JP4631266B2 - シリンダヘッドガスケット - Google Patents
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すなわち、第1のタイプのシリンダヘッドガスケットは、ガスケット基板における燃焼室孔の周囲に所要の厚さの環状シムを設けるものである(例えば特許文献1)。
また、第2のタイプのシリンダヘッドガスケットは、上下のガスケット基板の間に所要の厚さのシム板を介在させるものである(例えば特許文献2、特許文献3)。
さらに、第3のタイプのシリンダヘッドガスケットとして、上下位置のガスケット基板の間に厚さの薄いインナー板を介在させるとともに、このインナー板における燃焼室孔の隣接箇所を所定寸法だけ外方側へ折り曲げて肉厚部分を形成する、いわゆるヘミングガスケットが知られている(例えば特許文献4、特許文献5)。
このような従来のシリンダヘッドガスケットにおいては、上記環状シム等によって燃焼室孔の周囲を厚肉部とすることによって、シリンダヘッドガスケットをシリンダヘッドとシリンダブロックとで挟持して締結ボルトでそれらを締結した際に、上記厚肉部に荷重が集中することにより、燃焼室孔の周囲のシール性を確保するものである。
ここで、このような欠点を避けるためには、上記第1のタイプのシリンダガスケットにおいては環状シムの厚さを薄くすればよいが、環状シムの肉厚を薄くすると該環状シムをガスケット基板に固着させる際の作業性が悪くなるとともに、環状シムの強度が低下するという欠点が生じる。
また、上記第2のタイプのシリンダヘッドガスケットにおいては、内外に配置した厚さの異なるインナー板を一体に溶接するものでは、それら内外のインナー板の溶接作業に手間が掛かり、シリンダヘッドガスケットの製造コストが高くなるという欠点がある。
さらに、上記第3のタイプのヘミングガスケットにおいては、インナー板の内方側の縁部を外方側へ折り曲げて厚肉部分を形成しているので、この厚肉部分の厚さを自由に調整することができないという欠点があった。
所要箇所に燃焼室孔および該燃焼室孔を囲繞するビード部を形成したガスケット基板と、上記ビード部よりも内方側となるガスケット基板の一面に上記燃焼室孔を囲繞して設けた増厚部材と、上記増厚部材よりも薄肉に形成され、かつ上記増厚部材を囲繞する貫通孔が形成されて該増厚部材の外方位置に配置された副板とを備え、上記増厚部材をガスケット基板に固着するとともに、副板をガスケット基板に一体に連結した状態で、上記副板に形成した貫通孔は、上記増厚部材の外径よりも大きな内径を有して増厚部材の外方位置に配置されるとともに上記ビード部よりも内方側に位置されていることを特徴とするシリンダヘッドガスケットを提供するものである。
また、副板の厚さを変更することにより実質的に上記増厚部材の厚さを自由に調整することができ、これによってエンジンに悪影響を与える燃焼室孔周囲の荷重集中を抑制することができる。
したがって、エンジンの種類に合わせ、シール性を確保しつつエンジンのボア変形を抑えたシリンダヘッドガスケットを提供することができる。
本実施例のシリンダヘッドガスケット1は、金属製の第1ガスケット基板2、及び第2ガスケット基板3と、第1ガスケット基板2の下面における燃焼室孔4の位置に固着させたリング状の増厚部材5と、上記増厚部材5を囲繞してそれよりも外方側となる両ガスケット基板2、3の間に介在させた金属製の副板6とから構成されている。
両ガスケット基板2,3の形状と寸法及び板厚は同一にしてあり、副板6には上記増厚部材5を囲繞する円形の貫通孔6Aを形成してあり、副板6の外周部となる輪郭部分の形状と寸法は両ガスケット基板2,3の外周部の輪郭に一致させている。
そして、両ガスケット基板2,3およびそれらの間に副板6を介在させた状態において、所定のカシメ部7の5箇所をカシメることにより、それらを一体に連結してシリンダヘッドガスケット1を構成している。
図2に示すように、上方側となる第1ガスケット基板2には、上記燃焼室孔4を無端状に囲繞し、かつシリンダブロック側(下方側)に向けて突出する断面略円弧状のフルビード2Aが形成されている。
また下方側となる第2ガスケット基板3には、燃焼室孔4を無端状に囲繞し、かつシリンダヘッド側(上方側)に向けて突出する断面が略円弧状のフルビード3Aを形成している。
上記両フルビード2A、3Aは同じ寸法に設定してあり、上記フルビード2A、3Aの深さ(突出量)は同じ寸法に設定している。さらに、フルビード2A、3Aの中央部2A’、3A’の燃焼室孔4からの距離も同一寸法に設定している。
