JP4633228B2 - 頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載される頭部保護エアバッグ装置に関し、詳しくは、車内側の所定位置に、合成樹脂製のアシストグリップが配設されるとともに、折り畳まれて収納されたエアバッグが配設されて構成される頭部保護エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、この種の頭部保護エアバッグ装置では、特開平11−321532号公報等に記載されているように、エアバッグが、フロントピラー部からルーフサイドレール部にかけての車内側の開口における上縁側の周縁に、折り畳まれて収納されていた。
【0003】
しかし、エアバッグは、前端若しくは後端の一方の端部側から、インフレーターから供給される膨張用ガスを流入させていたことから、膨張用ガスがインフレーターから離れたエアバッグの末端に到達するまでの時間が、長くかかることが避けられなかった。
【0004】
そして、エアバッグ自体が、車両の前後方向に乗員用シートを三列等のように多く配設させるような車両に対して搭載される場合には、一層、エアバッグの前後方向の長さが長くなって、膨張用ガスのエアバッグ末端までの到達時間が、長くなってしまう。
【0005】
そこで、上記の対処のために、WO 96/26087号公報に記載されているように、フロントピラー部とリヤピラー部との間における車内側開口周縁の上縁側、すなわち、ルーフサイドレール部にインフレーターを配置させて、インフレーターとエアバッグの前後方向の末端までとの距離を短くすることが考えられる。
【0006】
しかしながら、ルーフサイドレール部にインフレーターを配置させる場合には、インフレーターが剛性の高い金属製としているため、乗員との干渉を考慮し、別途、インフレーターを覆ってクッションの役目を果たすカバー材が必要となって、構成部品点数が多くなり、エアバッグ装置の車両への組付工数も増加させてしまう。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、ルーフサイドレール部等にインフレーターを配置させても、部品点数を増加させることなく、クッション性を確保して、インフレーターを覆うことができる頭部保護エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、車内側に、アシストグリップと、上部側に略円筒状のガス流入部を有して、エアバッグカバーに覆われるとともに折り畳まれて収納されたエアバッグと、が配設され、
前記エアバッグが、前記ガス流入部に連結させてボディに固定されたインフレーターからの膨張用ガスの流入時、覆っていた前記エアバッグカバーを押し開いて、展開膨張する頭部保護エアバッグ装置であって、
乗員が前記インフレーターに干渉しようとする際に、前記エアバッグカバーだけを介在させた状態で前記インフレーターと干渉することを防止して、前記アシストグリップが前記インフレーターのカバー材となって、前記インフレーターが、車内側の正面から見て、前記アシストグリップに隠れるように、前記アシストグリップの水平方向での車外側のみならず、前記アシストグリップの上方若しくは下方の車外側となる位置のいずれかに配置されて、前記ボディに固定されるとともに、
前記アシストグリップが、クッション性を有して構成されていることを特徴とする。
【0009】
前記インフレーターと前記アシストグリップとは、前記ボディに対して、共締めして固定することが望ましい。
【0010】
さらに、前記エアバッグカバーも、前記ボディに対して、前記インフレーター及び前記アシストグリップとともに、共締めして固定することが望ましい。
【0011】
そして、前記アシストグリップ、前記エアバッグ、前記インフレーター、及び、前記エアバッグカバーは、前記ボディに一体的に取り付け可能に組み立てられた組付体を構成することが望ましい。
【0012】
また、前記エアバッグカバーは、ルーフサイドレールガーニッシュやルーフヘッドライニングとして、構成することが望ましい。
【0013】
