<第1の実施の形態>
以下、本発明を車両に搭載される自動変速機の変速位置を切り替えるバイワイヤ式のシフト装置に具体化した第1の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示すように、車両の室内において、ステアリングホイール10とダッシュボード11との間に配設される筒状のステアリングコラム12には、図示しない方向指示器及びワイパ等を作動させるレバーコンビネーションスイッチ13が側方へ突出するように設けられている。また、ステアリングコラム12において、レバーコンビネーションスイッチ13の近傍(若干、奥側の位置)には、シフト装置14が配設されている。このシフト装置14は、複数個(本実施の形態では、3つ)のシフト操作部材15r,15n,15dを備えてなるとともに、それらシフト操作部材15r,15n,15dは、ステアリングコラム12の側部に形成される開口部16に対応して設けられている。すなわち、当該開口部16は、ステアリングコラム12の軸線に沿う方向へ延びるように形成されている。そして、当該開口部16に沿うように、3つのシフト操作部材15r,15n,15dは並設されている。
シフト操作部材15r,15n,15dは、遮光性を有する合成樹脂材料により直方体状に形成されるとともに、上下が長手方向となるように配設されている。また、シフト操作部材15r,15n,15dには、それらの配設方向において互いに反対側に位置する2つの側面を連通する長孔15aが当該シフト操作部材15r,15n,15dの長手方向へ延びるように形成されている。そして、3つのシフト操作部材15r,15n,15dの長孔15aには、ステアリングコラム12の表面において開口部16に対向するように設けられたコの字状の軸17が一括して挿通されている。これにより、シフト操作部材15r,15n,15dは、軸17を中心として回転可能、且つ軸17が長孔15aの一端に係合する位置と同じく他端に係合する位置との間において、スライド可能となっている。なお、軸17には、複数個のシフト操作部材15r,15n,15dの軸17に沿う方向への変位を規制する図示しない止め輪等の軸方向変位規制手段を設けるようにするのが好ましい。
図2(a)に実線で示されるように、例えば駐車時には、シフト操作部材15r,15n,15dは、その長孔15aの上端に軸17が係合することにより吊り下げ状態となる通常位置に保持される(第1の操作態様)。これらシフト操作部材15r,15n,15dは、その下端部を、長孔15aの上端に係合した軸17を中心として上方、すなわち、ステアリングコラム12の表面から離間する方向へ所定量(本実施の形態では、90度)だけ回転させることにより、同図に二点鎖線で示される中間位置へ至る(第2の操作態様)。この中間位置は、シフト操作部材15r,15n,15dが横向きの状態で開口部16に対向し、且つ当該開口部16に挿入可能となる位置である。そして、この横向きとなったシフト操作部材15は、開口部16に押し込まれることにより、図2(b)に実線で示される検知位置へ至る(第3の操作態様)。この検知位置において、シフト操作部材15r,15n,15dの長孔15aの他端には軸17が係合する。このため、シフト操作部材15r,15n,15dを開口部16へ挿入するに際して、長孔15aの他端に軸17が係合することにより、当該シフト操作部材15r,15n,15dの開口部16の奥方への移動が規制される。
ここで、図3(a),(b)に示されるように、開口部16の上行部及び下行部には、その全長にわたって当該開口部16の奥方へ延びる2つの平板状の案内部材18が互いに対向するように設けられている。この案内部材18とステアリングコラム12との間は、円弧状に湾曲する湾曲部19により滑らかに連結されている。このため、図3(a)に示されるシフト操作部材15r,15n,15dの軸17を中心とする上方への回転操作、及び図3(b)に示されるシフト操作部材15r,15n,15dの開口部16への挿入操作を行うにあたって、当該シフト操作部材15r,15n,15dの開口部16の端縁に対する干渉が抑制され、円滑な操作が可能となる。
そして、ユーザは、前述のように構成された3つのシフト操作部材15r,15n,15dを個別に操作することにより、自動変速機の変速位置を切り替え可能とされている。すなわち、3つのシフト操作部材15r,15n,15dは、それぞれ自動変速機の変速位置であるリバース位置(R)、ニュートラル位置(N)及びドライブ位置(D)に対応して設けられている。そして、ユーザは、所望の変速位置に対応するシフト操作部材15r,15n,15dを開口部16に挿入することにより、自動変速機の変速位置を選択する。
なお、3つのシフト操作部材15r,15n,15dがすべて図2に実線で示される通常位置に保持されている状態は、パーキング位置に対応する。また、図3(a)に実線で示されるように、シフト操作部材15r,15n,15dは、前記通常位置にあるときには、少なくともその一部がステアリングコラム12の表面に対して面接触するように設けられている。本実施の形態では、通常位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの内面下部が、ステアリングコラム12の表面における開口部16よりも下側の部位に対して面接触する。
図4に示すように、ステアリングコラム12の内部において、開口部16の近傍には、上下方向において互いに対向する2つの長方形状の基板21,22が配設されている。一方の基板21の下面には、その長手方向においてLED(発光ダイオード)等の3つの発光素子21r,21n,21dが所定間隔をおいて配設されている。他方の基板22の上面には、その長手方向においてフォトトランジスタ及びフォトダイオード等の3つの受光素子22r,22n,22dが所定間隔をおいて配設されている。
そして、2つの基板21,22は、3つの発光素子21r,21n,21d及び3つの受光素子22r,22n,22dが互いに対向するように、ステアリングコラム12の内部における配置が調節されている。また、2つの基板21,22は、図4に二点鎖線で示される検知位置に変位してきたシフト操作部材15が、発光素子21r,21n,21dと受光素子22r,22n,22dとの間に介在するように、ステアリングコラム12の内部における配置が調節されている。3つの発光素子21r,21n,21d及び3つの受光素子22r,22n,22dは、それら2つを1組として3つのフォトセンサ23r,23n,23dを構成する。なお、図4においては、ステアリングコラム12を省略して図示するとともに、開口部16のみを二点鎖線で示す。
次に、シフト装置14の電気的な構成について説明する。図5に示すように、シフト装置14の制御装置31には、3つのフォトセンサ23r,23n,23d及び自動変速機32が接続されている。詳述すると、3つのフォトセンサ23r,23n,23dを構成する3つの受光素子22r,22n,22dは制御装置31の入力側に接続されている。また、3つのフォトセンサ23r,23n,23dを構成する3つの発光素子21r,21n,21d及び自動変速機32(正確には、その駆動部)は、制御装置31の出力側に接続されている。そして、発光素子21r,21n,21dは、制御装置31から出力される駆動信号に基づき点灯する。なお、図5においては、発光素子21r,21n,21dと制御装置31との接続状態を省略する。
フォトセンサ23r,23n,23dは、シフト操作部材15の操作態様に応じた検出信号Sfを出力する。すなわち、受光素子22r,22n,22dは、対応する発光素子21r,21n,21dから発せられる光を受けているときには、その旨示す第1の信号S1を、また当該光を受けなくなったときには、その旨示す第2の信号S2を前記検出信号Sfとして制御装置31に出力する。
具体的には、受光素子22r,22n,22dは、シフト操作部材15r,15n,15dが図3(a)に示される通常位置及び中間位置にあって、発光素子21r,21n,21dから発せられる光を受けているときには、第1の信号S1を制御装置31に出力する。また、シフト操作部材15r,15n,15dが図3(b)に示される検知位置にあって、発光素子21r,21n,21dから発せられる光が当該シフト操作部材15r,15n,15dにより遮られるときには、第2の信号S2を制御装置31に出力する。
制御装置31は、3つのフォトセンサ23r,23n,23dから出力される検出信号Sf、具体的には受光素子22r,22n,22dから出力される第1及び第2の信号S1,S2に基づいて、3つのシフト操作部材15r,15n,15dの操作態様(検知位置にあるのかそれ以外の位置にあるのか)を判断する。そして、制御装置31は、その判断結果に基づき図3(a)に実線で示される通常位置から図3(b)に実線で示される検知位置へ切り替え操作されたシフト操作部材15に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機32へ出力する。また、制御装置31は、3つのシフト操作部材15r,15n,15dがすべて通常位置にあるとき、すなわち、すべての受光素子22r,22n,22dから第1の信号S1が出力されているときには、自動変速機32の変速位置としてパーキング位置が選択されたとして、その旨の変速制御信号Scを生成して自動変速機32に出力する。自動変速機32は、制御装置31から出力される変速制御信号Scに基づいて自身の変速位置を切り替える。
次に、前述のように構成したシフト装置の変速操作について説明する。駐車中には自動変速機32の変速位置はパーキング位置が選択されるのが一般的である。そして、ユーザは、車両を運転するに際して、自動変速機の変速位置をパーキング位置から、リバース位置、ニュートラル位置及びドライブ位置のいずれかへ切り替える。ここでは、まずパーキング位置からドライブ位置へ切り替える場合の操作について説明する。
この場合、ユーザは、ドライブ位置に対応するシフト操作部材15dの下部に指を添えて、軸17を中心として上方へ持ち上げつつ、開口部16へ押し込む。すると、当該押し込まれたシフト操作部材15dは、それに対応する発光素子21dと受光素子22dとの間に介在する。その結果、当該発光素子21dから発せられる光は前記シフト操作部材15dにより遮られ、受光素子22dは光が遮断された旨示す第2の信号S2を制御装置31に出力する。当該第2の信号S2を受けて、制御装置31は、ドライブ位置に対応するシフト操作部材15dが押し込み操作された旨判断し、自動変速機32の変速位置をドライブ位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機32へ出力する。自動変速機32は、当該変速制御信号Scに基づいて、自身の変速位置をドライブ位置へ切り替える。
次に、ドライブ位置からリバース位置へ切り替える場合の操作について説明する。この場合、ユーザは、リバース位置に対応するシフト操作部材15rの操作に先立ち、まずニュートラル位置に対応するシフト操作部材15nを操作する。すなわち、当該シフト操作部材15nの下部に指を添えて、軸17を中心として上方へ持ち上げつつ、開口部16へ押し込む。すると、当該押し込まれたシフト操作部材15nは、それに対応する発光素子21nと受光素子22nとの間に介在する。その結果、当該発光素子21nから発せられる光は前記シフト操作部材15nにより遮られ、受光素子22nは光が遮断された旨を示す第2の信号S2を制御装置31に出力する。当該第2の信号S2を受けて、制御装置31は、ニュートラル位置に対応するシフト操作部材15nが押し込み操作された旨判断する。
