JP4633956B2 - 磁石モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は密閉形圧縮機に使用して好適な磁石モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
図4及び図5に従来の磁石モータを示してあり、この磁石モータ10は、ステータ1とロータ2を有している。
ステータ1は、薄肉の磁性鋼板を多数積層して形成した円筒状コア3を有し、その円筒状コア3の周方向に所定の間隔を隔てて設けられた複数のスロット4を通して多数の電線5を巻き付けることによって構成されている。
【0003】
ロータ2は、非磁性体材料で板の両面を被覆した薄肉の磁性鋼板を多数積層してなる鉄芯6を有し、その鉄芯6の周方向に所定の間隔を隔てて複数(本図では4個)の永久磁石7が鉄芯6の永久磁石用穴6aに埋設されており、その永久磁石7は、磁極がロータ水平断面における永久磁石7の短寸方向に向かうように配設されている。
また、該鉄芯6の中心には、固定軸8が貫通固定されている。
ロータ2の上下端には非磁性体材料からなる上端板11及び下端板12があり、リベット13によって鉄芯6、永久磁石7、上端板11及び下端板12が固着されている。
【0004】
上記構成を有する従来の磁石モータでは、ロータ2の磁石配向がロータ2の径方向に容易磁化方向Jを設定されており、ロータ2の径方向に磁束16を発生するようにしていた。
このため、永久磁石7とロータ2外径との間に形成される鉄芯部6bに磁束が発生し、鉄損を発生して消費電力増となってモータ効率を低下させているため、より高効率なモータの提供が望まれていた。
また、永久磁石7のN極とS極間の幅が短いので、外部エネルギによる減滋耐力が小さく、耐力以上の外部磁界で減滋するという問題があった。
【0005】
更に、磁石モータ10のロータ2を着磁するときに、ロータ2の外部に設けた着磁装置20のヨーク21により磁荷をかけると、ロータ2の前記鉄芯部6bに磁束16が発生し、ロータ2がずれていると、この磁束16により鉄芯部6bに運動力(例えばF1、F2、F3、F4)が誘起されるため、ロータ2に回転力が発生してロータ2の回転移動により着磁すべき永久磁石7に対し正しい方向に磁極を着磁することが困難となる。
【0006】
このため、高効率な磁石モータ10とするためには、着磁時、着磁装置20のヨーク21に対しロータ2の位置を正着することが必要であり,また、前記した回転力の発生に対処して着磁時にロータ2を強固に保持しなければならないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、周方向に所定間隔を隔てて鉄芯内に永久磁石が配置されたロータを有する磁石モータにおいて、その永久磁石とロータ外径との間の鉄芯部に発生する磁束による鉄損が少ないとともに、外部エネルギに対する減磁耐力が大きく、かつ、その永久磁石への着磁が容易な磁石モータを提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、薄肉の磁性鋼板を多数積層して形成された鉄芯と、同鉄芯の周方向に所定間隔を隔てて設けられた複数の永久磁石用穴にそれぞれ貫通配置された永久磁石と、前記鉄芯の中心を貫通固定された固定軸とをもつロータを有する磁石モータにおいて、前記永久磁石の磁極をロータの水平断面における永久磁石の長寸方向に配置するとともに、前記永久磁石をその磁束が前記ロータの周方向から周方向に向かうように配置した磁石モータを提供する。 本発明の磁石モータでは、鉄芯内に設けられている永久磁石の磁極がロータの水平断面における永久磁石の長寸方向に配置されているため、永久磁石に発生する磁束の流れ方向と、鉄芯の外周部と永久磁石の間の鉄芯部に発生する磁束の流れ方向が一致し、該鉄芯部に発生する磁束量が少なくなる。
これによって、本発明による磁石モータでは、誘起電流により発生する鉄損が少なく、消費電力が少なくなってモータの効率が向上される。
【0009】
また、本発明の磁石モータでは、永久磁石のN極とS極の間の磁路が長くなり、外部エネルギに対する減磁耐力が大きく、モータの性能劣化を防止できるとともに、減磁耐力が大きいため大電流を流すことができて小型化又は大能力化が可能である。
