JP4634238B2 - 雌端子金具 - Google Patents

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Description

本発明は、雌端子金具に関するものである。
従来、雄端子金具との接点を複数有する雌端子金具として、雄端子金具が進入する接続孔内に、筒状をなすとともに複数の弾性接触片を有する金属製の接点部材を収容し、複数の弾性接触片を雄端子金具の外周に接触させる構造のものが、特許文献1等に開示されている。
特開平8−078081号公報
例えば、電気自動車における動力回路等のように大電流が流れる導電路として用いられる雌端子金具の場合、雄端子金具との接点数を増やすことにより接触抵抗を低減して発熱量を抑えることが必要となる。上記のように接点部材を用いた雌端子金具において接点数を増やす手段の1つとして、接続孔内に、複数の接点部材を直列状に並ぶように収容する構造が挙げられる。
複数の接点部材を接続孔内に組み付ける手段として、接続孔の正面側の開口から接点部材を順次に押し込んでいく方法が考えられる。このように一方向から組み付ける構造では、接点部材同士が重ならないようにするために、先に組み付ける接点部材を接続孔の奥方の所定位置まで正しく押し込んでおく必要がある。ところが、一般に、接続孔の開口には、接点部材の抜けを防止するために縮径部が形成されるため、接点部材を接続孔の奥へ押し込むことは容易ではない。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複数の接点部材の組み付けを容易に行うことができるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、前端面に開口する筒状の端子接続部と、後端面に開口する筒状の電線接続部とが同軸状に形成され、前記端子接続部内には、前記端子接続部の前端面に開口する前部接続孔と、前記電線接続部の中空内に連通する後部接続孔とが形成され、前記前部接続孔と前記後部接続孔との間に、縮径状の仕切部が設けられており、前記電線接続部は、同電線接続部の後端面に開口しかつ前記後部接続孔よりも大径の圧着孔と、この圧着孔の前端と前記後部接続孔との間を連通させかつ前記後部接続孔よりも小径の連通孔と、前記圧着孔と前記連通孔との境界部分に形成されかつ前方に向かって縮径するテーパ状の誘導面とを備えて構成され、前記前部接続孔内と前記後部接続孔内には、夫々、筒状をなすとともに複数の弾性接触片を有する金属製の接点部材が収容されているところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
前部接続孔内の接点部材は前方から組み込むことができ、後部接続孔内の接点部材は後方の電線接続部を通して組み込むことができる。接点部材の組み付け方向を前後に分けたので、各接続孔に1個ずつ接点部材を収容する場合には、一旦接続孔に収容した接点部材を奥へ押し込む必要がない。また、端子接続部に3個以上の接点部材を収容する場合でも、前方のみから接点部材を組み付けるものと比較すると、接続孔に一旦収容した接点部材を押し込む距離が短くて済む。
また、前部接続孔と後部接続孔との間に縮径状の仕切部を設けたので、前部接続孔内の接点部材と後部接続孔内の接点部材が重なる虞がない。
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図4を参照して説明する。本実施形態の雌端子金具Fは、金属製の端子本体10に2つの金属製の接点部材20を組み付けたものであり、電線Wの端末部に接続されている。
端子本体10は、全体として前後方向に細長い円筒状をなしている。端子本体10の略前半部分は端子接続部11となっている。端子接続部11の内部には、端子接続部11と同心円形の前部接続孔12Fと、端子接続部11と同心円形の後部接続孔12Rとが前後に直列状に並ぶように形成されている。前部接続孔12Fと後部接続孔12Rは、内径寸法及び軸線方向(長さ方向)の寸法が互いに同じ寸法とされている。この接続孔12F,12Rには接点部材20が収容されているとともに、前方から雄端子金具Mが挿入されるようになっている。