【発明の効果】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、インフレーターが、アシストグリップの車外側となる位置に配置されて、ボディに固定されている。すなわち、アシストグリップが、インフレーターのカバー材となって、アシストグリップは、金属製の芯材が適宜配設されているものの、表面側には、握った際の感触を良好にするように、軟質塩化ビニルやウレタン等の軟質合成樹脂製の被覆層が配設されている。
【0014】
そのため、インフレーターに乗員が干渉しようとしても、クッション性を有したアシストグリップと干渉することになって、乗員の感触を低下させない。
【0015】
そして、アシストグリップ自体は、車両のルーフサイドレール部等に装着されている部品であって、アシストグリップを利用しても、車両に搭載する部品点数を増加させるものではない。
【0016】
したがって、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、ルーフサイドレール部等にインフレーターを配置させても、部品点数を増加させることなく、クッション性を確保して、インフレーターを覆うことができる。
【0017】
そして、インフレーターとアシストグリップとを、ボディに対して、共締めして固定する構成とすれば、インフレーターとアシストグリップとをボディに取り付ける際の部品点数と取付工数とを低減させることができる。
【0018】
この場合、エアバッグカバーも、ボディに対して、インフレーター及びアシストグリップとともに、共締めして固定する構成とすれば、一層、インフレーター・アシストグリップ・エアバッグカバーをボディに取り付ける際の部品点数と取付工数とを低減させることができる。
【0019】
さらに、アシストグリップ、エアバッグ、インフレーター、及び、エアバッグカバーを、ボディに一体的に取り付け可能に組み立てられた組付体として、構成すれば、車両へのエアバッグ装置の組付時、一体化された組付体を車両に取り付けるだけで良くなることから、エアバッグ装置の車両への組付作業性を向上させることができる。
【0020】
そして、エアバッグカバーを、ルーフサイドレールガーニッシュやルーフヘッドライニングの内装材で構成すれば、車内側の意匠性を低下させない。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1〜4に示す第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1は、図1に示すように、三列シートの車両に搭載されるもので、車内側のドアや窓部の開口Wの上縁側周縁におけるフロントピラー部FPから、第1・2中間ピラー部P1・P2を経て、リヤピラー部RP付近までのルーフサイドレール部RRに、折り畳まれたエアバッグ23を三個配設させて、構成されている。
【0023】
頭部保護エアバッグ装置M1は、エアバッグ23、インフレーター31、取付ブラケット28、エアバッグカバー15、及び、アシストグリップ11、を備えて構成されている。
【0024】
エアバッグ23は、図1〜4に示すように、各窓部の開口W1・W2・W3を覆い可能に、各開口W1・W2・W3の周縁における上縁側に、それぞれ、折り畳まれて収納されている。各エアバッグ23は、ポリアミド・ポリエステル等の糸から袋織りにより形成されて、インフレーター31からの膨張用ガスを流入させて膨らむ略長方形板状の本体部24と、本体部24の上縁側の前後に配置される取付部26と、を備えて構成されている。本体部24の上部側には、インフレーター31からの膨張用ガスを流入させるための略円筒状のガス流入部25が配設されている。各取付部26には、図3・4に示すように、取付孔26aが貫通されるとともに、板金製の取付ブラケット28が取り付けられて、取付ブラケット28とともに、取付孔26aを挿通する取付ボルト29を利用して、ルーフサイドレール部RRにおけるボディ1側のインナパネル2に取り付けられることとなる。なお、インナパネル2には、ボルト29を螺合させるナット2dを設けた取付孔2cが形成されている。
【0025】
