JP4634743B2 - マイクロ波焼成炉用発熱体 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波を照射することによって発熱する発熱体に関し、例えば、炉内にマイクロ波を照射することによってセラミックス材料を焼成するための発熱体、特に、アルミナ質材料を焼成する場合のような1600℃以上の高温での焼成に適した発熱体に関するものである。
従来、セラミックス材料等の焼成には、電気炉やガス炉などが一般的に使用されている。しかしながら、省エネルギー、環境負荷低減などの観点から、マイクロ波による焼成法が有力な焼成法として注目されるようになってきている。
例えば、特許文献1や特許文献2には、マイクロ波の照射によって被焼成物を自己発熱させて焼成する場合、被焼成物と実質的に等価なマイクロ波吸収特性を有する発熱体(耐火断熱材)で被焼成物を囲むことにより、被焼成物と発熱体(耐火断熱材)との温度差を解消させて、被焼成物の均一な焼成を行うことを可能にしたマイクロ波焼成法が開示されている。
また、特許文献3および特許文献4には、上記技術をさらに発展させて、特に、1600℃以上の高温で焼成されるアルミナ質材料の焼成に適した発熱体および耐火断熱材が開示されている。
特開2002−130960号公報 特開2003−240451号公報 特願2004−070464号明細書 特願2004−114487号明細書
ファインセラミックス材料の代表的なものとして、アルミナ質セラミックスが挙げられる。このアルミナ質セラミックスは、一般に、1600℃以上の高温で焼成される。このアルミナ質セラミックス材料を、マイクロ波の照射により自己発熱させて焼成する場合、次のような問題点があった。
アルミナは、低温域において誘電損失が小さいため、マイクロ波を照射しても、それ自身のマイクロ波吸収による発熱が乏しい。したがって、特許文献1や特許文献2に開示される技術を適用して、被焼成物であるアルミナと等価なマイクロ波吸収特性を有する発熱体で、被焼成物であるアルミナを囲んでマイクロ波を照射しても、目標とする焼成温度に昇温することは困難である。
また、アルミナは、何らかの外部手段によって、それ自身の温度が1000℃以上の高温域まで上昇すると、アルミナ自身のマイクロ波吸収(誘電損失)が大きくなる。そして、アルミナは、いったん高温になれば、マイクロ波の吸収による自己発熱が顕著になり、それ以降は自己発熱により昇温して、最終的に焼成温度に達することができる。
したがって、被焼成物であるアルミナ質セラミックス材料を、それと等価なマイクロ波吸収特性を有する発熱体(例えば、被焼成物と同じアルミナ質の材料)で囲む方法でマイクロ波焼成する場合、まず、被焼成物であるアルミナ質セラミックス材料とそれを囲む発熱体とからなるユニットを、別の加熱手段によって1000℃以上まで昇温させた後でないと、前記ユニットを、マイクロ波吸収によって自己発熱させることができなかった。
しかしながら、被焼成物であるアルミナ質セラミックス材料とそれを囲む発熱体からなるユニットをマイクロ波吸収によって自己発熱する温度まで昇温させるために、別の加熱手段を設けることは、焼成炉の設計を複雑にさせるばかりでなく、操炉中の温度制御を煩雑にさせるという欠点をもたらす。したがって、アルミナのように低温でのマイクロ波吸収が小さい材質であっても、別の加熱手段を設けることなく、焼成温度域において、被焼成物と実質的に等価に発熱する発熱体1種類のみの使用によって、被焼成物であるアルミナ質セラミックス材料を均一に焼成する技術が要求されていた。
別の加熱手段を設けることなく、被焼成物であるアルミナ質セラミックス材料と実質的に等価に発熱する発熱体1種類のみの使用によって、マイクロ波吸収による自己発熱によりアルミナ質材料を焼成するためには、前記発熱体がマイクロ波照射によって、室温から1000℃まで自己発熱し、且つ、1000℃以上では、被焼成物であるアルミナと実質的に等価に発熱する、という2つの特性を併せ持つことが要求される。
