JP4432209B2 - 頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載される頭部保護エアバッグ装置に関し、詳しくは、折り畳まれたエアバッグが、車内側のピラー部の上部位置で、エアバッグカバーに覆われて収納されている構成の頭部保護エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、この種の頭部保護エアバッグ装置では、特開平10−138858号公報等に記載されているように、エアバッグが、フロントピラー部からセンターピラー部を越える後方側まで延びるように、車内側の開口における上縁側の周縁に、折り畳まれて収納されていた。
【0003】
折り畳まれたエアバッグは、車内側の開口における上縁側のルーフサイドレール部では、ルーフヘッドライニングの下縁側に配置されたエアバッグカバーの扉部に覆われて収納されており、展開膨張時、エアバッグカバーの扉部を押し開いて、展開膨張していた。そして、センターピラー部では、エアバッグは、センターピラー部の車内側に配置されたセンターピラーガーニッシュの車内側を覆うように、展開膨張していた。
【0004】
しかし、従来の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグカバー扉部の下縁部が、センターピラー部のピラーガーニッシュの上縁部に対して、車外側に屈曲して接続されていた。そのため、エアバッグが扉部を押し開く際、扉部は、ピラーガーニッシュの上縁部を乗り越えるように、一旦、湾曲して、開くこととなって、円滑に開き難く、エアバッグの展開膨張を素早く完了させる点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、ピラーガーニッシュの上縁部と接続されるエアバッグカバーの下縁部の開き動作を円滑にして、エアバッグの展開膨張を素早く完了させることができる頭部保護エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、折り畳まれたエアバッグが、車内側のセンターピラー部の上部位置で、エアバッグカバーに覆われて収納され、
前記エアバッグの展開膨張時、前記エアバッグが、前記センターピラー部の車内側部位に配置されたピラーガーニッシュを覆い可能に、前記エアバッグカバーを押し開いて突出する頭部保護エアバッグ装置であって、
前記エアバッグカバーが、
前記センターピラー部を間にしてフロントピラー部からリヤピラー部までの範囲の車内側に、一体物として配設されるとともに、
下縁側の全域に配置されて、前記エアバッグの展開膨張時の前記エアバッグに押されて開く扉部と、該扉部の上部側の一般部と、を備え、さらに、
前記エアバッグカバーの一般部における前記センターピラー部の上方の車外側の部位に、折り畳まれた前記エアバッグの上方におけるボディのインナパネルと前記エアバッグカバーとの間を塞ぐ横壁部、を備えて構成され、
前記ピラーガーニッシュが、前記センターピラー部の車内側を覆う一般部と、該一般部の上端の上縁部と、を備え、
前記ピラーガーニッシュの上縁部が、前記ピラーガーニッシュと前記ボディの前記インナパネルとの間を塞ぐように、前記ピラーガーニッシュの一般部の上端から車外側に延びて前記インナパネルに当接する横壁部と、該横壁部の先端から前記インナパネルに沿って上方に延びて前記インナパネルに取り付けられる取付部と、を備えて構成され、さらに、
前記ピラーガーニッシュにおける前記横壁部と前記一般部との交差部位に、前記エアバッグカバー扉部の下縁部の下端を収納する凹部が、形成され、
前記エアバッグカバー扉部の下縁部の下端が、前記ピラーガーニッシュの前記凹部に収納され、前記ピラーガーニッシュの上縁部より、車内側に配置されて、前記ピラーガーニッシュの一般部と面一となるように、前記ピラーガーニッシュに接続されるとともに、
前記エアバッグカバーの上縁部が、前記エアバッグカバーの上方に配置されるルーフヘッドライニングの下縁部の車内側を覆うように、前記ルーフヘッドライニング下縁部の車内側に配置されて、前記ルーフヘッドラインニングと面一となるように、前記ルーフヘッドライニングと接続されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記エアバッグと前記エアバッグカバーとは、ボディに一体的に取り付け可能に組み立てられた組付体を構成していることが望ましい。
