JP4629271B2 - 電力用開閉装置の操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力用開閉装置の操作装置に関し、特にその遮断器もしくは断路器を構成する真空バルブの操作装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図12は例えば特開2000−268683号公報に記載された従来の電力用開閉装置の操作装置を示す模式断面図であり、図12の(a)は真空バルブの投入状態を示し、図12の(b)は真空バルブの開放状態を示している。図13は図12に示される従来の電力用開閉装置の操作装置の開放動作説明図、図14は図12に示される従来の電力用開閉装置の操作装置の投入動作説明図である。
【0003】
図12において、操作装置1は、可動接触子2aと固定接触子2bとが真空容器2c内に接離可能に配設されて構成された真空バルブ2、例えば真空遮断器を操作するものであり、操作ロッド3が可動接触子2aに固着され、可動接触子2aを固定接触子2bに対して接離させる方向(図中の上下方向)に移動可能に保持されている。
【0004】
可動部材4は、断面ハット型に形成され、操作ロッド3に相対移動可能に接続され、かつ、断面カップ型の固定部材5に図中上下方向に移動可能に保持されている。第1の弾性部材6は操作ロッド3と可動部材4との間に介装され、可動部材4に対して稼動接触子2aを固定接触子2bに押し付ける方向に、操作ロッド3を付勢している。可動部材4を固定部材5に対して吸引駆動するための円盤状の永久磁石7が固定されている。この永久磁石7は、軸方向の対向する端面にそいれぞれN極、S極が着磁されたものである。
【0005】
ここで、可動接触子2aが固定接触子2bに当接して真空バルブ2が投入している状態では、図12の(a)に示されるように、固定部材5に対して、可動接触子2aを固定接触子2bに押し付ける方向に永久磁石7のNS二極の磁路の往来8a、8bで吸引する投入側磁気回路8が形成されている。一方、可動接触子2aが固定接触子2bから離れて真空バルブ2が開放している状態では、図12の(b)に示されるように、固定部材5に対して、可動接触子2aを固定接触子2bから離す方向に永久磁石7のNS二極のうちいずれか一極側9aで吸引する開放側磁気回路9が形成されている。
【0006】
また、操作電磁石巻線10が可動部材4に固定され、可動部材4と操作電磁石巻線10とにより構成される操作電磁石が、投入側磁気回路8および開放側磁気回路9の磁束を増減するようになっている。さらに、可動部材4を固定部材5に対して可動接触子2aを固定接触子2bから離す方向に付勢するために、第2の弾性部材11が配設されている。
【0007】
つぎに、このように構成された従来の操作装置1による真空バルブ2の開放動作について図13を参照しつつ説明する。
真空バルブ2が投入状態にあるときに、操作電磁石巻線10に電流を流し、図13の(a)に点線で示されるように、投入側磁気回路8を流れる永久磁石7の磁束に反発させる磁束を発生させる。これにより、投入側磁気回路8を流れる永久磁石7の磁束が操作電磁石巻線10により発生された磁束により相殺され、永久磁石7の磁力が減少する。そこで、第1および第2の弾性部材6、11が可動部材4を固定部材5に対して可動接触子2aを固定接触子2bから切り離す方向に付勢し、可動部材4が図13の(a)中下方向に移動する。この可動部材4が固定部材5の下部側に到達すると、図13の(b)に示されるように、開放側磁気回路9が形成され、開放側磁気回路9を流れる永久磁石7の磁束に操作電磁石巻線10により発生された磁束が加わる。これにより、可動部材4を磁気吸引した状態となり、可動接触子2aが固定接触子2bから切り離された開放状態となる。
【0008】
ついで、この従来の操作装置1による真空バルブ2の投入動作について図14を参照しつつ説明する。
真空バルブ2が開放状態にあるときに、操作電磁石巻線10に電流を流し、図14の(a)に点線で示されるように、開放側磁気回路9を流れる永久磁石7の磁束に反発させる磁束を発生させる。この時の電磁反発力により、可動部材4を固定部材5に対して可動接触子2aを固定接触子2bに押し付ける方向に付勢し、可動部材4が図14の(b)に示される位置に到達すると、投入側磁気回路8が形成され、投入側磁気回路8を流れる永久磁石7の磁束に操作電磁石巻線10により発生された磁束が加わる。これにより、第1および第2の弾性部材6、11の力に抗して可動部材4を磁気吸引した状態となり、可動接触子2aが固定接触子2bに当接された投入状態となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の操作装置は、以上のように構成されているので、投入・遮断操作の際に、操作電磁石巻線10により発生される磁界が永久磁石7にとって反磁界となる状態が生じてしまい、永久磁石7の減磁をもたらし、開閉動作の信頼性が低下してしまうという課題があった。
【0010】
この発明は、上記の課題を解消するためになされたもので、開放・投入操作時のコイルによる磁束が永久磁石の内部を磁化方向に流れるように投入側および開放側磁気回路を構成し、永久磁石の減磁をなくし、開閉動作の信頼性を高めることができる電力用開閉装置の操作装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電力用開閉装置の操作装置は、真空容器内に接離可能に設けられた可動接触子と固定接触子とを有する真空バルブを備えた電力用開閉装置の操作装置であって、
上記可動接触子に固定された絶縁ロッドと、
上記絶縁ロッドに相対的に接続され、上記可動接触子を上記固定接触子に対して接離させる駆動力を発生する電磁操作部と、
上記絶縁ロッドと上記電磁操作部との間に介装されて上記可動接触子を上記固定接触子に押し付ける方向に付勢する弾性部材とを備え、
上記電磁操作部が、
それぞれ第1および第2辺が基部の両端部から一側に延設されたコ字状に成形され、第1および第2辺の先端面を対向させて配設された一対の固定鉄心と、
第1および第2フランジ部が基部の軸心方向の両端部に該基部の軸心と直交するように形成され、上記一対の固定鉄心内に軸心方向に移動可能に配設された可動鉄心と、
一端が上記可動鉄心の第1フランジ部に同軸に固着され、上記一対の固定鉄心の第1辺間から延出する他端が上記弾性部材を介して上記絶縁ロッドに接続された可動軸と、
上記一対の固定鉄心の基部の内壁面にそれぞれ固着され、上記可動鉄心の軸方向と直交し、かつ、互いに逆向きに磁化された一対の永久磁石と、
一端が上記一対の永久磁石のそれぞれに接続され、他端側が上記第1フランジ部の上記第2フランジ部側の面に対向するように配置された一対の磁路形成板と、
上記一対の固定鉄心の基部のそれぞれの第1辺側に巻装された投入用コイルと、
