JP4630160B2 - 集魚灯装置 - Google Patents
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Description
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は実施形態に係るサンマ棒受網漁用の集魚用電気竿である。漁船の舷側等から海面上に突き出される電気棒11に沿ってLED要素パネル12が配設してある。図2に前記要素パネル12の詳細を示す。要素パネル12は、矩形状の基板13に複数個の発光ダイオードからなる単位光源14を縦横に多数配設した構成となっている。単位光源14は、図3の(a)に示したように、2個の白色発光ダイオードW、2個の青緑色発光ダイオードBG、1個の緑色発光ダイオードGの都合5個のダイオードの組合せからなる。この場合、白色発光ダイオードWと青緑色発光ダイオードBGを正方領域の四隅に置いた正方配置とすると共に、その中央に緑色発光ダイオードGを配置した構成となっている。図3の(b)は、前記単位光源14の分光特性(各発光ダイオードの合成分光特性)を示している。
次に、前記電気竿の集魚灯としての作用効果について説明する。図4は本出願人の知見によるサンマの目の平均的な視感度特性を示している。図示したようにサンマの目に最も強く感じられる波長は概ね500〜520nmの波長域にあり、およそ400nm以下または600nm以上の波長域では視感度は非常に低い。イワシ、アジ等の他の魚種についても概ね同様の視感度特性を有すると推測できる。一方、図5は各種発光ダイオードの分光特性を示したもので、横軸は波長を、縦軸は発光ダイオードの最大放射強度を100%とする相対強度をそれぞれ表している。図中の符号は発光ダイオードの種類(発光色)を示しており、それぞれWは白色、Bは青色、BGは青緑色、Gは緑色、Yは黄色、ORは橙色である。また破線(Vλ)は人間の視感度特性を表している。図示したように、青緑色発光ダイオードBGの中心波長は約505nm、緑色発光ダイオードGの中心波長は約520nmであり、それぞれ前記サンマの最大視感度域に一致する。したがって、サンマに対する感応性という点において、これらの緑色系発光ダイオードを使用することが適していることがわかる。
次に、サンマ漁を行う漁業水域の水質に応じた分光透過特性について説明する。わが国の沿岸域では植物性プランクトンによるクロロフィルの濃度が外洋域に比較して高く、またサンマは寒流系のプランクトン食性の魚であることから、一般にサンマ漁が行われる海域ではクロロフィル濃度が高いと言える。図6はメタルハライドランプを試験光源としてその400〜700nmの波長の光線の透過率に海水中のクロロフィル濃度が及ぼす影響を調べた結果を示している。水質としては外洋水1→外洋水2→沿岸水1→沿岸水2→沿岸水3の順にクロロフィル濃度が高くなる。図示されるようにクロロフィル濃度が比較的高い沿岸水2ないし沿岸水3の水域でおよそ500〜550nm以下の短波長域では波長が短くなるにしたがって透過率が大きく減少する傾向を示している。また、図7は400〜700nmの波長の光線に対するクロロフィルによる光線吸収率を示しており、およそ480nm以下および640nm以上の波長領域に光線吸収率の大きなピークがあり、これは図6の沿岸水2〜3の傾向と概ね一致している。なお、図6の外洋水1の特性に見られるように、海水の光線透過率はクロロフィルの有無にかかわらず概ね580〜600nm以上の波長域では減少する傾向がある。
集魚灯の主たる機能は海中で群泳している魚を漁船付近の水面下に集めることにあるが、この基本的な集魚機能に加えて、サンマの棒受網漁においては、集めた魚を棒受網の上方領域に誘導し、網によりすくいあげるまでの間その位置に落ち着かせておく機能が求められる。このような誘導ないし捕獲用に適した発光ダイオードの組合せに関する実施形態につき次に説明する。
すでに述べたように、海水に対する透過率という点では一般的に長波長側の発光ダイオードは不利であるが、海面付近に集合した魚に対しては透過率はそれほど問題にならず、むしろ誘導ないし捕獲に適した色調であることが重要であり、このような観点から前記実施形態の構成が好ましいと考えられる。また、一般に発光ダイオードは長波長のものほど消費電力が少ないので、長波長化するほど電力消費を抑えて経済性を高められるという利点もある。
ここで、前記各種の単位光源からなる集魚灯を用いたサンマ棒受網漁の要領について概説する。以下の説明では、図3、図8、図9の単位光源により構成した電気竿を、それぞれ集魚用集魚灯、誘導用集魚灯、捕獲用集魚灯と呼ぶこととする。サンマ棒受網漁の漁船では、通常その右舷から舳先にかけて数基の集魚用集魚灯を配置し、棒受網を展開する左舷側に誘導用と捕獲用の集魚灯および赤色灯を配置する。
次に、前述の海水のクロロフィル濃度が光線透過率に及ぼす影響に着目してLED集魚灯をより効率よく運用できるようにした集魚灯装置の実施形態について説明する。
複数種類の発光ダイオードによる合成色調光源(図3,図8〜図10参照)の海水中の透過特性の評価試験を行うために図16に示したような海水プール内での水平距離に対する透過特性を評価する試験方法を考案して試験を行った。
現在、集魚灯の技術開発で使用されている照度計は、人間の眼の波長感度特性すなわち視感度に合わせて設計製作されている。しかしながら、魚の目の最大視感度波長が500nm付近にあるのに対して、人間の眼の最大視感度波長は550nm付近にあることから(図4,図5参照)、現用の照度計をLED光源の照度計測に用いると魚の視感度特性に対して過小評価されてしまうという問題が生じる。
光パワーメータの指示値を対応させて、その平均値で魚の目に有効な光強度を評価したものである。この結果から、集魚用、誘導用の各単位光源に関しては、LED光源に対する照度計の測定値をそれぞれ約2倍、約1.5倍したものが魚に対して有効な実際的なLED照度を示すことが分かった。
12 要素パネル
13 基板
14 単位光源
W 白色発光ダイオード
G 緑色発光ダイオード
BG 青緑色発光ダイオード
Y 黄色発光ダイオード
OR 橙色発光ダイオード
R 赤色発光ダイオード
21 白色発光ダイオードのグループ
22 緑色系発光ダイオードのグループ
23 直流化電源
24 LED駆動回路
25 点滅制御盤
26 光量制御盤
31 クロロフィル濃度検出器
32 光量制御回路
Claims (3)
- 510nm付近に中心波長を有する発光ダイオードを含む複数種類の発光ダイオードとして、480nmから520nmに中心波長を有する青緑色発光ダイオードと、520nmから560nmに中心波長を有する緑色発光ダイオードと、白色発光ダイオードとを混在させ、
前記青緑色発光ダイオードと、前記緑色発光ダイオードと、前記白色発光ダイオードとが、2:1:2の比率で配置して光源を構成したことを特徴とする集魚灯装置。 - 前記青緑色発光ダイオードと、前記緑色発光ダイオードと、前記白色発光ダイオードとが、2:1:2の比率で配置することによって、510nm付近に中心波長を有し、600nm以上の光も放射する光源を構成したことを特徴とする請求項1に記載の集魚灯装置。
- 前記青緑色発光ダイオード及び緑色発光ダイオードが、前記白色発光ダイオードと隣接するように配置した光源によって電気竿を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の集魚灯装置。
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