さらにまた、永久磁石を着磁する場合、磁極が永久磁石の長寸方向になるよう着磁されるので、ロータには回転力が作用せず、ロータを回転しないように固定する必要がない。
【0010】
また、本発明は、前記した構成の磁石モータにおいて、その鉄芯の外周部と永久磁石との間に形成される鉄芯部に対し、その永久磁石の両端部近くに空隙を設けた構造の磁石モータを提供する。本発明は、前記空隙は、前記鉄芯の外周部と前記永久磁石との間に形成される鉄芯部の内部にあって、前記永久磁石の両端部の各々に設けられている構造の磁石モータを提供する。このように、永久磁石の両端部近くで鉄芯部に対し空隙を設けた構造とすることによって、鉄芯の外周部と永久磁石の間の鉄芯部に流れる磁束の流れを抑制する磁気抵抗が増すので短絡磁束が減少し、モータの効率が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による磁石モータを、図1〜図3に示した実施の形態に基づいて具体的に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2に示す第1実施形態による磁石モータについて説明する。
この第1実施形態による磁石モータは、ステータ101とロータ102からなっている。
ロータ102は板の両面を非磁性体材料で被覆した薄肉の磁性鋼板を多数積層してなる鉄芯106と、その鉄芯106の周方向に所定の間隔を隔てた2n個(n=整数、本実施形態では4個)の永久磁石用穴106aを設け、その穴106aのそれぞれに貫通配置された永久磁石107とにより構成されている。
【0013】
永久磁石107は、その磁極をロータ水平断面における永久磁石107の長寸方向に配置し、かつ、永久磁石107の磁束がロータの周方向から周方向に向かうよう配置して鉄芯106に埋設されている。
【0014】
永久磁石107は、前記したように、その磁極が永久磁石107の長寸方向に配置されるよう鉄芯106に埋設されているため、永久磁石107に発生する磁束107bの流れ方向と、鉄芯106の外周部と永久磁石107の間の鉄芯部106bに発生する磁束106cの流れ方向が一致し、鉄芯部106bに発生する磁束量が少なくなる。
このため、誘起電流により発生する鉄損は従来の構造に比べて少なくなり、消費電力減となってモータ効率を向上させるため、高効率なモータが得られる。
【0015】
また、永久磁石107の減磁耐力は磁極の距離に比例するが、永久磁石107の磁極が永久磁石107の長寸方向に配置されるよう鉄芯106に埋設されているため、従来の磁石モータに比べて、永久磁石107のN極とS極間の磁路が長くなり、外部エネルギに対する減磁耐力が大きく、長期間使用した場合でもモータ性能の劣化を防止することができる。
また、この磁石モータは減磁耐力が大きいため、大電流を流すことができ、小形化あるいは同一形状の場合は大能力化ができる。
【0016】
更に、本実施形態による磁石モータを構成するロータ102の永久磁石107に着磁する場合、図2に示すように、ロータ102の外周に配置した着磁装置120のヨーク121により磁荷をかけて、永久磁石107の磁極が永久磁石107の長手方向に配置するよう着磁する。
このため、ロータ102の鉄芯部106bにも磁束116が発生するが、ロータ102には回転力が作用しないので、ロータ102を固定する必要がない。
【0017】
(第2実施形態)
次に、図3に示した本発明の第2実施形態による磁石モータについて説明する。この第2実施形態による磁石モータでは、そのロータにおいて、図3に見られるように、鉄芯206の外周部と永久磁石207との間に形成される鉄芯部206bに空隙206cを設けている。
この空隙206cは、永久磁石207の両端部近くに設けられている。
その他の構成は第1実施形態による磁石モータの構成と同じであり、その説明を省略する。
【0018】
この第2実施形態による磁石モータは、第1実施形態による磁石モータが有している効果に加え、鉄芯206に形成された空隙206cにより、鉄芯部206bに流れる磁束の流れを抑制する磁気抵抗が増加して短絡磁束が減少し、高効率なモータが得られるという効果を奏するものとなっている。
【0019】