【0011】
【発明の効果】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグカバーの下縁部が、ピラーガーニッシュの上縁部より、車内側に配置されて、ピラーガーニッシュと接続されており、展開膨張時のエアバッグにエアバッグカバーが押された際、エアバッグの下縁部は、ピラーガーニッシュの上縁部を乗り越えることなく、直ちに、車内側に開き移動できることとなる。
【0012】
したがって、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、ピラーガーニッシュの上縁部と接続されるエアバッグカバーの下縁部の開き動作が円滑となって、エアバッグの展開膨張を素早く完了させることができる。
【0013】
そして、エアバッグカバーが、センターピラー部を間にしてフロントピラー部からリヤピラー部までの範囲の車内側に、一体物として配設されており、車内側の開口周縁の上縁側の略全域をエアバッグカバーが連続的に覆う態様となって、部分的にエアバッグカバーが車内側に配置される場合に比べて、車内側の意匠性を向上させることができる。
さらに、ピラーガーニッシュの上縁部が、ピラーガーニッシュとボディとの間を塞ぐように、ボディに連結されており、エアバッグの展開膨張時、ピラガーニッシュの上縁部がエアバッグのピラーガーニッシュとボディとの間への侵入を防止して、エアバッグの圧力をエアバッグカバーの下縁部側に導くことができ、エアバッグの円滑な車内側への突出が可能となる。
さらにまた、エアバッグカバーの上方に配置されるルーフヘッドライニングの下縁部の車内側を覆うように、エアバッグカバーの上縁部を、ルーフヘッドライニング下縁部の車内側に配置させて、ルーフヘッドライニングと接続させるように構成しており、ルーフヘッドライニング下縁部におけるトリミング等の端末処理が不十分であっても、ルーフヘッドライニング下縁部をエアバッグカバーの上縁部が覆うことから、ルーフヘッドライニング下縁部の端末処理を簡便に行なえ、また、ルーフヘッドライニングの外観意匠の低下を抑えることができる。
【0014】
また、エアバッグとエアバッグカバーとが、ボディに一体的に取り付け可能に組み立てられた組付体として、構成すれば、車両へのエアバッグ装置の組付時、エアバッグとエアバッグカバーとを一体化させた組付体を、車両に取り付けるだけで、エアバッグとエアバッグカバーとを車両に搭載することができるため、エアバッグ装置の車両への組付作業性を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜7に示す第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1は、図1に示すように、車内側のドアや窓部の開口Wの上縁側周縁におけるフロントピラー部FPから、中間ピラー部であるセンターピラー部CPを経て、リヤピラー部RP付近までのルーフサイドレール部RRに、折り畳まれたエアバッグ23を長く配設させて、構成されている。
【0019】
頭部保護エアバッグ装置M1は、エアバッグ23、インフレーター31、取付ブラケット28、エアバッグカバー15、及び、アシストグリップ11、を備えて構成されている。
【0020】
エアバッグ23は、ポリアミド・ポリエステル等の糸から袋織りにより形成されて、図1〜4・7に示すように、インフレーター31からの膨張用ガスを流入させて膨らむ略長方形板状の本体部24と、本体部24の上縁側に配置される複数の取付部26と、を備えて構成されている。本体部24の前部側上部には、インフレーター31からの膨張用ガスを流入させるための略円筒状のガス流入部25が配設されている。各取付部26は、図2〜4・7に示すように、車内側Iと車外側Oとを連通させるように貫通する取付孔26aを備えるとともに、板金製の取付ブラケット28が取り付けられて、取付ブラケット28とともに、取付孔26aを挿通する取付ボルト29・35を利用して、ルーフサイドレール部RRにおけるボディ1側のインナパネル2に取り付けられることとなる。
【0021】