本願発明者は、検討を重ねた結果、発熱体を骨材および無機結合材より形成し、骨材をアルミナ粒子とし、無機結合材を、NaO成分を含む無機結合材とすれば、上記2つの特性を併せ持つ発熱体が得られることを見出し、その発明に対して特許文献3の出願を行った。
特許文献3に開示されている発熱体は、NaO成分を含む好適な無機結合材として、ケイ酸ソーダを挙げている。この無機結合材中のNaO成分の存在が、上記の特性、すなわち、室温から1000℃までの自己発熱特性を発熱体に発現させている。
しかしながら、アルカリであるNaO成分は、高温に曝されると、発熱体と隣接する耐火断熱材と反応し、該耐火断熱材を劣化させることがあることを究明した。
そこで、本願発明者は、上記2つの特性に加え、隣接する耐火断熱材の劣化が少ない、という第3の特性を有し、合計3つの特性を併せ持つ発熱体を実現すべく、上記の問題点に鑑み検討を行った結果、室温から1000℃までの自己発熱特性を発熱体に発現させるためには、NaO成分は不可欠であるとの結論に達した。そして、発熱体を骨材および無機結合材より形成し、骨材をアルミナ粒子とし、無機結合材を、NaO成分およびSiO成分を含む無機結合材とし、さらに、発熱体を構成する無機結合材のNaO/SiO比(重量%比)およびその添加量の最適化することによって、発熱体に隣接する耐火断熱材の劣化を解消することが可能となることを見出し、特許文献4に示す発明を完成して特許出願を行うに至った。
特許文献4に開示されているように、発熱体を構成する無機結合材のNaO/SiO比(重量%比)およびその添加量の最適範囲を見出すことによって発熱体に隣接する耐火断熱材の劣化を解消することが可能となった。
しかしながら、NaOおよびSiO成分を含む無機結合材を使用した発熱体を、高温で繰り返し使用し続けると、発熱体からNaO成分およびSiO成分が蒸発することにより、また、発熱体のSiO成分とAl成分が高温で徐々に反応してムライト(3Al・2SiO)が生成することにより、発熱体の発熱機能が徐々に低下することがあることを究明した。
本発明の目的は、高温で繰り返し使用し続けても、発熱体の発熱機能が過度に低下しない発熱体、コート材および耐断熱材を提供することである。
本願発明者は、発熱体を繰り返し使用し続けると、発熱体の発熱機能が徐々に低下することがあるという上記の問題点に鑑み検討を行った結果、発熱体のNaO成分を、β−アルミナとして含有させれば、高温で繰り返し使用しても、得られる発熱体の発熱機能が劣化しないことを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
(1)マイクロ波を照射することによって発熱する発熱体であって、該発熱体は、アルミナ(Al)およびβ−アルミナを含み、さらに補強繊維として無機繊維を含むことを特徴とする発熱体
(3)無機繊維がアルミナ繊維、ムライト繊維から選ばれる1種類以上であることを特徴とする前述の発熱体。
(4)前述の発熱体を形成する材料として、アルミナ、β−アルミナ、無機繊維に加えて、水および増粘剤が含まれていることを特徴とするコート材。
(5)マイクロ波焼成炉用耐火断熱材であって、基材の片面に発熱層が設けられており、基材は無機繊維質材料を主成分とし、発熱層が、前述の発熱体よりなることを特徴とする耐火断熱材。
(6)マイクロ波焼成炉用耐火断熱材であって、基材の片面に発熱層が設けられており、基材は無機繊維質材料を主成分とし、発熱層が、前述のコート材よりなることを特徴とする耐火断熱材。
本発明によれば、低温におけるマイクロ波吸収が小さく、自己発熱によって焼成することが困難な材質の被焼成物であっても、別の加熱手段を設けることなく、1種類の発熱体のみで、被焼成物を均一に焼成することが可能となる。
したがって、マイクロ波焼成炉の構成が複雑にならず、また、操炉中の温度制御も容易に行うことができる。
さらに、高温で繰り返し使用しても、発熱体の発熱機能が劣化することがない。
本発明では、アルミナ(Al)およびβ−アルミナにより発熱体を構成する。