インフレーター31は、図1・2・4に示すように、折り畳まれたエアバッグ23に膨張用ガスを供給可能に、各開口W1・W2・W3の周縁における上縁側で、かつ、アシストグリップ11に隠れるように、アシストグリップ11の車外側Oに配置されている。各インフレーター31は、膨張用ガスを吐出させる円柱状の本体部32と、本体部32をルーフサイドレール部RRにおけるボディ1側のインナパネル2に取り付けるための板金製のブラケット部33と、を備えて構成されている。本体部32は、大径部32aとガス吐出口32cを備えた小径部32bとを備えて構成されている。ブラケット部33は、本体部32を挟持するように保持する略円筒状の挟持部33aと、挟持部33aから下方に延びるように配設される略長方形板状の取付片部33cと、を備えて構成されている。挟持部33aは、本体部32の外周面を押圧して挟持するための複数の押圧部33bを内周側に突出させて構成され、塑性変形させるように縮径させて、本体部32を挟持することとなる。取付片部33cには、インフレーター31をボディ1側のインナパネル2に取り付けるための取付ボルト35を挿通させる取付孔33dが、二箇所に形成されている。なお、インナパネル2には、ボルト35を螺合させるナット2bを設けた取付孔2aが形成されている。
【0026】
なお、各エアバッグ23のガス流入部25は、インフレーター本体部32の小径部32bに対して、図示しないクランプを利用して、外装されて連結されることとなる。
【0027】
エアバッグカバー15は、図1〜4に示すように、フロントピラー部PFから第1・2中間ピラー部P1・P2を経てリヤピラー部RPまでのルーフサイドレール部RRに、前後方向に長く配置されて、ルーフヘッドライニング5の下縁と開口W1・W2・W3の上縁側との間に配置されている。エアバッグカバー15は、合成樹脂製とし、下縁側の全域に配置されて、各エアバッグ23の展開膨張時に、エアバッグ23に押されて開く扉部21と、扉部21の上部側の一般部16と、を備えて構成されている。扉部21の上縁側には、扉部21が円滑に開くように、薄肉のヒンジ部20が形成されている。
【0028】
一般部16には、車外側Oに突出する略円筒状の2種類の取付部17・18が形成されている。取付部17・18には、車外側Oに突出した端面側の底壁部17a・18aに、取付孔17b・18bが貫通されて形成されている。取付部17は、アシストグリップ11の前後方向両端の取付部12やインフレーター31のブラケット部33とともに、インナパネル2に共締めされる部位となり、取付部18は、各エアバッグ23の取付部26とともに、インナパネル2に共締めされる部位となる。各取付部18の車内側部位には、取付部18をエアバッグ取付部26とともにインナパネル2に対して共締めする際のボルト29を隠すために、キャップ18cが固着されることとなる。
【0029】
アシストグリップ11は、図1・2・4に示すように、各開口W1・W2・W3の中央付近の上縁側に配設されて、乗員が把持するための把持部13と、把持部13の前後方向の両端に配置される取付部12と、を備えて構成されている。各アシストグリップ11は、形状を保持する板金製の芯材11aと、芯材11aの周囲を厚く被覆する軟質塩化ビニルやウレタン等の軟質合成樹脂製の被覆層11bと、から構成されている。
【0030】
そして、各取付部12は、取付ボルト35を挿通させる取付孔12aが形成されて、エアバッグカバー15の各取付部17の車内側部位に嵌合可能な、略円錐台形状に形成されている。また、各取付孔12aの車内側Iの周縁には、取付部12を取付部26や取付片部33cとともにインナパネル2に対して共締めする際のボルト35を隠すために、キャップ12bが固着されることとなる。
【0031】
つぎに、第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1の車両への搭載について説明すると、まず、エアバッグ組付体Aを形成する。このエアバッグ組付体Aの形成時には、最初に、各エアバッグ23を折り畳む。このエアバッグ23を折り畳む際には、非膨張状態の平らに展開した状態から、本体部24の下縁側を上縁側に接近させるように、山折り・谷折りの折目を付けて蛇腹折りする。また、折り畳んだ後には、所定間隔で破断可能な折り崩れ防止用のテープ材27(図5・6参照)を巻き付けておく。また、折り畳んだ後には、各取付部26にそれぞれ取付ブラケット28を取り付けておく。
【0032】
そして、各ガス流入部25の折りを解消し、各インフレーター本体部32の小径部32bに、図示しないクランプを使用して、ガス流入部25を連結させる。また、インフレーター挟持部33aを縮径させて、本体部32をブラケット部33に保持させておく。