このとき、ドライブ位置に対応するシフト操作部材15dは検知位置に保持されたままであるから、制御装置31には、2つの受光素子22d,22nからそれぞれ第2の信号が出力される。この状態において、制御装置31は、最初に選択されている変速位置、ここではドライブ位置を保持するように、変速制御信号Scを生成して自動変速機32へ出力する。そして、検知位置に保持されたドライブ位置に対応するシフト操作部材15dがユーザにより引き出されると、これに対応する受光素子22dから第1の信号S1が制御装置31へ出力される。当該第1の信号S1を受けて制御装置31は、ドライブ位置に対応するシフト操作部材15dが引き出し操作された旨判断し、自動変速機32の変速位置をニュートラル位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機32へ出力する。自動変速機32は、当該変速制御信号Scに基づいて、自身の変速位置をニュートラル位置へ切り替える。
ちなみに、開口部16から引き出されたシフト操作部材15dは、その状態で手を離すことにより、軸17を中心として自重により下方へ回転する。シフト操作部材15dの下方への回転は、当該シフト操作部材15dの内面下部がステアリングコラム12の表面に当接することにより規制される。そして、当該シフト操作部材15dは、通常位置に保持される。
ユーザは、ニュートラル位置に切り替えられたことを確認した後、リバース位置に対応するシフト操作部材15rを操作する。すなわち、当該シフト操作部材15rの下部に指を添えて、軸17を中心として上方へ持ち上げつつ、開口部16へ押し込む。すると、当該押し込まれたシフト操作部材15rは、それに対応する発光素子21rと受光素子22rとの間に介在する。その結果、当該発光素子21rから発せられる光は前記シフト操作部材15rにより遮られ、受光素子22rは光が遮断された旨を示す第2の信号S2を制御装置31に出力する。当該第2の信号S2を受けて、制御装置31は、リバース位置に対応するシフト操作部材15rが押し込み操作された旨判断する。
このとき、ニュートラル位置に対応するシフト操作部材15nは検知位置に保持されたままであるから、制御装置31には、2つの受光素子22n,22rからそれぞれ第2の信号が出力される。この状態において、制御装置31は、最初に選択されている変速位置、ここではニュートラル位置を保持するように、変速制御信号Scを生成して自動変速機32へ出力する。そして、検知位置に保持されたニュートラル位置に対応するシフト操作部材15nがユーザにより引き出されると、これに対応する受光素子22nから第1の信号S1が制御装置31へ出力される。当該第1の信号S1を受けて制御装置31は、ニュートラル位置に対応するシフト操作部材15nが引き出し操作された旨判断し、自動変速機32の変速位置をリバース位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機32へ出力する。自動変速機32は、当該変速制御信号Scに基づいて、自身の変速位置をリバース位置へ切り替える。
なお、自動変速機32の変速位置を、リバース位置からドライブ位置へ切り替える際には、前述と同様に、ニュートラル位置に一旦切り替えた上でドライブ位置へ切り替える。また、リバース位置からパーキング位置、又はドライブ位置からパーキング位置へ切り替える際にあっても、前述と同様に、ニュートラル位置に一旦切り替えた上でパーキング位置へ切り替える。すなわち、3つのシフト操作部材15r,15n,15dの全てが開口部16から引き出されて、通常位置に保持された状態とする。
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)シフト装置14は、配設対象であるステアリングコラム12の表面に並設されるとともに、自動変速機32の変速位置(本実施の形態では、ドライブ位置、ニュートラル位置及びリバース位置)に対応する3つのシフト操作部材15d,15n,15rを備えて構成した。これらシフト操作部材15d,15n,15rは、変速位置の切り替え操作に際して、通常位置から当該切り替え操作の途中の態様である中間位置へ変位させる操作(操作方向)と、当該中間位置から当該切り替え操作が完了となる検知位置へ変位させる操作(操作方向)とが異なるように設けた。
そして、3つのシフト操作部材15d,15n,15rの操作態様を、これらに対応して設けられた3つのフォトセンサ23r,23n,23dにより検出し、その検出信号Sfに基づき、制御装置31は3つのシフト操作部材15d,15n,15rの操作態様を判断するようにした。そして、制御装置31は、その判断結果に基づき、通常位置から検知位置へ変位したシフト操作部材15d,15n,15rに対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機32へ出力するようにした。
この構成によれば、3つのシフト操作部材15d,15n,15rのうちいずれか1つを選択的に操作することにより、当該選択されたシフト操作部材に対応する変速位置へ切り替えられる。すなわち、自動変速機32の変速位置の切り替え操作に際しては、3つのシフト操作部材15d,15n,15rを個別に操作する必要がある。このため、連続的な変速位置の選択操作が困難となる。また、第1の操作態様としての通常位置から第2の操作態様としての中間位置へ変位させる第1の操作と、当該中間位置から第3の操作態様としての検知位置へ変化させる第2の操作との2つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(2)3つのシフト操作部材15d,15n,15rは、ステアリングコラム12の開口部16に挿入可能に形成されるとともに、当該シフト操作部材15d,15n,15rを貫通する長孔15aに挿通される軸17を中心として回転可能に且つ長孔15aの延びる方向へスライド可能に設けた。また、シフト操作部材15d,15n,15rは、軸17が長孔15aの一端に係合する通常位置にあって、軸17を中心としてステアリングコラム12の表面から離間する方向へ回転させることにより開口部16へ挿入可能に対向する中間位置に至るようにした。そして、シフト操作部材15d,15n,15rは、当該対向する開口部16へ挿入することにより軸17が長孔15aの他端に係合する検知位置へ変位するようにした。
この構成によれば、自動変速機32の変速位置の切り替え操作に際しては、シフト操作部材15d,15n,15rを回転させる操作と、同じく開口部16に挿入する操作との2つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
また、シフト操作部材15d,15n,15rの操作方向は、ステアリングホイール10及びレバーコンビネーションスイッチ13の操作方向と異なる。このため、ステアリングホイール10又はレバーコンビネーションスイッチ13等の操作時における意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(3)3つのシフト操作部材15d,15n,15rは、通常位置にあるときには、少なくともその一部、すなわち3つのシフト操作部材15d,15n,15rの内面下部がステアリングコラム12の表面に対して面接触するように設けるようにした。このため、開口部16に収容されない通常位置にある場合であれ、3つのシフト操作部材15d,15n,15rは当該位置に安定して保持される。
(4)前記複数個のシフト操作部材15d,15n,15rは、通常位置から検知位置へ操作される際に、ステアリングコラム12の開口部16に形成される案内部材18及び湾曲部19に案内されつつ当該開口部16に円滑に挿入される。このため、自動変速機32の変速位置の切り替え操作性が向上する。
(5)複数個のシフト操作部材15d,15n,15rの操作態様に応じた検出信号Sfを出力する検出手段として、フォトセンサ23r,23n,23dを採用した。これらフォトセンサ23r,23n,23dは、光を発する発光素子21r,21n,21dと、当該素子に対向するように配設される受光素子22r,22n,22dと、を備えて構成した。そして、受光素子22r,22n,22dは発光素子21r,21n,21dからの光を受けているときにはその旨を示す第1の信号S1を出力する一方、発光素子21r,21n,21dからの光を受けなくなったときにはその旨を示す第2の信号S2を出力するように構成した。また、シフト操作部材15d,15n,15rは、開口部16に挿入される検知位置にあるとき、発光素子21r,21n,21dと受光素子22r,22n,22dとの間に介在することにより、当該発光素子21r,21n,21dからの光を遮るように設けた。
このため、受光素子22r,22n,22dは、シフト操作部材15d,15n,15rが前記通常位置にあるときには第1の信号S1を、また、前記検知位置にあるときには第2の信号S2を前記検出信号Sfとして出力する。制御装置31は、受光素子22r,22n,22dから出力される第1及び第2の信号S1,S2に基づき、シフト操作部材15d,15n,15rが開口部16に挿入された状態か、挿入されていない状態かを判断し、その判断結果に基づいて所定の変速制御信号Scを生成して自動変速機32へ出力する。このように、シフト操作部材15d,15n,15rの開口部16への挿入の有無を、フォトセンサ23r,23n,23dといった光学的手法を用いて容易に検出することができる。
また、フォトセンサ23r,23n,23dは、挿入されるシフト操作部材15d,15n,15rに対して機械的に接触することはない。このため、機械的な接触に伴う摩耗等が生じることはなく、製品寿命を確保することができる。ひいては、シフト操作部材15d,15n,15rの検出に対する信頼性を確保することができる。なお、これは、マイクロスイッチ等の機械接点をフォトセンサ23r,23n,23dに代えて採用することを除外するものではない。当該機械接点をもってシフト操作部材15d,15n,15rの検出をするようにしても、意図しない変速位置の切り替え操作を抑制するという効果は得られる。
(6)3つのシフト操作部材15d,15n,15rは、直方体状に形成するとともに、それらの長側面をステアリングコラム12の表面に沿わせるようにして配設するようにした。このため、従来のコラムシフトレバーのように、ステアリングコラム12から大きく突出することがないので、当該ステアリングコラム12の周りの簡素化が図られる。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態は、複数個のシフト操作部材15r,15n,15dが前記検知位置から前記通常位置へ自動的に復帰するようにした点で、前記第1の実施の形態と異なる。したがって、前記第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図6(a)に示すように、ステアリングコラム12の開口部16の奥方には、当該開口部16に挿入された検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dを押し出すための押出手段として3つのソレノイド41r,41n,41dが、3つのシフト操作部材15r,15n,15dに対応するように配設されている。ソレノイド41r,41n,41dは、ケース42と、当該ケース42に収容される励磁用のコイル43と、当該コイル43が励磁されることにより前記ケース42に対して突出する方向へ変位するプランジャ44とを備えてなる。複数個のソレノイド41r,41n,41dは、それらのプランジャ44の先端部が開口部16に挿入された検知位置にある3つのシフト操作部材15r,15n,15dの内端面に当接可能となるように、ステアリングコラム12の内部に配設されている。