上記可動鉄心の基部を囲繞するように該可動鉄心と上記磁路形成板とで囲まれた空間内に配設された開放用コイルとを有し、
上記一対の永久磁石は、上記可動接触子が上記固定接触子から切り離された上記真空バルブの開放状態では、上記永久磁石の磁束が、上記固定鉄心の基部、上記第2辺、上記第2フランジ部、上記可動鉄心の基部、上記第1フランジ部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる開放側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子から切り離す方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、かつ、上記可動接触子が上記固定接触子に当接した上記真空バルブの投入状態では、上記永久磁石の磁束が、上記固定鉄心の基部、上記第1辺、上記第1フランジ部、上記可動鉄心の基部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる投入側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子に当接させる方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、
上記真空バルブの投入動作時には、上記開放側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記投入用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記投入用コイルに通電し、上記真空バルブの開放動作時には、上記投入側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記開放用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記開放用コイルに通電するように構成されているものである。
【0012】
また、真空容器内に接離可能に設けられた可動接触子と固定接触子とを有する真空バルブを備えた電力用開閉装置の操作装置であって、
上記可動接触子に固定された絶縁ロッドと、
上記絶縁ロッドに相対的に接続され、上記可動接触子を上記固定接触子に対して接離させる駆動力を発生する電磁操作部と、
上記絶縁ロッドと上記電磁操作部との間に介装されて上記可動接触子を上記固定接触子に押し付ける方向に付勢する弾性部材とを備え、
上記電磁操作部が、
それぞれ第1および第2辺が基部の両端部から一側に延設されたコ字状に成形され、第1および第2辺の先端面を対向させて配設された一対の固定鉄心と、
第1および第2フランジ部が基部の軸心方向の両端部に該基部の軸心と直交するように形成され、上記一対の固定鉄心内に軸心方向に移動可能に配設された可動鉄心と、
一端が上記可動鉄心の第1フランジ部に同軸に固着され、上記一対の固定鉄心の第1辺間から延出する他端が上記弾性部材を介して上記絶縁ロッドに接続された可動軸と、
上記可動鉄心の基部の上記第1フランジ部近傍に、上記一対の固定鉄心の基部のそれぞれに相対するように固着され、上記可動鉄心の軸方向と平行に、かつ、互いに同じ向きに磁化された一対の永久磁石と、
一端が上記一対の永久磁石のそれぞれの上記第2フランジ部側の面に接続され、他端側が上記固定鉄心の基部のそれぞれに近接するように配置された一対の磁路形成板と、
上記一対の固定鉄心の基部のそれぞれの第1辺側に巻装された投入用コイルと、
上記可動鉄心の基部を囲繞するように該可動鉄心と上記磁路形成板とで囲まれた空間内に配設された開放用コイルと、を有し、
上記一対の永久磁石は、上記可動接触子が上記固定接触子から切り離された上記真空バルブの開放状態で、上記永久磁石の磁束が、上記第1フランジ部、上記可動鉄心の基部、上記第2フランジ部、上記第2辺、上記固定鉄心の基部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる開放側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子から切り離す方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、かつ、上記可動接触子が上記固定接触子に当接した上記真空バルブの投入状態で、上記永久磁石の磁束が、上記第1フランジ部、上記第1辺、上記固定鉄心の基部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる投入側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子に当接させる方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、
上記真空バルブの投入動作時には、上記開放側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記投入用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記投入用コイルに通電し、上記真空バルブの開放動作時には、上記投入側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記開放用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記開放用コイルに通電するように構成されているものである。
【0013】
また、3相分の上記絶縁ロッドが並列に配設され、上記可動軸がリンク機構を介して3相分の上記絶縁ロッドに連結され、3相分の上記真空バルブが1つの上記電磁操作部により投入・開放制御されるように構成されているものである。
【0014】
また、3相分の上記絶縁ロッドが並列に配設され、それぞれ、上記可動軸、上記弾性部材および上記絶縁ロッドを直線的に配置して構成された3相分の上記電磁操作部が、並列に配設されているものである。
【0015】
また、隣り合う上記電磁操作部が上記可動軸の軸方向にオフセットされて段違いに配設されているものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置の全体構成を示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部を示す断面図である。図3はこの発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の投入・開放状態を模式的に示す断面図であり、その右半分が投入状態を示し、左半分が開放状態を示している。図4はこの発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の投入動作を説明する図、図5はこの発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の開放動作を説明する図である。