なお、取付ボルト29は、エアバッグ取付部26とエアバッグカバー15の後述する取付部18とを、インナパネル2に対して、共締めすることとなる。また、取付ボルト35は、エアバッグ取付部26、エアバッグカバー15の後述する取付部17、及び、アシストグリップ11の後述する取付部12、を、インナパネル2に対して、共締めすることとなる。そして、インナパネル2には、ボルト29・35を螺合させるナット2b・2dを設けた取付孔2a・2cが、それぞれ、形成されている。
【0022】
インフレーター31は、図1・2・7に示すように、エアバッグ23の前部側上部に配置させるとともに、かつ、前方側のアシストグリップ11(F)に隠れるように、アシストグリップ11Fの車外側Oに配置されている。インフレーター31は、膨張用ガスを吐出させる円柱状の本体部32と、本体部32をルーフサイドレール部RRにおけるボディ1側のインナパネル2に取り付けるための板金製のブラケット部33と、を備えて構成されている。本体部32は、大径部32aとガス吐出口32cを備えた小径部32bとを備えて構成されている。ブラケット部33は、本体部32を挟持するように保持する略円筒状の挟持部33aと、挟持部33aから下方に延びるように配設される略長方形板状の取付片部33cと、を備えて構成されている。挟持部33aは、本体部32の外周面を押圧して挟持するための複数の押圧部33bを内周側に突出させて構成され、塑性変形させるように縮径させて、本体部32を挟持することとなる。取付片部33cには、インフレーター31をボディ1側のインナパネル2に取り付けるための取付ボルト35を挿通させる取付孔33dが、二箇所に形成されている。
【0023】
なお、各エアバッグ23のガス流入部25は、インフレーター本体部32の小径部32bに対して、図示しないクランプを利用して、外装されて連結されることとなる。
【0024】
アシストグリップ11(11F・11B)は、図1・2・4・7に示すように、開口Wの上縁側におけるピラー部FP・CP・RP間に配設されて、乗員が把持するための把持部13と、把持部13の前後方向の両端に配置される取付部12と、を備えて構成されている。各アシストグリップ11は、形状を保持する板金製の芯材11aと、芯材11aの周囲を厚く被覆する軟質塩化ビニルやウレタン等の軟質合成樹脂製の被覆層11bと、から構成されている。
【0025】
そして、各取付部12は、取付ボルト35を挿通させる取付孔12aが形成されて、エアバッグ15の後述する各取付部17の車内側部位に嵌合可能な、略円錐台形状に形成されている。また、各取付孔12aの車内側Iの周縁には、取付部12を取付部26や取付片部33cとともにインナパネル2に対して共締めする際のボルト35を隠すために、キャップ12bが固着されることとなる。
【0026】
エアバッグカバー15は、図1〜7に示すように、フロントピラー部PFからセンターピラー部CPを経てリヤピラー部RPまでのルーフサイドレール部RRに、前後方向に長く配置されて、ルーフヘッドライニング5の下縁と開口Wの上縁側との間に配置されている。エアバッグカバー15は、合成樹脂製とし、下縁側の全域に配置されて、エアバッグ23の展開膨張時に、エアバッグ23に押されて開く扉部21と、扉部21の上部側の一般部16と、を備えて構成されている。一般部16との境界部位における扉部21の上縁側には、扉部21が円滑に開くように、薄肉のヒンジ部20が形成されている。一般部16には、車外側Oに突出する3種類の取付部17・18・19が形成されている。
【0027】
取付部17・18は、車外側Oに突出する略円筒状に形成され、突出した端面側の底壁部17a・18aに、取付孔17b・18bが貫通されて構成されている。取付部17は、アシストグリップ11F・11Bの前後方向両端の取付部12やインフレーター31のブラケット部33とともに、インナパネル2に共締めされる部位となり、取付部18は、エアバッグ23の取付部26とともに、インナパネル2に共締めされる部位となる。なお、前方側のアシストグリップ11Aにおける取付部12を配置させる取付部17には、図2に示すように、インフレーターブラケット部33の取付片部33cがインナパネル2との間に介在される。しかし、後方側のアシストグリップ11Bにおける取付部12を配置させる取付部17には、インナパネル2との間に、インフレーターブラケット部33が介在されない。また、各取付部18の車内側部位には、取付部18をエアバッグ取付部26とともにインナパネル2に対して共締めする際のボルト29を隠すために、キャップ18cが固着されることとなる。
【0028】
