JP4631088B2 - スライド式自動車用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体フロアに設置されるロアレールと、シートクッションの底部に取り付けられるアッパーレールとから組み立てられるスライドレールを備えると共に、スライドロック機構を備えて所定の位置姿勢に定置でき、且つ、ロック解除機構を備えてスライドロック機構を乗員のレバー操作により解除可能に構成するスライド式自動車用シートの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スライド式の自動車用シートにおいては、当該シートの着座者が着座位置姿勢を調整できるよう、スライドロック機構を解除する操作レバーとしてシートクッションの前下側に一つ備え付けられているのが通常である。
【0003】
そのスライド式シートを前部シートとして備え、リアシートとして折畳み自在シートを備えるものでは、リアシートを前倒しに折畳み収納する時、車内空間に応じた前部シートとのスペース乃至は位置関係により、フロントシートの位置姿勢を前方にズラし移動できるよう設計を要するものがある。
【0004】
そのフロントシートをズラし移動するには、まず、スライドロック機構を解除しなけれならないが、上述したようにスライドロック機構を解除する操作レバーをシートクッションの前下側に一つ備え付けるものであると、リアシートを折り畳む際にはフロントシートの前側からレバー操作によりスライドロック機構を解除することによりフロントシートを前方にズラし、それからリア側に移って作業を行う必要がある。然し、これでは手間が掛って能率的とはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡略な機構の変更により、前部側または後部側からのいずれの操作によつてもスライドロック機構を解除でき、後部側からも前方にズラし移動可能なスライド式自動車用シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るスライド式自動車用シートにおいては、上向きコの字状を有するレール基枠の上端辺から内側に折れ曲がる逆L字状の内曲げフランジを設けた左右のロアレールと、レール下部をレール基枠の内側に組み付けてロアレールでスライド可能に立付け支持される左右のアッパーレールとから組み立てられる両側のスライドレールを備え、
内曲げフランジの下端辺を切り欠いてロアレールに設けた突歯と、内曲げフランジの突歯とレール基枠の枠内でかみ合わせ可能な受け穴を設けた掛止め片を有し、前端部寄りを支軸でアッパーレールの側部に軸承支持し、且つ、後端部寄りをアッパーレールとの間に掛け渡すスプリングで引張支持したロックプレートを両側のスライドレールに組み付けたスライドロック機構を備えるスライド式自動車用シートにおいて、
前記スライドロック機構をロック解除可能な一つの作動カムを各アッパーレールで軸受けする作動シャフトの軸線上に固定すると共に、乗員用の操作レバーをシートの前後部に各々備え付け、前記作動シャフトの軸線を中心に、各操作レバーより引き出す引張りワイヤのワイヤ端を作動カムの相対位置に連結し、
更に、各ロックプレートを各ロアレールの突歯と各ロックプレートの掛止め片とのかみ合せ解除方向に押下げ可能な各キックアームを前記一つの作動カムから前記各ロックプレートに向けて設け、前記作動カムと各アッパーレールとの間に掛け渡すスプリングにより前記キックアームをロックプレートと離間する方向に引張支持し、一方、各レバー操作により前記キックアームをロックプレートと当接する方向に回動可能に組み付け、
前または後のいずれのレバー操作によっても、作動カムを個別に回動可能に組み立て、且つ、各ロックプレートを各ロアレールの突歯と各ロックプレートの掛止め片とのかみ合せ解除方向に押下げ可能に組み立てたロック解除機構を備えることにより構成されている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して説明すると、図1は自動車用シートのスライド機構を下部側から示す。このスライド機構は左右共通のレール構造を有し、車体フロアに設置される左右のロアレール1,2と、シートクッションの底部に取り付けられる左右のアッパーレール3,4とでなるスライドレールを備え、図面の紙面右側を車体前方としてアッパーレール3,4より上部側をズラし移動できるよう組み立てられている。
【0008】
ロアレール1は、図2で示す(片側のみ図示)ように上向きコの字状を呈するレール基枠1aと、レール基枠1aの両端より内側に相対間隔を保って逆L字状に折れ曲がる内曲げフランジ1b,1cとから形成されている。アッパーレール3は、中央の立上り壁3aと、立上り壁3aを下部側で保持すると共に、略J字状で背合わせに固定されたレール基部3b,3cとから形成されている。
【0009】
そのアッパーレール3は、レール基部3b,3cを内曲げフランジ1b,1cの相対間隔よりレール基枠1aの内側に組み付け、複数のコロ3dをレール下部の下側に備えることによりロアレール1でスライド可能に立付け支持されている。また、このアッパーレール3,4は左右を横桁フレーム3e(図1参照)で連結固定することにより枠状に組み立てられている。