【0033】
そして、図5に示すように、エアバッグカバー15の各取付部17における車外側Oの部位に、インフレーターブラケット部33を配置させるとともに、各取付部17の車内側Iの部位に、アシストグリップ11の取付部12を嵌めて、各取付ボルト35を、取付孔12a・17b・33dに貫通させて、各ボルト35の雄ねじ部35bに、ワッシャ状のばね板ナット37を嵌め、さらに、キャップ12bを取付孔12aの車内側周縁に嵌めておく。なお、ばね板ナット37は、薄板状のばね板から形成されており、雄ねじ部35bに対して、抜け不能に簡単に嵌め込むことができる。
【0034】
また、図6に示すように、エアバッグカバー15の各取付部18における車外側Oの部位に、取付ブラケット28を固着済みのエアバッグ取付部26を配置させ、各取付ボルト29を、取付孔18b・26aに貫通させて、各ボルト29の雄ねじ部29bに、ばね板ナット37を嵌め、さらに、キャップ18cを取付部18の車内側Iの部位に嵌めれば、エアバッグ組付体Aを形成することができる。
【0035】
すなわち、このエアバッグ組付体Aは、アシストグリップ11の各取付部12の取付孔12a周縁・エアバッグカバー15の取付部底壁部17a・インフレーター31のブラケット部取付片部33cが、取付ボルト35の頭部35aとばね板ナット37とにより、挟持され、エアバッグカバー15の取付部底壁部18a・取付ブラケット28を固着させた状態での取付部26が、取付ボルト29の頭部29aとばね板ナット37とにより、挟持されて、アシストグリップ11・エアバッグカバー15・エアバッグ23・インフレーター31が、相互に組み付けられて、一体化されている。
【0036】
エアバッグ組付体Aの車両への組付けは、キャップ12b・18cを取り外した後、各取付ボルト35の雄ねじ部35bを、インナパネル2の各取付孔2aに配置されたナット2bに螺合させるとともに、各取付ボルト29の雄ねじ部29bを、インナパネル2の各取付孔2cに配置されたナット2dに螺合させ、さらに、各取付部12の車内側部位にキャップ12bを固着させるとともに、各取付部18の車内側部位にキャップ18cを固着させれば、エアバッグ組付体Aをルーフサイドレール部RRに組み付けて、頭部保護エアバッグ装置M1を車両に搭載することができる。
【0037】
なお、エアバッグ装置M1の車両への搭載時には、各インフレーター本体部32に、エアバッグ制御回路から延びる図示しない作動信号入力線を結線させておく。また、エアバッグ装置M1の組付け前、あるいは、エアバッグ装置M1の組付け後に、適宜、フロントピラー部FP・第1・2中間ピラー部P1・P2・リヤピラー部RPのフロントピラーガーニッシュ4・第1・2中間ピラーガーニッシュ7・8・ルーフヘッドライニング5を車両に組み付けることとなる。
【0038】
頭部保護エアバッグ装置M1の車両への搭載後、各インフレーター31が作動されれば、インフレーター本体部32のガス吐出口32cから膨張用ガスが吐出され、ガス流入部25を経て各エアバッグ本体部24に膨張用ガスが流入されて、各エアバッグ本体部24が、膨張し、テープ材27を破断させるとともに、エアバッグカバー15の扉部21を押し開いて、開口W1・W2・W3を覆うように、展開膨張することとなる。
【0039】
なお、この時、第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1では、小容積の各エアバッグ23を展開膨張させて各開口W1・W2・W3を覆うように構成されているため、開口W1・W2・W3を覆うような膨張完了形状まで、各エアバッグ23を素早く展開膨張させることができる。なお、この点を考慮しなければ、インフレーター31を所定のアシストグリップ11の車外側部位に配置させるように対応させて、開口W1・W2・W3の少なくとも二つ分と一つ分との開口を覆えるように、二つのエアバッグ、あるいは、全ての開口W1・W2・W3を覆える一つのエアバッグを、使用するようにしても良い。
【0040】
そして、第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1では、各インフレーター31が、アシストグリップ11の車外側Oとなる位置に配置されて、ボディ1に固定されている。すなわち、各アシストグリップ11が、インフレーター31のカバー材の役目を果たすこととなる。そして、アシストグリップ11自体が、金属製の芯材11aが配設されているものの、表面側には、握った際の感触を良好にするように、軟質塩化ビニルやウレタン等の軟質合成樹脂製の被覆層11bが配設されている。