以上、本発明による磁石モータを図示した実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、この実施形態により何ら制限を受けるものではなく、特許請求の範囲に示した本発明の範囲内において種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
例えば、図示した実施形態では4個の永久磁石をロータの鉄芯に配置しているが、4個以外の適宜の偶数個の永久磁石を採用してよい。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、薄肉の磁性鋼板を多数積層して形成された鉄芯と、同鉄芯の周方向に所定間隔を隔てて設けられた複数の永久磁石用穴にそれぞれ貫通配置された永久磁石と、前記鉄芯の中心を貫通固定された固定軸とを有するロータを有する磁石モータにおいて、前記永久磁石をその磁極をロータの水平断面における永久磁石の長寸方向に配置するとともに、前記永久磁石の磁束が前記ロータの周方向から周方向に向かうように配置した磁石モータを提供する。
【0021】
本発明の磁石モータでは、鉄芯内に設けられている永久磁石の磁極がロータの水平断面における永久磁石の長寸方向に配置されていて、永久磁石に発生する磁束の流れ方向と、鉄芯の外周部と永久磁石の間の鉄芯部に発生する磁束の流れ方向が一致し、その鉄芯部に発生する磁束量が少なくなり、これによって、誘起電流により発生する鉄損と消費電力が少なくなってモータの効率が良くなる。
【0022】
また、本発明の磁石モータでは、永久磁石のN極とS極の間の磁路が長くなり、外部エネルギに対する減磁耐力が大きく、モータの性能劣化を防止できるとともに、減磁耐力が大きいため大電流を流すことができて小型化又は大能力化が可能である。
さらにまた、本発明の磁石モータでは、永久磁石を着磁する場合、磁極が永久磁石の長寸方向になるよう着磁されるので、ロータには回転力が作用せず、ロータを回転しないように固定する必要がない。
【0023】
また、本発明は、前記した構成の磁石モータにおいて、その鉄芯の外周部と永久磁石との間に形成される鉄芯部に対し、その永久磁石の両端部近くに空隙を設けた構造の磁石モータを提供する。このように、永久磁石の両端部近くで鉄芯部に対し空隙を設けた構造とすることによって、鉄芯の外周部と永久磁石の間の鉄芯部に流れる磁束の流れを抑制する磁気抵抗が増し、短絡磁束が減少してモータの効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による磁石モータの横断面図。
【図2】本発明の第1実施形態による磁石モータのロータを着磁装置に装着した横断面に磁束流れを示した模式図。
【図3】本発明の第2実施形態による磁石モータの横断面図。
【図4】従来の磁石モータの横断面図で、(a)は図(b)のA−A線に沿う縦断面図、(b)は図(a)のB−B線に沿う横断面図。
【図5】従来の磁石モータのロータを着磁装置に装着した横断面に磁束流れを示した模式図。
【符号の説明】
1 ステータ
2 ロータ
3 円筒状コア
4 スロット
5 電線
6 鉄芯
6a 永久磁石用穴
6b 鉄芯部
7 永久磁石
8 固定軸
10 磁石モータ
11 上端板
12 下端板
13 リベット
16 磁束
20 着磁装置
21 ヨーク
101 ステータ
102 ロータ
106 鉄芯
106a 永久磁石用穴
106b 鉄芯部
106c 磁束
107 永久磁石
107b 磁束
108 固定軸
116 磁束
120 着磁装置
121 ヨーク
206 鉄芯
206b 鉄芯部
206c 空隙
207 永久磁石
Claims (1)
- 薄肉の磁性鋼板を多数積層して形成された鉄芯と、同鉄芯の周方向に所定間隔を隔てて設けられた複数の永久磁石用穴にそれぞれ貫通配置された永久磁石と、前記鉄芯の中心を貫通固定された固定軸とを持つロータを有する磁石モータにおいて、前記永久磁石の磁極をロータの水平断面における永久磁石の長寸方向に配置するとともに、前記永久磁石をその磁束が前記ロータの周方向から周方向に向かうように配置してなり、
前記鉄芯の外周部と前記永久磁石との間に形成される鉄芯部に、前記永久磁石の両端部近くに空隙を設け、
前記空隙は、前記鉄芯の外周部と前記永久磁石との間に形成される鉄芯部の内部にあって、前記永久磁石の両端部の各々に設けられていることを特徴とする磁石モータ。
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