本発明の発熱体は、被焼成物と同じ材質であるアルミナと、β−アルミナを含んでいる。重要な点は、発熱体のNaO成分が、β−アルミナとして配合されていることである。
発熱体が、高温において被焼成物であるアルミナと等価に発熱する必要があることを考えると、発熱体は、被焼成物と同じ材質であるアルミナの粒子(粉体と称してもよい)を含んでいることが好ましい。
使用するアルミナ粒子の平均粒径(JIS R 1692(1997)「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定法」により測定した平均粒径。
以下、同じ。)は、1〜100μmの範囲であることが、より好適である。骨材の平均粒径が上記の範囲内であると、後述するように、発熱体を不定形のコート材として形成したとき、そのコート材の塗布性・作業性を良好に保つことができる。
前述のように、発熱体は、アルミナ粒子を含んでいる。アルミナは、1000℃以上の高温になると、誘電損失が急激に増大して(マイクロ波吸収が大きくなり)自己発熱をするようになる。しかしながら、これよりも低温においては、アルミナ自身のマイクロ波吸収が小さいため、アルミナ自身の自己発熱によって温度を上昇させることは困難である。
したがって、1000℃以下の低温域では、発熱体を構成するアルミナ粒子は自己発熱によって発熱しない。そのため、発熱体を構成するアルミナのマイクロ波吸収が小さい低温域でも、発熱体を自己発熱により発熱させる必要がある。
そこで、本願発明者は、先に、発熱体を構成するアルミナ粒子同士を結合する無機結合材を、NaOおよびSiO成分を含む無機結合材とすれば、得られる発熱体が、アルミナが自己発熱しない前記の低温域においても、マイクロ波吸収によって優れた自己発熱特性を発現することを見出した(特許文献3および特許文献4)。
しかしながら、NaOおよびSiO成分を無機結合材として含む発熱体を、高温で繰り返し使用し続けると、発熱体からNaO成分およびSiO成分が蒸発することにより、また、発熱体のSiO成分とAl成分が高温で徐々に反応してムライト(3Al・2SiO)が生成することにより、発熱体の発熱機能が徐々に低下することがある。
そこで、発熱体の発熱機能の劣化を防止するために、さらに鋭意検討を重ねた結果、前記低温域での自己発熱特性に、NaO成分は不可欠であること、そして、発熱体のNaO成分を無機結合材でなくβ−アルミナとして含有させれば、発熱体を高温で繰り返し使用しても、発熱体の発熱機能が劣化を抑制することができることを見出した。
本発明の最良の形態においては、NaOおよびSiO成分を含む無機結合材は、使用しない。ただし、前述のように発熱体の発熱機能が徐々に低下することをあまり問題視しない場合は、β−アルミナ粒子に加えて、NaOおよびSiO成分を含む無機結合材を使用してもよい。
β−アルミナはSiO成分を実質的に含んでいないため、発熱体を構成するアルミナ粒子と反応してムライトを生成することがない。
さらに、発熱体のNaO成分を無機結合材でなくβ−アルミナとして含有させると、わずかなNaO成分の含有量でも、発熱体は安定した発熱機能を発現することを見出したのである。
β−アルミナとは、広義には、一般式RO・11Al(Rはアルカリ金属)で表され、狭義には、アルカリ金属RがNaであるナトリウム−β−アルミナのことを指す。
理想化学組成はNaO・11Alであるが、一般にNaOを過剰に含んでいる。さらに、化学組成がNaO・7Alで表されるβ’−アルミナ、化学組成がNaO・5〜6Alで表されるβ”−アルミナなどが存在することが知られている。
本発明では、理想化学組成からずれたβ−アルミナはもちろん、β’−アルミナやβ”−アルミナをも含めて使用することが可能であり、本発明でいうβ−アルミナは狭義のβ−アルミナに限定されない。
本明細書中では、狭義のβ−アルミナの他に、上記のβ’−アルミナやβ”−アルミナをも含めて、一括して「β−アルミナ」と表現する。