【0041】
そのため、各インフレーター31に乗員が干渉しようとしても、クッション性を有したアシストグリップ11(特に車外側に空間を設けた把持部13)と干渉することになって、乗員の感触を低下させない。
【0042】
勿論、アシストグリップ11自体は、車両のルーフサイドレール部RRに装着されている部品であって、アシストグリップ11をインフレーター31のカバー材に利用しても、車両に搭載する部品点数を増加させるものではない。
【0043】
したがって、第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1では、ルーフサイドレール部RRにインフレーター31を配置させても、部品点数を増加させることなく、クッション性を確保して、インフレーター31を覆うことができる。
【0044】
また、第1実施形態では、インフレーター31とアシストグリップ11とを、ボディ1のインナパネル2に対して、取付孔12a・33dを挿通させる取付ボルト35を共用して、共締めして固定する構成としており、インフレーター31とアシストグリップ11とをボディ1に取り付ける際の部品点数と取付工数とを低減させることができる。
【0045】
さらに、第1実施形態では、インフレーター31及びアシストグリップ11とともに、取付孔12a・33d・17aを挿通させる取付ボルト35を共用して、エアバッグカバー15も、ボディ1に対して、共締めして固定する構成としており、一層、インフレーター31・アシストグリップ11・エアバッグカバー15をボディ1に取り付ける際の部品点数と取付工数とを低減させることができる。
【0046】
さらにまた、第1実施形態では、エアバッグ装置M1が、取付ボルト35・29とばね板ナット37とを使用して、アシストグリップ11、エアバッグ23、インフレーター31、及び、エアバッグカバー15を、ボディ1側のインナパネル2に一体的に取り付け可能に組み立てられたエアバッグ組付体Aとして、構成されており、車両へのエアバッグ装置M1の組付時、一体化されたエアバッグ組付体Aを車両に取り付けるだけで良くなることから、エアバッグ装置M1の車両への組付作業性を向上させることができる。勿論、エアバッグ装置M1がエアバッグ組付体Aとして一体化されているため、車両へ取り付けるまでの運搬や管理等の取り扱いも容易となる。
【0047】
さらに、第1実施形態では、エアバッグカバー15を、ルーフサイドレール部RRの車内側Iにおける開口W1・W2・W3の上縁側とルーフヘッドライニング5との間を塞ぐような、ルーフサイドレールガーニッシュ9として配設させることができるため、車内側Iの意匠性を低下させることもない。
【0048】
なお、エアバッグカバー15は、図7〜12に示す第2実施形態の頭部保護エアバッグ装置M2のエアバッグカバー15Aのように、ルーフヘッドライニング5の下縁側に一体的に形成しても良い。
【0049】
この頭部保護エアバッグ装置M2は、エアバッグカバー15Aがルーフヘッドラインニング5と一体的に形成される他、エアバッグ43、インフレーター51、アシストグリップ11A(11A1・11A2・11A3)、及び、エアバッグカバー15Aの一部の部位の構成が、第1実施形態と若干相違している。
【0050】
エアバッグ43は、第1実施形態のエアバッグ23と同様に、袋織りされて形成されているものの、図7・12に示すように、展開膨張時、フロントピラー部FP付近からリヤピラー部RPまでの車内側を覆えるように、一つから構成されている。そして、エアバッグ43は、上縁側の前後端部付近に配置された二つのガス流入部45・46を備えて、本体部44が、ガス流入部45と連通する前部膨張部44aと、ガス流入部46と連通する後部膨張部44bと、を備えて構成されている。本体部44の上縁側には、エアバッグ23と同様に、取付孔47aを備えて取付ブラケット28(図10・11参照)を固着させる複数の取付部47が、形成されている。また、本体部44の前部側に、ベルト部48が連結されており、ベルト部48の前端は、フロントピラー部FPのインナパネル2にボルト49止めされている。このベルト部48は、展開膨張時、フロントピラーガーニッシュ4の下縁側から突出し、エアバッグ43の下縁側に、前後方向の張力を生じさせて、エアバッグ43の車外側Oへの移動を規制するものである。さらに、各取付部47は、図10・11に示すように、第1実施形態と相違して、エアバッグカバー15Aとは別個に、取付孔2cに設けられたナット2dに螺合される取付ボルト29を利用して、ルーフサイドレール部RRのインナパネル2に取り付けられている。