【0017】
図1において、真空バルブ2は、真空容器2c内に可動接触子2aと固定接触子2bとを接離可能に配設して構成され、例えば真空遮断器として機能する。そして、3つの真空バルブ2が、可動接触子2aと固定接触子2bとの接離方向を平行として並列に配設されている。
【0018】
この開閉装置100は、1つの電磁操作部30と、各可動接触子2aに固定された3相分の絶縁ロッド20と、電磁操作部30と3相分の絶縁ロッド20とを連結するリンク機構21と、各絶縁ロッド20とリンク機構21との間に介装された弾性部材としてのワイプバネ22とから構成されている。この絶縁ロッド20は、セラミックなどの電気絶縁材料で作製され、真空バルブ2と電磁操作部30との間を電気的に絶縁するとともに、電磁操作部30の駆動力を真空バルブ2に伝達する機能を有している。
これにより、3相分の真空バルブ2が1つの電磁操作部30により同時駆動されるようになっている。
【0019】
ついで、電磁操作部30の構成について図2を参照しつつ説明する。
電磁操作部30は、強磁性材料で作製された一対の固定子鉄心31と、強磁性材料で作製された可動鉄心32、可動鉄心32に固着された可動軸33と、永久磁石34と、強磁性材料で作製された磁路形成板35と、開放用コイル36と、投入用コイル37とから構成されている。
【0020】
各固定鉄心31は、基部31aと、基部31aの両端から一側に延出する第1辺としての上辺31bおよび第2辺としての下辺31cとからなるコ字状に構成されている。そして、一対の固定鉄心31が、上下辺31b、31cの先端面を所定の隙間を有して相対して配設されている。
可動鉄心32は、直方体の基部32aと、基部32aの両端から基部32aの軸心と直交するように延設された第1フランジ部としての上フランジ部32bおよび第2フランジ部としての下フランジ部32cとから構成されている。この可動鉄心32は、一対の固定鉄心31内に軸方向に移動可能に配設されている。そして、可動軸33が、可動鉄心32の上フランジ部32bに同軸に固着され、一対の固定鉄心31間の隙間(上辺31b間)から延出している。
永久磁石34は、直方体に成形され、各固定鉄心31の基部31aの内壁面中央部に固着されている。そして、L字状に成形された磁路形成板35が、1辺を上フランジ部32bの内壁面に相対させて、他の1辺を永久磁石34の内壁面に固着されている。
開放用コイル36は、導線を環状に所定回巻回して構成され、可動鉄心32および磁路形成板35で囲まれた空間内に、基部32aを囲繞するように配設されている。また、投入用コイル37は、各固定鉄心31の基部31aの上辺31b近傍に導線を所定回巻回して構成されている。
【0021】
ここで、各永久磁石34は、その磁化方向Aが、可動鉄心32の軸方向と直交する方向で、かつ、可動鉄心32から離反する方向に一致するように配置されている。
このように構成された電磁操作部30は、可動軸33の延出端がリンク機構21に連結され、各絶縁ロッド20がワイプバネ22を介してリンク機構21に連結されて、各真空バルブ2に接続されている。
【0022】
ここで、可動接触子2aが固定接触子2bから離れて真空バルブ2が開放している状態(図1の左半分の真空バルブ2)では、図3の左半分に示されるように、可動鉄心32が下方に移動し、下フランジ部32cが固定鉄心31の下辺31cに近接する位置(開放位置)に位置している。この時、基部31a、下辺31c、下フランジ部32c、基部32a、上フランジ部32b、磁路形成板35および永久磁石34からなる開放側磁気回路28が形成され、永久磁石34による磁束が図3に矢印で示されるように開放側磁気回路28に流れる。これにより、上フランジ部32bと磁路形成板35との間および下フランジ部32cと下辺31cとの間に磁気吸引力が発生し、可動鉄心32が固定鉄心31に磁気吸引されて開放位置に保持され、可動接触子2aが固定接触子2bから離反した状態が確保される。
【0023】
一方、可動接触子2aが固定接触子2bに当接して真空バルブ2が投入している状態(図1の右半分の真空バルブ2)では、図3の右半分に示されるように、可動鉄心32が上方に移動し、上フランジ部32bが固定鉄心31の上辺31bに近接する位置(投入位置)に位置している。この時、基部31a、上辺31b、上フランジ部32b、基部32a、磁路形成板35および永久磁石34からなる投入側磁気回路29が形成され、永久磁石34による磁束が図3に矢印で示されるように投入側磁気回路29に流れる。これにより、上フランジ部32bと上辺31bとの間に磁気吸引力が発生し、可動鉄心32が固定鉄心31に磁気吸引されて投入位置に保持される。そこで、ワイプバネ22の蓄勢力が絶縁ロッド20を介して可動接触子2aに加わり、可動接触子2aと固定接触子2bとの接触圧が確保される。
【0024】
つぎに、このように構成された操作装置100による真空バルブ2の投入動作について図4を参照しつつ説明する。
真空バルブ2が開放状態にあるときに、投入用コイル37に通電する。これにより、図4の(a)に一点鎖線で示されるように、開放側磁気回路28に加えて、基部31a、上辺31b、上フランジ部32b、磁路形成板35および永久磁石34で構成される投入用コイル37を1周する磁気回路38が形成される。そして、投入用コイル37には、磁束が磁気回路38を図4の(a)に矢印で示される方向に流れるように通電される。
そこで、永久磁石34による磁束の一部が、磁気回路38に流れ、開放側磁気回路28を流れる永久磁石37による磁束が減少される。これにより、下フランジ部32cと下辺31cとの間の磁気吸引力が弱められる。一方、磁束が磁気回路38に流れることにより、上フランジ部32bと上辺31bとの間に磁気吸引力が発生する。
【0025】
そして、投入用コイル37への通電を続けることにより、上フランジ部32bと上辺31bとの間の磁気吸引力が下フランジ部32cと下辺31cとの間の磁気吸引力より大きくなり、可動鉄心32が上方に移動する。そして、可動鉄心32の移動に連動して可動接触子2aが固定接触子2bへの接近を開始する。ワイプバネ22は、可動接触子2aが固定接触子2bに接した後、蓄勢される。そして、可動鉄心32が投入位置に到達すると、図4の(b)に示されるように、投入側磁気回路29が形成される。そこで、投入用コイル37への通電が停止され、可動鉄心32が投入側磁気回路29により投入位置に保持され、可動接触子2aが固定接触子2bに当接した投入状態となる。また、可動接触子2aと固定接触子2bとの接触圧がワイプバネ22の蓄勢力により確保される。
【0026】
ついで、この操作装置100による真空バルブ2の開放動作について図5を参照しつつ説明する。
