JP4634657B2 - 表面性状測定装置の校正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定物の輪郭、二次元形状、三次元形状、表面粗さ、うねり等の表面性状を測定する表面性状測定装置の校正方法に関し、より詳しくは、一連の測定動作で測定できる測定範囲を超える広い測定範囲を測定する表面性状測定装置の校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
三次元測定機等を利用して、一連の測定動作ではカバーし切れない広範囲な領域にわたって高精度な測定を行う場合、全測定範囲を複数の部分測定範囲に分割して、各部分測定範囲毎に測定を行ったのち、これら部分測定範囲の測定データを接続して全測定範囲の測定データを得ることがなされている。部分測定範囲への分割の方法として、全測定範囲を、一部が重複するように複数の部分測定範囲に分割する方法が知られている。
【0003】
また、部分測定範囲の測定データを接続する方法として、幾つかの方法が提案されている。例えば、重複部分が最も滑らかに結合されるように各部分測定範囲の位置、角度をフィッティングさせて全測定範囲Aの形状を求める「フィッティング合成法」が知られている。他の方法としては、各部分測定範囲をその法線方向にのみ移動させ、各部分測定範囲が接続された全測定範囲の形状を求める方法(ハイブリッドフィッティングを用いた開口合成干渉法による光度非球面形状計測:清水他、1998年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集p179)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうした部分測定範囲間の測定データのズレの原因は、各部分測定範囲毎に測定センサを位置決めしたり、載置台を移動させたりすることに起因するセンサの位置決め誤差、載置台の真直誤差などの器械誤差、及びセンサの非直線誤差等がその主たるものである。これら器械的誤差等を知ることができれば、適切な接続を迅速に行なうことができるはずである。
また、操作方法が不適切であったり、或いは機械そのものに異常があったりなどの理由により、各部分測定範囲間の器械誤差等の大きさの差が想定を超えて大きくなることがある。こうした場合には、無理に接続を続行することは適切でない。
しかし、従来は、部分測定範囲間の測定データのズレの原因が何であるかを考慮せずに部分測定データの接続を実行していたので、接続に時間を要するだけでなく、不適切な全測定範囲のデータが出力され得るという不都合があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、各部分測定範囲の測定データを接続するに際し、簡易な方法で測定結果の校正情報を取得することができ、短時間で高精度な測定結果を取得することのできる表面性状測定装置の校正方法を提供することを目的とする。また、部分測定範囲の不適切な接続を回避することができ、これにより正確な全測定範囲のデータを取得することのできる表面性状測定装置の校正方法を提供することを別の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的のため、本発明に係る表面性状測定装置の校正方法は、一連の測定動作で測定できる測定範囲の大きさよりも大きい被測定物を測定するに際し、前記被測定物の全測定範囲を互いに一部において重複する第1部分測定範囲に分割し、各第1部分測定範囲での前記被測定物の測定結果を取得した後、各第1部分測定範囲での前記被測定物の測定結果を接続することにより全測定範囲の表面性状を求めるように構成された表面性状測定装置の校正方法において、既知の表面性状を有する校正ワークの表面性状を測定するため、前記校正ワークの全測定範囲を互いに一部において重複する第2部分測定範囲に分割する第一のステップと、前記第2部分測定範囲毎に前記校正ワークの部分表面性状の測定を実行し部分測定データを取得する第二のステップと、この各部分測定データに基づき、隣接する前記第2部分測定範囲の重複部分において、一方の前記第2部分測定範囲の前記部分測定データである第1対応点と、他方の前記第2部分測定範囲の前記部分測定データであり且つ前記第1対応点と所定の位置関係を有す第2対応点との間の距離を特定する第三のステップと、前記距離に関する評価関数Φを定義する第四のステップと、前記評価関数Φを最小にするような前記第2部分測定範囲での前記部分測定データの変換量を非線形最小二乗法により求める第五のステップと、前記第五のステップにより求められた前記変換量に基づき、前記被測定物の測定結果を補正するための補正値を演算する第六のステップとを備え、前記第2部分測定範囲の位置は、前記第1部分測定範囲の位置と略同一であることを要旨とする。この校正方法では、校正ワークの既知の表面性状に近似するように校正ワークの測定結果が変換される。この変換量は、センサ位置決め誤差等の器械誤差やセンサの非直線誤差に相当すると考えられるので、この変換量により、被測定物の測定結果を補正することができる。前記の変換量は、前記各部分測定範囲毎の部分測定データによって特定される面の回転量R及び平行移動量Tとすることができる。
