JP4629973B2 - 光学活性シクロプロピルアミン誘導体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
で表される光学活性シクロプロピルアミン誘導体の製造中間体の製造方法およびその製造中間体に関するものである。
このキノロンカルボン酸誘導体、例えば、下記のキノロンカルボン酸誘導体の7位置換基の構築に、式(6)で表される光学活性化合物が重要である(特許文献1、2)。
本発明の目的は、短工程でかつ光学分割することなく光学活性な式(6)の化合物を容易に合成できる製造中間体の製造方法およびその製造中間体を提供することにある。
で表される光学活性体に、チタニウム(IV)試薬とアルキル金属化合物とから調製される反応試剤を、所望によりルイス酸の存在下において、反応させることを特徴とする式(4)
で表される光学活性体またはその塩の製造方法を提供するものである。
で表される化合物またはその光学活性体、式(3’)
で表される化合物、その光学活性体またはそれらの塩および式(5')
光学活性な式(6)の化合物は、この化合物(5)のアミノ基の保護基R1を脱離することにより製造できる。
また化合物(1)は、N−置換−3−ピロリン化合物を通常知られている不斉ヒドロボレーション反応(J. Org. Chem., 47, 5074(1982);J. Org. Chem., 51, 4296(1986);特開2003−040863号公報;特開2003−286255号公報)に付すことによって選択的に得ることができる。N−置換−3−ピロリン化合物のうちで、1−ジフェニルメチル−3−ピロリンはイソプロピルエーテルで晶析精製が可能であり、特に工業的に有利である。さらに、ここで使用されるN−置換−3−ピロリン化合物は、シス−1,4−ジクロロ−2−ブテンとアルキルアミンまたはアラルキルアミンとを反応させて得ることができる。
化合物(2)は結晶であり、特開平1-143852号公報に記載されているようなカラムクロマトグラフィーでの精製を省略できるため工業的に極めて有用な化合物である。
化合物(2)としては、1−ジフェニルメチル−3−メシロキシピロリジン、1−ジフェニルメチル−3−トシロキシピロリジンが好ましい。特に、(3S)−1−ジフェニルメチル−3−メシロキシピロリジン、(3S)−1−ジフェニルメチル−3−トシロキシピロリジンが好ましい。
本反応は完全な立体反転を伴う反応であり、化合物(2)の立体構造は化合物(3)では完全に逆転する。
チタニウム(IV)試薬およびアルキル金属化合物の使用量は、化合物(3)に対してチタニウム(IV)試薬は1〜5倍モル、好ましくは1〜3倍モル、エチルグリニャール試薬は2〜20倍モル、好ましくは2〜5倍モルでよい。また、ルイス酸を添加するときは化合物(3)に対して0.5〜5倍モル、好ましくは1〜3倍モル使用するのが好ましい。
エチルグリニャール試薬としてはエチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミドが使用でき、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等の溶液状態での使用も可能である。エチルグリニャール試薬としてはエチルマグネシウムブロミドが好ましい。
ジアルキル亜鉛化合物としてはジエチル亜鉛が好ましく、これは溶液状態で使用することができる。溶液状態で使用するときは、エーテル溶液あるいはテトラヒドロフラン溶液等として使用すればよい。
化合物(4)は原料である化合物(3)の立体が完全に保持される。
さらに、3−(1−アミノシクロプロピル)−1−(1,1−ジフェニルメチル)ピロリジン、特に(3R)−3−(1−アミノシクロプロピル)−1−(1,1−ジフェニルメチル)ピロリジンが好ましい。
この脱離反応は、保護基の種類に応じて特開2002-322148号公報記載の方法を適宜用いればよい。保護基であるエステルは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基の存在下における加水分解反応によればよい。ベンジルオキシカルボニル基のようなエステルである場合には、還元条件下による加水分解によればよい。
ベンゾフェノン(5.47g)をアルゴン雰囲気下、テトラヒドロフランに溶解した。
チタニウム(IV)テトライソプロポキシド(13.3mL)を室温下で添加した。0.25時間後、テトラヒドロフラン(5.5mL)に溶解させた(3S)−3−ヒドロキシピロリジン(2.61g)を滴下し、室温下で1時間攪拌した。1時間後、ポリメチルヒドロシロキサン(5.8mL)を加え、攪拌した。19時間後28重量%水酸化ナトリウム水溶液(60mL)加え0.5時間還流した。室温まで冷却後、トルエンを加え抽出した。分離した水層に再度トルエンを加え抽出後、全ての有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、残渣結晶を得た。得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィに付し、目的物(4.65g、収率61.2%)を得た。得られた目的物はイソプロピルアルコールで再結晶することによって精製した。
(3S)−1−ジフェニルメチル−3−ヒドロキシピロリジン(1.10g)を塩化メチレン(11mL)に溶解した。トリエチルアミン(1.1mL)を滴下後、氷冷攪拌した。
メタンスルホニルクロリド(0.5mL)を滴下後、室温まで昇温させた。3時間後、飽和炭酸水素ナトリウム(13mL)を滴下し、塩化メチレン層を抽出した。分離した水層に再度塩化メチレンを加え抽出後、全ての塩化メチレン層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した。
硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、目的物(1.52g、定量的)を得た。