図7に示すように、3つのソレノイド41r,41n,41d(正確には、それらのコイル43)は、制御装置31に接続されている。そして、複数個のシフト操作部材15r,15n,15dのうちいずれか一つ(ここでは、シフト操作部材15rとする。)が検知位置にある場合に、他のシフト操作部材15n,15dのうちいずれか一つ(ここでは、シフト操作部材15nとする。)が検知位置に切り替え操作されたときには、制御装置31は次のような動作をする。
すなわち、制御装置31は、後から検知位置へ切り替えられたシフト操作部材15nに対応するフォトセンサ23nからの検出信号Sfに基づいて、他のシフト操作部材15nが検知位置に切り替えられたことを認識する。そして、先に検知位置に切り替えられていたシフト操作部材15rに対応するソレノイド41r(正確には、そのコイル43)に押出指令信号Spushを出力する。この押出指令信号Spushを受けて、先に検知位置に切り替えられていたシフト操作部材15rに対応するソレノイド41rのコイル43は励磁される。そして、当該コイル43が励磁されることにより生じる電磁力を通じて、先に検知位置に切り替えられていたシフト操作部材15rに対応するソレノイド41rのプランジャ44は、ケース42に対して突出する方向へ変位する。図6(b)に示されるように、先に検知位置に切り替えられていたシフト操作部材15rは、前記突出するプランジャ44に押圧されることにより、開口部16から押し出されるとともに、同図に二点鎖線で示されるように、軸17を中心として自重により下方へ回転して、通常位置へ至る。
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)シフト操作部材15r,15n,15dのうちのいずれか1つが開口部16へ挿入される検知位置に切り替えられた状態で、他のシフト操作部材15r,15n,15dが通常位置から検知位置へ切り替えられたときには、先に挿入されていたシフト操作部材は、ソレノイドの作動を通じて開口部16から押し出されることにより通常位置へ復帰する。このように、先に検知位置に切り替えられていたシフト操作部材を通常位置に戻すための操作を手動で行う必要がないので、自動変速機32の変速位置の切り替え操作性が向上する。
(2)また、プランジャ44のケース42に対する突出方向への変位を通じて、検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dを通常位置へ容易に変位させることができる。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態は、検知位置にあるシフト操作部材の抜け止めの構成を備えた点で前記第2の実施の形態と異なる。なお、本実施の形態は、前記第1の実施の形態にも適用することが可能である。
図8(a)に示すように、ステアリングコラム12の内部には、検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの開口部16からの抜け止めを防止する規制手段として3つの規制機構51r,51n,51dが配設されている。それら規制機構51r,51n,51dは、3つのシフト操作部材15r,15n,15dにそれぞれ対応するように配設されている。
規制機構51r,51n,51dは、同図に二点鎖線で示されるように、一端(図8(a)における上端)がステアリングコラム12の内部に固定されるとともに、他端(図8(a)における下端)が開口したガイド筒52を備えている。ガイド筒52内には、係合部材としてのピン53が当該筒に沿って変位可能に収容さるとともに、当該ピン53とガイド筒52の内底面との間には、コイルばね54が介在されている。当該コイルばね54の弾性力により、ピン53はガイド筒52の下端開口部から突出する方向へ常時付勢されている。
図9(a)に併せ示されるように、シフト操作部材15r,15n,15dが開口部16に挿入されていない状態において、ピン53の先端はガイド筒52の下端から若干突出するとともに、開口部16に横向きで挿入されてくるシフト操作部材15r,15n,15dの先端上部に当接するように、ピン53のガイド筒52からの突出量は設定されている。一方、同図に示されるように、シフト操作部材15r,15n,15dにおいて、検知位置にあるときに上側となる側面の内端側には、前記ピン53の先端を係合可能とした被係合部としての凹部55が形成されている。
したがって、図9(a)に示されるように、シフト操作部材15r,15n,15dは、通常位置から検知位置への変位に際して、ピン53の先端部に当接する。そして、図9(b)に示されるように、シフト操作部材15r,15n,15dが開口部16の奥方へさらに挿入されるのに伴い、ピン53はコイルばね54の弾性力に抗してガイド筒52の内方へ変位するとともに、当該当接した部位を乗り越えてシフト操作部材15r,15n,15dの表面(上面)を摺動する。そして、図9(c)に示されるように、ピン53は、シフト操作部材15r,15n,15dの凹部55に対応する位置まで相対的に変位したときには、コイルばね54の弾性力により、シフト操作部材15r,15n,15d側へ変位して当該凹部55に係合する。シフト操作部材15r,15n,15dを開口部16から引き抜くときには、前述と逆の動作となる。
なお、本実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。すなわち、規制機構51r,51n,51dは、基板21,22に固定するようにしてもよいし、基板21,22に透孔等設けることによりピン53と基板21,22との干渉を回避するようにしてもよい。また、規制機構51r,51n,51dを、検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの下方に配設するようにしてもよい。この場合、検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの下面に凹部55を形成するとともに、当該凹部55にピン53を係合させる。
さらに、前述した規制機構51r,51n,51dに代えて、第2の実施の形態に示されるようなソレノイドを、検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの開口部16からの抜け止めを防止する規制手段として採用するようにしてもよい。ここで、当該ソレノイドは、図6(a),(b)に示されるソレノイド41r,41n,41dと同様の構成とされるため、前記第2の実施の形態におけるソレノイド41r,41n,41dの構成要素と同一の符号を使用して説明する。そして、前記規制手段としてのソレノイド41r,41n,41dのケース42は本発明の第2のケースに、同じくコイル43は第2のコイルに、同じくプランジャ44は第2のプランジャに相当する。
さて、この場合、規制手段としてのソレノイド41r,41n,41dは、それらのプランジャ44のケース42に対する進退方向が、開口部16に対するシフト操作部材15r,15n,15dの挿入方向に直交する方向、換言すれば、図8(a)に示されるピン53の進退方向と同じ方向となるように配設される。また、プランジャ44の外径は、当該プランジャ44とシフト操作部材15r,15n,15dとの間において、所定の係合力が確保できる程度に、適宜調節される。
制御装置31は、シフト操作部材15r,15n,15dのうちいずれか一つが通常位置から検知位置へ切り替え操作されたときには、当該切り替えられたシフト操作部材に対応するフォトセンサ23r,23n,23dからの検出信号Sfに基づいてこれを認識する。そして、制御装置31は、当該切り替えられたシフト操作部材に対応するコイル43に励磁指令信号SIを出力する。当該励磁指令信号SIを受けてコイル43は励磁され、それにより生じる電磁力を通じて、プランジャ44は、ケース42に対して突出する方向へ変位する。この突出したプランジャ44の先端部がシフト操作部材15r,15n,15dの凹部55に係合することにより、シフト操作部材15r,15n,15dの開口部16からの抜け止めが図られる。
ちなみに、他のシフト操作部材15r,15n,15dの開口部16への挿入を検出した場合、制御装置31は、先に挿入されていたシフト操作部材15r,15n,15dを開口部16から引き出し可能とすべく、それらに対応するソレノイド41r,41n,41dのプランジャ44をケース42内に退避させる。
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)シフト操作部材15r,15n,15dが通常位置から検知位置へ切り替え操作された際に、当該シフト操作部材15r,15n,15dの一部に係合することにより、それらの態様の変化を規制する規制機構51r,51n,51dを備えてなる。このため、シフト操作部材15r,15n,15dの検知位置から通常位置への安易な変位を抑制することができる。したがって、検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの開口部16からの抜け止めが図られる。ひいては、選択された変速位置を好適に保持することができる。
(2)規制機構51r,51n,51dは、シフト操作部材15r,15n,15dに設けられた凹部55に係合するピン53と、当該ピン53を検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15d側へ付勢するコイルばね54とを備えて構成した。そして、ピン53は、シフト操作部材15r,15n,15dの通常位置から検知位置への変位に際して、ピン53の先端部に当接するとともに、当該当接した部位を乗り越えてシフト操作部材15r,15n,15dの表面を摺動するようにした。さらに、シフト操作部材15r,15n,15dに対してその凹部55に対応する位置まで相対的に変位したときには、コイルばね54の弾性力によりシフト操作部材15r,15n,15d側へ変位して当該凹部55に係合するようにした。このため、検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの凹部55に、ピン53を係合させることにより、シフト操作部材15r,15n,15dの検知位置から通常位置への安易な変位を簡単に抑制することができる。
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態は、前記第1〜第3の実施の形態のいずれにも適用可能である。
図10に示すように、シフト操作部材15r,15n,15d、軸17及び基板21,22等のシフト装置14の構成部品は、同一のハウジング61に一体に組み付けられることにより単一のユニットを構成している。そして、当該ユニットは、ステアリングコラム12の例えば側部に開口して設けられる取付け部位としての収容部62に装着されている。