β−アルミナは、二次元すなわち層状の伝導パスをもつイオン導電体であり、その結晶構造は、Naイオンが存在する面とスピネル型構造に類似した構造の酸素層から成り立つ層状構造である。Naイオンは、この層に沿って容易に移動することができるため、非常に高いNaイオン導電性を示す。電気伝導に寄与するイオンを持った物質は、誘電損による発熱とは別に伝導電流による電力損失によっても発熱する。このような理由から、1000℃以下の低温域において、わずかなNaO含有量で発熱体に優れた発熱機能を発現させるためには、β−アルミナは有効であると考えることができる。
本発明に係る発熱体の一例の構造を示す走査型電子顕微鏡写真および模式図を図3および図4に示す。本発明の好適な一例においては、板状の外形を呈するβ―アルミナの粒子1を、アルミナ粒子2が覆う構造を有している。ただし、図3〜4においては、β―アルミナの粒子を見えやすくするために、多数のアルミナ粒子の一部が除去された状態が示されている。
使用するβ−アルミナ粒子の平均粒径(JIS R 1692(1997)「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定法」により測定した平均粒径。以下、同じ。)は、1〜100μmの範囲であることが、より好適である。骨材の平均粒径が上記の範囲内であると、後述するように、発熱体を不定形のコート材として形成したとき、そのコート材の塗布性・作業性を良好に保つことができる。
本発明の発熱体の密度は、好ましくは1000〜1500kg/mである。
さらに、本発明の発熱体に、補強材として無機繊維を含ませると、得られる発熱体の耐熱衝撃性が向上して、より好ましい。補強材の役割を果たす無機繊維としては、アルミナシリカ繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維が好ましい。アルミナの焼成温度は1600℃以上と非常に高温であるため、この中でも、より高温での耐熱性に優れたアルミナ繊維、ムライト繊維をより好ましく使用することができる。
本発明の発熱体は、スラリーまたはセメント状の、不定形のコート材によって形成することがより好適である。コート材によって発熱体を形成する場合、骨材と無機結合材、無機繊維の他に、増粘剤および水を適宜使用することができる。
また、無機繊維質材料を基材とし、その基材の片面に前記発熱体を設けた構造は、マイクロ波焼成炉用耐火断熱材として好適である。
前記発熱体が設けられる基材は、マイクロ波の透過が可能であり、且つ、優れた断熱性を有している材料が好適である。マイクロ波が基材に吸収されて、基材によるマイクロ波の消費が大きくなってしまうと、結果として、被焼成物の焼成に必要なエネルギー量が増大してしまう。
また、放射冷却による発熱体の温度効果を抑制するために、基材は高い断熱性を有することが好ましい。特に、アルミナの焼成温度は1600℃以上と高温であり、発熱した発熱体の放射冷却をより低く抑えるためには、基材の断熱性は重要である。
さらに、マイクロ波焼成では、高速昇温および高速冷却が行われるために、基材は、耐熱衝撃性に優れていることが好ましい。
このような特性を満たす基材としては、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、アルミナシリカ繊維を主成分としたセラミックファイバボード等の無機繊維質材料を挙げることができる。セラミックファイバボードは、マイクロ波の透過が可能であるとともに、優れた断熱性、耐熱性に加え、優れた耐熱衝撃性を有しており、好ましく使用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
表1に示す配合組成に基づき、原料を所定量配合し、これをミキサーにて撹拝・混練して発熱体を形成するための不定形コート材を得た。なお、表1に示す粒子(粉体)の平均粒径は、JIS R 1692(1997)「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定法」によって測定した。