(3S)−1−ベンジル−3−メシロキシピロリジン(2.56g)をアセトニトリル(3.6mL)に溶解した。テトラブチルアンモニウムシアニド(4.95g)を添加し、65℃で6.5時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム(13mL)とトルエンを滴下し、有機層を抽出した。有機層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、残渣を得た。得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィに付し、目的物を淡黄色油状(1.42g、収率76.2%)として得た。
(3S)−1−ジフェニルメチル−3−メシロキシピロリジン(1.25g)をアセトニトリル(1.75mL)に溶解した。テトラブチルアンモニウムシアニド(1.87g)を添加し、65℃で12時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム(7mL)とトルエンを滴下し、有機層を抽出した。有機層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、残渣結晶を得た。得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィに付し、目的物を白色結晶(0.766g、収率77.4%)として得た。
(3R)−3−シアノ−1−(1,1−ジフェニルメチル)ピロリジン(0.70g)をアルゴン雰囲気下、テトラヒドロフランに溶解した。チタニウム(IV)テトライソプロポキシド(0.86mL)、エチルマグネシウムブロミド(1.78mL、3mol/Lエーテル溶液)を室温下で添加した。0.5時間後、トリフルオロボロン・ジエチルエーテル錯体(0.67mL)を滴下し、室温下で攪拌した。18時間後2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(30mL)を加え0.25時間攪拌した。析出物をろ過後抽出した。分離した水層に再度酢酸エチルを加え抽出後、全ての有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、残渣結晶を得た。得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィに付し、目的物(0.374g、収率48%)を得た。
(3R)−3−(1−アミノシクロプロピル)−1−(1,1−ジフェニルメチル)ピロリジン(0.34g)を第三級ブチルアルコール(1.7mL)に溶解し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(3.0mL)加え攪拌した。二炭酸ジ−第三級ブチル(0.40mL)を添加し室温下で7時間攪拌した。クロロホルムを加え抽出した。分離した水層に再度クロロホルムを加え抽出後、全ての有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、残渣結晶を得た。得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィに付し、目的物(0.336g、収率74%)を淡黄色結晶として得た。
(3R)−3−シアノ−1−ベンジルピロリジン(1.40g)をアルゴン雰囲気下、テトラヒドロフラン(21.0mL)に溶解した。チタニウム(IV)テトライソプロポキシド(2.40mL)、エチルマグネシウムブロミド(5.00mL、3mol/Lエーテル溶液)を室温下で添加した。0.5時間後、トリフルオロボロン・ジエチルエーテル錯体(1.90mL)を滴下し、室温下で攪拌した。4時間後2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(30mL)加え0.25時間攪拌した。析出物をろ過後抽出した。分離した水層に再度酢酸エチルを加え抽出後、全ての有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、目的物の未精製体(1.65g)を得た。
未精製の(3R)−3−(1−アミノシクロプロピル)−1−ベンジルピロリジン(1.65g)を第三級ブチルアルコール(8.3mL)に溶解し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(15.0mL)加え攪拌した。二炭酸ジ−第三級ブチル(2.60mL)を添加し室温下で12時間攪拌した。酢酸エチルを加え抽出した。分離した水層に再度酢酸エチルを加え抽出後、全ての有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、残渣結晶を得た。得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィに付し、目的物(0.675g、収率28%)を黄色油状として得た。
脱ベンジル法
(3R)−3−[1−(第三級ブトキシカルボニルアミノ)シクロプロピル]−1−ベンジルピロリジン(2.90g、9.16mmol)をエタノール(29.0mL)に溶解し、5%パラジウム炭素をピロリジンの同量添加した。水素雰囲気下(常圧)、50℃で4時間攪拌した(参照特開2002-322148号公報)。原料消失後、放冷し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。残渣にイソプロピルアルコール(4.4mL)を加え、氷冷した。ここにシュウ酸二水和物(825mg、9.16mmol)を加え、イソプロピルエーテル(29.0mL)を加え、1時間攪拌した。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を減圧乾燥し、目的物(2.18g、収率75.2%)を得た。