これにより、フルビード2Aの中央部2A’が副板6の上面に圧接してその部分のシールを維持するとともに、フルビード3Aの中央部3A’が副板6の下面に圧接してその部分のシールを維持するようになっている。
増厚部材5の外径は、固着させた状態において増厚部材5の外周部5Bが上記フルビード2A、3Aと重合しない寸法に設定している。つまり、増厚部材5の外周部5Bはフルビード2A,3Aよりも燃焼室孔4に近い位置に位置するようになっている。
なお、本実施例においては、金属製の増厚部材5を第1ガスケット基板2の下面に固着させるようにしているが、環状をした合成樹脂製の増厚部材5を用いても良いし、あるいは金属を溶射して第1ガスケット基板2に付着させる金属溶射層あるいは金属めっき層によって上記増厚部材5の厚さと幅に相当するリング状の肉厚部分を形成するようにしても良い。
本実施例の副板6の板厚は、上記増厚部材5の板厚よりも小さな寸法に設定している。より詳細には、増厚部材5の板厚を0.15mmに設定した場合には、副板6の板厚は0.08mmに設定するようにしている。
そして、上記燃焼室孔4を囲繞して増厚部材5とそれを連結した第1ガスケット基板2の箇所及び、増厚部材5の下面に対向する第2ガスケット基板3の箇所とによって、燃焼室孔4を囲繞する環状の増厚部分8を構成している。
図3に示すように、シリンダヘッドガスケット1をシリンダヘッド15とシリンダブロック16との間に介在させてそれらを締結ボルトで締結した際には、上記増厚部分8がシリンダヘッド15およびシリンダブロック16の取り付け面と圧接して、その部分のシールを維持するようになっている。
本実施例のシリンダヘッドガスケット1は上述したように構成している。
そのため、図3に示すように、増厚部材5の下面がそれに対向する第2ガスケット基板3の上面と密着するとともに、増厚部材5と副板4とが同一平面上の内外の位置に位置する。そして、増厚部分8である第1ガスケット基板2の上面がシリンダヘッド15の取り付け面に圧接し、また増厚部分8である第2ガスケット基板3の下面がシリンダブロック16の取り付け面に圧接する。
この状態の増厚部分8についてみると、増厚部材5から副板6の厚さを差し引いた分だけの厚さが両ガスケット基板2,3の厚さに増厚されたことになる。
そのため、増厚部材5の板厚を極端に薄い寸法に設定すること無く、実質的に増厚部分8におけるシリンダヘッドガスケット1の板厚を薄くしたものと同一結果を得ることができる。
したがって、増厚部分8となる燃焼室孔4の周囲の厚さを自由に調整することが可能となり、燃焼室孔4の周囲となる増厚部分8について、必要な厚さを確保して充分なシール性を確保することができるとともに、燃焼室孔4のボア変形を抑制することができる。これにより、増厚部分8と接触するシリンダブロック16およびシリンダヘッド15の取り付け面に過大な荷重が掛かることを防止して、それらの箇所に圧痕が生じることを良好に防止することができる。
次に図4は本発明の第2実施例を示したものである。端的に言えば、この第2実施例は、上記第1実施例における第2ガスケット基板3を省略したものである。
その他の構成は、上記第1実施例のものと同一なので、第1実施例と対応する箇所には同一部材番号を付して、詳細な説明は省略する。
このような構成とした第2実施例であっても、上述した第1実施例と同様の作用・効果を得る事ができる。
次に図5は本発明の第3実施例を示したものである。この第3実施例は、上記第1実施例の構成を前提として、副板6と第2ガスケット基板3との間にさらに第3ガスケット基板21を設けたものであり、それ以外の部分は上記第1実施例のものと同一である。
第3ガスケット基板21は、燃焼室孔4の隣接位置であって、かつそれを囲繞する環状の箇所を環状凹部21Aとしてあり、その外方側の平坦な領域よりも少し下方側(第2ガスケット基板3側)へ窪ませている。この環状の環状凹部21Aが増厚部材5の下面と対向してあり、環状凹部21Aよりも外方側となる第3ガスケット基板21の上面が副板6と重合するようになっている。
この第3実施例においては、シリンダヘッドガスケット1をシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に装着して締結ボルトでそれらを締結した際には、増厚部材5の下面が第3ガスケット基板21の環状凹部21Aと当接するようになっている。また、環状凹部21Aの下面が最下方位置となる第2ガスケット基板3の上面と当接するようになっている。
このような構成の第3実施例であっても、上記第1実施例と同様の作用・効果を得る事ができる。
次に、図6は本発明の第4実施例を示したものである。この第4実施例は、上記第1実施例を前提として、その下方側にさらに第4ガスケット基板22、及び第5ガスケット基板23を追加したものである。