【0010】
スライドロック機構は各レールで共通の部材を備えてなり、図3で示すように内曲げフランジ1cの下端辺を凹凸状に切り欠くことによりロアレール1の内曲げフランジ部1cに設けた複数の突歯5a,5b…と、アッパーレール3の側部に備えるロックプレート6とから構成されている。
【0011】
ロックプレート6は、前端部寄りをアッパーレール3のレール基部1b,1cに植立された支軸7で軸承支持し、且つ、後端部寄りをアッパーレール3の立上り壁3aとの間に掛け渡す引張スプリング8で引張り支持することにより、後述するキックアームによる押し下げに伴って支軸7を支点に引張スプリング8に抗して揺動できるようアッパーレール3の前後方向に配置されている。
【0012】
そのロックプレート6には、内曲げフランジ1cの突歯5a,5b…とレール基枠1aの枠内でかみ合う受け穴6a,6b…を有する掛止め片6cがレール基部3b,3cの長手方向に形成したスリット3fを通過させて内曲げフランジ1cの下側まで張り出すよう設けられている。このロックプレート6は、レール基部3bより側方に突出するピン9をロックプレート6の側面に設けた長穴6dに挿通させて上下方向の揺動をガイドできるよう取り付けられている。
【0013】
ロック解除機構は、図4で示す(片側のみ図示)ようにロックプレート6をロアレールの突歯と掛止め片のかみ合せ解除方向(矢印参照)に押げ下げるキックアーム10を各レール共通の部材として備えることにより構成されている。このキックアーム10は、各軸端側を両側のアッパーレール3のブラケットプレート3g(図2参照、片側のみ図示)で軸受けさせて回転可能に掛け渡される作動シャフト11の軸線上に取付け固定されている。
【0014】
そのキックアーム10は、作動シャフト11の挿通部10aから斜め上方に伸びるよう設けられている。このキックアーム10は、キックアーム10の反対側で、引張スプリング12を作動シャフト11の挿通部11aから立ち上がる突片11bとアッパーレール4の立上り壁との間で掛渡し装備することによりロックプレート6から離間する方向に引張支持されている。
【0015】
そのキックアーム10と共に、図1で示すように作動シャフト11の軸線上に取付け固定する作動カム13が片方のレール側に備え付けられている。この作動カム13は、各操作レバー14,15から引き出す引張りワイヤ16,17を連結することにより、乗員のレバー操作に伴って、引張りワイヤ16,17を介し、キックアーム10をロックプレート6と当接する方向に揺動させるよう取り付けられている。
【0016】
その乗員用の操作レバー14,15(図1参照)は、シートの前後部側に各々備え付けられている。この操作レバー14,15はいずれもアッパーレール3,4の下部側に配置し、或いは、後部側はシートバックの背部側に配置できる。引張りワイヤ16,17は、図5で示すように作動カム13の板面から立ち上げて作動シャフト11の軸線を中心とする相対位置に設けたワイヤ端の掛止めフック13a,13bにより、片側のワイヤ端が作動カム13と夫々連結されている。
【0017】
これにより、作動カム11はレバー操作に伴う引張りワイヤ16,17のスライド動で引張られるから、前または後のいずれの操作レバー14,15を操作することによっても回動可能に備え付けられている。
【0018】
その引張りワイヤ16,17のスライド動を円滑に行えるよう、作動カム13に隣接させてブラケットプレート18を備え付け、各引張りワイヤ16,17をチューブコード16a,17aに挿通すると共に、各チューブコード16a,17aの先端に取り付けたホルダー金具16b,17bをブラケットプレート18に設けた突片18a,18bで保持することにより、各引張りワイヤ16,17は備え付けられている。
【0019】
なお、上述した両側のキックアーム10のうち、作動カム13を備える側は作動カム13の内側より突出させて一体に設けられる。また、ブラケットプレート18の突片18bを設ける側はキックアーム10の上部側に張り出させて配置することにより、引張スプリング12によるキックアーム10の戻り位置を規制するストッパー18c(図1,4,5参照)として設けられている。
【0020】
このように構成するスライド式自動車用シートでは、図7で示すようにリアシートRを折り畳む際に、操作レバー15をフロントシートFの後部側で引上げ操作すると、引張りワイヤ17が作動カム13を作動シャフト11と共に回動(図1並びに図5の反時計方向)し、また、作動シャフト11の軸線上に固定された両側のキックアーム10を同方向に揺動し、図6で示すようにキックアーム10がロックプレート6を押し下げるため、掛止め片6cの受け穴6a,6b…が突歯5a,5b…から外れることによりスライドロック機構を解除できる。
【0021】