表1に示す配合組成によって得られる発熱体を用いて、マイクロ波焼成炉において、アルミナ質磁器を焼成する実験を行った。
前記の配合にて作製したコート材を、肉厚25mmのセラミックファイバボード(サンゴバン・ティーエム製FMX−17R)の片面に2mmの厚さで塗布した。その後、それを100℃で3時間乾燥させ、1000℃で1時間仮焼して、本発明の発熱体を設けた耐火断熱材を得た。
次に、この耐火断熱材を用いて、発熱体を設けた面を内側にして、200x200x200mmの炉内空間を作成した。この炉内空間をさらに断熱するために、その外側に、肉厚25mmmのセラミックファイバボード2層(サンゴバン・ティーエム製FMX−16CVおよび14R)を配置して断熱層を設けた。
次に、被焼成物として、100x50x35mmの寸法を有する、アルミナ粒子にカルボキシメチルセルロースおよび水を適量加えて成形した素地を用意した。このアルミナ質成形品の素地2個を、前述の閉空間内において、周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、炉内温度を放射温度計により測定した。
実施例1は、アルミナ粒子(平均粒径5μm)90重量部、β−アルミナ粒子(理想組成式:NaO・11Al,平均粒径15μm)10重量部、ムライト繊維9重量部からなる発熱体である。
実施例1により得られた発熱体を使用した場合の、マイクロ波照射時間と炉内温度との関係を図1に示す。アルミナ質磁器の焼成実験を繰り返し3回行った結果、3回とも炉内の昇温速度はほぼ一定であり、約150分で炉内温度を1600℃に到達させることが可能であった。
実施例1の発熱体の使用前、および実施例1の発熱体により炉内を1、2、3回1600℃に昇温させた後の発熱体の化学組成を表2に示す。なお、発熱体の化学組成は、発熱体試料を、直接、試料ホルダーに装着して、波長分散型蛍光X線装置(株式会社島津製作所製XRF−1700)によって求めた。表2に示すように、発熱体のNaO成分はほぼ一定であり、発熱体の繰り返し使用によるNaO成分の蒸発はほとんど生じないことがわかった。
実施例1の発熱体の使用前、および実施例1の発熱体により、炉内を1、2、3回1600℃に昇温させた後の発熱体の構成結晶相を図2に示す。発熱体の構成結晶相の同定は、粉末X線回折分析によって求めた。実施例1の発熱体の主要な構成結晶相はコランダム(α−アルミナ)であり、発熱体を繰り返し使用しても、構成結晶相に変化は認められなかった。
実施例1の発熱体の構造を示す走査型電子顕微鏡写真および模式図を、図3および図4に示す。本発明の一実施例においては、板状の外形を示すβ―アルミナ粒子1を、アルミナ粒子2が覆う構造を有している。ただし、図3〜4においては、β―アルミナの粒子を見えやすくするために、多数のアルミナ粒子の一部が除去された状態が示されている。
実施例2は、アルミナ粒子(平均粒径5μm)85重量部、β−アルミナ粒子(理想組成式:NaO・11Al,平均粒径15μm)15重量部、ムライト繊維9重量部からなる発熱体である。
実施例3は、アルミナ粒子(平均粒径5μm)73重量部、β−アルミナ粒子(理想組成式:NaO・11Al,平均粒径15μm)27重量部、ムライト繊維9重量部からなる発熱体である。
実施例4は、アルミナ粒子(平均粒径5μm)93重量部、β−アルミナ粒子(理想組成式:NaO・11Al,平均粒径15μm)7重量部、ムライト繊維9重量部からなる発熱体である。
実施例5は、アルミナ粒子(平均粒径5μm)95重量部、β−アルミナ粒子(理想組成式:NaO・11Al,平均粒径15μm)5重量部、ムライト繊維9重量部からなる発熱体である。
実施例2〜5も、実施例1と同様に、アルミナ質磁器の焼成実験を繰り返し3回行った結果、3回とも炉内の昇温速度はほぼ一定であり、約150分で炉内温度を1600℃に到達させることが可能であった。また、発熱体の繰り返し使用によるNaO成分の飛散はほとんど生じなかった。また、発熱体を繰り返し使用しても、発熱体の構成結晶相には変化が認められなかった。