真空バルブ2が投入状態にあるときに、開放用コイル36に通電する。これにより、図5の(a)に一点鎖線で示されるように、投入側磁気回路29に加えて、基部31a、下辺31c、下フランジ部32c、基部32a、磁路形成板35および永久磁石34で構成される開放用コイル36を1周する磁気回路39が形成される。そして、開放用コイル36には、磁束が磁気回路39を図5の(a)に矢印で示される方向に流れるように通電される。
そこで、永久磁石34による磁束の一部が、磁気回路39に流れ、投入側磁気回路29を流れる永久磁石37による磁束が減少される。これにより、上フランジ部32bと上辺31bとの間の磁気吸引力が弱められる。一方、磁束が磁気回路39に流れることにより、下フランジ部32cと下辺31cとの間に磁気吸引力が発生する。
【0027】
そして、開放側コイル36への通電を続けることにより、下フランジ部32cと下辺31cとの間の磁気吸引力およびワイプバネ22の蓄勢力が上フランジ部32bと上辺31bとの間の磁気吸引力より大きくなり、可動鉄心32が下方に移動する。そして、ワイプバネ22の蓄勢力が放勢されると、可動鉄心32の移動に連動して可動接触子2aが固定接触子2bからの離反を開始する。この可動鉄心32が開放位置に到達すると、図5の(b)に示されるように、開放側磁気回路28が形成される。そこで、開放用コイル36への通電が停止され、可動鉄心32が開放側磁気回路28により開放位置に保持され、可動接触子2aが固定接触子2bから切り離された開放状態となる。
【0028】
このように、この実施の形態1によれば、投入・開放(遮断)操作の際に、開放用および投入用コイル36、37により形成される磁気回路39、38に流れる磁束が永久磁石34の磁化方向Aに流れるように構成されているので、永久磁石34の減磁がなく、開閉動作の信頼性が向上される。
また、開放用磁気回路28と投入用磁気回路29とが固定鉄心31内で分離して構成されているので、開放用および投入用コイル36、37の励磁とともに磁気回路が互いに干渉することなく切り替わる。そこで、コイル電流の立ち上がりが高速となり、高速な開閉動作を実現できる。
また、リンク機構21が可動軸33の一端に連結され、3相分の絶縁ロッド20がワイプバネ22を介してリンク機構21に連結されているので、3相電力の電力用開閉装置を1つの電磁操作部30で同時開閉動作できる。そこで、操作装置の低コスト化が図られるとともに、相間のばらつきがなく、遮断性能の信頼性を向上させることができる。
【0029】
ここで、可動鉄心32を投入方向に付勢する投入バネを配設するようにしてもよい。これにより、投入動作時に、上フランジ部32bと上辺31bとの間の磁気吸引力と投入バネの蓄勢力とが下フランジ部32cと下辺31cとの間の磁気吸引力より大きくなった時点で可動接触子2aの固定接触子2bへの近接が開始されるようになり、高速な投入動作が実現される。
【0030】
なお、上記実施の形態1では、各永久磁石34は、その磁化方向Aが可動鉄心32の軸方向と直交する方向で、かつ、可動鉄心32から離反する方向に配置するものとしているが、各永久磁石34は、その磁化方向Aが可動鉄心32の軸方向と直交する方向で、かつ、可動鉄心32に接近する方向に配置してもよい。この場合、開放・投入動作時に、開放用コイル36および投入用コイル37に通電する電流の向きを上記実施の形態1と逆向きにすればよい。
【0031】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2に係る電力用開閉装置の操作装置の全体構成を示す断面図である。
図6において、開閉装置101は、3相分の真空バルブ2が並列に配設され、3相分の絶縁ロッド20が各真空バルブ2の可動接触子2aに連結されて並列に配設され、電磁操作部30の可動軸32が各相の絶縁ロッド20にワイプバネ22を介して連結されている。そして、各相において、絶縁ロッド20、ワイプバネ22および可動軸32が直線的に配置されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0032】
この実施の形態2によれば、各相の真空バルブ2を単独の電磁操作部30により開閉動作するようにしているので、三相の開閉動作の個別制御が可能となるとともに、位相同期開閉・投入が可能となる。
【0033】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3に係る電力用開閉装置の操作装置の全体構成を示す断面図である。
図7において、操作装置102は、隣り合う電磁操作部30が可動軸32の軸方向にオフセットされて段違いに配列されている。
なお、他の構成は上記実施の形態2と同様に構成されている。
【0034】
この実施の形態3によれば、各相の真空バルブ2をそれぞれ開閉駆動する電磁操作部30が段違いに配列されているので、隣り合う可動軸33間の距離を短くした際に電磁操作部30同士の干渉がない。そこで、可動軸33間を絶縁距離に近づけることができるので、真空バルブ2の相間絶縁距離内に電磁操作部30を配置することができ、小型化が図られる。
また、内部の可動鉄心32の面積を大きく採ることができ、電磁力を省電力で発生させることが可能となる。
【0035】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部を示す断面図である。図9はこの発明の実施の形態4に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の投入・開放状態を模式的に示す断面図であり、その右半分が投入状態を示し、左半分が開放状態を示している。図10はこの発明の実施の形態4に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の投入動作を説明する図、図11はこの発明の実施の形態4に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の開放動作を説明する図である。
【0036】
この実施の形態4による電磁操作部40は、図8に示されるように、強磁性材料で作製された一対の固定子鉄心41と、強磁性材料で作製された可動鉄心32、可動鉄心42に固着された可動軸43と、永久磁石44と、強磁性材料で作製された磁路形成板45と、開放用コイル46と、投入用コイル47とから構成されている。
【0037】
各固定鉄心41は、基部41aと、基部41aの両端から一側に延出する第1辺としての上辺41bおよび第2辺としての下辺41cとからなるコ字状に構成されている。そして、一対の固定鉄心41が、上下辺41b、41cの先端面を所定の隙間を有して相対して配設されている。
可動鉄心42は、直方体の基部42aと、基部42aの両端から基部42aの軸心と直交するように延設された第1フランジ部としての上フランジ部42bおよび第2フランジ部としての下フランジ部42cとから構成されている。この可動鉄心42は、一対の固定鉄心41内に軸方向に移動可能に配設されている。そして、可動軸43が、可動鉄心42の上フランジ部42bに同軸に固着され、一対の固定鉄心41間の隙間(上辺41b間)から延出している。