【0007】
また、前記の表面性状測定装置の校正方法において、前記変換量に所定の制約条件を設定し、前記変換量が前記制約条件の範囲内にあるか否かを判断するステップを更に備えるのが好適である。これにより、部分測定範囲の不適切な接続を回避することができ、正確な全測定範囲のデータを取得することができる。さらに、前記変換量が制約条件内に収まらないと判断される場合には、外部に向けてその旨を報知するステップを実行するのがよい。
【0008】
さらに、前記評価関数Φは、前記制約条件を表す関数を組み込んでいるのが好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る表面性状測定方法の好ましい実施の形態について説明する。図1は、この実施の形態に係る表面形状測定装置100の概要を示す概念図である。表面形状測定装置100は被測定対象1の表面の変位を測定するセンサ2と、このセンサ2の出力を演算処理して形状測定データを算出する演算装置3と、この演算装置3の演算結果を表示する表示装置4とを備えて構成されている。ここで、被測定対象1は、少なくとも段差、裂け目等の無い連続した面を有するものとする。
【0010】
被測定対象1の全測定範囲Aは、一回のまとまった測定によって測定可能な複数の部分測定範囲Bに分割されて、各部分測定範囲Bi毎に測定される。ここでは、簡単のため、3つの部分測定範囲B0,B1,B2に分割するものとする。各部分測定範囲B0、B1,B2は、その一部が重複し、重複部分L(0,1)、L(1,2) を有するように設定される。
【0011】
この場合、上述の器械的誤差等により、各部分測定範囲B0、B1,B2の測定データは、被測定対象1が連続面を有するにも拘らず、図2のように不連続な面S0,S1,S2を意味するデータd(x、y)となるのが通常である。そこで、測定データS0,S1,S2を補正するため、次に示す方法により、器械的誤差の大きさを推定し、形状測定装置100の校正を実行する。
【0012】
以下、本実施の形態に係る形状測定装置の校正方法につき、図3、4に示す概念図、及び図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0013】
まず、図3に示すように、既知の形状を有する校正ワーク5を表面形状測定装置100の載置台(図示せず)にセットする(ステップ1)。校正ワーク5は、ここでは表面形状測定装置100の器械的誤差を決定するのに十分な平面度を持つ平面ワークであるとする。また、校正ワーク5の大きさは、少なくとも被測定物の全測定範囲と略同等の大きさであることが好適である。
【0014】
次に、校正ワーク5に関し、被測定対象1の場合と同様に、部分測定範囲B0’、B1’、B2’を特定する(ステップ2)。この部分測定範囲B0’、B1’、B2’は、それぞれ、被測定対象1を測定する場合の部分測定範囲B0、B1,B2と形状測定装置100から見て略同一の位置とする。B0’とB1’との間、及び B1’とB2’との間には、それぞれ重複部分L(0,1)´、L(1,2)´が存在する。
【0015】
この状況において、校正ワーク5を、部分測定範囲B0’、B1’、B2’に分けて測定する(ステップ3)。センサの位置決め誤差等の器械的誤差が無く、人為的な操作ミス等による誤差も無いとした場合、各部分測定範囲B0’、B1’、B2’の測定結果は、図4(a)に示すような一平面に合致する。しかし、センサの位置決め誤差等の器械的誤差がある場合、各部分測定範囲B0’、B1’、B2’の測定データd(x、y)によって特定される面は、図4(b)に示すように、各部分測定範囲間でシフト及び回転の生じるデータSC0 、SC1、SC2となる。
【0016】
次に、被測定対象1の測定結果S0,S1,S2等の補正値を算出するため、これらのデータSC0、SC1、SC2のベストフィット計算を実行する(ステップ4)。ベストフィット計算とは、図4(b)のように各部分測定範囲ごとにシフト、回転のあるデータSC0、SC1、SC2を、回転、平行移動させることにより滑らかに繋ぎ合わせ、本来の形状データ(ここでは平面)と略同一の形状データになるよう補正することをいう。