前部接続孔12Fは、端子本体10(端子接続部11)の前端面に開口されている。この前部接続孔12Fの開口部には、端子接続部11(前部接続孔12F)と同心の円形をなし、前部接続孔12Fよりも小径の前部抜止め部13Fが形成されている。また、前部抜止め部13Fの前端縁には、後方に向かって縮径するテーパ状の前部誘導面14Fが形成されている。後部接続孔12Rの前端と前部接続孔12Fの後端との間には、両接続孔12F,12Rと同心の円形をなし、両接続孔12F,12Rよりも小径の仕切部15が形成されている。
端子本体10の略後半部分は、電線接続部16となっている。電線接続部16の内部には、端子本体10の後端面に開口するとともに端子本体10と同心円形の圧着孔17が形成されているとともに、圧着孔17の前端と後部接続孔12Rとの間を連通させるとともに端子本体10と同心の円形をなす連通孔18が形成されている。連通孔18の内径は、接続孔12F,12Rよりも小径であり、仕切部15及び前部抜止め部13Fの内径とほぼ同じ寸法となっていて、連通孔18の前端と後部接続孔12Rとの間の段差部分は、後部抜止め部13Rとなっている。また、圧着孔17の内径は、接続孔12F,12Rよりも大径とされている。圧着孔17の後端部(端子本体10の後端面における開口部)には、前方に向かって縮径するテーパ状の第1後部誘導面14Raが形成され、圧着孔17の前端部(連通孔18との境界部分)には、前方に向かって縮径するテーパ状の第2後部誘導面14Rbが形成されている。
接点部材20は、図4に示すような所定の形状に打ち抜いた金属板材を略円筒状に曲げ加工したものであり、前後両端の周方向に延びる帯板状の支持部21と、両支持部21の間に前後方向に差し渡された複数の弾性接触片22とからなる。弾性接触片22は、径方向内側へ膨出するように湾曲されており、複数の弾性接触片22は周方向に並列配置されている。かかる接点部材20は、全体として径寸法を増減させるような形態で弾性変形し得るようになっているとともに、弾性接触片22をその湾曲の曲率が増減するような形態が弾性変形し得るようになっている。また、接続孔12F,12Rに収容されていない自由状態における接点部材20の外径は、接続孔12F,12Rの内径よりも大きい寸法とされている。同じく、接続孔12F,12Rに収容されていない自由状態における接点部材20の前後方向の寸法は、各接続孔12F,12Rの前後方向の寸法よりも小さい寸法とされている。
次に、接点部材20の組み付け手順を説明する。
前部接続孔12Fに対する接点部材20の組付けは、端子本体10の前方から接点部材20を弾性的に縮径変形させつつ前部抜止め部13F内に差し込むことによって行う。このとき、前部誘導面14Fにより、接点部材20を前部抜止め部13F内に誘い込むことができる。差し込んだ接点部材20は、そのまま後方(前部接続孔12F内)へ押し込む。このとき、前部抜止め部13Fの内径とほぼ同径のピン状または筒状をなす治具(図示せず)を用いる。そして、接点部材20の前端(差込み方向後端)が前部抜止め部13Fを通過すると、接点部材20が弾性復元力により拡径変形し、前後両支持部21が前部接続孔12Fの内周面に対して弾性接触する。この弾性接触による摩擦力により、接点部材20は前部接続孔12F内において自由移動を規制された状態に保持される。以上により、前部接続孔12Fへの接点部材20の組付けが完了する。
一方、後部接続孔12Rに対する接点部材20の組み付けは、前部接続孔12Fとは逆に、端子本体10の後方から行う。即ち、接点部材20を圧着孔17内に差し込む。そして、接点部材20の前端が圧着孔17の前端に当接したところで、更に接点部材20を押し込むと、接点部材20は、第2後部誘導面14Rbの傾斜により、縮径変形させられつつ連通孔18内に押し込まれる。そして、連通孔18とほぼ同径の治具(図示せず)を用い、接点部材20を更に前方へ押し込む。そして、接点部材20の後端が後部抜止め部13Rを通過すると、接点部材20が弾性復元力により拡径変形し、前後両支持部21が後部接続孔12Rの内周面に対して弾性接触する。この弾性接触による摩擦力により、接点部材20は後部接続孔12R内において自由移動を規制された状態に保持される。以上により、後部接続孔12Rへの接点部材20の組付けが完了する。