永久磁石44は、直方体に成形され、可動鉄心42の基部42aの上フランジ部42b近傍に固定鉄心41の基部41aに相対するように固着されている。そして、L字状に成形された磁路形成板45が、1辺を基部41aの内壁面に微小な隙間をもって相対させ、他の1辺を永久磁石44の下フランジ部42c側端面に固着されている。また、補助磁路形成板45aが永久磁石44の上フランジ部42b側端面に固着されている。
開放用コイル46は、導線を環状に所定回巻回して構成され、可動鉄心42および磁路形成板45で囲まれた空間内に、基部42aを囲繞するように配設されている。また、投入用コイル47は、各固定鉄心41の基部41aの上辺41b近傍に導線を所定回巻回して構成されている。
【0038】
ここで、各永久磁石44は、その磁化方向Aが、可動鉄心42の軸方向の投入方向(図8の上方向)に一致するように配置されている。
このように構成された電磁操作部40は、図示していないが、可動軸43の延出端がリンク機構21に連結され、各絶縁ロッド20がワイプバネ22を介してリンク機構21に連結されて、各真空バルブ2に接続されている。即ち、この実施の形態4は、電磁操作部30に代えて電磁操作部40を用いている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0039】
ここで、可動接触子2aが固定接触子2bから離れて真空バルブ2が開放している状態では、図9の左半分に示されるように、可動鉄心42が下方に移動し、下フランジ部42cが固定鉄心41の下辺41cに近接する位置(開放位置)に位置している。この時、補助磁路形成板45a、上フランジ部42b、基部42a、下フランジ部42c、下辺41c、基部41a、磁路形成板45および永久磁石44からなる開放側磁気回路50が形成され、永久磁石44による磁束が図9に矢印で示されるように開放側磁気回路50に流れる。これにより、下フランジ部42cと下辺41cとの間に磁気吸引力が発生し、可動鉄心42が固定鉄心41に磁気吸引されて開放位置に保持され、可動接触子2aが固定接触子2bから離反した状態が確保される。
【0040】
一方、可動接触子2aが固定接触子2bに当接して真空バルブ2が投入している状態では、図9の右半分に示されるように、可動鉄心42が上方に移動し、上フランジ部42bが固定鉄心41の上辺41bに近接する位置(投入位置)に位置している。この時、補助磁路形成板45a、上フランジ部42b、上辺41b、基部41a、磁路形成板45および永久磁石44からなる投入側磁気回路51が形成され、永久磁石44による磁束が図9に矢印で示されるように投入側磁気回路51に流れる。これにより、上フランジ部42bと上辺41bとの間に磁気吸引力が発生し、可動鉄心42が固定鉄心41に磁気吸引されて投入位置に保持される。そこで、ワイプバネ22の蓄勢力が絶縁ロッド20を介して可動接触子2aに加わり、可動接触子2aと固定接触子2bとの接触圧が確保される。
【0041】
つぎに、このように構成された電磁操作部40による真空バルブ2の投入動作について図10を参照しつつ説明する。
真空バルブ2が開放状態にあるときに、投入用コイル47に通電する。これにより、図10の(a)に一点鎖線で示されるように、開放側磁気回路50に加えて、補助磁路形成板45a、上フランジ部42b、上辺41b、基部41a、磁路形成板45および永久磁石44で構成される投入用コイル47を1周する磁気回路48が形成される。そして、投入用コイル47には、磁束が磁気回路48を図10の(a)に矢印で示される方向に流れるように通電される。
そこで、永久磁石44による磁束の一部が、磁気回路48に流れ、開放側磁気回路50を流れる永久磁石47による磁束が減少される。これにより、下フランジ部42cと下辺41cとの間の磁気吸引力が弱められる。一方、磁束が磁気回路48に流れることにより、上フランジ部42bと上辺41bとの間に磁気吸引力が発生する。
【0042】
そして、投入用コイル47への通電を続けることにより、上フランジ部42bと上辺41bとの間の磁気吸引力が下フランジ部42cと下辺41cとの間の磁気吸引力より大きくなり、可動鉄心42が上方に移動する。そして、可動鉄心42の移動に連動して可動接触子2aが固定接触子2bへの接近を開始する。ワイプバネ22は、可動接触子2aが固定接触子2bに接した後、蓄勢される。そして、可動鉄心42が投入位置に到達すると、図10の(b)に示されるように、投入側磁気回路51が形成される。そこで、投入用コイル47への通電が停止され、可動鉄心42が投入側磁気回路51により投入位置に保持され、可動接触子2aが固定接触子2bに当接した投入状態となる。また、可動接触子2aと固定接触子2bとの接触圧がワイプバネ22の蓄勢力により確保される。
【0043】
ついで、この電磁操作部40による真空バルブ2の開放動作について図11を参照しつつ説明する。
真空バルブ2が投入状態にあるときに、開放用コイル46に通電する。これにより、図11の(a)に一点鎖線で示されるように、投入側磁気回路51に加えて、補助磁路形成板45a、上フランジ部42b、基部42a、下フランジ部42c、下辺41c、基部41a、磁路形成板45および永久磁石44で構成される開放用コイル46を1周する磁気回路49が形成される。そして、開放用コイル46には、磁束が磁気回路49を図11の(a)に矢印で示される方向に流れるように通電される。
そこで、永久磁石44による磁束の一部が、磁気回路49に流れ、投入側磁気回路51を流れる永久磁石47による磁束が減少される。これにより、上フランジ部42bと上辺41bとの間の磁気吸引力が弱められる。一方、磁束が磁気回路49に流れることにより、下フランジ部42cと下辺41cとの間に磁気吸引力が発生する。
【0044】
そして、開放側コイル46への通電を続けることにより、下フランジ部42cと下辺41cとの間の磁気吸引力およびワイプバネ22の蓄勢力が上フランジ部42bと上辺41bとの間の磁気吸引力より大きくなり、可動鉄心42が下方に移動する。そして、ワイプバネ22の蓄勢力が放勢されると、可動鉄心42の移動に連動して可動接触子2aが固定接触子2bからの離反を開始する。この可動鉄心42が開放位置に到達すると、図11の(b)に示されるように、開放側磁気回路50が形成される。そこで、開放用コイル46への通電が停止され、可動鉄心42が開放側磁気回路50により開放位置に保持され、可動接触子2aが固定接触子2bから切り離された開放状態となる。
【0045】
このように、この実施の形態2においても、投入・開放(遮断)操作の際に、開放用および投入用コイル46、47により形成される磁気回路49、48に流れる磁束が永久磁石44の磁化方向Aに流れるように構成されているので、永久磁石44の減磁がなく、開閉動作の信頼性が向上される。