【0017】
ベストフィット計算は、後に詳述するように、隣接する部分測定範囲Bn-1',Bn´の測定データSCi-1、SCiを示す面S,S'上の点のうち、両面の重複部分L'上に存在する点を対応点ri (S)、ri (S´)として特定し、この対応点の関係に関する評価関数Φを定義した後、このΦを最小にするようなデータSCiの回転量R、平行移動量Tを、非線形最小二乗法による収束計算を実行することにより求めるものである。
【0018】
また、回転量R、平行移動量Tに関し、制約条件を設定し、回転量R、平行移動量Tがこの制約条件の範囲内にあるか否かを判断する(ステップ5)。制約条件は、形状測定装置100の正常な使用状態から生じうる最大の器械的誤差から決定される。制約条件を超える場合には、形状測定装置100の使用状態、又は装置そのものが異常であるとして、表示装置4又は図示しないその他の装置により、操作者に対し警告を発する(ステップ6)。警告を発する代わりに、又はそれに加えて、測定実行用のプログラムを強制的に終了させるようにしてもよい。
【0019】
制約条件内に収まっていると判断される場合には、得られたR,Tに基づいて補正値を算出し、すでに得られた又は後に行われる被測定対象1の測定結果S0,S1,S2をこの補正値により補正する(ステップ7)。
【0020】
次に、ステップ4のベストフィット計算の手法、及びステップ5の制約条件の判断方法の一例につき、図7を用いて詳細に説明する。なお、以下では、部分測定範囲がNs個あり、ベストフィットの対象となる測定データSがNs組あるものとする。図4のように、3つの部分測定範囲に分割する場合には、Ns=3とすればよい。
【0021】
ベストフィット計算の説明に入る前に、計算に用いる各種のパラメータの意味について定義する。まず、面S、面S´の重複部分における対応点はN(S、S')個あり、そのうちの1組の対応点をri (S) 、ri (S´) (I=1、2、・・・、N(S、S') )と表す。また、面S、面S´をベストフィットさせた場合において、初期位置からベストフィット位置までの面S及び面S´の回転を、それぞれ、R(S)、R(S') 、面 S、面S´の平行移動量を、それぞれT(S)、T(S')とする。R(S)、R(S')は、例えば直交三次元座標系のX,Y,Z軸の3軸を回転軸としたφ(S)、θ(S)、ψ(S)を要素として、また、R(S') は、同様にφ(S')、θ(S')、ψ(S')を要素として、それぞれ、
【0022】
【数1】
【0023】
と表すことができる。 また、T(S) は、X,Y,Z軸方向の平行移動成分tx(S)、ty(S)、tz(S)で表現するものとし、また、T(S')は、同じくX,Y,Z軸方向の平行移動成分tx(S')、ty(S')、tz(S') を要素として表現するものとする。
【0024】
本実施の形態においては、このφ(S)、θ(S)、ψ(S)、tx(S)、ty(S)、tz(S)、φ(S´)、θ(S´)、ψ(S´)、tx(S´)、ty(S´)、tz(S´)に関し、以下の制約条件を設ける。
【0025】
【数2】
―tx(sys)≦tx(s)≦tx(sys)
―ty(sys)≦ty(s)≦ty(sys)
―tz(sys)≦tz(s)≦tz(sys)
―φ(sys)≦φ(s)≦φ(sys)
―θ(sys)≦θ(s)≦θ(sys)
―ψ(sys)≦ψ(s)≦ψ(sys)
―tx(sys´)≦tx(s´)≦tx(sys´)
―ty(sys´)≦ty(s´)≦ty(sys´)
―tz(sys´)≦tz(s´)≦tz(sys´)
―φ(sys´)≦φ(s´)≦φ(sys´)
―θ(sys´)≦θ(s´)≦θ(sys´)
―ψ(sys´)≦ψ(s´)≦ψ(sys´)
【0026】
本実施の形態では、この制約条件を、[数3]のようにペナルティ関数pにより定義し、後述するように、各測定データSciの回転、平行移動の量を示すパラメータXを求める評価関数に組み込んでいる。詳しくは後述する。
【0027】
【数3】
【0028】
ただし、γtx、γty、γtz 、γΦ 、γθ 、γψ は、各ペナルティの重みであり、制約条件のトレランスの逆数として予め定められている正の定数とする。
【0029】
以上の定義の下、各部分測定範囲Bの測定結果としての面Sのベストフィッティングの演算方法について説明する。
本実施の形態のベストフィット演算は、対応点ri (S) 、ri (S´) の間の距離(対応点間距離)fi (S、S´)に基づいて行う。