比較例1は、アルミナ粒子(平均粒径5μm)100重量部、コロイダルシリカ溶液(固形分40重量%、NaO/SiO重量比=0.01)50重量部、ムライト繊維9重量部からなる発熱体である。
比較例1により得られた発熱体を使用した場合の、マイクロ波照射時間と炉内温度との関係を図3に示す。アルミナ質磁器の焼成実験を繰り返し3回行った結果、1回目の昇温では、約180分で炉内温度が1600℃に到達する。しかしながら、2回目の昇温では、炉内温度を1600℃まで到達させるのに約350分、3回目の昇温では炉内温度を1600℃まで昇温させるのに約400分の時間を要してしまうようになる。
比較例1の発熱体の使用前、および比較例1の発熱体により炉内を1、2、3回1600℃に昇温させた後の発熱体の化学組成を表3に示す。表3に示すように、昇温の回数の増加とともに、発熱体のNa0およびSiO成分が減少していることがわかった。
比較例1の発熱体の使用前、および実施例1の発熱体により炉内を1、2、3回1600℃に昇温させた後の発熱体の構成結晶相を図6に示す。発熱体の構成結晶相の同定は、粉末X線回折分析によって求めた。使用前の、比較例1の発熱体の主要な構成結晶相はコランダム(α−アルミナ)である。しかしながら、発熱体を繰り返し使用すると、コランダムが減少し、ムライトの生成が顕著になっていくことがわかった。
また、表2および表3に示されるように、3回昇温後の発熱体のNaO成分濃度は、実施例1の場合と比較例1の場合とで大きな違いは認められないが、発熱体としての発熱機能は、図1および図5に示すように、大きく異なっている。これは、NaO成分をβ−アルミナの状態で発熱体に含ませることが、発熱体の発熱機能の発現において、より効果的であることを示していると考えることができる。
本発明の実施例1に係る、放射温度計を用いて測定された炉内の昇温特性を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る発熱体を繰り返して使用した場合の、粉末X線回折スペクトルの変化を示す図である。 本発明の実施例1に係る発熱体の構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1に係る発熱体の構造を示す模式図である。 本発明の比較例1に係る、放射温度計を用いて測定された炉内の昇温特性を示すグラフである。 本発明の比較例1に係る発熱体を繰り返して使用した場合の、粉末X線回折スペクトルの変化を示す図である。
符号の説明
1 β―アルミナの粒子
2 アルミナ粒子

Claims (6)

  1. マイクロ波を照射することによって発熱する発熱体であって、該発熱体は、アルミナ(Al)およびβ−アルミナを含み、
    β−アルミナ粒子を、アルミナ粉体が覆うように存在してなることを特徴とする発熱体。
  2. 発熱体が、さらに補強繊維として無機繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
  3. 無機繊維がアルミナ繊維、ムライト繊維から選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項に記載の発熱体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発熱体を形成する材料として、アルミナ、β−アルミナ、無機繊維に加えて、水および増粘剤が含まれていることを特徴とするコート材。
  5. マイクロ波焼成炉用耐火断熱材であって、基材の片面に発熱層が設けられており、基材は無機繊維質材料を主成分とし、発熱層が、請求項1乃至のいずれか1項に記載の発熱体よりなることを特徴とする耐火断熱材。
  6. マイクロ波焼成炉用耐火断熱材であって、基材の片面に発熱層が設けられており、基材は無機繊維質材料を主成分とし、発熱層が、請求項に記載のコート材よりなることを特徴とする耐火断熱材。
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