第4ガスケット基板22は、上記第1ガスケット基板2と同様にフルビード22Aを形成してあり、第5ガスケット基板23は、第2ガスケット基板3と同様にフルビード23Aを形成している。その他の構成は第1実施例と同じであり、第1実施例と対応する箇所には同一の部材番号を付している。
このような構成の第4実施例であっても、上記第1実施例と同様の作用・効果を得る事ができる。
次に、図7は本発明の第5実施例を示したものであり、この第5実施例は、上記第1実施例における両フルビード2A、3Aの代わりにハーブビード2B、3Bを形成したものである。
第1ガスケット基板2のハーフビード2Bは、その内方側の縁部が外方側の縁部よりも上方側に突出するような形状に形成している。他方、第2ガスケット基板3のハーフビード3Bは、その内方側の縁部が外方側の縁部よりも下方に突出するような形状に形成している。
その他の構成は、第1実施例のものと同じであり、第1実施例と対応する箇所には、同一の部材番号を付している。
このような構成の第5実施例であっても、上記第1実施例と同様の作用・効果を得る事ができる。
2A…フルビード 3…第2ガスケット基板
3A…フルビード 4…燃焼室孔
5…増厚部材 6…副板
Claims (7)
- シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持されてそれらの間のシールを維持するシリンダヘッドガスケットであって、
所要箇所に燃焼室孔および該燃焼室孔を囲繞するビード部を形成したガスケット基板と、上記ビード部よりも内方側となるガスケット基板の一面に上記燃焼室孔を囲繞して設けた増厚部材と、上記増厚部材よりも薄肉に形成され、かつ上記増厚部材を囲繞する貫通孔が形成されて該増厚部材の外方位置に配置された副板とを備え、上記増厚部材をガスケット基板に固着するとともに、副板をガスケット基板に一体に連結した状態で、上記副板に形成した貫通孔は、上記増厚部材の外径よりも大きな内径を有して増厚部材の外方位置に配置されるとともに上記ビード部よりも内方側に位置されていることを特徴とするシリンダヘッドガスケット。 - 上下位置に配置した上記ガスケット基板を2枚備えて、上方位置のガスケット基板の下面に上記増厚部材を設けてあり、上記副板は上下位置の両ガスケット基板の間に介在させてあり、上記ガスケット基板には、上記ビード部としてのフルビードが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記ガスケット基板を1枚備えて、該ガスケット基板の下面に上記増厚部材を設けてあり、上記副板は上記ガスケット基板の下面側に配置されてあり、上記ガスケット基板には、上記ビード部としてのフルビードが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記ガスケット基板を3枚備えて、最上方位置のガスケット基板の下面に上記増厚部材を設けてあり、最上方位置のガスケット基板と中間のガスケット基板との間に上記副板を配置し、
中間のガスケット基板には、上記増厚部材と対向する箇所を下方へ退没させた環状凹部を形成してあり、最上方位置のガスケット基板及び最下方位置のガスケット基板には、上記ビード部としてのフルビードが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。 - 上記ガスケット基板を4枚備えて、最上方位置のガスケット基板の下面に上記増厚部材を設けてあり、上記副板は最上方位置のガスケット基板と上方側から第2番目のガスケット基板との間に配置されており、各ガスケット基板には、上記ビード部としてのフルビードが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記ガスケット基板を2枚備えて、上方位置のガスケット基板の下面に上記増厚部材を設けてあり、上記副板は両ガスケット基板の間に介在させてあり、上記各ガスケット基板には、上記ビード部としてのハーフビードが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記増厚部材は、上記ガスケット基板に固着させた環状の金属、金属溶射層、金属めっき層および合成樹脂のいずれかからなり、また上記副板は金属からなり、この副板の外周部は上記各ガスケット基板の外周部まで到達する寸法に設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のシリンダヘッドガスケット。
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