(3R)−3−[1−(第三級ブトキシカルボニルアミノ)シクロプロピル]−1−(1,1−ジフェニルメチル)ピロリジン(250mg、0.64mmol)をエタノール(2.50mL)に溶解し、5%パラジウム炭素をピロリジンの同量添加した。水素雰囲気下(常圧)、50℃で3時間攪拌した(特開2002-322148号公報参照)。原料消失後、放冷し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。残渣にイソプロピルアルコール(0.38mL)を加え、氷冷した。ここにシュウ酸二水和物(57.6mg、0.64mmol)を加え、イソプロピルエーテル(2.50mL)を加え、1時間攪拌した。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を減圧乾燥し、目的物(163.5mg、収率80.8%)を得た。
(3S)−3−ヒドロキシピロリジン(2.0g)を氷冷下でアセトニトリル(10.0mL)に溶解した。トリエチルアミン(4.8mL)を添加し、アセトニトリル(10.0mL)に溶解させたブロモジフェニルメタン(5.7g)を滴下し、室温下で4.5時間攪拌した。反応後、不溶物をろ過し、水、トルエンを加えて有機層を抽出した。分離した水層に再度トルエンを加えて抽出後、全ての有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、残渣結晶を得た。得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物(5.2g、収率89.7%)を得た。このものはヘキサン−酢酸エチル、アルコール−水等を使用して処理することで結晶化させることができる。
(3S)−1−ジフェニルメチル−3−ヒドロキシピロリジン(4.00g)を塩化メチレン(11mL)に溶解して氷冷下に攪拌した。トリエチルアミン(3.3mL)を滴下後、p−トルエンスルホニルクロリド(3.61g)を滴下し、12時間室温で攪拌した。その後、40℃にて4.5時間攪拌した。原料が残存していたのでさらにトリエチルアミン(1.1mL)、p−トルエンスルホニルクロリド(1.5g)を追加し、24時間攪拌した。反応液に水、クロロホルムを加え、有機層を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、残渣結晶を得た。得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物(4.40g、収率68.5%)を得た。得られた目的物はイソプロピルアルコールで再結晶することにより精製した。
シス−1,4−ジクロロ−2−ブテン(15.4g)をメタノール(100.0mL)に溶解した。アミノジフェニルメタン(18.3g)、酢酸ナトリウム(16.4g)、ヨウ化カリウム(1.0g)を添加し、65℃で6.5時間攪拌した。反応液に塩化メチレンと1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えて有機層を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣にイソプロピルエーテルを加えて加熱した。不溶物をろ去した後、ろ液を濃縮し、結晶をろ過した。得られた結晶を更に小量のイソプロピルエーテルで洗浄することで目的物を白色結晶(11.62g、収率41%)として得た。
水素化ホウ素ナトリウム(0.235mg)をアルゴン気流下でテトラヒドロフラン(2.0mL)に懸濁させ、氷冷した。光学活性なα−ピネン(0.63mL)、ボロントリフルオリド・エーテル錯体(0.25mL)を滴下し、12時間攪拌した。ここに1−ジフェニルメチル−3−ピロリン(0.24g)を添加し、さらに9時間反応させた。その後30%過酸加水素水(2mL)、6mol/L水酸化ナトリウム水溶液(2mL)を滴下して攪拌した。3時間後塩化メチレンで抽出し、抽出した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ取後、ろ液を減圧濃縮し、残渣結晶を得た。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物を(0.200g、収率79%)を得た。得られた目的物をHPLC分析(ダイセルキラルパックAD-RH使用)にて分析した結果、光学純度は72%eeであった。
Claims (13)
- チタニウム(IV)試薬が、チタニウム(IV)アルコキサイドである請求項1に記載の製造方法。
- チタニウム(IV)試薬が、チタニウム(IV)テトライソプロポキシド、メチルチタニウム(IV)トリイソプロポキシドまたはクロルチタニウム(IV)トリイソプロポキシドである請求項1に記載の製造方法。
- アルキル金属化合物がエチル金属化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- アルキル金属化合物が、アルキルグリニャール試薬またはジアルキル亜鉛である請求項から1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- アルキルグリニャール試薬がエチルグリニャール試薬である請求項5に記載の製造方法。
- エチルグリニャール試薬が、エチルマグネシウムクロリドまたはエチルマグネシウムブロミドである請求項6に記載の製造方法。
- エチルグリニャール試薬が、エチルマグネシウムブロミドである請求項7に記載の製造方法。
- アルキル金属化合物がジエチル亜鉛である請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
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