また、開放用磁気回路50と投入用磁気回路51とが固定鉄心41内で分離して構成されているので、開放用および投入用コイル46、47の励磁とともに磁気回路が互いに干渉することなく切り替わる。そこで、コイル電流の立ち上がりが高速となり、高速な開閉動作を実現できる。
また、リンク機構21が可動軸43の一端に連結され、3相分の絶縁ロッド20がワイプバネ22を介してリンク機構21に連結されているので、3相電力の電力用開閉装置を1つの電磁操作部40で同時開閉動作できる。そこで、操作装置の低コスト化が図られるとともに、相間のばらつきがなく、遮断性能の信頼性を向上させることができる。
【0046】
ここで、可動鉄心42を投入方向に付勢する投入バネを配設するようにしてもよい。これにより、投入動作時に、上フランジ部42bと上辺41bとの間の磁気吸引力と投入バネの蓄勢力とが下フランジ部42cと下辺41cとの間の磁気吸引力より大きくなった時点で可動接触子2aの固定接触子2bへの近接が開始されるようになり、高速な投入動作が実現される。
【0047】
なお、上記実施の形態4では、各永久磁石44は、その磁化方向Aが可動鉄心42の軸方向の投入方向と一致するように配置するものとしているが、各永久磁石44は、その磁化方向Aが可動鉄心42の軸方向の開放方向と一致するようにに配置してもよい。この場合、開放・投入動作時に、開放用コイル46および投入用コイル47に通電する電流の向きを上記実施の形態4と逆向きにすればよい。
また、上記実施の形態4では、上記実施の形態1による開閉装置において、電磁操作部30に代えて電磁操作部40を用いるものとしているが、上記実施の形態2、3による開閉装置において、電磁操作部30に代えて電磁操作部40を用いても、同様の効果が得られる。
【0048】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されているような効果を奏する。
【0049】
この発明によれば、真空容器内に接離可能に設けられた可動接触子と固定接触子とを有する真空バルブを備えた電力用開閉装置の操作装置であって、
上記可動接触子に固定された絶縁ロッドと、
上記絶縁ロッドに相対的に接続され、上記可動接触子を上記固定接触子に対して接離させる駆動力を発生する電磁操作部と、
上記絶縁ロッドと上記電磁操作部との間に介装されて上記可動接触子を上記固定接触子に押し付ける方向に付勢する弾性部材とを備え、
上記電磁操作部が、
それぞれ第1および第2辺が基部の両端部から一側に延設されたコ字状に成形され、第1および第2辺の先端面を対向させて配設された一対の固定鉄心と、
第1および第2フランジ部が基部の軸心方向の両端部に該基部の軸心と直交するように形成され、上記一対の固定鉄心内に軸心方向に移動可能に配設された可動鉄心と、
一端が上記可動鉄心の第1フランジ部に同軸に固着され、上記一対の固定鉄心の第1辺間から延出する他端が上記弾性部材を介して上記絶縁ロッドに接続された可動軸と、
上記一対の固定鉄心の基部の内壁面にそれぞれ固着され、上記可動鉄心の軸方向と直交し、かつ、互いに逆向きに磁化された一対の永久磁石と、
一端が上記一対の永久磁石のそれぞれに接続され、他端側が上記第1フランジ部の上記第2フランジ部側の面に対向するように配置された一対の磁路形成板と、
上記一対の固定鉄心の基部のそれぞれの第1辺側に巻装された投入用コイルと、
上記可動鉄心の基部を囲繞するように該可動鉄心と上記磁路形成板とで囲まれた空間内に配設された開放用コイルとを有し、
上記一対の永久磁石は、上記可動接触子が上記固定接触子から切り離された上記真空バルブの開放状態では、上記永久磁石の磁束が、上記固定鉄心の基部、上記第2辺、上記第2フランジ部、上記可動鉄心の基部、上記第1フランジ部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる開放側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子から切り離す方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、かつ、上記可動接触子が上記固定接触子に当接した上記真空バルブの投入状態では、上記永久磁石の磁束が、上記固定鉄心の基部、上記第1辺、上記第1フランジ部、上記可動鉄心の基部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる投入側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子に当接させる方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、
上記真空バルブの投入動作時には、上記開放側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記投入用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記投入用コイルに通電し、上記真空バルブの開放動作時には、上記投入側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記開放用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記開放用コイルに通電するように構成されているので、開放側磁気回路および投入側磁気回路が異なる磁気回路で構成され、コイル電流の立ち上がりが高速となり、高速の開閉動作が可能となるとともに、永久磁石の減磁がなく、信頼性が向上される電力用開閉装置の操作装置が得られる。
【0050】
また、真空容器内に接離可能に設けられた可動接触子と固定接触子とを有する真空バルブを備えた電力用開閉装置の操作装置であって、
上記可動接触子に固定された絶縁ロッドと、
上記絶縁ロッドに相対的に接続され、上記可動接触子を上記固定接触子に対して接離させる駆動力を発生する電磁操作部と、
上記絶縁ロッドと上記電磁操作部との間に介装されて上記可動接触子を上記固定接触子に押し付ける方向に付勢する弾性部材とを備え、
上記電磁操作部が、
それぞれ第1および第2辺が基部の両端部から一側に延設されたコ字状に成形され、第1および第2辺の先端面を対向させて配設された一対の固定鉄心と、
第1および第2フランジ部が基部の軸心方向の両端部に該基部の軸心と直交するように形成され、上記一対の固定鉄心内に軸心方向に移動可能に配設された可動鉄心と、
一端が上記可動鉄心の第1フランジ部に同軸に固着され、上記一対の固定鉄心の第1辺間から延出する他端が上記弾性部材を介して上記絶縁ロッドに接続された可動軸と、