【0051】
インフレーター51は、図7・8・11に示すように、各開口W1・W3の周縁における上縁側の二箇所に配置されるとともに、それぞれ、アシストグリップ11A1・11A3に隠れるように、アシストグリップ11A1・11A3の車外側Oに配置されている。各インフレーター51は、膨張用ガスを吐出させる円柱状の本体部52と、本体部52をルーフサイドレール部RRにおけるボディ1側のインナパネル2に取り付けるための板金製のブラケット部53と、を備えて構成されている。本体部52は、第1実施形態のインフレーター31と同様に、大径部52aとガス吐出口52cを備えた小径部52bとを備えて構成されている。
【0052】
ブラケット部53は、本体部52を挟持するように保持する略円筒状の挟持部53aと、挟持部53aから上方に延びるように配設される略長方形板状の取付片部53cと、を備え、さらに、挟持部53aに設けられる取付部53eを備えて構成されている。挟持部53aは、本体部52の外周面を押圧して挟持するための複数の押圧部53bを内周側に突出させて構成され、塑性変形させるように縮径させて、本体部52を挟持することとなる。取付片部53cには、インフレーター51をボディ1側のインナパネル2に取り付けるための取付ボルト55を挿通させる取付孔53dが、二箇所に形成されている。取付ボルト55は、インナパネル2の取付孔2eに設けられたナット2fに螺合することとなる。
【0053】
取付部53eは、アシストグリップ11A1・11A3とエアバッグカバー15Aとを取り付ける部位となり、取付ボルト35を螺合させるナット53gを固着させた取付孔53fが二箇所に形成されている。
【0054】
アシストグリップ11Aは、軟質塩化ビニルやウレタン等の合成樹脂製として、中央の把持部13と、把持部13の両端に配置される取付部12と、を備えて構成されている。各取付部12には、取付ボルト35を挿通させる取付孔12aが形成されるとともに、ボルト35の頭部35aを隠すキャップ12bが固着されることとなる。そして、アシストグリップ11Aは、図7〜9に示すように、第1実施形態と同様に、各開口W1・W2・W3の上縁側のルーフサイドレール部RRにおける車内側Iに配置されており、車両の前後におけるアシストグリップ11A1・11A3の車外側Oに、それぞれ、インフレーター51が配置されることとなる。そして、開口W1・W3の上縁側に配置されるアシストグリップ11A1・11A3が、図8に示すように、取付孔12a・17bを経て、インフレーター取付部53eにおける取付孔53fのナット53gに、ボルト35を螺合させることにより、エアバッグカバー15Aを介在させて、インフレーター51に取り付けられ、開口W2の上縁側に配置されるアシストグリップ11A2が、図9に示すように、取付孔12a・17bを経て、ルーフサイドレール部RRのインナパネル2に設けられた取付孔2aのナット2bに、ボルト35を螺合させることにより、エアバッグカバー15Aを介在させて、インナパネル2に取り付けられている。
【0055】
ルーフヘッドライニング5と一体化されたエアバッグカバー15Aは、第1実施形態と同様に、各アシストグリップ11Aにおける取付部12の配置位置に、取付ボルト35を挿通させる取付孔17bを備えた取付部17が配設されて、構成されている。そして、エアバッグ43の各取付部47の配置位置には、第1実施形態の取付部18が配設されていない。
【0056】
この頭部保護エアバッグ装置M2では、エアバッグ43を、第1実施形態と同様に、蛇腹折りした後、図示しないテープ材でくるむとともに、各取付部47に取付ブラケット28を固着させ、かつ、図示しないクランプにより、各ガス流入部45・46をインフレーター51の小径部52bに連結させて、エアバッグ43とインフレーター51とからなるエアバッグ組付体Bを形成しておく。