取付部19は、エアバッグカバー15の車外側部位に埋設される金属製の係止軸19aと、係止軸19aに係止させるゴム若しくは軟質合成樹脂からなる係止キャップ19dと、から構成されている。係止軸19aは、首部19cの先端に半径方向に膨出した頭部19bを備えて構成されている。係止キャップ19dは、頭部19bに係止可能な略円筒状として、先端側の厚肉の係止部19eと、係止部19eの元部側外周の係止溝19fと、係止キャップ19dの元部側外周に配置される凹溝19gとを備えて構成されている。この取付部19は、係止軸19aに係止キャップ19dを外装させた状態で、係止溝19fの位置まで、インナパネル2に設けられた取付孔2eに挿入させて、取付孔2eの車外側Oの周縁に、係止軸頭部19bに係止された状態の係止キャップ係止部19eを係止させて、インナパネル2に取り付けることとなる。この取付状態では、エアバッグカバー15が車内側Iに強く引っ張られても、係止キャップ係止部19eの弾性変形分、エアバッグカバー15が車内側Iに移動するだけで、係止軸頭部19bと係止キャップ係止部19eとが、取付孔2eから抜けず、強固に取付部19をインナパネル2に取り付けることができる。
【0029】
なお、メンテナンス等で、取付部19をインナパネル2から取り外す場合には、まず、係止キャップ19dの凹溝19gの部位が取付孔2eの内周面に配置されるまで、取付部19を車外側Oに押し込む。すると、係止軸19aの頭部19bを係止キャップ19dから引き抜き可能に、係止キャップ19dの内径寸法が形成されているため、係止キャップ19dを取付孔2eの周縁に係止させた状態で、係止キャップ19dや取付孔2eから係止軸19aを引き抜くことができて、エアバッグカバー15をインナパネル2から取り外すことが可能となる。
【0030】
また、エアバッグカバー15の一般部16におけるセンターピラー部CPの上方の部位では、図5に示すように、ヒンジ部20の上方における車外側Oの部位に、リブ16bで補強された横壁部16aが形成されている。この横壁部16aは、折り畳まれたエアバッグ23の上方におけるインナパネル2とエアバッグカバー15との間を塞ぐように、配設されている。
【0031】
そして、エアバッグカバー15の下縁、すなわち、扉部21の下縁部21aは、センターピラー部CPの部位では、センターピラーガーニッシュ7の上縁部9より、車内側Iに配置されて、センターピラーガーニッシュ7の一般部8と面一となるように接続されている。また、エアバッグカバー15の上縁部16cも、ルーフヘッドライニング5の車外側Oに屈曲した下縁部5aの車内側Iに配置されて、ルーフヘッドライニング5と面一となるように接続されている。
【0032】
センターピラーガーニッシュ7は、図5・7に示すように、センターピラー部CPの車内側Iを覆う一般部8と、その上端の上縁部9と、を備えて構成され、上縁部9は、一般部8の上端から車外側Oに延びてインナパネル2に当接する横壁部9bと、横壁部9bの先端からインナパネル2に沿って上方に延びるように配置される取付部9cと、を備えて構成されている。そして、横壁部9bの一般部8との交差部位には、エアバッグカバー扉部21の下縁部21aの先端(下端)を収納する凹部9aが形成されている。また、取付部9cには、車両の前後方向の両縁付近に、センターピラーガーニッシュ7をボディ1側のインナパネル2にボルト10止めするための取付孔9dが形成されている。インナパネル2には、各取付孔9dを挿通させる取付ボルト10を螺合可能なナット2gを設けた取付孔2fが形成されている。
【0033】
なお、リヤピラー部PRの部位でも、センターピラー部CPと同様に(図5の括弧書きの符号参照)、エアバッグカバー扉部21の下縁部21aの下端が、リヤピラー部RPの車内側Iを覆うリヤピラーガーニッシュ6の上縁部6bより、車内側Iに配置されて、リヤピラーガーニッシュ6の一般部6aと面一となるように接続されている。リヤピラーガーニッシュ6は、リヤピラー部RPの車内側Iを覆う一般部6aと、その上端の上縁部6bと、を備えて構成され、上縁部6bは、一般部6aの上端から車外側Oに延びてインナパネル2に当接する横壁部6dと、横壁部6dの先端からインナパネル2に沿って配置される取付部6eと、を備えて構成されている。そして、横壁部6dの一般部6aとの交差部位には、エアバッグカバー扉部21の下縁部21aの下端を収納する凹部6cが形成されている。また、取付部6eには、リヤピラーガーニッシュ6をインナパネル2にボルト10止めするための取付孔6fが形成されている。