上記可動鉄心の基部の上記第1フランジ部近傍に、上記一対の固定鉄心の基部のそれぞれに相対するように固着され、上記可動鉄心の軸方向と平行に、かつ、互いに同じ向きに磁化された一対の永久磁石と、
一端が上記一対の永久磁石のそれぞれの上記第2フランジ部側の面に接続され、他端側が上記固定鉄心の基部のそれぞれに近接するように配置された一対の磁路形成板と、
上記一対の固定鉄心の基部のそれぞれの第1辺側に巻装された投入用コイルと、
上記可動鉄心の基部を囲繞するように該可動鉄心と上記磁路形成板とで囲まれた空間内に配設された開放用コイルと、を有し、
上記一対の永久磁石は、上記可動接触子が上記固定接触子から切り離された上記真空バルブの開放状態で、上記永久磁石の磁束が、上記第1フランジ部、上記可動鉄心の基部、上記第2フランジ部、上記第2辺、上記固定鉄心の基部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる開放側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子から切り離す方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、かつ、上記可動接触子が上記固定接触子に当接した上記真空バルブの投入状態で、上記永久磁石の磁束が、上記第1フランジ部、上記第1辺、上記固定鉄心の基部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる投入側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子に当接させる方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、
上記真空バルブの投入動作時には、上記開放側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記投入用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記投入用コイルに通電し、上記真空バルブの開放動作時には、上記投入側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記開放用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記開放用コイルに通電するように構成されているので、開放側磁気回路および投入側磁気回路が異なる磁気回路で構成され、コイル電流の立ち上がりが高速となり、高速の開閉動作が可能となるとともに、永久磁石の減磁がなく、信頼性が向上される電力用開閉装置の操作装置が得られる。
【0051】
また、3相分の上記絶縁ロッドが並列に配設され、上記可動軸がリンク機構を介して3相分の上記絶縁ロッドに連結され、3相分の上記真空バルブが1つの上記電磁操作部により投入・開放制御されるように構成されているので、3相を同時駆動でき、相間のばらつきがなく、遮断性能の信頼性が向上されるとともに、構造の簡素化が図られ、部品点数が削減でき、低価格化が図られる。
【0052】
また、3相分の上記絶縁ロッドが並列に配設され、それぞれ、上記可動軸、上記弾性部材および上記絶縁ロッドを直線的に配置して構成された3相分の上記電磁操作部が、並列に配設されているので、各相の個別制御が可能となり、位相同期開放・投入が可能となる。
【0053】
また、隣り合う上記電磁操作部が上記可動軸の軸方向にオフセットされて段違いに配設されているので、小型化が図られると共に、電磁力を省電力で発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部を示す断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の投入・開放状態を模式的に示す断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の投入動作を説明する図である。
【図5】 この発明の実施の形態1に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の開放動作を説明する図である。
【図6】 この発明の実施の形態2に係る電力用開閉装置の操作装置の全体構成を示す断面図である。
【図7】 この発明の実施の形態3に係る電力用開閉装置の操作装置の全体構成を示す断面図である。
【図8】 この発明の実施の形態4に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部を示す断面図である。
【図9】 この発明の実施の形態4に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の投入・開放状態を模式的に示す断面図である。
【図10】 この発明の実施の形態4に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の投入動作を説明する図である。
【図11】 この発明の実施の形態4に係る電力用開閉装置の操作装置における電磁操作部の開放動作を説明する図である。
【図12】 従来の電力用開閉装置の操作装置を示す模式断面図である。
【図13】 従来の電力用開閉装置の操作装置の開放動作説明図である。
【図14】 従来の電力用開閉装置の操作装置の投入動作説明図である。
【符号の説明】
2 真空バルブ、2a 可動接触子、2b 固定接触子、2c 真空容器、20 絶縁ロッド、21 リンク機構、22 ワイプバネ(弾性部材)、28、50 開放側磁気回路、29、51 投入側磁気回路、30、40 電磁操作部、31、41 固定鉄心、31a、41a 基部、31b、41b 上辺(第1辺)、31c、41c 下辺(第2辺)、32、42 可動鉄心、32a、42a基部、32b、42b 上フランジ部(第1フランジ部)、32c、42c 下フランジ部(第2フランジ部)、33、43 可動軸、34、44 永久磁石、35、45 磁路形成板、36、46 開放用コイル、37、47 投入用コイル、100、101、102 開閉装置、A 磁化方向。
Claims (5)
- 真空容器内に接離可能に設けられた可動接触子と固定接触子とを有する真空バルブを備えた電力用開閉装置の操作装置であって、
上記可動接触子に固定された絶縁ロッドと、
上記絶縁ロッドに相対的に接続され、上記可動接触子を上記固定接触子に対して接離させる駆動力を発生する電磁操作部と、
上記絶縁ロッドと上記電磁操作部との間に介装されて上記可動接触子を上記固定接触子に押し付ける方向に付勢する弾性部材とを備え、
上記電磁操作部が、
それぞれ第1および第2辺が基部の両端部から一側に延設されたコ字状に成形され、第1および第2辺の先端面を対向させて配設された一対の固定鉄心と、
第1および第2フランジ部が基部の軸心方向の両端部に該基部の軸心と直交するように形成され、上記一対の固定鉄心内に軸心方向に移動可能に配設された可動鉄心と、