【0057】
そして、取付孔53dを経て、各取付ボルト55をインナパネル2における取付孔2eのナット2fに螺合させて、インフレーター51をインナパネル2に取り付けるとともに、取付孔47aを経て、各取付ボルト29をインナパネル2における取付孔2cのナット2dに螺合させ、かつ、ベルト48の先端をフロントピラー部FPのインナパネル2にボルト49止めして、エアバッグ43をインナパネル2に取り付ければ、エアバッグ組付体Bを車両に取り付けることができる。
【0058】
その後、エアバッグカバー15Aを一体化したルーフヘッドライニング5や、フロントピラー部FP・第1・2中間ピラー部P1・P2・リヤピラー部RPのフロントピラーガーニッシュ4・第1・2中間ピラーガーニッシュ7・8を車両に取り付ければ、エアバッグ装置M2を車両に搭載することができる。
【0059】
なお、ルーフヘッドライニング5を車両へ取り付ける前には、予め、各アシストグリップ11Aを、ボルト35とばね板ナット37とを利用して、エアバッグカバー15Aに組み付けておく。すなわち、各取付部12・17の取付孔12a・17bにボルト35の雄ねじ部35bを挿通させて、各雄ねじ部35bにナット37を嵌め、ボルト頭部35aとナット37とで各アシストグリップ11Aとエアバッグカバー15Aとの取付部12・17を挟持させるようにして、エアバッグカバー15Aに各アシストグリップ11Aを組み付けておく。
【0060】
そして、ルーフヘッドライニング5の車両への取付時、各ボルト35を、インフレーター取付部53eやインナパネル2の取付孔53f・2aに設けたナット53g・2bに螺合させ、さらに、図示しない部位をボディ1側に連結固定すれば、エアバッグカバー15Aを一体化したルーフヘッドライニング5を、車両に取り付けることができる。
【0061】
また、エアバッグ装置M2の車両への搭載時には、各インフレーター本体部52に、エアバッグ制御回路から延びる図示しない作動信号入力線を結線させておく。
【0062】
頭部保護エアバッグ装置M2の車両への搭載後、各インフレーター51が作動されれば、インフレーター本体部52のガス吐出口52cから膨張用ガスが吐出され、ガス流入部45・46を経てエアバッグ本体部44の前部・後部膨張部44a・44bに膨張用ガスが流入されて、第1実施形態と同様に、各エアバッグ本体部44が、膨張し、図示しないテープ材を破断させるとともに、エアバッグカバー15Aの扉部21を押し開いて、開口W1・W2・W3を覆うように、展開膨張することとなる。
【0063】
そして、第2実施形態の頭部保護エアバッグ装置M2では、各インフレーター51が、アシストグリップ11A1・11A3の車外側Oとなる位置に配置されて、ボディ1に固定されている。すなわち、軟質塩化ビニルやウレタン等の軟質合成樹脂製の各アシストグリップ11A1・11A3が、インフレーター51のカバー材の役目を果たすこととなって、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
【0064】
また、エアバッグカバー15Aが、ルーフヘッドライニング5と一体化されているため、車内側Iの意匠性も低下させることもない。
【0065】
なお、第1・2実施形態では、展開膨張時のエアバッグ23・43が、開口W1・W2・W3の略全域を覆うように構成した場合を示したが、インフレーター31・51を所定のアシストグリップ11・11Aの車外側部位に配置させることができれば、エアバッグ23・43の展開膨張する部位は、開口W1・W2・W3の全域を覆うように構成しなくとも、開口W1・W2・W3の一部、あるいは、ピラー部P1・P2・RPの車内側の一部若しくは全域等を覆えるように、配設させても良い。
【0066】
さらに、インフレーター31・51が所定のアシストグリップ11・11Aにおける車外側Oの部位に配置されれば、インフレーター31・51の配置位置は、ルーフサイドレール部RRに限られるものでなく、ピラー部FP・P1・P2・RPにおけるアシストグリップ11・11Aの配置位置の車外側Oに、インフレーター31・51を配置させても良い。
【0067】