本実施の形態によれば、シフト装置14がユニット化されることにより、当該シフト装置14のステアリングコラム12の外での組み立てが可能となる。そして、外部で予め組み立てられたユニット(シフト装置14)をステアリングコラム12の収容部62に装着するだけである。このため、シフト装置14の組み立て作業時において、ステアリングコラム12の内部に、シフト装置14の構成部品を個々に組み付けていくようにした場合と異なり、シフト装置14のステアリングコラム12に対する取付け作業が簡単になる。
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。本実施の形態は、第1〜第4の実施の形態のいずれにも適用可能である。
図11(a)に示されるように、シフト装置14はステアリングコラム12の上部に設けられている。すなわち、同図に示されるように、ステアリングコラム12の上部には開口部16が設けられている。そして、シフト操作部材15r,15n,15dは、自動変速機32の変速位置を切り替えるに際して、同図に二点鎖線で示されるように、所望の変速位置に対応するシフト操作部材15r,15n,15dを運転席側から見て手前に起こしつつ開口部16へ挿入されるようになっている。このため、シフト操作部材15r,15n,15dを例えば運転席に対する前方へ向かって起こすようにした場合に比べて、操作性を確保することができる。
なお、軸17は、長孔15aに対して締まり嵌め状態に挿通することが好ましい。すなわち、軸17の外径を長孔15aの内径よりも若干大きく設定する。このようにすれば、シフト操作部材15r,15n,15dが通常位置から中間位置へ至った際に、自重により開口部16に挿入されることが抑制される。すなわち、ユーザが自らシフト操作部材15r,15n,15dを開口部16に挿入するべく押し込まない限り、それらシフト操作部材15r,15n,15dが開口部16に挿入されることはない。このため、シフト操作部材15r,15n,15dの誤操作を抑制することができる。
また、シフト装置14の配置は、次のように変更するようにしてもよい。すなわち、図11(b),(c)に示されるように、シフト装置14は、ステアリングコラム12の下部、正確にはステアリングコラム12において、ステアリングホイール10側の側面の下部に配設するようにしてもよい。この場合、当該側面の下部には、開口部16を形成するとともに、当該開口部16に対向するように軸17を設ける。そして、シフト操作部材15r,15n,15dは、それらの長孔15aの上端が軸17に係合することにより吊り下げ状態に保たれる(通常位置)。そして、自動変速機32の変速位置を選択する際には、図11(b)に二点鎖線で示されるように、所望の変速位置に対応するシフト操作部材15r,15n,15dを運転席側から見て手前に引き起こしつつ開口部16へ挿入する。このため、シフト操作部材15r,15n,15dを例えば運転席に対する前方へ向かって起こすようにした場合に比べて、操作性を確保することができる。
このように、シフト装置14は、ステアリングコラム12の側部だけでなく、上部又は下部に配設することもできる。
<第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。本実施の形態は、3つのシフト操作部材15r,15n,15dが互いに異なる形態を有してなる点で前記第1の実施の形態と異なる。なお、本実施の形態は、前記第2〜第5の実施の形態にいずれにも適用可能である。
図12(a)に示されるように、3つのシフト操作部材15r,15n,15dの長さLr,Ln,Ldを全て異ならせることにより、それらの形態が異なるようにされている。3つのシフト操作部材15r,15n,15dの長さLr,Ln,Ldは、この順に大きくなるように設定されている(Lr<Ln<Ld)。このように、3つのシフト操作部材15r,15n,15dの形態、具体的にはそれらの長さLr,Ln,Ldを異ならせることにより、隣り合うシフト操作部材15r,15n,15dを視覚的に又は触覚的に識別可能となる。このため、自動変速機32の変速位置の切り替え操作時における誤操作を抑制することができる。なお、シフト操作部材15r,15n,15dの長さLr,Ln,Ldの大小関係は適宜変更するようにしてもよい。例えば、「Lr<Ld<Ln」又は「Ld<Ln<Lr」となるようにシフト操作部材15r,15n,15dを形成するようにしてもよい。
また、シフト操作部材15r,15n,15dの形態は、次のように変更するようにしてもよい。すなわち、3つのシフト操作部材15r,15n,15dの触感が異なるように、それらの表面の形態を異ならせる。例えば、図12(b)に示されるように、リバース位置に対応するシフト操作部材15rの表面は、粗面とされている。また、同図に示されるように、ニュートラル位置に対応するシフト操作部材15nの表面には多数の凹部71が、ドライブ位置に対応するシフト操作部材15dの表面には多数の突部72が形成されている。このため、ユーザが自動変速機32の変速位置の切り替え操作を行うべくシフト操作部材15r,15n,15dに触れたときには、触覚を通じて隣り合うシフト操作部材15r,15n,15dを識別可能となる。したがって、自動変速機32の変速位置の切り替え操作時における誤操作を抑制することができる。なお、触感を異ならせるための形態は適宜変更可能である。
<第7の実施の形態>
次に、本発明の第7の実施の形態を説明する。本実施の形態は、ステアリングコラムの開口部にシフト操作部材が挿入される位置を通常位置とするとともに、シフト操作部材が軸17に吊り下げ支持される位置を検知位置とする点で、前記第1の実施の形態と異なる。また、本実施の形態では、例えば図5に示されるフォトセンサ23r,23n,23dは省略されている。
図13(a)に示されるように、駐車時において、3つのシフト操作部材15r,15n,15dは、開口部16に挿入されることにより軸17が長孔15aの一端に係合する通常位置に保持される(第1の操作態様)。そして、図13(b)に示されるように、自動変速機32の変速位置を切り替える際、ユーザは所望の変速位置に対応するシフト操作部材15r,15n,15dを、軸17が長孔15aの他端に係合し且つ開口部16に対向する中間位置まで引き出す(第2の操作態様)。そして、ユーザは、軸17を中心として下方へ回転させることにより、図13(c)に示されるように、当該シフト操作部材15rは、軸17が長孔15aの他端に吊り下げ状態で係合する検知位置へ変位する(第3の操作態様)。
ここで、図13(c)に示すように、シフト操作部材15r,15n,15dにおいて、検知位置にあるときにステアリングコラム12の表面に対応する部位には、磁石81r,81n,81dが設けられている。一方、ステアリングコラム12の内部において、開口部16の近傍には、シフト操作部材15r,15n,15dと同数の磁気センサ82r,82n,82dが、検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの磁石81r,81n,81dに対応するように配設されている。磁気センサ82r,82n,82dは、例えばホール素子又は磁気抵抗効果素子(MR素子)、並びにその信号処理回路が単一のICチップとして集積回路化されたものである。
磁気センサ82r,82n,82dは、シフト操作部材15r,15n,15dが通常位置にあるときには、磁石81r,81n,81dから生じる磁界(磁束)を検出することはなく、オフ信号を前記検出信号Sfとして制御装置31へ出力する。また、磁気センサ82r,82n,82dは、シフト操作部材15r,15n,15dが検知位置にあるときには、磁石81r,81n,81dから生じる磁界を検出して、オン信号を前記検出信号Sfとして制御装置31へ出力する。
制御装置31は、磁気センサ82r,82n,82dから出力される検出信号Sf(オン信号又はオフ信号)に基づきシフト操作部材15r,15n,15dの操作態様を判断可能となる。そして、制御装置31は、オン信号を出力した磁気センサ82r,82n,82dに対応するシフト操作部材15r,15n,15dが検知位置にある旨判断し、当該シフト操作部材15r,15n,15dに対応する変速位置に切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機32に出力する。
なお、軸17は、長孔15aに対して締まり嵌め状態に挿通することが好ましい。すなわち、軸17の外径を長孔15aの内径よりも若干大きく設定する。このようにすれば、シフト操作部材15r,15n,15dが通常位置から中間位置へ変位した際に、自重による下方への回転が抑制される。すなわち、ユーザが自らシフト操作部材15r,15n,15dを中間位置から検知位置へ変位させるべく下方へ回転操作しない限り、それらシフト操作部材15r,15n,15dが検知位置に至ることはない。このため、シフト操作部材15r,15n,15dの誤操作は好適に抑制される。また、磁気センサ82r,82n,82dに代えて、マイクロスイッチ等の機械接点を採用するようにしてもよい。この場合、シフト操作部材15r,15n,15d側に磁石81r,81n,81dを設ける必要はない。
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)自動変速機32の変速位置を切り替えるに際して、複数個のシフト操作部材15d,15n,15rを個別に操作する必要があるので、連続的な変速位置の選択操作が困難となる。また、自動変速機32の変速位置の切り替え操作に際して、シフト操作部材15d,15n,15rを開口部16から引き出す操作と、同じく軸17を中心として下方へ回転させる操作との2つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(2)また、3つのシフト操作部材15d,15n,15rの操作方向は、ステアリングホイール10及びレバーコンビネーションスイッチ13の操作方向と異なる。このため、シフト装置14を、ステアリングホイール10又はレバーコンビネーションスイッチ13等の近傍に配設する場合であれ、それらの操作時において、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(3)シフト操作部材15r,15n,15d側には磁石81r,81n,81dを配設するようにした。また、ステアリングコラム12側には、シフト操作部材15d,15n,15rの操作態様に応じた検出信号Sfを出力する検出手段として、磁気センサ82r,82n,82dを配設するようにした。磁気センサ82r,82n,82dは、シフト操作部材15r,15n,15dが通常位置から検知位置へ変位したとき、磁石81r,81n,81dと対応してそれらから発せられる磁界を検出するように設けた。このため、シフト操作部材15d,15n,15rの開口部16への挿入の有無、すなわちシフト操作部材15d,15n,15rの操作態様を、磁気センサ82r,82n,82dといった磁気的手法を用いて容易に検出することができる。
<第8の実施の形態>
次に、本発明の第8の実施の形態を説明する。本実施の形態は、シフト操作部材を2つの部材に分割して形成されるとともに、下方への回転操作を省略する点で前記第7の実施の形態と異なる。