対応点ri (S) 、ri (S´)は、次のようにして決定する。重複部分L(S、S´)´内の面S´側の点を、対応点の一方の点ri (S´)として決定する。そして、この点ri (S´)から最短距離を与える面S上の点を点ri (S´)の対応点ri (S)として決定する。同様に、重複部分L(S、S´)´内の面S側の点を、一組の対応点の一方の点ri+1 (S)として決定する。そして、この点ri+1 (S)から、最短距離を与える面S´上の点を点ri+1 (S)の対応点ri+1 (S`)として決定する。最短距離を与える点の代わりに、座標軸に沿った線の交点を対応点としてもよい。
このようにして、対応点が求まった後は、対応点間の距離fi (S、S´)を演算する。fi (S、S´)は、その重みwi (S,S`)を考慮して
【0030】
【数4】
【0031】
となる。
【0032】
このfi (S、S´)と、前述のペナルティ関数pとを組み込んだ評価関数ベクトルFを、次の[数5]により定義する。
【0033】
【数5】
【0034】
また、評価関数Φを、
【数6】
【0035】
と定義する。このΦを最小にする未知パラメータXを非線形最小二乗法による収束計算を繰り返し行うことにより求める。未知パラメータXは、次の[数7]により与えられ、回転量R、平行移動量Tの各要素を含むものである。
【0036】
【数7】
【0037】
以下に、非線形最小二乗法によるXを求める方法について説明する。最初に、評価関数ベクトルFのヤコビアン行列Jを導出する。
Fを構成するfのi番目の要素をfi、pのi番目の要素をpi、未知パラメータXを構成するx(S)のパラメータ種別(tx、ty、tz、Φ、θ、ψ)の要素をxK (S)とすると、ヤコビアン行列Jは、
【0038】
【数8】
【0039】
となる。ヤコビアンJの各項は、
【0040】
【数9】
【0041】
【数10】
【0042】
と数値微分に置き換えて計算できる。ここで、δKは、各パラメータ種別kの増分を示しており、Ik (S`')は、以下の単位行列Iを構成する6×6の小単位行列I(S)のk番目の列に相当する列ベクトルを示す。
【0043】
【数11】
【0044】
なお、fi(X)=fi (s,s')(x(s),x(s'))を考慮すると、Ik (S'')δkがx(S),x(S')を変化させる場合にのみ、∂fi/∂xk (S'')は値を持ち、それ以外の場合には0となる。
【0045】
同様に、pi(X)=pi(xK' (S'''))を考慮すると、Ik (S'')δkがx(S''')を変化させる場合にのみ、∂pi/∂xk (S'')は値を持ち、それ以外の場合には0となる
こうして導出されたヤコビアンJを用いた次の[数12]に示す方程式
【0046】
【数12】
J・ΔX=−F
【0047】
を解いて未知パラメータXの増分ΔXを求める。なお、最初はXの値として適切と思われる値を予め設定しておく。
そして、設定値XによるΦ(X)と、新しいパラメータX+ΔXによるΦ(X+ΔX)とを比較し、収束の判定を行なう。収束していなければ、X+ΔXを新たにXとし、収束するまで上記の手順を繰り返す。
【0048】
ところで、未知パラメータXの要素のうち、tx、ty、tzは面の平行移動に関する要素である一方、Φ、θ、ψは面の回転に関する要素であり、平行移動とは異なる物理量を示すものである。従って、メトリックの問題を考慮するため、各パラメータ種別kの増分δKを要素とするベクトル
【数13】
【0049】
によりヤコビアンJをスケーリングするのが好適である。増分ベクトルδによりスケーリングされたヤコビアンJ'を使った方程式J'・ΔX’
=−Fの解ΔX’を求める。求められたΔX’を使って、ΔXの
各要素は、
【0050】
【数14】
Δxk (S)=Δx'k (S)・δk
【0051】
として求められる。ただし、
【数15】
【0052】
とする。以下、上述のように収束計算を行い、未知パラメータXを求める。そして、求められた未知パラメータXに基づき、被測定対象1の測定値S0,S1,S2・・・を補正するための補正値が算出される。
【0053】
また、未知パラメータXが制約条件を満たさない要素を含む場合には、表示装置4に警告がなされ、又は、測定実行プログラムが強制終了されるなどの措置がとられる。実際には、未知パラメータXの各要素には、前述のペナルティ関数により制限が掛けられているので、各要素が数式2に示す制限の境界に近くなり、これ以上収束計算が続行できないという状態に陥ることで、未知パラメータXに制約条件を満たさない要素が含まれていることが検知される。
【0054】