そのスライドロック機構を解除すると、アッパーレール3,4をロアレール1,2に沿ってスライド動でき、図8で示すようにフロントシートFを前方にズラし移動できるから、リアシートRをフロントシートFで邪魔されずに前倒しに折畳み収納できる。この後、フロントシートFを所定位置にスライド復帰させると、引張スプリング8がロックプレート6を引き上げるようバネ偏倚することによりスライドロック機構を復帰できる。なお、キックアーム10はレバー操作の終了後に引張スプリング12で引張られることにより元の位置に復帰する。
【0022】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係るスライド式自動車用シートに依れば、乗員用の操作レバーをシートの前後部側に備え付け、一つの作動カムを支持する作動シャフトの軸線を中心に、各操作レバーより引き出す引張りワイヤの各ワイヤ端を作動カムの相対位置に連結させて作動カムを個別に回動可能に組み付け、また、各ロックプレートを各ロアレールの突歯と各ロックプレートの掛止め片とのかみ合せ解除方向に押下げ可能な各キックアームを一つの作動カムから各ロックプレートに向けて設け、各レバー操作によりキックアームをロックプレートと当接する方向に回動可能に組み付け、前または後のいずれのレバー操作によっても、作動カムを個別に回動可能に組み立て、且つ、各ロックプレートを各ロアレールの突歯と各ロックプレートの掛止め片とのかみ合せ解除方向に押下げ可能に組み立てたロック解除機構を備えるため、ロック解除機構の簡単な機構の変更により、前部側または後部側からのいずれの操作によってもスライドロック機構を解除でき、後部側の作業で前方にズラし移動可能に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスライド式自動車用シートを下部側から示す仰角斜視図である。
【図2】同シートに装備されるスライド機構を示す説明図である。
【図3】同シートに装備されるスライドロック機構をスライドレールと共に示す説明図である。
【図4】同シートを図1と反対側から示す説明図である。
【図5】同シートに装備されるロック解除機構を示す説明図である。
【図6】図3のスライドロック機構を解除状態で示す説明図である。
【図7】同シートの装備例を示す説明図である。
【図8】同シートの使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,2 ロアレール
1a ロアレールのレール基枠
1b,1c ロアレールの内曲げフランジ
3,4 アッパーレール
5a,5b… 内曲げフランジの突歯
6 ロックプレート
6a,6b… ロックプレートの受け穴
6c ロックプレートの掛止め片
7 ロックプレートの支軸
8 ロックプレートの引張スプリング
10 キックアーム
11 作動シャフト
12 キックアームの引張スプリング
13 作動カム
14,15 操作レバー
16,17 引張りワイヤ
Claims (1)
- 上向きコの字状を有するレール基枠の上端辺から内側に折れ曲がる逆L字状の内曲げフランジを設けた左右のロアレールと、レール下部をレール基枠の内側に組み付けてロアレールでスライド可能に立付け支持される左右のアッパーレールとから組み立てられる両側のスライドレールを備え、
内曲げフランジの下端辺を切り欠いてロアレールに設けた突歯と、内曲げフランジの突歯とレール基枠の枠内でかみ合わせ可能な受け穴を設けた掛止め片を有し、前端部寄りを支軸でアッパーレールの側部に軸承支持し、且つ、後端部寄りをアッパーレールとの間に掛け渡すスプリングで引張支持したロックプレートを両側のスライドレールに組み付けたスライドロック機構を備えるスライド式自動車用シートにおいて、
前記スライドロック機構をロック解除可能な一つの作動カムを各アッパーレールで軸受けする作動シャフトの軸線上に固定すると共に、乗員用の操作レバーをシートの前後部に備え付け、前記作動シャフトの軸線を中心に、各操作レバーより引き出す引張りワイヤのワイヤ端を作動カムの相対位置に連結し、
更に、各ロックプレートを各ロアレールの突歯と各ロックプレートの掛止め片とのかみ合せ解除方向に押下げ可能な各キックアームを前記一つの作動カムから前記各ロックプレートに向けて設け、前記作動カムと各アッパーレールとの間に掛け渡すスプリングにより前記キックアームをロックプレートと離間する方向に引張支持し、一方、各レバー操作により前記キックアームをロックプレートと当接する方向に回動可能に組み付け、
前または後のいずれのレバー操作によっても、作動カムを個別に回動可能に組み立て、且つ、各ロックプレートを各ロアレールの突歯と各ロックプレートの掛止め片とのかみ合せ解除方向に押下げ可能に組み立てたロック解除機構を備えてなることを特徴とするスライド式自動車用シート。
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- 2001-03-05 JP JP2001060187A patent/JP4631088B2/ja not_active Expired - Fee Related
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