図14(a)に示すように、シフト操作部材15r,15n,15dは、直方体状の本体部91r,91n,91dと、当該本体部91r,91n,91dに対して回転可能に軸支される直方体状の摘み部92r,92n,92dと、を備えてなる。摘み部92r,92n,92dは、本体部91r,91n,91dにおける開口部16に対する引き出し側の端部に配設されている。
図14(b)に示されるように、本体部91r,91n,91dの開口部16に対する引き抜き側の端面の中央部には、C字状(正確には、270度の円弧状)に開口する軸孔93が形成されている。また、同図に示されるように、摘み部92r,92n,92dの本体部91r,91n,91d側の側面の中央部には、半筒状の軸部94が突設されている。この軸部94はその軸線に直交する平面での断面形状が180度の円弧状をなすように形成されるとともに、本体部91r,91n,91dの軸孔93に抜け止め状態に、且つ摺動回転可能に挿入されている。そして、摘み部92r,92n,92dは、図14(a)に示されるように、本体部91r,91n,91dと共に単一の直方体を形成するオン位置と、当該オン位置から90度だけ右回転されたオフ位置との間を変位可能とされている。なお、シフト操作部材15r,15n,15dが全て開口部16に挿入された通常位置にある場合には、隣り合う摘み部92r,92n,92dが干渉し合うことにより、それらの回転操作が規制される。
同図に示されるように、本体部91r,91n,91dにおいて、開口部16に対する引き出し側の端面の軸孔93の近傍には、磁気センサ95r,95n,95dが配設されている。磁気センサ95r,95n,95dは、例えばホール素子又は磁気抵抗効果素子(MR素子)、並びにその信号処理回路が単一のICチップとして集積回路化されたものである。磁気センサ95r,95n,95dは、その感磁面が外部に露出するとともに、本体部91r,91n,91dの開口部16に対する引き出し側の側面と面一になるように設けられている。
また、図14(b)に示されるように、摘み部92r,92n,92dの本体部91r,91n,91d側の側面において、軸部94の近傍には磁石96r,96n,96dが配設されている。具体的には、磁石96r,96n,96dは、本体部91r,91n,91d側の側面が外部に露出するとともに、摘み部92r,92n,92dの本体部91r,91n,91d側の側面と面一になるように設けられている。また、磁石96r,96n,96dは、摘み部92r,92n,92dがオン位置にあるときには磁気センサ95r,95n,95dに対応するとともに、摘み部92r,92n,92dがオフ位置にあるときには磁気センサ95r,95n,95dに対して非対応となるように設けられている。
磁気センサ95r,95n,95dは、摘み部92r,92n,92dがオン位置にあるときには、磁石96r,96n,96dから生じる磁界(磁束)を検出して、オン信号を前記検出信号Sfとして制御装置31へ出力する。また、磁気センサ95r,95n,95dは、シフト操作部材15r,15n,15dがオフ位置にあるときには、磁石96r,96n,96dから生じる磁界を検出することはなく、オフ信号を前記検出信号Sfとして制御装置31へ出力する。制御装置31は、磁気センサ95r,95n,95dからの検出信号Sf(オン信号又はオフ信号)に基づいてシフト操作部材15r,15n,15dの操作態様を判断可能となる。
さて、駐車時には、複数個のシフト操作部材15r,15n,15dは、すべて開口部16に挿入された状態に保持される(第1の操作態様)。そして、図14(a)に示されるように、自動変速機32の変速位置を切り替える際、ユーザは所望の変速位置に対応するシフト操作部材15r,15n,15d(ここでは、シフト操作部材15rとする。)を開口部16から所定量だけ引き出す(第2の操作態様)。すなわち、シフト操作部材15rは、自身の摘み部92rが、隣り合うシフト操作部材15n,15dの摘み部92n,92dと互い違いになる位置、正確には摘み部92rと本体部91rとの境界線が、隣り合うシフト操作部材15n,15dの摘み部92n,92dよりも外方に位置するまで引き出す。これにより、摘み部92r,92n,92dの回転操作が可能となる。このとき、シフト操作部材15rの本体部91rの一部は開口部16の内周縁に係合している。このため、シフト操作部材15rが自重により軸17を中心として下方へ回転することはなく、当該シフト操作部材15rは開口部16から引き出された状態に保持される。
そして、次にユーザは、摘み部92rを90度だけ右回転させる(第3の操作態様)。すると、当該シフト操作部材15rに対応する磁気センサ95rは、磁石96rから生じる磁界から外れることにより、オフ信号を制御装置31に出力する。制御装置31は、オフ信号を出力した磁気センサ95rに対応するシフト操作部材15rが切り替え操作された旨判断し、当該シフト操作部材15rに対応する変速位置に切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機32に出力する。
なお、本実施の形態では、磁気センサ95r,95n,95dに代えて、マイクロスイッチ等の機械接点を採用することも可能である。この場合、シフト操作部材15r,15n,15d側に磁石96r,96n,96dを設ける必要はない。さらに、シフト操作部材15r,15n,15dを開口部16に挿入した状態において、本体部91r,91n,91dと摘み部92r,92n,92dとの境界部位が開口部16内に位置するようにしてもよい。このようにすれば、挿入状態にある摘み部92r,92n,92dの回転操作は、開口部16の内周縁に係合することによっても規制されるため、シフト操作部材15r,15n,15dの誤操作はいっそう抑制される。
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)自動変速機32の変速位置の切り替え操作に際して、シフト操作部材15d,15n,15rを開口部16から引き出す第1の操作と、同じく摘み部92r,92n,92dを回転させる第2の操作との2つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(2)また、複数個のシフト操作部材15d,15n,15rの操作方向は、ステアリングホイール10及びレバーコンビネーションスイッチ13の操作方向と異なる。このため、シフト装置14を、ステアリングホイール10又はレバーコンビネーションスイッチ13等の近傍に配設する場合であれ、それらの操作時における意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(3)シフト操作部材15r,15n,15dは、本体部91r,91n,91dと、当該本体部91r,91n,91dに対して回転可能に軸支された摘み部92r,92n,92dと、を備えて構成した。そして、摘み部92r,92n,92d側には、磁石96r,96n,96dを配設する一方、本体部91r,91n,91d側には、シフト操作部材15d,15n,15rの操作態様に応じた検出信号Sfを出力する検出手段として、磁気センサ95r,95n,95dを配設するようにした。そして、磁気センサ95r,95n,95dは、摘み部92r,92n,92d検知位置から非検知位置へ回転変位したとき、磁石96r,96n,96dと対応してそれらから発せられる磁界を検出するように設けた。このため、摘み部92r,92n,92dの操作態様、ひいてはシフト操作部材15d,15n,15rの操作態様を、磁気センサ95r,95n,95dといった磁気的手法を用いて容易に検出することができる。
<第9の実施の形態>
次に、本発明の第9の実施の形態を説明する。本実施の形態は、シフト操作部材を2つの部材に分割して形成される点で前記第1の実施の形態と異なる。なお、本実施の形態のシフト操作部材は、前記第7の実施の形態のシフト操作部材と同様の構成であるので、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図15(a)に示されるように、駐車時には、複数個のシフト操作部材15r,15n,15dは、その長孔15aの上端に軸17が係合することにより吊り下げ状態に保持される(第1の操作態様)。そして、自動変速機32の変速位置を切り替える際、ユーザは所望の変速位置に対応するシフト操作部材15r,15n,15d(ここでは、シフト操作部材15rとする。)を、図15(b)に二点鎖線で示す中間位置まで、軸17を中心として上方へ回転させる(第2の操作態様)。そして、図15(b)に示されるように、シフト操作部材15rを開口部16へ押し込み、さらに図15(c)に示されるように、当該押し込んだシフト操作部材15rの摘み部92rを右回転させる(第3の操作態様)。すると、当該シフト操作部材15rに対応する磁気センサ95r(図15(c)では図示略)は、磁石96rから生じる磁界から外れることにより、オフ信号を制御装置31に出力する。制御装置31は、オフ信号を出力した磁気センサ95rに対応するシフト操作部材15rが切り替え操作された旨判断し、当該シフト操作部材15rに対応する変速位置に切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機32に出力する。
従って、本実施の形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)自動変速機32の変速位置を切り替えるに際して、複数個のシフト操作部材15d,15n,15rを個別に操作する必要があるので、連続的な変速位置の選択操作が困難となる。また、自動変速機32の変速位置の切り替え操作に際して、シフト操作部材15d,15n,15rを上方へ回転させる第1の操作と、同じく開口部16に挿入する第2の操作と、同じく摘み部92r,92n,92dを右回転させる第3の操作との3つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(2)また、複数個のシフト操作部材15d,15n,15rの操作方向は、ステアリングホイール10及びレバーコンビネーションスイッチ13の操作方向と異なる。このため、シフト装置14を、ステアリングホイール10又はレバーコンビネーションスイッチ13等の近傍に配設する場合であれ、それらの操作時における意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
<第10の実施の形態>
次に、本発明の第10の実施の形態を説明する。本実施の形態は、単数のシフト操作部材を使用して自動変速機の変速位置の切り替えが可能とされている点で前記第1の実施の形態と異なる。
図16(a)に示されるように、単一のシフト操作部材15は、ステアリングコラム12において自動変速機32の変速位置に対応する数だけ開口して並設される複数(ここでは、3つ)の開口部16r,16n,16dにそれぞれ挿入可能に形成されている。ステアリングコラム12の表面には、開口部16r,16n,16dの配設方向へ延びる軸部材101が、それら開口部16r,16n,16dに対向するように設けられるとともに、当該軸部材101は、シフト操作部材15の長孔15aに挿通されている。これにより、シフト操作部材15は、軸部材101に沿ってスライド可能に、且つ当該軸部材101を中心として回転可能、且つ長孔15aに沿ってスライド可能となっている。