一端が上記可動鉄心の第1フランジ部に同軸に固着され、上記一対の固定鉄心の第1辺間から延出する他端が上記弾性部材を介して上記絶縁ロッドに接続された可動軸と、
上記一対の固定鉄心の基部の内壁面にそれぞれ固着され、上記可動鉄心の軸方向と直交し、かつ、互いに逆向きに磁化された一対の永久磁石と、
一端が上記一対の永久磁石のそれぞれに接続され、他端側が上記第1フランジ部の上記第2フランジ部側の面に対向するように配置された一対の磁路形成板と、
上記一対の固定鉄心の基部のそれぞれの第1辺側に巻装された投入用コイルと、
上記可動鉄心の基部を囲繞するように該可動鉄心と上記磁路形成板とで囲まれた空間内に配設された開放用コイルとを有し、
上記一対の永久磁石は、上記可動接触子が上記固定接触子から切り離された上記真空バルブの開放状態では、上記永久磁石の磁束が、上記固定鉄心の基部、上記第2辺、上記第2フランジ部、上記可動鉄心の基部、上記第1フランジ部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる開放側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子から切り離す方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、かつ、上記可動接触子が上記固定接触子に当接した上記真空バルブの投入状態では、上記永久磁石の磁束が、上記固定鉄心の基部、上記第1辺、上記第1フランジ部、上記可動鉄心の基部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる投入側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子に当接させる方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、
上記真空バルブの投入動作時には、上記開放側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記投入用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記投入用コイルに通電し、上記真空バルブの開放動作時には、上記投入側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記開放用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記開放用コイルに通電するように構成されていることを特徴とする電力用開閉装置の操作装置。 - 真空容器内に接離可能に設けられた可動接触子と固定接触子とを有する真空バルブを備えた電力用開閉装置の操作装置であって、
上記可動接触子に固定された絶縁ロッドと、
上記絶縁ロッドに相対的に接続され、上記可動接触子を上記固定接触子に対して接離させる駆動力を発生する電磁操作部と、
上記絶縁ロッドと上記電磁操作部との間に介装されて上記可動接触子を上記固定接触子に押し付ける方向に付勢する弾性部材とを備え、
上記電磁操作部が、
それぞれ第1および第2辺が基部の両端部から一側に延設されたコ字状に成形され、第1および第2辺の先端面を対向させて配設された一対の固定鉄心と、
第1および第2フランジ部が基部の軸心方向の両端部に該基部の軸心と直交するように形成され、上記一対の固定鉄心内に軸心方向に移動可能に配設された可動鉄心と、
一端が上記可動鉄心の第1フランジ部に同軸に固着され、上記一対の固定鉄心の第1辺間から延出する他端が上記弾性部材を介して上記絶縁ロッドに接続された可動軸と、
上記可動鉄心の基部の上記第1フランジ部近傍に、上記一対の固定鉄心の基部のそれぞれに相対するように固着され、上記可動鉄心の軸方向と平行に、かつ、互いに同じ向きに磁化された一対の永久磁石と、
一端が上記一対の永久磁石のそれぞれの上記第2フランジ部側の面に接続され、他端側が上記固定鉄心の基部のそれぞれに近接するように配置された一対の磁路形成板と、
上記一対の固定鉄心の基部のそれぞれの第1辺側に巻装された投入用コイルと、
上記可動鉄心の基部を囲繞するように該可動鉄心と上記磁路形成板とで囲まれた空間内に配設された開放用コイルと、を有し、
上記一対の永久磁石は、上記可動接触子が上記固定接触子から切り離された上記真空バルブの開放状態で、上記永久磁石の磁束が、上記第1フランジ部、上記可動鉄心の基部、上記第2フランジ部、上記第2辺、上記固定鉄心の基部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる開放側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子から切り離す方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、かつ、上記可動接触子が上記固定接触子に当接した上記真空バルブの投入状態で、上記永久磁石の磁束が、上記第1フランジ部、上記第1辺、上記固定鉄心の基部、上記磁路形成板、および上記永久磁石からなる投入側磁気回路を流れて、該可動接触子を該固定接触子に当接させる方向に上記可動鉄心を磁気吸引する磁気吸引力を発生し、
上記真空バルブの投入動作時には、上記開放側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記投入用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記投入用コイルに通電し、上記真空バルブの開放動作時には、上記投入側磁気回路と上記永久磁石を共有する上記開放用コイルを1周する磁気回路を形成し、かつ、上記永久磁石の内部を磁化方向に磁束を流すように上記開放用コイルに通電するように構成されていることを特徴とする電力用開閉装置の操作装置。 - 3相分の上記絶縁ロッドが並列に配設され、上記可動軸がリンク機構を介して3相分の上記絶縁ロッドに連結され、3相分の上記真空バルブが1つの上記電磁操作部により投入・開放制御されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電力用開閉装置の操作装置。
- 3相分の上記絶縁ロッドが並列に配設され、それぞれ、上記可動軸、上記弾性部材および上記絶縁ロッドを直線的に配置して構成された3相分の上記電磁操作部が、並列に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電力用開閉装置の操作装置。
- 隣り合う上記電磁操作部が上記可動軸の軸方向にオフセットされて段違いに配設されていることを特徴とする請求項4記載の電力用開閉装置の操作装置。
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