【0034】
つぎに、第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1の車両への搭載について説明すると、まず、エアバッグ組付体Aを形成する。このエアバッグ組付体Aの形成時には、最初に、エアバッグ23を折り畳む。このエアバッグ23を折り畳む際には、非膨張状態の平らに展開した状態から、本体部24の下縁側を上縁側に接近させるように、山折り・谷折りの折目を付けて蛇腹折りする。また、折り畳んだ後には、所定間隔で破断可能な折り崩れ防止用のテープ材27(図8〜10参照)を巻き付けておく。また、折り畳んだ後には、各取付部26にそれぞれ取付ブラケット28を取り付けておく。
【0035】
そして、ガス流入部25の折りを解消し、インフレーター本体部32の小径部32bに、図示しないクランプを使用して、ガス流入部25を連結させる。また、インフレーター挟持部33aを縮径させて、本体部32をブラケット部33に保持させておく。
【0036】
そして、図8に示すように、エアバッグカバー15の各取付部17における車外側Oの部位に、インフレーターブラケット部33とエアバッグ23の所定の取付部26とを配置させるとともに、各取付部17の車内側Iの部位に、アシストグリップ11Fの取付部12を嵌めて、各取付ボルト35を、取付孔12a・17b・26a・33dに貫通させて、各ボルト35の雄ねじ部35bに、ワッシャ状のばね板ナット37を嵌め、さらに、キャップ12bを取付孔12aの車内側周縁に嵌めておく。ちなみに、ばね板ナット37は、薄板状のばね板から形成されており、雄ねじ部35bに対して、抜け不能に簡単に嵌め込むことができる。
【0037】
なお、アシストグリップ11Bの部位では、上記の態様において、インフレーターブラケット部33を介在させない状態で、エアバッグカバー15の各取付部17における車外側Oの部位に、エアバッグ23の所定の取付部26を配置させるとともに、各取付部17の車内側Iの部位に、アシストグリップ11Bの取付部12を嵌めて、各取付ボルト35を、取付孔12a・17b・26aに貫通させて、各ボルト35の雄ねじ部35bに、ワッシャ状のばね板ナット37を嵌め、さらに、キャップ12bを取付孔12aの車内側周縁に嵌めておく。
【0038】
また、図9に示すように、エアバッグカバー15の各取付部18における車外側Oの部位に、取付ブラケット28を固着済みのエアバッグ取付部26を配置させ、各取付ボルト29を、取付孔18b・26aに貫通させて、各ボルト29の雄ねじ部29bに、ばね板ナット37を嵌め、さらに、キャップ18cを取付部18の車内側Iの部位に嵌めれば、エアバッグ組付体Aを形成することができる。
【0039】
すなわち、このエアバッグ組付体Aは、アシストグリップ11Fの各取付部12の取付孔12a周縁・エアバッグカバー15の取付部底壁部17a・インフレーター31のブラケット部取付片部33c・エアバッグ取付部26、及び、アシストグリップ11Bの各取付部12の取付孔12a周縁・エアバッグカバー15の取付部底壁部17a・エアバッグ取付部26、が、それぞれ、取付ボルト35の頭部35aとばね板ナット37とにより、挟持され、また、エアバッグカバー15の取付部底壁部18a・取付ブラケット28を固着させた状態での取付部26が、取付ボルト29の頭部29aとばね板ナット37とにより、挟持されて、アシストグリップ11F・11B・エアバッグカバー15・エアバッグ23・インフレーター31が、相互に組み付けられて、一体化されている。
【0040】
エアバッグ組付体Aの車両への組付けは、キャップ12b・18cを取り外した後、各取付ボルト35の雄ねじ部35bを、インナパネル2の各取付孔2aに配置されたナット2bに螺合させるとともに、各取付ボルト29の雄ねじ部29bを、インナパネル2の各取付孔2cに配置されたナット2dに螺合させ、また、各取付部19をインナパネル2の取付孔2eに挿入係止させ、さらに、各取付部12の車内側部位にキャップ12bを固着させるとともに、各取付部18の車内側部位にキャップ18cを固着させれば、エアバッグ組付体Aをルーフサイドレール部RRに組み付けて、頭部保護エアバッグ装置M1を車両に搭載することができる。
【0041】