軸部材101には、シフト操作部材15を複数の開口部16r,16n,16dのそれぞれに対応する位置に位置決めする位置決め手段として位置決め機構Mpが設けられている。図16(b)に示されるように、軸部材101における複数の開口部16r,16n,16dの間に対応する部位には、複数(ここでは、2つ)の収容穴102が開口して形成されている。そして、位置決め機構Mpは、それら収容穴102に一部が露出した状態で且つ抜け止め状態で収容された球状の節度部材103と、当該節度部材103と収容穴102の内底面との間に介在された付勢手段としてのコイルばね104とを備えてなる。
節度部材103は、収容穴102内を移動可能に設けられるとともに、コイルばね104の弾性力により常時外方へ付勢されている。節度部材103は、シフト操作部材15のスライド操作に伴い、軸部材101の表面から一部がはみ出してシフト操作部材15のスライドを規制する規制位置と、コイルばね104の弾性力に抗して軸部材101の内方へ変位してシフト操作部材15のスライドを許容する許容位置との間を変位する。
さて、例えばシフト操作部材15が、パーキング位置に保持された状態、具体的には、その長孔15aの上端に軸部材101が係合する吊り下げ状態に保持されている場合(第1の操作態様)には、次のようにして自動変速機32の変速位置を切り替える。すなわち、ユーザは、吊り下げ状態のシフト操作部材15を、所望の変速位置に関連付けられた開口部16r,16n,16dに対応する位置まで、軸部材101に沿ってスライド移動させる。この際、シフト操作部材15のスライドに伴い、節度部材103は、シフト操作部材15の長孔15aの内周面に押されることにより、コイルばね104の弾性力に抗して規制位置から許容位置へ変位する。これにより、シフト操作部材15のスライドが許容される。
そして、シフト操作部材15が通過した後、節度部材103は、コイルばね104の弾性力により規制位置に復帰する。これにより、シフト操作部材15のスライドは再び規制されて、当該シフト操作部材15は、所望の開口部16r,16n,16dに対応する位置に保持される。その後、軸部材101を中心としてステアリングコラム12の表面から離間する方向(図16(a)における上方)へ回転させる(第2の操作態様)。そして、所望の変速位置に対応する開口部16r,16n,16dへ挿入することにより、軸部材101が長孔15aの他端に係合する検知位置へ至る(第3の操作態様)。
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)自動変速機32の変速位置の切り替え操作に際しては、シフト操作部材15を所望の変速位置に関連付けられた開口部16に対応する位置へスライドさせる第1の操作と、同じく上方へ回転させる第2の操作と、同じく開口部16r,16n,16dに挿入する第3の操作との3つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(2)また、これらシフト操作部材15の操作方向は、ステアリングホイール10及びレバーコンビネーションスイッチ13の操作方向と異なる。このため、シフト装置14を、ステアリングホイール10又はレバーコンビネーションスイッチ13等の近傍に配設する場合であれ、それらの操作時における意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(3)軸部材101には、シフト操作部材15を、複数の開口部16r,16n,16dのそれぞれに対応するように位置決めする位置決め機構Mpを設けた。この位置決め機構Mpは、軸部材101の収容穴102に一部が露出するように収容された節度部材103及び当該節度部材103を収容穴102から突出させる方向へ常時付勢するコイルばね104を備えて構成した。
このため、例えば開口部16rにあるシフト操作部材15を隣の開口部16nに対応する位置へスライド操作するに際、当該シフト操作部材15(正確には、長孔15aの内面)に押圧されることにより、節度部材103はコイルばね104の弾性力に抗して軸部材101の内方へ変位する。これにより、当該シフト操作部材15は、隣の開口部16nに対応する位置へスライド可能となる。
そして、当該シフト操作部材15が通過すると、シフト操作部材15は、コイルばね104の弾性力により収容穴102から一部が露出する位置に復帰する。一方、当該通過したシフト操作部材15の進行方向における側面(正確には、当該側面の長孔15aの開口端面)が、次段の節度部材103に係合することにより、当該シフト操作部材15のスライド移動が規制されて位置決めされる。
したがって、シフト操作部材15を開口部16r,16n,16dに対応させるべくスライド操作するに際して、微妙な位置調整を行う必要はない。したがって、シフト操作部材15の開口部16r,16n,16dに対応する位置への切り替え操作性を確保することができる。
<第11の実施の形態>
次に、本発明の第11の実施の形態を説明する。本実施の形態は、ステアリングコラムの開口部を省略するとともに、シフト操作部材をステアリングコラムの表面に沿うように上下方向へ変位させるようにした点で、前記第1の実施の形態と主に異なる。
シフト操作部材15r,15n,15dは、軸17が長孔15aの上端に係合する図17(a)に示される下降位置と、同じく軸17が長孔15aの下端に係合する図17(b)に示される上昇位置との間を変位する。
図17(c)に示されるように、シフト操作部材15r,15n,15dにおいて、ステアリングコラム12側の側面の上部には、磁石111r,111n,111dが設けられている。また、シフト操作部材15r,15n,15dにおいて、ステアリングコラム12と反対側の側面には、プッシュスイッチ112r,112n,112dが設けられている。プッシュスイッチ112r,112n,112dは、同図に破線で示される配線を通じて制御装置31に接続されている。ここで、当該配線は、シフト操作部材15r,15n,15dの内部及びステアリングコラム12の側壁に形成される図示しない透孔を通じてステアリングコラム12の内部に導入されるとともに、シフト操作部材15r,15n,15dの上下方向の変位を許容可能となる程度にステアリングコラム12の内部におけるたるみが設定されている。そして、プッシュスイッチ112r,112n,112dは、押圧操作されたときにはオン信号Son1を、押圧操作されないときにはオフ信号Soff1を前記検出信号Sfの一つとして制御装置31へ出力する。
一方、ステアリングコラム12の側壁の内面には、シフト操作部材15r,15n,15dと同数の磁気センサ113r,113n,113dが、上昇位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの磁石111r,111n,111dに対応するように配設されている。磁気センサ113r,113n,113dは、例えばホール素子又は磁気抵抗効果素子(MR素子)、並びにその信号処理回路が単一のICチップとして集積回路化されたものである。
磁気センサ113r,113n,113dは、シフト操作部材15r,15n,15dが下降位置にあるときには、磁石111r,111n,111dから生じる磁界(磁束)を検出することはなく、オフ信号Soff2を前記検出信号Sfの一つとして制御装置31へ出力する。また、磁気センサ113r,113n,113dは、シフト操作部材15r,15n,15dが上昇位置にあるときには、磁石111r,111n,111dから生じる磁界を検出して、オン信号Son2を前記検出信号Sfの一つとして制御装置31へ出力する。
制御装置31は、磁気センサ113r,113n,113d及びプッシュスイッチ112r,112n,112dからの検出信号Sfに基づいてシフト操作部材15r,15n,15dの操作態様を判断可能となる。すなわち、制御装置31は、オン信号を出力した磁気センサ113r,113n,113dに対応するシフト操作部材15r,15n,15dのプッシュスイッチ112r,112n,112dからの入力を有効とする。そして、制御装置31は、当該シフト操作部材15r,15n,15dに対応する変速位置に切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機32に出力する。換言すれば、制御装置31は、オフ信号が出力される磁気センサ113r,113n,113dに対応するシフト操作部材15r,15n,15dのプッシュスイッチ112r,112n,112dからの入力を無効とする。このため、当該無効の状態でプッシュスイッチ112r,112n,112dが押圧操作されても、自動変速機32の変速位置が切り替えられることはない。
さて、自動変速機32の変速位置を切り替える際には、ユーザは、所望の変速位置に対応するシフト操作部材15r,15n,15dを上方へ押し上げる(第1の操作態様)。そして、次にユーザは、当該押し上げた状態を保持しつつプッシュスイッチ112r,112n,112dを押圧操作する(第2の操作態様)。当該操作の完了後、シフト操作部材15r,15n,15dを支持する手などを離すことにより、それらシフト操作部材15r,15n,15dは自重により下方へ変位して下降位置へ至る。
なお、本実施の形態において、制御装置31は、オン信号を出力した磁気センサ113r,113n,113dに対応するシフト操作部材15r,15n,15dのプッシュスイッチ112r,112n,112dが押下されたとき、磁気センサ113r,113n,113dからの入力を有効とするようにしてもよい。また、シフト操作部材15r,15n,15dを、ステアリングコラム12の例えば上部又は下部に配設するようにしてもよい。この場合、軸17は、長孔15aに対して締まり嵌め状態に挿通することが好ましい。このようにすれば、車両の走行に伴う振動等に起因するシフト操作部材15r,15n,15dのスライドを抑制することができる。
なお、磁気センサ113r,113n,113dに代えて、マイクロスイッチ等の機械接点を採用することも可能である。この場合、シフト操作部材15r,15n,15d側に磁石111r,111n,111dを設ける必要はない。
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)自動変速機32の変速位置の切り替え操作に際しては、シフト操作部材15r,15n,15dを上方へ押し上げる第1の操作と、当該押し上げた状態でプッシュスイッチ112r,112n,112dを押下する第2の操作との2つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(2)また、これらシフト操作部材15r,15n,15dの操作方向は、ステアリングホイール10及びレバーコンビネーションスイッチ13の操作方向と異なる。このため、シフト装置14を、ステアリングホイール10又はレバーコンビネーションスイッチ13等の近傍に配設する場合であれ、それらの操作時における意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(3)シフト操作部材15r,15n,15dは、それらのスライド方向が上下方向となるように配設した。このため、シフト操作部材15r,15n,15dを上昇位置に保持した状態において、それらへの操作力を解除すれば、シフト操作部材15r,15n,15dは自重により長孔15aに沿って下降して下降位置へ復帰する。このため、シフト操作部材15r,15n,15dの上昇位置から下降位置への復帰操作が簡単である。