前部接続孔12Fに組み付けられた接点部材20は、軸線方向(前後方向)の外力(例えば、雄端子金具Mの挿抜に伴う摩擦力)を受けても、前部抜止め部13Fにより前部接続孔12Fから前方へ離脱することが規制されているとともに、仕切部15により後部接続孔12Rへの移動が規制されているので、前部接続孔12F内に収容された状態に保持される。一方、後部接続孔12Rに組み付けられた接点部材20は、軸線方向(前後方向)の外力(例えば、雄端子金具Mの挿抜に伴う摩擦力)を受けても、後部抜止め部13Rにより後部接続孔12Rから後方へ離脱することが規制されているとともに、仕切部15により前部接続孔12Fへの移動が規制されているので、後部接続孔12R内に収容された状態に保持される。
尚、前部接続孔12Fへの接点部材20の組付けと、後部接続孔12Rへの接点部材20の組付けは、どちらを先に行ってもよく、また、自動機を用いた場合には、前後両接続孔12F,12Rへ同時に接点部材20を組み付けることもできる。
上記のように接続孔12F,12Rに接点部材20を収容した後は、電線接続部16に電線Wを接続する。接続に際しては、絶縁被覆Waを除去して露出させた芯線Wbを後方から圧着孔17内に挿入し、その状態で電線接続部16のうち圧着孔17と対応する筒状領域を縮径させるようにカシメ変形させる。このカシメ付けにより、電線接続部16と芯線Wbとが導通可能に固着される。以上により、雌端子金具Fが電線Wに接続される。
前方から円形のピン状をなす雄端子金具Mが前部接続孔12F及び後部接続孔12Rに挿入されると、雄端子金具Mの外周に対し、前部接続孔12F内の接点部材20の弾性接触片22が周方向に間隔を空けた複数箇所において弾性的に接触するとともに、前部接続孔12Fの接点部材20よりも後方の位置に配置されている後部接続孔12R内の接点部材20の弾性接触片22が、周方向に間隔を空けた複数箇所において弾性的に接触し、もって、雌端子金具Fと雄端子金具Mとが多数の接点によって導通可能に接続される。
上述のように本実施形態においては、2つの接点部材20の組み付け方向を前後に分けたので、一旦接続孔12F,12Rに収容した接点部材20を奥へ押し込む必要がなく、接点部材20の組み付けが容易である。
また、前部接続孔12Fと後部接続孔12Rとの間に縮径状の仕切部15を設けたので、前部接続孔12F内の接点部材20と後部接続孔12R内の接点部材20が重なる虞がない。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では前部接続孔に収容する接点部材の数を1個としたが、本発明によれば、前部接続孔に複数の接点部材を収容してもよい。
(2)上記実施形態では後部接続孔に収容する接点部材の数を1個としたが、本発明によれば、後部接続孔に複数の接点部材を収容してもよい。
(3)上記実施形態では前部接続孔に収容する接点部材の数と後部接続孔に収容する接点部材の数を同数としたが、本発明によれば、前部接続孔に収容する接点部材の数と後部接続孔に収容する接点部材の数を異なる数としてもよい
実施形態1の断面図 端子本体の断面図 接点部材の正面図 接点部材の展開図
符号の説明
11…端子接続部
12F…前部接続孔
12R…後部接続孔
15…仕切部
16…電線接続部
20…接点部材
22…弾性接触片

Claims (1)

  1. 前端面に開口する筒状の端子接続部と、後端面に開口する筒状の電線接続部とが同軸状に形成され、
    前記端子接続部内には、前記端子接続部の前端面に開口する前部接続孔と、前記電線接続部の中空内に連通する後部接続孔とが形成され、前記前部接続孔と前記後部接続孔との間に、縮径状の仕切部が設けられており、
    前記電線接続部は、同電線接続部の後端面に開口しかつ前記後部接続孔よりも大径の圧着孔と、この圧着孔の前端と前記後部接続孔との間を連通させかつ前記後部接続孔よりも小径の連通孔と、前記圧着孔と前記連通孔との境界部分に形成されかつ前方に向かって縮径するテーパ状の誘導面とを備えて構成され、
    前記前部接続孔内と前記後部接続孔内には、夫々、筒状をなすとともに複数の弾性接触片を有する金属製の接点部材が収容されていることを特徴とする雌端子金具。
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