なお、エアバッグ装置M1の車両への搭載時には、各インフレーター本体部32に、エアバッグ制御回路から延びる図示しない作動信号入力線を結線させておく。また、エアバッグ装置M1の組付け前には、図10に示すようにセンター・リヤピラー部CP・RPのセンター・リヤピラーガーニッシュ7・6を取付ボルト10等を利用して、インナパネル2に取り付けるとともに、フロントピラー部FPのフロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5を車両に組み付けておくこととなる。
【0042】
頭部保護エアバッグ装置M1の車両への搭載後、インフレーター31が作動されれば、インフレーター本体部32のガス吐出口32cから膨張用ガスが吐出され、ガス流入部25を経てエアバッグ本体部24に膨張用ガスが流入されて、エアバッグ本体部24が、膨張し、テープ材27を破断させるとともに、エアバッグカバー15の扉部21を押し開いて、開口Wを覆うように、展開膨張することとなる。
【0043】
この時、第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1では、エアバッグカバー15の下縁部21aが、ピラーガーニッシュ7・6の上縁部9・6bより、車内側Iに配置されて、ピラーガーニッシュ7・6の一般部8・6aと面一に接続されており、展開膨張時のエアバッグ23にエアバッグカバー扉部21が押された際、エアバッグ下縁部21aは、ピラーガーニッシュ7・6の上縁部9・6bを乗り越えることなく、直ちに、車内側Iに開き移動できることとなる。
【0044】
したがって、第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1では、ピラーガーニッシュ7・6の上縁部9・6bと接続されるエアバッグカバー下縁部21aの開き動作が円滑となって、エアバッグ23の展開膨張を素早く完了させることができる。
【0045】
また、第1実施形態では、ピラーガーニッシュ7・6の上縁部9・6bが、横壁部9b・6dと取付部9c・6eとによって、ピラーガーニッシュ7・6とボディ1側のインナパネル2との間を塞ぐように、インナパネル2に連結されているため、エアバッグ23の展開膨張時、ピラーガーニッシュ上縁部9・6bがエアバッグ23のピラーガーニッシュ7・6とインナパネル2との間への侵入を防止して、エアバッグ23の圧力をエアバッグカバー15の下縁部21a側に導くことができ、扉部21が容易に開き、エアバッグ23の円滑な車内側Iへの突出を可能としている。
【0046】
さらに、第1実施形態では、エアバッグカバー15が、センターピラー部CPを間にしてフロントピラー部FPからリヤピラー部RPまでの範囲の車内側Iに、一体物として配設されており、車内側Iの開口Wの周縁における上縁側の略全域をエアバッグカバー15が連続的に覆う態様となって、部分的にエアバッグカバーが車内側に配置される場合に比べて、車内側Iの意匠性を向上させることができる。
【0047】
また、第1実施形態では、エアバッグカバー15の上縁部16cが、エアバッグカバー15の上方に配置されるルーフヘッドライニング5の下縁部5aの車内側Iを覆うように、ルーフヘッドライニング下縁部5aの車内側Iに配置されて、ルーフヘッドライニング5と接続されている。そのため、ルーフヘッドライニング下縁部5aにおけるトリミング等の端末処理が不十分であっても、ルーフヘッドライニング下縁部5aをエアバッグカバー上縁部16cが覆うことから、ルーフヘッドライニング下縁部5aの端末処理を簡便に行なえ、また、ルーフヘッドライニング5の外観意匠の低下を抑えることができる。なお、ルーフヘッドライニング5は、通常、真空成形されて、その端末をトリミング処理しており、その端末を車内側Iに露出させる場合には、外観意匠を低下させないように、工数をかけて丁寧にトリミング等の端末処理をする必要があった。
【0048】
さらにまた、第1実施形態では、エアバッグ装置M1が、取付ボルト35・29とばね板ナット37とを使用して、アシストグリップ11、エアバッグ23、インフレーター31、及び、エアバッグカバー15を、ボディ1側のインナパネル2に一体的に取り付け可能に組み立てられたエアバッグ組付体Aとして、構成されており、車両へのエアバッグ装置M1の組付時、一体化されたエアバッグ組付体Aを車両に取り付けるだけで良くなることから、エアバッグ装置M1の車両への組付作業性を向上させることができる。勿論、エアバッグ装置M1がエアバッグ組付体Aとして一体化されているため、車両へ取り付けるまでの運搬や管理等の取り扱いも容易となる。