(4)また、車両の走行中において、振動等に起因して、シフト操作部材15r,15n,15dが若干上昇した場合であれ、プッシュスイッチ112r,112n,112dが押下されない限り変速位置が切り替えられることはないので、走行中の振動等による誤操作が抑制される。
(5)シフト操作部材15r,15n,15d側には磁石111r,111n,111dを設けた。また、ステアリングコラム12側には磁気センサ113r,113n,113dを設けるとともに、それらは、シフト操作部材15r,15n,15dが下降位置から上昇位置へ変位したときに磁石111r,111n,111dと対応して当該磁石111r,111n,111dから生じる磁界を検出するように設けた。このため、磁界を検出することにより、シフト操作部材15r,15n,15dが下降位置から上昇位置へ変位した旨容易に検出することができる。
<他の実施の形態>
なお、前記各実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・第1〜第6の実施では、シフト操作部材15r,15n,15dの操作態様をフォトセンサ23r,23n,23dにより光学的に検出するようにしたが、MRセンサ又はホールセンサ等の磁気センサを使用して磁気的に検出するようにしてもよい。この場合、例えばシフト操作部材15r,15n,15d側に磁石、基板21,22のいずれか一方に磁気センサを配設する。
・第2の実施の形態では、検知位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dをソレノイド41r,41n,41dの作動により開口部16から押し出して、通常位置へ復帰させるようにしたが、次のようにしてもよい。すなわち、シフト操作部材15r,15n,15dにオルタネイト動作(位置保持動作)をさせるための動作機構(保持機構)を設ける。そして、シフト操作部材15r,15n,15dを開口部16に挿入した際には、挿入する方向への力を取り除いても当該挿入状態が保持され、もう一度押すと開口部16から元の自由状態に復帰するように構成する。このようにすれば、先に検知位置に切り替えられていたシフト操作部材15r,15n,15dを通常位置に戻すにあたって、それらを手で開口部16から引き出すようにした場合に比べて、自動変速機32の変速位置の切り替え操作性が向上する。
・第1の実施の形態において、シフト操作部材15r,15n,15dを図2(a)に実線で示される通常位置から同図に二点鎖線で示される中間位置への操作にあたって、シフト操作部材15r,15n,15dの上方への変位を規制する上動規制手段を開口部16の近傍に設けるようにしてもよい。この上動規制手段として、例えば開口部16の上部近傍(上行部)、すなわち通常位置にあるシフト操作部材15r,15n,15dの上方に張り出すように設けられる図示しない規制壁を採用することが考えられる。また、上動規制手段として、ステアリングコラム12における開口部16の下側の部位が、同開口部16の上側の部位よりも奥方に位置するように設けるようにしてもよい。この場合、シフト操作部材15r,15n,15dの上動は、それらの上部が開口部の内頂面(案内部材18を含む)に当接することにより規制される。
なお、図15(a),(b),(c)に示される第9の実施の形態、及び図16(a),(b)に示される第10の実施の形態においても同様に上動規制手段を設けることが可能である。また、図11(a)に示される第5の実施の形態においては、ステアリングコラム12における開口部16の運転席側に、シフト操作部材15r,15n,15dの運転席側へのスライドを規制する側動規制手段を設ける。この測動規制手段は、前述の上動規制手段と同様の構成とされる。
・第1〜第11の実施の形態において、2つのシフト装置14を、ステアリングコラム12の左右2つの側部に配設するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザが右利き及び左利きのいずれの場合であれ、対応することができる。
・第4の実施の形態は、第5〜第11の実施の形態のいずれに適用するようにしてもよい。
・第1〜第9及び第11の実施の形態において、例えばダッシュボード又はメータパネル等の運転席の近傍には、シフト操作部材15r,15n,15dの配設の順番を示す表示を設けるようにしてもよい。このようにすれば、ユーザは、当該表示を目視確認することにより、所望の変速位置に対応するシフト操作部材15r,15n,15dを容易に選択することができる。
・第1〜第11の実施の形態では、3つのシフト操作部材15r,15n,15dを設けるようにしたが、シフト操作部材の数は、自動変速機32の変速位置に応じて適宜増減させるようにしてもよい。
・第1〜第11の実施の形態では、シフト操作部材15r,15n,15dを直方体状(四角平板状を含む)に形成するようにしたが、他の形状としてもよい。例えば、シフト操作部材は、角柱状又は円柱状等の棒状に形成することも可能である。
・第1〜第11の実施の形態では、シフト装置14をステアリングコラム12に設けるようにしたが、ダッシュボード11及び図示しないインストルメントパネル等に配設するようにしてもよい。このようにした場合であれ、変速位置の意図しない切り替え操作を抑制することができる。
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)請求項8に記載のシフト装置において、前記規制手段は、シフト操作部材と同数組の、シフト操作部材に設けられた被係合部に係合する係合部材と、当該係合部材を第3の操作態様にあるシフト操作部材側へ付勢する付勢部材とを備えて構成し、前記係合部材は、シフト操作部材の第1の操作態様から第3の操作態様への変化に際して、シフト操作部材の一部に当接するとともに、当該当接した部位を乗り越えてシフト操作部材の表面を摺動し、当該シフト操作部材に対してその被係合部に対応する位置まで相対的に変位したときには、前記付勢部材の付勢力によりシフト操作部材側へ変位して当該被係合部に係合するようにしたシフト装置。
本技術的思想によれば、シフト操作部材が第3の操作態様へ変化したときには、係合部材が当該シフト操作部材の被係合部に係合することにより、当該シフト操作部材の開口部からの抜け止めが好適に図られる。
(ロ)請求項8に記載のシフト装置において、前記規制手段は、シフト操作部材と同数組の、第2のケースと、当該第2のケースに収容される励磁用の第2のコイルと、当該第2のコイルが前記制御手段から出力される励磁指令信号に基づき励磁されることにより第2のケースに対して突出する方向へ変位してシフト操作部材に設けられた被係合部に係合する第2のプランジャとを備えて構成し、前記制御手段は、複数個のシフト操作部材のうちいずれか一つが第1の操作態様から第3の操作態様へ切り替え操作されたときには、前記検出手段からの検出信号に基づいてこれを認識し、当該切り替えられたシフト操作部材に対応する第2のコイルに励磁指令信号を出力するようにしたシフト装置。
本技術的思想によれば、シフト操作部材が第3の操作態様へ変化したときには、第2のプランジャが当該シフト操作部材の被係合部に係合することにより、当該シフト操作部材の開口部からの抜け止めが好適に図られる。
(ハ)請求項1〜請求項9及び前記(イ)項及び(ロ)項のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記配設対象は車両のステアリングコラムであるとともに、複数個のシフト操作部材は、前記ステアリングコラムの側部、上部又は下部に配設されるシフト装置。
このように、シフト操作部材、ひいてはシフト装置は、ステアリングコラムの側部、上部及び下部のいずれにおいても配設することもできる。ここで、一般に、ステアリングコラムには方向指示器及びワイパ等を作動させるレバーコンビネーションスイッチが当該ステアリングコラムの側方へ突出するように設けられることが多い。そして、例えばステアリングコラムの側方へ突出するコラムシフトレバーを備えるシフト装置にあっては、当該レバーとレバーコンビネーションスイッチ又はステアリングホイールの操作方向が同じ又は近似する。このため、レバーコンビネーションスイッチ又はステアリングホイールを操作する際に、意図せずコラムシフトレバーの切り替え操作がなされることが懸念されていた。
しかし、本技術的思想によれば、自動変速機の変速位置の切り替え操作に際しては、複数個のシフト操作部材を個別に操作する必要があるため、連続的な変速位置の選択操作が困難となる。また、第1の操作態様から第2の操作態様へ変化させる操作と、第2の操作態様から第3の操作態様へ変化させる操作との2つの異なる操作を行う必要がある。このため、シフト装置をステアリングコラムに配設した場合であれ、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。例えば、レバーコンビネーションスイッチ又はステアリングホイールを操作するに際して、シフト操作部材を誤って操作することが抑制される。
(ニ)請求項1〜請求項8及び前記(イ)項〜(ロ)項のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、複数個のシフト操作部材は、互いに異なる形態を有してなるシフト装置。
本技術的思想によれば、複数個のシフト操作部材の形態を異ならせることにより、隣り合うシフト操作部材を視覚的に又は触覚的に識別可能となる。このため、自動変速機の変速位置の切り替え操作に際して、シフト操作部材の誤操作を抑制することができる。
(ホ)前記(ニ)項に記載のシフト装置において、複数個のシフト操作部材の長さを異ならせることによりそれらの形態を異ならせるようにしたシフト装置。
本技術的思想によれば、複数個のシフト操作部材の長さを異ならせることにより、隣り合うシフト操作部材を視覚的に又は触覚的に識別可能となる。このため、自動変速機の変速位置の切り替え操作時に際して、シフト操作部材の誤操作を抑制することができる。
(ヘ)前記(ニ)項に記載のシフト装置において、触感が異なるように、複数個のシフト操作部材の表面の形態を異ならせるようにしたシフト装置。
本技術的思想によれば、触覚を通じて隣り合うシフト操作部材を識別可能となる。このため、自動変速機の変速位置の切り替え操作時に際して、シフト操作部材の誤操作を抑制することができる。
(ト)請求項1に記載のシフト装置において、複数個のシフト操作部材は、それらの配設対象に設けられる開口部に挿入可能に形成されるとともに、当該シフト操作部材を貫通する長孔に挿通される軸を中心として回転可能且つ長孔の延びる方向へスライド可能に設け、第1の操作態様として軸が長孔の一端に係合するとともに前記開口部に挿入された状態にあって、当該シフト操作部材を前記開口部から引き出すことにより第2の操作態様として前記開口部と対向し、さらに軸を中心として配設対象の表面に近接する方向へ回転させることにより第3の態様として軸が長孔の他端に係合するようにしたシフト装置。