以上、実施例につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、制約条件については、[数2]に示すように上下限の絶対値を同じとしているが、異なる値としても差し支えない。また、上限又は下限の制約のいずれか一方のみとしてもよい。また、上記実施の形態では、評価関数Φに、制約条件をペナルティ関数として組み込んでいるが、ペナルティ関数を別の関数に組み込み、この別の関数において制約条件を満たすか否かを判断してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では校正ワーク5は平面としているが、既知の形状を有するものであれば、平面に限らず、球面など他の形状でも差し支えないし、又は被測定対象と類似の形状を備えた校正ワークとしてもよい。なお、以上に示した校正方法は、被測定対象1が別の物に変わるごとに実施するのが適切であるが、対象1の形状が類似のものに限られている場合などは定期的に(例えば毎月1回)に行うようにしても良い。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、各部分測定範囲の測定データを接続するに際し、簡易な方法で測定結果の校正情報を取得することができ、高精度な測定結果を取得することができる。またに、補正量の限界を検知して、部分測定範囲の不適切な接続を回避することができ、これにより正確な全測定範囲のデータを取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る形状測定装置100の構成、及び、部分測定範囲に分割して測定する方法をこの装置100を用いて実施する方法を説明するための図である。
【図2】 図2は、測定方法を実施した場合の各部分測定範囲毎のデータの関係を概念的に示したものである。
【図3】 校正ワーク5を用いた本発明に係る測定装置の校正方法を説明するための概念図である。
【図4】 本発明に係る校正方法による校正方法を説明するための概念図である。
【図5】 本発明に係る校正方法のフローチャートである。
【図6】 本発明に係る校正方法のフローチャートである。
【図7】 ベストフィット計算を説明するための概念図である。
【符号の説明】
1…被測定対象、2・・・センサ、3・・・演算装置、4・・・表示装置、5…校正ワーク
Claims (5)
- 一連の測定動作で測定できる測定範囲の大きさよりも大きい被測定物を測定するに際し、前記被測定物の全測定範囲を互いに一部において重複する第1部分測定範囲に分割し、各第1部分測定範囲での前記被測定物の測定結果を取得した後、各第1部分測定範囲での前記被測定物の測定結果を接続することにより全測定範囲の表面性状を求めるように構成された表面性状測定装置の校正方法において、
既知の表面性状を有する校正ワークの表面性状を測定するため、前記校正ワークの全測定範囲を互いに一部において重複する第2部分測定範囲に分割する第一のステップと、
前記第2部分測定範囲毎に前記校正ワークの部分表面性状の測定を実行し部分測定データを取得する第二のステップと、
この各部分測定データに基づき、隣接する前記第2部分測定範囲の重複部分において、一方の前記第2部分測定範囲の前記部分測定データである第1対応点と、他方の前記第2部分測定範囲の前記部分測定データであり且つ前記第1対応点と所定の位置関係を有す第2対応点との間の距離を特定する第三のステップと、
前記距離に関する評価関数Φを定義する第四のステップと、
前記評価関数Φを最小にするような前記第2部分測定範囲での前記部分測定データの変換量を非線形最小二乗法により求める第五のステップと、
前記第五のステップにより求められた前記変換量に基づき、前記被測定物の測定結果を補正するための補正値を演算する第六のステップとを備え、
前記第2部分測定範囲の位置は、前記第1部分測定範囲の位置と略同一である
ことを特徴とする表面性状測定装置の校正方法。 - 前記変換量は、前記各部分測定範囲毎の部分測定データによって特定される面の回転量R及び平行移動量Tである
請求項1に記載の表面性状測定装置の校正方法。 - 前記変換量に所定の制約条件を設定し、前記変換量が前記制約条件の範囲内にあるか否かを判断するステップを更に備えた
請求項1又は2に記載の表面性状測定装置の校正方法。 - 前記変換量が制約条件内に収まらないと判断される場合には、外部に向けてその旨を報知するステップを更に備えた
請求項3に記載の表面性状測定装置の校正方法。 - 前記評価関数Φは、前記制約条件を表す関数を組み込んでいる
請求項3又は4に記載の表面性状測定装置の校正方法。
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