【0049】
なお、第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置M1では、インフレーター31が、アシストグリップ11Fの車外側Oとなる位置に配置されて、ボディ1側のインナパネル2に固定されている。すなわち、アシストグリップ11Fが、インフレーター31のカバー材の役目を果たすこととなる。そして、アシストグリップ11F自体が、金属製の芯材11aが配設されているものの、表面側には、握った際の感触を良好にするように、軟質塩化ビニルやウレタン等の軟質合成樹脂製の被覆層11bが配設されている。
【0050】
そのため、インフレーター31に乗員が干渉しようとしても、クッション性を有したアシストグリップ11F(特に車外側に空間を設けた把持部13)と干渉することになって、乗員の感触を低下させない。
【0051】
また、第1実施形態では、インフレーター31を、フロントピラー部FPとセンターピラー部CPとの間のルーフサイドレール部RRに配置させた場合を示したが、エアバッグ23のガス流入部25を対応させれば、センターピラー部CPとリヤピラー部RPとの間のアシストグリップ11Bの部位に、インフレーター31を配置させても良い。
【0052】
さらに、図11に示す第2実施形態の頭部保護エアバッグ装置M2のように、インフレーター31Aをリヤピラーガーニッシュ6に覆われるように、リヤピラー部RPのインナパネル2に固定するように構成しても良い。このエアバッグ装置M2では、インフレーター31Aが、膨張用ガスを吐出可能な円柱状の本体部32と、本体部32を挟持してインナパネル2にボルト45止めされるブラケット部33と、を備えて構成されている。また、エアバッグ23Aが、本体部24に膨張用ガスを流入させるガス流入部25を、本体部24の後端上部に配設させている。そして、このガス流入部25が、クランプ46を利用して、インフレーター本体部32に連結されている。
【0053】
さらに、前方側のアシストグリップ11Fの部位には、後方側のアシストグリップ11Bと同様に、インフレーター31が配設されていない。
【0054】
そして、他の部位は、第1実施形態と同様である。なお、リヤピラーガーニッシュ6の上縁部6bは、展開膨張するエアバッグ23Aの部位だけに配置されて、インフレーター31Aの配置された上方部位では、ガス流入部25をインフレーター本体部32に連結可能に、横壁部6dの一部が開口されている。
【0055】
このエアバッグ装置M2では、第1実施形態のエアバッグ組付体Aからインフレーター31が除かれた状態のアシストグリップ11F・11B・エアバッグカバー15・エアバッグ23Aがボルト35・29・ナット37により一体化されたエアバッグ組付体Bとして、構成されている。
【0056】
そのため、この第2実施形態も、エアバッグ23Aとエアバッグカバー15とが、ボディ1側のインナパネル2に一体的に取り付け可能に組み立てられたエアバッグ組付体Bとして、構成されており、車両へのエアバッグ装置M2の組付時、エアバッグ23Aとエアバッグカバー15とが一体化された組付体Bを車両に取り付けるだけで、エアバッグ23Aとエアバッグカバー15とを車両に搭載することができて、エアバッグ装置M2の車両への組付作業性を向上させることができる。
【0057】
なお、ガス流入部25のインフレーター本体部32への連結は、予め、リヤピラーガーニッシュ6に覆われた状態のインフレーター本体部32に対して、クランプ46を利用してガス流入部25を連結させ、その後に、ボルト35・29を利用して、エアバッグ組付体Bをインナパネル2に取り付けることとなる。ちなみに、クランプ46を利用して、予め、エアバッグ組付体Bにインフレーター31Aを組み付けて組付体としておき、エアバッグ組付体Bを車両に組み付ける際、横壁部6dの開口部位を利用して、リヤピラーガーニッシュ6の裏面側のインナパネル2に、インフレーター31Aを固定させ、ついで、ボルト35・29を利用して、エアバッグ組付体Bをインナパネル2に取り付けても良い。
【0058】
そして勿論、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、他の作用・効果も、第1実施形態と同様に得ることができる。