本技術的思想によれば、自動変速機の変速位置の切り替え操作に際して、シフト操作部材を開口部から引き出す操作と、同じく軸を中心として回転させる操作との2つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(チ)前記(ト)項に記載のシフト装置において、前記検出手段は、シフト操作部材と同数組の、シフト操作部材側に設けられる磁石と、配設対象側に設けられる磁気センサとを備えてなるとともに、当該磁気センサは、シフト操作部材が第1の操作態様から第3の操作態様へ変化したときに磁石と対応して当該磁石から発せられる磁界を検出するように設けたシフト装置。
本技術的思想によれば、シフト操作部材が第1の操作態様から第2の操作態様を経て第3の操作態様へ切り替え操作されたときには、当該操作されたシフト操作部材の磁石から生じる磁界が磁気センサにより検出される。制御手段は、磁気センサから出力される検出信号に基づき当該操作されたシフト操作部材の態様変化を認識し、当該シフト操作部材に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号を生成して自動変速機へ出力する。このように、第3の操作態様へ変化したシフト操作部材を、磁気センサといった磁気的手法を用いて容易に検出することができる。
(リ)請求項1に記載のシフト装置において、複数個のシフト操作部材は、それらの配設対象に設けられる開口部に挿入可能に形成されるとともに、本体部と当該本体部に対して回転可能に軸支される摘み部とを備えてなり、第1の操作態様として本体部と摘み部との境界部位が前記開口部内に位置する状態にあって、当該シフト操作部材を前記境界部位が前記開口部から露出する位置まで引き出すことにより第2の操作態様として前記開口部に対向し、さらに摘み部を所定方向へ回転させることにより第3の操作態様として摘み部が所定量だけ回転した状態に保持されるシフト装置。
本技術的思想によれば、自動変速機の変速位置の切り替え操作に際して、シフト操作部材を開口部から引き出す操作と、同じく摘み部を回転させる操作との2つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(ヌ)前記(リ)項に記載のシフト装置において、前記検出手段は、シフト操作部材と同数組の、摘み部側に設けられる磁石と、本体部側に設けられる磁気センサと、を備えて構成し、前記磁気センサは、シフト操作部材が第1の操作態様にあるときには磁石と対応することにより当該磁石から生じる磁界を検出するとともに、同じく第1の操作態様から第3の操作態様へ変化したときには、磁石と非対応となることにより当該磁石から生じる磁界を検出しないように設けられるシフト装置。
本技術的思想によれば、シフト操作部材が第1の操作態様から第2の操作態様を経て第3の操作態様へ切り替え操作されたときには、当該操作されたシフト操作部材に対応する磁気センサは、磁石から生じる磁界の非検出状態となり、その旨示す検出信号を出力する。制御手段は、磁気センサから出力される検出信号に基づき当該操作されたシフト操作部材の態様変化を認識し、当該シフト操作部材に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号を生成して自動変速機へ出力する。このように、第3の操作態様へ変化したシフト操作部材を、磁気センサといった磁気的手法を用いて容易に検出することができる。
(ル)請求項1に記載のシフト装置において、シフト操作部材は、単数とするとともに、その配設対象において自動変速機の変速位置と同数に分割して並設される複数の開口部にそれぞれ挿入可能に形成し、さらに、当該シフト操作部材を貫通する長孔に挿通される軸に沿って開口部の並設方向へスライド可能、且つ当該軸を中心として回転可能、且つ長孔の延びる方向へスライド可能に設け、第1の操作態様として軸が長孔の一端に係合する状態にあって、選択される変速位置に関連付けられた開口部に対応する位置まで軸に沿ってスライド移動させ、その後、軸を中心として配設対象の表面から離間する方向へ回転させることにより第2の操作態様として前記選択される変速位置に関連付けられた開口部へ挿入可能に対向し、当該対向する開口部へ挿入されることにより第3の操作態様として軸が長孔の他端に係合するようにしたシフト装置。
本技術的思想によれば、自動変速機の変速位置の切り替え操作に際して、シフト操作部材を、選択される変速位置に関連付けられた開口部に対応する位置までスライドさせる操作と、同じく軸を中心として回転させる操作と、同じく開口部に挿入する操作との3つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(ヲ)前記(ル)項に記載のシフト装置おいて、前記軸には、前記シフト操作部材を複数の開口部のそれぞれに対応する位置に保持する位置決め手段を設け、前記位置決め手段は、軸において複数の開口部の間に対応する部位に設けられるとともに、前記シフト操作部材のスライドに際して、軸の表面から一部が露出する係合位置と、軸の内方へ変位してシフト操作部材のスライドを許容する許容位置との間を変位する節度部材と、当該節度部材を係合位置へ変位させる方向へ常時付勢する付勢手段と、を備えてなるシフト装置。
本技術的思想によれば、シフト操作部材は、節度部材において、軸の表面から露出した部位に係合することにより複数の開口部のそれぞれに対応するように位置決めされる。そして、他の開口部に対応する位置へのスライド操作に伴い、位置決め部材は付勢手段の付勢力に抗して軸の内方へ変位することにより隣の開口部に対応する位置へスライド可能となる。そして、当該スライド方向における次段の位置決め部材に係合することにより、シフト操作部材は、隣の開口部に対応するように位置決めされる。このため、シフト操作部材をいずれかの開口部に対応させるべくスライド操作するに際して、微妙な位置調整を行う必要はない。したがって、シフト操作部材の開口部に対応する位置への切り替え操作性を確保することができる。
(ワ)請求項1に記載のシフト装置において、複数個のシフト操作部材は、それらの配設対象に設けられる開口部に挿入可能に形成されるとともに、本体部と当該本体部に対して回転可能に軸支される摘み部とを備えてなり、また、複数個のシフト操作部材は、本体部を貫通する長孔に挿通され且つ複数個のシフト操作部材の配設方向へ延びる軸を中心として回転可能に設け、さらに、複数個のシフト操作部材は、第1の操作態様として軸が長孔の一端に係合する状態にあって、軸を中心として配設対象の表面から離間する方向へ回転させることにより前記開口部に挿入可能に対向させるとともに、第2の操作態様として当該対向する開口部へ本体部と摘み部との境界部位が開口部の外に位置する程度に挿入保持され、さらに第3の操作態様として摘み部を所定量だけ回転保持されるシフト装置。
本技術的思想によれば、自動変速機の変速位置の切り替え操作に際して、シフト操作部材を配設対象の表面から離間する方向へ回転させる操作と、同じく開口部へ挿入する操作と、同じく摘み部を所定方向へ回転させる操作との3つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(カ)請求項1に記載のシフト装置において、複数個のシフト操作部材は、それらを貫通する長孔に挿通される軸を中心として回転可能に且つ長孔の延びる方向へスライド可能に設ける一方、前記検出手段は、シフト操作部材と同数組の第1の検出手段と第2の検出手段とを備えて構成し、第1の検出手段は、第1の操作態様として軸が長孔の一端に係合する位置から第2の操作態様として同じく他端に係合する位置へ変位したことを検出してその第1の検出信号を出力する一方、第2の検出手段は、シフト操作部材の配設対象と反対側の表面に設けられるスイッチを備えてなるとともに、第3の操作態様として当該スイッチが操作されたときにその旨示す第2の検出信号を出力し、前記制御手段は、複数個のシフト操作部材のうちいずれか一つが第1の操作態様から第2の操作態様を経て第3の操作態様へ切り替え操作されたときには、第1及び第2の検出手段から出力される第1及び第2の検出信号に基づきこれを認識し、当該切り替えられたシフト操作部材に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号を生成して自動変速機へ出力するようにしたシフト装置。
本技術的思想によれば、自動変速機の変速位置の切り替え操作に際して、シフト操作部材を長孔の延びる方向へスライドさせる操作と、当該スライドさせた状態を保持した状態でのスイッチ操作との2つの異なる操作を行う必要がある。このため、意図しない変速位置の切り替え操作を好適に抑制することができる。
(ヨ)前記(カ)項に記載のシフト装置において、複数個のシフト操作部材は、それらのスライド方向が上下方向となるように配設されるとともに、第1の検出手段は、第1の操作態様として軸が長孔の上端に係合する位置から第2の操作態様として同じく下端に係合する位置へ変位したことを検出してその第1の検出信号を出力するシフト装置。
本技術的思想によれば、軸が長孔の下端に係合する第2の操作態様にあって、シフト操作部材への操作力を解除すれば、当該シフト操作部材は自重により長孔に沿って下降し、軸が長孔の上端に係合する第1の操作態様へ復帰する。このため、シフト操作部材の第2の操作態様から第1の操作態様への復帰操作が簡単になる。
(タ)前記(カ)項又は前記(ヨ)項に記載のシフト装置において、第1の検出手段は、シフト操作部材側に設けられる磁石と、配設対象側に設けられる磁気センサとを備えてなるとともに、当該磁気センサは、シフト操作部材が第1の操作態様から第2の操作態様へ変化したときに磁石と対応して当該磁石から発せられる磁界を検出するように設けたシフト装置。
本技術的思想によれば、磁界を検出することにより、シフト操作部材が第1の操作態様から第2の操作態様へ変化した旨容易に検出することができる。
12…ステアリングコラム(配設対象)、14…シフト装置、15,15r,15n,15s…シフト操作部材、15a…長孔、16,16r,16n,16d…開口部、17…軸、18…案内部材(案内手段)、21r,21n,21d…発光素子、22r,22n,22d…受光素子、23r,23n,23d…フォトセンサ(検出手段)、31…制御装置(制御手段)、32…自動変速機、41r,41n,41d…ソレノイド(押出手段)、42…ケース(第1又は第2のケース)、43…コイル(第1又は第2のコイル)、44…プランジャ(第1又は第2のプランジャ)、51r,51n,51d…規制機構(規制手段)、53…ピン(係合部材)、54…コイルばね(付勢部材)、55…凹部(被係合部)、61…ハウジング、81r,81n,81d…磁石、82r,82n,82d…磁気センサ、91r,91n,91d…本体部、92r,92n,92d…摘み部、96r,96n,96d…磁石、95r,95n,95d…磁気センサ、103…節度部材(位置決め部材)、104…コイルばね(付勢手段)、111r,111n,111d…第1の検出手段を構成する磁石、112r,112n,112d…プッシュスイッチ(第2の検出手段)、113r,113n,113d…第1の検出手段を構成する磁気センサ、Ld,Ln,Lr…長さ、Mp…位置決め機構(位置決め手段)、Sc…変速制御信号、SI…励磁指令信号、Son1…第2の検出信号を構成するオン信号、Soff1…第2の検出信号を構成するオフ信号、Son2…第1の検出信号を構成するオン信号、Soff2…第1の検出信号をオフ信号、Spush…押出指令信号、S1…第1の信号、S2…第2の信号。