熱分析を行うことにより、重量減少開始温度(熱分解温度)、5%重量減少温度および10%重量減少温度、並びに600℃における重量減少率を測定した。結果を表2に示す。
シルセスキオキサン重合体(1)およびシルセスキオキサン重合体(2)の各々により、石英セル内に薄膜を形成した。得られた薄膜の紫外線の吸光度(以下、「基準吸光度」ともいう。)を紫外分光光度計を用いて測定した後、当該石英セル内に形成された薄膜に対して、シルセスキオキサン重合体(1)については5分間、シルセスキオキサン重合体(2)については3分間光照射することによって異性化させた後、この薄膜を、140℃で15分間の条件で加熱することによって光照射前の構造に異性化させ、紫外分光光度計を用いて紫外線の吸光度を測定した。この操作を1サイクルとして50回繰り返す耐久試験により、光異性化の繰り返し耐久性を評価した。結果を表4および図20に示す。
表4には、50サイクル目の吸光度の基準吸光度に対する比を「耐久度」として示した。
図20には、シルセスキオキサン重合体(1)およびシルセスキオキサン重合体(2)の各々について、各サイクルにおける吸光度(An )の基準吸光度(A0 )に対する比(An /A0 )の変化を示す。この図20においては、シルセスキオキサン重合体(1)に係る値を「■(黒四角)」、シルセスキオキサン重合体(2)に係る値を「●(黒丸)」で示した。
なお、基準吸光度に対する吸光度の比の減少は、耐久性試験終了にシルセスキオキサン重合体(1)のフィルムおよびシルセスキオキサン重合体(2)のフィルムが有機溶媒に不溶となったことから、光照射によって副反応として架橋反応が起こったためと考えられる。
シルセスキオキサン重合体(1)〜シルセスキオキサン重合体(4)、シルセスキオキサン重合体(6)、シルセスキオキサン重合体(7)およびシルセスキオキサン重合体(12)の各々により、スピンコート法によって厚みが約0.3μmの薄膜を形成した。得られた薄膜に対して紫外線を照射し、エリプソメーターを用い、波長632.8nmのレーザー光により、紫外線照射前後における屈折率をそれぞれ測定し、屈折率の変化量を求めた。結果を表5に示す。
更に、特にシルセスキオキサン重合体(1)〜シルセスキオキサン重合体(4)およびシルセスキオキサン重合体(12)は、シルセスキオキサン重合体(6)に比して屈折率の変化量が極めて大きいことが確認された。この理由は、繰り返し単位中に多くの機能性基を有するためであると考えられる。
Claims (3)
- 請求項1に記載のシルセスキオキサン重合体よりなることを特徴とする屈折率変換材料。
- 請求項1に記載のシルセスキオキサン重合体よりなることを特徴とする光−熱エネルギー変換蓄積材料。
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