また、アシストグリップ11・11Aの車外側Oに配置されるインフレーター31・51の配置位置は、インフレーター31・51がエアバッグカバー15・15Aだけを介在させた状態で乗員と干渉しなければ良いことから、アシストグリップ11・11Aの水平方向での車外側Oのみならず、アシストグリップ11・11Aの若干上方や下方の車外側Oでも良い。
【0068】
また、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、フロントピラー部FPとリヤピラー部RPとの間に二本の中間ピラー部P1・P2が配設されている場合だけでなく、一本、あるいは、三本以上の中間ピラー部が配設されている車両に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置の車内側から見た正面図である。
【図2】図1のII−II部位の断面図である。
【図3】図1の III− III部位の断面図である。
【図4】同実施形態の要部の分解斜視図である。
【図5】同実施形態におけるエアバッグ組付体の断面図であり、図2に示す部位に対応する。
【図6】同実施形態におけるエアバッグ組付体の断面図であり、図3に示す部位に対応する。
【図7】第2実施形態の頭部保護エアバッグ装置の車内側から見た正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII部位の断面図である。
【図9】図7のIX−IX部位の断面図である。
【図10】図7のX−X部位の断面図である。
【図11】同実施形態の要部の分解斜視図である。
【図12】同実施形態のエアバッグを平らに展開した状態を示す図である。
【符号の説明】
1…ボディ、
11・11A…アシストグリップ、
15・15A…エアバッグカバー、
23・43…エアバッグ、
31・51…インフレーター、
RR…ルーフサイドレール部、
I…車内側、
O…車外側、
A…エアバッグ組付体、
M1・M2…頭部保護エアバッグ装置。
Claims (6)
- 車内側に、アシストグリップと、上部側に略円筒状のガス流入部を有して、エアバッグカバーに覆われるとともに折り畳まれて収納されたエアバッグと、が配設され、
前記エアバッグが、前記ガス流入部に連結させてボディに固定されたインフレーターからの膨張用ガスの流入時、覆っていた前記エアバッグカバーを押し開いて、展開膨張する頭部保護エアバッグ装置であって、
乗員が前記インフレーターに干渉しようとする際に、前記エアバッグカバーだけを介在させた状態で前記インフレーターと干渉することを防止して、前記アシストグリップが前記インフレーターのカバー材となって、前記インフレーターが、車内側の正面から見て、前記アシストグリップに隠れるように、前記アシストグリップの水平方向での車外側のみならず、前記アシストグリップの上方若しくは下方の車外側となる位置のいずれかに配置されて、前記ボディに固定されるとともに、
前記アシストグリップが、クッション性を有して構成されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。 - 前記インフレーターと前記アシストグリップとが、前記ボディに対して、共締めされて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置。
- 前記エアバッグカバーが、前記ボディに対して、前記インフレーター及び前記アシストグリップとともに、共締めされて固定されていることを特徴とする請求項2に記載の頭部保護エアバッグ装置。
- 前記アシストグリップ、前記エアバッグ、前記インフレーター、及び、前記エアバッグカバーが、前記ボディに一体的に取り付け可能に組み立てられた組付体を構成していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の頭部保護エアバッグ装置。
- 前記エアバッグカバーが、ルーフサイドレールガーニッシュとしていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の頭部保護エアバッグ装置。
- 前記エアバッグカバーが、ルーフヘッドライニングとしていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の頭部保護エアバッグ装置。
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