【0059】
なお、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、フロントピラー部FPとリヤピラー部RPとの間に、中間ピラー部としての一本のセンターピラー部CPが配設されている場合だけでなく、フロントピラー部FPとリヤピラー部RPとの間に、二本、あるいは、三本以上の中間ピラー部が配設されている車両に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の頭部保護エアバッグ装置の車内側から見た正面図である。
【図2】図1のII−II部位の断面図である。
【図3】図1の III− III部位の断面図である。
【図4】図1のIV−IV部位の断面図である。
【図5】図1のV−V部位の断面図である。
【図6】図1のVI−VI部位の断面図である。
【図7】同実施形態の要部の分解斜視図である。
【図8】同実施形態におけるエアバッグ組付体の断面図であり、図2に示す部位に対応する。
【図9】同実施形態におけるエアバッグ組付体の断面図であり、図3に示す部位に対応する。
【図10】同実施形態におけるエアバッグ組付体の断面図であり、図5に示す部位に対応する。
【図11】第2実施形態の頭部保護エアバッグ装置の車内側から見た正面図である。
【符号の説明】
1…ボディ、
6…リヤピラーガーニッシュ、
6b・9…上縁部、
7…センタ−ピラーガーニッシュ、
15…エアバッグカバー、
21a…下縁部、
23・23A…エアバッグ、
I…車内側、
O…車外側、
FP…フロントピラー部、
CP…(中間ピラー部)センターピラー部、
RP…リヤピラー部、
A・B…エアバッグ組付体、
M1・M2…頭部保護エアバッグ装置。
Claims (2)
- 折り畳まれたエアバッグが、車内側のセンターピラー部の上部位置で、エアバッグカバーに覆われて収納され、
前記エアバッグの展開膨張時、前記エアバッグが、前記センターピラー部の車内側部位に配置されたピラーガーニッシュを覆い可能に、前記エアバッグカバーを押し開いて突出する頭部保護エアバッグ装置であって、
前記エアバッグカバーが、
前記センターピラー部を間にしてフロントピラー部からリヤピラー部までの範囲の車内側に、一体物として配設されるとともに、
下縁側の全域に配置されて、前記エアバッグの展開膨張時の前記エアバッグに押されて開く扉部と、該扉部の上部側の一般部と、を備え、さらに、
前記エアバッグカバーの一般部における前記センターピラー部の上方の車外側の部位に、折り畳まれた前記エアバッグの上方におけるボディのインナパネルと前記エアバッグカバーとの間を塞ぐ横壁部、を備えて構成され、
前記ピラーガーニッシュが、前記センターピラー部の車内側を覆う一般部と、該一般部の上端の上縁部と、を備え、
前記ピラーガーニッシュの上縁部が、前記ピラーガーニッシュと前記ボディの前記インナパネルとの間を塞ぐように、前記ピラーガーニッシュの一般部の上端から車外側に延びて前記インナパネルに当接する横壁部と、該横壁部の先端から前記インナパネルに沿って上方に延びて前記インナパネルに取り付けられる取付部と、を備えて構成され、さらに、
前記ピラーガーニッシュにおける前記横壁部と前記一般部との交差部位に、前記エアバッグカバー扉部の下縁部の下端を収納する凹部が、形成され、
前記エアバッグカバー扉部の下縁部の下端が、前記ピラーガーニッシュの前記凹部に収納され、前記ピラーガーニッシュの上縁部より、車内側に配置されて、前記ピラーガーニッシュの一般部と面一となるように、前記ピラーガーニッシュに接続されるとともに、
前記エアバッグカバーの上縁部が、前記エアバッグカバーの上方に配置されるルーフヘッドライニングの下縁部の車内側を覆うように、前記ルーフヘッドライニング下縁部の車内側に配置されて、前記ルーフヘッドラインニングと面一となるように、前記ルーフヘッドライニングと接続されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。 - 前記エアバッグと前記エアバッグカバーとが、ボディに一体的に取り付け可能に組み立てられた組付体を構成していることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置。
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